三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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内閣府特命担当大臣

記者会見

平成24年10月1日(月)

1.発言要旨

まず、皆さんに改めてお礼を申し上げたい、感謝を申し上げたいと思います。

 ただいま辞表の取りまとめがあり、新しい内閣への改造を前提にして、私たち全てが辞表を提出いたしました。

 私の場合は、恐らく今の大臣ポストを辞して、ポストから退いて、新しい仕事にかかっていくということになると思います。何になるかというのは、まだ決定されておりませんで、これから一両日中に決まってくると思います。いずれにしても、これまで防災を始めそれぞれの分野で皆さんに御協力をいただいて、でき得る限り私たちのプロジェクト、仕事を国民の皆さんにしっかり理解をしていただいて、御協力いただきながら進めていくことに関して、本当にお世話になりましたことに改めて心からお礼を申し上げます。

 いずれにしても、皆さんからまた質問で聞かれると思いますので、ちょっと総括的な話をさせていただきたいと思います。

 それぞれの分野で私自身が取り組んできた、あるいは取り組みつつある主立ったものを御紹介をして、今度新しくポストに就かれる大臣に関しては、しっかり引き継いでいただきながら、更にその政策を進めていく、あるいは深めていくことで努力をしたいと思うのですが、その主立ったものをお話ししたいと思います。

 まず、防災の分野なのですが、南海トラフや首都直下、あるいはまた火山という分野もありますけれども、そうした取組を東日本の大震災を受けて、徹底的に検証しながら見直していくという作業、これが私に課せられた防災での最大の課題であったと思います。

 そんな中で、具体的に是非進めていきたいということで、緒についたもの、あるいは既に予算の中に組み込みながら動かしているものがありますので、幾つか御紹介をしたいと思います。

 一つは、地方自治体と国の連携をつくっていくという意味から、地方自治体、それから関連の民間機関、そして国があわせた形で防災に関する広域の協議会、防災に関連する広域協議会をつくっていくということ、これを一つの目標としてそれぞれ準備を始めているわけですけれども、形は今できているのですけれども、その中身について更に充実させていく努力をしていきたいということです。

 これは、地方自治体が国の防災計画の中に参加をして、国が一方的に政策をつくり上げていくのではなくて、現場からの声を反映させながら、一緒につくり上げていく場にしていきたいということと、それから、それを更に進めて、訓練という形で、これまでは県や市の単位の訓練だったのですが、それをブロック単位、特に南海トラフでいきますと、六つぐらいのブロックで、将来は地方の拠点本部にしていけるような、そんな流れの中で、拠点をつくりながら訓練をそこでしていくことを前提に、この協議会は今走り始めておりまして、更にこれを充実してまいりたいと思っています。

 それから、もう一つは地方自治体、あるいは国自体もそうかもしれませんが、人材を育成していくということ、これが大切だというふうに思いました。そこで、危機対応への専門家を育成するために、それぞれまずは県の単位、それからできれば民間も含めたということがあるかと思いますが、国の内閣府の方に人を出していただいて、1年間、あるいは2年間の長期に亘って我々に参画をしていただくと同時に、特別の教育プログラムというのを打って、様々な大学等専門機関の協力も得ながら、あるいは自衛隊や消防等の危機対応に関連した専門機関の協力も得ながら、教育プログラムというのをつくって、しっかりとした対応ができる人材をつくり上げていく、こういうプロジェクトを走らせていきたいと思います。

 来年度の予算要求の中にもそれを組み込んで、実現をしていく準備が整っておりまして、そんな中からもう一つは全国の人のネットワークという専門家のネットワークをつくっていくことにも貢献をしていくのだろうと思っています。顔見知りが全国に散らばっているということになって、いざとなったときにそうした連携がとれて、地方だけではなくて、横の連携につながっていくような形にもこれが貢献していくだろうと思います。

 それから、もう一つは情報でありますが、これはGISに取り組んでいたのですけれども、今の状況ではなかなかしっかりしたものになっていかないということがよく分かりましたので、各省庁含めて、あるいは地方自治体含めて、あるいは民間もそうですけれども、フォーマットなどを共通にしながら、自動的に地図上の情報が共有化されるような、そしてまたそれが各層に及んで、様々に必要な情報がそこから取り出せるような、そういうトータルシステムをつくっていくということで、この体制に対してどのように協議会をつくっていくか、あるいはまたそれに参加をしていただくことになると、相当広い範囲でそうしたシステムをつくっていかなければいけないので、ここのスタートを是非やっていただきたいということで、事務方の方でその体制が今組まれつつあるところであります。

 それから、国際的にはいろいろなリスク管理があるのですけれども、大規模災害になると、国が危機的な状況に置かれる、特に金融とか、あるいは国債等々を含めたもの、財政的な分野、こういうものが問われるわけですけれども、これまでの検証の中では、そこまでまだいってないということも分かってきましたので、できる限り日本から世界の枠組みの中で、こうした自然災害に対して、リスクをそれぞれ共有できる、ある意味言いかえればリスクが分散できるような、そういう国際的なシステムをつくっていこうということ、こういう観点が必要だという意味で、財務省や金融庁も含めて、あるいは日銀もそうですが、検討を一緒にしていこうということでおります。

 今度、財務省が音頭を取って、防災と開発に関する仙台会合という、財務相会議になるわけですけれども、集まりますので、そのときにそうした提案を含めて、国際的なこの防災の危機管理に対する枠組みを提案をする予定でおりました。引き続きやっていただければと、それをもって次の大臣がやってくれると思っていますけれども、そういうことであります。

 そのほか首都のバックアップ機能の中で、東京だけということ、あるいは関東地区だけということでなくて、全国的には首都直下に対してのバックアップをつくっていかなければいけないと。これは政治的にまとめていく課題もあるのですけれども、こういうところでもバックアップをつくっていこうということであるとか、あるいは南海トラフの場合は、法律が今2本に分かれているわけですけれども、これを一本化をして、基本的な対応をそれによって国としてはっきりしていくということであるとか、そんなことも含めて、課題としてというよりも、方向性もしっかり決めて、皆さん動かしておっていただくというところまで来ていますので、この完成を是非していただきたいと思っております。

 それから、男女共同参画なのですが、これは「なでしこ大作戦」を具体的につくりまして、「見える化」であるとか、あるいは公共調達を通じた女性の活躍であるとか、ポジティブ・アクションであるとかを具体的なものにしていくということで、今その具体案をつくるべく検討会ができましたので、是非そこまでしっかり持っていっていただきたいと思っています。

 それから、新しい公共の分野なのですが、これはNPO税制ができて、それぞれNPOが寄附金を前提にしながら、自立をした運営ができるような枠組みができてきたのですけれども、更に具体的にその税制等を使って、公共的なお金、税からの補助金とか、あるいは地方公共団体からの委託事業だけで進めるのではなくて、自分たちのイニシアティブでプロジェクトをつくって、そのプロジェクトに対して寄附金を求めながら、その中身について自立をしていく枠組み、これを是非進めてもらいたいということで、そのことに対する体制をこまめにつくり上げていくことを目標にしています。

 さしずめ東日本の震災地域にこまめに国の方から入っていただいていまして、まずはその地域から具体的なモデルをしっかりつくっていって、NPOが認定NPOになるという、そういうインセンティブは、言いかえれば公の税金でやっていくことから、更に成長して、民間の寄附金を含めて、あるいはソーシャルビジネスというようなビジネスモデルをつくって自立をしていくというような形で、是非頑張ってもらいたいということを今具体的に広めています。

 それから、外国人の関連なのですけれども、これまで出稼ぎのブラジル人を中心にした外国人、あるいは研修制度、あるいはまた第三国定住難民、また定住外国人に対しての多文化共生社会のつくり方、それぞれ分野が分かれていたと言いますか、細分化されていたのですけれども、私の思いの中で、これを統一的に政策としてまとめようということで、総合的な政策調整をやりました。

 それに基づいて、中間的整理ができましたので、これは各省庁参加をした形での中間報告であり、これをもとに更に具体的な政策としてしっかりまとめていくということ、あるいは進めていくということを是非やってもらいたいと思っております。

 それから、自殺などを含めた社会的包摂です。自殺対策については大綱の見直しが今回ありました。参加型で見直しをしていただいたわけでありますが、そのような中で具体的な施策としては、是非ワンストップのサポートセンターを、これは各省庁と連携しながら、それぞれ各県に少なくとも一つ、大都市についてはそれぞれ必要なところに設置をしていくという、そういう具体的な進め方をしていこうということで、これについてもそれぞれ省庁と連携しながら進めていっていただきます。

 それから、その他、公務員改革4法案、それから独立行政法人改革法案、それぞれ課題としてあったのですが、これは本来であれば与野党でしっかり議論をして、法案として成立をさせるところまでいかなければならなかったのですけれども、公務員法案については、衆議院どまりになってしまいました。継続ということ。あるいは行革法案も非常に大事な法案なのですけれども、まだ十分な審議ができる状況に入ってないということでとまっておりました。

 これについては、非常に遺憾に思っておりますし、引き続き国会の中での努力をしっかりしていくことが必要だと思います。

 あとはインフルエンザなのですが、これについては、おかげでこれは法案が成立をしたのですけれども、その中身、政省令の議論に今なっています。

 私は、ポイントは専門家の判断と、それから政治がやっていかなければならない部分、これを事前にこの政省令の中でしっかり整理をして、ちょうど原子力もそうだったのですが、そこのところが混乱をすると、結局国民にとってどこに従っていったらいいのかというのが見えなくなってきますから、そこのところをこのインフルエンザも同じような構造があるので、専門家の責任を持ってやっていただく部分と、それから政治が責任を持ってやっていく分、これをしっかり区別しながら、役割分担をしながら、協力をしながら進めていくという体制を中身でつくっていくということだと思いました。

 したがって、そういう形で今議論はスタートしておりまして、専門家の皆さんの協力を仰いでやっております。

 その他テーマとしては、私の場合は尽きないぐらいに幅広くあるのですけれども、主立ったところのお話を申し上げると、先程のようなことで、その整理をしていきたいというふうに思います。

 いずれにしても動き始めたところ、方向性がはっきりこうして決まってきたところ、それぞれの部局でこれは真摯にとらえていただいて、具体的に進めていくということで、そういう体制になっていますので、皆さんが理解をしていただいて、協力して組み立てていただいていることに感謝を申し上げたいし、次の大臣についても、そうした思いをしっかり伝えていきながら、継承しながら、完成をさせていってもらいたいと思っております。

 以上です。


2.質疑応答

(問)朝日新聞、岡本です。結局退任ということで、防災大臣で言えば7カ月余りの任期になりました。先週、私が伺ったときも、大臣は道半ばだというふうにおっしゃっていましたし、今も大臣の冒頭の御発言でも、いろいろなやり残したことがたくさんあるように私は聞こえたんですが、大臣として交代すること、今までの7カ月余りの任期でやっていたことに対して満足はされているんですか。

(答)相当新しい流れを注入できたと思っていますし、官僚の皆さんも同じような問題意識で、問題提起をしたらしっかりこたえていただいて、それに対して組み立てるということで、本当に情熱を持って仕事に取り組んでいただいたので、感謝をしております。ありがたいことだと思っています。
 どこまでいっても、これをやりたい、あれをやりたいということは際限なく出てくると思うので、いずれにしてもこれを継続させていく、人が代わっても、その方向性をしっかり見極めながら継続をさせていく体制を内閣としてつくっていくことが大事だと思いますので、私は外に出ますけれども、今度は党の方からサポートをしていくということで、引き続き頑張っていきたいと思っております。

(問)なぜ短い任期での交代になったと大臣は分析されますか。

(答)政治状況ですよね。ずっとやっていて、改めてこんなことかなと思っているのは、内閣というのはチームプレーで、サッカーの試合をしているようなものですよね。ゲーム一つをチームとして勝つと、だからチームとしての懸案というのを解決していく。そのときには、内閣の中の政策を進めていくための条件は、内閣の外にいろいろあるわけで、特に野党の理解を得ていかなければいけないということがあるわけで、そういうことを考えていくと、トータルでそのとき、そのときの課題で一番いい体制、その状況にふさわしいチームのメンバーで戦うことになるのだろうと思うのですね。
 だから、こういう国会あるいはそれぞれの政党間のせめぎ合いが逼迫している状況ですから、それに対応する形というと、それぞれのテーマでその都度、その都度メンバーを入れ代えながら、最高の試合をしていくことになっていくのだろうと思います。
 もっとねじれがなくて、安定した政権の中で運営をしていくことになっていけば、またそれはそれでもっとそれぞれの大臣が長い期間で仕事をしていくだろうと思いますけれども、こういう状況の中で、総理も最善の策に持っていきたいということだと思います。

(問)中川大臣では最善ではなかったんですか。

(答)状況が変わってきているということですね。それぞれが私だから最善とか最善でないというのではなくて、内閣全体のチームとして最善の状況をつくるには、どういう選手の組み合わせをするかということですよね。そこは監督に任せていくということでないと、ゲームは進まないですから、そういうことです。

(問)総理から解任に当たって、理由等々の何かお言葉はあったんですか。

(答)特にないですね。それぞれ今回かわっていくメンバーも、自分なりにその辺ちゃんと納得しながら、考えながらいくのだと思います。

(問)朝日新聞の赤井と申します。大臣からは、今回退任されるわけですけれども、三重県ということで、南海トラフの対象地域の一つでもあると思うんですが、今後防災にどういうふうなスタンスで関わっていかれるのかとか、今考えていらっしゃるものがあれば、教えていただきたいと思います。

(答)今度は党の方で、政策をまとめていくということで頑張っていきたいと思うのですが、政治的にも整理をしていかなければならない課題というのはあるのですよね。そういうものを党が先行してやっていくことによって、この内閣の中で政策を立案していくときに、ダイナミズムが出るんですよ。そういう外からのサポートがあって、世論がちゃんとそれに理解してくれて、政策というのはしっかり思い切った形でできるので、そういうことがよく内閣の中に入って分かりましたので、今度は党の方でそうした政策の取りまとめをして、内閣をバックアップしていくということで頑張っていきたいと思います。

(問)NHKの喜久山です。今日の臨時閣議の中では、総理からどんな御発言があったのでしょうか。

(答)ありがとうございました、御苦労さまでしたということです。その中身はまた発表されるのではないかな。いろいろな懸案をそれぞれがよく頑張っていただいたということのお礼と、御苦労さまでしたということです。

(問)共同通信の堀口といいます。先程いろいろ今回の成果などについて触れていただきましたけれども、その中で一番印象的、自分の中で思い出深いものを一つ挙げていただけますでしょうか。

(答)みんなそれぞれ思い出深いのですけれども、一つは防災というテーマでありましたが、これは本当に東日本の震災を受けた中での新しい日本の防災計画をつくっていくということで、それに前提になるようなシミュレーションを発表していかなければならなかったということで、そこで感じたのは、こちらから一方的に数字だけ出して、頑張りなさいよというような話では、現場はもたないのだということ。その数字を前提にして、国家としてどういう方向性を持って防災計画をつくっていくか、つくっていく過程で皆さんと一緒にやりましょうと、参加してくださいということで、地方自治体に参加をしてもらう仕組み、ステージをつくっていって、それぞれ政策としてまとめていくという、これが大事なんだなと感じまして、そういう意味ではさっき申し上げた協議会とか、それから地方自治体の職員が国に直接入っていって、訓練、あるいは専門家として育っていくというトレーニングの場所も提供して、これも一緒にできれば政策の企画立案まで参加をしていくと、それぞれの地方へ帰っていって、そういう目から自分たちの防災計画を見てつくっていくということ、そんなことが大事だと感じたものですから、さっきのようなことで、協議会と訓練をしていくシステムをつくるべしということで進めていくと、これが一つかなと思います。

(問)最高のメンバーで、そのとき、そのときの事情に合わせて政権を運営していく内閣としていくというとこだと思うんですけれども、大臣がかわることで、引き継ぎはするとしても、新しく担当になる大臣はまた一から勉強し直さなければいけないという期間、その時間がもったいないと思うんですけれども、自分は続けていたほうがいいのではないかというお気持ちはあるのですか。

(答)我々どういうポストに就いても、全くの素人ではないのですよね。議員として問題意識を持ちながら、それに対応してきたわけですから。だから、確かにもう一回現状の説明をして、その上で政策を考えていくという、その時間はとらなければいけないのですけれども、それだけのことではないかなと、そんなにそれが支障になるとか、政策が大変ばらばらになっていくとかというようなことはないと思います。
 同時に、内閣の外でも、皆さん感じていただいていると思うのですが、党の中でまとめてくる計画、あるいは提言というものは、政策の中にしっかり生かされているということでありますので、肝心なところをまた党で引き続き私もやっていくということですから、そこは流れとしてはしっかり整合性がとれていると思います。

(問)NHK、加藤です。まず、防災に関してちょっとお伺いしたいんですけれども、これまでの在任中、どういうことを念頭にお仕事に携わってきていらっしゃるんでしょうか、どんな思いをいつも強く持っていらっしゃったのでしょうか。

(答)防災については、まず現場へ行く、現場でそれこそ被災した人たち、あるいは防災ということで取り組んでいる市町村の関係者、あるいは消防、警察等、話を聞く、現地を見る、そこは一つです。
 それからもう一つは、内閣府というのは、本来はここで政策立案したものが各省庁を動かしていくというしっかりとした主体性とリーダーシップをとれる位置付けなのですよね。しかし、こちらがしっかり発想をつくって動かしていかないと、ともすると各省庁で様々に防災関係も動いていますから、そこから集まってきたものをホチキスして、トータルで防災というのはこうですよという話になってしまいがちなので、そうではないのだと、戦略的にこれは内閣府が中心になってその戦略をつくっていって、各省庁を動かす、これは大事なことだと思います。
 将来は、それが防災庁というのかな、あるいは危機管理庁というのか、一つの庁となって、しっかりとした安心感に結びついて、それから復興ということについても、今東日本に関連した復興庁ができていますけれども、あれを発展的に将来はベースにしながら、危機管理と復興ということを主体にした庁をつくっていくという方向性を持っていくべきだと思っています。
 そういう礎と言いますか、そういうもとを今の内閣府の活動の中で防災部局の中でつくっていくということが大事だと心がけたつもりです。

(問)その中で、様々検討会がたくさん立ち上がって、今直ぐ思い出せないぐらいたくさんあると思うんですけれども、まだ終わってないものも幾つかありますよね。この辺りについて、どのようにお考えでしょうか。

(答)大体東日本大震災が起こってから2年ぐらいかけて、全体の防災計画の見直しを完了させていこうというスケジュールで進んできたということでありますので、今のところみんな頑張って、そういうふうにまとめていけるように、各専門部会というのが動いていると思います。

(問)先程のお話の中で、サッカーのチームのようにというお話がありました。大臣が交代するということは、例えば監督が交代するに等しいと思うんですけれども、監督がかわったら、当然戦術とか戦略とか変っていくと思うんですけれども、大臣は当初から当然日本を考えていった場合に、国際的な信用とかを高めるためには防災をきっちりやっていかなければいけないという話があって、それ自身は例えば数カ月とかでできるようなものではないと思うんですけれども、たかだか1年半で3人交代するということについて率直にどのようにお考えでしょうか、あるいは今後どういったことをしなければいけないとお考えでしょうか。

(答)大臣というのは、例えば具体的な防災の法案とか、大綱とかというのを見直していく中で、特に防災という分野で専門的な知見が専門家と比べてそれなりにあるかというと、謙虚にそこは自分の位置というのをつくらないといけないと思います。勉強しながらその分野にいて、しっかりベーシックな知見はそろえるということは大事ですけれども、それ以上に知見があるかというと、そうではないということを踏まえて考えてきました。
 だから、そういう意味では専門家に集まってきていただいて、科学的な知見であるとか、あるいは防災計画をつくるときのポイントであるとか、広域の連携をとっていくシステムづくりであるとか、あるいは情報という面ではどういう組み立てをするかというようなものはみんなそれぞれの専門分野の皆さんが集まってきて、そこで知恵を出し合って具体的な方向性というのをつくっていく。それを実現するために、例えば法律はどの法律を変えなければいけない。あるいはそれをやることによって、これまでとは違った組織をつくるとすれば、どうしなければいけないかというのを政治的に判断して、組み立てていくというのが大臣の仕事だというふうに私は思ってやってきました。
 だから、そこのところは大臣が代わるから全てが変わるということではないのですよね。一番正しい解、一番この国にとって具体的にいい政策をつくるという、そういう環境づくりをまずやって、それぞれの部会で話合いが進んでいるわけですから、そこのところを大局的に見ていけば、私が交代することによって、それが全部白紙に戻って、違うメンバーでやるのだということではないので、方向性としてはずっと継続的に持っていけるということだと思います。

(問)どなたがなるか分かりませんけれども、後任の方になったとしても、今のベースは変らないだろうと。

(答)そうですね。また、後任に誰がなるか分からないけれども、大臣は大臣なりにそれぞれこれまでの自分の知見の中から、そのシステムづくりに新しい要素をまた加えていくということも期待をしたいと思います。私がそうであったように、それぞれ自分の思いの中で、また新しい要素を加えて、充実させていく、あるいは進めていくということを期待したいと思います。

(問)毎日新聞の池田です。感想を伺いたいんですけれども、先ほど党の中でこれから防災の関係の政策立案に関わっていきたいというお話でしたが、もう少し具体的に例えば新たに調査会のメンバーとしてなにかやられるのか・・。

(答)調査会には入っていくつもりです。

(問)それはどういうお立場でこれから入るのですか。

(答)まだこれからです。どんな形でも、しっかり私がフォローしたいところ、あるいは政治的に整理をしなければならないところというのは、私なりにもはっきり課題を持っていますので、是非それを党で反映させたいと思います。

(問)南海トラフの被害想定の発表のときに、大臣は会見されて、地震の予知、これについて積極的に進めていただきたいというお話をされたと思うのですけれども、そういった思いというのは、これからの大臣に引き継がれていくのか、あるいは大臣の個人的な思いとしてなされたのか、その辺りは如何でしょうか。

(答)是非引き継いでもらいたいと思いますし、そのようなことを次の大臣に申し上げたいと思っています。

(問)それは、どうして、地震予知については様々な特に科学者の方から意見が疑問もあったりするわけですけれども、その中でも大臣が予知を積極的にというふうにおっしゃった理由というのは、なぜなのでしょうか。

(答)最初から予知はできないのだと、地震というのは難しいのだと、こういうふうにあきらめてしまっては、だめだということを専門家の皆さんには申し上げているのです。国民としては、その予知があることによって、安心感というのが確実に違ってくるし、対応も違ってくるので、そこのところをあきらめずに、科学的にそこを極めるんだというところまで、しっかりやってくださいと。それに必要なものは何なのかということについても、しっかり出していただいたらいいと。
 それから、もう一つは文部科学省で統括している、これは法律もあるのですが、包括している分野と、それから内閣府が実務的に対策としてシミュレーションをしたり、研究者を集めて大体のレベルを出していく活動と学者も同じ人たちなのですけれども、いろいろな組織が錯綜していますので、これもしっかりと目的を整理した上で組み立ててほしいということも申し上げています。

(問)最後の一つです。防災の主流化という言葉があって、あらゆる分野で防災起点にして、政策をやるというようなことだと思うんですけれども、国の動きを見ていても、なかなか先程おっしゃった内閣防災のリーダーシップの話、あるいは大臣もかわるという話になると、なかなか国の中で本当に防災が主流になって、政策の面でされていくのかという疑問があるんですけれども、国としてはそれは世界に発信していく日本のメッセージとして、防災の主流化と言っているわけですけれども、なかなかそれが本当に日本はできているのかという印象が強くあるんですけれども、それについてはどうお考えですか。

(答)知事さんとか、それから市町村長さんと話をしていると、そこの部分の受け止め方、これから政策をつくっていくときに、防災ということをそれぞれの政策の中に確実に入れ込んでいって、つくっていくということと同時に、もう一つは防災ということをきっかけにして、例えば次のまちづくりの設計だとか、あるいはいろいろな制度のつくり方とかを防災ということをきっかけにしてつくっていくと、こういう意識については、非常に共有化をされてきたと思います。
 しかし、あと我々がしなければいけないのは、それをいかに制度化していくかということで、時間がたって、一つの危機感というのが薄れていく、これは毎回、毎回そういうことを災害というのは繰り返しているのです。薄れていっても、制度としてしっかりつくり上げておけば、それが持続をしていくということに着目をして、その制度づくりをこれからしていかなければいけませんねという、今まだ段階なのだと思います。
 だから、いろいろなモデルをつくっていくことによって、例えばPFIを私もたまたま担当していたものですから、避難ビルなどをつくるのに、普段つくらないような鉄骨のタワーで建てておくというのではなくて、例えば今あるスーパーマーケットで駐車場を持ってやっているのだけれども、これは1階建てだけではもったいないではないかという発想の中で、例えばそれを積み上げて、公民館とか医療センターとか、公的なものをその中に組み込みながら、いざとなったら自家発電があって、情報も絶対途絶えないのだという環境をビルの中につくり上げていく。避難ビルというようなものをつくるときに、例えばPFIのその手法がこのような形で使えますよというものをモデル化して、それぞれの地方自治体に向けて流していく、組み立てを手伝っていくと、そのようなことを国の方も様々にやっていけるのだと思います。
 それはもう一つ私も指示したのは、東日本であれだけの災害があって、それに復興計画がずっと今動いているわけだけれども、あの東日本だからということで特別に法律をつくって、支援の枠組みをつくって組み立てているものがあるのですね。
 それを一回精査して、災害が起こってからつくった法律というのはいっぱいあるんですけれども、それを災害が起こる前の予防防災として使えるもの、あるいは使うことによって更に防災計画というのがさっき申し上げたように、具体的に進捗する可能性があるものについて、恒久法にしていこうというような整理なんかは、まずやりましょうということで、今それに取り掛かってもらっているんですよね。
 そんなことも含めて、具体的に様々な形で主流化というのをこれからやっていくことになると思います。

(問)フジテレビの加藤と申します。同じような話になってしまうかもしれませんが、大臣がかわってしまう話で、先程大臣がかわってもやることは変らない。問題ない。かわるのは、内閣全体としてのチームということのお話がありましたけれども、政局、政治の事情という結局説明になってしまっているではないですか。それが国民には納得いかないと思うんですね。せめて2年同じ内閣でやっていかないと、きちっとした政策だったりとか、方向性だったりとか、具体的な政策、概算要求も年に1回、できているか、できてないかぐらいだと思うんですよね。以前文科大臣をやられたときも、概算要求をやって終わってしまっているみたいなこともあったので、そういうことで国民のちょっと納得がもしもやることは方向性が変わらないとしても、先程の説明だと国民は納得できないのではないかと思うんですけれども、もう一度何かありますか。

(答)だから、こういう状況というのは、政権交代後に起きたわけではなくて、小泉政権はそれなりに安定していたけれども、それ以降はねじれですよね。参議院でねじれてから、我々が野党の時代からそういう状況がずっと続いているということでありますので、これを克服していこうと思うと、それこそ成熟した民主主義というのは、与野党で連立内閣をつくれるような状況にいくか、あるいは選挙で国民の判断の中でねじれを起こさないような、そういう選挙の結果を出してもらうか、またはこの今の制度そのものを憲法も含めて考え直していくか、参議院のあり方等々、いろいろ議論もありますけれども、その三つの選択の中でどこかで克服していくということでないと、こういう状況は続くのではないかと思います。
 国民に対しては、そういう意味では非常に不安定な、政治家がしっかりしたものが発信できないということをおっしゃるんだと思うのですが、そういう状況が続いているということに対しては、私も忸怩たる思いがあります。

(問)大臣すいません。そのねじれを理由に挙げられますが、そのねじれに対応するために内閣改造するということなんですよね。おっしゃっているのは。

(答)だから、今度は臨時国会を開いていくのだろうと思うのですが、その臨時国会でねじれを克服して、赤字国債を発行ができるような体制に持っていくにはどうしたらいいか、あるいはそれぞれそういう話合いをするために、どういう陣容で党や内閣が組み立てていけばいいか等々、一つのポイントだけではなくて、非常にいろいろなことが絡み合いながら、今の国会というのを克服していくための方策を総理としては考えると思います。そういう意味でそれを突き詰めて、最終的に何がそうさせるのかというと、ねじれなんだと思います。

(問)それは分かりました。では、ちょっと私情も含んで申しわけないですが、文科大臣退任のときも含めて、防災大臣に就任されたとき、今回の退任の経緯、いろいろ振り返ってみると、非常に中川大臣が政権に私にとってはですけれども、都合よく使われたというふうな印象を持っています。大臣はその点に関して、総理に言いたいことはありますか。

(答)私はそうは思っていません。全体の局面の中で、ふさわしい役割というのがそれぞれにあって、その役割が与えられれば、それに全力を尽くすという中で、さっき言ったように全体としてチームが前に進んでいく、国を動かしていくということです。いろいろな政策の中で、いいことは政治家というのはいろいろ言えるわけですが、現実に評価されるのは、一個一個どれだけ動かしていくか、具体的に何をやったかだと私は思っているので、その何かやるためにいろいろ妥協したり、話合いしたり、あるいは時と場合によっては、戦ったりしなければいけないと思うので、それを実現するために内閣とはあるのですね。個人、個人で戦ってもそれは戦いにならない。チームで戦う。党としても戦うということなのですね。
 しかし、党としてももっと一本になって団結して戦えるだけのものがあればよかったのだけれども、そこも難しかったところがあって、野田総理としても、そこの苦労を自分で抱きながら、運営をしているということがよく見えるものですから、そんな中で、自分が与えられた仕事を精いっぱいやっていくということだと思います。

(問)この内閣の顔ぶれが大体判明していますが、それを見てなるほどなと、これで国会を戦っていくんだなというふうに、なるほどなと納得できたところはありましたか。

(答)それぞれ頑張ってくれるのではないでしょうか。

(問)今のお気持ちを一言でお願いしたいんですけれども。

(答)ここまで、それぞれやるべきことを一つ一つこの限られた時間の中で進めることができたという部分に関しては、感謝の気持ちもありますし、同時に充実感もあります。
 もう一つは、さあ、次は何をしようか、何で頑張るかなというところで待っていますので、その辺がはっきりしてきたら、またその分野でしっかりやらせてもらいたいと思います。


(以上)
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