衆議院 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(自民・福井委員)
平成24年5月31日(木)
○福井委員 ありがとうございました。
次に、中川大臣、この前、高知県にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。
資料三をごらんいただきたいと思います。きのう財務省からいただいた資料を、久しぶりに電卓を持ち込んで計算したのでございますが、阪神・淡路のときの経験です。
七年度一次補正、二次補正、八年度一次補正とありまして、阪神・淡路の復興に要する公共事業費等というのが、もちろん一兆円、六千億、三千億ありますが、当時は、それ以外の項目で公共事業を追加しているんですね。七年度一次補正で八千億、二次補正で三兆円、八年度の一次補正で一兆四千億円。ここが今回と全然違うところです。この前、東北自動車道、がっちり何とか守りましたけれども、このときにやっているんですね。このお金で全国の落橋防止装置をつけて、道路そして河川の堤防の耐震工事を至急やったんです。建築基準法も、命だけは守るというふうに改正をしました。今回これをやらないと、後世から一体何をやっていたんだというふうに言われると思うんですね。
さらにまた、後ほど古川大臣からお話しいただきますけれども、デフレギャップもあり、そして新々成長戦略に結びつける防災事業もありというふうに思うんですが、この表を見て、今般の経済情勢を見て、そして、南海トラフの発表をされた担当大臣としてどういう御所見をお持ちか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○中川国務大臣 先般、地元にもお邪魔をさせていただきましたが、本当に熱心に、真摯にこの防災計画を受けとめていただいておりまして、皆さん、これから具体的な計画を描いていくというそのプロセスの途中にあるんだ、我々と一緒にそれを描いていくということ、頑張っていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
阪神・淡路それから東日本の大震災、徹底的にこれを検証していくということ、これがまず第一だと私たちは思っております。その上で、ああいう大規模な、そしてまた甚大な被害を及ぼす災害に対して、どういうふうに枠組みとして体制ができているのか、これを今、再検証している。その上で、首都直下地震や南海トラフというのは特に切迫感が、迫ってきているということを専門家に指摘されておりますので、それに対する具体的な対策というのを、地方自治体とあわせて、一緒にネットワークを組んでつくっていくということであります。
そのときの基本的な考え方として、ハードかソフトかということではなくて、ハードもソフトも両方考え合わせた形のトータルな政策をつくっていくということ。その中で、やはりハードでやっても、それから、津波であれば、越えてくるというものに対しては、減災という考え方の中で、例えば堤防の整備と、それからハザードマップの作成、それに基づいて都市計画の中にそれを反映させていく、それから訓練の中にまた反映をさせていく、その専門家も育てていく、そういう組み合わせをしっかりと考えていくということ、これを具体化していくということが大事だというふうに思っています。
そういう意味で、今回、国土の強靱化ということで政策をまとめていただいて、御提言をいただいたこと、感謝申し上げたいと思いますし、また、参考にさせていただきながら、一緒に知恵を出していくという体制をつくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(発言する者あり)
○福井委員 余り最初からいい答弁をされてもあれですけれども。
来週、国土強靱化基本法を提出させていただいて、二週間後には、南海トラフ由来の巨大地震、巨大津波対策特別措置法なるものを、三重県も対象になりますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げたいと思います。
お待たせしました、古川大臣。
資料四は、ちょっと古い、古川大臣が会議で提出された、三%から十五兆円というときのデータです。先日、十兆円というデータを示されました。とにかく、GDPギャップがあるんだ。そして、その十五兆が十兆になったけれども、今後どうなるかという見通し、なかなかこの場では言いづらいかもしれませんけれども、言いづらいところを、のりを越えて、ぜひ、GDPギャップについて、古川大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○古川国務大臣 お答えいたします。
GDPギャップにつきましては、今委員の方から御指摘ございましたように、足元の二〇一二年の一月―三月期では、潜在GDP比マイナス二・二%程度、金額では十兆円程度、そういう試算になっております。このGDPギャップは、リーマン・ショック後、マイナス七・九%程度まで拡大をしましたけれども、その後は、震災による影響を受けながらも、経済状況の改善に伴い縮小してきておりまして、ぜひこういう傾向が続いていくように私どもとしても期待をしたいと思いますし、そうなるように私どもも政策運営をやってまいりたいと思っております。
具体的には、このGDPギャップ縮小の観点から、平成二十三年度、累次にわたる補正予算に盛り込まれた施策を行っておりますし、さらには、平成二十四年度予算、これの迅速かつ着実な実行に努めているところでございます。さらには、やや長い目で見て、経済の持続的な成長を実現していくために、今復興需要がこの景気回復に大変資しているわけでございますけれども、こうした復興需要というのは公的需要が中心でございますから、そうしたものから民間需要主導の経済への円滑な移行を図っていく、このことによってGDPギャップを縮小させていきたいというふうに考えております。
○福井委員 ありがとうございました。
ティンバーゲンの定理というのがあるんだそうでございまして、独立したX軸、Y軸、Z軸とあるかもしれませんが、デフレ対策と、それから社会保障と税の一体改革というのはまさに直交する問題であり、それを解く施策も直交していいんだというか、独立しなければならないというのがティンバーゲンの定理でございます。
今、三%だったら十五兆円、二%だったら十兆円。いずれにしても、この三年か二年で回復をしなければならない、それをゼロにしなければならないというふうに私たちは思っていますので、そのデフレギャップの解消のために何をしなければならないか、一体ほかにどんな手があるのか。それは、有効需要の創造、公共事業でそれを埋めていくしかないんじゃないか。
しかもそれは、無駄をするんじゃなくて、まさに迫りくる、クリーピングじゃなくて、今まさにそこに存在する危機に対処するための防災・減災対策、避難する場所をつくる、人の命を救う。そして、中川防災大臣がごらんになった、避難を拒否する人が出てくるのを、首長はこれだけは勘弁してほしいとさえ思っているんですよ。三十四・四メーターが来る、もうええわ、どうぞ逃げられる人は逃げてください、私たちは逃げないというふうに、避難しない人、避難を拒否する人、これを救うというのが私たちの政治の役目だと思うんですね。一人もそういう避難拒否者を出さない。
そのために要るお金というのは、先ほど言いましたように山ほどあるわけですし、このティンバーゲンの定理もある。
だから、独立して、社会保障と税の一体改革は税の一体改革、デフレ対策はデフレ対策ということで、公共事業の十年で二百兆円、もちろんソフトも含めて、安住大臣の高い志と大きなお人柄でぜひお認めをいただきたいと思います。
そのアナロジーがあるんですね。
防災担当大臣から御答弁いただきたいんですけれども、資料五をごらんいただくと、今世界で一番人気のある、ダボス会議で一番人気のある、二年連続ナンバーワンのキャメロンが何で人気があるかというと、緊縮財政だからです。緊縮財政をしているから人気がある。
しかし、今やっていることは、こんなことをやっているんですね。ナショナル・インフラストラクチャー・プラン二〇一一というので、高速道路をつくりましょう、エネルギー開発しましょう、情報通信やりましょう、廃棄物処理やりましょう、上下水道やりましょう、洪水対策やりましょう、知的財産やりましょう。大きなお金を使いましょうということで、国家インフラ整備計画というのをやっている。
この資料にはありませんが、解説として、インフラネットワークは経済を支えるバックボーンであり、成長と生産性を実現する上での重要な要素である。イギリスは、過去数百年間の歴史を通じて広範囲に充実したインフラを整備してきたけれども、これまではネットワークに関してばらばらだった、個別対応的であった。これを反省した。
ばらばらだった、フラグメンティッドだった、それでリアクティブだったというふうに反省をしたわけです。
なので、国際競争力を確保する上でも、今までの対応を反省して、ダイナミックな経済を支えるに足るインフラを戦略的にネットワークとして整備しようと。
その結果がこれなんですよ。財政再建は財政再建、だけれどもインフラ整備はインフラ整備。これはイギリスでやっているじゃありませんかということなんですね。これは現実なんです。
これを見て、そして資料六を見ていただきますと、今、日本でも現実としてやっているのが、日本の港の格を実現するための防災対策、そして耐震を強化した堤防、そしてバースをつくろうとしているわけですね。神戸でこれだけ減って、大きな船がもう立ち寄らなくなったんです。回復すべきは、コンテナの数もそうですけれども、港の品格なんです、港の格なんです。それを回復しなきゃ日本の企業はますます出ていく。それを食いとめなきゃ、一体何してるんや、こう言われるわけですね。
道路はもう言いません、資料七にあります。
日本の今までのインフラの志、これをぜひ理解していただいた上で、しかも、このイギリスのアナロジーを見て、中川大臣から御決意をぜひ御紹介いただきたいと思います。
○中川国務大臣 復興計画の中で、強靱なというその意味合いは、事前に整備をしていくということ、これも一つあるでしょうが、もう一方で、レジリエントとさっき言われましたが、いわば起き上がってくる、やられてももう一回起き上がってきて頑張っていくんだという、その力をつくり上げていく、そういう意味もあるんだろうと思います。
日本は今どういう状況かというと、やはり東日本の大震災を受けて、あの地域を復興していくことによって日本の元気を牽引していくぐらい、そういう戦略を立てていこうというさなかにあるんだと思うんですね。そういう意味では、財源的にも十九兆円という特別の財源がその中にあって、そこから全てが始まっていくということだと思います。
私も、それを全国にどう展開していくかという考え方の中で、それでは財源をどうするんだということがあると思うんですが、まずは東日本の復興ということ、これを優先的にといいますか、第一義的に考えながら次の戦略をつくっていくということであろうかと思いますので、その点についても、よろしく御協力をいただくようにお願い申し上げます。
○福井委員 時間があと二分ありますので、最後の質問を同じ中川大臣にさせていただきます。
BCP計画というのが最近はやりでございます。いろいろな法人が、企業が、工場が、その企業活動が継続できるように、どんな地震が来ても、どんな津波が来ても継続できるように、バックアップがあり、あるいはその場所が強靱であるというのが、今それぞれの企業に課せられた命題でありますが、この国土強靱化基本法では、国がそれをグリップする、国が責任を持つ。もう企業企業が勝手にやるんじゃなくて、国が全体を統括し、そして責任を持つということにしたい。
そして、今、日本に欠けているのは国家機能ですね。ここでもし全員が死んだらどうなるのか。順番が決まっていません。知事とか市町村長は総務部長から順番がもう決まっていますのでいいんですけれども、国家機能というのは余りにあっけらかんとしているというのが、いまだにそういう状態が続いています。
アメリカが二〇〇七年に、国家継続政策ということで、ナショナルな、ビジネスコンティニュイティーじゃなくてナショナルコンティニュイティーのポリシーというのを打ち立てました。アメリカにあって日本にないのはここなんですね。ナショナルの、国家機能の持続、コンティニュイティーストラテジーというのをすぐつくらぬといけないというのが今課せられた私たちの命題でございますので、そこのところに対する中川大臣の御所見を伺いたいと思います。
○中川国務大臣 重要な点を御指摘いただいたというふうに思います。
民間では、目標が、大企業でほぼ全てに対してBCPを入れる、それから中堅企業で五〇%ということで、今鋭意進めておりまして、大分進んできていまして、大企業で既に七二%にBCPが入ってきています。それから中堅企業で三六%ということで、この辺、底上げをしていくという努力をしていきたいと思うんです。
それから、中央、我々の足元の省庁、それから首都機能等々含めての問題でありますが、今、各府省庁の業務継続計画について、非常時優先業務の選定に当たって準拠すべき指針、非常時優先業務に必要な職員の確保、庁舎が被災した場合を想定して、東京圏内外における代替施設、バックアップの施設、これについて検討すべく、対策の委員会を局長級で持ちまして、話を詰めているというところでございます。
○福井委員 時間が参りましたので、これからも国土強靱化をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
次に、中川大臣、この前、高知県にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。
資料三をごらんいただきたいと思います。きのう財務省からいただいた資料を、久しぶりに電卓を持ち込んで計算したのでございますが、阪神・淡路のときの経験です。
七年度一次補正、二次補正、八年度一次補正とありまして、阪神・淡路の復興に要する公共事業費等というのが、もちろん一兆円、六千億、三千億ありますが、当時は、それ以外の項目で公共事業を追加しているんですね。七年度一次補正で八千億、二次補正で三兆円、八年度の一次補正で一兆四千億円。ここが今回と全然違うところです。この前、東北自動車道、がっちり何とか守りましたけれども、このときにやっているんですね。このお金で全国の落橋防止装置をつけて、道路そして河川の堤防の耐震工事を至急やったんです。建築基準法も、命だけは守るというふうに改正をしました。今回これをやらないと、後世から一体何をやっていたんだというふうに言われると思うんですね。
さらにまた、後ほど古川大臣からお話しいただきますけれども、デフレギャップもあり、そして新々成長戦略に結びつける防災事業もありというふうに思うんですが、この表を見て、今般の経済情勢を見て、そして、南海トラフの発表をされた担当大臣としてどういう御所見をお持ちか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○中川国務大臣 先般、地元にもお邪魔をさせていただきましたが、本当に熱心に、真摯にこの防災計画を受けとめていただいておりまして、皆さん、これから具体的な計画を描いていくというそのプロセスの途中にあるんだ、我々と一緒にそれを描いていくということ、頑張っていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
阪神・淡路それから東日本の大震災、徹底的にこれを検証していくということ、これがまず第一だと私たちは思っております。その上で、ああいう大規模な、そしてまた甚大な被害を及ぼす災害に対して、どういうふうに枠組みとして体制ができているのか、これを今、再検証している。その上で、首都直下地震や南海トラフというのは特に切迫感が、迫ってきているということを専門家に指摘されておりますので、それに対する具体的な対策というのを、地方自治体とあわせて、一緒にネットワークを組んでつくっていくということであります。
そのときの基本的な考え方として、ハードかソフトかということではなくて、ハードもソフトも両方考え合わせた形のトータルな政策をつくっていくということ。その中で、やはりハードでやっても、それから、津波であれば、越えてくるというものに対しては、減災という考え方の中で、例えば堤防の整備と、それからハザードマップの作成、それに基づいて都市計画の中にそれを反映させていく、それから訓練の中にまた反映をさせていく、その専門家も育てていく、そういう組み合わせをしっかりと考えていくということ、これを具体化していくということが大事だというふうに思っています。
そういう意味で、今回、国土の強靱化ということで政策をまとめていただいて、御提言をいただいたこと、感謝申し上げたいと思いますし、また、参考にさせていただきながら、一緒に知恵を出していくという体制をつくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(発言する者あり)
○福井委員 余り最初からいい答弁をされてもあれですけれども。
来週、国土強靱化基本法を提出させていただいて、二週間後には、南海トラフ由来の巨大地震、巨大津波対策特別措置法なるものを、三重県も対象になりますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げたいと思います。
お待たせしました、古川大臣。
資料四は、ちょっと古い、古川大臣が会議で提出された、三%から十五兆円というときのデータです。先日、十兆円というデータを示されました。とにかく、GDPギャップがあるんだ。そして、その十五兆が十兆になったけれども、今後どうなるかという見通し、なかなかこの場では言いづらいかもしれませんけれども、言いづらいところを、のりを越えて、ぜひ、GDPギャップについて、古川大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○古川国務大臣 お答えいたします。
GDPギャップにつきましては、今委員の方から御指摘ございましたように、足元の二〇一二年の一月―三月期では、潜在GDP比マイナス二・二%程度、金額では十兆円程度、そういう試算になっております。このGDPギャップは、リーマン・ショック後、マイナス七・九%程度まで拡大をしましたけれども、その後は、震災による影響を受けながらも、経済状況の改善に伴い縮小してきておりまして、ぜひこういう傾向が続いていくように私どもとしても期待をしたいと思いますし、そうなるように私どもも政策運営をやってまいりたいと思っております。
具体的には、このGDPギャップ縮小の観点から、平成二十三年度、累次にわたる補正予算に盛り込まれた施策を行っておりますし、さらには、平成二十四年度予算、これの迅速かつ着実な実行に努めているところでございます。さらには、やや長い目で見て、経済の持続的な成長を実現していくために、今復興需要がこの景気回復に大変資しているわけでございますけれども、こうした復興需要というのは公的需要が中心でございますから、そうしたものから民間需要主導の経済への円滑な移行を図っていく、このことによってGDPギャップを縮小させていきたいというふうに考えております。
○福井委員 ありがとうございました。
ティンバーゲンの定理というのがあるんだそうでございまして、独立したX軸、Y軸、Z軸とあるかもしれませんが、デフレ対策と、それから社会保障と税の一体改革というのはまさに直交する問題であり、それを解く施策も直交していいんだというか、独立しなければならないというのがティンバーゲンの定理でございます。
今、三%だったら十五兆円、二%だったら十兆円。いずれにしても、この三年か二年で回復をしなければならない、それをゼロにしなければならないというふうに私たちは思っていますので、そのデフレギャップの解消のために何をしなければならないか、一体ほかにどんな手があるのか。それは、有効需要の創造、公共事業でそれを埋めていくしかないんじゃないか。
しかもそれは、無駄をするんじゃなくて、まさに迫りくる、クリーピングじゃなくて、今まさにそこに存在する危機に対処するための防災・減災対策、避難する場所をつくる、人の命を救う。そして、中川防災大臣がごらんになった、避難を拒否する人が出てくるのを、首長はこれだけは勘弁してほしいとさえ思っているんですよ。三十四・四メーターが来る、もうええわ、どうぞ逃げられる人は逃げてください、私たちは逃げないというふうに、避難しない人、避難を拒否する人、これを救うというのが私たちの政治の役目だと思うんですね。一人もそういう避難拒否者を出さない。
そのために要るお金というのは、先ほど言いましたように山ほどあるわけですし、このティンバーゲンの定理もある。
だから、独立して、社会保障と税の一体改革は税の一体改革、デフレ対策はデフレ対策ということで、公共事業の十年で二百兆円、もちろんソフトも含めて、安住大臣の高い志と大きなお人柄でぜひお認めをいただきたいと思います。
そのアナロジーがあるんですね。
防災担当大臣から御答弁いただきたいんですけれども、資料五をごらんいただくと、今世界で一番人気のある、ダボス会議で一番人気のある、二年連続ナンバーワンのキャメロンが何で人気があるかというと、緊縮財政だからです。緊縮財政をしているから人気がある。
しかし、今やっていることは、こんなことをやっているんですね。ナショナル・インフラストラクチャー・プラン二〇一一というので、高速道路をつくりましょう、エネルギー開発しましょう、情報通信やりましょう、廃棄物処理やりましょう、上下水道やりましょう、洪水対策やりましょう、知的財産やりましょう。大きなお金を使いましょうということで、国家インフラ整備計画というのをやっている。
この資料にはありませんが、解説として、インフラネットワークは経済を支えるバックボーンであり、成長と生産性を実現する上での重要な要素である。イギリスは、過去数百年間の歴史を通じて広範囲に充実したインフラを整備してきたけれども、これまではネットワークに関してばらばらだった、個別対応的であった。これを反省した。
ばらばらだった、フラグメンティッドだった、それでリアクティブだったというふうに反省をしたわけです。
なので、国際競争力を確保する上でも、今までの対応を反省して、ダイナミックな経済を支えるに足るインフラを戦略的にネットワークとして整備しようと。
その結果がこれなんですよ。財政再建は財政再建、だけれどもインフラ整備はインフラ整備。これはイギリスでやっているじゃありませんかということなんですね。これは現実なんです。
これを見て、そして資料六を見ていただきますと、今、日本でも現実としてやっているのが、日本の港の格を実現するための防災対策、そして耐震を強化した堤防、そしてバースをつくろうとしているわけですね。神戸でこれだけ減って、大きな船がもう立ち寄らなくなったんです。回復すべきは、コンテナの数もそうですけれども、港の品格なんです、港の格なんです。それを回復しなきゃ日本の企業はますます出ていく。それを食いとめなきゃ、一体何してるんや、こう言われるわけですね。
道路はもう言いません、資料七にあります。
日本の今までのインフラの志、これをぜひ理解していただいた上で、しかも、このイギリスのアナロジーを見て、中川大臣から御決意をぜひ御紹介いただきたいと思います。
○中川国務大臣 復興計画の中で、強靱なというその意味合いは、事前に整備をしていくということ、これも一つあるでしょうが、もう一方で、レジリエントとさっき言われましたが、いわば起き上がってくる、やられてももう一回起き上がってきて頑張っていくんだという、その力をつくり上げていく、そういう意味もあるんだろうと思います。
日本は今どういう状況かというと、やはり東日本の大震災を受けて、あの地域を復興していくことによって日本の元気を牽引していくぐらい、そういう戦略を立てていこうというさなかにあるんだと思うんですね。そういう意味では、財源的にも十九兆円という特別の財源がその中にあって、そこから全てが始まっていくということだと思います。
私も、それを全国にどう展開していくかという考え方の中で、それでは財源をどうするんだということがあると思うんですが、まずは東日本の復興ということ、これを優先的にといいますか、第一義的に考えながら次の戦略をつくっていくということであろうかと思いますので、その点についても、よろしく御協力をいただくようにお願い申し上げます。
○福井委員 時間があと二分ありますので、最後の質問を同じ中川大臣にさせていただきます。
BCP計画というのが最近はやりでございます。いろいろな法人が、企業が、工場が、その企業活動が継続できるように、どんな地震が来ても、どんな津波が来ても継続できるように、バックアップがあり、あるいはその場所が強靱であるというのが、今それぞれの企業に課せられた命題でありますが、この国土強靱化基本法では、国がそれをグリップする、国が責任を持つ。もう企業企業が勝手にやるんじゃなくて、国が全体を統括し、そして責任を持つということにしたい。
そして、今、日本に欠けているのは国家機能ですね。ここでもし全員が死んだらどうなるのか。順番が決まっていません。知事とか市町村長は総務部長から順番がもう決まっていますのでいいんですけれども、国家機能というのは余りにあっけらかんとしているというのが、いまだにそういう状態が続いています。
アメリカが二〇〇七年に、国家継続政策ということで、ナショナルな、ビジネスコンティニュイティーじゃなくてナショナルコンティニュイティーのポリシーというのを打ち立てました。アメリカにあって日本にないのはここなんですね。ナショナルの、国家機能の持続、コンティニュイティーストラテジーというのをすぐつくらぬといけないというのが今課せられた私たちの命題でございますので、そこのところに対する中川大臣の御所見を伺いたいと思います。
○中川国務大臣 重要な点を御指摘いただいたというふうに思います。
民間では、目標が、大企業でほぼ全てに対してBCPを入れる、それから中堅企業で五〇%ということで、今鋭意進めておりまして、大分進んできていまして、大企業で既に七二%にBCPが入ってきています。それから中堅企業で三六%ということで、この辺、底上げをしていくという努力をしていきたいと思うんです。
それから、中央、我々の足元の省庁、それから首都機能等々含めての問題でありますが、今、各府省庁の業務継続計画について、非常時優先業務の選定に当たって準拠すべき指針、非常時優先業務に必要な職員の確保、庁舎が被災した場合を想定して、東京圏内外における代替施設、バックアップの施設、これについて検討すべく、対策の委員会を局長級で持ちまして、話を詰めているというところでございます。
○福井委員 時間が参りましたので、これからも国土強靱化をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。