三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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財務金融委員会

第171回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 2009年01月13日

平成21年1月13日(火)

○田中委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

○中川(正)委員 中川正春です。

 この審議に入る前に、委員長に一言申し上げておかなければならないというふうに思うんです。

 先ほど予算委員会が、混乱の中で強行採決ということでやりました。私たちの委員会も、まだこれは入り口ですよね、補正予算。これまでのプロセスの中で、これも委員長職権で立てられて、しかも、きょうまた採決をするという前提の中でこの委員会が今開かれております。これに対して、委員長、どうですか。全体の審議の流れを見ていると、どうも与党と野党、そんなにここでけんかして、お互いが国民に対して、おまえたち何をやっているんだと言われながら信頼感というのを失っていくという状況、ここが本当に私は残念でならないんです。

 できれば、私たちは、現場で知恵を出し合って話し合いというプロセスをつくっていきたかった。それだけに、もう争点がはっきりしてきたわけですから、我々でやろうと思えばやれるんだ、そこに争点がしっかりあるんだというところまで来ている、それにもかかわらず、委員長、職権できょう採決をしていこうとされておるということ、このことに、もう一回原点に返って、国会の審議というのは何なんだという、そこから始めていかなきゃいけないんだと思うんですよ。

 だから、そういう意味でも、もう一回考え直してもらって、きょうの採決をやめる、そんな中で、委員長のリーダーシップで、ここから一度話し合いを始めていこうじゃないかというような、そんな議論をぜひやりましょうよ、委員長。どうですか。

○田中委員長 先ほど来より、理事会で十分お話をさせていただき、各理事の皆様方の意思の御確認をさせていただき、この会議を持たせていただいているところでございます。

 中川委員の御発言は、野党筆頭理事のお立場でもありますし、受けとめさせていただくことで御了解をいただきたいと思っております。

○中川(正)委員 言葉の使い方というのはなかなか難しいんですよ。受けとめさせていただくということは、私たちの思いというのを理解していただいて、きょうは採決なし、そういう判断をされたということでいいんですね。

○田中委員長 何度も申し上げますが、理事会でもお話をしましたように、予定どおり本日は、総理を招き二時間の質疑、そして一時間の締めくくり総括の質疑の後に、出口まで決定をさせていただいておりますので、先ほど来より何度も繰り返して私が理事会で申し上げましたように、予定どおり会議を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中川(正)委員 そうですか。非常に残念ですけれども、ここではっきりしたのは、この話し合いを拒否しているのは与党の方です。あなた方が話し合いを拒否しているんですよ。今回も恐らく、最終の採決の中では混乱はするだろうと思うんですが、その責任は、委員長、あなたにもありますし、もっと言えば与党ですよ。そのことをはっきりさせておきたいというふうに思います。そこを確認した上で質問に入っていきたいというふうに思います。

 私、先ほどの議論にも申し上げたとおり、総理、ここまで来たら、本来は新しい国会の論議のルールといいますか枠組みというのをしっかり考えていくときなんじゃないかと思うんです。

 去年も私、この委員会の野党の筆頭理事をやってきましたけれども、去年は、道路の特定財源で切り離しという形で議論が進みました。入り口の部分で何もできなかった。しかし、最終的には、与党も一般財源化をするということに踏み切らざるを得なかったんですよ、結局は。そのあげく何が政治に残ったかということになると、空虚ないわゆる空白の時間といいますか、国民に本来の意味で信頼を得ていく、リーダーシップを発揮していく、そこから新しい方向性をつくっていかなきゃならないにもかかわらず、迷走する姿しか映し出すことができなかった、そういうことですよね。

 これは、与党の方が絶対多数でやっていけるという状況の中では、強行採決という一つの手段もそれはあるんだろうと思うんだけれども、今、参議院がひっくり返っているんですよ。ひっくり返っていて、ねじれだと言うけれども、どこの国でもこういう状況は起こってくる。こういう状況が起こってきたときには、絶対多数のときの国会運営と新しいこの状況の中でやっていく国会運営とは違うんだという頭の切りかえを我々両方がしないと、これは政治自身がそれこそ国民の中に評価を失っていくということでしかないんだ、これをお互い自覚しなきゃいけないんだと思うんですよ。

 だから、ここから参議院に回って、参議院に回ってからまたこっちへ戻ってくる間に、我々お互いが傷つけ合っているだけなんですよ。そんな中で今回も事が進もうとしているということ、このことに私は非常にむなしさを覚えるし、もっとやりようがあるんだというふうに思うんです。それだけに、本当は、国対という枠組みの中でこれを進めていくんじゃなくて、現場からそうした具体的な議論というのを、話し合いを前提の中で合意点を求め合っていく、そんな充実した議論をやっていきたいなという思いをつくづくしております。

 そのことをまず申し上げて、総理、そういう意味から、今回の話もそうかたくなにならずに、今からでも間に合うんです、総理のリーダーシップの中で今からでも間に合うんです。もう争点がはっきりしてきていますから、そこのところの話し合いをしていくという思いをぜひ持っていただきたいんですけれども、どうですか。お答えをいただきたいと思います。

○麻生内閣総理大臣 御指摘のようにねじれ国会、どういう表現がいいんだか知りませんけれども、これはおっしゃるように、他国でも間々例がある、御指摘のとおりだと思っております。日本では珍しいことになりましたけれども、ほかの国では時々あるということだと思っておりますので、その点につきましては今御指摘になったとおりだと思っております。

 ただ、中川先生、これは双方に問題があると言われた認識は、私もそう思います。ただ、これまでも、与野党で現場で合意していた、例えば参外防が、いよいよになったらぱっとひっくり返る。あのときも現場できちんとまとまっていたものが後から変わったというような例もありますので、この国会というところに長くおられる方々の意識としては、現場の理事間で合意し委員長までオーケーしていたものがひっくり返ったというようなことになりますと、なかなか、ではやはり信用できなくなったのかなと。そういうものが多分積み重なっている甚だ不幸な話なんだと思っております。

 したがって、一昨年幹事長になったときに、そのときに与野党で政党間協議の必要性というのをずっと申し上げました。その後幹事長になりましたときまた申し上げましたけれども、なかなかさようなわけにいかず、ネクストキャビネットというのもお持ちのようですから、そこと話をさせていただくというのはどうですかというお話も、お答えはありませんでした。そういったようなことを我々としても申し上げてきたんだと記憶をいたします。

 今言われましたように、こういうような状況というものは、きちんと参議院と衆議院でそれぞれ瑕疵なく選ばれた方々がおられますので、その方の間で話し合いができるような状況というものを双方の努力でつくり上げていくべきではないかという御説に関しましては、私どもも賛成であります。

○中川(正)委員 賛成だということだったら、そして現場ではだめだということだったら、総理がリーダーシップを発揮して、やろうということで進んでいくんじゃないですか。それを求めているんですよ。

○麻生内閣総理大臣 今御答弁申し上げたと思いますが、少なくとも、これまでそういうようなことを申し上げたけれども、そのような答えは得られなかったという過去の例というのを申し上げております。そして、現場で賛成してもうまくいかなかった例も申し上げました。ということであります。

○中川(正)委員 だから、今やりましょうと言っているんですよ。予算委員会でもそういうメッセージを出している。今やりましょうと言っているんですよ、我々。

○麻生内閣総理大臣 何をやろうとなさっておられるのかよくわかりませんが、少なくとも、まずここでお決めになって、これは与野党の理事でお決めになる話ですから、お決めになった上で、また、現場で決まったにもかかわらず後でひっくり返ることのないという保証もきちんとしていただいて、その上で与野党の理事でお話し合うということになられるのが筋じゃないでしょうか。

○中川(正)委員 何をやろうとしているかというのはもう少し総理にただしていきたいと思うんですけれども、この二兆円の使い道について世論調査が出ています。きょうも我々の、理事会の中で話が出ました。総理自身の世論調査の結果をここで問うわけじゃなくて、この二兆円の使い道について、もう七〇%、八〇%の国民が、これは間違っているということをはっきり意識しているんですよ。だから、その意思、一遍確認したいと思うんですが、何で国民が、七割から八割の人たちが今回の定額給付の与党の提案に対してこれはだめだと言っているのか、その理由は何だとお考えですか。

○麻生内閣総理大臣 これは、直接当事者に伺ったわけじゃありませんので、そんなことばかりだと言われると答えようがないんですが、私どもは基本的に、この定額給付金という話をテレビやら何やらの話を伺っていると、この今の状況において生活支援とかそういったものはすべてこの二兆円の話だけのように皆さんしゃべっておられますけれども、我々としては少なくとも、一次補正で十一兆五千億、二次補正で二十五兆、そして本予算で三十五兆のいわゆる生活対策、経済支援対策をやろうとしております。

 総額約七十五兆になりますが、その話の七十三兆の話はほとんど出ませんで、この二兆円の話だけになっておる。テレビで質問もこれ一点に集中されますけれども、経済対策として、いろいろな減税にしても、またその他、いろいろな雇用の支援にしても、いろいろな支援をさせていただいているうちの中で、少なくともこの定額給付金に関しましては、始まりましたときには、御存じのようにガソリンの値段が急騰している時代でありました。今は灯油を含めて値段が半分ぐらいになっておる、あの当時に比べまして。

 したがって、状況は著しく変わってはおりますが、少なくとも、低額所得の方々に対しては、こういった形での支援が生活支援になるという面が一面。しかし、そのころはインフレという話でしたけれども、今は猛烈に、石油が特に下がって、逆にデフレの懸念が出てくるということになってくると、比重としては、比重が生活支援の部分から消費というものに、刺激をしていく消費支援、消費刺激、そういった面が出てくるという、二つの面がもともとあったにしても、比重がかなり消費の面が上がってきておるという状況になっております。

 したがいまして、これは一括の話であって、今のように事を急いでおります状況においては、こういうものが速やかに出せるというのであれば、御党のようにいわゆる給付金つき定額減税というお話なんかもあっておりましたけれども、我々は、今の状況を考えますと、定額給付金というのが最も公平に早くいろいろな意味での支援、刺激策がとれるのではないか、私自身はそう思っておりますが、この点はなかなか御理解をしていただけていないところかなと思っております。

○中川(正)委員 私が聞いたのは、なぜ、どういう理由でもって国民が、本当に国民の七割から八割がこの政策に反対しているのか、国民がどこにおかしいじゃないかという気持ちを持っているのかというのを聞いたんですけれども、わかっていられないんですか。わかっていられないの。わからないんですよ、国民の気持ちが。

○麻生内閣総理大臣 十分に理解をされていないという点を御説明申し上げたつもりであります。

 したがって、定額給付金というものの持っております背景、趣旨、そういったものを十分に説明し切れていないというところが理由だということを申し上げたつもりであります。

○中川(正)委員 国民は、もったいないと言っているんですよ。二兆円使うんだったら、もっとほかにしっかりした使い方がある、納得ができる使い方をしてくれと言っているんですよ、一言で言えば。その気持ちが全然つかめていないんですね。これで本当に国民が納得した形で給付ができるということを考えていられるのであれば、それは本当に大きな間違いだと思う。だから、一回、本来国民が求めている使い方、納得できる使い方というのを話し合っていったらいいじゃないですかと言っているんですよ。

 そっちもいろいろ案があるでしょう、二兆円の。ただばらまくというだけでなくて。だから、今我々が判断するのは、あのときのタイミングからいったら、選挙対策でばらまくだけだ、そこから出発したものだからというイメージが消えない。だから、それはそうでないとすれば、もっと中身について私たちと話し合っていったらいいでしょう、もっと有効な使い方というのが出てくるでしょうということなんですよ。総理、どうですか。

○麻生内閣総理大臣 少なくとも今の段階において、二兆円のほかにも、我々はもっといろいろなものに使っておりますのは改めて御説明するまでもないと思いますけれども、生活対策等々いろいろ使わせていただいております。

 御存じのとおりだと思いますが、いわゆる都道府県に過去最大の四千億円の基金を創設する、これも雇用対策として創設するんですよ。雇用対策に主に一兆円、地方交付税というものもやらせていただいております。また、学校とかいろいろな意味でのそういったものも十分に使えます、地方交付税ですから。そういった意味で、現場で十分にそれをもとにして対応ができるような制度、システムにもなっております。

 いろいろな雇用支援策ということに関して、派遣労働者とか年長フリーター、よく話題になるところですけれども、これを正規雇用した企業には助成します。それにもいろいろな意味で我々はこういったものを出しておりますので、そういうものも含めた上で、我々は、なおかつこういったものが十分に反映させていければと思っております。

 いずれにしても、今言われたように、もったいないと言われるけれども、我々としては、そういったことをぜひ欲しいと言われる方もおられることもまた事実だと思っております。したがって、制度としてこういったものをやった上にしているんですよという点を御理解いただいていないところではないかと思っておると申し上げております。

○中川(正)委員 だから私たちは、この件を除いては、この定額給付というポイント、これを除いては、ほかのところ、いろいろ議論の余地もあるけれども、経済のいわゆる緊急対策としては賛成をしていこうと言っているんですよ。だから、それはいいんだ。しかし、二兆円、これを使うんだとすれば、もっとそれに有効な使い方がある。ただばらまくと言われる、あるいは国民がもう既に気持ちの上でなえている、こんなお金もらったって、これは景気の刺激策という本来のものにはなりませんねという、もうそういう気持ちに国民がなっているところへ向いて給付をしたって、本来の元気は出てこないというんです。

 恐らく、今回の金融危機から始まる経済の破綻というのは普通の形で来た不況とは違う、そういう側面を持っているわけですよね。突然にやってきた、同時に、金融から実体経済へ向いて今どんどん移りつつあるんだけれども、それも日本でいえば、輸出関連企業を中心にした大企業から下請関連に至るまでの雇用のカット、それに対する不安、それで心が縮んできている。これは限定されているところへ向いて今集中的にその影響が出ているということですから。

 これに対して、例えばアメリカあたりでも、同じ減税をするんだったら、そんな一万二千円というようなレベルじゃないですよね、見ていると。五万円から十万円のレベルで減税して、それはどういうことかといったら、いや、ちょっと遊びに行ってうまいものを食ったらいいですよというような程度じゃなくて、耐久消費財を中心にして、何かそうした一番根幹になる部分へ向いて消費が伸びないか、需要が出ないかというところがしっかりと計算にあるからそういう政策を出しているんだと思うんです。今我々が議論しているこの一万二千円なんというのは、そうした意味では、それを出してどうなるのという、それは国民が、受け取る方が今感じているわけですから。

 だから、そういう戦略性のないようなやり方はだめですよと言っているんですよ。同じ減税をするにしても、同じ給付をするにしても、もっと国民の気持ちをすとんと変えていくぐらいのインパクトのあるようなことをやりましょうよと言っているんですよ。そういう流れを、我々も景気の刺激策として反対しているわけじゃない。何かやらなきゃいけないだろう、大変なことになるだろうという意識はあるんだから、そこのところを中身を相談しましょうと言っているんですよ。それをなぜかたくなに、これでないとだめだ、これでないとだめだと。何かどこかでもっと違ったこだわりがあるような、そういう受け取られ方をする、そういう形でしか見えないということなんですよ。ここのところを指摘しておきたいというふうに思うんです。

 どうですか、何回も言いますけれども、もう少し大きな気持ちになって、ちょうど昔、金融政策の中で、野党の出していった法案を丸のみして、結果的にはこの国の金融危機というのを救った、そういうプロセスがあったじゃないですか。あのときに与党の方が、いや、野党から丸のみしたから与党の値打ちはないんだ、与党はだめなんだと国民に評価されましたか。違うでしょう。それでよかったんですよ。

 だから、これは与党、野党の話じゃなくて、そうした話し合いの中で国民が、ああ政治がリーダーシップをとったなという、そこのところをお互いがつくり出さなきゃいけないということを言っているんですよ。それぐらいの大きな気持ちになってください、総理。

○麻生内閣総理大臣 今、お気持ちの話は伺いました。

 先ほど答弁申し上げたとおりなんで、中川先生、これは、前々からこの種の話というのは、たびたび双方で話し合いを、政党間協議をと言ったときにはなぜ乗られなかったんですかね、あの当時は。あのころから話があっていれば、もう少し話が前に建設的になったんじゃありませんかね。私はそこが、当時は幹事長だったので、少々残念に思って、何回となく振り込みましたけれども、全くお相手していただけませんでしたものですから、その意味では、正直、今になって一方的に悪いのが与党かのごとき話にすりかえられても、なかなかさようなわけにはいかない。事ここに至るまで随分機会はあったんだと私自身はそう思って残念に、私どももそう思っております。

○中川(正)委員 話題をかえます。

 次に、中小企業の金融についてなんでありますが、現場といいますか、地元を歩いていると、いろいろ手だては打っている、保証協会の保証枠も伸ばしている、あるいは地方銀行を含めて銀行の代表者を集めて貸し出しをするようにという指導もしている、あるいはまた政府系の金融機関もそれぞれ枠組みをつくって貸し出している、こういう政策を政府は説明するわけですけれども、現状はしかし、そんなことではないな。非常に厳しい状況が今出てきておって、中小企業は特に、倒産、あるいはもうここで仕事をやめようかというようなところが私の周辺でも幾つか出てきていますが、政府が説明する状況よりももっともっと危機感を持って見なければならない現実というのがあるというふうに私は今感じています。

 そういう意味で、総理は今どう判断されておられますか。この政策でいい、これで十分だというふうに判断されているんですか。

○麻生内閣総理大臣 企業にとりましては、今回の場合、御指摘のあったように金融でスタートしております。したがって、いわゆる損益の上からいったら黒でも資金繰りがつかないために倒産する、それが結果として雇用の不安定につながる。この資金繰り対策が年末、年度末に向かって最大の問題、これは最初から申し上げたと思います。

 したがって、それに合わせて融資また保証枠などなど、いろいろやらせていただいたのは御存じのとおりです。おかげさまで、年末、十二月の三十日までやるようにして、結果として約四兆、総枠で十八万件に及ぶ方々に少なくとも感謝をされたということだと思っております。

 これで一応年末までの極端なことにならずに済んだと思っておりますが、御存じのように年度末というものがあります。したがって、この年度末に向けて、その保証の枠、融資というものを拡大しておく必要があるであろう、私自身はそう思っておりますので、いわゆる保証枠を二十兆、三十兆とふやさせていただいている背景がそれです。したがって、今の状況で、これで全く問題ないと言うほど大それたつもりはありません。

 ただ、今回の場合、中川先生、日本の話じゃなくて、これはほかの国からそもそもはスタートしておりますので、自動車、また輸送機械、産業機械、家電、そういったものを含めまして他国に輸出依存度の高い企業、そういったところはすそ野の広い産業が多いものですから、そういう業界の分野においては、影響というものは国内だけで回っているのと大分違う状況にあると思っております。

 したがって、そういう分野の業界の影響が日本の経済にどういった影響を与えるかということに関しては、未知数の部分が極めて多いと思っておりますので、我々としては、いろいろな対策をというより、もしそうなったときにどうするかということをあらかじめ考える。ちょっとこれまでにないことが起きておりますので、なかなか予想の範疇を超えている部分があるのも事実です。そういったことを考えながら、慎重に対応していかねばならぬと思っております。

○中川(正)委員 これまでもいろいろな手だての中で貸し出しをふやしてきた、こういう前回の委員会の中での説明もあったわけでありますが、これは具体的にどれだけ貸し出しの総枠がふえてきているのか、どれだけ効果を持って政策が今動いているのかということを改めて説明してください。

○高市副大臣 まず信用保証協会を通じました緊急保証でございますけれども、十月三十一日からの制度開始でございますが、先週末の一月九日金曜日までで十八万一千件、金額にいたしまして、規模にいたしまして四兆千五百二十五億千六百万円となっております。また、日本政策金融公庫のセーフティーネット貸し付けでございますが、これは十月一日から昨年末までのデータで約五万件、五千六百四十八億円の実績となっております。さらにこれを拡充していくということで私ども考えておりますので、第二次補正予算早期成立への御協力をお願いしたいと思っております。

 そしてまた、先生が先ほど、これでは十分じゃないじゃないか、中小企業の実感、地元でお感じになる実感とのお話だったと思うんですけれども、それらの声というのは多くの国会議員の事務所にも寄せられておるかと思いますが、私たちも、二階大臣の御指示のもと、副大臣二人、政務官二人、手分けをしまして全国を回りました。

 確かに、まだまだ中小・小規模企業の資金繰り、厳しい状態だということは実感をいたしておりますし、それに加えまして、やはり運用改善で幾らか対応すべき点があるということも実感をいたしましたので、これも、民間金融機関に対しまして緊急保証を利用した融資に関する金利の引き下げを、これは大臣の方から要請いたしました。また、日本政策金融公庫によりまして休日の電話相談も三月末まで続けていただいておりますし、それから、主たる業種ですとか従たる業種、こういったことで複数の業の場合の対応なども声をいただきましたので、改善をいたしました。さまざまな運用改善も行いながら、頑張ってまいります。

○中川(正)委員 それはこれまでもずっと聞いてきたことなんです。私が尋ねたのは、結果はどうなんですか、貸出残高というのは伸びているんですかと。本当に中小企業を救済しているんですか、金が回っているんですかということを聞いているんです。数字を示してください。

○高市副大臣 数字としては今お答えを申し上げたとおりでございますが、再度申し上げます。

 まず、保証実績に関しましても、申請をいただいて、保証承諾率ということでは九割となっております。残り一割、どうしても保証の認定が受けられなかったというような方々の声が特に届いているんじゃないかと思いますけれども、ここもやはり国民の皆様の税金で対応することでもございます。そしてまた、今後の返済見込みが立たない、全く見込みが立たない、過去の債務が非常にたくさんあって、さらにそこに債務をふやさせるような対応もできませんので、ここにつきまして、どうしても緊急保証ができない、またセーフティーネット貸し付けの対応にならないというケースはございます。

 金額に関しましては、先ほど申し上げた実績でございます。

○中川(正)委員 貸し出しの統計があるでしょう。それを見ているんですか、副大臣。セーフティーネットというのは、トータルな銀行からの貸出枠の中の一部ですよ。一部にセーフティーネットを入れ込んでいるわけですよ。その結果、トータルの枠組みがふえているのかどうかということが問題なんです。セーフティーネットを入れても、これまで貸していたものをそれから巻きかえているという話だけでは、具体的にふえているという話にならないんです。そこのところを確かめているんですかということを聞いていたんです。

 結果的にいうと、そういう話にはなっていないんですよ。トータルの貸し出しというのは、都銀、地銀含めてふえているんですけれども、ふえている部分というのはほとんど大企業へ向いていっている。なぜかといったら、CPやあるいは社債の市場が機能しなくなったから、それが発券できなくなったから、銀行へ向いて戻ってきて、その貸し出しがふえている。中小企業へ向いて貸し出している分がそれではどうなっているかといったら、これは日銀が統計を出していますよ。これをそっちの方からちゃんと認識をして、この数字の上で議論をしたいというのが私の意向なんです。

 それはどうなっているかというと、中小企業の場合は依然として、これは二〇〇八年の十一月が一番最後ですけれども、これは本当はそちらへ届けておいた方がいいんだけれども、当然大臣のところには入っているだろうと思って届けなかったんだけれども、二〇〇七年の十一月から毎月毎月、前月に比べると中小企業への貸し出しはずっと減り続けているんですよ。こういう施策をいろいろ入れても、二〇〇八年の十一月、年末になってもまだマイナス〇・八で減り続けているんですよ、中小企業に対しては。

 だから、こうした数字を見て、これまでのやり方でこうやっているんだ、ああやっているんだといっても、どこか違っているんだ。十二月になっても、やはり中小企業に対しては金が回っていない。みんなうなずいている。みんなわかっているんです、その事情は。だから、その上に立って、どうしましょうかということを言っているんですよ。

 これはなぜだというふうに思われますか。なぜ中小企業には回っていかないんだというふうに思われますか。

○中川国務大臣 金融担当大臣としてお答え申し上げます。

 中川委員御指摘のとおり、全体の貸出残高はプラスでございますけれども、中小企業向けの貸出残高は、最近の統計、去年の十一月段階でもマイナス〇・八でございます。ただ、トレンドとして見ますと、九月がマイナス三・二だったものが十月が一・一になり、そして十一月はマイナス〇・八ということで、減り方が少なくなっているということも言えるんだろうと思います。

 仮に、信用保証なり緊急融資なりあるいはまた金融機関が融資するときの条件緩和の適用除外の見直しなんかのあらゆる政策をとっていなかったとするならば、あるいは、私ども中小企業庁と金融庁が金融機関と何回もお会いをして、ぜひ貸し渋り等々はないようにというようなこと、そしてまた金融機能強化法をここで御審議いただきました等々の中小企業対策というものを我々矢継ぎ早にとってきたつもりでございまして、万が一これがなければということを考えますと、そら恐ろしい感じがするわけであります。

 いずれにいたしましても、今後とも中小企業向けに必要な資金がきちっと供給できるように、中小企業庁、金融庁を含めて、政府全体でこれからも努力していかなければいけないというふうに思っております。

○中川(正)委員 精神論で、努力していかなきゃいけないというので解決できたら、それは全然問題ない。そうじゃないんですよ。具体的に結果として減り続けているんです。貸出金額が減り続けているんです。そこのところが、なぜそうなんだ、なぜ中小企業には金が回らないんだということ、どこに原因があるんだというのを認識しているのかというのを聞いているんですよ。

 これはどこかおかしいわけでしょう、減り続けているというのは。さっきの話で、いや、ちょっとはふえているんですよという話だったら、これまでいろいろな施策をしてきたものがきいているんだ、なかったときと比べるとこれは大変なことなんだということなんだけれども、減り続けているんですよ。だから、きいていない。どこかでそれぞれの銀行がリスクをとらないという構造があるということ、そこにメスを入れないと、これまでのような施策をやっていても中小企業には金が回らないということなんじゃないのかと言っているんですよ。

○中川国務大臣 まず貸し出しは、言うまでもなく必要な資金を中小企業は欲しい、これは運転資金なのか設備資金なのかは別にして。それに対して、出し手といいましょうか、金融機関が貸し出しをするということでございまして、どれだけのニーズに対して貸し出しができるかということが一番のポイントではないかというふうに思っております。

 手元に全銀の貸し出しの速報がございますけれども、これを見ますと、全体の貸し出しの伸びが四・六、都市銀行は五・二に対して地銀が四・七、第二地銀は一・九ということで、特に中小企業向けが中心であろう地銀、第二地銀は伸びている数字もあるわけでございまして、中小企業向け、これは今金融機関単位で見た数字でございますけれども、この貸出残高が確かに十一月段階でまだ〇・八という数字、これは個々のケースによって、どういう資金ニーズがあるのか、それにこたえられるかこたえられないのかということが私は一番のポイントだろうと思います。経済が今非常に停滞しておりますから、多分、資金ニーズも、いいときに比べてまた違う状況にあるということも考えなければいけません。

 いずれにしても、個々の中小企業ベースに立ち返って、我々としては適切な貸し出しが、特に中小企業向けにできるように、引き続き我々としても行政としてチェックなり監視なり、また必要な対策をとっていきたいと考えております。

○中川(正)委員 大臣、認識が間違っていますよ。都市銀行も第一、第二地銀も何で伸びているかといったら、大企業へ向いて貸し出しが伸びているからトータルで伸びているんです。これは私も現場へ行って地元の銀行で確かめましたよ。何で伸びているのかといったら、都市銀行からお誘いがあるんだ、大企業の方が資金需要がしっかり伸びている。なぜかといったら、さっき言ったように、CPだとか社債というのが発券できないから、それを銀行へ頼ってくる。それにシンジケートを組んで、地銀も一緒につき合ってくれたらどうかというので、リスクがないからそこへ向いて金が全部行っているんだ、それで我々はやっているんだということを現場では言っているんですよ。

 その中で、中小企業というのはリスクが高い。そのリスクの高いものについて手出しができないというような形で、実は地銀の、それぞれ地方の銀行の経営の状態も縮んできているというところがあるわけですよ。そこのところをしっかりつかんでいかないと、ただ精神論で頑張れ頑張れ、もっと貸せもっと貸せと言っていったって、それはそういう形にはなりませんねということ。

 具体的に言えば、資本注入やるべきですよといって金融機能強化法、通りましたよね。それで、各銀行に対して手を挙げてきなさい、どこも手を挙げてこない。こないけれども、それぞれがこれだけ縮んでいる。縮んでいるところをどこで貸し出しているかといったら、大企業へ向いて貸し出している、この構図ですよ。それでいいのか、それをほうっておいていいのかということが一つ。

 それからもう一つは、政府保証というか信用保証協会の枠組みをふやした。ふやしたけれども、それはこれまで、特に今必要としている企業というのは輸出関連ですから、好況だったんです。非常によかったんです。よかったから設備投資をどんどんやったんですよ。それで、その借りている金があるところへ向いて今回の不況というのがどんとやってきた。それを巻きかえるために、前の借金を返せないからというので、今回のセーフティーネット枠を使いながら巻きかえて、それで何とか急場をしのいでいる。

 しかし、これだけ落ち込んできたら、次に従業員に支払っていく資金繰りができないというところを、では運転資金で貸してくださいよと新たに提案したところが、これは前の借金があるからそこまではいけませんね、もうセーフティーネットをここで使ってしまいましたねという構造がここにある。こういうことを私も地元で確認をしてきました。こういう構造を持っている限り、さあ、やれやれと言ったって、なかなか伸びていかないんだろうというふうに思う。そこのところを指摘をしておきたい。

 もう一つ指摘をするとすれば、緊急指定機関、これは事業の中身は、指定金融機関を通じた危機対応制度というのがありますよね。これは、政府系の金融機関を通じてそれぞれ各銀行に指定しますから、それへ向いて公的機関に流しますから、そのことを原資にして貸し出してやってください、こういう制度があって、危機指定をやったわけです。もう既にやったんですよね。やったけれども、では、それぞれの銀行、政府系の金融機関以外のそれぞれの地銀、そういうところで手を挙げてくれて、いや、私のところは協力しますよ、それだけのリスクをとって、政府の金なら、原資ならそれで貸し出しますよと言ったところがどれだけ出てきたかといったら、まだ二行しか出てきていないという構造もこれあり。

 ということから考えていくと、市中の金融機関を通じて中小企業対策、金融対策をやるということの限界がここにあるということ、これを認識した上で出発をしなきゃいけないということだと思うんです。

 総理、予算委員会の中で、私は社長をやっていたから、やっていたからという話が何回も出てきましたけれども、こういう構造に対して、どういう形で金を流せば本当に中小企業に行き着くことになるのか、そこのところを新たな感覚で考えていかないとこれは大変なことになるなという危機感を私は持っているんです。現実として数字が伸びていないということからいけばそういうことだと思うので。お答えをいただきたいと思います。

○麻生内閣総理大臣 これは、中川先生、実は内部留保が厚くて資金を全然借りるということをしなかった企業というのは、この何年か物すごく多いんです。

 なぜそうなったかといえば、やはり十年前のときのあの騒ぎのときに、各企業は、内部留保、いわゆるキャッシュフロー、流動資産というものを物すごく厚くしている。これはどの企業も総じてその努力をしたと思っております、自己資本比率も厚くしましたし。その意味においては、直接金融の部分がふえて間接金融の部分が減った、これは全体の流れとして我々は頭に入れておかなきゃならぬし、もちろん先生も入っておられるところだと思っております。

 その上で、今回起きております一連の金融に端を発しましたこの不況というものは、今どのような形でこれが波及効果が出てくるかがわからないから、みんな設備投資をしない。常識的に言えば、金利が安くて土地が安くなったときには設備投資をすべきです。その方が間違いなく、金利が高くて土地が高いとき設備投資をするより、逆にやるのが当然ですから。しかし、今はそういう気分にならない、世界じゅう不況ですから。しかも、こういった形で同時に世界じゅう一遍に来たという例はこの六十年間ありません。

 そういう意味では、どう考えても、今回の状況に関して、各銀行はもちろん、企業も、非常にクレジットクランチ、信用収縮が物すごい勢いで気分的にも起きておるという現実であって、そういう中にあってどういった形でリスクテークをとるかという話になるんだと思います。

 したがって、我々としては、今、いろいろな形で減税をやってみたらどうだと。例えば、新エネ、省エネに関しては設備投資は一発ですよ、五年償却要りません、即時償却を認めますとか、こういったことは過去例がありませんから、そういったこともやらせていただきました。また、各御家庭で今CO2の削減などなどいろいろな環境問題がありますので、そういった面の、太陽光発電、そういったものをつけられたときについても減税します。いろいろな形で気持ちが動くような方向のことを考えてはおります。

 同時に中小企業の方も、そういうものがある程度、みんなが見た上でないと、一番リスクをとる確率の高い中小企業にとりましては、そう簡単に今ぽっと行けるという状況になりませんので、かなりいろいろなものの要素を勘案した上でこの問題に取り組んでいき、今後ともさらに対策が必要というのであれば、その問題はそのときに応じてやっていかねばならぬものだと思っております。

○中川(正)委員 ぜひ総理の頭の中を整理していただきたいと思うんですが、将来に対する新しい投資、世界じゅうでは、財政支出をやっていくんだ、財政投資をやっていくんだという形でアメリカもヨーロッパも動き出しております。そういう新しい分野、さっき環境の話も出ましたけれども、これを組み立てていくという話と、中小企業が、あしたから三〇%発注をカットしますよ、もう物をつくらなくていいんだよという形でとんと切られてくる、こういう状況が今どんどん起こってきている。それに対する緊急対応というので金融政策をやっているわけですよね。そういうものとの区別というのは、頭の中でしっかりしておいてください。さっきの話は、全くそれが両方区別されないままに動いているということだと思います。

 今話をしているのは緊急対策なんですよ、緊急対策。緊急対策の中で、さっき言った、今、直接金融の市場がパンクしたために間接金融に帰ってきているわけです、銀行に帰ってきているんです。だからそれでとられてしまって中小企業に金が回らないという構図もあるわけですよ。

 そういうところを認識した上でどうしようかと言っているのに、全然ピントの合わない話でごまかしてしまうという、そこのところの感覚というのが、私は、今回いろいろな政策が出てきていますけれども、本当にこれは通じていくんだろうかどうかというところ、そこを提起させていただいたということです。

 もう一つ言えば、やはり一番責任があるというか、それから事情がよくわかっているのは親会社だと思うんですよ。親会社が子会社に対して仕事をカットすれば、それがどういう影響を及ぼしてくるか。子会社がつぶれちゃったら次の段取りができない、次の飛躍ができないということであるとすれば、公的な資金でもいい、保証でもいい、どんな形でもいいんですが、親会社を通じて、下請の関連のところへ向いて金、いわゆる運転資金を流せるようなルートというのがもう一つあっていいんだろうというふうに思うんです。その中で仕事のやりとりの交渉を前提にした今回の危機対応策というのが描けるというふうに思うんです。そんなことも提起をさせていただきたかったんですけれども、時間が来てしまいました。

 今のままでは、今の政府のスキームだけでは今回の危機対応というのはやっていけないというのは数字の上でしっかりと出ているので、そこのところをどうかもう一回点検して、新しいマインドでしっかりと次の時代をつくっていってもらいたい、そのことを改めて申し上げて、私の質問を終わります。
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