記者会見
平成24年7月20日(金)
1.発言要旨
おはようございます。それでは、今日の会見を行います。
最初に私から報告をします。
九州の災害でありますが、今日、野田総理が熊本県阿蘇市、大分県日田市及び福岡県柳川市の現地調査を実施されます。私も、去る7月13日及び14日に、熊本県阿蘇市、熊本市、大分県竹田市に行きまして被害状況を調査したところでありますが、被災地は広範になっておりまして、総理や私がまだ調査を実施していない被災地があります。そこで総理に続いて私自身が、今度は明日と明後日、土、日を使ってですが、新たな被災地に赴いて現地調査をします。現在調整中ですが、今度は大分県中津市、それから福岡県うきは市、八女市、そして、前回訪問できなかった鹿児島県肝付町などを視察する予定でおります。
次に、お手元に配付してありますが、23日午後5時30分より官邸にて「第1回障害者政策委員会」を開催いたします。障害のある方々も参加した障がい者制度改革推進会議での議論を踏まえまして、昨年8月に障害者基本法が改正をされました。これによって障害者政策委員会が設置されました。委員会の任務は、障害者基本計画の策定に際し意見を述べて、そしてまた計画の実施状況を監視するということであります。第1回会合では委員長選出をするとともに、新たな障害者基本計画の検討の進め方等について議論をする予定であります。また詳細は事務方に確認をしていただければありがたいと思います。
私の方からは以上です。
2.質疑応答
(問)読売の堀井と申します。一昨日、田中主査から手交を受けられました津波避難のワーキンググループの報告書がございまして、拝見しますと、各社報道にも出ていますが、かなり具体的に津波から身を守るための避難の方策、具体的な方策がたくさん盛り込まれていると思うんですけれども、大臣としては、これをどういう形で実際に、自治体あるいは国の省庁に関わる部分が多岐にわたっていますけれども、どういう形で生かされていくのかというお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
(答)8月ぐらいになると思うんですが、特に南海トラフは津波の想定、10mメッシュで出していきます。それに伴って浸水域も具体的にこれぐらいになるということなのですが、それと併せて、それぞれの自治体でそれぞれの地域に応じた形の避難計画あるいは防災計画というのを立てていただく、あるいは見直していただくということになります。そんな中で、今回出された報告書の提案といいますか枠組みというものをしっかり活用していただいて計画を作っていただきたいということが一つです。
それからもう一つは、その過程で、地域によって大分違うと思うんですね、直ぐ後ろに山を抱えているところは避難路を様々な形でまず確保していくということから始めていくんだろうと思いますし、極端に時間的な余裕がないところについては、新聞紙上でも出ていましたけれど、ある意味で高台移転ということについて地域全体で考えていくということにもなっていくでしょう。今年お邪魔した黒潮町では、当面は役場の庁舎だとか、あるいは学校を含めて中心になる公共施設をまず高台に移転をするということで始めていきたいということでしたし、様々だと思うんです。その枠組みを国としてはしっかり支えていきます。そういうことで時間的な経緯と、財源ということを考えていかなければいけないわけですが、その中でいろいろな国としての支援の枠組みを作っていくという意思表示というのをしっかりやっていかなければいけないと思います。そういう形で今回出された提起というものを生かしていきたいということが一つ。
それからもう一つは、報告書でも触れられていましたけれども、まずは自ら逃げる、主体的に逃げるということを徹底していくということですから、これについては訓練とか、あるいは防災教育とかというようなものを十分に気持ちを込めてというか、そこにある心というのは自ら自分の判断で、自分で逃げるということでありますので、そこのところを徹底していくようなソフトやシステムというのを組んでいくということをしっかりやってくださいというメッセージは出していきたいと思っています。
(問)加えて、一方で、自治体とともに国ができることとして防災教育、特に防災教育を行う人材の確保のために大学での教職を目指す学生諸君らに一緒にしてほしいだとか、かなり具体的な、これは一方で国でできる部分もおありだと思いますが、その辺は防災大臣のお立場として、他省庁に対してどういうふうな働きかけをされるのですか。
(答)そこを私が調整していくということを期待されているんだと思いました。防災という立場から、しっかり各省庁に対しては具体化していくように求めていきたいと思っています。
(問)朝日新聞、岡本です。今日は防災のことを聞きます。自民党も公明党も防災ニューディールだとか何とかという名前で防災対策を今後積極的にやっていくべきだというような案を出しておられます。政府・与党内の声を聞いていると、自民党、公明党にもいろいろある意味で配慮をしないといけないので、そういうところを受け入れていこうというような声も根強いんですけれども、防災とはいえ、ものすごい莫大な公共事業をやろうというような計画だと思うんですが、その風潮といいますか、防災の名を借りたそういう公共事業、莫大な公共事業を容認するような流れといいますか、そういったものに対して大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)防災だけじゃなくて公共事業に対するスタンスというのは共通していると思うのですけども、すべてを我々も否定しているわけではなくて、必要なものはやるということ、ここはしっかり踏まえています。私たちも見直しということについてもね。それが一つと、それからもう一つは、優先順位です。今回の防災計画の中でも、まず当面やらなければいけないことと、それからある程度時間をかけて繋いでいくことと、それから今回の防災計画の我々の特徴というのは、それらすべてを防ぐことはできない。だから、津波はやっぱり越えてくる。越えてくるということに対して、もっと柔軟にソフト事業とハード事業をうまく組み合わせて、そして減災をしていくということなんですね。
集中的に投資をするというのは、事が起こってから、それを復興していくということよりも、少し投資をすることによって事が起こらない、あるいは事を減災させるという、そういう効果的な投資ということも必要だということをしっかり具体的に計画の中で見せていきながら、国民に財源というものについて納得をしていただくということになると思います。確かに我々の計画も、財源が必要ないかというとそうではなくて、本当の意味での安心感を作っていこうと思うと、それなりの財源は必要になってくると思っておりますので、そういう意味で具体策で示していくということになります。
(問)ということは、今、自民党と公明党それぞれ出しておられる案と、今、政府が進めようとしておられるような計画というか案というか、そういったものとはやっぱり相入れるものではないということですか。
(答)あの中にも、我々が参考にさせていただいて、一緒に組み込んでいこうというものもあれば、そうでないものもある。そこはさっき申し上げたように、必要なもの、あるいいは投資効果のあるもの、これについてはやっていくということです。
それと、これは公明党や自民党の中でも言っていますけれども、必ずしも税100%でやっていくということではなくて、その中に民間の資金を誘導してきて、防災だけじゃなくて、普段使われる施設の中に防災という視点を組み込んでいくことによって更に安心感のある強固な、あるいは付加価値の高まっていくような、そういう施設も作ることができる。特に首都圏、首都直下地震でそれぞれのビルの対策を考えていった場合に、具体的には、それを地震で耐えられるような設計にしていく、あるいは事が起こった時に、そこでしばらく避難生活が送れるような体系にしていく、電力、あるいは水ということ等々を含めて。ある意味での防災ビルを付加価値化させていくことによって、恐らくビルの価値も上がるんだろうと思います。最近の新しいビルはそういうものを組み込んでいるのですけれども、そういうような組み合わせの中で全体の防災を考えていくということですから、それは恐らく野党の考え方の中にもあるんだろうと思うのです。どっちがどっちという話ではなくて、必要なものは私たちも取り込んでいくし、私たちの具体的なそうした知恵というのを結集した中で防災計画を具体的に作っていくということです。
(問)例えば、自民党の案では、10年間で200兆円を投資するというふうにうたっていますが、その200兆円という数字についてはどうですか。
(答)言う人によって中身が違うので、真水だけで200兆円なのか、その一部を言うのか、いわゆる事業費なのか、それとも補助金、あるいは民間の資金も入っているのか、まだそんなところまで議論が進んでいないんです。だから、彼らは彼らなりにアピールをしたいということだったんだと思うんですが、そういう金額でのアピールではなくて、我々としては中身の議論をしっかりしていきたい。それを理解していただいた上で、まずやっていかなければいけないことはこれですねという、来年の予算に向けてそれを組み込んでいきたいということです。
(問)毎日新聞の池田です。今の話と関連してなんですが、グランドデザインとして「防災・減災ニューディール」だったり「国土強靭化計画」とかがありますけれども、政府・与党としてのグランドデザインというのは何時になれば見えてくるというのがあるんでしょうか、あるいはどういったものを今描いていらっしゃるんでしょうか。
(答)中身がだんだん見えてきたでしょう。中身の議論をしておいて、では、ハードで言えば、その中で防波堤を具体的にどう見直していくのかということになると、L1とL2というレベルがあるとすれば、L1でもう一回根っこのところを見直して、地震が来ても壊れていかないというような、根づけをしっかりしていくとか、そのようなところから具体的に始めていきましょうとか、そういうようなことが具体的に出てきて、では、来年度はこうですねというような話になるんだと思うんです。
それはもう堤防だけの話ではなくて防災ビルの話、防災タワーとしていますけれども、例えば、逃げる場所を作るということであれば、そのための高いビルがないところで建てていかなければいけないということになったら、それを建てるのにPFIなどの手法を使って、例えばスーパーマーケットを階層化させて、その上に、例えば医療施設とか、あるいは老人施設とかというようなものを組み合わせていきながら、下はスーパーでその上に防災拠点みたいなものがあって、そこにみんなが逃げられるというようなものを、それぞれ地方自治体を中心に、あるいは民間も含めてですが、具体的に計画で組んでくるわけです。時間的な経過の中で、それぞれの自治体が具体的な防災計画というのを立てていく。その過程に向けて私たちが資金供給もしていくし、民間からも資本誘導するというような形で、ある意味で経済再生といいますか、そうした新しい投資分野というのがそこにまた広がってくるというようなイメージでこの防災計画というのを進めていきたいというのが私たちの思いです。だから、グランドデザインでどれだけ要ると、何兆円要るというような打ち出し方もありますけれども、中身は必ずしもそうじゃないということだと思っているのです。それだけに具体的な中身の議論というのをまず完成させたいということで今進めているところです。
(問)今、大臣から資本誘導のお話がありましたので、当然、今の地域で避難は直ぐにできないから避難施設を作ろうということになると、そこでまた民間の力を活用するという考え方は分かるんですけれども、それをすればするほど、結局そこに人が集まって様々な問題が出てくると思うんですね。そういう矛盾を抱えることになると思うんですけど、今ここで直ぐ結論を出すという話じゃないんですが、その辺りについて、どういったイメージで進めていきたいとお考えですか。
(答)それも時間をどれだけかけていくかということだと思うんです。例えば、最終的にこの地域は高台移転をして、町自体を別なところに立地させていくほうがいいというような判断をしていく地域も出てくると思うんです。しかし、それが今直ぐできるかというと、予防的にそれを誘導するというのは非常に難しいところなんだと思います。
一つは、それをするための法律の枠組みというものが新しいものを作らないといけないと思うんですね。今ある法律もあるんですけれども、これはどちらかというと東日本で今やっているように、被災をして、家が全部壊れてしまって、そのゼロになった地点で次どうしようかという時にコンセンサスを作っていって高台移転する。これでも時間がかかるわけです。この枠組みがあるんですが、予防する防災の場合は、今そこで伸び伸びと生活があって町があるわけです。それを想定という形の中で、危ないからといって高台へ持っていこうと思ったら、ちょっと別なスキームが要るんだろうなと思うんです。それは中長期的な形で、例えば、次の世代が移っていく時にとか、何かそんな規制をかけるにしても、工夫なんだと思います。それが一方にあって、それは中長期的な話ですけれども、しかし、それが直ぐ出来ないとすれば、今どうするかという話になりますから、そこに対しては高いところを作って逃げる。山があればいいけど、ないところは、高いところを作って逃げる、あるいは既にあるビルを活用するというような形になりますから、そこについて工夫ができるような、これもまた投資スキームが要るということだと思います。それを必ずしも税金で100%するということではなくて、まちづくりの一環の中でそれが生きるような形にしようと思ったら、民間の投資というのもそこで誘導ができると思うので、そういう政策を具体的に誘導できるようなスキームというのをこれから作っていくという作業が私たちの仕事になってきます。
(問)朝日新聞の赤井と申します。昨日の会見の質問でも出ていたと思うんですけども、首都機能の代替拠点の候補地が、昨日例示という形で、別に決まっているということではないと思うんですが、例として挙げられていると思うんですが、どういうふうに選定していくのか、場面によって、地震によって候補地も変わってくるとは思うんですが。そういう方針の延長みたいなものとか、候補地の選定とか、立候補を募るとか、そういう方法をもうちょっと具体的にどんなイメージで考えていらっしゃるのかというのを教えていただけますか。
(答)それもこれからの仕事なんですが、まず、バックアップ機能というものが具体的にどういうものかというのを、ちょっと想像力をたくましくして考えていかなければいけないと思います。そのことによって、事前の準備をしていくということだと思うので、いろいろ幾つか候補地が上がってきますけれども、その中で一番ふさわしいところ、まずここだというようなところを順番をつけていく、順位をつけていくということが前提になるのではないかなと思います。そのバックアップ機能ということについて、もう少し突き詰めて、専門家も交えて議論をしていきたいと思います。
(以上)
おはようございます。それでは、今日の会見を行います。
最初に私から報告をします。
九州の災害でありますが、今日、野田総理が熊本県阿蘇市、大分県日田市及び福岡県柳川市の現地調査を実施されます。私も、去る7月13日及び14日に、熊本県阿蘇市、熊本市、大分県竹田市に行きまして被害状況を調査したところでありますが、被災地は広範になっておりまして、総理や私がまだ調査を実施していない被災地があります。そこで総理に続いて私自身が、今度は明日と明後日、土、日を使ってですが、新たな被災地に赴いて現地調査をします。現在調整中ですが、今度は大分県中津市、それから福岡県うきは市、八女市、そして、前回訪問できなかった鹿児島県肝付町などを視察する予定でおります。
次に、お手元に配付してありますが、23日午後5時30分より官邸にて「第1回障害者政策委員会」を開催いたします。障害のある方々も参加した障がい者制度改革推進会議での議論を踏まえまして、昨年8月に障害者基本法が改正をされました。これによって障害者政策委員会が設置されました。委員会の任務は、障害者基本計画の策定に際し意見を述べて、そしてまた計画の実施状況を監視するということであります。第1回会合では委員長選出をするとともに、新たな障害者基本計画の検討の進め方等について議論をする予定であります。また詳細は事務方に確認をしていただければありがたいと思います。
私の方からは以上です。
2.質疑応答
(問)読売の堀井と申します。一昨日、田中主査から手交を受けられました津波避難のワーキンググループの報告書がございまして、拝見しますと、各社報道にも出ていますが、かなり具体的に津波から身を守るための避難の方策、具体的な方策がたくさん盛り込まれていると思うんですけれども、大臣としては、これをどういう形で実際に、自治体あるいは国の省庁に関わる部分が多岐にわたっていますけれども、どういう形で生かされていくのかというお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
(答)8月ぐらいになると思うんですが、特に南海トラフは津波の想定、10mメッシュで出していきます。それに伴って浸水域も具体的にこれぐらいになるということなのですが、それと併せて、それぞれの自治体でそれぞれの地域に応じた形の避難計画あるいは防災計画というのを立てていただく、あるいは見直していただくということになります。そんな中で、今回出された報告書の提案といいますか枠組みというものをしっかり活用していただいて計画を作っていただきたいということが一つです。
それからもう一つは、その過程で、地域によって大分違うと思うんですね、直ぐ後ろに山を抱えているところは避難路を様々な形でまず確保していくということから始めていくんだろうと思いますし、極端に時間的な余裕がないところについては、新聞紙上でも出ていましたけれど、ある意味で高台移転ということについて地域全体で考えていくということにもなっていくでしょう。今年お邪魔した黒潮町では、当面は役場の庁舎だとか、あるいは学校を含めて中心になる公共施設をまず高台に移転をするということで始めていきたいということでしたし、様々だと思うんです。その枠組みを国としてはしっかり支えていきます。そういうことで時間的な経緯と、財源ということを考えていかなければいけないわけですが、その中でいろいろな国としての支援の枠組みを作っていくという意思表示というのをしっかりやっていかなければいけないと思います。そういう形で今回出された提起というものを生かしていきたいということが一つ。
それからもう一つは、報告書でも触れられていましたけれども、まずは自ら逃げる、主体的に逃げるということを徹底していくということですから、これについては訓練とか、あるいは防災教育とかというようなものを十分に気持ちを込めてというか、そこにある心というのは自ら自分の判断で、自分で逃げるということでありますので、そこのところを徹底していくようなソフトやシステムというのを組んでいくということをしっかりやってくださいというメッセージは出していきたいと思っています。
(問)加えて、一方で、自治体とともに国ができることとして防災教育、特に防災教育を行う人材の確保のために大学での教職を目指す学生諸君らに一緒にしてほしいだとか、かなり具体的な、これは一方で国でできる部分もおありだと思いますが、その辺は防災大臣のお立場として、他省庁に対してどういうふうな働きかけをされるのですか。
(答)そこを私が調整していくということを期待されているんだと思いました。防災という立場から、しっかり各省庁に対しては具体化していくように求めていきたいと思っています。
(問)朝日新聞、岡本です。今日は防災のことを聞きます。自民党も公明党も防災ニューディールだとか何とかという名前で防災対策を今後積極的にやっていくべきだというような案を出しておられます。政府・与党内の声を聞いていると、自民党、公明党にもいろいろある意味で配慮をしないといけないので、そういうところを受け入れていこうというような声も根強いんですけれども、防災とはいえ、ものすごい莫大な公共事業をやろうというような計画だと思うんですが、その風潮といいますか、防災の名を借りたそういう公共事業、莫大な公共事業を容認するような流れといいますか、そういったものに対して大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)防災だけじゃなくて公共事業に対するスタンスというのは共通していると思うのですけども、すべてを我々も否定しているわけではなくて、必要なものはやるということ、ここはしっかり踏まえています。私たちも見直しということについてもね。それが一つと、それからもう一つは、優先順位です。今回の防災計画の中でも、まず当面やらなければいけないことと、それからある程度時間をかけて繋いでいくことと、それから今回の防災計画の我々の特徴というのは、それらすべてを防ぐことはできない。だから、津波はやっぱり越えてくる。越えてくるということに対して、もっと柔軟にソフト事業とハード事業をうまく組み合わせて、そして減災をしていくということなんですね。
集中的に投資をするというのは、事が起こってから、それを復興していくということよりも、少し投資をすることによって事が起こらない、あるいは事を減災させるという、そういう効果的な投資ということも必要だということをしっかり具体的に計画の中で見せていきながら、国民に財源というものについて納得をしていただくということになると思います。確かに我々の計画も、財源が必要ないかというとそうではなくて、本当の意味での安心感を作っていこうと思うと、それなりの財源は必要になってくると思っておりますので、そういう意味で具体策で示していくということになります。
(問)ということは、今、自民党と公明党それぞれ出しておられる案と、今、政府が進めようとしておられるような計画というか案というか、そういったものとはやっぱり相入れるものではないということですか。
(答)あの中にも、我々が参考にさせていただいて、一緒に組み込んでいこうというものもあれば、そうでないものもある。そこはさっき申し上げたように、必要なもの、あるいいは投資効果のあるもの、これについてはやっていくということです。
それと、これは公明党や自民党の中でも言っていますけれども、必ずしも税100%でやっていくということではなくて、その中に民間の資金を誘導してきて、防災だけじゃなくて、普段使われる施設の中に防災という視点を組み込んでいくことによって更に安心感のある強固な、あるいは付加価値の高まっていくような、そういう施設も作ることができる。特に首都圏、首都直下地震でそれぞれのビルの対策を考えていった場合に、具体的には、それを地震で耐えられるような設計にしていく、あるいは事が起こった時に、そこでしばらく避難生活が送れるような体系にしていく、電力、あるいは水ということ等々を含めて。ある意味での防災ビルを付加価値化させていくことによって、恐らくビルの価値も上がるんだろうと思います。最近の新しいビルはそういうものを組み込んでいるのですけれども、そういうような組み合わせの中で全体の防災を考えていくということですから、それは恐らく野党の考え方の中にもあるんだろうと思うのです。どっちがどっちという話ではなくて、必要なものは私たちも取り込んでいくし、私たちの具体的なそうした知恵というのを結集した中で防災計画を具体的に作っていくということです。
(問)例えば、自民党の案では、10年間で200兆円を投資するというふうにうたっていますが、その200兆円という数字についてはどうですか。
(答)言う人によって中身が違うので、真水だけで200兆円なのか、その一部を言うのか、いわゆる事業費なのか、それとも補助金、あるいは民間の資金も入っているのか、まだそんなところまで議論が進んでいないんです。だから、彼らは彼らなりにアピールをしたいということだったんだと思うんですが、そういう金額でのアピールではなくて、我々としては中身の議論をしっかりしていきたい。それを理解していただいた上で、まずやっていかなければいけないことはこれですねという、来年の予算に向けてそれを組み込んでいきたいということです。
(問)毎日新聞の池田です。今の話と関連してなんですが、グランドデザインとして「防災・減災ニューディール」だったり「国土強靭化計画」とかがありますけれども、政府・与党としてのグランドデザインというのは何時になれば見えてくるというのがあるんでしょうか、あるいはどういったものを今描いていらっしゃるんでしょうか。
(答)中身がだんだん見えてきたでしょう。中身の議論をしておいて、では、ハードで言えば、その中で防波堤を具体的にどう見直していくのかということになると、L1とL2というレベルがあるとすれば、L1でもう一回根っこのところを見直して、地震が来ても壊れていかないというような、根づけをしっかりしていくとか、そのようなところから具体的に始めていきましょうとか、そういうようなことが具体的に出てきて、では、来年度はこうですねというような話になるんだと思うんです。
それはもう堤防だけの話ではなくて防災ビルの話、防災タワーとしていますけれども、例えば、逃げる場所を作るということであれば、そのための高いビルがないところで建てていかなければいけないということになったら、それを建てるのにPFIなどの手法を使って、例えばスーパーマーケットを階層化させて、その上に、例えば医療施設とか、あるいは老人施設とかというようなものを組み合わせていきながら、下はスーパーでその上に防災拠点みたいなものがあって、そこにみんなが逃げられるというようなものを、それぞれ地方自治体を中心に、あるいは民間も含めてですが、具体的に計画で組んでくるわけです。時間的な経過の中で、それぞれの自治体が具体的な防災計画というのを立てていく。その過程に向けて私たちが資金供給もしていくし、民間からも資本誘導するというような形で、ある意味で経済再生といいますか、そうした新しい投資分野というのがそこにまた広がってくるというようなイメージでこの防災計画というのを進めていきたいというのが私たちの思いです。だから、グランドデザインでどれだけ要ると、何兆円要るというような打ち出し方もありますけれども、中身は必ずしもそうじゃないということだと思っているのです。それだけに具体的な中身の議論というのをまず完成させたいということで今進めているところです。
(問)今、大臣から資本誘導のお話がありましたので、当然、今の地域で避難は直ぐにできないから避難施設を作ろうということになると、そこでまた民間の力を活用するという考え方は分かるんですけれども、それをすればするほど、結局そこに人が集まって様々な問題が出てくると思うんですね。そういう矛盾を抱えることになると思うんですけど、今ここで直ぐ結論を出すという話じゃないんですが、その辺りについて、どういったイメージで進めていきたいとお考えですか。
(答)それも時間をどれだけかけていくかということだと思うんです。例えば、最終的にこの地域は高台移転をして、町自体を別なところに立地させていくほうがいいというような判断をしていく地域も出てくると思うんです。しかし、それが今直ぐできるかというと、予防的にそれを誘導するというのは非常に難しいところなんだと思います。
一つは、それをするための法律の枠組みというものが新しいものを作らないといけないと思うんですね。今ある法律もあるんですけれども、これはどちらかというと東日本で今やっているように、被災をして、家が全部壊れてしまって、そのゼロになった地点で次どうしようかという時にコンセンサスを作っていって高台移転する。これでも時間がかかるわけです。この枠組みがあるんですが、予防する防災の場合は、今そこで伸び伸びと生活があって町があるわけです。それを想定という形の中で、危ないからといって高台へ持っていこうと思ったら、ちょっと別なスキームが要るんだろうなと思うんです。それは中長期的な形で、例えば、次の世代が移っていく時にとか、何かそんな規制をかけるにしても、工夫なんだと思います。それが一方にあって、それは中長期的な話ですけれども、しかし、それが直ぐ出来ないとすれば、今どうするかという話になりますから、そこに対しては高いところを作って逃げる。山があればいいけど、ないところは、高いところを作って逃げる、あるいは既にあるビルを活用するというような形になりますから、そこについて工夫ができるような、これもまた投資スキームが要るということだと思います。それを必ずしも税金で100%するということではなくて、まちづくりの一環の中でそれが生きるような形にしようと思ったら、民間の投資というのもそこで誘導ができると思うので、そういう政策を具体的に誘導できるようなスキームというのをこれから作っていくという作業が私たちの仕事になってきます。
(問)朝日新聞の赤井と申します。昨日の会見の質問でも出ていたと思うんですけども、首都機能の代替拠点の候補地が、昨日例示という形で、別に決まっているということではないと思うんですが、例として挙げられていると思うんですが、どういうふうに選定していくのか、場面によって、地震によって候補地も変わってくるとは思うんですが。そういう方針の延長みたいなものとか、候補地の選定とか、立候補を募るとか、そういう方法をもうちょっと具体的にどんなイメージで考えていらっしゃるのかというのを教えていただけますか。
(答)それもこれからの仕事なんですが、まず、バックアップ機能というものが具体的にどういうものかというのを、ちょっと想像力をたくましくして考えていかなければいけないと思います。そのことによって、事前の準備をしていくということだと思うので、いろいろ幾つか候補地が上がってきますけれども、その中で一番ふさわしいところ、まずここだというようなところを順番をつけていく、順位をつけていくということが前提になるのではないかなと思います。そのバックアップ機能ということについて、もう少し突き詰めて、専門家も交えて議論をしていきたいと思います。
(以上)