三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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参議院 災害対策特別委員会? 糞叛邂儖÷、小坂委員、渡辺委員)

平成24年6月20日(水)

○委員長(松下新平君) 災害対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川防災担当大臣。

○国務大臣(中川正春君) ただいま議題となりました災害対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 平成二十三年三月十一日に発生いたしました東日本大震災は、その被害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるものでありました。現在、政府におきましては、東日本大震災から得られた教訓を今後に生かすため、検証及び総括を行っているところでありますが、本法律案は、いつ起こるか分からない災害に備えるため、大規模広域な災害時における対応の円滑化、迅速化等緊急に措置を要するものについて、法制化することを目的とするものであります。
 以上が、この法律案を提出する理由であります。
 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、発災時における積極的な情報の収集、伝達、共有の強化についてであります。
 市町村が被害状況の報告ができなくなった場合に都道府県が自ら情報収集のための必要な措置を講ずべきこと、国、地方公共団体等が情報を共有し相互に連携して対策の実施に努めなければならないこととしております。
 第二に、地方公共団体間の応援に係る対象業務の拡大等についてであります。
 被災した地方公共団体への支援を強化するため、地方公共団体相互間の応援の対象を緊急性の極めて高い応急措置から災害応急対策一般に拡大するとともに、都道府県知事は応援の要求等のみによっては応援が円滑に実施されないと認めるときは、内閣総理大臣に対し、他の都道府県知事に対し災害が発生した都道府県の知事等を応援することを求めるよう求めることができることとするなど都道府県、国による調整規定の拡充、新設を行うこととしております。
 第三に、地方公共団体間の相互応援等を円滑化するための平素の備えの強化についてであります。
 他の主体との相互応援が円滑に行われるよう、国、地方公共団体、民間事業者も含めた各防災機関は、あらかじめ、地域防災計画等において相互応援や広域での被災住民の受入れを想定する等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
 第四に、救援物資等を被災地に確実に供給する仕組みの創設についてであります。
 都道府県知事は指定行政機関の長等に対し、市町村長は都道府県知事に対し、災害応急対策の実施に必要な物資等の供給について必要な措置を講ずるよう要請等することができることとするとともに、指定行政機関の長等又は都道府県知事は、緊急を要するときは、要請等を待たず自らの判断で必要な措置を講ずることができることとしております。また、指定行政機関の長等又は都道府県知事は、緊急の必要があるときは、運送事業者である指定公共機関等に対し、指示等することができることとしております。
 第五に、市町村、都道府県の区域を越える被災者の受入れに関する調整規定の創設であります。
 広域での被災住民の受入れが円滑に行われるよう、市町村長は、被災住民の居住の場所を確保することが困難な場合等において、被災住民の受入れについて他の市町村長に協議できることとするとともに、市町村長からの要求に基づき、都道府県知事は、被災住民の受入れについて他の都道府県知事と協議しなければならないこととしております。
 また、都道府県知事又は内閣総理大臣は、市町村長又は都道府県知事から求められたときは、協議の相手方その他広域一時滞在に関する事項について助言しなければならないこととしております。
 第六に、教訓伝承及び防災教育に係る規定の新設、強化等による防災意識の向上についてであります。
 国民の防災意識の向上を図るため、住民の責務として、災害教訓を伝承することを明記するとともに、国、地方公共団体、民間事業者も含めた各防災機関において防災教育の実施に努めなければならないこととしております。
 第七に、国と地方公共団体の防災会議と災害対策本部の役割の明確化等組織の見直しについてであります。
 災害対応は災害対策本部が担うことを明確化する一方で、地方防災会議の所掌事務に、地方公共団体の長の諮問に応じて防災に関する重要事項を審議すること等を追加するとともに、多様な主体の意見が反映されるよう、自主防災組織を構成する者又は学識経験者を会議の委員として追加すること等の見直しを行うこととしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うとともに、今後の政府の取組方針を明らかにするために、附則において東日本大震災から得られた教訓を今後に生かすため、東日本大震災に対してとられた措置の実施の状況を引き続き検証し、防災に関する制度の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、速やかに必要な措置を講ずるものとしております。
 以上が本法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、本法律案につきましては、衆議院において修正が行われたところであります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。
 ありがとうございました。

○委員長(松下新平君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員谷公一君から説明を聴取いたします。谷公一君。
○衆議院議員(谷公一君) ただいま議題となりました災害対策基本法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。
 修正案は、お手元に配付したとおりであります。
 以下、その内容を申し上げます。
 第一に、災害の定義に、異常な自然現象の例示として竜巻を追加することとしております。
 第二に、防災に関する制度の在り方についての全般的な検討の対象に、一つは、防災上の配慮を要する者に係る個人情報の取扱いの在り方、二つは、災害からの復興の枠組み等が含まれる旨を明記することとしております。
 第三に、原子力規制委員会設置法案の提出に伴い、原子力災害対策特別措置法の改正規定その他の関係規定について、所要の整理を行うこととしております。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

○委員長(松下新平君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○吉川沙織君 民主党の吉川沙織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、今般の台風四号における被害状況と政府の対応状況についてだけお伺いします。

○国務大臣(中川正春君) 昨日の十九日に十八時から関係省庁連絡会議を開催をいたしましたが、これまでに確認している情報なんですけれども、死者一名、負傷者四十四名の人的被害のほか、住家の被害が百二十棟ということでございます。
 引き続き、対応に万全を期していきたいというふうに思っております。

○吉川沙織君 内閣府の国民生活に関する世論調査において、政府に対する要望で防災の項目が追加されましたのは平成四年からのことになっておりますが、この防災と回答した国民の皆さんの割合は比較的低位で残念ながら推移しています。ただ、阪神・淡路大震災後の平成七年調査では二〇・四%、昨年調査では東日本大震災の発生を受け二四・九%にまで上昇しています。
 今回の災害対策基本法は、平成七年に大幅改正され、今回の改正も東日本大震災の反省と教訓を踏まえたものであります。国民の防災意識を高めるため、災害対策法制の見直しや防災教育のほかに何が必要であるか、東日本大震災総括担当大臣の御見解をお願いします。

○国務大臣(平野達男君) 何が必要であるか、質問の最後の趣旨がちょっと聞き取れませんでした、申し訳ありませんですけれども。

○委員長(松下新平君) 吉川君、もう一度お願いします。

○吉川沙織君 結局、今回の世論調査の結果では、東日本大震災があったから今までと比べて二四・九%まで上がっています。平成七年のときも阪神・淡路があって改正に至って、今回も災対法の改正に至っています。
 国民の防災意識を高めることも今回の改正に入りましたけれども、災対法の法制度の見直しや教育のほかにどういったことを必要としているか、国民の防災意識を高めるために何が必要であるかという、そういうことをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平野達男君) ちょっと付いていけなくて済みませんでした。
 今回、やっぱり何といっても津波の被害がまず非常に多かったということで、福島の原発災害はちょっと別な観点から議論する必要があると思いますが、その津波ということにつきましては、やはり逃げる判断をした、どこに逃げるかと、そういった判断でもって、大変言いづらいことではございますけれども、亡くなった方、あるいは助かった方、助けられた方が出てきたということであります。
 その中で、今回の防災意識の向上というか、何が必要かといいますと、何といってもやっぱり今回の教訓をしっかり総括して、これを伝えていくということであると思います。そういう中での、その後、被災した後、それから直後の様々な支援体制、こういったこともしっかり検証して次につなげていくということが必要だと思いますし、その一環として今回の基本法の改正も行われようとしているということだと理解しております。

○吉川沙織君 今大臣から津波の被害、逃げるということ、その重要性について指摘ございましたし、昨年十二月二十七日に防災基本計画が津波災害対策編というのを新設して入れられたのも、大臣の御指導の下入れられたと承知しております。ただ、その逃げるというためには、やはり訓練が必要です。
 国民の防災意識の向上を図るための一環として、改正法第七条及び第四十六条において教育及び訓練に関する事項が今回加えられています。また、自発的な防災活動への参加も付記されたところですが、そもそも、この参加の前提となる避難訓練が一体どれぐらい実施されているのか。これは昨年十一月四日の当委員会でも指摘させていただきましたけれども、実際、この東日本大震災を踏まえた地域防災計画の見直しに関するアンケート調査をこれ見ますと、住民が参加する津波避難訓練を実施しているかの問いに対して、実施していない団体は都道府県で四一%、市区町村で五一%にも上っています。地方公共団体で避難訓練が十分に実施されていないというこの現実を直視して改善する必要があると思いますが、防災担当大臣、いかがですか。

○国務大臣(中川正春君) 御指摘のとおりだと思います。特に、ソフトとハードを組み合わせてしっかりとした体制を組んでいくということが基本方針になっていますが、その中で防災教育の中身、これを充実させていくということと、それを訓練を通じて実現をしていくということだと思っております。
 地方で協議会等々つくりまして、更に市町村に対してしっかり訓練の環境がつくっていける、そういう体制をこれから頑張っていきたいというふうに思っております。

○吉川沙織君 三月二十九日の中央防災会議でも今年度の総合防災訓練大綱というものが新たに決定をされて、それに基づいてやっていくということですが、これも平成十五年度からずっと追っていきましたけれども、それでもなお避難訓練の実施率がこの程度ということですので、是非協議会をつくっていただいて、強いリーダーシップで進めていただければと思います。
 さて、この災対法は、平成七年の阪神・淡路大震災の発生の年、同年六月と同年十二月に二回改正をされています。今回は、東日本大震災の発生を受け、十七年ぶりの大幅改正に至ったものでありますが、防災担当大臣は本法案の閣議決定後の記者会見で、「今回は、その他も含めて四項目について、まずできるところから法制化をしたということであります。」と発言されておられますとおり、できるところから法制化したという、そういう改正だと私、とらえております。
 防災対策推進検討会議が七月をめどに最終報告を出すこともありますことから、次期臨時国会において抜本改正を行うということを確認させてください。

○国務大臣(中川正春君) 更にまだ課題が残っていまして、例えば減災等の理念の明確化であるとか、あるいは国家的な緊急事態への対応、被災者支援、それから救助法等々総合的な改正とか、そういう項目が残っております。次の国会にはしっかりとそれを整理をして、そして出していけるという体制をつくっていきたいというふうに思います。

○吉川沙織君 今回の附則第二条にも、東日本大震災からの教訓を踏まえて速やかに改正を、次期改正も行うことという記述もありますので、是非、次期国会で抜本改正、様々な課題ございますけれども、していただければと思います。
 本改正案の閣議決定は五月十八日に行われております。その前々日である五月十六日に、これは防災担当大臣が主宰ですけれども、全国知事会、全国市長会、全国町村会との合同意見交換会が開催されています。確かに、今回の改正では国と地方の連携がより一層重要になるものであり、意見交換は必要です。
 五月十五日の大臣記者会見において、「地方公共団体との連携を深めていくということが、より大切な課題になってきていると思います。そういうことから、こうした会議をこれからも定期的に開いていきたいと思っておりまして、具体的な政策について連携を持たせながら、まとめていきたいと思います。」と発言されておりますが、次期抜本改正に向けてどのような形式や頻度で地方団体との意見交換行っていくのか、お聞かせください。

○国務大臣(中川正春君) 一つは、中央防災会議での各種会議に対して知事会から、現在は泉田全国知事会災害対策特別委員長ですが、参加をしていただいておりまして、そこでの一つの機会ということと、さっきお話しになりました具体的な懇談会を私と知事会の間でやっていくということ。それと同時に、もう一つは、特に首都直下とそれから南海トラフについては協議会という形で、それぞれの自治体それから民間、また自衛隊、消防あるいは警察等々を含めたその地域での協議会を構成をしていきたい、それに国が参加をしていって、そこからしっかり吸収をしていくということ、こんな機会をつくっていくということであります。

○吉川沙織君 是非、今御答弁いただいた内容でしっかり密に連携を取って次期抜本改正を図っていただきたいと思います。
 昨年十二月七日に開催された防災対策推進検討会議において、出席者から残念ながらこんな発言がありました。「各県に防災会議があることすら、政府の人は知らなかった。地方でどういうことをやっているか、足りないのは何か、検証した上で、こういう会議を開くべき。」と、こういう発言されている方もいらっしゃいましたので、是非、今御答弁いただいた内容で次期抜本改正に向けて地方と丁寧な議論を積み重ねていただければと思います。
 改正法第四十九条の二で、「相互応援に関する協定の締結、共同防災訓練の実施その他円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」が新設されています。
 相互応援に関する協定に関しては、例えば隣接する地方公共団体でこれを行った場合、三連動地震があったら同時被災をする可能性がありますので、そういったことについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 隣接間の協定というのはかなり今できてきているんですが、改めて広域協定を結んでいくということについて徹底をしていきたいというふうに思っております。既に遠方の自治体同士での応援協定締結について通知という形で出しているんですけれども、内容を見ているとまだ十分ではないと私も判断していますので、その辺を促していきたいというふうに思います。

○吉川沙織君 昨年、三年十か月ぶりに修正をされた防災基本計画の中でも、「相互応援協定の締結に当たっては、近隣の地方公共団体に加えて、大規模な地震災害等による同時被災を避ける観点から、遠方に所在する地方公共団体との間の協定締結も考慮するものとする。」という、これが修正で新設されていますので、是非、今御答弁いただいた内容と併せて、そういう取組も進めていただければと思います。
 東日本大震災以降、自治体間の相互応援協定というのは増えていると思うんですが、この実態、消防庁把握されていますか。

○政府参考人(大庭誠司君) 消防庁では、毎年四月一日現在で自治体間の広域相互応援協定の締結状況について調査をしております。
 二十四年四月一日は出ていないんですけれども、東日本大震災直後の二十三年の四月一日現在ですと、全国の千七百四十七市区町村のうち千五百九十二、九一・一%で応援協定を締結しております。また、今お話のありました他の都道府県の市区町村と協定を結んでいる団体が八百四十団体、四八%となっております。
 また、東日本大震災を踏まえまして、こういう協定の内容の見直しや、同時に被災する可能性の低い遠隔地の市町村間で応援協定を締結したり、広域応援のネットワーク構築に取り組んでいる例もございまして、また、二十四年四月一日現在の調査を見ながら、その状況について対応していきたいと思います。

○吉川沙織君 防災対策推進検討会議が本年三月七日にまとめた中間報告を元にして、今回、災対法改正案もできているわけですけれども、この中間報告に対するパブリックコメントが今月、六月七日に公表されています。第四十九条の二の「他の者の応援を受け」に関していえば、他団体からの支援の受け方等を明記した受援計画を盛り込むべきではないかという、こういうコメントがあって、実際、今回改正案に盛り込まれています。
 受援計画というものは、他の者の応援を受けるに当たり必要不可欠なものですけれども、例えば、東日本大震災では、消防庁の緊急消防援助隊の献身的な救助・救急活動により多くの人命が救助されています。救援隊は受援計画を四十七都道府県全てにおいてもう策定済みですけれども、例えば、ほかの行政分野についても受援計画は重要になりますが、その策定状況について把握されているかどうか、お伺いします。

○政府参考人(大庭誠司君) お話ありましたとおり、緊急消防援助隊につきましては、消防庁の要綱によりまして、四十七都道府県で整備をされております。
 他の行政分野につきまして、消防庁として受援計画については統計的に把握しておりません。昨年五月に東日本大震災を踏まえまして通知をする中で、受援計画の検討、整備もお願いをしているところでありますし、また、十二月の防災基本計画の修正に併せて示しました地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会、この報告書の中でも、愛媛県、岐阜県、海老名市などの受援計画の例を示しながら、具体的、実践的な受援計画の策定を自治体に対してはお願いをしているところでございます。

○吉川沙織君 改正法第八十六条では、市町村、都道府県の区域を越える被災住民の受入れ手続、都道府県、国による調整手続が規定され、広域避難に関する調整規定が新設されました。ただ、この改正案の中で、この広域避難、避難という言葉を使用せず、広域一時滞在という用語が使用されています。
 現行法においての避難というのは、あくまで避難のための立ち退きであることから一時滞在という、こういう用語を使ったものであると思いますが、これまで災害時の避難に関する専門調査会が開催され、今年三月には専門調査会報告も出ていますし、これまでも避難に関する議論というのは多数なされてきたにもかかわらず、今回の改正案に避難の考え方が入らなかったことに対する理由をお伺いします。

○国務大臣(中川正春君) これまで整理されていたのは、大雨災害時の避難を中心に検討を行った災害時の避難に関する専門調査会が基本になっているんですね。今回は津波避難ということを改めて提起をしていかなければならないということでありますので、これのワーキンググループが現在も検討を進めております。ということで、これがまとまり次第、この避難についてもまとめた形で法律に反映をさせていきたいということです。

○吉川沙織君 是非、次期抜本改正の中ではその避難の考え方というものも整理していただいて、法律上の定義も難しいと思いますが、是非お願いしたいと思います。
 避難勧告や避難指示をどのタイミングで発令して、住民の方に避難の行動を起こしていただくかということも大事な問題になりますし、これまで各委員会でこの問題、指摘し続けてまいりました。
 今年一月三十一日、消防庁が避難勧告等に係る具体的な発令基準の策定状況調査を公表しており、平成二十三年十一月一日現在の策定状況が調査されています。これによりますと、消防庁からの基準に係る点検の要請があったことなどを受けて、発令基準の策定に未着手と回答した自治体の割合は低下しておりますが、未着手理由として、策定方法が分からない、人的、財政的な事情、担当者が少ないなどを挙げている自治体があります。こういった現実をシビアに直視しますと、こういった自治体は最後までなくならないかもしれません。
 これまで、相談があれば助言をするという趣旨の答弁をずっと聞き続けてまいりましたけれども、東日本大震災の教訓を踏まえ、従来の受け身の態度ではなく、例えば専門家を派遣するなどして支援を行うということも考えられると思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 貴重な提言をいただきました。
 積極的にその辺、専門家のネットワークをつくるということと同時に、それぞれの地方自治体で専門家を育てるということを考えていかないといけないというふうに思っておりまして、そうした仕組みもつくっていきたいというふうに思います。

○吉川沙織君 結局、地方自治体の防災担当の職員の方が専任でない場合、つまり兼務体制であって、台風十二号のときもそうでしたけれども、担当者が一人で対応が結局後手後手になったという反省等もありますので、今御答弁いただきましたとおり、防災担当に専門性のある人をつくっていただくということも大事だと思いますので、是非お願いします。
 避難勧告、避難指示を適切に発令した後、避難行動を促すためにも防災拠点となり得る行政庁舎の機能は絶対に失われてはなりませんが、東日本大震災では残念ながらそのような事態に遭遇、直面をしてしまいました。
 これは先週の予算委員会でも申し上げたんですけれども、この東日本大震災を踏まえた後、市町村の業務継続計画、BCPの策定状況というのは結局、市町村でたった四・三%、そして今後も策定予定がない団体が六八・七%にも上ってしまっています。昨年の年末に修正をされた防災基本計画の中でも、第二編地震災害対策編と第三編津波災害対策編第五節の二の七でこの業務継続計画の大切さというのはうたわれていますけれども、東日本総括担当大臣、この件についていかがでしょうか。

○国務大臣(平野達男君) 業務継続計画、いわゆるBCPと言われるものですけれども、まず、政府においても各省のBCPが必ずしも十分ではなかったということについては東日本大震災の後を受けての各省のBCPの状況を調査して分かりまして、その後、私が防災担当大臣のときではございましたけれども、BCP、いわゆる各省の事業継続計画の徹底的な見直しを要請して、今まだその策定作業中であります。
 同じことは自治体でも、例えば県庁所在地あるいは一般の市町村等々においてもこの事業継続計画というのは、業務継続計画というのは、これは必要なんだろうと思います。特に、首都直下型といったようなものが予想されるような地域においては、まあ東京都は多分しっかりとしたものを作っておられると思うんですけれども、各県、各市町村、これはしっかりとした計画を作って、いざというときに備えるという体制を取っておくことは非常に大事なことではないかというふうに思います。

○吉川沙織君 今、平野大臣から中央省庁においても十分ではないという、そういう言及もございましたけれども、例えば、この中央省庁についてちゃんとできていない、それから自治体においても残念ながらまだまだ策定予定すらない団体が多い、この理由について分析して、更に徹底的に対策を講じるべきと考えますが、その点についていかがでしょうか。

○国務大臣(平野達男君) 理由といいますか、一応あったんですが、想定はやはりかなり甘い想定ということがまず一点あると思います。
 例えば、首都直下型の中で一番最初に私が気にしたのは何かといいますと、日中に地震が来ますと大量の帰宅困難者が発生しますけれども、夜に地震が来ますと霞が関に今度は人が集まらないという、そういう事態が生じます。じゃ、どういう地震のときにどれだけの人が集められるのかといったようなこと、こういったことの想定についてもまだ十分でなかったという、まずその想定の問題が一番大きかったというふうに感じております。

○吉川沙織君 平成二十二年十一月十一日の総務委員会の質疑で、大規模水害対策に関する一都六県、これは東京都含まれていますが、この災害対策本部を設置予定の本庁舎等の水害対策を実施していない団体、東京都も含みますけれども、市区町村が約四八%に上っている内閣府の調査結果を紹介した上で、「まず同様の調査を全国で行って現状把握に努めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。」と指摘申し上げました。これに対して当時の内閣府副大臣は、「全くそのとおりだというふうに思います。」と答弁されましたが、その後、調査行っているか行っていないかだけお答えいただけると有り難いです。

○大臣政務官(郡和子君) 御指摘、重要なところだと思っております。それぞれの庁舎の浸水危険性を把握した上で、必要な対策がしっかりと取れるように更に周知徹底するとともに、必要に応じて今後も更に調査をしてまいりたいと思います。

○吉川沙織君 先ほど平野大臣から想定が甘かったということもございましたけれども、今申し上げました避難訓練、避難勧告、避難指示の発令基準、BCPの策定の現状、全てにおいてやはり策定のノウハウが分からない、それから人的、財政的な余裕がない、そういったこともありますので、是非、東日本大震災の反省と教訓を踏まえ、理由を分析し、国として国民の生命、身体、財産を守るためにできる方策はあらゆる手段を講じて取るべきであるということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○小坂憲次君 自由民主党の小坂憲次でございます。
 まずもって、今回改正は一年三か月前の東日本大震災の検証と反省の上に行われるものでありまして、改めてかの大震災で亡くなられた皆様の御冥福をお祈りをいたしますとともに、被災をされました皆様に心からお見舞いを申し上げるわけでございます。
 また、昨日来の台風によりましても、いまだその被害の全容は明らかではございませんけれども、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げたいと存じます。
 さて、政府は、得られた教訓を今後に生かしと提案理由の中において述べまして、大震災への対応を徹底的に検証し、教訓の総括を行った上で防災対策全般を見直すとしております。
 そして、本改正案は、防災対策推進検討会議の中間報告に対応した当面の取組方針を反映したものと理解をいたしているわけでございますが、しかし、平成七年の災害対策基本法の改正に携わった者として、今回改正で第十一条二項が削除されました、中央防災会議の所掌事務から「非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、及びその実施を推進する」、このことが削除されたことに疑問を持っているわけでございます。
 このことの詳細は後ほど質問の中で述べてまいりますが、当時、未曽有の大規模震災、大震災と言われた阪神・淡路大震災の教訓の一つは中央防災会議を十分に機能させなかったことであると考えておりまして、このことは当時の村山内閣に指摘した点でもございます。
 そういったことも踏まえまして、まず第一の質問は、現行法は、今申し上げた平成七年一月十七日の阪神・淡路大震災における教訓を踏まえて、同年の六月と十二月に改正をされたわけでございます。では、今回の東日本大震災からの教訓、課題として何が今改正案に反映をされているのか、まずもって中川防災担当大臣、平野復興担当大臣にお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) まさに先ほど御指摘のように、今回の法改正というのがこれで全てだということではなくて、まず第一歩だというふうに御理解をいただければ有り難いというふうに思います。東日本大震災の検証、これを徹底的にやっていくということで中間報告を出したわけですけれども、夏ごろには最終報告を出して、その中で、この基本法だけではなくて、救助法であるとかあるいは支援法等々を含めて、関連法案も中に入れながら総合的な改正ということを考えていきたいというふうに思います。
 その上で、今回の改正が東日本大震災の中の教訓のベースになっている、何を一つ根拠に改正をしているかということでありますが、三つほどございまして、第一に、地方公共団体の対応能力を超える災害への即応力、これが大きな課題であったということ。広域災害、それから非常に災害自体が激甚であったということで地方公共団体自体が潰れてしまったということでありますが、その能力を、即応力を超えること、これを踏まえて、その強化の観点から、一つは、被災により市町村が被害状況の報告ができなくなった場合における都道府県による情報収集の規定や、それから地方公共団体間の応援について、対象業務の拡充、それから国や都道府県による調整規定の新設、拡充等を行うことといたしました。
 それから第二に、支援物資の供給を始めとする被災者支援においてあらかじめ制度的な枠組みが整備されていなかったということでありまして、発災当初は相当混乱をして、手探りでスピード感に欠けていたということがあります。それに対して、一つは物資の供給の仕組みの創設をいたしました。それから次に、市町村や都道府県の区域を超えて避難を行う枠組みを設けることといたしました。
 それから次に、第三でありますが、これは釜石の奇跡のように、防災に向けた不断の努力が大切であると改めて実感をしたということであります。そのことに対して、住民による教訓の伝承の努力義務化、それから各防災機関における防災教育の実施の努力義務化ということを規定をいたしました。
 この三点でありますが、これから更に次の法改正の中で考えていかなければならない課題はまだたくさんあるんですけれども、その中でも特に国家的緊急事態への対応であるとか、それから被災者支援対策の体系化等々重要な課題が残っておりますので、引き続き検討して、次の国会へ向いてしっかり上げていけるような体制をつくっていきたいというふうに思っております。

○国務大臣(平野達男君) 中川大臣の御答弁に大きく付け加えることはございませんけれども、今回の改正については先ほどの御答弁のとおりだと思います。
 あと、これから、今回の東日本大震災、東北地方の沿岸地域で起こったんですが、あのスケールの震災が首都直下、首都圏で起こった場合、あるいは東南海で起こった場合、もっともっと違う様相が出てくるというふうに考えなくちゃなりません。そういったことを想定しての対応ということがこれからの課題になってくるのではないかというふうに考えております。

○小坂憲次君 いずれの大臣の御答弁も私は適切な認識だと思いますし、更にそれを進めて、次なる改正へ向けていただきたいと思うわけであります。
 現在、国において、災害の規模に応じて、大臣を本部長とする非常災害対策本部と、総理を本部長とする緊急災害対策本部が置かれることとなっております。
 私は、危機管理の要諦は、いつも申し上げるんですが、災害の報告を受けた窓口に当たる者が本当の危機に際してその危機を危機と認識できるかどうか、その感性といいますか、その対応のまず動作の基本になるものがその感性ではないかと思っておるんです。その感性は、気働きができるというような基本的な素質に加えて、いろいろな種類の災害に遭遇し、それを経験し、またそれに関する知識を調べて蓄積をし、実際の経験と反省の積み重ねによってその感性は更に磨かれるものと思っております。
 そういう人をやはり防災担当大臣あるいは危機管理監のような立場のところに据えることが私は大切だと思っておりまして、現在、その任に当たる方にはそういったことを肝に銘じて頑張っていただきたい、こう思うわけでありますが、同時に、今、非常災害対策本部、緊急災害対策本部というふうに分かれておりますが、私は、消防に例えれば、火災の第一報が入ったときに、それを受けた人間が、ああ、これはぼやだなと思って消防車一台を派遣するというようなことは基本的にはしないはずなんですね。まずはそのときに可能なユニットを派遣して、現地へ赴いて、ああ、これはぼやだと、こんなにたくさんは必要ない、はしご車も要らないということになれば、それをそれぞれ解除して、戻してその火災に対応するというのが現実的な話だと思うんです。
 ですから、そういう意味でいえば、地震にしろ、あるいは台風災害にしろ、発災直後には全容が明らかになっておりませんから、まずは非常災害、緊急災害の両方の本部長は総理が兼ねるという形で設定をしておいて、そして、実際にその災害が、交通災害であって例えば列車事故であるが、その列車事故のそばに、列車が車とぶつかって、タンカーとぶつかって、ガソリン輸送車といいますか、火災が起こった、そのそばにガソリンタンクがあるのでこれは大変な災害だと。
 国土交通大臣とともに経済産業大臣等が担当に当たるというような形で非常災害対策本部を起こすのではなくて、これは大きな規模であった場合、実際にはまず、それがどのような状況が周りにあるか分からないということから、本部はすぐに立ち上げて、いずれも総理大臣が指揮を執るという体制の下で実際の状況を把握する。把握した後に、これは国土交通大臣が主管すべき事項である、あるいは薬品等の、サリンのようなそういったものであるというようなことになればそれなりに担当大臣を選んで指名するということになってくるんだと思うんです。総理大臣としての権限を授権するということで対応していくのが実際的な対応ではないかと思っております。
 そういう意味で、初動対応をできるだけ速やかに行うという意味で、平成七年の改正のときには、災害緊急事態の布告をもって緊急災害対策本部というのは立ち上がることになっておりましたけれども、その布告をなしにして直ちに緊急災害対策本部を立ち上がれるような、実際にその災害が著しく激甚かつ大規模なものという場合には直ちに緊急災害対策本部が立ち上がれるようにしたんですね。
 そういった事項を作った今回の緊急災害対策本部はその布告なしで設置された最初の緊対本部でありますので、それをなくしたことによってどのような効果があったのか、また逆に何か課題があったのか、この点について平野復興担当大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平野達男君) 今、小坂委員から御紹介がありましたように、平成七年の災対法改正で災害緊急事態の布告がなくても緊急災害対策本部が設置可能となりまして、さきの東日本、さきのというか昨年の東日本大震災の発生時におきましては、法改正後初めて、法律に基づきまして内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を発災から約三十分後に設置しております。
 発災後一時間以内に第一回会議を開催し、総理のリーダーシップの下、政府としての初動の対応方針を決定しております。当日夕方には内閣府副大臣を団長とする政府調査団を被災地に派遣し、翌日には緊急災害現地対策本部を設置しておりますなど、こういったもの、過去の教訓を踏まえまして、日ごろの訓練の成果も生かし、政府としては、まずは迅速な初動体制を取ることができたというふうに思っております。
 しかし、その後、原発事故が発生をいたしまして、この原発の災害対策本部を今度は設置することになります。こういう二頭立て体制というのはもうほとんど当初の中からは想定していない、想定外という言葉は使うなと言われておりますけれども、そこからまず本部の中で若干のというか、少なからず混乱は生じたというふうに思っています。
 それからもう一つは、先ほど委員、感性と言われました。その感性という言葉は非常に重要な言葉だと思います。地元の自治体が被災をしているというこの深刻さということについては、これは私自身の自戒も踏まえてなんですけれども、その深刻さということの把握に随分、結構時間が掛かったのではないかと思います。ですから、いつまでたっても被災自治体は動いているものだという前提で動いていたという、そういう感じを今、いまだに強く持っておりまして、まだ被災自治体が傷んでいるということについての共通認識については、依然として政府の中でももっともっとこれ深刻にとらえて今後のことを考える必要があるというふうに考えてもおります。
 そういったことで、先ほど、あと、中川大臣からも御答弁がございましたけれども、今回改正すべきものは改正をしたと、第一弾として改正すべきものを出させていただきまして、第二弾以降、引き続き必要な改正を行ってまいるといったことでその準備を今進めているということであります。

○小坂憲次君 冒頭に申し上げた中央防災会議の話でございますけれども、今回、災害発生直後に災害の規模やその拡大状況あるいは被害状況全体像等が、情報が混乱して把握が困難である、迅速な初動体制を確立するには災害発生直後に非常災害対策本部を今申し上げたような形で設置して、災害規模や状況に応じて総理を本部長とする緊急対策本部に変えるんではなくて逆をやれということを今申し上げたんですが、今回の改正において、災害対策の実態を踏まえて災害即応力を向上させることを目的とし、国の中央防災会議と非常あるいは緊急災害対策本部の役割分担の見直しが行われるというふうになっております。
 災害発生時において中央防災会議を開催して緊急措置に関する計画が作成された実績がないということを理由に、中央防災会議の規定であります十一条二項が削除をされることになったというふうに聞いております。この理由は、これまでの災害対応において本来の機能を十分果たしていなかったというふうに言われるわけですが、私は、中央防災会議の早期立ち上げがなかったことが、今回の災害も、あるいは阪神・淡路のときもこれが問題であったんではないかと思っているんです。
 それはなぜかといいますと、中央防災会議は、総理を議長として全閣僚、そして指定公共機関、学識経験者から成る組織として組み上がっているわけでありまして、まず災害の状況が時々刻々と入手されますが、中央防災会議を開催して、その被災状況の全容、全容ではなくて、その時点で分かっている全ての事象をテーブルの上に全部出して、そしてそれぞれの分掌にわたって、例えば孤立した人たちがいるという情報があれば、じゃ、これは自衛隊で対応ができないだろうか、あるいは食料の欠乏があって避難所が孤立していろいろなところにある、じゃ、これはヘリコプターで食料を輸送したり救急物資を輸送するにはどこが対応できるか、海上保安庁のヘリで運んでいくのか、あるいは警察のヘリ、あるいはそういった輸送機関の活用が民間のものも活用できるのか、そういったものをテーブルの上へ全部出して、それぞれのところに役割分担を割り振って、そしてそれを持ち帰ってそれぞれが検討して次の会議に回答を持ってくるような形で、まずその仕分が、全てがテーブルの上に出てそれを仕分けるという作業が必要だと思うんですね。
 中央防災会議の役割としてそれがあるはずなんですが、それが十分行われなかったことが、今回の初動の段階で関係の各機関の役割分担が明確にならなかったから最大三十近くの本部組織が次から次へと設立されて、本部の乱立につながったのではないかという疑問を私は持っているわけであります。
 そういう印象を持っているわけでございますので、そういった意味で、中央防災会議の所掌事務を削除するのではなくて、それを生かす反省をしなければいけなかったんではないか、このように思っているんでありますが、この点につきまして、実際にその場に当たられた復興担当並びに防災担当、両方の大臣の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(平野達男君) 中央防災会議の開催ということにつきましては様々な御意見があるということは承知しておりますけれども、私の当時の現場の感覚からいいますと、あのときは各省が一つのやっぱり情報を、各省なりの情報をつかみながら各省が独自で対応していたということで、その間の当初の連携が取れていなかったという御指摘がございますけれども、例えば国交省については、もう被災直後から東北整備局が現地に行って道路の開通に全力を尽くすという、これは一つの体系ができておりました。農水省は農水省の中ですぐ食料を集めるという、動き出しておりました。ただ、問題は、そこ全体の中で、政府全体としてどれだけ統一的な行動を取れていたかということについては、これはなお検証が必要だというふうに思っております。
 そしてあと、様々な情報については別な、中央防災会議といった形の体制を取るのではなくて、私はむしろ現地レベルでの防災の、例えば整備局なら整備局、農政局なら農政局、そちら側の対応の方がずっと重要ではなかったかというふうに思っております。原子力災害は別です。
 そういった現地現地の中でどういった行動を取ったのかといったことについての検証はまだ十分行っておりませんけれども、この中央防災会議といった中にそこまでの権限、例えばどの地区に人が孤立しているからヘリコプターのこの省だよ、この省だよということではなくて、むしろ、こういうものがありますと自衛隊はこう動く、海上保安庁はこう動くということについてのある程度の方向性ができています。それをどのように動かすかということについては、緊急災害対策本部でもできますし、むしろ私は現地の中での様々な情報交換の中から動き出すという仕組みをもっと強化することの方が効果があるのではないかというふうに考えております。

○国務大臣(中川正春君) 今回、そこのところを整理させていただいたわけですが、基本的には、危機対応ということとそれから常時の予防防災に対する企画立案という機能、実はこの二つが元々この中央防災会議に求められていた機能ではなかったかと思うんですね。それに対して、もう一つ、災害対策本部とか緊対本部というふうな形で危機対応組織を発災時につくるということで機能させようとしていたんだというふうに思うんですね。そこのところを改めて議論するのに、先生のおっしゃるように、中央防災会議のその危機対応機能というのをしっかり発動させるべきではなかったかという御意見、これは一つあると思うんです。
 しかし、現実には、学識経験者とか指定公共機関とか、それこそ企画立案を常時の中でやっていく中でのその構成要員でありますので、発災時にそれが即集められるかというふうな物理的な問題であるとか、あるいは機能として、危機対応というのは情報をまず集めて、情報というのは何がどこで起こっているのかというその情報、それから支援に対してのニーズをどうつかんでいくかというそういうものと、それからもう一つは、それを解決するためにどこに資源があるか、どういう方法でもってそれを解決しようとするかという、そっちの資源の方の情報ですね、これをマッチングしていくということが必要なんだろうというふうに思うんですけれども、それをやろうと思うと、やはり総理大臣や担当大臣が機動的に各省庁を動かしていく、必要とあらばそのときに、今回それを付加したんですけれども、必要とあらばそのときに指定の公共機関であるとか必要な人員というのを呼び出して、そこで指示ができるような体制を危機体制でつくっていくということ、こんなことを分けて一つ考えていく方が機能的ではないかという判断をさせていただいたということであります。
 ですから、今回の整理では、中央防災会議はそうした意味では企画立案をしていく分野に特化をしていって、危機対応というのは災害対策本部あるいは緊対本部の方でやっていくということで、しっかり振り分けた上で機能させていくということをはっきりさせていった方がこれからの対応としてスムーズにいくのではないかという考え方を取ったということであります。

○小坂憲次君 今両大臣のおっしゃったことは間違いではないと思います。確かに、災害が発生したらば、まず情報を集めなければなりませんし、それぞれのつかさつかさで対応できるものについては緊急的な対応をしていただかなければなりません。
 しかしながら、今回の津波災害が、地震の後にまた津波、そして原子力災害というものにつながったように、それぞれが別の災害であるようでいてそれぞれに絡み合っていますし、それぞれの対応は、今度対応する方からすれば、同じ人間が対応していかなきゃいけないわけですね。要するに、同じ人間というのは、危機管理組織が対応していかなきゃいけないわけであります。
 そういう意味からすると、それを束ねる場がなければいけないという意味で、中央防災会議は激甚かつ大規模な、未曽有と言われるような規模の災害のときにこそ活用されるべきだと私は主張をしたいのであります。要するに、それがないから、今度はじゃこの部分で対応する本部を立ち上げようというようなことで、次から次へと本部を立ち上げてしまう結果になったんではないのかと。むしろ、そういう中央防災会議という、本来法律上も規定された組織がしっかり機能することによって、そのテーブルの上で的確な仕分が行われるならば、新たな本部なくしてそれぞれのつかさつかさの組織の活用ができる、有機的な結合が行われるんではないかという指摘でございます。
 これにつきましてはもっと議論をしていかなければなりませんし、そのことを現在、緊急検討会議で検討されていると思いますので、更なる改正につながるように詰めていただきたいと思っております。
 ただ、この中央防災会議のメンバーにしろ、あるいはその権限を移譲された緊対本部等の災害対策本部においてでもでございますが、指定公共機関の在り方、また指定公共機関の指名される組織については、これは更なる見直しと拡充を図っていただかなければならないと思っております。
 現在、指定公共機関として中央防災に指定されております輸送機関は日本通運だけでございますけれども、今回の災害の輸送に当たっては、広範なボランティア組織あるいは民間の輸送業者、こういったものの活用が図られておりますし、また、海上災害等を考えれば、これは海運組合あるいは個別の海上輸送会社が指定されるべきだと思いますし、また、今回も医療関係のことについては医師会や歯科医師会の協力なくして進まなかったと思いますから、こういった分野も指定公共機関の中に加える必要があると思っております。そういった人たちを一堂に会してテーブルの上で協議するにはやはりその場の設定が必要でありますから、中央防災会議でもしそれができないというのであれば、その機能を緊対本部等の災害対策本部に充実をさせることをやはり考えていただきたい。このことも併せてお願いをし、指摘をしておきたいと思います。
 更に申し上げるならば、五十六の指定公共機関が現在あるわけでありますけれども、この中で中央防災会議の指定は、日本銀行、日本赤十字社、NHK、NTTの四者のみであります。そういう意味で、今申し上げたような拡充を図るに当たっては、更にその五十六の指定公共機関の中にもある電気だとかガスあるいはJR等々の機関も併せて、ロジスティクスの充実と併せてこういった分野にも目を向けていただいて、指定公共機関を再考していただきたい、このことを重ねて申し上げておきます。
 さて、今申し上げた部分にも重なってまいりますが、改正案の第八十六条の七以下の物資等の供給及び輸送について、東日本大震災において各被災地において物資、建築資材等の供給輸送において支障が生じ、問題となりましたことから、物資等の供給及び輸送について、被災地である都道府県又は市町村から国の機関又は都道府県に対し、物資、資材の供給の要請、また各機関で備蓄している物資の供給、災害応急対策、必要物資の輸送について新たに規定が設けられることとなりました。
 前述のとおり、指定公共機関として輸送可能な事業者は日本通運、JR貨物、日本郵便のみであり、これでは法改正をいたしましても実効性が担保できないと思うわけであります。この点につきまして、防災担当大臣の御意見を伺いたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 物資の輸送に当たっては、一つは、今度はプッシュ型を採用したといいますか、相手の要請を待たずにこちらから押し込んでいくというようなこともできるという規定を入れました。同時に、御指摘あったように、指定公共機関、限られた部分になっているということ、これは私も同様に感じております。
 それで、実は、中央の防災会議の中での議論をするのがいいのか、それとも、それぞれ広域的な地方自治体も含めた形の協議会を構成をして、その中により広い、いわゆる災害の支援当事者といいますか、そういう人たちを結集をして調整をしていく、あるいは訓練ということを通じてそこから問題点を抽出をしていくというような、そんな機能を持たせるような形での協議会の構成というのがいいのではないかというふうに考えまして、首都直下とそれから南海トラフについてはその段取りを今始めております。
 これは、首都直下は、関東圏の自治体とそれから関連の指定業者だけではなくて、更に広いところを結集しながら、是非そうしたシステムを組んでいきたいと思っております。
 南海トラフについては、先般、南海トラフ全体でそうした会議を開いたんですけれども、これから先はブロック化をしていって、四国や近畿やあるいは東海やということで、全体で六つぐらいの協議会を構成をしてそんな体制をつくっていきたいというふうに思っておりまして、それを法定化していくのがいいのか、それとも実質の運用の中でやっていくのがいいのかというのはこれから検討をしていきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、御指摘のように、更に幅の広い当事者が全体としていざというときにシステムが組める、それがふだんから訓練という形で実現化できるという体制、これをつくっていきたいというふうに思っております。

○小坂憲次君 次の点でありますが、まあ似たような話ばかりになってしまうんですが、今回の法改正では、東日本大震災において三陸沿岸の市町村の職員及び庁舎が被災をいたしまして行政機能が著しく低下したことを踏まえて、先ほど大臣がおっしゃったように、市町村をバックアップする体制の強化がなされたところでありますけれども、岩手、宮城、福島、三県とも、県庁こそ被災はしなかったものの、沿岸部にある事務所は被災をしておりまして、県においても行政機能が低下したことを考えますと、被害により都道府県の行政機能が著しく低下する事態も想定した体制づくりというものをしておくべきだと思うんでありますが、この点につきまして、防災担当大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 今回のそうした現実を踏まえて、例えば全国市長会あるいは全国町村会と総務省のスキームにおいては、被災した五十七団体に対して千三百十四名の市区町村職員の派遣を実施をしているというふうに承知をしております。
 こうした支援体制を常時のその協定の中で、わざわざ中央までそういう要請を持ってこなくとも自発的にできていくようなそういうシステムというのを一つはつくっていくということ、これは原則だと思うんです。その上で、それがなかなか達成できないといいますか、支障が起きていく場合に県が調整をし、そして更に国の方が調整をしていくということで円滑に実施していくと。いわゆる円滑に実施していくところを国が補完をしていくというふうな考え方で、今回の法律の中に設定をしたということであります。

○小坂憲次君 市町村の応援に加えて、県に対する国の応援、この体制づくりも併せてお願いをしておきたいと思います。
 また、この大規模広域な災害を想定しての応急措置を含む災害応急対策については、新たに災害が発生している都道府県から内閣総理大臣に対して応援先の都道府県の選定を求める規定が設けられました。しかし、早期に被災地支援を確実にする観点から考えますと、出先機関を含めて国の機関に対して直接に県並びにできれば市町村からも応援を求められるようにすることも検討すべきと思いますが、この点については、防災担当大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 市町村に対する国の機関の人的支援としては、いわゆる基本法では、職員を比較的長期間派遣する職員派遣の制度が現在存在しています、これは二十九条でありますが。国の支援としては、職員の専門技術や知識に着目したこの制度を活用することが有効というふうに考えております。
 一方、御指摘のその応援制度というのは、発災時に緊急に大量のマンパワーが必要な場合、これが比較的短期間に支援を行う制度ということでありまして、これは基本的には地方公共団体相互間のみの枠組みとされているところであります。それで先ほどの御指摘があったんだろうというふうに思うんですが、現行の災害対策基本法の構造上、災害対策は市町村対応を基本としておって、それを都道府県が補完をし、必要に応じ国が補完をするという、これが今の法律の体系になっておりますので、このマンパワーに着目した人的支援である応援については、このような現行の災対法の基本構造を前提として今回の改正を行っております。
 したがって、これから先ほどの御指摘については検討をしていきたいというふうに思っておるんですけれども、特に国家的緊急事態、なかなか県の対応では市町村をカバーできないというふうなそういう国家的緊急事態における国、都道府県、市町村の役割分担の中でこうした問題も見直し、検討をしていきたいというふうに思っております。

○小坂憲次君 大分御回答をいただいた中に含まれているんでどうしようかとは思いましたが、一応聞かせていただきます。
 今回の改正において、応援対策業務にかかわる地方公共団体間の応援規定について、国による調整規定が新設されることとなりました。こうした調整を行うに当たりましては、今おっしゃったように、全国知事会を中心とした都道府県間の取組が極めて重要であります。東日本大震災においても、知事会を通じて様々な相互応援のあっせんが行われました。発災時に国や各都道府県等から情報提供や支援要請が一気に知事会事務局に寄せられまして、調整機能が十分に果たせなくなったこともあったわけでありまして、今回の見直しの大きなこれが理由ともされております。
 知事会の行っている取組は市町村においても検討されております。こうした機関の果たす役割と中央防災会議そして災害対策本部とが連携していかなければ、有効な応急対策、広域調整は行えないと考えます。
 まず、今回の大震災において、広域的な支援の調整としてどのようなことを実施したのか、また、その際どのような課題があったために今回の改正につながったのか。
 また、東日本大震災において、発災当初は地方と国との情報の共有がうまく図れなかったのではないかという指摘もあります。広域的な対応を有効にするためには、緊急あるいは非常災害対策本部において被災地、そしてそれ以外の地域との情報の共有など、連携強化を図る必要があるのではないかと思っております。その意味で、中央防災会議には全国知事会災害対策特別委員長、現在は泉田新潟県知事でありますけれども、が参加しておりまして、災害応急対策に当たって中央防災会議の活用という観点もあると考えます。
 今回の改正により、中央防災会議と防災対策本部との役割が見直されることになっておりますけれども、中央防災会議は応急対策の実施にかかわらないこととなってしまいます。この改正はどういう考えに基づき行われたのか、防災担当大臣に伺いたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) まず、前半の問題ですが、東日本大震災では全国知事会の調整による応援、それから関西広域連合による応援及び全国市長会、全国町村会と総務省による職員の派遣スキームなど、地方公共団体間の広域的な応援が積極的になされました。その結果、先ほど申し上げたように、五十七団体、千三百十四名の職員の派遣が実施ができたということでありますが、ただし、被災直後については、これは明確な応援の仕組みがあらかじめ用意されていなかったということで、職員の応援において、その期間それから能力などの被災者のニーズと、それから派遣する方の職員とのマッチングというのが困難であったというふうなことなどの課題も指摘をされております。
 そうしたことを受けて、今回、基本法の応援の規定を拡充をしていきたいということで、都道府県知事や、それから内閣総理大臣の調整規定を設けております。この規定による応援というのは、それぞれ地方自治体間の協定や地方自治体が構成する組織による調整などによって実施される応援が円滑に実施されないということに至った場合に、これを補完をするという考え方で調整機能というのをここに付加をしたということであります。総務省や全国知事会、全国市長会及び全国町村会などと連携をしていくということはもう大前提でありますので、これからもそういう体制をつくり続けていきたいということです。
 それから、防災会議との関係は、先ほど申し上げましたように、こういう問題をとらえて、防災会議の方ではどういう法の改善をしていくか、あるいは仕組みというものをつくっていくかということに集中して議論をしていただくということで、いざ発災ということになって緊急対応ということになると対策本部の方でそれをこの規定に基づいて実施をしていくと、そういう役割分担を明確にしていくということであります。

○国務大臣(平野達男君) ちょっと補足させていただいてよろしいですか。

○委員長(松下新平君) 平野大臣。

○国務大臣(平野達男君) 発災当初は、例えばもう委員も御承知のとおりかと思いますけれども、例えば水道、ガス、これは国が何を言わなくても自治体間でもう既に応援をするという仕組みができています。水道に関しましては、厚生労働省の当時の大塚副大臣がヘッドに立って呼びかけはしましたけれども、呼びかけを待たずしてもう動き出す。それから、警察、消防、これももう被災がありますと一気に動き出します。
 こういった仕組みはこれからも大事にしなくちゃならないというふうに思いますし、むしろ、こういう被災があった場合に動き出すという仕組みを事務レベルの中でも、事務レベルというのは、例えば市町村で事務員がいない場合がある、被災したという場合にすぐ応援出せるというような仕組みをやっぱり考えておく必要があるんだろうというふうに思っています。これが私は東日本大震災の一つのやっぱり教訓だと思っています。
 私は、自治体の被災の状況が把握できなかったということについては、繰り返し言いますけれども、物すごいやっぱり遅れたと思っています。それで、被災自治体の職員がいなくなっているということ、何人いなくなっているということについての把握もちょっと遅れました。そして、それが実際に復旧復興に対してどういう影響があるかという認識も遅れたという深い認識をというか、反省に立たなくちゃならないというふうに思っています。
 その上で、参考になるのが先ほど言った水道とかガス、そういったものに関して、あるいは下水道もそうです。そうした一つの体系ができ上がっているんだということについては、これからの広域のいろんな避難、あるいは大きな災害があった場合の一つの大きなモデルになるのではないかということについてはこの委員会でも繰り返し申し述べてきたことでありますし、今回もそういったことを意図して私は災害基本法の改正はやられていると思うんですけれども、このことの体制の構築がどこまでできるかということも次の震災に備える一つの大きな鍵になるのではないかというふうに思っています。

○小坂憲次君 今両大臣のお答えにもありましたけれども、我々日本列島は災害列島とも呼ばれるほどに地震、あるいは台風、津波、そして最近では竜巻、豪雨、地すべりと、いろいろな災害があるわけでございまして、残念といいますか、災害が多いことは決して好ましいことではないわけでありますが、自律的にそれに対応する機能も育成されてきた。そのことが今、平野大臣のおっしゃったライフラインの復旧に対して相互協力が国の要請なくして自発的に行われて、国がそこに目を向けたときには既に動いていた、こういう状況につながったと思うことで、これは好ましいことだと思うわけでありますけれども、そういったものを踏まえて更なるこの法律の改正をしていただきたい。そして、そういったものも法律上裏打ちをして財政的にも支援できる体制を整えていく、このことが求められていると思っております。
 平成七年の改正のときも、六月と十二月、二回に分けて改正が行われました。喫緊のものを今回の改正に、そして更なる充実を次回の改正で図っていくというこの方向性は間違っていないと思いますが、次回の改正までに更なる検討を進め、充実を図っていただきたい、こう思っております。
 さはさりながら、見返してみますと、私の平成七年十月、第百三十四国会で行った質問を見ますと、指摘がかなり似ているんですね。阪神・淡路の後での反省点と今回の反省点、かなりの部分が似通っておりますし、新たな課題としてそのとき指摘されたことは現在も有効な課題であるということになります。
 それは、例えば住民の防災意識の高揚、二つ目に高齢者、障害者、乳幼児等災害弱者への配慮、第三にボランティアによる災害緊急援助活動の支援、四つには海外からの支援の受入れ体制の整備、五つには地方公共団体相互の応援協定の促進、六つには火山現象等による長期的な災害に対する対策、七つ目には警戒区域設定における知事の権限の追加と国の支援体制、このようになっておりまして、見返しますと、いつの時代も災害があるとみんな反省はするんですけれども、それが十分に生かされていない面がございます。
 是非ともしっかりとした反省に基づいて次の改正を行うことを期待し、私の質問を終わりたいと思います。

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 災害対策基本法の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、本改正案は東日本大震災の教訓を受けて防災対策の全般的な見直しを行うものであり、大変重要な改正案と考えております。ただ、次の国会以降に先送りされた重要項目も多くあり、不十分な改正という思いもまた一方であるわけであります。中川防災担当大臣の本改正に対する所見をまずお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 東日本の大震災を受けて、それを徹底的に検証していく、そこから作業を始めまして、その中から、一つは法の改正、もう一つは様々な制度を見直していく、そして地方自治体あるいは住民あるいは民間団体も含めて新たな具体的な改革をしていくということ、これが私に課せられた、あるいはまた日本という国に課せられた将来に対する礎だというふうに思っております。
 そういう思いの中で、今回、法改正、まず第一弾ということですが、これは先ほど申し上げたように第一弾でありまして、必ず第二弾が続きます。検討会議が今行われているんですが、中間報告がまとまりました。その中間報告に基づいた形で今回の法案の改正というのをまずやったということでありまして、先ほど中身については説明させていただいたんですが、あと残っている部分ですね。次の改正で、できれば、この夏には検討会議の報告全体がまとまってきますので、そこで間に合うように、東日本大震災を超える巨大な自然災害における国家的緊急事態、これにおける国と地方の役割の分担の在り方、それから減災等の防災の理念の明確化、それから被災者生活再建支援法あるいは災害救助法等トータルな法制の見直し、それから迅速かつ円滑な復興を図るための復興の枠組み、今の基本法では復興までは入っていないんですよね、危機対応で、少なくとも復旧くらいで終わっているということなものですから、復興というものに対してどういう国の体系を取っていくかというところなどについてまとめて、所要の法案が提出できるように更に努力をしていきたいというふうに思っております。

○渡辺孝男君 復興も含めてという、これからまた改正が第二弾、場合によってはその次ということで出てくるということでありまして、しっかり今回の東日本大震災の検証を踏まえまして対応していただきたいと思います。
 次に、個別の話になりますけれども、東日本大震災では災害時における被災者の救援活動や被災者の各種手続に関する多くの問題が出てまいりました。被災者に必要な支援が迅速に提供できないという問題が生じたわけであります。
 公明党としましては、阪神・淡路大震災を機に兵庫県の西宮市情報センターが開発をしました要支援者管理システムあるいは被災者支援システムが大変有効であるということを勉強させていただきました。また、これを受け入れております福島県須賀川市の視察も行わせていただきました。スムーズな罹災証明書の発行や義援金の支給などに役立っているというお話をいただいたわけであります。
 公明党としましては、このようなシステムを各自治体で普及すべきであると、そのように考えておりますが、本改正案ではどのような被災者支援のための情報管理システムの構築に関しまして検討がなされ、対応が行われているのか、この点を郡内閣府大臣政務官にお伺いをしたいと思います。

○大臣政務官(郡和子君) 御指摘のように、被災された方々お一人お一人の状況をしっかりと把握した上で的確な支援をするということは重要だろうというふうに思っております。
 被災された方々の支援台帳といったようなもの、これにつきまして、自治事務で行っていただいているところ、例えば被災された方の基本的な情報ですとか、それから福祉情報、就学情報といったようなもの、これを一元化するということが重要なんだと思っておりますけれども、残念ながら、今回の改正案におきましてはその被災者支援台帳についての位置付けというものには至っておりませんけれども、今後、地方公共団体における被災者支援台帳の作成、活用による被災者支援の充実も含めまして、防災に関する制度の在り方について、所要の法改正を含む全般的な検討を加えた上で速やかに必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと考えているところです。

○渡辺孝男君 被災者がどういう支援を受けられるのか、またどのくらい時間がたって受けられるのか、余りにも遅ければ機を逸してしまうわけでありまして、被災者の情報の管理システム等々、しっかり、早めに検討いただきたいと、そのように思います。
 次に、本改正案の第六十七条、七十二条、七十四条によって緊急対策業務に地方公共団体間の応援規定や都道府県による調整規定が拡充される、また国による調整規定も新設されるという方向になったわけでありますが、初動体制の充実強化を行うためには、住民の防災意識の向上とともに、平時より地域住民同士が助け合う共助の仕組みをつくっていくことが大切だと、そのように考えております。
 被災者救命救助に重要な災害発生から三日間をどう地域の共助の力を結集して災害に対応するのか、災害時要支援者情報システム等を活用して地域でどう支援に当たるのか、大規模災害時には自治体や消防、あるいは場合によってはほかから応援をいただく自治体もあると思うんですけれども、それでは十分と言えないと考えておりまして、地域ごとに共助の防災組織をつくっていくことが大事と考えております。この点に関しまして、郡政務官の方から御所見をお伺いをしたいと思います。

○大臣政務官(郡和子君) 今御指摘をいただきました、特に支援を要する要援護者の方々の支援を拡充していくためにも、共助の考え方というのが重要なんだろうというふうに思っています。
 政府におきましては、今年度、災害時の要援護者の避難支援ガイドライン、これの見直しですとか、それから避難所における良好な生活環境の確保のための取組の指針、この作成を行うこととさせていただいております。これらを行うに当たりまして、御指摘の点も十分に踏まえた上で当たっていきたいというふうに思っています。

○渡辺孝男君 次に、公明党の方は、防災には女性の視点が非常に大事だということを指摘をさせていただきまして、各種防災会議に女性の委員を増やすように訴えてきたわけであります。この点について中川大臣の所見を伺うとともに、中川大臣に主要な防災会議における女性委員の状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 実は私も男女共同参画の担当大臣も兼ねておりまして、女性を進めていくということについては一緒に頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをします。
 これまで十分でなかったということ、これは避難所運営だとか様々なボランティア等々の活動の中でも指摘をされておりまして、それについて女性の視点を生かした防災対策の充実は誠に重要だというふうに思っております。
 内閣府としては、防災対策推進検討会議、これが今、法案の中身、どこを改正していくかということも含めて議論していくわけですが、この有識者委員に十二名中四名の女性委員を登用しております。最近開催している主な防災会議でおおむね三割の女性委員を登用しておりまして、詳細でいくと、首都直下地震対策ワーキンググループというのがあるんですが、これが十五名中五名、南海トラフ地震対策ワーキンググループ、これが十五名中五名、それから津波避難対策検討ワーキンググループ、これが十八名中六名ということで、国の防災会議関係ではこういうことになっております。
 地方についても、これまで充て職でなかなか女性が登用される機会がなかったということに対して、今度の法改正の中で有識者というような枠組みの中で女性が入っていただけるような、そういう改正をこの法律でもしているということであります。

○渡辺孝男君 今、有識者という中に女性が含まれるんだというお話がございましたけれども、今後どのように女性の委員を更に登用していくのかということで、後藤内閣府副大臣の方に政府の対応のお考えをお聞きをしたいと思います。

○副大臣(後藤斎君) 今先生からも御指摘がありましたように、今回の法改正の中で、十五条の五項の八号に自主防災組織を構成する者又は学識経験を有する者という項を新たに追加をいたしました。これは、市町村防災会議の委員につきましても同十六条によって準じた規定も対応しているところでございます。
 いずれにしましても、この法律だけを、学識経験者というものを追加したけれどもなかなか実効性が上がらないという御懸念もございますので、今後更に都道府県等に対して施行通知等を通じて女性団体の代表者等が含まれてこの中にいるということを明確にしながら、女性を始め多様な主体の参加が進むように、今回の法改正の趣旨を十分に周知をしてまいりたいと思っております。
 あわせて、昨年の十二月の防災基本計画におきましても、先生御指摘のように、女性の視点、子育てニーズへの配慮等々、男女共同参画の視点を充実させたということで、御党の女性防災会議からいただいた御提言も参考にしながら、今後更に女性の視点を生かした防災対策の充実にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○渡辺孝男君 次に、今回の改正の重要なテーマの一つであります大規模広域な災害に対する即応力の強化に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。
 少子高齢化が進む日本における災害対策を考える上では、高齢者対策、特に要介護者の対策はますます重要となってきております。
 私は、東日本大震災後、一、二週間の間に被災地沿岸部と災害拠点病院を視察をさせていただきましたが、そういう経験を踏まえて、去年の三月二十二日の参議院予算委員会で、広域災害ではDMAT等の災害派遣医療チームによる急性期の医療支援とともに、急性期から慢性期にかけて要介護者を支援する災害派遣介護チーム、略して、ケアですからDCATというふうに私は呼んだわけでありますけれども、そういうものを創設すべきだと主張しまして、政府の方でも対応をいただいているということでありますが、その検討の結果、現状について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(西藤公司君) お答えいたします。
 災害時に派遣する介護チームにつきましては、昨年、渡辺議員からも御提案をいただきましたことを受けまして、調査研究事業によりまして、被災地の事業者や学識経験者などをメンバーとする検討委員会を設けまして、調査検討を行ってまいりました。そして、本年三月末にでありますが、大規模災害時の被災施設から他施設への避難、介護職員等の応援派遣、在宅要介護者の安全確保策などについて調査結果を取りまとめたところでございます。この調査研究結果につきましては、本年四月に各自治体や関係事業者団体に周知をいたしまして、これを参考として今後の大規模災害時での対応を検討していただくよう依頼をしたところでございます。
 これと併せまして、災害時に緊急に派遣する介護チームの体制整備のために本年度の予算におきましても五億一千七百万円を確保いたしまして、具体的には独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業といたしまして、各地域で指導的役割を果たされております団体に対する緊急派遣チームの人材育成のための研修や必要な機材の整備、また大規模災害時に緊急派遣チームを広域的に派遣調整を行う仕組みづくりなどの支援を行うことといたしております。
 こうした取組によりまして、大規模災害にも対応できる全国的な体制、ネットワークの構築を進めてまいりたいと考えております。

○渡辺孝男君 後藤内閣府副大臣にお伺いしたいんですが、今回の基本法の改正ではこの点はどういう形で反映をされているんでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。

○副大臣(後藤斎君) 先ほど中川大臣からもお答えをしましたように、まず第一弾ということで、まだ先生、今の御指摘の部分は入っておりません。ただし、高齢者等の災害時要援護者対策というのは大変重要なもちろん課題でもございますので、第二弾の見直しに向けて、所要の法改正も含め全般的な検討を加えながら、速やかに必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。

○渡辺孝男君 次に、東日本大震災では全国各地からドクターヘリが被災地支援に活躍をしたわけでありますが、日本航空医学会は東日本大震災時のドクターヘリの活動を調査、検証をしまして、解決すべき重要な課題として航空法上の規制の改善を求めています。
 私も昨年の十月六日の東日本大震災復興特別委員会でこの問題を取り上げまして、大震災時などの緊急時には、ドクターヘリが人命救助のために、消防機関等からの依頼、通報を待つことなく迅速に出動できるように、航空法施行規則第百七十六条を改正し、消防防災ヘリなどと同様に必要に応じて空港以外の場所でも離着陸できるように改正すべきと主張をしました。
 その後の検討状況につきまして、国土交通省、厚生労働省に伺いたいと思います。

○政府参考人(高橋和弘君) お答え申し上げます。
 ドクターヘリが消防機関等の依頼又は通報によらずに運航をする場合におきましても、従前と変わらないレベルの運航の安全を確保することが必要となるところでございますから、現在、厚生労働省においてそのために必要な措置について検討が進められていると承知をしております。
 私ども国土交通省といたしましては、その検討結果を踏まえて、先生御指摘の航空法施行規則第百七十六条、さらには関連する通達等について必要な措置を速やかに講じてまいりたいと考えております。

○政府参考人(唐澤剛君) ただいま御指摘のございました震災時におけるドクターヘリの出動でございますけれども、これは国土交通省におきまして、政府の緊急災害対策本部からの依頼により救助が行われており、航空法上の問題はないと解釈をいただいているところでございます。
 しかしながら、災害時におけるドクターヘリの出動の根拠をより明確にすると、また、より機動性のある活動ができるようにすると、こういう観点から、御指摘の航空法施行規則百七十六条の扱いにつきまして、どのように対応していくべきかということについて検討を進めているところでございます。
 災害時のドクターヘリの活動でございますけれども、機動性の確保と運航の安全の確保と、これを両立させていくことが必要でございますので、そのためには、こうした省令改正の検討と併せまして、各都道府県におけるドクターヘリの運航要領、これにつきましても安全確保のためのルールを定めるなど、こうした対応についても検討することが必要だと考えております。
 私どもにおきましては、厚生労働省のみならず、国土交通省を始めといたします関係省庁、それから関係都道府県、基地病院、運航会社、こうした関係者の皆様と検討、調整を進めているところでございますので、具体的な検討を急いでまいりたいと考えております。

○渡辺孝男君 今回のドクターヘリの出動は緊急災害対策本部が発足する前に出動したわけで、事後に緊急災害対策本部から指示をしたということで、合法といいますか、法に従ったものというふうに解釈されましたけれども、今回、東日本大震災の検証でそういう課題ができ上がってきたわけでありまして、今後、そういう特例ではなくて、きちんとした法整備をすることが必要だと考えております。
 東日本大震災で復興とか災害対策に御尽力されている平野大臣から、これを進めていただきたいという決意を、応援をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(平野達男君) 私も現地に行っていろんな要望を受けますと、答えにくいやつは大体検討検討で答えてしまいます。先送り先送りしたいというときにはそういう答えになっちゃうんですね。そういう答えをしちゃいけないということで自分なりに努力しているんですが、先ほどの答弁を聞いていますと、その典型だというふうに感じました。
 いずれ、施行規則の話でありますから、こういう問題については何が問題なのかというお話もございませんでしたし、これは担当の方で何が問題でこれからどの点を詰めなくちゃならないのかということについては私の方からも強く要望したいというふうに思います。やれるやれないということについての判断については、これはそんなに時間掛けなくてもいいのではないかという率直なちょっと印象は持ちましたので、強く働きかけていきたいというふうに思います。

○渡辺孝男君 よろしくお願いします。
 質問を終わります。

(→6月20日参・災害対策特委?△悄?
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