三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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衆議院 災害対策特別委員会? 聞盒供幣次飽儖÷、谷委員、小里委員、石田(祝)委員、重野委員)

平成24年6月19日(火)

○村井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋昭一君。

○高橋(昭)委員 おはようございます。民主党の高橋昭一でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 私は、民主党の内閣部門会議の災害対策のワーキングチームの事務局長として、本日、災害対策基本法の一部改正案について御質問をさせていただきたいと存じます。

 しかしながら、大型の台風が接近しているということもありますし、昨今、マグニチュード五、六の地震も頻発をしております。災害に対する危機感が大変高まっているということを、今、この場におられる皆様とも共有をさせていただきたいと存じます。

 災害対策基本法は一九六一年に制定をされましたが、その前後でかなり状況が変わりました。それまでは年間千人、二千人という死者が出ていた災害が、一九六一年の災害対策基本法の設置以降かなり減っていて、数百人単位もしくはそれ以下になっているという事実があります。

 私自身がそう思いますが、阪神・淡路大震災の被災をする立場でもありましたので、大きな災害がどんと来る、その間に関しては、かなり防災のところはしっかりとできているのではないかと思います。しかしながら、昨今の状況からしますと、状況がかなり変わってきて、災害は巨大化し、なおかつ大きな水害の可能性もあるということで、今回の見直しは必要ではないだろうかと思います。

 しかしながら、東日本大震災の現場から考えますと、今回の災害対策基本法はあくまでも、今できることを今やるということが最優先だと思いますし、今後やるべきことというのは本当に山積みでありますので、これからまださらなる改正が必要だということは、多分、この場にいる皆様ともこれも共有できることかと思いますので、本日はあくまでも、今回の災害対策基本法の改正案の中身について御質問をさせていただきたいと思います。ですので、極めて実務的なお話になりますが、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 皆様のお手元の方に、資料一、内閣府総合防災情報システムの資料をお配りさせていただきました。これは六月の十三日に、合同庁舎の五号館三階のA会議室というところにございます総合防災情報システムの現場を視察したときの写真であります。

 この現場をごらんになった方もおられるかもわかりませんが、非常に大きな会議室でありまして、その中にこの防災のマップが入っております。実際にこれを見せていただいて、実際に運用しているところも含めて説明を受けました。約三億円かかったというシステムだとお聞きをしております。

 せんだって、同じ委員の高野委員の方からの御質問のときに、中川大臣からも、これが東日本大震災のときになかなか機能できなかったのではないだろうかという御指摘もありました。私は、本日、その具体的なところを少し御質問したいと思います。

 特に、このシステムを見ますと、非常に大きなシステムでありまして、その中で、例えば今回、法案の中に情報共有とか相互連携という言葉が入っております。情報を国が使うために収集し、そしてこのシステムにインプットしているということがあろうかと思うんですが、今回、東日本大震災の教訓ということから考えますと、情報をできるだけ広く共有しなくてはいけないと思います。

 このデータの中に入っている情報を今後共有されていくという方向性があろうかと思うのですが、実際に、例えば民間との幅広い共有も必要かと思います。

 さらに、内閣府だけが所管しているデータではなくて、それ以外には国土交通省であるとかさまざまなところが所管したデータがこのシステムに全部入りますので、そのデータをできるだけ、民間とも共用しながら、広く使えるようなシステムにしていかなくてはいけないと思います。

 そのような、例えば民間共用の話、もしくはさらに、このデータ自体、各省庁の垣根を越えて広く開示をしていくという方向性について、大臣からお言葉をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中川国務大臣 おはようございます。よろしくお願いをします。

 御指摘のように、今回の法案改正というのはまず第一歩でありまして、これから総合的に、トータルな形で、ぜひ、さらなる改正というものに向けて進めていきたいのでよろしくお願いを申し上げます。

 先ほど、具体的な御指摘の中で、総合防災情報システムの問題がありました。

 これももう御指摘のとおり、実は事業レビューの中でも、これが十分に生かされていないということ、あるいはまた、未発達であるということなんだと思うんですが、指摘をされまして、改めて、このGIS情報システムについては、さらにトータルで検討を重ねていきたいと思いますし、これを支える組織というものについても、専門家も入れて再整備をしていくという体制はつくっていきたいというふうに思います。

 その中で、特に地方自治体レベルあるいは民間のレベルと情報を共有していくということ、これは大切なことでありますし、そこから出てきた情報に対してさらに有効に活用ができる、そんな体制もつくっていくということだと思っております。

 そういう意味で、さらなる努力を重ねていきたいというふうに思っております。

○高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 具体的に、実は今、枠の御質問をさせていただきましたが、少し細かいところに触れさせていただきたいと思います。

 資料一の次に、資料二というのと資料三をつけさせていただいております。

 資料二は、民間サイトにおける東日本大震災の地図情報の提供事例ということであります。これはヤフーさんがやられたことを見ました。計画停電マップでありますとか、例えばそれ以外に、道路、鉄道路線の休止情報、それからあと、ヤフーモバイル系の全サービスのGPSログから電波状態を推定して、この二十五日にやられた電波状況確認マップというのは、携帯電話がつながる地域というのをプロットしたということでありました。

 それ以外の、二十八日におやりになった被災地エリアガイドという中には、ガソリンスタンドであるとかスーパーマーケットであるとか、実際に機能しているところを地図の中にプロットされたということです。

 大臣の今の危機感と事業レビューのお話もございましたが、多分、共有をさせていただいているんですが、実際に内閣府の合同庁舎の方で見せていただいたシステム、大変すばらしいシステムだということでありますが、実は、オペレーションをしていただくと、私たち震災の現場におりました人間からすると非常に難しいところが幾つかわかりました。

 というのは、このヤフーさんがやっておられるデータは、ほとんど電話で確認したりして手作業で入力をされています。

 その次のページに資料三をつけさせていただいたんですが、これは、私が事務局長をさせていただいた民主党震災ボランティア室というのを発災直後に立ち上げたときに、避難所マップというのを作成したときの資料であります。

 これも実は、被災地の避難所それぞれに地域の方が足を運んだりコンタクトをしたりしながら全部プロットをした地図で、実は手作業でやっております。

 ですから、このとき震災ボランティア室で二十名以上の国会議員がかかわりましてつくって、なおかつ、五月上旬には八十名から百名近い国会議員が現地に手分けして入って、このちょっと見にくい小さな表ですが、これだけ膨大なデータを入力して、マップ自体を強化するという作業をしました。

 これは政府の方にもフィードバックをさせていただいて御活用いただいたわけでありますが、結局はマンパワーになっていくのではないだろうかというふうに思います。

 特に、被災の現場のことから考えますと、例えば自衛隊でありますとか警察、消防、あとボランティアの組織等々からフィードバックされた情報、もしくは、先ほどの例えばヤフーさんなどがやっておられるような手作業で入力した情報、これが全て政府の方へ返ってくるということも重要ではないかというふうにも思います。

 特に、国として戦略的に災害体制を意思決定するときに必要な情報と国民それぞれが使う情報は、多分若干違うと思うんですが、しかし、国家としてできるだけ多くのインテリジェンスを集めて分析をするということがあるならば、このシステムの拡充ということに対して、フィードバックシステム、先ほど少し大臣もお話しになりましたが、組織の確立というのをしないといけないというふうなことだと思います。

 このあたりについてもう少し御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中川国務大臣 実は昨日も、京都大学の林先生が中心になって、NTTやその他関連した専門家の中で集まっていただいて、これに対するプロジェクトを今走らせているんですね。

 そんな中でも御指摘があったんですが、いわゆるふだんから事前に集めておける情報と、災害が起こってから、それこそ動態的にというか絶えず動いている情報、それを組み合わせてGISに載せていくというようなことだと思うんですね。

 ふだんからの固定された情報というのは、これはさまざまな形で、こうした情報提供者と協定なり契約を結びながら準備をしていくという、その作業をやっていくベースの組織が要るんだと思うんですね。

 いざ発災となったときには、さらに専門家集団、ボランティア以上のことになるんだと思うんですけれども、専門家集団に集まっていただいて、その動態的に動いているものについて、どこに何が情報があって、それをどう分析してもらって、その中に入れ込んで情報提供していくか、そういう二重の体制をつくっていくというようなことが必要なんだという指摘がございました。

 そういうことも前提にして、トータルでどういう組織がつくっていけるかということを真剣に考えていきたいというふうに思います。

○高橋(昭)委員 どうもありがとうございます。

 組織ということに関して今研究が進んでいるということに関して、私自身は心強くも思いますし、そしてまた、御協力もさせていただきたいという思いであります。

 本当に震災の現場というものは混乱をいたしますけれども、私どもの党であれば大野先生が、NSCというナショナルセキュリティーセンターの研究をかなり深めてやっておられますが、情報というのは大変重要なことだと思いますので、その強化をぜひお願いしたいと思います。

 先ほどボランティアの話が出ましたが、この件は少しそれに関連して、ボランティアの活動の現場のことも私たちがずっと言っておりましたので、こちらはもしかすると厚生労働省の方になるかと思いますけれども、お聞きをしたいと思います。

 私自身が阪神・淡路大震災でボランティアチームを現場でつくって、それがスタートとして瓦れきの中から今日まで来たわけでありますが、実際に、ボランティアの受け皿として社会福祉協議会が受け皿になっています。私も今回、東日本大震災でずっと現場を回らせていただく中で、社協の皆さんからもいろいろなお話を聞きます。

 社協自体は、通常は介護であるとか日常の福祉の活動をやっておられます。けれども、災害となりましたら、災害ボランティアセンターの立ち上げをぽんとやる形になります。もちろん、そこ以外でやっているところもあろうかと思うんですが、多くの場合、今回は社会福祉協議会が受け皿となってやったということでありますが、実際の日常業務とは全くかけ離れたことだと思います。

 ボランティアという言葉で一くくりにされますが、私たち自身が阪神・淡路でボランティアを始めたときに、当初はボランティア活動とは思っていなくて、実際に御遺体を運ばせていただいたり救援をするという、どちらかというと切実なことから始まった非日常的な活動でありましたが、社会福祉協議会がやるボランティアというものと震災のボランティアとではかなり差があると思います。

 しかし、今、受け皿として存在するのは社会福祉協議会でありますし、その中に法的な枠組みであるとか、もしくは、例えば予算措置、確かに、新たに起こったことに対する予算措置はあるんですが、日常の社会福祉協議会の活動に対する、それが二倍も五倍も十倍も膨らんでいる、この状態に対する法的な裏づけや措置が今のところ十分ではないという声が聞かれます。

 そのあたりについてちょっと御質問をしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

○西藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平時から市町村社会福祉協議会を中心に地域のボランティアのコーディネートを行っておられることなどから、災害ボランティアの調整も、そのノウハウなどを生かした形で地域の社会福祉協議会が中心となって行っていることが多いのではないかと思っております。

 一方で、大規模な災害時には、必ずしも人員体制が十分でなかったり、また、災害時の対応になれた職員ばかりでないということもございます。

 今回の東日本大震災では、平成二十三年度の第一次補正予算におきまして、こうした社会福祉協議会が行う震災支援に係る事務経費につきまして補助をする予算を確保いたしまして、その中で、新たなボランティアコーディネーターを採用、配置されたり、あるいはまた、全国各地の社会福祉協議会から応援に来ていただいたところでございます。

 災害時のボランティア活動に関する社会福祉協議会の活動については、その果たす役割の重要性を踏まえまして、今後とも、私どもの予算の中にも平時から地域福祉等推進特別支援事業といったものもございますので、こうしたものを活用しながら、可能な限りの支援に努めてまいりたいと考えております。

○高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 先ほどの大臣の御発言にも今の御報告にもありましたが、平時の取り組みというのがすごく大事だと思います。群馬大学の片田先生という先生のお話を、せんだってワーキングチームでもお聞きしました。釜石の奇跡を行われた先生でありますが、足かけ九年かけて子供たちに教育をしたから逃げることができたということがありました。平時の取り組みが大変重要ではないかと思います。

 最後に、これは大臣への御質問になろうかと思いますが、ちょっと踏み込んで、あえて一つお願いを申し上げたいのは、危機管理庁の話であります。

 これまで実は、私どもが国会議員としてお送りいただいて以降、危機管理庁の話というのは余り具体的な形にはなっていなかったと思います。以前、インデックスには私どもの党の中ではございましたが、まず省庁をつくるということがありきではないんだという議論がありました。私もそう思っておりました。

 東日本大震災が発災して、頭が完全に切りかわりました。というのは、平時から専ら危機管理や防災に対して確認をして、いざとなったら指揮系統をとるという、本当にスーパー官庁の必要性というのがあるのではないだろうか。

 ですから、新たな省庁をつくるとコストが負担だとか、さまざまな問題はあろうかと思うんですが、せんだって、同僚の高野委員の御質問にもありましたが、例えばアメリカのFEMAとか、地域ではEOCなどを設置してやっていると。その研究をされるということも含めてなんですが、私は、あえて危機管理庁もしくは防災庁設置ありきでの議論もあるのではないだろうかと思います。

 これからワーキングチーム等でも議論をしていきたいと思うんですが、とにかく、いざ発災したときのための準備というもの、これはやはり一元化された状態で指揮系統がしっかりできていないとだめだと思いまして、今起こっている、さっきのGISの地理空間情報システムの活用もそうですけれども、やはり最終的には、危機管理は危機管理組織をどうするかということではないだろうかと思いますので、そこについて、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

○中川国務大臣 危機管理庁あるいは防災庁の組織というのも、これから大いに議論をしていただきたいというふうに思っております。

 その際に、地方の組織ということについても考えていかなきゃいけないんじゃないかな。とりあえず、地方で訓練、人を育てるという意味と、それからもう一つ、平時の政策立案をしていく、そういうことを兼ねて、ブロック単位で協議会をつくっていただくということにしました。

 これまで、県とか市町村レベルで、限られた地域の災害についてはそのレベルで対応してきたわけですが、今回の教訓というのは、広域災害に対してどういう組織化をしていくかということだと思うんですね。そこについては改めて、県を超えた形で、特に南海トラフとそれから首都直下について広域協議会いうものを組織していただきまして、その中で、どうした対策が広域的にとれるかということを協議してもらう場をつくっていこうということを考えております。

 その上に立って、今度は国の方で、平時どういう形で政策立案とそれから対応をしていくかということになるんですが、これは、今私の傘下で内閣府の中に防災担当が組織としてあるということなんですけれども、これで十分かどうかということについて一つ議論が必要なのと、それから、地方を巻き込んだ形のネットワークをつくっていくという前提でなければならないということと、それからもう一つは、FEMAのような形で危機対応をしていくときの組織がどうあるべきかということ、こんなことをあわせて、ぜひ積極的な議論を党の方でも重ねていただきたいというふうに思います。

○高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 台風災害でも、今回、例えば東海ネーデルランドと言われる伊勢湾台風のあたりが広域で対応しないといけないということもございますから、そのあたりも含めてよろしくお願い申し上げ、災害対策は超党派で頑張りたいと思いますので、谷先生に後をお任せいたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

○村井委員長 次に、谷公一君。

○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 時間は三十分いただいています。限られた時間でございますので、どうか、大臣、答弁を短く簡潔に、質問の趣旨を的確につかんでいただいて、よろしくお願いしたいと思います。

 三十分でございますので、大きく三点についてお尋ねしたいと思います。一つは災害の定義にかかわること、二つ目は本改正案の本則にかかわること、三つ目が今後の検討対象事項にかかわることであります。

 質問の前に、先ほど、同じ兵庫県の高橋先生の質問がございました。与党の中でボランティアで大変熱心にされているということもお聞きしていましたし、今御質問もありました。ただ、あえて一言言わせていただくならば、与党であれば、新たな法律を制定することとか新たな組織をつくること、また予算措置をきっちりする等、与党の国会議員でなければできないようなことをもう少しやってほしかったというのが、私は、野党の立場で三・一一に従事した者として、あえて一言言わせていただきたいと思います。

 さて、災害の定義であります。

 災害対策基本法の中で、災害とは何ぞやという定義があります。災害とは、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は」云々という定義であります。竜巻災害が入っていない。

 竜巻は、今、いろいろ政府にお尋ねをしますと、その他の異常な自然現象の一つであるというふうに定義づけられております。しかし、先日、ここの委員会で茨城、栃木の竜巻災害について質疑がございましたが、その中でも指摘されたように、やはり竜巻特有の対応というようなことも求められている。求められているからこそ、新たに政府の方も、関係省庁が集まってもう一度しっかり考えようという対応をやろうとしている。

 そういう状況の中で、竜巻被害、竜巻という用語がない、あるいは自然現象がないということについて、大臣、どういうふうにお考えですか。

○中川国務大臣 これまでの我々の正式な答弁というのは、竜巻というのがその他の異常な自然現象に含まれていると、御指摘のとおり言ってきたわけです。

 しかし、今回の、実際に最大級の竜巻というものに直面をして、皆さんから御指摘があったように、これはひとつ特出しをして、定義の中に入れていくべきではないかという御主張がありました。

 それは、そうした見識を私も評価したいと思いますし、国会の中で、それぞれ修正に向けて御議論があるということも聞いておりまして、その流れを評価していきたいというふうに思っております。

○谷委員 ありがとうございます。

 修正案もこの後出てこようかと思いますけれども、そういう我々立法府の意見を十分尊重したいという大臣の答弁、ありがとうございました。

 それでは二つ目の、今回の法改正案の本則にかかわることであります。

 まず、お手元の資料をお持ちください。

 御存じのように、災害があった場合、国においては、左の非常災害対策本部もしくは緊急災害対策本部、都道府県レベル、市町村レベルでも災対本部が設けられる。もう一つは、中央と地方の防災会議というのも設けられている。その根拠は、今回法改正を審議しようという災害対策基本法です。

 しかし、正直なところ、どうも政府の説明は余り丁寧でありませんでした。それで、どういうふうにこれを変えようとしているのかということを三段表でつくっていただいた資料が、この資料であります。災害対策本部の所掌事務と中央、地方防災会議の所掌事務を、今回の法改正でどう見直したのかという資料であります。

 それで、さまざまこれについて御質問をしたいことがあるんですけれども、項目を絞りまして、中央防災会議、地方防災会議の所掌事務で、現在は、中央防災会議は、非常災害に際し、緊急措置計画を作成し、及びその実施を推進することとあります。都道府県防災会議でもそうです。私はもともと、こんなの無理じゃないか、そういう思いもございました。

 都道府県防災会議、緊急措置の計画を作成し、実施を推進すること。私も十七年前、神戸で経験しましたけれども、全く記憶にございません。都道府県防災会議でこんなことをやったということも記憶にないし、端的な話、期待していなかったし、また、そういう現状ではありませんでした。

 そういう意味で、中央防災会議を現実の実態に即して、そして実際、三・一一のような大災害があれば、とてもじゃないけれども、学識者あるいは地方団体の代表者、たしか泉田新潟県知事がメンバーじゃなかったかと思います、そういう方も急遽招集して、緊急措置計画を作成し、実施を推進するというのが現行法の規定ですけれども、これを削除しようというのは大いに結構というのか、遅きに失したと思うんです。

 改めてお尋ねいたします。

 中央防災会議、都道府県防災会議の事務として、緊急措置計画を作成し、実施することをなぜ削除したのか、どういう考え方なのかということを大臣にお尋ねします。

○中川国務大臣 まさに御指摘のとおり、今回のこの部分の改正というのは、中央防災会議とそれから都道府県防災会議、この事務と、それから緊急対策本部、これの仕事の仕分けと、実態に応じた形で役割分担を明確にしていこうということであります。

 防災会議は諮問機関として充実をさせていくということにして、都道府県防災会議の所掌事務に重要事項の審議を新たに追加しまして、あわせて、多様な主体の参画を図る観点から、学識経験者を委員に選任できることといたしました。

 一方、災害対策本部の所掌事務ということについては、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針というのをやるということで、ここで即応態勢をつくっていくということであります。

 非常災害に際しては、緊急措置を本部みずから実施することを規定しまして、さらに、都道府県災害対策本部については、防災に関する情報収集や関係機関相互間の連絡調整を事務として明記をしまして、防災対応の一元化を図るということにした、こんな整理をさせていただきました。

○谷委員 きょうは平野大臣も来ていただいています。

 平野大臣は震災当時の担当大臣ではございませんでしたが、あのときからいろいろ議論されました。なぜ中央防災会議を開かないんだ、何のために中央防災会議を設置しているんだ、災害対策基本法ではきちんと中央防災会議の事務としてさまざま書いてあるじゃないか、政府は、招集をそもそもしないというのはおかしいんじゃないかということを、別に我が党だけではなくて与党も含めて、そういうさまざまな意見があったかと思います。

 大臣は当時の大臣ではございませんでしたが、今の時点でいろいろ、復興担当大臣として、三・一一以降の政府の対応というのを検証されていると思うんです。

 なぜ開かなかった、それはやむを得なかったと思われていますか、中央防災会議。それとも、でき得ることであれば、あれはたしか四月の下旬だったと思います、初めて中央防災会議を開いたのは。一月半もたってから開いた。何じゃいなと世の中の多くの方は思ったかと思いますけれども、大臣はどう評価されていますか。

○平野(達)国務大臣 災害発生当初は、谷委員御承知のように、現場から上がってくるもの、あるいは現地に調査に行ってわかったもの、それに対しての即決即応の対応が求められます。こういった場合には緊急災害対策本部、こういった災害対策本部で対応するのが最もいいやり方だというふうに思います。

 一方で、中央防災会議はどちらかというと、専門委員あるいは有識者、こういった方が入っておられまして、日ごろから、防災をどうあるべきかという観点で議論をしていただく、そういう会議体ではないかというふうに思っております。

 今、谷委員から御紹介ございましたけれども、四月末に中央防災会議の専門委員会を開催いたしました。

 これは何を目指したかといいますと、例えば海岸堤防の設計をするときに、今までの設計の考え方ではもう対応できないという中で、すぐ有識者専門会議の招集が必要だということで、中央防災会議を開催いたしまして、その下に専門会議を設けて、一方で、そのときまでの検証とあわせて、これからの復旧に向けての基本的な考え方、特に津波に対しての基本的な考え方を整理していただいたということでございます。

○谷委員 三・一一のような大規模な災害の場合には、現実的に、中央防災会議で緊急措置計画を作成したり、その実施を推進することは無理だということはわかります。よくわかります。私も神戸で、府県レベルで経験しました。

 ただ、そうは言っても、我々立法府、私も含めてやや反省しなければならないのは、現実には即していないけれどもそういう仕組みをそのまま放置していた、残しておいたということは反省しなければならないと思います。

 ただ、私の意見として、中央防災会議が緊急時には現実的に無理だとわかっていても、現行法ではそういうような権能を与えられているのだから、現行法にできる限り沿うような形の運用をしていただきたかったというのが私の希望というか意見であります。この点は、もうこれ以上申しません。

 次の、改正案の内容についてに話を進めます。

 今回、さまざまな改正があるわけでありますけれども、その中で、大規模広域な災害に対する即応力の強化ということがあります。

 災害発生時の応援要求の対象が、従来はいわゆる応急措置だけでありました。今回は、もう少し幅を広げて、避難所運営支援、巡回健康相談、施設の修繕のような応急対策一般に広がりました。それは、私は、実態に即して結構なことだと思います。

 ただ、従来の応急措置については応諾義務が課せられています。今回は応援要求の対象が広がった、これは結構です。しかし、広がったけれども、何も受諾する義務はない。いわば、対象は広がったけれども、現実には、応援をしようという自治体の判断に任されています。これはどうですかね。

 現実問題、避難所運営支援とか、今回広がった応急対策一般は本当に必要でしたし、また、予想される首都圏大地震あるいは南海トラフの地震でも、間違いなくそういうことは必要になってくると思うんです。しかし、法改正では応諾義務はない。どうしてこれは課さなかったんですか。大臣、お尋ねします。

○中川国務大臣 応急措置については応諾義務を課してきたということ、それだけ緊急性というものを重視してきたということだと思うんですが、先ほどの避難所の運営支援、巡回健康相談、あるいは施設の修繕など、これが一般というところになるんですが、これは災害直後の措置ではないということであって、既存の応急措置と比較をしまして、相対的に緊急性が低いという判断の中で、余り強引なところまで持っていかなくともここで機能するだろう、こういう前提であります。

 可能な範囲で御協力をいただくということで運営をしていくことが可能であろうということで、こういう形にいたしました。

 ただし、都道府県から、いわゆる管轄する被災市町村に対する応援というものについては、都道府県としての防災上の責務を有することから、拡充した部分を含む災害応急対策の全般について応諾義務を課すということになっておりまして、都道府県を超えていくという部分について少し遠慮をしたということであります。

○谷委員 そこなんですね、大臣。

 三・一一による瓦れき処理の広域処理の進捗状況はどうか。なかなか進んでいないですね、正直な話。地方分権との絡みで難しいところはあると思います。ただ、緊急事態になったときにどう法制度をつくり上げるかというのは、今回の法改正はやや遠慮しているように私には思えます。

 当面できることから一つ一つ行うという法改正でございますので、また次の、第二弾の法改正も当然目指されているわけでございますので、その辺をもう少しぎりぎりとシビアにやっていただきたいと思います。

 瓦れきの広域処理の実例が今あるんですから、そういうのを見て、本当にどういう仕組みが一番いいのかな、あるいは法制度としてつくり上げるのがいいのかなということをぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、今後の検討で、今の話もあるんですけれども、憲法の話から申します。

 委員の方々のお手元の一番最後に、我が党自由民主党の日本国憲法改正草案の第九章緊急事態だけを取り上げた憲法改正案であります。

 今、国会の中でもやっと各党の意見交換が始まりました。憲法改正といえば特に第九条のことばかり言われますけれども、私は、それ以外にも、この緊急事態の法制を持っていないのは、私の知る限り日本以外にはないと思います。こういう自然災害とか、あるいはテロを想定した憲法の規定になっていないということ自身を、やはり我々立法府にある者は真摯に反省して、逃げずに、先送りせずに取り組まなければならないと思います。

 今回、次の改正で、そういったことについて、自然災害による国家的な緊急事態への対応のあり方についても検討するということでございますけれども、憲法の改正の問題を抜きにして議論をするといっても、非常に中途半端になるのではないかと思います。

 まず、両大臣にお尋ねします。

 担当大臣として中川大臣に、我が党の憲法改正案第九十八条、この一つ一つの条文が云々ということではなくて、こういう憲法上に緊急事態の宣言とかそういったものを設けるという考え方についての所見を両大臣にお尋ねいたします。

○中川国務大臣 ぜひ、緊急事態ということをテーマにした上での憲法議論というのを深めていただきたいということ、これは私もそのように思っております。

 緊急事態の宣言についての規定が御党の憲法改正原案には含まれているということでありますが、事態宣言に基づいてどういう権力の集中というものが可能になるのか、その中身のところが非常に大事な点であろうかというふうに思っております。

 危機対応というのも、自然災害だけではなくて、テロあるいは直接の武力攻撃等々を前提とした中でのお話だというふうに思うんですが、そういう意味では、トータルに、こうした憲法議論を我々も進めていくべきだというふうに思っております。

○平野(達)国務大臣 東日本大震災の検証というのはまだ途中でございます。さまざまな観点から今検証を進めておりますけれども、この検証を受けた形で、例えば災害基本法の改正を行っていく、必要な法律の改正を行っていく、こういったことをまず先行させるべきだろうというふうに思います。

 その上で、憲法改正をした上で緊急事態の宣言という規定が自然災害で本当に必要なのかどうか、その議論の積み重ねの中でこういった答えがあるいは出てくるのかもしれません。

 この自然災害について憲法改正までする必要があるかどうかということについては、少なくとも私は、今の東日本大震災の例を踏まえますと、今のところ、まずは検証を優先させたい、現段階ではそういう考え方に立っているということであります。

○谷委員 中川大臣、平野大臣の所見をお伺いしました。平野大臣は、元農水省の職員らしく手がたく答弁されましたけれども、少し私の意見とは違います。

 結局、政治家が三・一一のあれから何を得るかということだと思うんですよ。三・一一の場合を考えれば、憲法改正まで必要ないというふうに手がたく見るのか、想像力を働かすことをやめるのか。

 あの三・一一は東北で起こった。太平洋ベルト地帯の沖であれぐらいの規模の大地震、大津波が起こると、我が国にどういう影響を及ぼすかということを我々政治家は想像しなければならない。それで、想像力を働かすのならば、私は、やはり憲法改正が当然必要になるし、現に、日本以外の先進国といいますか普通の国で、こういう事態を想定していないような憲法というのはない。

 なぜないかということは、それこそ、世の中にはさまざまな事態が想定される、想定外で済まされないという歴史の現実を踏まえた冷徹な認識があるかと思うんです。我々は、戦後これを避けてきたということは本当に反省しなければならない、我が党も含めて。こういった問題に、検証とか、まずはこれが優先だということで逃げてはだめだと私は思います。

 これは物の捉え方、考え方ですから、若干違いはあるかもわかりませんけれども、ぜひ、特に今所管されている中川大臣は、つまるところ、憲法改正までいかなければ、本当に我が国の安全、安心のしっかりとした仕組みはできないのだという問題意識を持って取り組んでいただきたいということを要望いたしておきます。

 さて、今後の検討対象事項の中で、個人情報の取り扱いについて大臣のお考えをお伺いいたします。

 これは実際、三・一一だけではなくて、各種の自然災害の現場ではいつも大変大きな問題になります。一つの自治会の中で自治会長さんも、誰が障害者なのか、あるいは寝たきりの御老人の方は誰なのか、どこにいるのか、それが民生委員の方から情報をもらえない、個人情報の壁ということで。地域の消防団の分団長もわからない。誰を優先的に助けなければならないかということを市役所なり町役場は情報をくれない、個人情報だといって。

 そのことをぜひ次の改正に、どうしたらこの壁、バリアを突破できるかということを検討していただきたいと思いますが、大臣の所見をお尋ねします。

○中川国務大臣 阪神・淡路のときもそうですし、今回の東日本大震災でも、やはり個人情報の壁というのがそれぞれ現場から提起をされております。

 私も問題意識を持っておりまして、本来は中間報告ぐらいでどんな知恵が出てくるかまとめていきたかったんですが、今、まだそこまでいっておりません。

 災害時の要援護者名簿それから被災者台帳の作成等の個人情報の取り扱い、それから被災者にとって全体像をわかりやすくするための被災者関連法制の体系化、災害救助法や被災者生活再建支援法の見直し等々、これは大体関連しているんですけども、その辺、これから最終的な総合対策に向かって整備をぜひしていきたいというふうに思います。

○谷委員 ぜひとも、しっかりお願いをしたいと思います。

 大臣、今回の改正でもできなかったら、当分できないですよ。

 この問題はずっと前から懸案でした。懸案でしたけれども、もちろん、法律レベルでこういうふうに法改正すれば全て解決するということではありません、自治体の条例がありますから。

 ただ、その問題も含めて、どういうふうに災害対策基本法で個人情報の取り扱いを変えていくのかということが大きなポイントだと思いますし、次が勝負だと思います。次の勝負でふわっとして逃げたら、もう当分は法改正の機会はないと思いますので、ぜひ行政府で立派な改正をお願いしたいと思います。

 十分でないなら、立法府で大きく修正させていただくということも私はすべきだと思っていますので、ぜひ行政府みずから省庁の壁を破っていただいて、それこそ大臣のリーダーシップが問われていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 御要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○村井委員長 次に、小里泰弘君。

○小里委員 自民党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。きょうは、二十分と持ち時間が短い中で何問も質問申し上げないといけません。どうか端的に答弁をお願いしたいと思います。

 さて、東日本大震災での最大の教訓は、国がもっと前に出ること、主体的に対応することでありました。自治体の機能が失われて、一方で被災業務が加わりまして、通常の業務量の何倍にもなる。そこで、国が、避難所対策から復旧復興対策まで、現場に踏み込んで主体的な役割を果たしていくという大きな教訓であります。

 これは、今回の改正でどのように生かされておりますか。

○中川国務大臣 先ほど御指摘いただいたところが、今回の震災での、幾つかある中の一つの大きなポイントだというふうに思っております。

 今回は、災害応急対策に係る地方公共団体間の応援というのを円滑化するために、都道府県による調整規定を拡充しまして、内閣総理大臣による調整規定を新設いたしました。

 それから、東日本大震災の課題であった物資輸送について、市町村または都道府県からの要請がない場合であっても、国あるいは都道府県の判断で、プッシュ型という形で物資の調達、輸送ができるということにしております。

 防災あるいは減災対策は、国家の基本的かつ極めて重要な責務であるという認識、この原点に戻ってこれからも、これで終わったわけではないと思います、これからも、国、都道府県、市町村の役割の分担のあり方について頑張っていきたいというふうに思います。

 特に、地方公共団体からのそうした意味での御意見というのが今集約をされつつありまして、先ほど申し上げた協議会等々含めて、そうした場をつくりながら、第二弾の法改正に向けて集約をしていきたいというふうに思っております。

○小里委員 これからという今の御答弁でございます。

 例えば、東日本大震災では、東北地方整備局が被災市町村に職員を派遣しまして、直接状況を把握し、あるいはまた、通信回線の途絶した部分の修復に努めました。そして、必要な資材、機材、物品を提供して救助活動を行っていったわけであります。

 今回、第八十六条の七におきまして、市町村は都道府県に、都道府県は国に物資の提供を要請する、そして国が都道府県に、都道府県が市町村に物資を提供するという、一々都道府県を経由する内容になっております。先ほどの大臣の御説明とは、実際の流れがちょっと違うんじゃないかなと思います。大災害の教訓が生かされていないと思います。

 今後の課題だと思いますが、再度、大臣の答弁をお願いします。

○中川国務大臣 先ほど御指摘のあった点については、市町村からも同じような御意見をいただきました。これは、できる規定でありますので、直接市町村が国の支分部局へ向いて要請をするということを妨げるものでもありませんし、そうしたことが機能的に進められるということであれば、それが直接的な話になりますので、その点については、それもいいのではないかという前提で解釈をしていただきたいというふうに思います。

 もう一つは、地方支分部局が市町村にとって非常に頼りになった、あるいは役に立ったという評価もございます。これについて、今、広域連合へ向けての事務移管という議論が出ておりますが、そういう形で、さらに身近に、これを市町村にとって使い勝手のいいような状況にしていくんだということであって、機能そのものがそれで消えるということでもありませんので、そのことについてもさらに御理解をいただかなければならないというふうに思っております。

○小里委員 今回の改正は、都道府県に権限や役割が集中いたしまして、国の果たすべき役割がおざなりになっているんじゃないか、そういう感を強く持っております。ぜひ、今後の対応をお願いしたいと思います。

 そこで、国の果たすべき役割という観点からいえば、広域連合の問題ですね。広域連合に国の出先機関を移管する話が進んでおります。大災害時には、人も権限も予算も集中して対応していく必要があります。当然、その責任は国にあろうと思います。

 広域連合でどこまでそういった役割を果たせるのか、甚だ疑問に思うところでありますが、見解をお伺いします。

○中川国務大臣 国よりも、本来は広域連合という形あるいは県という形の方が身近で、そこに市町村が参加をする仕組みといいますか、そういうものがあれば、使い勝手は本来はいいんだろうというふうに思うんですね。

 そこのところを、具体的な事務移管の中身によって議論をしていただいて、県だけではなくて市町村にとっても、この広域連合というのは、自分のところでそうした資源といいますか、今地方支分部局にある資源、いわゆる人とそれから資材ということですが、これを活用していけるんだ、そういう流れで解釈をしていくべきものだというふうに思っています。

○小里委員 大災害というのは、押しなべてそれぞれの地域に発生するものじゃなくて、ある日突然特定の地域に起きるわけですから、それは当然、全国的に国がコントロールをして、人、権限、予算をそこに集中して投入すべきものであります。それぞれの地域にかねてからそれを配備できるものじゃないんですね。そこはぜひ、考え違いのないようにお願いをしたいと思います。

 大災害時には、例えば地方整備局が情報収集して、国はそれによって情報をつかんで対応していく、そういう機能があるんですね。例えば、今回の広域連合で地方支分部局が他へ行っちゃうということになりますと、国は手足をもがれるということになりかねないわけでありますが、もう一回、大臣の御答弁をお伺いします。

○中川国務大臣 御指摘のように、大災害について大事なことは、資源が事前にどこにあるか、いわゆる使えるものがどこにあるかという情報をしっかりふだんから持っているということ、事が起こったときに、それがニーズとして出てくるわけですから、そのニーズとその資源のあるところをいかにうまくマッチングして、そしてその資源を有効に活用していくという、この機能だと思うんですね。

 そこについては、先ほど御指摘の地方支分部局の話だけではなくて、トータルでもう一度、私たちの情報システムとして再構築をしていくということが必要なんだというふうに思っております。

 そういう意味での防災対策の政策のポイントといいますか、資源とニーズをどうマッチングさせていくかという国の機能、これについて総合的に練り直していくという姿勢でいきたいというふうに思います。

○小里委員 若干、見解がなかなか整わないところでありますが、例えば、広域で災害が発生したとき、都道府県と広域連合とでそれぞれに災害対策本部を立ち上げるということになると思いますが、都道府県で有権者から選ばれた立場の知事としては、どっちの本部に詰めるということになりますか。

○中川国務大臣 例えば、南海トラフで今、それを一つの協議会に集約していこうという作業をやっております。

 例えば、国土交通省を中心にした中部圏の訓練というのが今行われておりまして、これは非常にいい訓練をしているんですけれども、ただ、主体が国土交通省、それこそ地方支分部局主体なものですから、まだ足りないところがある。

 そういうものを、県、あるいは国のほかの出先機関も含めて、あるいはまた民間も含めた形で、常時から協議会という形をつくって、事が起これば、その協議会が、いわゆる広域のブロックの対策本部の機能を果たせるような形というのが一つあるんじゃないかということで、そうした相談を具体的に今させていただいているんです。

 そんなことも含めて、総合的な、いわゆる資源というものとニーズというものを組み合わせて、広域で確実に情報が整理できるようなものを組んでいくということだと思っております。

○小里委員 直接お答えがなかったわけです。知事がどっちの本部に詰めるかという話であります。

 仮に、知事が両方の本部を兼ねるということであれば、そんなに、兼ねてできるほど災害対応というのは生易しいものではありません。一方で、被災していない都道府県の知事が広域連合の本部に詰めるということであれば、これまた無責任な話であります。そこはぜひ明快にしていただきたいし、そういうことにならぬように対応していただきたいと思います。

 東日本大震災では、瓦れき処理法を定めて、瓦れき処理を国の責務として、環境省が総合調整しつつ対応に当たるということになりました。それでも対応がおくれていったわけでありますが、国が瓦れき処理をやっているから、広域処理についても、被災地の立場で全国の自治体に要請ができます。

 ところが、地方環境事務所の業務としての瓦れき処理業務がもしこの広域連合に移った場合、広域処理を要請する立場と受け入れる立場が一緒になってしまうということになります。しかも、広域連合は合議体でありますから、果たして円滑にその辺の意思決定ができるのか、調整ができていくのか、極めて疑問に思うところでありますが、この点は環境省にお伺いしましょう。

○高山大臣政務官 小里委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の東日本大震災に関しましては、瓦れきの処理、本来は、これはそもそも自治事務でございましたけれども、その自治体だけではなかなか難しいということがございまして、国が前面に立って広域処理を今までも進めてまいりました。

 また、その受け入れ側の自治体からも、市や県からではなくて、今回、瓦れきの安全性についてのいろいろな心配もありましたので、国が前面に立って説明しろということがございました。

 この点では、地方環境事務所やまた環境省の本省が中心となって、各県に赴いて説明をしてきたということがございますので、広域連合が、これはまたどのような形になるかはまだわかりませんけれども、国が前面に立って広域処理を進めなければ、なかなか進捗は遅かったろうというふうに思っております。

○小里委員 今、広域連合に対する懸念を表明されたんだと解したいと思います。

 私の地元で、先般ジオパークが指定をされております。あるいは、国立公園も再構築をされました。これらは国民共有の財産として保護され、国立公園は、国が現場に職員を置いてしっかりと管理してまいりました。これが世界の標準であります。

 この広域連合との関連におきまして、この部分がまた懸念をされます。環境省、いかがですか。

○高山大臣政務官 地域主権改革というのは非常に重要でありますし、二重行政の無駄といったことも指摘されてきましたけれども、アクション・プランの推進委員会の中でも、我々環境省といたしましては、ジオパークやまた国立公園、こういったものは国が責任を持って管理をするといったことが本来ではないかということは、常々主張させていただいたところでございます。

○小里委員 国が引き続きやっていきたいという今の表明であったと思いますし、自治体もそれを望んでおります。特に、広域連合の取り扱いについては慎重に対応いただきますようによろしくお願いをしたいと思います。

 最後の質問でありますが、防災白書によりますと、防災関係の予算は年々減ってきております。

 例えば、河川の治水事業の予算でいきましても、直轄河川の整備率六〇%台という、まだまだ低い状況であります。まずは、なすべき治水事業をなしていけるように、なすべき防災事業をなしていけるようにしっかりと予算を確保していく、このことが必要であります。大臣の決意をお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 担当大臣としては、できる限りの努力をして予算を積み上げていくということ、これに尽きるというふうに思います。

 改めて、いろいろな想定を見直した上で、特に首都直下、南海トラフ、あるいは火山等々見直しが始まっておりまして、その見直した津波だとかあるいは地震の想定の上に、各地方自治体も具体的な防災計画を立ててくるということが前提になっています。

 ですから、それに対して国もしっかり予算をつけるという努力をしていくということでありますし、もう一つは、国だけではなくて、民間の資金の活用というのが、またこれもいろいろな形で考えられるというふうに思っておりますので、そういうこともあわせて知恵を出していきたいというふうに思います。

○小里委員 時間が参りましたが、大災害になればなるほど、国が主体的に現場に踏み込んで役割を果たしていく、これが東日本大震災の最大の教訓でありました。その教訓に照らして、果たして今回の改正がそれに沿ったものであるか、大きく疑義を抱くものであります。そしてまた、今後の災害対応において、今の予算の確保状況は極めて心もとない状況であります。

 あわせて、再度訴えを申し上げまして、質問を閉じたいと思います。ありがとうございます。

○村井委員長 次に、石田祝稔君。

○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。順次質問をさせていただきたいと思います。

 今回、災害対策基本法の一部を改正する、これは昨年の三月十一日の大震災を受けまして、いろいろと改正項目が俎上に上っておりました。基本法の改正の論点が整理されたと思いますけれども、今回、全ての論点にわたっての改正になっていない、こういうことは私もお聞きをしたところであります。

 この中身について順次お伺いをしていきますけれども、やはり全体的な改正になっておらない、論点が指摘をされつつも、その全てが今回網羅されていない、こういうことになっております。

 そうすると、大臣、次回の改正というのは、今改正案を検討しているときにまたおかしな話でありますけれども、積み残しがあるということははっきりしているわけですから、では、次はしっかりと、今回できなかったものについてもさらに取り入れて改正をする、こういうことになると思いますが、その目安は大体どのぐらいをお考えになっていますか。

○中川国務大臣 今後検討すべき法制上の課題、先ほど御指摘のあったように、国家的な緊急事態への対応のあり方とかあるいは避難というものの概念の明確化など、基本法だけじゃなくて、災害対策法制全般にわたる課題があるというふうに考えております。

 ことしの夏ごろには全体の最終報告を取りまとめていくという努力をしていきたいと思います。その上で、この秋の臨時国会、あるいは次期通常国会に向けて、所要の法改正、提出ができるように督励をしていきたいというふうに思っております。

○石田(祝)委員 ちょっと大臣、秋の臨時国会と来年の通常国会では随分差があるんですけれども、今回の改正にのらなかったということは、それだけいろいろと難しいことがあったんだろうということだと思いますが。

 災害対策基本法、今回も、通常国会もあさってで閉会ですよね。途中いろいろありましたけれども、なかなか、予算関連ではないということで、通常国会になると大体おくれがちだと。そうすると、来年の今ごろ、もしくはもうちょっと前かなということですから、臨時国会は政府が開くという決意をすれば開けるわけですから、臨時国会と通常国会では半年以上の差がありますので、これについてはもうちょっと明確にお答えいただいた方がいいんじゃないでしょうか。

○中川国務大臣 今回提出させていただいた法案もそうなんですけれども、まず、できるところから、まとまったらもうそれを法案化していこうというつもりでおりますので、この秋の臨時国会にも、そういう意味ではぜひ法案の基本的な部分で修正できるところをやっていきたいというふうに思います。

○石田(祝)委員 それでは、順次お聞きをします。

 特に今回、まずお聞きいたしますのは、第六十七条、応急措置等、こういうところについて若干お伺いをしたいんです。

 今までは応急措置、こういうことになっておりまして、今回は等というのが入りました。そして、修正案の中では、応急措置が災害応急対策、そして、応急措置を求められた市町村長は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない、こうなっていますね。

 その中で、応急措置は断ってはいけない、こうなっているんですよ。しかし、災害応急対策については、これは拒んではならないとも何とも書いてない。ですから、応援をしてくださいよ、お願いしますとよその市町村に頼むわけですから、よっぽど困っているわけですね。そのときに、応急措置については正当な理由がなければ断っちゃいけないとなっているんですが、災害応急対策については何もそういうものはない。

 これはどうしてこういうことになっているんですか。この違いというのは何なのか、率直な疑問があるんですが、その点のお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、古賀(敬)委員長代理着席〕

○中川国務大臣 現行の対策法では、緊急性の高い、災害発生時の消防であるとか人命救助等、これを応急措置という形でお願いしたときに地方公共団体に対して応諾義務ということを課している。それは、緊急性とその応援の中身の性質によるものであります。これはこのままなんですね。

 それにもう一つ、避難所の運営の支援であるとか、あるいは巡回健康相談であるとか、あるいは施設の修繕など、これは災害直後の措置ではないものでありますが、応援をお願いするということでありますので、最初のものと比べると緊急性が比較的低いということ、これがあって、県を超えていくという場合については、そこまで応諾義務を課すというのは少し行き過ぎかなという判断をしまして、それで応諾措置をそこにはつけなかったということであります。

 しかし、自分の都道府県内の管轄の部分、これについては、被災市町村に対する応援について、当該市町村についても都道府県としての防災上の責務ということ、これを有するものですから、そこについては災害応急一般についても応諾義務を課すということで区別をしているということであります。

○石田(祝)委員 そうすると、今までは災害応急対策という概念がなかったのを入れて、それについては市町村間では必ずしも断ってはいけないということにはなっていない、しかし、県についてはやらなきゃいけないよ、こうなっているということですね。

 中川大臣、応急措置と災害応急対策、これは明確に切り分けられるものなんですか。これは災害応急対策だから、私のところは言われてもできないよ、こういうふうに明確に切り分けられれば、それはお願いする方も、これはひょっとしたら断られるかもしれないな、それじゃ最初から県に頼もう、こういうことになるかもしれませんけれども、それぞれの市町村の成り立ちからいって、大体一つのまとまりで今までもやってきた地域もあるわけなんですね。

 そのあたり、切り分けというのは明確にできるものなんですか。どうなんでしょう。

    〔古賀(敬)委員長代理退席、委員長着席〕

○中川国務大臣 実態としては、連続性を持って支援の要請というのはなされるんだろうと思うんですね。一つのところだけ、例えば消防とか人命救助だけということではなくて、それとあわせて被災地の支援とか、あるいは健康相談の人が足りないので送ってくれとか、そういう連続性のあるものだと思うんですね。

 そんな中で応諾義務というのを課しているのは本当に人命に関連するところだけで、これはとにかく、何はさておいても協力をしていただきたい、そういう体系をつくっていくということでありますので、そこのところの実態というのは、それをしんしゃくしながらそれぞれ運用がなされるんだろうというふうに思います。

○石田(祝)委員 これをなぜ申し上げるかといいますと、この国会で議論をしていますと、ある程度、これは前回にもお話ししたんですけれども、柔軟性を持ってとか、現場ではある幅を持ってやってもらっていい、こういうお話が出るんですね。しかし、これがだんだん、県に行く、市町村に行くに従って文字どおりの意味に捉えられますよ、こういうことを私は申し上げたと思うんですね。

 ですから、ある程度明確にしておいてあげないと、これはどうなのかな、応援しなきゃいけないのかな、それとも、ちょっと自分の町も市もなかなか応援体制を組むのは難しいから、これは県に頼んでもらった方がいいんじゃないか、しかし、今までのおつき合いもあるし、何とかしてあげたいとか、こういうのはやはりその境のところで、応援をお願いする方も、お願いされる方も、これは反対に困ることがあるんですね。

 これは東日本大震災のときも、災害救助法の発動で前回私はお話をしましたけれども、ある程度明確にしておいてあげないと、いざというときに考えていたら困る場合があるので、現場に行けば行くほど明確にしておかないと動きがとれないということ、これはぜひ御理解をいただいて、この改正案が成立後、現場にもいろいろ徹底されるでしょうから、そういう点はよくお含みおきをいただきまして、できるだけ明確にしておいてほしいな、こういうふうに思います。

 それでは、続きまして、ちょっと質問の順番は変わりますが、きのう、きょうぐらいで、米国の提供された放射能汚染地図、これが活用されていなかった、こういう問題が報道で散見をされております。

 まず、これが生かせなかった理由について、きょうは、私はちょっと名指しで、指名で来ていただきましたけれども、文科省の渡辺次長さん、新聞等でインタビューにお答えをして、括弧書きでコメントになっておりますので来ていただきましたが、これはどういうことでこの新聞の報道のようになっているのか。一年がたって改めて出てきたわけですから、ちょっとわかるところ、答えられるところをお答えいただきたいと思います。

○渡辺(格)政府参考人 御説明申し上げます。

 文部科学省は、米国のエネルギー省、いわゆるDOEでございますが、昨年三月十七日から十九日に実施いたしました航空機モニタリングの結果について、三月二十日に外務省から情報提供をされているところでございます。

 また、本件情報は、文部科学省より二日前の三月十八日に、外務省から原子力災害対策本部事務局である原子力安全・保安院にも提供されているということでございます。

 文部科学省としては、当該結果が非常に有益な情報と考えて、公表するように米国側に依頼してほしい旨、三月二十一日に外務省に対して依頼をしたところ、当該結果は三月二十三日に米国側から公表されているところでございます。

 なお、文部科学省におきましては、今回の事故について省内検証を進めておるところですが、先生御指摘の本件の一連の経緯については、平野大臣の御指示を受け、詳細な検証を進めているところでございます。

 さらに、政府事故調、国会事故調の検証を踏まえ、今後適切に対応してまいりたいと思っているところでございます。

○石田(祝)委員 適切に対応するというのは、今何をするんですか、これから。

 一年前にこういうことがあったということを今から検証して、適切に対応するというのは、まさしく官僚答弁ですよ。まあ、あなたは官僚だからそれはしようがないんだろうけれども。これは何のために出てきているわけですか。これは相当な問題ではないですか。

 これは、平野大臣から言われて今検証しています、こういうことでありますけれども、この問題、大事だからアメリカに公表するように言いましたと、自分のところで受け取って。だって、モニタリングやっているのは文部科学省だったんでしょう。そうしたら、線量がどれだけで、どういうことになっているかという一つの有力な情報として、政府の中で、やはり避難ということでしっかりと情報を共有して、そしてこれを原災本部が発表するかどうか対応すべきだったんじゃないんですか。

 あなたの御答弁は、全く当事者としての責任感とか、その後の、避難する人に正確な情報を伝えておけばある一定の被曝は防げた、こう私たちは率直に思いますし、多分、この記事を読まれた方は皆同じ思いだと思うんですが、その辺のことが、モニタリングするのは私たちですよ、しかし評価するのは保安院ですよ、発表するのは原災本部ですよ、こういう、まさしく無責任の縦割りじゃないですか。

 これについて、今、私はお聞きする予定ではなかったんですけれども、平野大臣のお名前が出ましたので、あえてお聞きをいたしたいと思いますけれども、いかがですか。

○平野(達)国務大臣 先ほど、政府側の答弁は、平野大臣は私じゃなくて、多分、文科大臣だと思います。文科大臣だと思いますけれども、ただ、この問題につきましては、私は日曜日にも浪江町にお邪魔をしております。特に浪江の馬場町長さんからは、強い憤りを持って、この問題についてのしっかりとした説明を求められております。

 この観点から、今まさに委員がおっしゃいましたように、モニタリングするのは文科省、では、そのデータを誰が扱って、誰が要するに公表するかということにつきましては、政府の一員としてこんなことを申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、はっきり言って、やはり縦割り的な発想がかなりあったと思います。

 この部分につきましては、しっかり検証して、次の災害にどうやって生かすか。これは復興庁としても、この問題については強い問題意識を持って臨まなければならないというふうに考えておりますし、何よりも、私は、この問題について最も影響を受けた地域、特に浪江町の避難民の方々に対してはしかるべき説明をしなければならないというふうに考えております。

○石田(祝)委員 済みません。平野大臣と言われましたので、もう条件反射的に復興担当大臣と思いましたので、恐縮でございますが、御答弁をいただきましてありがとうございました。これは、平野と言われてもう一人の大臣を思い浮かべなかったのは、存在感の問題じゃないかなと。これは私のひとり言でありますけれども。

 これはやはり大事な問題ですね。モニタリングは自分のところだよ、その情報は提供するけれども、評価するのは保安院だよ、それをどうするか、発表するかどうか、対策をするのは原災本部ですよと。こういう、まさしくこれは、私は縦割りと言ったけれども、もう一度厳しく言えば、無責任のなれ合いですよ、これは。無責任のもたれ合い、はっきり言って。

 だから、渡辺さん、きょうせっかく来ていただきましたので、今お答えいただいたんですが、私は、これは余りにも不十分な答弁じゃないかなと。今のままで終わったら、浪江とか御関係のところは大変な怒りを持って考えられるんじゃないかな、こう思います。

 それで、そういうデータとかそういうものをもらって判断をする保安院、きょう来ていただいておりますけれども、原子力保安院としてこれを生かせなかった理由は何ですか。

○深野政府参考人 お答えをいたします。

 まず、この情報につきまして、原子力災害対策本部の事務局をやっておりました保安院で適切にこの情報が共有、活用されなかったことにつきましてはまことに申しわけなく思っておりまして、心からおわびを申し上げます。

 その上で、ちょっとお答えをさせていただきますが、私の方からも当時の院長と幹部にも確認をいたしましたが、やはり、このデータについて、十分、中で周知あるいは共有がなされていなかったという実態でございました。

 それで、こういったことになりました背景でございますけれども、昨年十二月に、政府事故調、事故調査・検証委員会の方でも、モニタリングデータ活用の問題点というのが、いろいろと当時政府がとっておりましたことについての問題点として指摘を受けております。

 これは、明示的に今回の問題についての指摘ということではございませんけれども、そこで、政府は得られたデータを速やかに公表しようとする姿勢が欠けていた、あるいは、こういったデータが、放射性物質の拡散によって被害を受けておられる住民の方々の立場を尊重する、そういった面で非常に重要である、そういった意識が希薄であった、そういった指摘を非常に厳しくされておりまして、私はそういったことが背景にあったのではないか、そのように考えております。

○石田(祝)委員 それで、政府の事故調査委員会、また国会にも事故調査委員会がつくられて、国会の事故調も今月末をめどに一応の報告を出す、こういうことになっているわけですね。

 私はきのういろいろと質問通告をするのでレクにも来ていただきましたが、そのときに、来られた方が保安院だったか文科省だったか、ちょっと今記憶がはっきりしませんけれども、政府の事故調にも国会の事故調にも、両方からこのことについて聞かれていない、こういうことでしたけれども、これについて、誰かお答えできますか。

○深野政府参考人 事故調の方でも、今回の報道もございまして、関心を持っておられるというふうに認識をしてございます。

○石田(祝)委員 これは大変重大なことだと思いますので、しっかりと検証もしていただきたいというふうに思います。

 それで、私、今思い出しますが、この原子力事故が起きた後、各党協議会というのを当時の岡田民主党幹事長のもとで二十回やったんですよ。そのときに、やはり文科省の関係しているところで、SPEEDIの情報を早く公開しろと幾ら私たちが言っても、今はお名前を申し上げませんけれども、おられた方が、もとの、排出の、放出のところの数字がわからないから出せません、この一辺倒だったんですよ。ところが、こういう情報も入っている、実はある一定の仮定値を置いたものがちゃんと出てきている。そういうものなんか一切使わなかったんですね。

 それで、最初に出たのがたしか二十三日か四日だと思うんですよ。ですから、SPEEDIに、開発に百億とか何かかけて、実はちゃんと出てきていたんですね。結果的に、それがただの同心円を描いて範囲を決めて、西北の方向に、地形だとか風だとか、そういうことで流れていっていた、それがわかったのに、逆に、避難をする人は西北の方向に向かって避難していたんですよ。そういうことがわかっているんですね。ですから、それについても、安全委員会の人だったと思うんですけれども、全く反省の話がなかったですね。

 我々は二十回、当時の岡田幹事長のもとで毎回毎回やって、SPEEDIについては各党が、情報公開しろ、早く知らせろと言ったけれども、結果的には全く、避難に際しての、どちらの方向に避難すればいいのか、それには役に立たなかった。逆に、同心円でやったために、放射能が流れていく方向に避難をしてしまった、そういう人の怒りなんですよ、これは。それで、さらに今回こういうことも隠していたのか、こうなっているわけです。そこは相当な反省を持ってお取り組みをいただかないと、ただ単に、これから調べます、検証します、今後に生かします、これでは私は済まないと思いますよ。

 この問題はまた改めて、いろいろなところで御質問が、私以外にもあろうかと思いますので、そういう点、よく政府で真摯にこれは取り組んでいただかないと大変なことになるのではないのか、私はこのことだけは申し上げておきたいと思います。

 時間も大分なくなってまいりましたので、今回、通告したことは全部できませんが、きょう来ていただいている大臣、政務官もいらっしゃいますので、お伺いをしたいんです。

 教訓伝承について、今回、第七条で新たに改正がなされました。民間の義務、住民の義務ということで今なっておりますが、ここを、やはり行政もこれについては応援をすべきではないのか、こういうふうに私は思います。

 なぜかといいますと、今回いろいろと調べておりますと、高知県初め四県で、いろいろな伝承について、どういうふうに自分が言われてきて、その後の災害に対する行動が変わってきているか、それに基づいてどういう行動をしているかという調査があるんですが、それで、津波の来る前に必ず海が引いていく、潮が引いていく、こういうことを思い込んでいる人が実はいるんですね。しかし、それは正しくない。こういうことですから、民間伝承そのものが、私は、伝えていくのは大事だと思うんですが、一〇〇%正しくないものも中には含まれているかもしれない。

 こういう点を踏まえて、やはりこれは住民だけに任せるんじゃなくて、正しい情報を伝承するために行政も支援すべきではないか、こう思いますけれども、あわせてお伺いをいたしたいと思います。

○中川国務大臣 御指摘のとおり、七条に「教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。」とありまして、次の八条の十三で、国及び地方公共団体は、自主防災組織の育成、ボランティアによる防災活動の環境の整備、それから過去の災害から得られた教訓を伝承する活動の支援を促進していくということを定めております。

 先ほど御指摘がありましたように、非常にこれは大事なことであって、災害史に学ぶ、伝承を含む大災害からの経験と過去の国民的な知恵を的確に継承、保存する取り組み、それからもう一つは、一日前プロジェクトというのがありまして、具体的な地域での成功と失敗事例と、被災体験から得られた教訓を伝える取り組み等々をやっておりまして、さらにそうした活動を広く一般に進めていきたいというふうに思っております。

○平野(達)国務大臣 災害の記録、特に教訓をしっかり残すということは、今やっている作業でもございますけれども、これから重要な作業だと思っています。

 私は東日本総括担当大臣という職も拝命しておりますけれども、今、まず、国レベルでは、引き続き検証を各分野でしっかり進めること、あわせて、その検証結果をアーカイブという形で、これは例えば国立国会図書館等々と連携しながら、映像も含めてしっかり残したいと考えております。

 他方、被災自治体レベルでも、被災自治体においても、あるいは地域においても、自分たちの教訓はしっかり残しておきたい、それから、自分たちで撮った映像は残して、できれば、それを来たお客さんにしっかり見せることをやっていきたいという強い要望と計画を持っている地域もございます。そういった地域につきましては、復興交付金等々の活用によってできるだけ支援をしていくことも大事だというふうに考えておりますし、県レベルでも、メモリアルパークといったものを建設しながらそういった教訓を伝承するということについても今計画策定が進んでおりますので、そういった計画策定を受けた形での支援も、国交省等と連携をしながらしっかりやっていきたいというふうに思っております。

○石田(祝)委員 その点、よろしくお願いします。

 実は、私の地元、高知県でありますけれども、昭和南海地震が起きまして、民間の方でありますけれども、そのときの前後の状況を聞き取って、ずっと車を乗り潰すぐらい移動して、いろいろな当事者、まさしく海辺に住んでいる人で、地震が起きる前はどうだったのか、いろいろなデータを集めている方がいらっしゃいます。

 ですから、私は、学問的な予知、本当の学問としての地震学的な予知も大事だと思いますけれども、そうじゃなくて、民間の方がやはり生の記憶として持ってきていて、それをどういうふうにこれから生かすか。いわゆる前兆現象、予知ではなくて前兆現象、こういうものを、しっかりとこれは観測網を整備していったらどうか、このように思っております。

 それで、いろいろお聞きすると、私がお聞きした方は井戸の水位をはかっている。井戸の水位についても大きな変化があったということで、今のところ、当然、何も起きておりませんから、水位についてはほとんど影響がないわけですけれども、一つの井戸で観測すると、百万円ぐらいでできるというんですね、一本。ですから、これはそんなにお金がかかる話でもないわけですから、そういう民間の方のいろいろな動きも大事にしつつ、前兆現象の観測網、こういうことに力を入れていったらどうか、行政も応援をしたらどうか、こう思いますけれども、これは中川大臣、簡潔にお答えいただければと思います。

○中川国務大臣 私も、専門家に対しては、何とか予知ができないものかということを絶えず申し上げて、そのための予算の使い方ということを考えていかなきゃいけないと言っています。

 そういう意味では、専門家、いわゆる科学的な知見を持った学者ということだけじゃなくて、さまざまなところで努力をしておられる皆さんに対して心を開いて、しっかりそれを、価値あるものであれば取り組んでいくということが必要だと思いまして、文部科学省ともよく相談をしながら、そうした支援についても検討をしてまいりたいというふうに思います。

○石田(祝)委員 最後に、一問だけお願いします。

 城井政務官にお答えをお願いしたいんですが、今回、防災教育ということも入りましたけれども、これはいろいろな関係機関ということになっていまして、学校そのものは入っていないというふうに私はお伺いしたんですが、これは学校教育でどう取り組むのか、具体的には、学習指導要領等の改訂にどう反映させるか、この点だけ城井政務官にお伺いをして、終わりたいと思います。

○城井大臣政務官 お答え申し上げます。

 防災教育は、みずから危険を予測し、安全な行動ができる判断力などを身につけさせる観点から、大変重要だということは言うまでもありません。特に、学校安全の推進に関する計画を四月に閣議決定いたしましたけれども、この中でも、主体的に行動する態度を育成する教育というところを盛り込んだところであります。

 また、今年度からは、新たな防災教育の手法の開発普及を支援する実践的防災教育総合支援事業も実施しているところであります。また、釜石の奇跡など、東日本大震災からもしっかり学んだ上でということではありますけれども、本年三月には、「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を作成し、各学校に配付をしたところであります。また、本年五月に調査研究の結果を公表し、また、昨年設置した有識者会議においても対策を検討いたしまして、七月中をめどに最終報告を取りまとめることといたしております。

 また、学習指導要領でありますけれども、総則に安全に係る記述を明記し、記述の充実を図ったところであります。

 また、先ほど申した学校安全の推進に関する計画におきまして、三つ、簡潔に申し上げさせていただきますと、一つは、系統的に指導できる時間をしっかり確保するということ、それから、総合的学習の時間における学習活動の例示として示すということ、三つ目には、学校教育に充てる時間を充実させるということ、こうした形で、安全教育のための指導時間の確保というところをしっかりやるべきということで今取り組みを進めているところであります。

○石田(祝)委員 ありがとうございました。

○村井委員長 次に、重野安正君。

○重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 まず、十分という質問時間でございますので、簡潔に答弁のほどお願いいたします。

 まず、地方防災会議と災害対策本部の所掌事務についてお伺いいたします。

 改正案では、都道府県に置かれる防災会議の所掌事務が拡大されまして、防災に関する重要事項を審議し、これに関して知事に意見を述べることができるようになった。他方で、当該の都道府県で災害が発生した場合の情報収集と、非常災害に際しての緊急措置に関する計画の作成、実施が削除されました。

 これらは災害対策本部の所掌事務とされているようでありますが、そこでまず、防災会議から情報収集や緊急措置の所掌事務が削除され、災害対策本部の所掌事務とした理由を尋ねます。

○中川国務大臣 防災会議と対策本部の役割分担をはっきりさせていこうということであります。

 防災会議は、諮問会議として、重要事項について計画立案していくというふうな分野を担当していただいて、実際事が起こったときの具体的な対応というのは対策本部でやっていくということ。そういう意味で、災害に関する情報の収集とか緊急措置に対する計画、これを対策本部でやっていくというような、そういう整理をさせていただいたということであります。

○重野委員 よくわかりました。

 次に、地方防災会議についてお伺いいたします。

 都道府県に設けられる防災会議の委員には、これまでの委員に加えて、自主防災組織を構成する者または学識経験者も委員に追加することができるようになった。拡大されること自体は一歩前進だというふうに受けとめておりますけれども、他方で、果たしてこれで十分なのかという疑問を持たざるを得ません。

 震災や先日の竜巻などでは、障害者、高齢者、子供などをどう災害から守るのかという点が大きな課題として浮上してまいりました。学識経験者や自主防災組織のみならず、障害者団体や福祉にかかわるNPOなど、そういう部門からも広く委員を募るべきではないかと考えるんですが、そういう点について、大臣の考えを聞いておきたい。

○中川国務大臣 御指摘のとおり、今回の東日本大震災の教訓の一つとして、幅広くメンバーに各代表を組み込むべきだという話でありまして、自主防災組織を構成する者または学識経験者という形で表現をさせていただきました。想定するのは、先ほど御指摘のあった障害者の皆さんとか、あるいは高齢者、女性、NPO等の団体等々、全て包含してこの言葉の中に想定として入っておりまして、そのようなことは、都道府県に対する施行通知等によりまして、この意味合いを十分に周知してまいりたいというふうに思っております。

○重野委員 この部分というのは非常に現場においては大事な問題であって、文言等々についても、漠とした抽象的な言葉ではなくて、より具体的にきめ細かに。一口に障害者といいましても、目の不自由な方もおられるし耳の不自由な方もおられるし、そういうさまざまな形態がありますので、私はやはり、そういう方々というのは、いざ事態が発生した場合には、一番弱い、政府あるいは行政機関の意思の伝達が届きにくい部分の皆さんでありますから、そういう方法も含めて、やはり趣旨を徹底するためにどうあるべきなのかという視点において、今答弁されましたけれども、より具体的にきめ細やかに、そこら辺は徹底するように努めていただきたいな、このように思っております。

 次に、住民の責務という言葉が盛んに使われるのですが、そこについて聞いておきたいのです。

 住民の責務の中には、みずから災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動への参加、防災に寄与するように努めなければならない、こういう文言がございます。しかし、この間の災害の現場で感じたことは、みずからの備えやあるいは防災活動への参加、防災に寄与することがままならない実態がある。思っても即それが行動に移らないというケースもあるだろうし、そういう問題があるんだということを実感しています。

 先日も竜巻被害で現地視察を行いましたが、大きな被害が出たある地区では、六十五歳以上の住民が三割を超えるんだというふうな話でありました。また、土石流などの被害が発生した中山間地域では平野部以上に高齢化が進んでいる。こういう現実も明らかになっております。

 みずから災害に備えるというその思想は否定はいたしません。いたしませんが、災害時に高齢者あるいはそういう意味での弱者などをきちんとサポートできる地域や地方自治体の体制、これも極めて重要な点だというふうに思います。

 先ほども質問がございましたけれども、今回の改正で、過去の災害からの教訓の伝承が追加されました。これは私は評価をいたします。いたしますが、核家族化が進行する社会において、この教訓の伝承、これを個人に課すことというのは容易ではないと私は思うんですね。核家族化ということに象徴されるように、親から、あるいはおじいちゃんから孫に伝承するということ、そういうケースだって、今の核家族化という状態の中においては不可能なんですね。

 こういうふうに事態が変わってきましたから、これを住民のみに課すことというのは、私は、結果的に伝承を難しくするんだ、このような立場に立ちます。

 そこで、住民の責務については行政がしっかりサポートすること、そのことが最も重要な点だというふうに思うんですが、その点についての大臣の認識をお願いします。

○中川国務大臣 法案の規定でも、そこのところは行政がしっかりサポートしていくという前提になっていますので、さまざまに工夫をしていかなければならないんだというふうに思います。

 特に、地域の防災訓練、訓練ということと、こうした伝承、教育ということ、これをうまく組み合わせていって、そうした機会に地域の現状を皆が共有して、そして取り組むというふうな環境をつくっていくんだというふうに思っておりまして、そこもきめ細かく制度づくりに尽くしていきたいというふうに思っております。

○重野委員 以上で終わりますけれども、地域のさまざまな組織がございます、自治会組織もあるしPTAという組織もあるし、そういうもろもろの全ての組織に、今考えておられる政府の意思というものが行き渡るようにすることが実効を伴うことになっていく、このように考えますので、その点を十分認識してやっていただきたい。

 以上であります。終わります。

(→6月19日災害対策特別委員会?△悄?
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