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中川正春 NAKAGAWA MASAHARU


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外務委員会

第166回国会 衆議院 外務委員会 第12号 2007年05月16日

平成19年5月16日(水)

○山口委員長 次に、中川正春君。

○中川(正)委員 おはようございます。

 きょうは、対立法案もありませんので、改めてゆっくりと一度、外務大臣のさまざまな所見をお聞きしたいという謙虚な気持ちで来ました。

 いろいろ課題がある中で、やはり、ちょっと北朝鮮を一遍ゆっくり議論してみたいなというふうに思っておりまして、それを中心にきょうは質問をしていきたいと思っています。

 六カ国協議が、一つの単位になっておったのが四月の十四日、それからもう一月以上になってくるわけでありますが、このバンコ・デルタ・アジアの問題が、ヒルさんによれば、もうすぐだ、もうすぐだと言いながら、恐らく今はアメリカの銀行経由でというふうなことの交渉をやっているんだというのは新聞紙上でも読んでいるんですが、日本に対しては、今このバンコ・デルタの問題はどこに問題があって、具体的にはアメリカとしては解決期限というのをいつに置いているかということ、これを通報してきているかということと、それから、それに対して日本は、この問題に対して基本的にはどのように対応をしていこうとしているのか。ただ待つだけなのかということですね。そこのところを、まず入り口として答えていただきたいと思います。

○麻生国務大臣 御存じのように、これは中川先生、バンコ・デルタ・アジアの話につきましては、日本という国は当事者ではありませんので、アメリカとバンコ・デルタ・アジア、中国、それと北朝鮮ということになろうと存じます。

 その意味で、最初はバンコ・デルタ・アジアに預金されております約二千五百万ドル相当の金の凍結を解除というのがそもそもの話だったんですが、解除はしたけれども解決にならなかった。

 次は送金だという話になって、それは話が違うんじゃないのか、送金まで何でおれたちがしてやらなくちゃいかぬのだという話になって、この送金の手続、おまけに送金もそっちで持ってきてよ、運べみたいな話になってくると、それはちょっと、何を考えているんだ、そんなところまで、もともと不正の金を凍結解除してやっただけでもというところに、何で送金までするんだ、これは当然いろいろな意見が出てくるところでありまして、今そこのところが話としてごちゃごちゃしておるというところだろう、私どもの得ている情報ではそういうことになります。

 したがって、ではこれが、だんだん条件が幾つも幾つも出てきますので、次は、お金を送金したら、今度はそのあれが新券じゃなきゃだめだとか、いや、二十ドル札にしろとか、何とかかんとかわけのわからないことを言い出し始めまして、これは単なる引き延ばしなんじゃないのという話が当然出てくることなんであって、そういう話になってきますと、今までの話とは大分違ってくるのではないか。

 したがって、国務省、財務省、国内にもいろいろ御意見もありますし、同じ役所の中でまたいろいろ意見があるというところが私どもとして見ているところですが、残念ながら我々は当事者じゃありませんので、何ともそこのところは、これ以上なかなか申し上げるわけにはいきません。

 ただ、過日のブッシュ・安倍会談の中におきまして、少なくともこの問題をいつまでもこのまま放置しておくというのにも我慢の限界もあるのではないかとブッシュも言い、向こう、こちら、双方とも意見が、そこらのところは、あめとむちの話で言えば、圧力をもう一回高めなければならぬのではないかという話が双方で出て、その段階でもう一回その話を詰めないかぬということに今なりつつあるという段階であろうと思います。

○中川(正)委員 恐らく、金額としては三十億ですからね、日本の単位に直して。これだけを今のようなこだわり方をするというのは異常だと思うんです。

 その意味では、バンコ・デルタそのものが海外への窓口であった、いわゆる資金の窓口であったというふうな見方を我々もした上で、その資金ルート、私は新聞紙上での情報しかないんですが、バンコ・デルタがアメリカの金融当局に北朝鮮からそういう取引をしたいと言ってきているんだけれどもアメリカとしてはいいか、こういう問い合わせをしたときに、アメリカとしては、バンコ・デルタがやってくださいよ、こんな話もあったんだというふうな新聞紙上での報道もありましたけれども、それを考えていくと、送金ルートにこだわるというのは、やはり窓口としてこのバンコ・デルタをこれからも使っていきたい、あるいは、そうした送金ルートを確保していきたい、そういう北朝鮮の意図なんだろうと思います。

 それに対して日本としても、そういうルートをつくらせていくのか、それとも形の上だけ、いわゆる三十億に限定した形で解除をして、送金ルートというものに対しては途絶えていく、そこで締めていく、北朝鮮に対しての金融制裁的な意味合いで締め続けていくんだ、そういうところを考えていくのか。これは日本の方針としても基本的に持っていなきゃいけないところだというふうに思うんですよ。そこについてはどのような見解をお持ちなんですか。

○麻生国務大臣 これは、中川先生、初期段階の措置に対する対応というのが例の二月の十三日で決まりまして以後、約六十日ということになっておりますので、その意味で、これまでのところ、BDAをネタに、単なる引き延ばしと思われるような感じのところがないわけではありません。

 したがいまして、今の段階でこれをやるとかあれをやるとかいうわけではありませんけれども、少なくともその初期段階の対応というものが全くないまま送金ルートに関して緩和するというような気持ちはございません。

○中川(正)委員 単なる引き延ばしではないんだと私は思うんです。本気になって彼らは送金ルートを確保していく、これは国としてののど元を絞められている話ですから、これを何とか解除しようというのが彼らの意図だと思うんですよ。そこのところをこちらの戦略としてもはっきりと規定する。そこを解除していいのか、送金ルートを確保させていいのか、それともそれはまだ締め続けていくのかということをやはりはっきりとした形で政策としてこちらも持つ、あるいはアメリカに対してもその辺の腹の決め方をはっきりさせるということが必要なんだろうと思っております。

 そういう点で、さっきの話でいくと、そうした意味での情報もなかなかしっかり伝わっていないような、そんな印象を得たということなんですけれども、もしそれ以上に、アメリカとの間でさっきの基本的な戦略的なところで考え方が一致しているところがあるんだとすれば、答えてください。

○麻生国務大臣 アメリカはやる気なんかありませんよ、基本的には、財務省としては。したがって、そういったものを、偏った情報をもとに公の話をされるとえらい話が込み入りますので、中川先生、きちんと整理していかないといかぬと思いますが、財務省と国務省とはいろいろ意見が違うとは想像はします、私らも双方から聞きますから。ただ、それが本当かどうかは、他国の話ですから。したがって、そういった話の内容を、御党の中でもいろいろ意見が分かれているのと同じように、他国の中の、しかも他国の省の中の話を我々が全部どうのこうのと言う立場にはありません。

 したがいまして、今の段階で、アメリカとしてどうのこうのやろうということにしていることに関して、我々、財務省レベル、外務省レベル、いろいろなルートがありますので、それを知らないわけではありませんけれども、そこのところを今どちらの方でいこうかといえば、我々としては、初期段階の対応が全然なされないまま今の状況を緩めて送金ルートを確保するなどというつもりはありません。

○中川(正)委員 そうすると、さっきのお話を逆に解釈すると、まず初期段階の、いわゆる寧辺の核の廃棄とIAEAの査察、この辺がしっかり入るということ、これが実現できれば、逆に、北朝鮮が送金ルートを確保していくということに対して日米も許容していく、こういう方針だというふうにさっき私は受け取ったんですが、そういうことだ、そのようにさっきの答弁を理解しますが、それでいいんですね。

○麻生国務大臣 IAEAの話、寧辺の話とこの送金ルートの話が直接リンクしているわけではありません。寧辺、IAEAの話は、あれは六者協議の話ですから。六者協議で決めた話ですから。BDAの話というのはアメリカと北朝鮮との直接交渉の話なんであって、こちらと直接関係しているわけではありませんよ。ここのところはよく混線されますけれども。

 ただ、こちら側の方はそういう六者協議とは関係ないということをずっと申し上げておりますが、北朝鮮は、これがなければ、BDAの話が解決しない限りは六者協議に応じないという話になってきたので、そこでアメリカと北朝鮮の直接交渉をやってもらう以外に、おれたちはそれは全然関係ありませんからという話を申し上げたというのがこれまでの背景であります。

○中川(正)委員 いや、話が混乱していると思うんです。さっき最初の答弁で言われたのは、初期段階の条件が整わない限りはアメリカも日本も送金ルートの確保を許すなんというようなことはしませんよ、こういう答弁だったんですよ。それが、さっきの話がまた逆に戻っちゃったんですが、それだけ、恐らくこの話が整理ができていない。

 ということは、送金ルートを確保させるかどうかというところまでしっかりとした洞察といいますか話し合いができていないままに、表面的なというか、とりあえずこの三十億を北朝鮮が言うように送金するというルートを確保していこうということに一生懸命なっているというところで終わっているような気がしまして、そこのところは指摘をしておきたいんですが、恐らく、ずっと詰めていったってさっきのように行ったり来たりの話になると思うので、どうも大臣の答弁を聞いていると。そこのところは基本的に日米の間で詰めておかなきゃいけない話だというふうに思います。それを指摘しておきたいと思います。

 その上で、実はもう一つ詰めておかなきゃいけない話があります。

 というのは、これは新聞での報道なんですけれども、駐ソウル、韓国のアメリカ大使、バーシュボウさんが現地で韓国の国会議員に対して、平和協定が九月までにこの調子でいくと実現するんじゃないか、九月というのはAPECの前に米朝の平和協定、さらに言えば、南と北の間の今の交戦状態というのが、それが休戦になっているわけですが、それが正常化して、戦争状態でなくなるというふうなところまではいけるんじゃないかというふうなコメントをしたりしながら、大分前向きに六カ国協議の中の米朝というものについては進めていこうという意向が国務省の方にはあるんだろうというふうなことがうかがえますよね。

 それはそれでアメリカの意向ですから、その辺をしっかり踏まえた上で、今度は日本の問題としてもう少し詰めていかなきゃいけない問題がある。それは、こういう調子でいくと、日朝の作業部会というのは、一つ拉致の問題がある。今のところ、拉致の問題が進展をするという状況がない限りは、日本は例の五万トンあるいはそれに続く九十五万トン、これについての支援には加わっていかない、さらに、さらなる制裁措置といいますか、そういうものも考えていくというふうな方向性で今交渉を進めているんだというふうに私は理解をしております。

 それでいいんですか。

○麻生国務大臣 過日の六者協議の中において、日本としては、少なくとも、この初期段階の対応というところに至るまでの間で五万トンプラス九十五万トン、合計百万トンの石油というものを初期段階の対応に応じれば出すという話になったというのは今御指摘のあったとおりです。

 しかし、日本としては、うちは拉致、核、ミサイルといって核とミサイルプラス拉致の問題を抱えているので、この問題の進展が見られない限りは、九十五万トン等々の分担、今でいきますと、ドルで計算して、どうでしょう、三億五千、約三百五十億円ぐらいになろうかと思いますが、こういったものに関して応じるつもりはありませんということは、他の四カ国も納得の上でこの話をいたしております。

 したがいまして、日本としてはこの拉致の問題に関しては別問題ということで、五つ作業部会がありましたので、その作業部会の中で日本としては全然別建てでこれをやるということでやって、私どもとしては、そのほか、ハノイでしたかどこだかでもう一回やりましたけれども、なかなかその場合の進展は得られず、向こうから誠意ある対応は得られなかったというのが現状。したがって、日本は九十五万トンのものに対して応じるつもりはないということをこれだけ申し上げて、他の四カ国もそれは十分納得をした上での話になってきております。

 したがいまして、このいわゆる五つの作業部会のうち、拉致以外のほかのところも全く進展していないという形になっておりますので、今、アメリカの駐韓大使の話がありましたけれども、国務省も、ヒル次官補を初めいろいろ希望的観測は、数日で終わる等々の話がこれまでもありましたけれども、そのような結果は出ていないというのがこれまでの経緯でありますので、観測としては伺っておきますということが我々の立場であって、これは、外交をやります者にとりましては、結果が出た上でないと何とも申し上げられるところではない。希望的観測で何らかのお話はこれまでも何度となくありましたけれども、結果はいずれもそうではありませんでしたというのがこれまでの結果だと存じます。

○中川(正)委員 韓国は、大臣級の話し合い、あるいはこれまでの関係を相当緩和しながらやり始めているし、この間、私韓国へ行きましたら、この五万トンの重油についても、バンコ・デルタの状況を見ながらということなんですが、ちゃんと積み荷を用意して港に向いて置いているんだ、こんなようなことを言っておりました。

 そんな中で、このままいくと日本が孤立していくんじゃないかという議論があり、これを一生懸命、いや、そうじゃないんだ、さっきのお話のように、周りの国が理解した上で、九十五万トンについても、拉致問題が進まない限りは、我々も断固これについては応じられないという姿勢でいくんだ、こういうことだと思うんですね。

 そこで、もう一つはっきりさせておかなきゃいけないと思うのは、拉致問題に進展がなければということなんですが、一つは、例えば韓国が今やっているように、向こうが応じなければ何もならないんですが、バンコ・デルタの問題があっても、韓国と北朝鮮の間の話し合いというのは進めているわけです、いわゆる作業部会的に。日本も、拉致問題を中心にした、向こうは国交正常化までという話なんですが、この部会というのは進めていくこともできると思うんですが、なぜ進めないんですか。あるいは進めようという働きかけというのはこれまでしたことはあるんですか。

○麻生国務大臣 それは中川先生、何度となくあります。応じてこないのは向こうですから。したがって、私ども、今孤立のお話がありましたけれども、孤立しているのは向こうであって、こちらだと思ったことはございません。

○中川(正)委員 同時に、日本がそういう立場であるとすればそれは尊重しようじゃないか、こう言ってくれているアメリカや中国、あるいは韓国についても、私、ずっと回ってきた中でいくと、何とか拉致問題も知恵を出して解決していくというような方向を持ちながら、日本も、核の問題を中心にして初期段階のプロセスに入っていくという前提の中で参加をしてくる、いわゆる支援に対しても参加をしてくる、あるいは同じ歩調の中で、特にアメリカとの歩調、あるいは韓国との歩調を合わせていくという弾力的な政策をとってほしいというのは、政策担当者から本音の話としてさまざまに出てくる、これも事実だと思うんですよ。それだけに、日本として、今の段階でやはり拉致問題に進展がなければという、拉致問題に進展という中身について具体的に何を意味するのかということ、これはさまざまなレベルがあるんだと思うんです、進展の中の。

 日本はどの段階の話をまず第一段階として進展と考えているのかということ、これはやはりもう少しはっきりさせておく方が、これからの連携を特に大切にしていかなければならないということは、北朝鮮はいつもその連携を切り刻んでくるわけですから、お互い反発し合いながら六カ国協議の歩調を乱させる、そういう戦略にくるわけですから、それに対してもある程度のメッセージは発しておく必要があるんだろうと思うんです。これは国内向けにもやはりそういうことだというふうに思うんですが、そこのところはどういうことですか。

○麻生国務大臣 これは中川先生、進展の話につきましては、いろいろな委員会の答弁でも何度となくお答えをしているところでもありますが、今、御存じのように、先方側の方は、拉致問題は解決済みというのが向こうの答えですから、したがって、拉致問題はないというのが向こうの立場であります。私どもは拉致問題はあると言っておるのであって、もう全く話が違っておりますので、拉致問題というものがまずあるかないかですから、あるという前提に立って、少なくとも調査の協力はしてもらわないかぬ。それでもう、少なくとも、ないからあるに変わるだけでも進展ということになろうと存じます。基本的なところですよ。

 解決の話というのは、また全然別の違う話なのであって、少なくとも、生存者の引き渡し、問題の真相解明、そして犯人の引き渡し、これをもって解決ということを申し上げているのであって、少なくとも、向こう側にその種の話に誠意ある対応というのが最低限出てこない限りは、進展とはなかなか言いがたい。一番基本的なところだと存じます。

○中川(正)委員 ということは、日朝の作業部会が開かれて、そのテーブルで、北朝鮮も拉致問題をテーマとして話し合っていこうということでテーブルに着いたら、その時点で日本はこの九十五万トンの支援ということについても、その中へ向いて入っていこう、さっきの答弁でいくとこういうふうに受け取れるわけです。

 もう一つ言えば、これはさっき大臣が言われたとおり、四段階ぐらいあると思うんですよ。一つは、さっきの話で、日朝の作業部会が開かれて拉致問題そのものが交渉の対象になったとき。それから二番目は、真相解明について話し合いが進んでいく中で、何があったのか、それから、拉致被害者というのは、向こうの調査を始めた中でどういう実態になっていたのか、そういう真相解明についてのテーマとそのロードマップみたいなもの、こんな形で真実というのをお互いが共通認識していきましょうというそんなものの合意ができたとき、これが二番目の段階だと思うんです。三番目の段階でいくと、具体的に拉致被害者の新たな消息というのが一でも判明をして、日本もそのことについてしっかり認識ができたとき。それから四番目は、その人たちが帰ってくるとき。こういう形で四段階ぐらいに分かれるのかなと私も思っておるんです。

 そういう意味で、さっきの大臣の答弁は、一段階目で、まずは六カ国協議の共通テーブルに帰ろう、共通交渉の流れに戻ろうというふうな意思表明だというふうに私は理解したんですよね。最終目標は四段階まで行かなきゃいけない、こういうことでしょう、大臣が言われたのは。

    〔委員長退席、山中委員長代理着席〕

○麻生国務大臣 進展の定義のお話なんだと思いますが、進展というものに関して言わせていただければ、基本的には、拉致問題は既に解決済みという話から、拉致問題があるという前提に立つというのがまず大前提だと思います。

 それで、それを認めたから、はい五万トン、はい九十五万トン、そんな話ではないのであって、少なくとも、具体的に認めて、その上でどう協力してくれるんですかといったときには、勝手に入って調べてみてください、ではこちらに捜査権をくれるんですか、そんなことはないわけですから。

 そうすると、そういった意味では、私どもとしては、拉致問題は未解決であるということを認めた上で、どのような具体的行動が向こうによって示されるかによって判断するということになろうと存じます。

○中川(正)委員 示されるかによって判断するという言葉は、それが示されれば、我々は支援というアクションというか、次の我々の判断にも入っていく、そういう意味なんですね。

○麻生国務大臣 支援をどのような形でするか、どうするかにつきましては、向こうのいわゆる進展の度合い、具体的な行動次第によるということだと存じます。

○中川(正)委員 ということは、具体的には、さっきの私のレベルからいくと、第二レベルですね。その中身について、真相解明について向こうが調べたものがどれだけ誠意があったか、それが本当に真実であるのか、あるいはいつまでに何を調べてくるかということをはっきりさせるか、そういうことが出てきた時点で、そのレベルで判断をする、こういうことですね。

○麻生国務大臣 極めて漠然としておりますので、ちょっと今の段階でそれが何を意味するかがよくわからないのでうかつなことは申し上げられませんけれども、少なくとも、それは一つの、今の全く解決済みとは態度が違った形になってきたということだと存じますので。

 その上、それをもって、それがどれくらいになってきたというのは、具体的な話にならないとちょっと何とも言えませんけれども、少なくとも、今の解決済みという態度から二段階までという言葉を使われましたが、その二段階ということになるのであれば、それは明らかに今の状況とはかなり違ってきたというように我々も判断し得る材料がいただければと存じます。

○中川(正)委員 少なくともそこでわかったのは、具体的に拉致被害者、新しい被害者というのが出てきて、その人たちが帰ってくる、日本が最終的に求めている、そういうことですが、そこまで行くということではなくて、その中間段階で、交渉過程の中で判断をしていくということ、これを答えて、日本の方針としてはっきりさせたということだと思いますので、そのように理解をしたいというふうに思います。

 次に、では、北朝鮮の状況というのがどんなふうに今なっているのかということですね。

 これは、日本やアメリカは、特にアメリカなんかも、これまで人道支援をやっていたものに対してとめたということでもありますし、日本も、これは私自身が法案の準備をして提出をした経緯があるんですが、船舶の出入りを全部とめて、実質的に貿易はできませんよ、あと金融制裁等々も含めた形で将来考えていきますよ、そういう状況になっているんですけれども、そういうものが現実どれだけきいてきて、北朝鮮の状況というのはどうなっているんだというふうに理解をされていますか。

○麻生国務大臣 北朝鮮というところは、多分、世界じゅうで最もよく報道管制がしかれている国の一つだと存じますので、ここが一番なかなか外から見えにくいといえば、この国が一番見えにくいのではないかと思っております。

 その上で、私どもとして、いろいろな情報等々をもとにして申し上げさせていただければ、少なくとも、すべての重要決定には金正日という人が絡んできている。この人が絡まないと答えは出せない。したがって、末端の話という話はなかなか上に上がっていっているという保証がないというような感じがいたしております、交渉の過程を見ながら。

 そして、体制としては、いわゆる先軍政治というものをずっととっておりますので、その先軍政治に立ちますと、軍部の力が極めて大きいということもはっきりしておるんだと思っております。

 また、社会情勢等は、先ほど申し上げましたように、よく見えてきているわけではありませんけれども、どう考えても、写っている写真等々を見ている限りにおいては、明らかに栄養状態は余りよろしい状況にあるとは考えられぬと思って、兵隊の体形等々から逆算して、間違いなく昔に比べて兵隊の体形が小さくなってきている等々がよく言われるところでもあります。そういった意味では、状況というものは、社会情勢、経済情勢ともに厳しいと存じます。

 ちなみに、北朝鮮のGDPというのが、表に出ている数字で調べてみますと、少なくとも和歌山県よりは小さい、日本でいきますと。そうすると、和歌山県というのは日本の何番目ぐらいですかね、下から数えた方が早いと思いますけれども、ちょっと和歌山県選出の国会議員はここにはいませんね、いらっしゃらないと思いますが、かなり小さな県で、貧しいと思いますよ、計算からして。二千何百万の人口がありながら和歌山県のGDPといいましたら、かなりちょっとしんどいんじゃないでしょうかね。

 そういったようなことが想像できますので、私どもとしては、日本と比較してみますと、和歌山県ですから、多分二百三十分の一とか二百四十分の一ぐらいの経済ですから、それは情勢としては厳しいということが私どもの言えるところだと思います。

○中川(正)委員 非常に漠とした話で、それだけ日本の中に実際の北朝鮮の情報が入っていない、あるいは恐らく日本政府もそういう努力をしていないんじゃないか。これは、私自身がいろいろな活動をしていく中で感じているところなんで、しっかりつかんでいく必要があるんだろうと思います。

 これは簡単な資料ですが、私、手元に配付をさせていただいたものがあります。

 これは、出どころはこの本なんですよ。これはつい最近出た本で、ハガードというのとノーランドという経済学者ですが、アメリカの議会の中でもしょっちゅう証言をしながら今の北朝鮮の状況というのを説明をしている人なんですけれども、その中に象徴的なデータが出ていましたので、ちょっととってきました。

 まず一ページ目は、日本の貿易額です。これはIMFだとかKIEPのデータからとってきているものなんですが、黒い濃い方が北朝鮮から日本への輸入、薄い方が輸出という形なんですが、二〇〇五年までにこんな形で下がってきました。今はもっと下がっているんだろうと思います。

 それから、二ページ目なんですが、これは逆に、韓国から北朝鮮への関係なんですけれども、韓国の場合は、北朝鮮からの輸入というのが二〇〇五年にかけて非常に伸びてきています。これはさらに伸びるんだというふうに思うんですね。開城の工業団地や何かを含めて、下請で、韓国の企業から北朝鮮で物をつくらせて、韓国に戻している、こういうことがあるんだろうと思うんです。

 このノーランドが指摘していたのは、次の中国と比べると、三番目が中国なんですが、中国の場合は、単位が違うんですね。日本円ですると一千三百億、どんどんまだ伸びていると思うんですが、そういう単位で貿易が伸びています。中国の場合は民間貿易で額が伸びているということなんですが、韓国の場合は民間貿易よりも政府による支援活動、援助という形で伸びている、ここに違いがあるんですけれども、中国にしたって韓国にしたって、非常に関係が強いものになってきている、特に経済分野での関係が強いものになってきているということです。

 それに比べて、四番目、ナンバー四はロシアなんですが、ロシアの場合は、一九九二年を境にして、もうほとんど何もないという状況まで下がってきているということであります。

 ちょっと時間が足りなくなってきたので。

 そんな状況を考えていったときに、韓国だとか中国が考えていること、これはやはり、体制崩壊に対して非常に危機感を持っている。そんな中で、経済分野でできるところはやっていこうということを注意深く考えていきながら、その対応を既に始めているというふうに理解していかなければならないんだろうというふうに私は思うんです。そういうことを指摘しておきたい。

 これに対していろいろ聞きたかったんですけれども、一番大事なところがもう一つあるものですから、時間がなくなったので、この問題についてはまた後にします。

 しかし、これだけ指摘をしておきたいというふうに思うんです。その感覚を、中国や韓国の現実を頭に置いておかないと、日本の制裁措置も空回りといいますか空振りになってしまう。これはもうあちこちで指摘をされているところであります。それだけに、ちょっと違った形で日本の北朝鮮に対する戦略もつくり上げていかなきゃいけないんじゃないかな。ただ、拉致問題を解決するための知恵、これをもうちょっと出さなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。

 その上で、一つ、これは私のテーマでもあるんですが、やっていかなきゃいけないと思うのは、この拉致問題を、日本だけが特化したような形で交渉するんじゃなくて、ということは、二国間協議の交渉じゃなくて、これは前の質問の中で、いや、日本も努力していますよ、国連にも拉致という言葉が認知されましたよ、アメリカでも取り上げられるようになりましたよということなんですが、実際は、これは取り上げられるということではなくて、作業部会の中に韓国も入ってこなきゃいけないんですよ、拉致があるんだから。

 韓国も拉致がある。あと十二カ国あるんですよ。韓国が入ってこようと思ったら、拉致だけの問題じゃなくて、これは脱北者の問題。韓国は今、社会現象としてこの脱北者の問題を抱えているわけですから、そういう問題も含める、あるいは北朝鮮の中の強制収容所の問題も含めるということ。こんなことも包含しながら、拉致ということをとらえていかなきゃいけないということ。それで、作業部会の中に多国間の交渉テーブルとして引き込むという、そんな戦略というのが必要じゃないかということ。これをずっとかねがね主張してきました。

 その上で、実は北朝鮮の人権法というのがありまして、そういう思いで、日本にも、もう今百三十人を超えてきていると思うんですが、脱北者の人たちが来ております。この人たちの受け入れについても、同じ人権という範疇の中で、韓国あるいはアメリカの問題意識とも連携していくために、この人権法の中に拉致と同時に入れていこうということで、自民党の皆さんにも理解をしていただいてこれを入れ込んだという経緯がありました。

 そんな中で、改めて聞きたいんですけれども、入ってきた人たちのケア、これが問題でして、脱北者だけじゃなくて日本人妻もそうなんですが、戦略的に北朝鮮はこの人たちに電話をかけてきまして、あなたが逃げたために家族がすっかり迷惑をしているんだ、このままだととんでもないからといって、金をくれ、物をくれという話になってきて、あげくの果てには帰ってこいということになって、この間、平島筆子さんというのが北朝鮮に戻っていってしまって、そのときのキャンペーンで、日本にだまされた、こういう形で発表しながら戻っていくという、そんなことにもなってきています。

 だから、この戻ってきた人たちを孤立させてはだめだ。その中で、特に一番最初の、頭のところで支援をしなければだめだということで、この項目の中にも、第六条で、国際関係との連携だとか、あるいは支援措置、六条の二ですね、政府は脱北者の保護及び支援に関し施策を講ずるように努めるということと、それから三ですね、政府は第一項に定める民間団体に対し、必要に応じ、情報の提供、財政上の配慮その他の支援を行う必要があるということをこの中に書き込んだというのは、そういう意図があるんです。

 これに対して、今、この施策がどこまで進んでいるか、どういう体制でこれがなされているかということを、これは内閣の方かな。まず、本当に窓口も決まっていないんです、このことに関してずっと調べていったら。だから、そのことも林さんはしっかり理解をしてもらいたいと思うし、そういう背景があるんだということをわかってもらうために、実は、きょう来ていただいて一遍答弁をいただけないかというお願いをしたんです。

 そのことについて、恐らく事務方からはいろいろ聞いてもらっていると思うんですが、ここまでの話にはなっていない、今見ていると。やっと各省庁の連携ができたという程度の話なんですが、これは戦略的に取り組むということが必要なのではないかと思うんですが、答弁してみてください。

○林副大臣 お答えいたします。

 拉致問題担当の大臣が塩崎官房長官でございます。私はその補佐する副大臣ということでございますが、中川先生は、いろいろな会議でも御一緒しておりますし、今私がなぜここに担当外でありながら呼ばれたかという御趣旨も御説明をいただいたところでございますので、現況を説明した上でお答えしたいと思います。

 北朝鮮人権法にありますように、脱北者の保護、支援に関しては、従来から、この人権法の成立前から、特に我が国の在外公館に対する支援の要請があった場合、人道上の配慮や関係者の安全、脱北者が所在する国との関係等を総合的に勘案して対応してきた。

 この人権法に、今委員が御指摘になったようにこの規定ぶりがございますので、この趣旨を踏まえて、さらにどのような施策を講ずるべきかについて、まさに御指摘があったように、関係省庁間、厚労省とか法務省とか外務省ということになろうかと思いますが、検討を行ってきておりまして、特に、今まさに先生の御指摘のあった、もう既に本邦に受け入れた脱北者に関しては、緊密な連携のもとに、より円滑かつ迅速に定着支援ということでございますから、定着するということを目玉にいたしまして施策を推進していこうということは、既に関係省庁間で確認をしておるということでございます。

 具体的に、在外公館における健康診査、医療供与、それから本邦帰国または入国後の生活保護受給等の各種支援に向けた手配、また各種相談への対応などの支援を行う、こういうことをやっているということでございます。

○中川(正)委員 もう時間が来ましたので、あとお願いと指摘だけしておきたいんですが、私も、これに携わったのは、あのハンミちゃん事件で、瀋陽で脱北者が逃げ込んだとき以来なんですけれども、韓国の国会議員が、特にこれも野党のハンナラの方が思いが強いんですが、非常に熱心にやっていまして、それで連携しながら国際議員連盟のような形態をつくり上げてきています。

 そんな中で一つ感じたのは、やはり脱北者の中に情報が相当入っているんですよ。さっきの本の中にも書かれてあるように、この情報というのを生かしながらこちらの戦略をつくっているということ。それに比べると、私ども韓国で大分、特に高官ですね、高いレベルから逃げてきた人たちのインタビューをやったんですが、日本の方からは聞かれたことがないと。アメリカはうるさいほど、話せ、話せ、こう言ってくるけれども、日本からはそんな話は聞かれたことがない、こんなことを言っているということを一つ指摘しておきたいと思います。

 それからもう一つは、さっき申し上げたように、韓国でも、大臣言われたとおり、色合い、議論が分かれているんです。アメリカでもいろいろな色合いが分かれている。そんな中で、この脱北者や、それから拉致の問題を中心に、日本と連携をしていってもいいよという集団がやはり韓国の中にもあるんです。

 であって、今回、この八月に議員連盟の総会をやる。アメリカからも来る、ヨーロッパからも来るんですが、そのときに、我々が言っているのは、拉致があったという十二カ国の議員も、そこから代表してこの会議に入って、一緒にアピールしながら北朝鮮に対して対峙をしていこうというふうな機運もつくり上げられてきている。

 そんなこともぜひ念頭に置きながら、いろいろなチャネル、いろいろな角度でこの問題を解決していくという努力、これが必要だと思います。そのことを指摘しながら、質問を終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。
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