参議院 予算委員会(吉川委員)
平成24年6月13日(水)
○吉川沙織君 これまではどちらかといえば国家の重要インフラが攻撃をされて国民の生活が危機にさらされる、そういう観点からお伺いをいたしましたけれども、ここからは国民の生命、身体にかかわる防災行政についてお伺いしたいと思います。
内閣府の国民生活に関する世論調査において、政府に対する要望という項目がございます。その中で、防災と回答した割合の推移を取ってみました。ほかの項目に比べずっと低調に推移しています。ただ、昨年の調査におきましては、東日本大震災の発生を受け二四・九%まで上昇しておりますが、それでもやっぱりほかの項目に比べれば随分低いという状況です。これは、決して防災体制がそれぞれのお住まいの地域で整っているからというわけではなく、これは意識の問題だと思います。
実際に災害に遭遇した自治体においては、質、量共に高めていかなければならないという観点で対応が進むことになると思います。ただ、そこから遠い自治体においては、やはりどこか遠いところで起こっているという感覚に陥ってしまい、いざ災害が発生したとき想定外だったというせりふになって表れてくるというようなこともあります。
だから、自らの自治体の防災体制が十分であるかの見直しが恒常的に行われなければなりません。そして、それは防災部局だけではなく全庁的に行う必要があると思います。このことについて、一般論としては誰も反対しないと思います。しかし、実際にはこのような認識に基づいて行政運営がされているかどうか、人員も予算も少ないのが現状であると思います。東日本大震災が発生し、防災に対する意識変化が見られる今こそ、国として防災意識が高まる方策を打つべきではないかと考えますが、総理の御見解、お伺いいたします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおり、東日本大震災という未曽有の大災害の発生を受けまして、国民一人一人の防災意識を高めることの重要性が改めて認識をされているというふうに思います。実際に東日本大震災の発生時には、過去の災害教訓に基づく防災教育や避難訓練により適切な避難行動を取ることができた事例もございました。地域住民が助け合って避難所を運営した事例も報告をされております。
今後は、このような災害教訓の伝承、そして様々な機会を通じた防災教育、訓練等を通じ、国民一人一人の自助及び身近なコミュニティー等による共助の意識を高めるための取組等を推進するなどの国民の防災意識を高めてまいりたいと思います。
○吉川沙織君 防災意識を高めると同時に、現状をまず把握する必要があるのではないかと思っています。例えば、どんなに優秀な職員の方でも事務処理量には限界があります。したがって、災害対応時の職員の数も意識しなければ、仮に質の向上が図られたとしても物理的に対応することができません。
それでは、どのような支援や対策を国が打っているのか。昨年十一月四日の災害対策特別委員会において、防災担当大臣は、「市町村の防災体制については、必ずしも十分に把握できているというふうな状況ではないというふうに思います。」と御答弁されていますが、これ調査をするおつもり、ございませんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 詳しく調査はしていきたいというふうに思っております。同時に、教育という意味で専門家をやっぱり地方自治体に育てるということ、これも併せて頑張っていきたいと思います。
○吉川沙織君 では、各地方公共団体において、消防費ではない防災に関する予算が毎年度どの程度確保されてきているのか、その状況を把握されているのか、総務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。
二十二年度の市町村に係る決算統計に基づいてのお話でありますけれども、今御指摘のような部分でいいますと、消防本部、消防団に係る経費と、それから市町村防災会議、地域防災計画の作成に係る経費が消防費という形で区分されずに計上されておりまして、全体として総額は一兆六千三百六十一億円であります。
公共団体の防災の現況、今委員御指摘のようなものをしっかり把握することはこの東日本大震災を踏まえて極めて重要なことであるというふうに思っておりますので、委員の御指摘も踏まえながら、昨年末の地域防災計画の見直し、あるいは非常用備蓄物資の購入等に要する経費などに係る市町村予算について調査する方向で取り組んでまいりたいと思っております。
○吉川沙織君 今御答弁ございました決算統計把握ですが、例えば、今平成二十二年度のものを引用なさいました。平成二十二年度市町村決算における歳出総額に占める消防費の割合はたった三・一%です。この中には火災対応や救急関連経費などが入っておりますことから、僅か三・一%の中で防災関連の経費にどの程度振り向けられているかというと、非常に少ないと予想されます。そういった現状を直視するためにも、今調査をしていきたいという御答弁ございましたので、是非調査をお願いしたいと思います。
東日本大震災においては、災害対応の拠点となる市町村庁舎、そして消防庁舎など、施設そのものが被災をし、多くの方が犠牲になられるとともに、市町村の災害対応の機能が一時的に喪失若しくは著しく低下をするという事態が発生することになりました。
地方公共団体は災害時であっても継続しなければならない業務を抱えていることから、大規模災害時においても業務が適切に継続できる体制を整えなければなりません。本年三月に公表された「地方自治情報管理概要」によりますと、全庁的な業務継続計画、BCPの策定済団体について、市区町村はたった四・三%です。つまり、ほとんどの自治体において業務継続体制が整っていません。
一方、二〇一〇年四月、これ震災前ですけれども、内閣府から、「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」が策定されていますが、東日本大震災の教訓を踏まえ内閣府の手引きを見直す必要があるかないか、お願いいたします。
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、BCP、大変重要な課題であると思っています。
二十二年の四月に、地震発生時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説、これがあるんですが、改めて見直していきます。そして、しっかりとした形でBCP、浸透していくように、これも頑張っていきたいと思います。
○吉川沙織君 是非、東日本大震災の反省を踏まえた形で手引きを見直していただきたいと思います。
この手引きを見直していただくことはもちろん必要でございますけれども、一方で、二〇一〇年四月の内閣府、消防庁の調査によりますと、業務継続体制が市区町村で整っていない理由についてどういうものが述べられているかといいますと、この必要性について庁内で議論がされていない、若しくは必要な人員や人材がいないからとされています。本年三月公表調査において、今後も業務継続計画の策定予定がないと回答している団体数は都道府県で五団体、市区町村で一千百四十一団体にも上っています。
我が国は、東日本大震災で地方公共団体の機能喪失事態に向き合っているにもかかわらず、策定予定をしていない団体がこんなにも多いということについて強く働きかけをしていくべきではないかと思いますが、防災大臣、いかがですか。
○国務大臣(中川正春君) 私も同じ問題意識を持っておりまして、改めて、それぞれ市町村、県、そしてまた民間団体もそうなんですが、協議会をそれぞれ地域で持っていきながら、そんな中でこの業務継続計画というものについてもしっかりとした浸透をさせていくようにということで、具体的に計画を進めていきたいというふうに思っております。
○吉川沙織君 これまで総務委員会や災害対策特別委員会でも質疑をしてきたんですけれども、例えば、避難勧告の策定基準ができない、それから今回の業務継続計画が策定できない、これは人員や予算の問題もあります。それから、策定の仕方が分からないという、そういう回答結果も多うございますので、それは国が助言、指導、そして必要な財政措置を行う、そういう形で是非リーダーシップを取ってやっていただきたいと思います。
さて、東日本大震災では、津波により自治体が保有する住民情報が逸失する事態が発生をしました。災害からの円滑な復旧を進めるため、また被災者の生活再建を支援するためには、災害が発生しても住民情報が保全されることが求められます。東日本大震災を機に、先ほども御答弁がございましたけれども、自治体クラウドを導入しようとする動きが広まりつつあります。確かに、住民情報の逸失を防ぐ手段の一つの方策として自治体クラウドの導入は考えられることだと思います。しかし、自治体クラウドを導入する、しないの前に、そもそも多くの自治体において様々な住民情報が紙でしか保存されていないとされます。
道路、河川、農道、林道、公有財産など、行政が保有する台帳についても電子化が進んでいないという現状をパネルにしてみました。情報の電子化やデータバックアップが遅れているこれらの分野では、津波による被害で多くの庁舎等が流失、破壊をされたため、住民生活にかかわる多くの基本データが失われました。これまでは、災害が発生しても自治体の行政機能が喪失することは想定されてこなかったですが、東日本大震災では実際にそのような事態に陥ってしまいました。
そこで、行政機能が喪失する可能性があることを想定し、まずは住民情報や各種台帳の電子化を強力に推進するべきと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(川端達夫君) 委員御指摘のように、いわゆる重要なデータでまだ紙であるという部分が残っております。御指摘のとおりでございます。
住民基本台帳は一〇〇%電子化されておりますけれども、固定資産税台帳についてはまだ一七%紙であると。当然ながら、東日本大震災の教訓も踏まえまして、電子化すること、それからバックアップ体制を取ること、そして、委員御指摘のようにそれをクラウド化すること、この三つがどうしてもセットで必要であろうというふうに思っております。
そういう意味で、この被災県においてのクラウド化に関しては財政的な支援する仕組みをつくりましたけれども、こういうことを踏まえて、技術的な助言、支援、そして財政的な支援が今の三点においてしっかり進むようにこれからも支援をしてまいりたいと思っております。
○吉川沙織君 今総務大臣からバックアップの必要性について御答弁いただきましたけれども、今後その発生の切迫性が指摘をされております東海、東南海、南海の三連動地震、こういったことが発生をした場合、それぞれ被災の少ない地域で、例えば中央省庁のデータも含めて、バックアップの在り方というものを強力に検討していく必要性もあると思いますが、防災担当大臣の御所見、簡潔にお伺いします。
○国務大臣(中川正春君) そうした問題意識を持って検討会議の中のプロジェクトのチームをつくりまして、このバックアップとそれから情報関連、これをトータルで総合的に見直していこうという作業を今始めております。
○吉川沙織君 なお、これらの課題に関連いたしまして、地理情報システム、GISの整備も課題の一つになっています。
このGISについて、政府において本格的な取組が始まりましたのは阪神・淡路大震災における反省等がきっかけとされています。GISは、災害時には救出活動、被害認定調査、罹災証明、生活再建などに活用され、大きな力を発揮されているとされていますし、今回の東日本大震災でも、整備が終わっているところではかなり活用されて、迅速な罹災証明の発行にもつながっています。
ただ、行政が保有する各種台帳のデジタル化は、先ほど御覧いただきましたとおり、まだまだ進んでいないという実情がございます。ですので、これを活用した整備が十分に必ずしも進んでいないというのが残念ながら現状でございます。
また、地方公共団体において既にGISを活用している部署がありますが、中央省庁の縦割りの影響もあり、各部署が特定の用途に利用するためにばらばらに整備を進めてきました。そのため、各部署の保有する空間データの互換性がなく相互に利用ができず、また、重複投資となり無駄が生じてきました。
国及び地方におけるこのような縦割りと重複投資を排していかなければならないと考えますが、GIS活用の基礎となる地図データを所管する国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 政府といたしましても、地理空間情報活用推進基本計画を閣議決定するとともに、各省庁による推進会議を設置するなど、緊密な体制をつくり、一体となってその整備に取り組んでいるところでございます。
国土交通省においても積極的にGISの活用を推進しておりまして、先ほどお話があったように、東日本大震災に際しましては、発災直後から空中写真を撮影し公開するとともに、被災状況を反映した地図を作成するなど、GISが復旧復興支援に大きく貢献していると思っております。
今後とも、町づくりや国土づくりの中でGISの積極的な活用を進めてまいります。
○吉川沙織君 今後発生の切迫性が指摘されている災害等においては、一人でも多くの命を救うための救助活動、被災者を支援するための迅速な罹災証明書の発行、復旧復興作業を早期に進めるための瓦れき撤去作業の進捗管理、その後の本格的な復旧復興など、東日本大震災の反省を踏まえ、省庁間の縦割りを排しつつ、国、地方が連携しながら研究及び整備を進めていただきたいと思いますし、国民の生命、身体、財産を守るために、防災行政、先ほど意識の問題も見ていただきましたし、現状もそれぞれ指摘をさせていただきました。
是非、総理以下政府のリーダーシップで、国民の命を守る、住民の命を守るための政治を前に進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
内閣府の国民生活に関する世論調査において、政府に対する要望という項目がございます。その中で、防災と回答した割合の推移を取ってみました。ほかの項目に比べずっと低調に推移しています。ただ、昨年の調査におきましては、東日本大震災の発生を受け二四・九%まで上昇しておりますが、それでもやっぱりほかの項目に比べれば随分低いという状況です。これは、決して防災体制がそれぞれのお住まいの地域で整っているからというわけではなく、これは意識の問題だと思います。
実際に災害に遭遇した自治体においては、質、量共に高めていかなければならないという観点で対応が進むことになると思います。ただ、そこから遠い自治体においては、やはりどこか遠いところで起こっているという感覚に陥ってしまい、いざ災害が発生したとき想定外だったというせりふになって表れてくるというようなこともあります。
だから、自らの自治体の防災体制が十分であるかの見直しが恒常的に行われなければなりません。そして、それは防災部局だけではなく全庁的に行う必要があると思います。このことについて、一般論としては誰も反対しないと思います。しかし、実際にはこのような認識に基づいて行政運営がされているかどうか、人員も予算も少ないのが現状であると思います。東日本大震災が発生し、防災に対する意識変化が見られる今こそ、国として防災意識が高まる方策を打つべきではないかと考えますが、総理の御見解、お伺いいたします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおり、東日本大震災という未曽有の大災害の発生を受けまして、国民一人一人の防災意識を高めることの重要性が改めて認識をされているというふうに思います。実際に東日本大震災の発生時には、過去の災害教訓に基づく防災教育や避難訓練により適切な避難行動を取ることができた事例もございました。地域住民が助け合って避難所を運営した事例も報告をされております。
今後は、このような災害教訓の伝承、そして様々な機会を通じた防災教育、訓練等を通じ、国民一人一人の自助及び身近なコミュニティー等による共助の意識を高めるための取組等を推進するなどの国民の防災意識を高めてまいりたいと思います。
○吉川沙織君 防災意識を高めると同時に、現状をまず把握する必要があるのではないかと思っています。例えば、どんなに優秀な職員の方でも事務処理量には限界があります。したがって、災害対応時の職員の数も意識しなければ、仮に質の向上が図られたとしても物理的に対応することができません。
それでは、どのような支援や対策を国が打っているのか。昨年十一月四日の災害対策特別委員会において、防災担当大臣は、「市町村の防災体制については、必ずしも十分に把握できているというふうな状況ではないというふうに思います。」と御答弁されていますが、これ調査をするおつもり、ございませんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 詳しく調査はしていきたいというふうに思っております。同時に、教育という意味で専門家をやっぱり地方自治体に育てるということ、これも併せて頑張っていきたいと思います。
○吉川沙織君 では、各地方公共団体において、消防費ではない防災に関する予算が毎年度どの程度確保されてきているのか、その状況を把握されているのか、総務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。
二十二年度の市町村に係る決算統計に基づいてのお話でありますけれども、今御指摘のような部分でいいますと、消防本部、消防団に係る経費と、それから市町村防災会議、地域防災計画の作成に係る経費が消防費という形で区分されずに計上されておりまして、全体として総額は一兆六千三百六十一億円であります。
公共団体の防災の現況、今委員御指摘のようなものをしっかり把握することはこの東日本大震災を踏まえて極めて重要なことであるというふうに思っておりますので、委員の御指摘も踏まえながら、昨年末の地域防災計画の見直し、あるいは非常用備蓄物資の購入等に要する経費などに係る市町村予算について調査する方向で取り組んでまいりたいと思っております。
○吉川沙織君 今御答弁ございました決算統計把握ですが、例えば、今平成二十二年度のものを引用なさいました。平成二十二年度市町村決算における歳出総額に占める消防費の割合はたった三・一%です。この中には火災対応や救急関連経費などが入っておりますことから、僅か三・一%の中で防災関連の経費にどの程度振り向けられているかというと、非常に少ないと予想されます。そういった現状を直視するためにも、今調査をしていきたいという御答弁ございましたので、是非調査をお願いしたいと思います。
東日本大震災においては、災害対応の拠点となる市町村庁舎、そして消防庁舎など、施設そのものが被災をし、多くの方が犠牲になられるとともに、市町村の災害対応の機能が一時的に喪失若しくは著しく低下をするという事態が発生することになりました。
地方公共団体は災害時であっても継続しなければならない業務を抱えていることから、大規模災害時においても業務が適切に継続できる体制を整えなければなりません。本年三月に公表された「地方自治情報管理概要」によりますと、全庁的な業務継続計画、BCPの策定済団体について、市区町村はたった四・三%です。つまり、ほとんどの自治体において業務継続体制が整っていません。
一方、二〇一〇年四月、これ震災前ですけれども、内閣府から、「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」が策定されていますが、東日本大震災の教訓を踏まえ内閣府の手引きを見直す必要があるかないか、お願いいたします。
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、BCP、大変重要な課題であると思っています。
二十二年の四月に、地震発生時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説、これがあるんですが、改めて見直していきます。そして、しっかりとした形でBCP、浸透していくように、これも頑張っていきたいと思います。
○吉川沙織君 是非、東日本大震災の反省を踏まえた形で手引きを見直していただきたいと思います。
この手引きを見直していただくことはもちろん必要でございますけれども、一方で、二〇一〇年四月の内閣府、消防庁の調査によりますと、業務継続体制が市区町村で整っていない理由についてどういうものが述べられているかといいますと、この必要性について庁内で議論がされていない、若しくは必要な人員や人材がいないからとされています。本年三月公表調査において、今後も業務継続計画の策定予定がないと回答している団体数は都道府県で五団体、市区町村で一千百四十一団体にも上っています。
我が国は、東日本大震災で地方公共団体の機能喪失事態に向き合っているにもかかわらず、策定予定をしていない団体がこんなにも多いということについて強く働きかけをしていくべきではないかと思いますが、防災大臣、いかがですか。
○国務大臣(中川正春君) 私も同じ問題意識を持っておりまして、改めて、それぞれ市町村、県、そしてまた民間団体もそうなんですが、協議会をそれぞれ地域で持っていきながら、そんな中でこの業務継続計画というものについてもしっかりとした浸透をさせていくようにということで、具体的に計画を進めていきたいというふうに思っております。
○吉川沙織君 これまで総務委員会や災害対策特別委員会でも質疑をしてきたんですけれども、例えば、避難勧告の策定基準ができない、それから今回の業務継続計画が策定できない、これは人員や予算の問題もあります。それから、策定の仕方が分からないという、そういう回答結果も多うございますので、それは国が助言、指導、そして必要な財政措置を行う、そういう形で是非リーダーシップを取ってやっていただきたいと思います。
さて、東日本大震災では、津波により自治体が保有する住民情報が逸失する事態が発生をしました。災害からの円滑な復旧を進めるため、また被災者の生活再建を支援するためには、災害が発生しても住民情報が保全されることが求められます。東日本大震災を機に、先ほども御答弁がございましたけれども、自治体クラウドを導入しようとする動きが広まりつつあります。確かに、住民情報の逸失を防ぐ手段の一つの方策として自治体クラウドの導入は考えられることだと思います。しかし、自治体クラウドを導入する、しないの前に、そもそも多くの自治体において様々な住民情報が紙でしか保存されていないとされます。
道路、河川、農道、林道、公有財産など、行政が保有する台帳についても電子化が進んでいないという現状をパネルにしてみました。情報の電子化やデータバックアップが遅れているこれらの分野では、津波による被害で多くの庁舎等が流失、破壊をされたため、住民生活にかかわる多くの基本データが失われました。これまでは、災害が発生しても自治体の行政機能が喪失することは想定されてこなかったですが、東日本大震災では実際にそのような事態に陥ってしまいました。
そこで、行政機能が喪失する可能性があることを想定し、まずは住民情報や各種台帳の電子化を強力に推進するべきと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(川端達夫君) 委員御指摘のように、いわゆる重要なデータでまだ紙であるという部分が残っております。御指摘のとおりでございます。
住民基本台帳は一〇〇%電子化されておりますけれども、固定資産税台帳についてはまだ一七%紙であると。当然ながら、東日本大震災の教訓も踏まえまして、電子化すること、それからバックアップ体制を取ること、そして、委員御指摘のようにそれをクラウド化すること、この三つがどうしてもセットで必要であろうというふうに思っております。
そういう意味で、この被災県においてのクラウド化に関しては財政的な支援する仕組みをつくりましたけれども、こういうことを踏まえて、技術的な助言、支援、そして財政的な支援が今の三点においてしっかり進むようにこれからも支援をしてまいりたいと思っております。
○吉川沙織君 今総務大臣からバックアップの必要性について御答弁いただきましたけれども、今後その発生の切迫性が指摘をされております東海、東南海、南海の三連動地震、こういったことが発生をした場合、それぞれ被災の少ない地域で、例えば中央省庁のデータも含めて、バックアップの在り方というものを強力に検討していく必要性もあると思いますが、防災担当大臣の御所見、簡潔にお伺いします。
○国務大臣(中川正春君) そうした問題意識を持って検討会議の中のプロジェクトのチームをつくりまして、このバックアップとそれから情報関連、これをトータルで総合的に見直していこうという作業を今始めております。
○吉川沙織君 なお、これらの課題に関連いたしまして、地理情報システム、GISの整備も課題の一つになっています。
このGISについて、政府において本格的な取組が始まりましたのは阪神・淡路大震災における反省等がきっかけとされています。GISは、災害時には救出活動、被害認定調査、罹災証明、生活再建などに活用され、大きな力を発揮されているとされていますし、今回の東日本大震災でも、整備が終わっているところではかなり活用されて、迅速な罹災証明の発行にもつながっています。
ただ、行政が保有する各種台帳のデジタル化は、先ほど御覧いただきましたとおり、まだまだ進んでいないという実情がございます。ですので、これを活用した整備が十分に必ずしも進んでいないというのが残念ながら現状でございます。
また、地方公共団体において既にGISを活用している部署がありますが、中央省庁の縦割りの影響もあり、各部署が特定の用途に利用するためにばらばらに整備を進めてきました。そのため、各部署の保有する空間データの互換性がなく相互に利用ができず、また、重複投資となり無駄が生じてきました。
国及び地方におけるこのような縦割りと重複投資を排していかなければならないと考えますが、GIS活用の基礎となる地図データを所管する国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 政府といたしましても、地理空間情報活用推進基本計画を閣議決定するとともに、各省庁による推進会議を設置するなど、緊密な体制をつくり、一体となってその整備に取り組んでいるところでございます。
国土交通省においても積極的にGISの活用を推進しておりまして、先ほどお話があったように、東日本大震災に際しましては、発災直後から空中写真を撮影し公開するとともに、被災状況を反映した地図を作成するなど、GISが復旧復興支援に大きく貢献していると思っております。
今後とも、町づくりや国土づくりの中でGISの積極的な活用を進めてまいります。
○吉川沙織君 今後発生の切迫性が指摘されている災害等においては、一人でも多くの命を救うための救助活動、被災者を支援するための迅速な罹災証明書の発行、復旧復興作業を早期に進めるための瓦れき撤去作業の進捗管理、その後の本格的な復旧復興など、東日本大震災の反省を踏まえ、省庁間の縦割りを排しつつ、国、地方が連携しながら研究及び整備を進めていただきたいと思いますし、国民の生命、身体、財産を守るために、防災行政、先ほど意識の問題も見ていただきましたし、現状もそれぞれ指摘をさせていただきました。
是非、総理以下政府のリーダーシップで、国民の命を守る、住民の命を守るための政治を前に進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。