三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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参議院 災害対策特別委員会? 碧匯外儖÷、吉川委員、青木委員、若林委員)

平成24年3月23日(金)

本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○災害対策樹立に関する調査
 (豪雪被害対策に関する件)
 (建設事業者、NPO法人等災害応急対応の担
 い手確保に関する件)
 (非常時における住民への情報伝達に関する件
 )
 (地域の災害対応能力の向上のための公共事業
 の在り方に関する件)
 (災害緊急事態に係る法制の在り方に関する件
 )
 (火山災害対策に関する件)
 (洪水時における発電用ダムの操作改善に関す
 る件)
○豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)

    ─────────────

○委員長(松下新平君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○牧山ひろえ君 民主党参議院議員の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 昨年から今年にかけて日本各地に起こった災害に際して、委員の皆様と一緒に視察に各地に行きました。そこで伺ったお話によりますと、災害の起こった各地域における人員不足が大きな問題となっていました。
 平成二十三年十二月下旬から今年の二月にかけて、日本海側を中心として日本列島の広範囲にわたり豪雪の被害があり、私も実際に皆様と一緒に青森県に行ってまいりました。
 全国的に公共事業が削減される中で、豪雪地帯に指定されている市町村を有する都道府県は、それ以外の都道府県と比べて建設業者の数が、減少率が高くなっております。除雪を担う建設業者の確保が課題となっております。そのような状況に対応するため、入札契約制度において地域維持型契約方式、これが導入されました。
 この方式では、災害対応や除雪、インフラの維持管理など、地域に不可欠な業務について地域維持事業の担い手の確保が困難となるおそれのある場合に、除雪と除草、維持補修や道路管理と河川管理など複数の工種や工区をまとめることや、複数年の契約単位で発注するなど、地域維持事業を包括的に発注することが可能だそうです。
 また、豪雪による人的被害について、高齢者の雪下ろし中の事故の報告が多く上がっております。除雪ボランティアも例年ほど集まらないという実態がありまして、自治体では除雪ボランティアに補助金を出すなどの対策を打ち出して対応していると伺っております。
 除雪作業における安全性、そして効率性の向上、地域防災力の向上を図るためには、地域ぐるみの除雪の推進が不可欠であり、地域コミュニティーによる一斉除雪、ボランティアの受入れ体制の整備などを検討していくことが重要であると考えております。
 そこで、除雪を担う建設業者の減少も続いているという状況を鑑み、地域の担い手の確保や育成について、国土交通省として具体的にどのような対応をされているのでしょうか。室井政務官、よろしくお願いいたします。

○大臣政務官(室井邦彦君) 牧山先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 先生御指摘のとおりでありまして、豪雪地帯では高齢化、また過疎化が全国平均を上回るペースで進んでおります。雪下ろしや除雪の作業が大きな負担となっているものと認識をさせていただいております。
 そこで、このため、国土交通省においては、共助による地域除雪マニュアルの策定、普及などにより、地域コミュニティーで協力して除雪を行う、そして高齢者が無理なく除雪できる体制の整備を促進をし、地域の防災力の向上に努めているところであります。
 また、除雪作業の担い手でもある地域の建設企業を確保するため、除雪費用の積算の適正化を推進をするとともに、一括契約や複数年契約などの包括的な契約を地域の建設共同企業体と締結すると。地域維持型契約方式の活用を推進をさせていただいているところであります。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 この人員不足は、豪雪被害だけでなく、水害や降灰被害においても顕著となっております。消防団は、消防組織法に基づいて各市町村に設置され、本業を別に持つ地域住民によって構成されています。また、水防団は、自らが居住する地域に水害や水に起因する事故及びそのおそれがあるときに水防、救急任務に当たっています。
 この水防団や消防団の団員が高齢化し、減少しているという現状があります。消防団員と水防団員の人数の推移は、平成九年が九十八万六千九人、そして現在は八十九万三千五百七十三人と、約七万人減っております。今後更に過疎化や高齢化が進む中で、水防団、消防団だけでなく、地域コミュニティーが協力して総合防災力を高めていく必要があると思います。例えば、地域によっては郵便局の職員が消防団員となっている事例もあると聞いております。
 そこで、現在与野党間で協議が行われている郵政改革関連法案について話題を変えます。
 地域社会を活性化するためにも郵便局が必要であり、郵政改革関連法案が成立すれば郵便局がより活動しやすくなるかと思います。特に、過疎地における災害の場合などには地域のコミュニティーの協力が必要になってくると思いますので、一刻も早く郵政改革関連法案が成立することを願っておりますが、このことに関して、政党間の修正協議がまとまりつつあることも聞いておりますが、このことについて森田政務官に御感想をお願いいたします。

○大臣政務官(森田高君) お答え申し上げます。
 政府として提出させてもらっております郵政改革関連法案につきましては、政府としましては速やかな審議と可決等をお願いするのが基本的立場ではございますが、今ほど御指摘がありましたように、民営化法案の修正ということで今三党協議の方向性も出されてきておりますので、政府として今、殊更に改革法案のことを強調する状況にはないというふうに思っております。与野党間で成案を得ていただきまして、そして国会で深掘りしてもらいまして、一日も早く結論を出していただくということを期待しておりますし、それで出された結論に対しましては、政府としても真摯に尊重させていただきたいというふうに考えております。
 その上で、災害そして地域コミュニティーということに関してお尋ねがありましたので、昨年の大震災におきましても、現地におきましては郵便局員あるいは郵便事業会社の職員が自ら被災して家や家族を失っても、フロントラインを守ろうということで公を守るという精神に基づいて頑張ってくれたというふうに思っております。もちろん、民営化、分社化されておりますので、できたこと、できなかったこと多々あるわけでございます。そういった中で、総務省としましては、東日本大震災におきます日本郵政グループの取組に関する教訓というものも昨年十一月にまとめさせてもらっておりますので、また御参照賜れば幸いでございます。
 そして、それができるのも、しかしユニバーサルサービスのある、三事業に代表されます基本的役務が確保されているということが前提にありますので、こういった中で今次の国会におきまして一日も早く成案、結論が出るということを本当に期待するものでございます。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 ここで一つ、地域で災害対応において活動しているNPO法人を御紹介したいと思います。
 新潟県中越地域で平成十八年の豪雪を契機として、除雪ボランティアの育成とその受入れの仕組みづくりを目的に始動した越後雪かき道場というものがあります。雪かき道場は、地元のベテランから雪かきの知識と技術を学ぶ場として、現在はNPO法人中越防災フロンティアが実施主体となり、広域的な雪処理の担い手確保のみだけでなく、参加者と地域住民の雪かきによる体験型交流という視点も重視して活動しております。あらゆる災害に対して地方自治体における対応はもちろん重要ではございますが、この新潟の事例にもありますように、NPO法人やボランティアの協力も地域で暮らす人々にとっては大変重要であると考えております。
 そこで、中川大臣にお尋ねいたしますが、地域のコミュニティーに関して、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案では、NPO法人との連携などによる除排雪の体制の整備にかかわる規定が追加されておりますが、今回の雪害以外にも、今後も災害時においてNPO法人との連携を進めていくような取組がございますでしょうか。また、NPO法人が災害時に活動しやすくするような具体的な取組などはございますでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、災害時ということに限ったことではなくて、社会全体としてNPOの皆さんの活動、あるいは防災ボランティアとして個人的に参画をしていただく市民の皆さんの活動というのは本当に大事な、日本の社会の基盤をつくっていくぐらいに大事なことになってきたように私も思っております。
 できるだけ現場をと思いまして、私も四日の日に、静岡で災害ボランティアの図上訓練を全国的なベースでやっていまして、これに参加をさせていただいたり、あるいは宮城で石巻災害復興支援協議会、これは石巻モデルということで、ボランティアと行政がうまく連携をしながら今でも非常に積極的な活動を続けていただいていますが、そういうところを見てまいりました。
 そして、そういうことを踏まえて、内閣府では、これまでも防災ボランティア活動検討会、これの運営をしてまいりまして、活動者やあるいは有識者から有益な提言をここでいただいて、幅の広い課題の把握とその解決方策の実現に向けて頑張っています。具体的には、支援者、支援側の方々へは活動の情報・ヒント集というのをここで作っていくということであるとか、あるいは受援側、受け入れる方は受入れノウハウをまとめたパンフレットなど、こういう情報提供、それから平成二十二年度の政府総合防災訓練へ参画をしていただいたりしております。
 この検討会、更に続けていきまして、南海トラフの巨大地震や首都直下型の地震に備えて、防災ボランティア活動の広域連携、これのための体制構築ということを図る、それをテーマに今やっています。一つは、大規模災害時の課題をまとめるということなんですが、この課題を踏まえた広域連携の取組のポイントもまとめていきたい。それから、現在行われている広域連携のケーススタディー、そして広域連携のこれをポイント集として、これも具体的にまとめていって全国で使えるようにしていきたいということ、こういう課題を持って今検討していただいています。
 いずれにしても、それぞれボランティア広がってきているんですが、これが広域的に連携をしていく、その連携の中で有効な活動に結び付けていくという、そのモデルというのをつくり上げていくということだと思っておりまして、更に引き続き検討を加えていきたいというふうに思っております。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 実際に災害救援活動を行っているNPO法人の数を調べましたら、全国で二千九百五十三団体となっておりました。そのうち税控除の対象となる認定NPO法人は僅か三十三団体と聞いております。地域で活動するNPO法人の数に対して税控除の対象となる認定NPO法人の数が圧倒的に少ないことが分かりました。今後、市民活動を活性化させていくためにも、認定NPO法人を増やし、そしてNPO法人への寄附を税制面で後押しすることが重要であると考えております。
 そこで、本年四月一日施行のNPO法改正、新寄附税制が注目されております。今回の改正によって、税控除や認定手続の面で今までより寄附がしやすくなるということになります。
 これまでの政府の広報活動の実績として、首相官邸ブログへの掲載、そして政府広報オンラインホームページへの掲載、また自治体向けの地方説明会の開催やバナー広告など、いろいろあると思います。しかし、地域におけるNPO法人の方や一般の方のお話を伺っておりますと、今回のNPO法改正、そして新寄附税制に関して十分に理解をされている方は意外と少ないなと感じております。また、地方公共団体における法人向けの相談窓口が全国の中で僅か九県のみと伺っており、全国的に少ないように感じます。
 そこで、中川大臣にお尋ねいたしますが、法律の施行が間近に迫っておりますが、各自治体、NPO法人、一般の寄附者の方への説明は政府として十分行っているのでしょうか。そして、災害時におけるNPO法人の連携も踏まえ、広報活動をもっと十分にしていく必要性があると感じますが、今後どのように改善を考えているのでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 大変重要なところを御指摘いただいたんだというふうに思います。
 本年の四月からいよいよこのNPO法人の認定基準が緩和されるということで施行されていくわけでありますが、寄附に対するインセンティブが強まるということは、この広報活動があって、それぞれが状況が変わるんだということを認識していただいた上で組織をつくっていただくということ、これが前提になっていきますので、大事な点だと思います。
 私のこの答弁書には、過去二十三年、二十四年、こんな説明会をやりました、例えば全国六ブロックにて開催したのが九月上旬から中旬、それから東京を合わせて、また全国六ブロックで十一月から中旬にかけて、二十四年の一月から下旬にかけて六ブロックで開催とか、あるいはNPO自身が地方公共団体や支援組織と組んで説明会も何回か開いております、二十三年十二回、本年一月以降三十五回、検討中六回とか、いろいろあるんですけれども、これが十分に効果を発揮してそれぞれ周知されているかということですね。このことについて改めて私たちもモニターをして、その浸透度というのを理解をしていかなければならないというふうに思っております。
 その上で、まだ足りないようであれば更に工夫をして、パンフレット等の提供とかあるいは説明会の開催とかということにプラス、更に工夫をしながら進めていきたいというふうに思います。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 NPO法人の情報の開示についても、寄附者に明確な情報をお伝えし、そして賛同してもらうという意味でも大変重要であると思います。
 新NPOポータルサイトが平成二十四年の四月一日から間もなく稼働する予定であると伺いました。以前の旧ポータルサイトと比べて、事業活動の概要の項目や活動計算書などの項目が加わり、財務状況に関しても以前より明確になります。さらに、NPO法人のホームページとURLを表記し、ポータルサイトから直接NPO法人のホームページにリンクできるようになると伺っております。
 さて、インターネットを情報検索のツールとして活用されている方は増えておりますけれども、比較的規模の小さなNPOといった法人では、人手や技術が不足していてなかなかホームページが持てないという場合ですとか、ホームページはあるけれども更新できるボランティアの方がいないため更新が滞ってしまうというケースも多いと伺っております。
 ポータルサイトの順調な稼働とともに、やはりボランティアや寄附を集めるために、また活動を広報するためにもホームページは非常に大変重要な手段ですので、アメリカのガイドスターの例なども参考に、今後、ホームページの作成や更新を手助けすることを目的としたNPO法人に対しての支援も御検討いただければと思います。
 昨年、全国知事会に議論のたたき台として、寄附文化が広く定着しているアメリカやカナダを参考に、NPO法人の情報公開に努めるべきであること、そして、この新しい制度を悪用されては困るという私の思いから、地方の監督の必要性について御提案いたしました。是非、公益性の高いNPOには光を当てていただきたいと、そのように思います。
 さて、日本各地で災害や被害に見舞われている昨今ですが、災害時における人員の移動や物流基盤の整備などが非常に重要であると思います。
 現行法によりますと、トラックによる人員の運搬は、道路交通法などの制限はありますが、災害時に限らず警察署長の許可があれば可能です。また、道路運送法では、災害時に貸切りバス及びタクシーが乗合旅客を運送できること、そして自家用自動車が有償運送できること、また貨物自動車が国土交通大臣の許可を得ていれば有償で旅客を運送できることが定めてあります。
 そこで、トラックによる人員の運搬が可能であるということに関して、道路交通法の法律の内容は、警察やNPO、運送業者やボランティアなど、一般の方への周知徹底はされているのでしょうか。周知徹底を図るために、NPOや運送業者やボランティアなど、一般の方のために地域の人を集めての講習会を開くという、その機会を与えるというのはいかがでしょうか。

○政府参考人(石井隆之君) 先生御指摘のとおりに、トラックの荷台に乗って被災地に入ろうとする場合、道路交通法上、出発地の警察署長の許可を受ければ貨物自動車の荷台に乗車することは認められているところでございます。支援を行うボランティアの方々は、被災地では自給自足が原則であり、態勢や装備をしっかり整えていただく必要があること、また、被災地などでは道路状況が余り良くないことも想定されることから、貨物自動車の荷台に乗車して被災地に向かうことについては、これらの点を踏まえてお考えいただきたいと思っております。
 一方、荷台乗車の許可制度について、運送業者の方や一般の方が知られていないという御指摘でございますので、警察庁といたしましては、都道府県警察を通じ、事業者団体などに対し、傘下の事業者に対し制度の周知をしていただくようなことも検討してまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 次に、ガソリンの輸送に関してですが、現行法では災害であってもタンクローリーでのガソリンの輸送に関して危険物取扱者資格の取得なしでの運搬はできませんが、災害時にはガソリンなどの輸送が滞ることが想定されますので、危険物取扱者資格の有資格者を増やすためにも、自衛隊員、消防隊員、警察官などの養成カリキュラムの中に危険物取扱者資格の取得を入れるべきであると考えます。特に、自衛隊員、消防隊員、そして警察官は決まった指揮の下で働きますので、一般の人の間で免許を増やすこととは違いますし、逆に増え過ぎて問題になるとは思えません。
 そこで提案ですが、例えば消防隊員の養成カリキュラムの中に危険物取扱者資格の取得を入れるというのはいかがでしょうか。

○政府参考人(高倉信行君) お答え申し上げます。
 消防職員の資質向上という大変重要な課題に関する御指摘と存じます。
 この資質向上に関しましては、現在、全ての都道府県と九つの政令指定都市、合計五十六の消防学校が設置されておりまして、教育訓練を行っております。その教育訓練の内容につきましては消防庁において基準を定めておりますが、これは法律上、努力義務と位置付けられているものでございまして、具体的なカリキュラム編成につきましては、これは地方自治体の組織である各消防学校において地域の諸事情を反映して定めることとされております。また、危険物取扱者の資格それ自体は、消防事務の全ての分野で必ずしも必要とされるものではないという事情もございます。
 このような事情から、御提案いただきました、資格取得それ自体を盛り込んでいく、カリキュラムに言わば義務的に位置付けていくというところまでは難しいのが実態でございますけれども、御指摘の危険物につきまして、いろんな予防行政等の円滑な施行に、推進に資するためにはやはり勉強していただく必要があるということから、今申しました努力義務として消防庁が定めております基準の中にはこの危険物、これを標準的な教科目に含めております。で、全ての消防職員が一定の知識等を習得できるよう努めさせていただいております。これをベースに研さんを積んでいただければ危険物取扱者の資格の取得も期待できると、このように考えております。

○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 いろいろ役割分担はあると思うんですけれども、いざ災害が起きたときにやはり免許を取っておけばよかった、やはり指揮の下で働いている人たちだからこそ免許を持たせればよかった、そのような後悔がないように、是非御検討いただければと思います。
 次に、危険物取扱者資格を取得していなくても、もちろん容器の制限とか運搬の制限はありますが、量の制限はなくガソリンを運搬することが可能であると伺っております。このことに関しての一般の方の認識が少ないように感じます。この周知徹底はされていらっしゃるのでしょうか。

○政府参考人(高倉信行君) 御指摘の点につきましては、特に昨年の東日本大震災の発生後、危険物取扱者じゃなくても、御指摘のとおり一定の運搬容器、ポリタンクではいけませんけれども、きちっとした運搬容器に入れてであれば、これは取扱者でなくても運搬できるということなどにつきまして、各地方公共団体あてにはこれは昨年の三月十六日に改めて通知をしております。
 また、翌三月十七日には一般の方に向けまして、ガソリンなど危険性も含めた運搬時の留意事項、これにつきまして分かりやすく解説した資料を官邸ホームページや消防庁のホームページで公開し、周知をさせていただいたところでございます。
 消防庁としては、さらに一般の方がガソリンを運搬される際の留意点、注意点などにつきまして、現在、啓発用ビデオのDVDの作成を進めております。近く各都道府県、各消防本部等に配付をしまして、毎年行っております例えば危険物安全週間などでの活用でございますとか、あるいはまた、消防庁のホームページにも当然これを掲げまして一般の方に閲覧していただけるようにする、こういった取組を通じて、一層周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君 今の質問が地元の方でも多かったものですから、質問させていただきました。ありがとうございます。
 災害時に限らず、医師不足が問題になっていますが、人口が将来減っていくことを考えると、今既にある医学部の中で定員を増やすことが大事だと思いますが、このことに関してはまた次回御質問させていただきたいと思います。
 本日はありがとうございました。

○吉川沙織君 民主党の吉川沙織でございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどの参議院本会議におきまして、「北朝鮮による「人工衛星」の打ち上げ発表に抗議し強く自制を求める決議」が全会一致でなされたばかりでございますが、本件に関する政府の認識と対応についてお伺いしたいと思います。
 北朝鮮からの弾道ミサイルの発射事案につきましては三年前の二〇〇九年四月五日にもあったところでありますが、その際もミサイルの発射前後に当委員会やほかの委員会で、国民に対する情報伝達の在り方という観点から指摘をさせていただいております。
 二〇〇七年二月から総務省消防庁により全国瞬時警報システム、Jアラートというものが運用されています。これは弾道ミサイル情報や緊急地震速報、対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を国から住民の皆さんまで瞬時に伝達することができるシステムでありますことから、三年前の事案のときにもこれは是非使うべきではないかという立場から質疑を何度もさせていただきましたが、結局、上空を通過するところで整備が進んでおらず、使用されるに至りませんでした。しかし、三年前の質疑の後、このときの反省を踏まえたJアラートの全国一斉整備費が措置され、整備や高度化が進んでいます。
 今回の事案におきましては、国民の皆様、住民の皆様に対する情報伝達手段の一つとしてJアラートを使用すべきと考えますが、内閣官房副長官の御見解をお伺いいたします。

○内閣官房副長官(長浜博行君) 委員の御指摘のとおり、今日の昼の参議院本会議で決議がなされたところでございます。
 委員は、この北朝鮮飛翔体発射事案が起きました平成二十一年四月五日でありますが、それに先立つ四日前に、本委員会において現在先生が指摘されたところの問題について質疑をされているところでございます。
 今回の件に関しましては、官房長官の指示に従い、現在、情報収集に万全を期しているところでございます。
 御指摘のように、エムネットを活用するというパターンと、それから地方公共団体に対する迅速な情報提供、そのためにはJアラートを使用するということが大変重要なポイントになってきていると思います。委員の質疑においても十分議論を深めていただく中において、その後予算措置をしてシステムの高度化を進めてきたところでございます。
 現在、収集した情報を基に、今回の対応について現在鋭意検討中でございますが、政府としては関係省庁と連携しつつ、住民の方々への的確な情報を提供できるよう、万全の対応を尽くしていく所存でございます。

○吉川沙織君 三年前は、実は宇宙からの落下物ということで使わないという答弁をされてしまいましたし、当時は飛翔体という観念で全部対応されていましたので、今回鋭意検討していただくということ、それから三年前から整備や高度化がかなり進んでいるということも踏まえて御答弁をいただいたかと思うのですが、ただ、断言はいただけませんでしたので、別の観点から内閣官房にお伺いいたします。
 仮にJアラートが鋭意検討中であるならば、三年前はエムネットを使用して情報伝達を国から行っています。今回は三年前にも使用したエムネットも使うという、そういう解釈でよろしいですか。

○政府参考人(市橋保彦君) 御指摘のように、平成二十一年四月の事案に際しましては、地方公共団体に対してエムネットによる情報伝達を実施いたしたところでございまして、今回につきましてもエムネットを使用するという方向で検討しているところでございます。

○吉川沙織君 三年前の事案の際にも使用したエムネットは使うという、そういう御答弁でございました。
 ただ、前回、秋田と岩手の上空を飛んでいって落下をしたんですけれども、前回の事案の際、未整備団体が東北の県に実は残されていました。今回もエムネットを整備するのは、多分飛んでいくと予想される沖縄県の南西の方になると思いますけれども、沖縄県の整備状況は四十一中三十五と伺っています。残るところも措置をされるという、整備をされるという、そういうことでよろしいですか。

○政府参考人(市橋保彦君) 御指摘のように、沖縄県におきましては六町村におきましてまだエムネット未導入というふうな状況になってございますけれども、このエムネット、官邸からの迅速かつ確実な地方公共団体への情報伝達手段でございますし、また導入に当たりましても特段の地方負担がない、さらには整備等の時間も要さないということでございますので、今後、積極的に導入を働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○吉川沙織君 三年前の四月六日、発射された翌日の新聞の幾つかに、エムネットもちょっと動かなかったというような事案もありました。ただ、そのときの教訓を踏まえて今訓練を重ねられているということも伺っていますので、万全の体制をしいていただければと思います。
 ただ、エムネットは官邸からの情報を迅速に伝達するための一斉の同報システムではありますが、その情報伝達先は都道府県や市町村、関係省庁や放送事業者であって、住民の皆様にその情報が直ちに直接届くというシステムではございません。
 ですから、Jアラートであれば、衛星に情報が行って、そこから市町村の防災行政無線に行ってそこから警報を鳴らしますので、ものの二十秒で伝達はできるということになりますが、エムネットの場合は官邸から情報を発信して情報伝達先に行って、そこからやっと住民の皆さんにどうやって伝達をするかということになりますから、速報性の観点で若干課題が残されていると思います。
 ですから、対国民の皆様、対住民の皆様に対する情報伝達の在り方として、やっぱりエムネットはもちろん使用されるんでしょうけれども、Jアラートの活用も今回は求められておりますし、整備は進んでいますので、いま一度官房副長官の御答弁いただければと思います。

○内閣官房副長官(長浜博行君) 先ほど御説明を申し上げましたように、委員に前回御質問いただいたときから、委員の御尽力によるところが多いのかもしれませんが、予算的な整備も進んでおりますので、今回御指摘のあった部分において、ある意味での弱点を克服しつつありますので、そういう意味においては、先ほどおっしゃられたとおり極めて前向きに検討しているところでございます。

○吉川沙織君 ありがとうございます。
 もう一つ、実は三年前の北朝鮮のミサイル発射事案の際には一回誤報が出て、誤報がある意味訓練になったというような報道もありましたけれども、三年前の北朝鮮弾道ミサイル発射後の都道府県防災・危機管理担当部局長等と防衛省・自衛隊による意見交換会というものが二〇〇九年四月二十七日に開かれております。この際、ミサイルが上空を通過した秋田県の資料に、今後の課題として国の窓口の一元化というものが挙げられています。ここには、各省庁がそれぞれ対応して、省庁内でも対応窓口が異なるといったような内容が指摘されています。
 今回は三年前の教訓、反省もありますので、そういう対応を取られると思うんですが、副長官のお答えをお願いいたします。

○内閣官房副長官(長浜博行君) 今回のケースにおいては、先ほど申し上げましたように、北朝鮮の放送が流れた直後に官房長官の指示が出、そして官邸情報連絡室を既に立ち上げておりますので、御指摘の部分においては省庁ばらばらにならないような形で注意を図ってまいります。

○吉川沙織君 是非よろしくお願いいたします。
 それでは、防災担当大臣にお伺いいたします。
 三年前の教訓を踏まえ、Jアラートの全国整備や高度化、内閣官房副長官からも御答弁いただきましたし、実際随分進みました。そもそも今回のような事案に備えて、反省を踏まえて整備をしてきたということですから、エムネットはもちろん使ったとしてもJアラートを組み合わせて、考え得る、でき得る限りの情報伝達手段を講じて住民の皆様、国民の皆様に伝達をしていくということが国の責務であると思います。
 今回の事案に関しましては国民保護という観点に立ちますが、Jアラートが送信する情報、二十三種類今規定ございますけれども、その中には緊急地震速報や津波警報といった内容も含まれています。ですから、防災の観点にも立って整備が進められておりますので、防災担当大臣の御所見をお伺いできればと思います。

○国務大臣(中川正春君) 災害が起こったときに多重な情報システムというのをそれこそ隅々に配備をしていくということ、これは一つの大きな課題だし、ポイントだと思います。そんな中で、Jアラートを有効に使っていくということ、これは御指摘のとおり、しっかりと考えていくということです。
 ただ、これ、東日本大震災のときのアンケート調査の結果を、御質問があるというので私もちょっと目を通していたんですが、五団体が例えば津波で対象になってくるんですけれども、自動起動したのが二団体だけだったんですね。そういう意味からいうと、何らかの形でもう少し工夫をして、これが生きる在り方というのを考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
 そういう研究課題があるということを前提にして是非進めていきたいというふうに思います。

○吉川沙織君 防災担当大臣からも前向きにいろいろ検討をしていきたいという御答弁をいただきました。また、東日本大震災で、受信をしても、そこから市区町村に整備をされている防災行政無線が自動起動したのはたったの二団体ということもございました。
 Jアラートは、三年前の事案を受けて、全国整備費用として百億を超える措置がされましたけれども、その先の市町村の防災行政無線は、市町村の財政状況が厳しい折にもかかわらず自分たちで整備をしなければいけないという、そういう観点になっていますので、なかなか整備も進んでいないというような状況があります。
 防災と国民保護には、情報伝達や避難の在り方といって共通する課題もたくさんございます。一方で、防災は自治事務です。でも、国民保護は法定受託事務であるという事務の性格の違いもあります。しかしながら、双方とも国民や住民の皆様に対して生命、身体を守るための情報伝達を講じていかなければならない、それが国の責務でございますし、今回の事案においても余計な不安をあおるようなことがあってはならないと思いますが、ただ、伝えるべき情報はテレビがやっぱり早かったというのではなくて、いろんなものをこういう事態に備えて整備をされているのですから、是非前向きに検討をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○青木一彦君 自民党の青木一彦でございます。
 東日本大震災から一年が経過いたしました。この災害特別委員会の委員の皆様方を始め多くの国会議員は、この東日本大震災というものを風化させることなく、自然災害の多い我が国において自然との共存をいかに図っていくか、そのことをこの委員会を含めまして国会においてしっかりと議論していかなければならない、そのように切に感じております。災害で犠牲になった皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、一日も早い復旧がなされますことをお祈りを申し上げます。
 それにいたしましても、昨年は年明けの、私の地元であります山陰の豪雪に始まり、新燃岳の噴火、東日本大震災、そして台風十二号、十五号と自然災害に明け暮れた一年でございました。
 まず、防災大臣にお尋ねいたします。防災大臣は地方自治の経験も大変豊かだと私認識いたしております。その中で、やはり自然災害というものは地方で起こりやすい、当然、自然が多うございますのでそのように思っておりますが、まず心構えをお伺いいたしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 東日本の未曽有の大震災、これを受けてそれぞれの対応というのを徹底的に検証していくということ、これをベースにして新しい防災計画あるいは地方自治体と国との連携、責任分担等々整理をしながら今取り組んでおるところでございます。
 そんな中で、大震災だけにかかわらず、最近の気象状況といいますか、集中豪雨の様子であるとか、あるいは先ほどお話に出ました大雪ですね、これの振幅というか幅が非常に大きなものになってきたということと、局所的に大きな災害が出るという可能性が前以上に高くなってきているということ、こんなことを認識しながら、地方自治体の対応に対して国がどういうベースをつくっていくかということを改めて考えていかなければならないと、そういう時期に来ているというふうに認識をしております。

○青木一彦君 大臣から心強いお答えいただきました。
 そこで、大臣にお尋ねします。本当に幅が広くなった、そして局地的な災害が起こるようになった。いわゆる激甚災害制度というものがございます。これ、いつ制度化されたのか、そしてどのような制度なのか。皆さんよく御存じだと思いますが、改めて端的に御説明いただきたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) いつできたかというのはちょっと失念していたんですけれども、メモが入ってきまして、昭和三十七年にこの制度ができたということであります。
 この激甚というのは、それぞれの地方公共団体の財政規模に応じて、大きな災害に対しては国庫補助のかさ上げをしていくというようなスキームになっておるということでありますが、そのうちでも、一般の大規模な、いわゆる全国ベースで考えていくようなことも含めた大規模なものと、それから局所的に、一つの市町村なりあるいは県なりの中で局所的に起こるものと二通りあるということでありまして、それを類型化してかさ上げをするという、そういう枠組みをつくっているということであります。

○青木一彦君 今のお答えでも伺ったとおり、昭和三十七年ですよ。考えまして、半世紀近くがもう経過している。この激甚制度そのものをそろそろもう一回見直してもいいんじゃないか。じゃ、どういう基準値でやっているのか含めまして、もう一回見直してもいいころに来ていると思います。今の災害が多発している、そういうことも踏まえまして、その辺どのようにお考えなのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

○国務大臣(中川正春君) この中で特に考えていかなきゃいけない部分というのは、局地的、いわゆる局所災害ですね、これについて少し工夫をしなければならないんじゃないかということ、ここがあるんだと思うんです。
 それで、実は平成二十三年の一月に、公共土木施設等に係る局地激甚災害指定基準、これを見直したところなんです。見直しの内容なんですが、標準税収入が五十億円以下の市町村、これを対象にしまして、災害復旧事業費が二・五億円を超えるものについては、災害復旧事業費の標準税収入割合を五〇%超から二〇%超に引き下げたと、こういうことで、大体この小さなところというのがなかなか一番大変なところだと思うので、そこのところの救済が少しできるようになってきたということがあります。この基準見直しによって、指定対象市町村数というのが、平成二十二年発生災害については十市町村、平成二十三年発生災害については四市町増加をしております。
 この数字がこれで適当なのかどうかということ、これも検証して、更に使い勝手のいいといいますか、一番困っているところへ向いてしっかり対応ができるような、そういう検証は引き続き続けていきたいというふうに思っております。

○青木一彦君 先般、この委員会の皆様方とともに、青森に豪雪被害の現地調査のために訪れました。
 雪害は基本的には、私、余り激甚指定にはならないようなものだと、この辺ちょっと分かりませんが、というふうに自分では認識しております。今まで、これ調べてみましたら、昭和五十一年、五十六年、五十八年、六十年などが激甚の対応となっております。最近では十七年がかなり雪の被害が多かった。そして昨年も、やはり今年もかなりの被害だったと思いますが、この辺、被害額含めまして、雪が降ったとき、豪雪のときの激甚の基準というものがあるのかないのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 雪というのは、二通りその必要性があると思うんですね。雪が降ったときにそれをどう排除していくか、排雪していくかという過程の中で非常に予算がかさばってくる、特別の措置が要るという、そこの部分と、それから雪が解けていく過程、あるいは重く積もった過程の中で、例えば土砂災害なんかを誘引しながら後に残していくといいますか、道路が崩れてしまったり農地が崩れてしまったりということで、それを復旧するための費用というのが要る。この二通りがあると思うんですね。
 前の方の雪を排雪していくということに対してこの激甚というのが対応できるかというと、ここがないんだと思うんです。なものですから、今やっているやり方というのは、特交、特別交付税で措置したり、あるいは国交省の中の、正式には何と言ったかな、社会資本整備総合交付金、この交付金の中でそれを手当てしていったりというふうな形で対応をしていくということになっています。
 そこが、いつも豪雪地帯の皆さんからは、使い勝手のいいように、そしてプラスアルファしっかりできるようにということを御要望いただいておるということ、これを認識をしておりまして、激甚というものについては今の制度の中では、本当に壊れた、壊れてしまったものについて予算措置をしていくという建前になっているので、ここのところをなかなか、それを前の方へ持っていくというのはちょっと難しいような理解をしております。

○青木一彦君 大臣のお話のとおりだと思います。
 例えば、地方に住んでおりまして、やはり基礎自治体の皆さん、今財政的にも、国も厳しいですが、かなり厳しい。除雪するにせよ、どのタイミングで除雪していいのか、それも一つの決断だと言う首長さんが多くいらっしゃいます。
 私、グラフを作らせていただきましたが、お手元のグラフでも分かるように、平成十二年から、最近であれば、上と、二十一年から下とでははっきり降雪量が分かれております。今、気象情報などがスーパーコンピューターの発達でかなり正確になっていると伺っております。今後の降雪量などがかなり予測できる、かなりの確率で予測できるようになったんじゃないかと、そういうふうに考えております。
 その上で、ある数値を超えれば国がどこかの部分まで支援する。この後、豪雪地帯対策特別措置法の一部改正もありますが、この中には含まれておりませんが、ある数値を超えたら国が手だてをすると、そういう基準値なるものを策定するつもりはないのか。それで、やはり予測がある程度できると思うんですよ、今これだけスーパーコンピューターが発達した中で。そうすると、自後、今これだけ雪が降って、今後どうなるかということも踏まえた上で国が責任を持っていくと。
 そのことが地方の安心につながるというふうに考えておりますが、この基準値を設けるとか、その辺はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。
 除雪はそれぞれ道路を管理している管理者の方で責任を持ってやっておりますので、例えばということで、国でどんな基準でやっているかということを御紹介申し上げますと、直轄国道の場合は、例えば新雪除雪の場合には五センチから十センチぐらい降った場合、これを目安にいたしまして、そのときの気象条件とかあるいは交通条件、こういったものを勘案して、特に直轄の場合には極めて重要な幹線道路でありますので、交通に支障がないようにということで対応しているというところでございますし、また、路面が凍結するような場所、斜面、勾配があるようなところにつきましては凍結防止剤、こういったものも散布量なんかの目安も一応設定いたしておりまして、状況に応じて適宜散布するということで対応しているということでございます。
 したがいまして、国として、例えば県道であったり市町村道に対して直接というような形ではございませんけれども、国はこういう基準を持っておりますし、それから、それぞれまた地方公共団体は、県などは、それぞれ今それなりの基準を持って対応されているというふうに承知いたしております。

○青木一彦君 先ほど牧山先生の方からも質問がありましたが、青森県、過疎、高齢化が進んでおります。雪害事故の死傷者数が二百四十三人。これ、年齢で分けますと、六十歳以上が全体の六割、四割が七十歳以上。過疎、高齢化は地方が抱える悩みの一つであるというふうに考えております。今回も雪害事故の死傷者の中にはやはり高齢者が多く含まれております。
 この事実を見た上で、これだけ各地で、地方で災害が多く発生すると、やはり災害が発生したときにすぐ対策を国が講じる必要が当然あると思います。
 道路の除雪は、先ほど言われましたように、国なり県なり市町村の予算でできる。ただ、今回見まして、民家、当然私有地を含めまして民家の屋根の雪下ろし、日常の生活に支障を来さないための民有地の除雪に対しては当然予算というものは計上されておりません。例えば豪雪があったときに、都道府県知事の要請があれば自衛隊が出動できる。過去にも自衛隊さんが手伝いに行ったという例もあります。
 しかし、もうちょっと弾力的に、例えば、さっき言われましたが、スポット的に今災害が起こる。県知事が、県全体で災害があったからといって、やはりなかなか知事さんも出動要請というのをためらうことがあるんじゃないかと私は思っておりまして、もうちょっと弾力的に、せっかく東日本の震災のときにも自衛隊があれだけ活躍したと、そういうことも踏まえまして、自衛隊に対しましてもうちょっと弾力的に自衛隊の活用方法というのを考えてもいいんじゃないかと思いますが、この辺どのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○政府参考人(松本隆太郎君) お答え申し上げます。
 今、豪雪に対する自衛隊の災害派遣、特に個人の住宅の雪下ろしはどうかという御質問がございましたが、先ほど先生も御指摘になりましたように、自衛隊の災害派遣というのは都道府県知事等からの要請に基づきまして行われます。緊急性、それから非代替性、それから公共性という三つの要件を総合的に勘案して実施させていただいているところでございます。
 御指摘の民家の除雪については、これらの三つの要件に当たる場合は、例えば孤立した高齢者等の個人住宅、これの屋根の雪下ろしでありますとか、あるいは個人住宅まで通じています私有道路、こういったものも既に除雪等をやらさせていただいております。そういう意味で、我々は可能な限りきめ細かな雪害に対する対応というのをやらさせていただいております。
 実は、今年の一月の北海道の岩見沢市で除雪の災害派遣をやったわけでございますが、その中でも独居老人宅の除雪、二十軒やらさせていただいております。

○青木一彦君 今の例を含めまして、例えば今回私ら青森見に行きました。やはり過疎、高齢化で、この後の豪雪地帯対策特別措置法の豪雪地帯、特別豪雪地帯を見ましても、お年寄りが多い、高齢化が進んでいる、当然独居老人の皆さんもいらっしゃる、そういう地域がやはり豪雪地帯なんですよ。それも踏まえまして、やはり二十戸だけではなくて、もっとどんどんそういう活動が広がるように何とか講じていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 そして、先ほども述べましたが、この後、豪雪地帯対策特別措置法の中で、豪雪地帯対策の推進のための規定の整備という項目がございます。これ、私見てみましたが、まだ具体的な施策までは明記はされておりません。そういうように私は考えました。
 先般、青森を訪れた際に、弘前市長さんに公共事業と除雪費について質問をいたしました。私、公共事業はどうなんですか、除雪に関して公共事業者が減っているということで大変なんじゃないですかと質問をしましたら、市長さん長々と二十分からしゃべられました。かなりこのことは、地元の公共事業が少なくなっている、それで事業者が少ないから除雪も本当大変なんだよと。私の地元の島根でも実際そういう問題が起きております。
 今、国交省さんの方でこういう問題を解消するために地域維持型契約方式というものを導入する方向だと伺っておりますが、その中身、雪だけじゃなくて、地方によっていろんな特色があると思うんですよ。その辺をお伺いいたしたいと思います。

○大臣政務官(室井邦彦君) 青木先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 建設企業の体力の低下、また小規模化が進む中、全く先生の御指摘のとおりでありまして、除雪業務を行う企業が著しく減少をしております。地域社会の維持に支障を来す懸念が生じておるわけでありまして、このため、国土交通省といたしましては、昨年の八月に入札契約適正化指針を改正をし、人員や機械等の効率的運用と必要な施工体系の安定的な確保を図る観点から、地域の実情を踏まえ、除雪だけではなく、通年の維持補修業務などの地域維持事業を一つの契約とするなど、従来よりも包括的に発注することと、またさらに、その実施主体として、地域の建設企業で構成される地域維持型建設共同企業体を活用することについて、更に地域公共団体に要請を行っているところであります。要するに、地域維持型JVというようなことでございます。
 さらに、本年の二月の九日でありますけれども、地域公共団体に対して、再度、地域維持型契約方式の活用について周知徹底をさせていただいているところであります。
 今後とも、除雪等の地域維持事業の安定的に実施されるように努めてまいりたいと、このように思っておるところであります。

○青木一彦君 ありがとうございます。
 災害が起きたときに、本当に地域のことがよく分かる、地域事情を踏まえた土建屋さんがやはり少なくなっているということは、これはもう事実です。
 私、何回も言いますが、平成十年度、これが公共事業の当初予算、補正予算合わせてピークです、これが十四兆九千億、約十五兆。現在では、二十二年度は補正合わせて六兆四千億。これはもう半分以下になっているんですね。実際、土建屋さんの数というのは六割になりました。約四割が廃業なり倒産なりしたということです。それで雪害が起こっても、私の島根でいいますと、除雪機材が足りない、そしてオペレーターが不足している、そういうことに悩まされております。これ、雪の災害だけではないと思います。何か災害が起きたときに地元の建設業者が、土建屋さんがやっぱり現場に訪れる、不眠不休でそれこそすぐ訪れる、そういう人たちが少なくなっているという、このことは、実際そういう事実に対してしっかりと目を向けなければならないと思っております。
 国の公共事業も僕はもう限界に来ていると思います。もう骨と皮しかない。弘前でも市長さんがおっしゃいました。弘前市の経済の五割は公共事業で支えているんですと。これが地方の私は実態だというふうに思っております。地域経済を維持する上でも公共事業の削減というものは大変だ、そういうことをおっしゃっておりました。
 災害に備える役割という意味も含めまして、現状をどのように、防災大臣にお尋ねいたしますが、考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○国務大臣(中川正春君) 災害ということ、これを先ほど申し上げたようにこれからの防災計画の中で想定の見直しを前提にしながらやっていくわけでありますが、その中で、今のその堤防の高さでいいのかとか、あるいは第一線から第二線にかけての都市計画で堤防も道路を活用したような形で持っていくというような案であるとか、あるいは避難する高台のないところについての拠点を改めて持っていく、あるいは都市計画の中で土を盛って高台化していくというような、そんな恐らく構想をこれから描いていくというのがその地方自治体においても具体的な都市計画につながっていくんだろうと思います。
 そういう意味では、新たな防災という意味合いでの公共事業あるいは防災インフラといいますか、そういうものの重要性というのは、これは見直していくということになっていくと思います。その上で、それでも非常に財政的な制約というものももう一方でありますので、昔のような形で土木関係事業者が防災に直接十分な形で対応していくという構造はなかなかつくれないんだろうというふうに思うんですね。
 それだけに、この除雪をしていく、あるいは雪の対応をしていくということに対して、いわゆる地域のコミュニティーをもう一度共助という形で見直していって、こうした雪に対する対応にコミットをしていただくというふうなこと、あるいは、ふだんからNPOの組織を使ってネットワーク化しながらやっていくというふうな話、あるいはまたハードに関しても、広域的なハード資材の共有化といいますか、そういうようなものを持ってくる、あるいは広域的にお互いがネットワークをつくって助け合っていくようなそういう制度をつくっていくということ、そんなことを改めて考えていって、制度化をしていくというふうなことが重要になってくるんではないかというふうに思っております。
 先ほど御指摘のあった、特に中山間でもうどうにもならないところというのは自衛隊も直接に関与をしてもらったり、あるいは消防団も高齢化していくということであるとすれば、それに代わるものもひとつ考えていくというふうなこと、こんなことも含めて総合的に見直していくということが大事だと思います。

○青木一彦君 防災大臣、ありがとうございます。
 今、コミュニティーの話されました。当然ソフトの面で、ハードの面ではある程度公共事業をやっていく、そして自然災害に強い国土をつくっていく、これ当然です。あとは地域コミュニティーでソフトの面を強化していくというふうに私考えますが、今おっしゃったこと、地域のコミュニティーそのものがもう本当に維持できない、さっきおっしゃいました中山間、限界集落が増えているところもあるわけです。
 それはなぜか。やはり、弘前の市長さんがおっしゃったように、必要最低限の公共事業というものを、もう限界集落を含めまして、ある程度地域経済を支えるために公共事業というのは僕は必要だと思います。それは一石二鳥じゃありませんが、公共事業をやって、そして災害に強いインフラできれば、そして地域社会が安心になれば、それはもう私は一石二鳥だというふうに考えております。
 民主党政権さんおっしゃいました、コンクリートから人へ。こういうキャッチフレーズ付けられました。もうそろそろ、コンクリートから人へではなくて、ある程度コンクリートというものも人の命を守るために大事なんだよというふうな考え方を党内で、私、統一してほしい、そのように考えておりますが、もうこれはこういうキャッチフレーズから脱皮していただきたい、そのように考えておりますが、防災大臣のお考えをお伺いいたします。

○国務大臣(中川正春君) 防災対策を考えていくという、その視点からいけば、二者択一ではなくて、ハードでまず防げるところはハードで防ぐということなんですが、しかし、それでもなかなかそれを超えてくるという想定があるわけですから、あとはソフトと、それから面的なソフトの都市計画等々を含めることと減災というような考え方で、ソフトとハードと組み合わせて対応していくという考え方が改めて必要なんだろうというふうに思っております。

○青木一彦君 ちょっと話は変わりますが、災害に際しまして緊急事態条項というものがございます。私どもの自民党では、憲法の中に緊急事態条項をはっきりと定めて、現在、憲法草案を作成いたしているわけですが、現政権においては緊急事態条項というものは見直さない方針だというふうに伺っておりますが、見直さないのは、見直さなくても対応が可能だと、そういうことだというふうに認識いたしております。
 例えば、国家的な災害にやはり緊急事態条項を見直さずにどういうふうに対応するのか、その辺をお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 現在、中央防災会議の専門調査会で防災対策推進検討会議だとか、あるいは内閣府に設置をしました災害対策法制のあり方に関する研究会、ここで実は検討をしております。
 防災対策推進検討会議が実は三月の七日の日に中間報告というのを出しているんですけれども、その中では、著しく巨大な災害では、災害緊急事態ともいうべき被災地方公共団体の行政機能の喪失といった事態を想定して、行政機能の維持などに関して、国や被災地内外の地方公共団体の役割を見直す必要があるのではないかという、こういう指摘がなされております。
 しかし、また一方で、災害緊急事態法制については、内容いかんで国民の権利の制約等が伴うということから、安易には行うべきではないという意見もありまして、これが並列された形で検討されているということであります。
 災害対策基本法というのが基本的にあるわけですが、この中でこれをどう整理していくかということについては、幅の広い観点から、憲法論議も含めて予断なく検討をしてまいりたいというふうに思っております。

○青木一彦君 是非、やはりこういう委員会があるわけですので、この委員会にもそういうものを持ってきていただいて、超党派で一回やっぱりしっかり議論を、私、案が出ましたら是非そういう機会を持っていただきたいと思います。そして、私は、個人的な意見ですが、この緊急事態条項というものはやはりしっかり憲法の中にでも制定すべきであるというふうに思っております。この場を通じましてそのように申させていただきたいと思います。
 先ほど来お話がありましたが、自然災害と公共事業の兼ね合い、そこら辺もしっかり踏まえ、そして先ほど大臣もおっしゃいました地域のコミュニティー、いろんなNPO法人も含めまして、やはりソフト面は地域社会というものが、しっかりそこにある地域社会というものを生かしながら地域のコミュニケーションをしっかりして避難計画、ロードマップというものを立てていく、それは日ごろからの地域の備えというものがいろんな認識含めまして大変大事だと思っております。
 最後に、繰り返し申しますが、やはりコンクリートから人へというものはもう一度見直していただいて、コンクリートが人の命を守ることもあるんだと今回の東日本の震災で私はつくづく感じました。そのことを申し上げまして、私の質問を閉じさせていただきます。
 今日はありがとうございました。

○若林健太君 自由民主党の若林でございます。青木委員に続いて御質問させていただきたいと思います。
 三月十一日、東日本大震災、翌十二日は、我が選挙区でもあります長野県北部栄村において大きな地震がございました。あれからちょうどもう一年が経過をしたわけであります。
 先日、多くの議員の先生方と一緒に東日本大震災追悼式に参加をさせていただきました。被災地を代表して、被災者の皆さんのあのお話を聞いて涙が止まらなかった、私だけではないんじゃないでしょうか。また、天皇陛下の慈愛に満ちたお言葉に、私は本当につくづくこの天皇制、今戴いている有り難さ、日本のその伝統文化、きずな、心と心で支え合っていくということの大切さということを感じました。この未曽有の大震災、この経験を後世にしっかり伝えていくということが私どもにとって、今残された私どもにとって大切なことなんではないかと、このように思います。
 先ほど防災大臣、青木委員からの質問の中でもお話しいただきましたが、今政府においては、内閣府においてあるいは中央防災会議の中でも、防災対策推進検討会議、設置をしていただいて、検証をし、そして後世にこの経験をつなげていくという作業を進めているというふうに伺っておりますが、現状の、中間報告がこの間出たということで、検討状況、それから今後どういうスケジュールでこれがまた反映されていくのか、その見通しをお伺いしたいと思いますが。

○国務大臣(中川正春君) 先般、中間報告を出したんですが、これと同時並行的に、首都直下型の地震、それから東海・東南海・南海地震、それぞれ三連動の地震というものについても、改めて、それのマグニチュードとそれから想定される津波の高さ、これを見直して発表をするということ、これが今月中にはその発表ができると思います。
 そうしたものを受けて、改めてこの検討会議、その対策あるいは被害想定等々精緻に出した上で持ち寄ってトータルな防災計画を作っていくわけですが、それが夏ぐらいには総合的な対策として打ち出せるように頑張っていきたいというふうに思っております。
 その間、できることからということで、様々な行動計画だとかあるいは法律の中でも改正ができるものについては順次やっていくというような行程も含めて対策を考えていきたいというふうに思っております。

○若林健太君 やっぱり過去のこの経験、非常につらい経験でありますけれど、後世につなげていくことがとても大事であるというふうに思いますし、今大臣おっしゃられたように、何せ日本は災害の多い列島でございますので、また大きな大規模地震も予想されているということを踏まえれば、そうした取組は大変重要だというふうに思います。
 先ほど青木委員からも話がありましたが、緊急事態に対する法制についてちょっと大臣にまた御所見をお伺いしたいと、こんなふうに思うんですが、今お話のありました災害対策法制のあり方に関する研究会、中間論点整理の中では、災害緊急事態の布告による効果、これは物価統制など経済面の措置に限定をされていて、また国会閉会中等に限り政令で規定できると、こういうふうにされているので東日本大震災においては布告されなかった、こういうふうにあるわけですね。そこで、この論点整理の中では、巨大災害時に緊急措置の内容を広げる必要性について検討をするべきであると、こういうふうに指摘があります。
 一方、今、中央防災会議に置かれている防災対策推進検討会議、この三月七日に発表された中間報告の中ではこのことについての具体的な記述がなかったようでありますけれども、この緊急事態の布告について具体的に今政府の中でどのような議論が展開をされているのか、教えていただければと思います。

○国務大臣(中川正春君) さっき御指摘のようなところで今推移をしているわけですが、というのは、この災害対策法制のあり方に関する研究会では両論併記のような形で、検討を行うべきというのと、それからまた逆に、国の権限を拡大する同布告の発令は内容いかんでは国民の権利の制約が伴うことから安易に行うべきではないという意見も並列してこの中にありまして、それを踏まえて私たちがどうしていくかということなんですが、先ほど御指摘あったもう一つの防災対策推進検討会議の七日の中間報告なんですけれども、この中に、災害緊急事態という言葉で表現されておりまして、これというべき被災地方公共団体の行政機能、これについて国や被災地内外の地方公共団体の役割を見直す。役割を見直すということは、その権限といいますか、これも含めた見直しというふうに解釈をしておりまして、そこで検討をしていく、いわゆる役割を見直す必要があるのではないかと、こういう指摘もございます。
 こういうことを踏まえて、私たちも引き続き幅広い視点から予断なく検討をしていくという体制をつくっていかなければならないというふうに認識をしております。
 ただし、これは相当幅広く議論しないと、私たちの中だけで完結することではないというふうに思っていまして、先ほどちょっと申し上げた憲法議論も含めて、今のいわゆる憲法の枠組みの中で何ができるかということと、それからそれを超えた場合にどんな議論をしなきゃいけないかというようなことも含めて、幅広くこれは論議の対象にしていくということでないと駄目だというふうに思っております。

○若林健太君 大臣おっしゃるとおりだと思うんですね。
 私ども、実は自由民主党は憲法改正を党是としておりまして、自主憲法の制定、今まさに次の憲法記念日に向けて発表するために逐条で取組をさせていただいておりまして、その中にこの緊急事態というものに対する条文を入れようじゃないか、こんな検討をしているところであります。
 私は、是非やっぱりそういうところまで踏み込んでこの際しっかり検討することが必要だと、こんなふうに思っておりますが、まずは現行の法制度の中でどういう理解をするのか、その点について更にもう少しお話を伺いたいと思うんですが、今回の東日本大震災に当たっては、災害緊急事態布告というのはするべきであるという、こういう指摘を実は当委員会だったでしょうか、予算委員会ですね、昨年の三月二十二日、発災後十日ほど過ぎたところですけれども、我が党の佐藤正久議員が提案をし指摘をしておりました。ところが、当時、政府の返答は、災害対策基本法の百九条、ここに示す二つの条件、これを挙げて、今回は必要ないだろうと、こういうお話だったんですね。
 この点について、この二つの要件というのは、一つは、先ほど見直しの論点のところに出ておりましたけれども、災害対策基本法百九条には三つの政令を出すことができると、こう書いてある。三つ項目があって、政令によって国が主体となって措置をすることができる、緊急事態に対して措置をすることができると、こう規定をしていて、同時にそれは国会の閉会中などそういう状況でなければできませんよと、こう書いてあるから、そのときの答弁は、国会が閉会中でないということと、それからその政令に定めるような事項が現在発していないと、この二つの理由でどうも必要ないと、こういう御答弁だったようでございます。
 してみると、実は災害対策基本法百五条に示す災害緊急事態の布告というのは百九条に縛られて、国会の閉会中でなければ、あるいはその政令三つ発するような事態が起きなければできないと、こういうふうに通説で解釈されているようでありますが、一方で百六条には、国会開会中を前提として解除するための規定があるんですね。
 大臣、これ、私は政令、国会が閉会中であるとかにかかわらず、これはやっぱり開会中であっても、巨大災害等の事態があれば当然その布告を行い措置をするということがあり得ると、私はこういうふうに思うんですけれども、前回の予算委員会での回答、それと比較して大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思いますが。

○国務大臣(中川正春君) この百九条では、内閣総理大臣が災害緊急事態の布告を発した場合であって、国会が閉会中であり、かつ臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときにはということですね。
 そういう意味で、その布告自体は、この文案からいきますと、まず災害緊急事態の布告を発した場合というのは、閉会中の前提ということではなくて、その前にあるのかなというふうに解釈されます。これは私の勝手な解釈でありまして、法制局を含めて確認をしていないので、さっきの委員の御指摘、もう一回これはちょっと検証してみないといけないかなという思いがいたします。
 しかし、そういうことであっても、この項目というのは、さっき言われた三項目というのは、具体的には生活必需物資の配給、譲渡、引渡しの制限、禁止、それから物の価格、それから役務その他の給付の対価の最高額の決定、これは物価統制ということだと思うんですが、それから金銭債務の支払の延期、権利の保存期間の延長と、こういうものを、通常は法律の制定を要する措置を政令で定めることができるということにしてあると。この中身というのは大体が経済統制といいますか、そうした意味での権限の行使ということだと思うんですね。
 現実には、じゃどうだったかということ。東日本の大震災のあの状況を見て物価統制をしなければいけないような状況であったかというと、そのときの状況判断の中でそこまではやる必要がないだろうという判断だったということだと思うんですね。具体的には、被災地の災害物資の補給というのは運送業者が自衛隊等の協力を得て避難所に送り込む、いろんな援助物資が届いていく、そんな中で、物価というのもそうむちゃくちゃな形で混乱をすることがなかったということがあったんだと思うんです。
 大事なのは、そういうような情勢をつくっておく、事前にそれぞれ自治体あるいは自衛隊等々を含めてそういう対応ができるネットワークをつくっておくということが大事なんだろうと思います。できれば、こうした政令で、それこそ大統領権限みたいなもので総理大臣が強権をもって物を動かすよりも、元々できたシステムの中でぐっと立ち上がってきて、災害に対して対応していくという形をやっぱり求めていくということが正しいんだろうと思います。そういう努力をしていきたいというふうに思います。

○若林健太君 もちろん、そういうシステムによって対応できるように、これは備えの部分として必要なことでありましょうし、それが理想であると、こんなふうに思います。
 今大臣に確認させていただいて、これはまた是非役所の中でも御確認いただきたいと思うんですけれども、災害対策基本法のこの部分の解説と、また前の予算委員会での答弁を聞いていると、百五条、この適用は百九条によって縛られているかのような理解がされているようですけれども、やっぱり百六条がある限りは、先ほど大臣がおっしゃったように、私も災害緊急事態の布告そのものは本来できるはずだと、だけど実効あらしめるためには私的な権限、個人の権限を侵害をする、それによって侵害をするというためには本来は国会によってその事前承認が必要でしょうし、それを緊急事態ということで政令によって乗り越えていくということが百九条に定められている限りは、結局その百九条の中で定められていなければ具体的な行動が起こせないと、こういう理解かなと、こんなふうに思うところであります。
 東日本大震災のときには様々なドラマがありました。くしの歯作戦、これは有名になりましたけれども、国交省の東北整備局、大変な活躍をされて、国のリーダーシップによってあの基幹道路がいち早く開いていったということが、今回、本当に大きな災害でありましたけれども、復旧に向けて大きな役割を果たしていただいたものだと、こんなふうに思うんですね。
 しかし一方で、不幸にして福島第一原発の爆発事故の後、風評被害もあって福島県に物資がなかなか通じていかないと。タンクローリーをお願いしたんだけれども、タンクローリーの運転手の皆さんが福島行くの怖いからと、こう言って県内に入っていかないと。全然油が行かないというそういう中で、住民の皆さんが少ない油を求めてガソリンスタンドに一日も並んで、中にはその中で大変身体的にも危機な状態になるような方もいらしたと、こういうことがありました。
 そこで、こういうような事態も起こり得るんですね。こういうような場合に、例えば今の百九条、政令に定める措置、この適用範囲を少し広げるような検討をしながら、政府が、国がしっかりとした情報の下に、原発は今こういう、まあSPEEDI隠していたから駄目なんだけれども、あのSPEEDIの情報も含めて国がしっかりと情報を伝え、そして民間会社だけれども国が命令をして被災地へ物資を届けるというような必要が私はあったのではないか、こんなふうに思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思いますが。

○国務大臣(中川正春君) その辺の分析をもう少しきめ細かくやらなきゃいけないんだというふうに思うんですね。
 あのとき入らなかった、いわゆるガソリンが入らなかったというのは、いろんな要素が複合的に絡まっていたんだろうと私は思うんですね。製油所がそれこそ被害を受けて火災を起こした、その基本的な部分のサプライサイドが非常に逼迫したというふうなことから始まって、一時混乱したのは、タンクローリーが特別な許可を得た上でないと入っていけない、あるいはタンクローリーが着いたステーションから、それから先ですね、それから先の配分ができなかったとか、いろんな要素があったと思うんですね。
 その中で、例えば権力をもって、福島の場合はそういう意味では特別な要因もあったかもしれませんが、それもしかし説得をして、時間とともに入っていく部分というのは供給されたというふうに理解をしておりますし、事前にそういうことも想定して、恐らくその業界と話合いをしながら、こうしたことが起こったときには業界もここまでは協力をしてもらうという、そういう前提の中の取組といいますか、そんなものが必要なんだと思うんです。
 それを超えてどうにもならない事態が起こるということも考えられますが、そのときに対してどうするかというような議論だと思うんですね。だから、積み上げることを積み上げておいて、それでもというときにどうするかということは、そこのところを検討するというのは先ほどお話をしておる検討事項になっていくんだと思いますので、これからも引き続き不断に議論をしていきたいというふうに思います。

○若林健太君 大臣のおっしゃった、善意の下に民間の皆さんの御協力をいただけるような防災体制を組んでいく、これはもう当然大切なことだと思いますし、今回のこの震災の教訓を踏まえてそうした取組をするべきであるというふうに思います。
 しかし、私が先ほどお話ししたのは、もちろん油が届かなかったことは様々な要因があるけれども、一方で、個々の善意、民間の個々の情報量、限定された情報量に基づいた善意だけでは事が動かないというような緊急事態があるということがあの震災の中で要素とすれば明らかになったんではないかということを御指摘申し上げたわけで、その善意を前提とした防災体制の構築以外に究極の状況の中で何が必要なのか、そして、そのために法制度としてどういう取組をしておかなければならないのか。
 この危機管理は、やっぱり最悪の状態をまず想定をした上で取り組んでいく必要があると、こういうふうに思いますが、そういう意味では、私が御指摘申し上げているのは、善意の防災体制の構築はもちろんそうですけれども、そうでない過酷事態というようなことが起きたときにどう体制を取っていけるかと、こういう意味合いでありまして、その意味では、私は災害緊急事態の布告、この適用の範囲について、この際、東日本大震災のときに何が起こったのかということを前提としながらしっかりと検討していく必要があると、このように思います。
 これは多分、福島原発のときの事故、あれもやっぱり過酷事故というものに対する、起こり得るかもしれないその事態に対する、最悪の事態を想定した検討準備ができていなかったということにつながっていくんだと思うんですね。是非そこは教訓として、そしてその取組をしていただきたい。
 今、この中間報告の中にも出ておりますけれども、首都直下型地震ですとか南海トラフだとか様々な地震の危険が言われています。首都についてはもう三十年以内に七〇%の可能性で発生すると、こう言われておるわけでありますし、この報告書の中でも、首都圏は何といっても政治、行政活動の中心でありますし、経済、産業活動の中枢を占めておって、ここで障害が発生すると国全体、そして海外にも、世界にも影響すると、こういうふうに言われているわけでありまして、今回の東日本大震災、これはもう大変な震災でありましたけれども、首都でもしこれが起きたときにはと、こういうことを思えば、私はやっぱりあの災害緊急事態布告についてしっかり検討していただきたいと、このように思います。
 百九条、その適用の範囲についての検討をと、最後に一言ちょっと、もしこの件について、これで終わりたいと思いますが、ほかの件に移りたいと思いますが、大臣の御所見、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 引き続き検討をしていきたいというふうに思っております。どうぞ参加をしていただいて、一緒に考えていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。

○若林健太君 ありがとうございます。
 是非、この災害対策特別委員会はまさにそういうことを議論する場所だと思いますので、これは国家の今後の体制についてですから、与野党を超えて御協力、議論してまいりたいと、こんなふうに思います。
 今年の冬は本当に大きな大変な雪がありまして、大豪雪でございました。長野県、新潟県、青森県、合計十九市町村において災害救助法が適用されて、自治体が積雪により倒壊のおそれのある住宅の除雪等の応急救助をしていたわけであります。災害救助法の適用を受けて、自治体、実は私の地元も八町村ですかね、災害救助法の適用をいただきまして、各地区ずっと回っておりますと、災害救助法の適用というのは実はなかなか、適用世帯というのは少ないから、利用、余り使い勝手悪いんだよなと、こんなふうに市町村長、当初、そういう話をしておりました。
 しかし、二月に入って厚生労働省から、平成二十四年大雪対策についてということでペーパーが出まして、大変柔軟な対応をするようにと、こういう指示が下りたんですね。そのことによって、例えば今、青木委員のお話にもありましたけれども、豪雪地帯、往々にして過疎、高齢化が進んでおりまして、人のいない家、廃屋がたくさんあるんですね。ここへ雪がどんどんどんどん積もって大変危険な状態にあると。これについても救助法の適用対象にしますよ、それでいいですよと、こういうお話にもなりましたし、あるいは高齢者等、要援助を必要とする世帯に対して幅広く適用していただいたと。
 大変、実は市町村の皆さんには評価が高い運用だったなと、こんなふうに思いますが、この運用指針は今後もこういう形で進めていただけるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○政府参考人(西藤公司君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、今回の大雪では長野県、新潟県、青森県の三県、十九市町村において災害救助法が適用されまして、各自治体におきましては、積雪による倒壊のおそれのある住宅の除雪などの応急救助が実施されたわけであります。
 私どもも、これまでも降雪期の災害救助法の適用に関して周知してきたところでありますが、今回の大雪におきましては改めて二月十七日に通知を発出いたしまして、具体的には、まず高齢者や障害者の自ら除雪ができない方々への除雪、また、空き家の管理者が除雪を行わないために倒壊し隣接の住宅に被害が生じるおそれがある場合の除雪などについて可能であるということ。それからまた、市町村内の対象世帯の除雪費用の基準額でございますが、これが平均額で十三万四千二百円というふうに定めておりますが、これを超えた場合でも、私どもと個別協議の上で特別基準を設けることにより国庫負担の対象とすることができること。それからさらに、除雪の実施期間につきましても、自治体からの求めに応じて期間の延長が可能であること。こういった内容を通知をいたしております。
 これらにつきましては、今後の災害についても適用するものでございまして、私どもといたしましても、災害救助法におけるこうした除雪の取扱いにつきましては様々な機会を通じて周知を図るなど、各都道府県で適切な救助が実施できるよう万全を期してまいりたいと考えております。

○若林健太君 今回、その災害救助法の適用の申請をするに当たって、各市町村長さん、かなり悩んだんですね。実は、スキー場やなんかの観光施設を抱えているようなところが多いものですから、その適用を受けると観光業に影響があるんじゃないかと、ちゅうちょしながらも申請をしたと。だけれども、適用対象がどうなのか、大変不安になっていたと。非常に使い勝手、幅広い適用できるんですよと、これはまた是非市町村にも周知をいただきたいと、こんなふうに思います。
 次に、仮設住宅について伺いたいと思うんですが、実は、東日本大震災、被災をしました栄村におきましては、いまだに五十五戸ですか、仮設住宅で暮らしている皆さんがいらっしゃいます。ここがまたすこぶる豪雪地帯なんですね。今冬には、場所によって違いますけれども、三メートルから四メートルの雪が積もると、こういう状況でございました。
 残念ながら、仮設住宅の雪下ろしをしている際に村の若い職員が一人亡くなりました、落下をしてですね。この栄村の仮設住宅というのは、実はフラットな屋根になっちゃっているんですね。雪国というのは大体非常に傾斜のきつい屋根を持っていまして、フラットな屋根というのはもう非常にきついんですね。一晩で二メートル雪が積もるわけですから、しょっちゅう除雪をしていかないといけない。雪国仕様ということを考えてやっぱり対応していかなきゃいけなかったなということが今回は非常に反省としてありました。
 これは、仮設住宅についての標準仕様、そしてそこにオプションでそれぞれの地域に対応する、そういう形は制度上はできているようでありますけれども、この標準仕様について、それからそれぞれの地域の特別仕様がどういう制度でなっているのか、お伺いできればと思いますが。

○政府参考人(西藤公司君) 長野県の栄村の応急仮設住宅におきましても、標準仕様とは別に特別仕様ということで、豪雪対応あるいは寒冷地対応ということで県の方で独自の仕様を定められまして、それに基づいて仮設住宅を設置されたわけであります。
 今回の例えば東日本大震災の場合にも、これはかなり量的な確保が重要でございましたので、まず量的な確保という観点から早急に整備を図ったわけでありますが、寒さ対策でありますとかあるいはバリアフリーというものが十分でなかったこともございまして、私どもは厚生労働副大臣をトップといたしますプロジェクトチームを設置いたしまして、被災市町村でありますとか仮設住宅の入居者の方々にアンケート調査をさせていただきまして、それを踏まえましてバリアフリー対策あるいは寒さ対策の追加工事を行った経緯がございます。
 しかしながら、国会でもいろいろ御議論いただいておりますし、長野県からも御要望をいただいておりまして、そもそも標準仕様にすべきじゃないかという御意見もいただいております。こういった御意見も踏まえまして、私どもまた、あるいは過去のいろんな取組も検証しながら、国土交通省とも連携しながら、応急仮設住宅の仕様上の課題として検討を進めてまいりたいと考えております。

○若林健太君 実は、その栄村も当初は標準仕様でやろうかなというところで、その後、居住者の皆さんの様々な意見があって今お話しの特別仕様の工事を、追加工事をずっとやっていった。そのことによって実は入居する時期がちょっとずれてしまった、こういう問題があります。さらには、本来はそのときに先ほどの屋根のことも検討するべきだったんだけれども、結果とすれば検討をせずにこの冬のあの豪雪を迎えてしまったと、こういうことがあります。
 是非、一般的な標準仕様はもちろんそうでしょう、それ以外に、例えば豪雪地帯の場合であればこういった標準の仕様がありますよと、そんな検討を是非していただきたいと、こんなふうに思います。
 この後、法律で出てまいりますが、豪雪特措法というのが議員立法でできるわけであります。私どもの栄村の状況で恐縮でございますけれども、栄村ではやっぱり過疎、高齢化が進んで、なかなか雪下ろしの担い手がいないんですね。担い手がいない中で、災害対策救助員というのを村とすれば設置をして、雪の時期、常時雇用をして、高齢者世帯あるいは単独、独居老人の世帯ですとか障害者の世帯、応援をしていると、こういうことをやっております。
 この豪雪特措法の中には担い手の支援、育成ということも書いておりますが、こうした様々な市町村の取組に対して、この特措法ができて、国としてどんなメニュー、取組を考えていくことができるのか、教えていただければと思いますが。

○政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
 豪雪地帯では、高齢化、過疎化が全国平均を上回るペースで進んでおりまして、雪下ろしや除雪の作業が大きな負担となっていることは先生御指摘のとおりでございます。このため国土交通省では、共助によります地域除雪マニュアルの策定、普及などにより、地域コミュニティーで協力して除雪を行うなど、高齢者が無理なく除雪できる体制の整備を促進し、地域の防災力の向上に努めているところでございます。また、地域防災力を強化するために、広域からの雪処理の担い手を円滑に受け入れられるような受皿機能の組織化や、コーディネーターの養成に向けた取組も行っております。
 今後とも、関係機関と連携しながら、雪処理の担い手確保、育成に取り組んでまいりたいと思っております。

○若林健太君 この豪雪対策というのは、先ほど青木委員の質問の中にもありましたが、担い手となる人たちが過疎、高齢化の中でだんだんいなくなってくる、あるいは国道の除雪作業をする建設会社がどんどん少なくなってきて、その態勢ができなくなってきている。まさに、今地方が抱える様々な課題の凝縮したものだと、こんなふうに思うんですね。
 是非、もちろん国が何でもかんでもというわけにはまいりませんけれども、しかし、この中山間、過疎地帯が抱える課題について、是非この委員会でも、また政府の引き続き不断の御支援をと心からお願いを申し上げて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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