衆議院 内閣委員会 会議録?◆碧楝式儖÷、磯谷委員、森山委員)
平成24年3月23日(金)
○本村委員 民主党の本村賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、この法案の文言について確認をしたいと思うんですが、四十五条の「感染を防止するための協力要請等」、四十九条「土地等の使用」、五十四条「緊急物資の運送等」、五十五条「物資の売渡しの要請等」という中に、正当な理由でないという文言がございます。この正当でない理由の正当とは何を意味するのか、まず冒頭にお聞きしたいと思います。
○田河政府参考人 ここで正当な理由なくという形で規定している、これは、主観的にやりたくないとかそういうことではなく、客観的な事情によっていろいろなことができない、そういう場合を考えた規定でございます。
○本村委員 次に、昨年九月に改定されました新型インフルエンザ対策行動計画について、一点お伺いしたいと思うんです。
この中に、スペイン・インフルエンザ並みの想定をされておりまして、医療機関に受診する患者数が上限で二千五百万人、死亡者数が上限六十四万人に上るということで、その健康被害は甚大なものだなと考えておる次第でございますが、万が一、このスペイン・インフルエンザ並みの新型インフルエンザが来た場合、日本国内の経済被害や国の負担額などはいかがなものか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 実際の被害がどのようなものか、なかなか難しい面もございます。そうした新型インフルエンザの被害想定につきましては、幾つかの試算もございます。前提等が違う場合もございますが、たしか世界銀行等々の機関で推計した試算では、重度の場合、大体GDPが四・八%ぐらい落ちるんじゃないか、そうしたような試算もあったというふうに覚えております。
○本村委員 この行動計画の中に想定されていることに関して、やはり国として経済被害とか国の負担ぐらいは想定しておく必要があるのではないかと思いますので、ぜひとも大臣の御指導でお願いしたいと思っています。
次に、住民に対する予防接種についてお伺いいたします。
平成二十一年の新型インフルエンザ発生時におきましては、推定接種者数が二千二百八十三万人ということで報道がなされておりますが、この新型インフルエンザワクチンの副反応が二千四百二十一人報告されており、そのうち、重篤例が四百十四人、そして死亡例が百三十一人となっております。
この新型インフルエンザ及び感染症においても、予防接種による副反応の可能性は否定できないと思います。そこで、健康被害への対策が講じられているのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 お答えいたします。
健康被害の救済に関してでございます。
この法案第四十六条によります住民に対する予防接種につきましては、これは、予防接種法第六条第一項の予防接種として実施されるものでございます。このため、予防接種により、仮に健康被害が生じた場合におきましては、予防接種法の規定によりまして健康被害救済を行うこととしておりまして、その給付水準につきましては、予防接種法上の臨時接種、これは仕組みの中でも高い給付水準になっておりますが、その水準を適用することとしております。
○本村委員 次に、医療関係者に対する補償についてお伺いいたします。
第六十二条、六十三条において、医療関係者に対する損失補償及び損害補償が定められておりますが、文言の確認も含めて、医療関係者とはどの範囲まで指すのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 お尋ねの点でございます。
本法案では、医療の提供を行うため必要があるときは、医療関係者に対して要請、指示を行うことができることとなっております。要請、指示を受けて業務に従事し、損害を受けた医療関係者に対して補償を行うこととしております。
その具体的な要請、指示の対象につきましては、政令等で定めることとしております。その政令につきましては、今後、関係者の意見を踏まえながら検討していくこととしております。
○本村委員 次に、この医療関係者に対する補償に関して、これも確認も含めてなんですが、国の負担の割合、そして地方の負担の割合についてお伺いしたいと思います。
これは、今回の被災地の瓦れきの問題に関しても、地方負担というのは大変大きな問題となっていますので、この医療関係者に対する補償に関してお伺いいたします。
○田河政府参考人 お尋ねの、医療関係者の補償に関する国と地方の負担の関係でございます。
本法案におきましては、新型インフルエンザが全国的に蔓延し、短期間に数十万人の死亡者が発生する、そういう意味では、大規模災害と類似する面がございます。そうしたことも踏まえまして、医療関係者に対する補償につきまして、これはほかのものと同様でございますが、まず、その二分の一を国が負担するとともに、災害救助法に倣いまして、地方公共団体の財政力に応じて、国庫負担率のかさ上げを八割とか九割、そういう形で措置を講じていくこととしております。
また、これに加えまして、新型インフルエンザ等緊急事態に対処するために地方公共団体が支弁する費用に対して、国が必要な財政上の措置を講ずる規定も設けているところでございます。
○本村委員 次に、財政上の措置について、七十条に関してお伺いしたいと思います。
都道府県が安心して速やかに新型インフルエンザや新感染症を講じるために、財政上の措置が、先ほどの瓦れき問題じゃありませんが、非常に大事な部分だと思うんですけれども、第七十条において、国は、予防接種の実施そのほかインフルエンザ等緊急事態に対処するために地方公共団体が支弁する費用に対し、必要な財政上の措置を講ずるものとされているということです。
先ほど、予防接種に関して国の財政措置の御答弁がございましたが、地方の負担をより減らしていただくというのは、これは私も大臣にお願いしていきたいところでございますが、予防接種以外、例えば法律で想定されていないものなどに対しての負担が生じた場合、国としてどのような対応をされるのか、大臣にお伺いいたします。
○中川国務大臣 前半の答弁でもお答えをしたんですが、これは大規模災害と同じような枠組みの中で判断をしていくということだと思うんです。
そういう意味で、ワクチンだけじゃなくて、さまざまな費用がかかるとすれば、救助法の対応に準拠しながら中身を詰めていくということになっていきます。
○本村委員 ぜひとも、想定外の可能性もありますので、国として万全な対応をとれるように、大臣の御指導をよろしくお願いしたいと思っております。
次に、日本が新型インフルエンザの初発となった場合、WHOのパンデミックフェーズ4あたりになるんでしょうか、人から人への感染が確認された場合、どのような対策が国内では講じられるのか、御答弁をお願いいたします。
○中川国務大臣 世界で日本が発症地といいますか、新型インフルエンザが国内で発生をしたということを前提にしていきますと、厚生労働省を通じて、まず直ちにウイルスの情報や患者の状況の把握をしていくということ、それから適切な医療提供体制を確保していくということ、そして周囲への感染状況などのサーベイランスを実施していくということで、的確に対応していくということになっております。さらに、国内初発の都道府県に現地対策本部を設置しまして、国と地方自治体が一体となって初動対応をするということになっております。
基本的には、新型インフルエンザ等の最初の発生は海外であろうというふうに予測をされておりますけれども、国内で世界最初に発生した場合も十分に想定をして、WHO等の国際機関との連携を図っていくということで万全を期していきたいと思います。
○本村委員 今御答弁いただいたように、新型インフルエンザは、想定は海外発生ということでありまして、恐らく、衛生環境上、国内発生は低いんじゃないかということも想定はできるんですが、ぜひとも、何がどのように起こるかわかりませんので、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法案は、社会機能を維持する上の大変大きな役割を担っている法案だと私は思っておりますので、国内での問題に関しても十分捉まえていただきたいと思います。
次に、社会福祉施設等の休業に伴う代替措置についてお伺いをしたいと思います。
平成二十一年の新型インフルエンザ発生時には、諸般の事情で仕事を休めない親御さんが、例えば保育園施設の臨時休業のため子供を預けられないという事態が起こったと伺っております。新型インフルエンザ対策のために保育施設が臨時休業となった場合、代替措置などは考えられているのか、お伺いいたします。
○外山政府参考人 地域全体での保育施設等の臨時休業は、患者数が少ない段階で流行を遅延させること等を目的とする、公衆衛生上必要な措置であると考えております。
保育施設等の臨時休業を実施する場合、保護者が乳幼児等に付き添うために多数の者が仕事を休まなければならないことが見込まれることから、事業者が新型インフルエンザ発生に備えた業務継続計画を策定するに当たっては、このような欠勤も見込んでいただくよう促していきたいと考えております。
一方で、社会機能維持のために保育施設等の開所が必要となる場合もあるため、その場合は、感染予防に工夫を凝らした上で、一部保育施設の部分的な開所やファミリー・サポート・センター事業等の活用も検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
○本村委員 これは一例として保育園の話をさせてもらいましたが、例えば御両親が医療関係者であった場合など、さまざまなことが想定されますので、さまざまなことを想定しながら御対応をお願いしたいと思っております。
次に、先ほど自民党の委員の方からも御質問ありましたように、周知法に関しては大変これから大きな問題だと思いますので、大臣の強いリーダーシップをお願いしたいと思っていますが、ちょっと一点、本法案の中で、七十六条から七十八条で罰則規定が設けられておりますが、どちらかというと、私は罰則規定が弱いのかなという感じもしないではないんです。今回、罰則規定がほとんど設けられていないのはどうしてなのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 罰則についてのお尋ねでございます。
本法案におきまして、医療従事要請や、あるいは新型インフルエンザ等緊急事態宣言が行われた場合には、外出の自粛要請あるいは催し物の制限等の措置を講ずることとしております。ただし、こういった要請、指示に従わなかった場合につきましては、御指摘のように、罰則規定は置いておりません。
これは、例えば医療従事要請につきましては、強制的に業務を行わせたとしましても、適正な執行は期待できません。かえって適切な対策の実施に支障を及ぼしかねないおそれもございます。国民保護法も同様な仕組みとなっております。また、催し物の制限等につきましては、これは本当に病原性の高い新型インフルエンザでございます。要請または指示をした旨を公表することによって、一般の方がそのような催し物には行かないというふうに考えられます。そうしたことから、罰則は付しておりません。
いずれにしましても、新型インフルエンザ等対策は、適切に情報を提供し、そして説明し、自主的に御協力いただく、そうしたことも私ども期待しております。そういうことから、本法においては、罰則規定は必要最小限なものとしております。
○本村委員 最後に、大臣に質問させていただきます。
今法案に関しまして、国民の期待も大変強いところでありますし、全国知事会や、さらには日本医師会、経団連等々からも意見書等々が出ておりまして、これを受けた形で、平成二十一年の新型インフルエンザは大変毒性が低いものであったのですが、これからどのような新型インフルエンザが私たち国民にとって厄介なものであるかはわかりませんので、ぜひともこれから強いリーダーシップをお願いしたいと思っているんです。
今法案、科学的根拠が少し乏しいのかなという点は一点指摘させていただきたいんですが、それと、物資の流通や施設の使用など私権が制限をされている点、さらには、患者本人への対処を超えて緊急時の社会機能を狙った枠組みでありまして、これは本当に、いざ有事の際の、大変私たちも望んだ法案でありますので、皆さんで協力しながらいい法律をつくっていきたいと思うんです。この法案にかける大臣の意気込みを最後にお聞かせいただきたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘のように、危機対応ということと、それこそ大災害に匹敵するような社会に対する大きな影響がある、それを、最悪の状況というのを前提にしながら対応していく、そういう法案でありますので、しっかりと議論をしていくということだと思います。
中身について、これから行動計画をまとめていって、そこが具体的な指針になるわけですが、これについて、先ほど御指摘のあったように、専門家というのをしっかり組み込みながら、その知見に基づいてしっかりと説明できるような、そういう体制をつくっていくということが大切だと思っています。
それと同時に、やはり国民の理解の中で初めてこれが機能する、法律が生きるということでありますので、先ほどから御指摘のある訓練ということ、これもいろいろな工夫をしていかなきゃいけないと思うんですが、それと同時に、いろいろな啓蒙の活動を展開して、しっかりと国民としての一体感がこの問題に対して出るという状況にしていきたいというふうに思っております。
○本村委員 大臣から強い決意もお伺いいたしました。ぜひとも、国民の皆さんに周知徹底をいただきまして、防災担当大臣としてもでございますが、またさまざまな角度から、国の有事の際に、国民の財産そして生命の安全をしっかり大臣のリーダーシップで守っていただくことをお願いして、私の質問を終わりにします。
○荒井委員長 次に、磯谷香代子さん。
○磯谷委員 民主党の磯谷香代子です。
本日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。もう既にさまざまな観点からの質問がございましたので、重なる点もあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
三年前のあのインフルエンザについてですが、あのときは、私は本当に一般市民としてテレビをよく拝見していたんですけれども、当初、新型インフルエンザということが話題になって最初に取り上げられていたのは、非常に鳥インフルエンザの怖さですね。東南アジアの方で鳥インフルエンザがそろそろ出てきているので、それに対してどのような懸念があるかということが非常に取り上げられていましたので、恐怖心というのはやはり少なからずいろいろな国民の皆さんは持っていたんじゃないかと思うんです。
その三年前に、インフルエンザが発生すると言われて、最終的には、結果を見ると、豚由来であったので弱毒性でしたから、何となくイメージとして、あれ、騒いだ割には大したことなかったのかしらというような印象だけが残る結果になったと個人的には思っております。
そこで、まず最初に、三年前の豚由来の新型インフルエンザの対応についてなんですけれども、これはよかった点、悪かった点、さまざまあると思いますけれども、このときの教訓は今回の法案にどのように生かされているのか、お答えいただければと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほども少しございましたけれども、先生御指摘のように、三年前は弱毒性でございました。私どもが今想定をさせていただいて対策を講じるといったところは、強毒性、いわゆる死亡者もかなりの部分で出てくるであろうというふうに考えておるところでございます。
そういった面では、三年前の対策の中で、幾つか御指摘が現場の皆さん方からもございましたし、また自治体の皆さん方からもいただいてまいりました。そういったところの一つ一つを、この法案でどういった形で対策を盛り込ませていただいたかという問いかけでございます。
まず、水際対策につきましては、やはり病原性が、弱毒あるいは強毒といったところで、弱毒性であったわけでございます。したがって、そういったところからすると、その体制の整備に関して、水際対策が縮小をなかなか機動的にできていなかったのではないかという、総括会議報告書においても御指摘がございました。
それからあと、先ほども議論が出ておりましたけれども、学校等の休業要請、これを、規定がきちっとできていなかったということもございましたから、やはり実際に運用する自治体からすると、どこまで制限をしていいのかといったところも大変悩みながら、困惑しながら進めていたという状況もございました。そういった点では、その運用判断、これもきちっと的確かつ柔軟に行うということで、国が基本的な対処方針を示すという形で今回の法案でも盛り込ませていただいたところでございます。
そしてまた、現場の医療従事者の補償がないといったところもございましたので、それもきちっと、この補償制度も設けさせていただきましたし、自治体の費用負担なども、今回の法律で、きちっと法律上明記をさせていただいたというところでございます。
○磯谷委員 ありがとうございます。
今お話にありました水際対策についてなんですけれども、当時の水際対策という用語で思い出すのが、やはり機内検疫なんです。飛行機に乗客の方が乗って日本に着いたとき、座っている乗客の間を、防護服というんですか、全身、非常に物々しい格好をした人が歩いている映像とか写真で、あれもすごくインパクトがあったんですね。座っている人はみんな普通の格好をしているのに、入っていく人が完全に、あなたたち誰か病原菌を持っていても私にはうつさないでねというような、非常にインパクトがあったんです。
ただ、結果、その効果についてはやはりさまざまな意見があったと思われるわけですね。三年前に行った検疫ですと、患者の発見というのは十一名であった。その数から見ると、検疫の効果というのに対して、どのように判断するかというのはなかなか難しいことだったと思うわけです。これも、先ほどからございますが、結果を見ると、弱毒性だったので、インパクトに比べて実態が違ったというような印象を一般の人は多分相当持ったのではないかなと思うわけですね。
そこで、厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、当時の水際対策についてはやはりいろいろ批判的な意見などもあったわけですが、効果について、これは科学的な証拠というものはございますでしょうか。
○外山政府参考人 平成二十一年の新型インフルエンザに対する水際対策の科学的証拠といたしましては、発生後に行われました海外の研究によりまして、日本を含めた検疫の実施国において、国内感染をある程度の期間おくらせる効果があった可能性を示唆する結果が報告されております。
また、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議におきましては、水際対策は、海外での感染の広がりが限定的である場合等に侵入遅延に有効となる可能性が期待できる対策であるとの意見をいただいております。
こうした専門家の意見を踏まえまして、ウイルスの病原性や感染力、それから海外の状況等の情報を勘案いたしまして、合理的な範囲で水際対策を実施することが重要であると考えております。
○磯谷委員 ありがとうございます。
やはり重要なのは、ウイルスの病原性とか感染力、海外の状況の情報に基づいて実施する合理性は当然必要なんですけれども、その合理性が認められなくなった場合の措置の終了なり縮小というところの、なすか否かの判断、これは当然、先ほどからお話があるように大変難しいところだと思うんですが、事前に想定しておくことが必要かと思います。
次に、今度、事前の訓練についてお聞きできればと思います。
法案ですとか政府行動計画を定めることも大変重要なんですけれども、それを実際に、訓練などを通じて的確迅速に対策を実施したり検証することも必要だと思います。
これは、三年前に実際に発症した自治体の方がおっしゃっていたことですけれども、現場ではとても混乱した点があるというお話でした。タイムリーな情報交換が自治体と国の厚生労働省なりとできなくて、テレビで情報を市役所の方も見て、情報が自分のところには来ていないけれどもテレビでは発表されているというようなケースもあったということをおっしゃっていました。
本法案では訓練に関する条文というのを盛り込まれているわけですが、この新型インフルエンザ等の発生に備えた訓練をどのようなものを想定しているのかということと、また今後の実施予定について、お答えいただければと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほどもインドネシアの例が先生からもございましたけれども、やはり訓練をして、日ごろからの備えというものをきちっとやっておく必要がある。また、訓練をすることによって、行動計画の中にひょっとしたら何か抜け落ちがあるかもしれない、あるいはその欠陥が見えてくるかもしれないということで、日ごろの訓練と、そしてまた備えといったことはきちっとやっておく必要があるというふうに思います。
先生御指摘のように、今回私どもが考えておりますのは、まず政府の意思決定、対策本部を通じて政府の意思決定のあり方、そして指揮命令関係の訓練、これはきちっとまず政府内でも関係省庁を集めて対策を行っていく必要がある、訓練を行っていく必要があるというふうに思っております。
また、現場の訓練といたしましては、御指摘のように、検疫でありますとか積極的な疫学調査、そういったことも実施をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。また、帰国あるいは接触者外来の運営、現場の医療機関も含めて、そういったところの運営のあり方。あるいは集団予防接種。これが実際に、先ほど、一カ月半から今度はワクチン接種が先行的にできるといったところがありますけれども、全国民にといったところのシミュレーションをきちっとやっていく必要があるというふうに思います。
そういったところを組み合わせてしっかりと行う必要があるのではないかというふうに考えておりまして、政府においては、平成十八年度以降、四回にわたってこのインフルエンザの発生時を想定した訓練を実施してきておりました。また、地方公共団体においても行っているというふうには聞いておりますけれども、今後とも、国と地方を連携させていただいて、しっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
○磯谷委員 ありがとうございます。
次に、今度は国民への周知徹底ということについてお聞きできればと思います。
今回の法案に基づいた対策などを実行する場合に、国民の正確な理解とか納得がないとなかなかスムーズに対応できないのではないかと思っております。
特に、一般的なイメージとして、インフルエンザというのは毎年冬になるとあちこちで発症しているわけですね。ことしというか今シーズンについても、学級閉鎖もあちこちでありました。ただ、この冬に発症したインフルエンザというのは例えばソ連型であるとか香港型であるとかということで、今回想定している新型というのとは本質的に違うわけなんですけれども、どうしても一般的な受け取り方として、インフルエンザですよねというような、多少の誤解も入るのではないかと私としては思っています。
しかも、先ほども申し上げましたけれども、三年前に騒いだんだけれども、結果的にはそんなに大したことなかったよねという印象だけが残っている場合に、例年のインフルエンザと今回想定しているインフルエンザと何か違いがあるのかどうか。政府が大げさに言っただけなんじゃないかというような、誤解があって、印象を持つ人がいるのではないかと思うわけです。それが伝わらないと、予防についても対処についても甘くなってしまうのではないかという懸念があるんです。
園田政務官にお聞きしたいんですが、本法案では国民に対する普及啓発に関する規定も盛り込まれておりますが、国民に正しく理解してもらうため、どのような取り組みを行っていかれるのでしょうか。
○園田大臣政務官 先生御指摘のように、通常のインフルエンザ、季節型のインフルエンザと、この新型インフルエンザ、とりわけ強毒性といったところは、大変、国民の中にもまだまだ理解が進んでいないのではないかという心配はやはりございます。そういった点では、この新型インフルエンザの、強毒性のもたらす影響といったものは、しっかりとまず国民の皆さん方に正しく伝わるように努力をしていきたいというふうに思います。
だからこそ、こういった国会審議の中でも取り上げていただくことは大変重要なことではなかったかなというふうに私は考えておりまして、しかも、今回の法案においても、そういった国民の知識の普及であるとかあるいは理解の促進といったものも挙げさせていただいて、しっかりと政府としてもそれに取り組んでいく必要があるといったところを明確にさせていただいたところでございます。
したがって、まずわかりやすく伝えることが必要であろうというふうに思いますので、これが成立をさせていただいたら、すぐさま政府としては、まずわかりやすい、例えばリーフレットのようなもの、あるいはホームページも通じながら、わかりやすく国民の皆さん方に正しく知識を普及していくように、私どもとしてもしっかりと努力をしていきたいというふうに思っておりますので、また何かございましたら、先生からも御指摘をいただければというふうに思います。
○磯谷委員 ありがとうございます。
やはり、わかりやすくという点も本当に大事ですし、あと一つ、私が三年前のニュースなどを見ていてすごく感じたんですけれども、ニュースは時系列で進んでいくわけですね。毎日とか毎回、朝、昼、夜で多少現実の状況は変わるわけです。ニュースの内容自体も、毎回取り上げているんですけれども、少しずつ変わっていく。ただ、その変遷で、国民全員が全部のニュースを見ているわけではないわけですよ。すごく忙しくて、ニュース自体をほとんど見ていないという人もたくさんいるわけです。
例えば、被災地なんかで、放射性物質に関してですけれども、福島の方の若いお母さんたちに意見を聞く機会があって、皆さん、やはり育児も含めて忙しくて、ニュース自体を見ていない。そうすると、情報が友達同士のうわさ話だということをおっしゃっている方がいたんですね。
福島で放射性物質に関してというのは一般の国民よりも非常にナーバスであると思われるにもかかわらず、情報が友達同士だけという実態があるというのを聞いたときに、それを考えると、今回のインフルエンザに関しても、インフルエンザの情報をわざわざ求めてニュースを見る人というのは余りいないわけですよ。逆に言うと、細切れで、何か白衣を着た人が飛行機に乗り込んだというところだけを見た人もいれば、知らないうちに終息していたというぐらいの理解度の人もあり得るわけなんですね。
こういった理解が定着していないと、予防するとか、今度は自分が感染者として逆に蔓延させてしまう可能性というのを防ぐことが難しくなるんじゃないかというのを非常に懸念しています。
また、伝える側というのは、自分の中では時系列になっているものですから、きのうこう言った、きょうはこう言った、朝こう言った、きょうの夜はこうなるというのは自分の中では整理されているんですけれども、見ている人が全部見ているとは限らないと思います。
こういったニュース、先ほどの園田政務官のお話にあったわかりやすくということの、今度は、ではちゃんと伝わっているのかということを考えるのなら、小学生にもわかるような伝え方なども必要だと思うんですね。場合によってはコンサートが中止になるかもしれない、ショックも大きいですから。
そういった場合に、実際に時々小学生に聞いてみるとか、伝える人も自分の家族に聞いてみるとか、伝えたかったことが伝わっているのかということを常に検証しながら物事を伝えていかないと、こっちが思っていたように伝わらなかったということで、知らないうちに自分自身がウイルスを拡散させるような立場になることは防ぎたいと思いますので、情報の伝え方のみならず、伝わったかどうかということを、モニタリングと言うと大げさですけれども、おうちでお子さんに聞いていただくとか奥さんに聞いていただくとか、どのように今みんなが把握しているのかということを常に念頭に置いていただければと思います。
これを最後の感想といたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 民主党の森山浩行でございます。よろしくお願いします。
前回、三年前の新型インフルエンザの蔓延、このときには、備えができていないということに国民が大きな不安を抱かれたものだと思います。また、毒性の強い新型インフルエンザ、これのおそれがあるということから、この法案は大変重要であると考えておりますが、この法案、法律自体はいわゆる危機管理法制ということでありまして、国が国民の生命や財産を守る、そのために効果のある対策をとらなきゃいけないから、期限を設けて国民の権利を制限する、こういう可能性のあるものであります。
政府は必要以上に権利制限に踏み込んではいけない、これは当然のことでありますし、第五条にも、国民の自由と権利が尊重されることに鑑みというような文言も入っておるところでございます。権力の濫用とならないように、しっかりとそれぞれの現場の御意見を聞きながら、意見を踏まえた法整備をすることが大事であることは言うまでもありませんが、私たち、党の中でも議論をしてまいったところでありますけれども、このたびの法案提出に当たってさまざまな御意見を聞かれたことだと思います。この辺の経緯をお伺いしたいと思います。
○園田大臣政務官 ありがとうございます。
今般のこのインフルエンザ対策の法案の作成に当たりましては、やはりさまざまな御意見を頂戴しなければいけないというふうに思っておりました。
先生御指摘のように、やはり国民の皆さん方の理解も大変必要になってまいる法案のスキームでございますので、そういった点では、幅広く、そしてまた実施主体の方々からの御意見、意見交換というものをこの間行ってきたわけでございます。
具体的に申し上げますと、これまで、実務者レベルでの検討協議会、これを地方公共団体の皆さん方とは三回行ってきたわけでございます。それからあと、やはり日本医師会、あるいは病院団体や経団連など、非常に関係の深い、こういった新型インフルエンザの発生時に担っていただく担い手としては大変深い関係の各種団体の皆さん方とも意見交換を進めてまいりました。
それからあと、やはり学識経験者の皆さん方、強毒性か弱毒性かの判断、あるいはサーベイランス、海外で起きた場合、それを日本でいち早く察知して、そして対策に盛り込んでいくといったところのそういった危機管理の観点も含めて、学識経験者の皆さん方からも御意見を頂戴してきたというところでございます。
また、与党の皆さん方にも積極的にやっていただいていたというのは私も承知をいたしておりましたし、野党、自民党さんあるいは公明党さんの皆さん方の御協力も、今回、ずっとこれまでも行ってきたということでございますので、やはりそういった面では、幅広く、御熱心に御議論をいただきながら、そしてまた、私ども政府としても、関係の皆さん方と調整をさせていただきながら、この法案の作成に当たってきたつもりでございます。
○森山(浩)委員 幅広く御意見を伺ってきたということでありますけれども、法案を通していくに当たって、たくさんの人たちに、これで安心できる体制をつくれるんだよという部分、それと、これで必要以上に権利制限はないんだよという部分、この二点、両面の広報をぜひお願いいたしたいと思います。
この危機管理体制ということなんですけれども、危機管理の法制というのには、国民保護法制、あるいはテロ対策の特別措置法、災害対策の特別措置法などがございます。この法律、今回の法律で対象となります新感染症が発生をしました、そのときに発動するというときですけれども、例えば生物兵器によるテロあるいは攻撃かもしれないというような可能性も含めて、事態がどういうものであるか、これをしっかりと把握するまでの間というのは、今回の枠組み以外の皆さんにも御協力をいただかなければいけないのであろうと思います。
政府全体として司令塔を置くというときに、この法律を発動するんだけれども、ほかのところの人たちも一緒になって事態をきちんと把握するということが大事かと思いますが、この連携についてはどのように考えておられますでしょうか。
○園田大臣政務官 先生御指摘のように、初動体制の対応というのが大変重要になってくるというふうに思っております。したがって、この法案においては、インフルエンザ等の対策の初動対応をまず一元化させていただきました。
そして、関係省庁が緊密に連携をさせていただきながら、的確かつ迅速に対策を実施するため、この新型インフルエンザ等の発生時においては、まず、内閣総理大臣を本部長といたします対策本部を設置することになっております。これは全ての国務大臣が入っての形になりますので、当然、政府内では、ここでまずきちっと連携がとれるというふうに思っております。
そして、その政府対策本部は、新型インフルエンザ等対策の実施に関する重要事項等を明示する基本的対処方針を決定させていただきます。同時に、政府の対策本部長は、関係省庁、各府省庁やあるいは指定の行政機関に関する総合調整をここできちっと行うことになっておりますので、まず一元化をし、そして、御指摘のように、政府のリーダーシップをしっかりと発揮して、初動体制に万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
危機管理法制全体を一本にできないのかなというような思いもするところではあるんですけれども、今の法律のたてつけ上、さまざまな法律がある中で、政府としての対応を一元化するというところで当面の運用をきちんとしていただきたいと思いますし、事態を、原因を把握する、そこまでの間に被害が拡大するということがないように、ここはもうぜひ気をつけていただきたいと思います。
さて、前回、三年前の新型インフルエンザの発生時には、子供など、かかりやすい人のようなところにまずワクチンを持っていこう、こんな話があったかと思います。
今回の法律では、二十八条に、特定接種ということで、緊急事態発生後には、医療の提供の業務または国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者、また、新型インフルエンザ等対策の実施に携わる地方公務員に対して、臨時の予防接種を定めているということになりますけれども、この特定接種というのは、何人分を想定されているのか、また、順位はどのように決めるのかというようなことは、お考えがありますでしょうか。
○園田大臣政務官 これは、平成二十年九月十八日の関係省庁対策会議において、第一次素案が取りまとめをされております。これは、先行接種の対象者とそれから順位についての案を、ここの会議、案で示したところでございます。
それに基づきまして、今般の法案においては、まず政府の行動計画、そして、この行動計画において、登録の基準に関する事項を定めることとしております。具体的な内容については、今後、やはり幅広い関係者の皆さん方の御意見を頂戴しながら決めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
まず、この二十年当時の考え方が今般の検討の前提になっているというふうに考えておるところでございまして、今回の法律においては、他の危機管理法制をやはり参考にさせていただきたい。そして、それに基づいて、指定の公共機関制度を設けたという形になっています。
それから次に、登録事業者に対しましては、医療の提供であるとか、あるいは国民の生活や経済の安定に寄与する業務を継続的に実施する努力義務がここで課せられているところでございます。したがいまして、それに際しての登録事業者は、接種を実施する厚生労働大臣が必要と認める場合には、その社内の診療所の活用など、接種の円滑な実施の協力をしなければならないという枠組みがまずこの中で決められているところでございます。
今後、国民的な議論、幅広く専門家の皆さん方の御意見を頂戴しながら、その順位であるとか、あるいは、人数はそれによっておのずと決まってくるわけでございます、対象者が決まっていけば人数も決まっていくわけでございますけれども、そういったところも含めて検討をしていきたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 人数のところなんですが、何千何人というのは要らないんですけれども、例えば十万の単位なのか、百万の単位なのか、一千万ぐらいになるのか、こういう桁でいうと、どのぐらいのイメージを持っておられますか。
○田河政府参考人 現在、東南アジア等で発生しているウイルスをもとに、プレパンデミックワクチンの備蓄を進めております。年によっていろいろ株の種類を選定して、これはどういうウイルスがはやるかわからないということで、株の種類を違えて備蓄を進めておりますが、基本的には、最近、毎年一千万人分の備蓄をしている、そういう状況でございます。
○森山(浩)委員 一千万人分というようなことになると、かなり大きな数になります。例えば、お医者さんが特定接種をする。では、お医者さんの配偶者はどうなのか。濃厚に接触をしますから、家族はどうなのか、子供はどうなのか、こういうこともやはり検討していかなければならなくなるのではないかと思いますので、これは平成二十年の「進め方について」というのを下敷きにするということでございます。これを下敷きにしながら、一体どこまでが一千万に入るのかというようなことを前提に議論をしていただきたいと思います。これは、百万ですというのとは全然質が変わってくると思いますので、ぜひそこのところを踏まえながら検討いただきたいと思います。
さて、私は、超党派の水の議員連盟で、九府省をまたぐ水の問題、何人かいらっしゃるんですけれども、御一緒にさせていただいています。議員立法を目指して、一本化、一元化を目指しているわけなんですけれども、この中で、三年前、当時の新型インフルエンザがはやったときの新聞記事に気になるものがございます。二〇〇九年八月十五日読売新聞、下水処理水からタミフル成分、鳥飲み耐性化のおそれ、京大分析という記事なんです。
これは何かといいますと、先ほど、ワクチンが一千万人分とおっしゃいました。ワクチンの場合はまだいいんですが、薬を飲む、当時はタミフルをみんな飲みましょうということで、大量にみんな飲んだと思います。薬というのは、体の中に入って、そのまま一〇〇%、当然消化されるわけではない。そのままトイレから下水に流れていく、あるいは浄化槽に行くという話になっていくわけなんですが、では、このタミフルが自然界にあふれていくのではないか、こういうことを思い、調査をしたチームが京都大学にあるわけですね。
放流水、その中に、一リットル当たり数ナノグラム、ピーク時には三百ナノグラムというようなタミフルが検出をされた。そして、この処理水、処理場できちんとやっているところ、オゾン処理まですると九〇%以上が除去されるが、標準的な処理であれば四〇%ぐらいであるというようなことも書いてあります。
それに対しまして、日本が世界最大のタミフルの使用国であり、人の服用したタミフルの八〇%はそのまま体外に排出されると考えられる。この検出量は比較的高濃度であるということで、下水処理場から出た排水、この水を鳥インフルエンザに感染している鳥が飲んだときにタミフル耐性のウイルスができるのではないか、そのおそれがあるのではないか、こういう分析をされています。
この分析についてどのようにお考えでしょうか。
○外山政府参考人 季節性インフルエンザ流行期に、下水処理水のタミフル濃度が一リットル中に約三百ナノグラム、一ナノグラムは十億分の一グラムでございますけれども、約三百ナノグラムまで上昇したという研究報告については承知しております。
この濃度は極めて低く、動物がその水を飲んだとしても、体内での薬効作用は限定的であり、動物の体内でタミフルに耐性のあるウイルスが発生する可能性は低いと推測されると専門家も指摘しております。
なお、厚生労働省におきましては、季節性インフルエンザウイルスにつきまして、人に対してのタミフル耐性の調査を継続的に行っておりまして、耐性ウイルスが出現した場合には、医療機関に情報提供する等により適切に対応してまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
すぐにどうこうということはないということですが、しかし、一千万人分の人に対して薬を投与するというようなこともあるわけですから、これは、政府が発動するわけなので発動するときはわかるわけですね。発動するときに、同時に、例えば下水処理場あるいは管渠、浄化槽、こういう管理をしている人たちに対して、ここの部分の濃度については気をつけてくださいよというような形で言うこともできるのではないかと思います。
これは、今回の法律の中では、六条二の二のイというところで情報収集をするんだというふうに書いておりますので、ぜひ、薬を大量に使うんだというときには、その出口のところまでしっかりと見ていただきたいというふうに思います。やっていただけますか。
○外山政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、現段階では、動物界で耐性ができるほどの薬効作用を心配するほどでないということでございますけれども、可能性の話としてそういうことも念頭に置きながら、失敗しないようにちゃんとしていきたいと思っております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
本当に大きな感染ということになってきますと、それが与える自然への影響というようなところから、また人間にも影響が返ってくるということも考えられます。今回の法律、まずは権利の制限のところ、あるいは政府の行動の仕方というようなところをきっちり注意していただくこと、また、薬を大量に使った後の部分をしっかりと調査していただくことを要望して、今回の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
まず、この法案の文言について確認をしたいと思うんですが、四十五条の「感染を防止するための協力要請等」、四十九条「土地等の使用」、五十四条「緊急物資の運送等」、五十五条「物資の売渡しの要請等」という中に、正当な理由でないという文言がございます。この正当でない理由の正当とは何を意味するのか、まず冒頭にお聞きしたいと思います。
○田河政府参考人 ここで正当な理由なくという形で規定している、これは、主観的にやりたくないとかそういうことではなく、客観的な事情によっていろいろなことができない、そういう場合を考えた規定でございます。
○本村委員 次に、昨年九月に改定されました新型インフルエンザ対策行動計画について、一点お伺いしたいと思うんです。
この中に、スペイン・インフルエンザ並みの想定をされておりまして、医療機関に受診する患者数が上限で二千五百万人、死亡者数が上限六十四万人に上るということで、その健康被害は甚大なものだなと考えておる次第でございますが、万が一、このスペイン・インフルエンザ並みの新型インフルエンザが来た場合、日本国内の経済被害や国の負担額などはいかがなものか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 実際の被害がどのようなものか、なかなか難しい面もございます。そうした新型インフルエンザの被害想定につきましては、幾つかの試算もございます。前提等が違う場合もございますが、たしか世界銀行等々の機関で推計した試算では、重度の場合、大体GDPが四・八%ぐらい落ちるんじゃないか、そうしたような試算もあったというふうに覚えております。
○本村委員 この行動計画の中に想定されていることに関して、やはり国として経済被害とか国の負担ぐらいは想定しておく必要があるのではないかと思いますので、ぜひとも大臣の御指導でお願いしたいと思っています。
次に、住民に対する予防接種についてお伺いいたします。
平成二十一年の新型インフルエンザ発生時におきましては、推定接種者数が二千二百八十三万人ということで報道がなされておりますが、この新型インフルエンザワクチンの副反応が二千四百二十一人報告されており、そのうち、重篤例が四百十四人、そして死亡例が百三十一人となっております。
この新型インフルエンザ及び感染症においても、予防接種による副反応の可能性は否定できないと思います。そこで、健康被害への対策が講じられているのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 お答えいたします。
健康被害の救済に関してでございます。
この法案第四十六条によります住民に対する予防接種につきましては、これは、予防接種法第六条第一項の予防接種として実施されるものでございます。このため、予防接種により、仮に健康被害が生じた場合におきましては、予防接種法の規定によりまして健康被害救済を行うこととしておりまして、その給付水準につきましては、予防接種法上の臨時接種、これは仕組みの中でも高い給付水準になっておりますが、その水準を適用することとしております。
○本村委員 次に、医療関係者に対する補償についてお伺いいたします。
第六十二条、六十三条において、医療関係者に対する損失補償及び損害補償が定められておりますが、文言の確認も含めて、医療関係者とはどの範囲まで指すのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 お尋ねの点でございます。
本法案では、医療の提供を行うため必要があるときは、医療関係者に対して要請、指示を行うことができることとなっております。要請、指示を受けて業務に従事し、損害を受けた医療関係者に対して補償を行うこととしております。
その具体的な要請、指示の対象につきましては、政令等で定めることとしております。その政令につきましては、今後、関係者の意見を踏まえながら検討していくこととしております。
○本村委員 次に、この医療関係者に対する補償に関して、これも確認も含めてなんですが、国の負担の割合、そして地方の負担の割合についてお伺いしたいと思います。
これは、今回の被災地の瓦れきの問題に関しても、地方負担というのは大変大きな問題となっていますので、この医療関係者に対する補償に関してお伺いいたします。
○田河政府参考人 お尋ねの、医療関係者の補償に関する国と地方の負担の関係でございます。
本法案におきましては、新型インフルエンザが全国的に蔓延し、短期間に数十万人の死亡者が発生する、そういう意味では、大規模災害と類似する面がございます。そうしたことも踏まえまして、医療関係者に対する補償につきまして、これはほかのものと同様でございますが、まず、その二分の一を国が負担するとともに、災害救助法に倣いまして、地方公共団体の財政力に応じて、国庫負担率のかさ上げを八割とか九割、そういう形で措置を講じていくこととしております。
また、これに加えまして、新型インフルエンザ等緊急事態に対処するために地方公共団体が支弁する費用に対して、国が必要な財政上の措置を講ずる規定も設けているところでございます。
○本村委員 次に、財政上の措置について、七十条に関してお伺いしたいと思います。
都道府県が安心して速やかに新型インフルエンザや新感染症を講じるために、財政上の措置が、先ほどの瓦れき問題じゃありませんが、非常に大事な部分だと思うんですけれども、第七十条において、国は、予防接種の実施そのほかインフルエンザ等緊急事態に対処するために地方公共団体が支弁する費用に対し、必要な財政上の措置を講ずるものとされているということです。
先ほど、予防接種に関して国の財政措置の御答弁がございましたが、地方の負担をより減らしていただくというのは、これは私も大臣にお願いしていきたいところでございますが、予防接種以外、例えば法律で想定されていないものなどに対しての負担が生じた場合、国としてどのような対応をされるのか、大臣にお伺いいたします。
○中川国務大臣 前半の答弁でもお答えをしたんですが、これは大規模災害と同じような枠組みの中で判断をしていくということだと思うんです。
そういう意味で、ワクチンだけじゃなくて、さまざまな費用がかかるとすれば、救助法の対応に準拠しながら中身を詰めていくということになっていきます。
○本村委員 ぜひとも、想定外の可能性もありますので、国として万全な対応をとれるように、大臣の御指導をよろしくお願いしたいと思っております。
次に、日本が新型インフルエンザの初発となった場合、WHOのパンデミックフェーズ4あたりになるんでしょうか、人から人への感染が確認された場合、どのような対策が国内では講じられるのか、御答弁をお願いいたします。
○中川国務大臣 世界で日本が発症地といいますか、新型インフルエンザが国内で発生をしたということを前提にしていきますと、厚生労働省を通じて、まず直ちにウイルスの情報や患者の状況の把握をしていくということ、それから適切な医療提供体制を確保していくということ、そして周囲への感染状況などのサーベイランスを実施していくということで、的確に対応していくということになっております。さらに、国内初発の都道府県に現地対策本部を設置しまして、国と地方自治体が一体となって初動対応をするということになっております。
基本的には、新型インフルエンザ等の最初の発生は海外であろうというふうに予測をされておりますけれども、国内で世界最初に発生した場合も十分に想定をして、WHO等の国際機関との連携を図っていくということで万全を期していきたいと思います。
○本村委員 今御答弁いただいたように、新型インフルエンザは、想定は海外発生ということでありまして、恐らく、衛生環境上、国内発生は低いんじゃないかということも想定はできるんですが、ぜひとも、何がどのように起こるかわかりませんので、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法案は、社会機能を維持する上の大変大きな役割を担っている法案だと私は思っておりますので、国内での問題に関しても十分捉まえていただきたいと思います。
次に、社会福祉施設等の休業に伴う代替措置についてお伺いをしたいと思います。
平成二十一年の新型インフルエンザ発生時には、諸般の事情で仕事を休めない親御さんが、例えば保育園施設の臨時休業のため子供を預けられないという事態が起こったと伺っております。新型インフルエンザ対策のために保育施設が臨時休業となった場合、代替措置などは考えられているのか、お伺いいたします。
○外山政府参考人 地域全体での保育施設等の臨時休業は、患者数が少ない段階で流行を遅延させること等を目的とする、公衆衛生上必要な措置であると考えております。
保育施設等の臨時休業を実施する場合、保護者が乳幼児等に付き添うために多数の者が仕事を休まなければならないことが見込まれることから、事業者が新型インフルエンザ発生に備えた業務継続計画を策定するに当たっては、このような欠勤も見込んでいただくよう促していきたいと考えております。
一方で、社会機能維持のために保育施設等の開所が必要となる場合もあるため、その場合は、感染予防に工夫を凝らした上で、一部保育施設の部分的な開所やファミリー・サポート・センター事業等の活用も検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
○本村委員 これは一例として保育園の話をさせてもらいましたが、例えば御両親が医療関係者であった場合など、さまざまなことが想定されますので、さまざまなことを想定しながら御対応をお願いしたいと思っております。
次に、先ほど自民党の委員の方からも御質問ありましたように、周知法に関しては大変これから大きな問題だと思いますので、大臣の強いリーダーシップをお願いしたいと思っていますが、ちょっと一点、本法案の中で、七十六条から七十八条で罰則規定が設けられておりますが、どちらかというと、私は罰則規定が弱いのかなという感じもしないではないんです。今回、罰則規定がほとんど設けられていないのはどうしてなのか、お伺いいたします。
○田河政府参考人 罰則についてのお尋ねでございます。
本法案におきまして、医療従事要請や、あるいは新型インフルエンザ等緊急事態宣言が行われた場合には、外出の自粛要請あるいは催し物の制限等の措置を講ずることとしております。ただし、こういった要請、指示に従わなかった場合につきましては、御指摘のように、罰則規定は置いておりません。
これは、例えば医療従事要請につきましては、強制的に業務を行わせたとしましても、適正な執行は期待できません。かえって適切な対策の実施に支障を及ぼしかねないおそれもございます。国民保護法も同様な仕組みとなっております。また、催し物の制限等につきましては、これは本当に病原性の高い新型インフルエンザでございます。要請または指示をした旨を公表することによって、一般の方がそのような催し物には行かないというふうに考えられます。そうしたことから、罰則は付しておりません。
いずれにしましても、新型インフルエンザ等対策は、適切に情報を提供し、そして説明し、自主的に御協力いただく、そうしたことも私ども期待しております。そういうことから、本法においては、罰則規定は必要最小限なものとしております。
○本村委員 最後に、大臣に質問させていただきます。
今法案に関しまして、国民の期待も大変強いところでありますし、全国知事会や、さらには日本医師会、経団連等々からも意見書等々が出ておりまして、これを受けた形で、平成二十一年の新型インフルエンザは大変毒性が低いものであったのですが、これからどのような新型インフルエンザが私たち国民にとって厄介なものであるかはわかりませんので、ぜひともこれから強いリーダーシップをお願いしたいと思っているんです。
今法案、科学的根拠が少し乏しいのかなという点は一点指摘させていただきたいんですが、それと、物資の流通や施設の使用など私権が制限をされている点、さらには、患者本人への対処を超えて緊急時の社会機能を狙った枠組みでありまして、これは本当に、いざ有事の際の、大変私たちも望んだ法案でありますので、皆さんで協力しながらいい法律をつくっていきたいと思うんです。この法案にかける大臣の意気込みを最後にお聞かせいただきたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘のように、危機対応ということと、それこそ大災害に匹敵するような社会に対する大きな影響がある、それを、最悪の状況というのを前提にしながら対応していく、そういう法案でありますので、しっかりと議論をしていくということだと思います。
中身について、これから行動計画をまとめていって、そこが具体的な指針になるわけですが、これについて、先ほど御指摘のあったように、専門家というのをしっかり組み込みながら、その知見に基づいてしっかりと説明できるような、そういう体制をつくっていくということが大切だと思っています。
それと同時に、やはり国民の理解の中で初めてこれが機能する、法律が生きるということでありますので、先ほどから御指摘のある訓練ということ、これもいろいろな工夫をしていかなきゃいけないと思うんですが、それと同時に、いろいろな啓蒙の活動を展開して、しっかりと国民としての一体感がこの問題に対して出るという状況にしていきたいというふうに思っております。
○本村委員 大臣から強い決意もお伺いいたしました。ぜひとも、国民の皆さんに周知徹底をいただきまして、防災担当大臣としてもでございますが、またさまざまな角度から、国の有事の際に、国民の財産そして生命の安全をしっかり大臣のリーダーシップで守っていただくことをお願いして、私の質問を終わりにします。
○荒井委員長 次に、磯谷香代子さん。
○磯谷委員 民主党の磯谷香代子です。
本日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。もう既にさまざまな観点からの質問がございましたので、重なる点もあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
三年前のあのインフルエンザについてですが、あのときは、私は本当に一般市民としてテレビをよく拝見していたんですけれども、当初、新型インフルエンザということが話題になって最初に取り上げられていたのは、非常に鳥インフルエンザの怖さですね。東南アジアの方で鳥インフルエンザがそろそろ出てきているので、それに対してどのような懸念があるかということが非常に取り上げられていましたので、恐怖心というのはやはり少なからずいろいろな国民の皆さんは持っていたんじゃないかと思うんです。
その三年前に、インフルエンザが発生すると言われて、最終的には、結果を見ると、豚由来であったので弱毒性でしたから、何となくイメージとして、あれ、騒いだ割には大したことなかったのかしらというような印象だけが残る結果になったと個人的には思っております。
そこで、まず最初に、三年前の豚由来の新型インフルエンザの対応についてなんですけれども、これはよかった点、悪かった点、さまざまあると思いますけれども、このときの教訓は今回の法案にどのように生かされているのか、お答えいただければと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほども少しございましたけれども、先生御指摘のように、三年前は弱毒性でございました。私どもが今想定をさせていただいて対策を講じるといったところは、強毒性、いわゆる死亡者もかなりの部分で出てくるであろうというふうに考えておるところでございます。
そういった面では、三年前の対策の中で、幾つか御指摘が現場の皆さん方からもございましたし、また自治体の皆さん方からもいただいてまいりました。そういったところの一つ一つを、この法案でどういった形で対策を盛り込ませていただいたかという問いかけでございます。
まず、水際対策につきましては、やはり病原性が、弱毒あるいは強毒といったところで、弱毒性であったわけでございます。したがって、そういったところからすると、その体制の整備に関して、水際対策が縮小をなかなか機動的にできていなかったのではないかという、総括会議報告書においても御指摘がございました。
それからあと、先ほども議論が出ておりましたけれども、学校等の休業要請、これを、規定がきちっとできていなかったということもございましたから、やはり実際に運用する自治体からすると、どこまで制限をしていいのかといったところも大変悩みながら、困惑しながら進めていたという状況もございました。そういった点では、その運用判断、これもきちっと的確かつ柔軟に行うということで、国が基本的な対処方針を示すという形で今回の法案でも盛り込ませていただいたところでございます。
そしてまた、現場の医療従事者の補償がないといったところもございましたので、それもきちっと、この補償制度も設けさせていただきましたし、自治体の費用負担なども、今回の法律で、きちっと法律上明記をさせていただいたというところでございます。
○磯谷委員 ありがとうございます。
今お話にありました水際対策についてなんですけれども、当時の水際対策という用語で思い出すのが、やはり機内検疫なんです。飛行機に乗客の方が乗って日本に着いたとき、座っている乗客の間を、防護服というんですか、全身、非常に物々しい格好をした人が歩いている映像とか写真で、あれもすごくインパクトがあったんですね。座っている人はみんな普通の格好をしているのに、入っていく人が完全に、あなたたち誰か病原菌を持っていても私にはうつさないでねというような、非常にインパクトがあったんです。
ただ、結果、その効果についてはやはりさまざまな意見があったと思われるわけですね。三年前に行った検疫ですと、患者の発見というのは十一名であった。その数から見ると、検疫の効果というのに対して、どのように判断するかというのはなかなか難しいことだったと思うわけです。これも、先ほどからございますが、結果を見ると、弱毒性だったので、インパクトに比べて実態が違ったというような印象を一般の人は多分相当持ったのではないかなと思うわけですね。
そこで、厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、当時の水際対策についてはやはりいろいろ批判的な意見などもあったわけですが、効果について、これは科学的な証拠というものはございますでしょうか。
○外山政府参考人 平成二十一年の新型インフルエンザに対する水際対策の科学的証拠といたしましては、発生後に行われました海外の研究によりまして、日本を含めた検疫の実施国において、国内感染をある程度の期間おくらせる効果があった可能性を示唆する結果が報告されております。
また、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議におきましては、水際対策は、海外での感染の広がりが限定的である場合等に侵入遅延に有効となる可能性が期待できる対策であるとの意見をいただいております。
こうした専門家の意見を踏まえまして、ウイルスの病原性や感染力、それから海外の状況等の情報を勘案いたしまして、合理的な範囲で水際対策を実施することが重要であると考えております。
○磯谷委員 ありがとうございます。
やはり重要なのは、ウイルスの病原性とか感染力、海外の状況の情報に基づいて実施する合理性は当然必要なんですけれども、その合理性が認められなくなった場合の措置の終了なり縮小というところの、なすか否かの判断、これは当然、先ほどからお話があるように大変難しいところだと思うんですが、事前に想定しておくことが必要かと思います。
次に、今度、事前の訓練についてお聞きできればと思います。
法案ですとか政府行動計画を定めることも大変重要なんですけれども、それを実際に、訓練などを通じて的確迅速に対策を実施したり検証することも必要だと思います。
これは、三年前に実際に発症した自治体の方がおっしゃっていたことですけれども、現場ではとても混乱した点があるというお話でした。タイムリーな情報交換が自治体と国の厚生労働省なりとできなくて、テレビで情報を市役所の方も見て、情報が自分のところには来ていないけれどもテレビでは発表されているというようなケースもあったということをおっしゃっていました。
本法案では訓練に関する条文というのを盛り込まれているわけですが、この新型インフルエンザ等の発生に備えた訓練をどのようなものを想定しているのかということと、また今後の実施予定について、お答えいただければと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほどもインドネシアの例が先生からもございましたけれども、やはり訓練をして、日ごろからの備えというものをきちっとやっておく必要がある。また、訓練をすることによって、行動計画の中にひょっとしたら何か抜け落ちがあるかもしれない、あるいはその欠陥が見えてくるかもしれないということで、日ごろの訓練と、そしてまた備えといったことはきちっとやっておく必要があるというふうに思います。
先生御指摘のように、今回私どもが考えておりますのは、まず政府の意思決定、対策本部を通じて政府の意思決定のあり方、そして指揮命令関係の訓練、これはきちっとまず政府内でも関係省庁を集めて対策を行っていく必要がある、訓練を行っていく必要があるというふうに思っております。
また、現場の訓練といたしましては、御指摘のように、検疫でありますとか積極的な疫学調査、そういったことも実施をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。また、帰国あるいは接触者外来の運営、現場の医療機関も含めて、そういったところの運営のあり方。あるいは集団予防接種。これが実際に、先ほど、一カ月半から今度はワクチン接種が先行的にできるといったところがありますけれども、全国民にといったところのシミュレーションをきちっとやっていく必要があるというふうに思います。
そういったところを組み合わせてしっかりと行う必要があるのではないかというふうに考えておりまして、政府においては、平成十八年度以降、四回にわたってこのインフルエンザの発生時を想定した訓練を実施してきておりました。また、地方公共団体においても行っているというふうには聞いておりますけれども、今後とも、国と地方を連携させていただいて、しっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
○磯谷委員 ありがとうございます。
次に、今度は国民への周知徹底ということについてお聞きできればと思います。
今回の法案に基づいた対策などを実行する場合に、国民の正確な理解とか納得がないとなかなかスムーズに対応できないのではないかと思っております。
特に、一般的なイメージとして、インフルエンザというのは毎年冬になるとあちこちで発症しているわけですね。ことしというか今シーズンについても、学級閉鎖もあちこちでありました。ただ、この冬に発症したインフルエンザというのは例えばソ連型であるとか香港型であるとかということで、今回想定している新型というのとは本質的に違うわけなんですけれども、どうしても一般的な受け取り方として、インフルエンザですよねというような、多少の誤解も入るのではないかと私としては思っています。
しかも、先ほども申し上げましたけれども、三年前に騒いだんだけれども、結果的にはそんなに大したことなかったよねという印象だけが残っている場合に、例年のインフルエンザと今回想定しているインフルエンザと何か違いがあるのかどうか。政府が大げさに言っただけなんじゃないかというような、誤解があって、印象を持つ人がいるのではないかと思うわけです。それが伝わらないと、予防についても対処についても甘くなってしまうのではないかという懸念があるんです。
園田政務官にお聞きしたいんですが、本法案では国民に対する普及啓発に関する規定も盛り込まれておりますが、国民に正しく理解してもらうため、どのような取り組みを行っていかれるのでしょうか。
○園田大臣政務官 先生御指摘のように、通常のインフルエンザ、季節型のインフルエンザと、この新型インフルエンザ、とりわけ強毒性といったところは、大変、国民の中にもまだまだ理解が進んでいないのではないかという心配はやはりございます。そういった点では、この新型インフルエンザの、強毒性のもたらす影響といったものは、しっかりとまず国民の皆さん方に正しく伝わるように努力をしていきたいというふうに思います。
だからこそ、こういった国会審議の中でも取り上げていただくことは大変重要なことではなかったかなというふうに私は考えておりまして、しかも、今回の法案においても、そういった国民の知識の普及であるとかあるいは理解の促進といったものも挙げさせていただいて、しっかりと政府としてもそれに取り組んでいく必要があるといったところを明確にさせていただいたところでございます。
したがって、まずわかりやすく伝えることが必要であろうというふうに思いますので、これが成立をさせていただいたら、すぐさま政府としては、まずわかりやすい、例えばリーフレットのようなもの、あるいはホームページも通じながら、わかりやすく国民の皆さん方に正しく知識を普及していくように、私どもとしてもしっかりと努力をしていきたいというふうに思っておりますので、また何かございましたら、先生からも御指摘をいただければというふうに思います。
○磯谷委員 ありがとうございます。
やはり、わかりやすくという点も本当に大事ですし、あと一つ、私が三年前のニュースなどを見ていてすごく感じたんですけれども、ニュースは時系列で進んでいくわけですね。毎日とか毎回、朝、昼、夜で多少現実の状況は変わるわけです。ニュースの内容自体も、毎回取り上げているんですけれども、少しずつ変わっていく。ただ、その変遷で、国民全員が全部のニュースを見ているわけではないわけですよ。すごく忙しくて、ニュース自体をほとんど見ていないという人もたくさんいるわけです。
例えば、被災地なんかで、放射性物質に関してですけれども、福島の方の若いお母さんたちに意見を聞く機会があって、皆さん、やはり育児も含めて忙しくて、ニュース自体を見ていない。そうすると、情報が友達同士のうわさ話だということをおっしゃっている方がいたんですね。
福島で放射性物質に関してというのは一般の国民よりも非常にナーバスであると思われるにもかかわらず、情報が友達同士だけという実態があるというのを聞いたときに、それを考えると、今回のインフルエンザに関しても、インフルエンザの情報をわざわざ求めてニュースを見る人というのは余りいないわけですよ。逆に言うと、細切れで、何か白衣を着た人が飛行機に乗り込んだというところだけを見た人もいれば、知らないうちに終息していたというぐらいの理解度の人もあり得るわけなんですね。
こういった理解が定着していないと、予防するとか、今度は自分が感染者として逆に蔓延させてしまう可能性というのを防ぐことが難しくなるんじゃないかというのを非常に懸念しています。
また、伝える側というのは、自分の中では時系列になっているものですから、きのうこう言った、きょうはこう言った、朝こう言った、きょうの夜はこうなるというのは自分の中では整理されているんですけれども、見ている人が全部見ているとは限らないと思います。
こういったニュース、先ほどの園田政務官のお話にあったわかりやすくということの、今度は、ではちゃんと伝わっているのかということを考えるのなら、小学生にもわかるような伝え方なども必要だと思うんですね。場合によってはコンサートが中止になるかもしれない、ショックも大きいですから。
そういった場合に、実際に時々小学生に聞いてみるとか、伝える人も自分の家族に聞いてみるとか、伝えたかったことが伝わっているのかということを常に検証しながら物事を伝えていかないと、こっちが思っていたように伝わらなかったということで、知らないうちに自分自身がウイルスを拡散させるような立場になることは防ぎたいと思いますので、情報の伝え方のみならず、伝わったかどうかということを、モニタリングと言うと大げさですけれども、おうちでお子さんに聞いていただくとか奥さんに聞いていただくとか、どのように今みんなが把握しているのかということを常に念頭に置いていただければと思います。
これを最後の感想といたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 民主党の森山浩行でございます。よろしくお願いします。
前回、三年前の新型インフルエンザの蔓延、このときには、備えができていないということに国民が大きな不安を抱かれたものだと思います。また、毒性の強い新型インフルエンザ、これのおそれがあるということから、この法案は大変重要であると考えておりますが、この法案、法律自体はいわゆる危機管理法制ということでありまして、国が国民の生命や財産を守る、そのために効果のある対策をとらなきゃいけないから、期限を設けて国民の権利を制限する、こういう可能性のあるものであります。
政府は必要以上に権利制限に踏み込んではいけない、これは当然のことでありますし、第五条にも、国民の自由と権利が尊重されることに鑑みというような文言も入っておるところでございます。権力の濫用とならないように、しっかりとそれぞれの現場の御意見を聞きながら、意見を踏まえた法整備をすることが大事であることは言うまでもありませんが、私たち、党の中でも議論をしてまいったところでありますけれども、このたびの法案提出に当たってさまざまな御意見を聞かれたことだと思います。この辺の経緯をお伺いしたいと思います。
○園田大臣政務官 ありがとうございます。
今般のこのインフルエンザ対策の法案の作成に当たりましては、やはりさまざまな御意見を頂戴しなければいけないというふうに思っておりました。
先生御指摘のように、やはり国民の皆さん方の理解も大変必要になってまいる法案のスキームでございますので、そういった点では、幅広く、そしてまた実施主体の方々からの御意見、意見交換というものをこの間行ってきたわけでございます。
具体的に申し上げますと、これまで、実務者レベルでの検討協議会、これを地方公共団体の皆さん方とは三回行ってきたわけでございます。それからあと、やはり日本医師会、あるいは病院団体や経団連など、非常に関係の深い、こういった新型インフルエンザの発生時に担っていただく担い手としては大変深い関係の各種団体の皆さん方とも意見交換を進めてまいりました。
それからあと、やはり学識経験者の皆さん方、強毒性か弱毒性かの判断、あるいはサーベイランス、海外で起きた場合、それを日本でいち早く察知して、そして対策に盛り込んでいくといったところのそういった危機管理の観点も含めて、学識経験者の皆さん方からも御意見を頂戴してきたというところでございます。
また、与党の皆さん方にも積極的にやっていただいていたというのは私も承知をいたしておりましたし、野党、自民党さんあるいは公明党さんの皆さん方の御協力も、今回、ずっとこれまでも行ってきたということでございますので、やはりそういった面では、幅広く、御熱心に御議論をいただきながら、そしてまた、私ども政府としても、関係の皆さん方と調整をさせていただきながら、この法案の作成に当たってきたつもりでございます。
○森山(浩)委員 幅広く御意見を伺ってきたということでありますけれども、法案を通していくに当たって、たくさんの人たちに、これで安心できる体制をつくれるんだよという部分、それと、これで必要以上に権利制限はないんだよという部分、この二点、両面の広報をぜひお願いいたしたいと思います。
この危機管理体制ということなんですけれども、危機管理の法制というのには、国民保護法制、あるいはテロ対策の特別措置法、災害対策の特別措置法などがございます。この法律、今回の法律で対象となります新感染症が発生をしました、そのときに発動するというときですけれども、例えば生物兵器によるテロあるいは攻撃かもしれないというような可能性も含めて、事態がどういうものであるか、これをしっかりと把握するまでの間というのは、今回の枠組み以外の皆さんにも御協力をいただかなければいけないのであろうと思います。
政府全体として司令塔を置くというときに、この法律を発動するんだけれども、ほかのところの人たちも一緒になって事態をきちんと把握するということが大事かと思いますが、この連携についてはどのように考えておられますでしょうか。
○園田大臣政務官 先生御指摘のように、初動体制の対応というのが大変重要になってくるというふうに思っております。したがって、この法案においては、インフルエンザ等の対策の初動対応をまず一元化させていただきました。
そして、関係省庁が緊密に連携をさせていただきながら、的確かつ迅速に対策を実施するため、この新型インフルエンザ等の発生時においては、まず、内閣総理大臣を本部長といたします対策本部を設置することになっております。これは全ての国務大臣が入っての形になりますので、当然、政府内では、ここでまずきちっと連携がとれるというふうに思っております。
そして、その政府対策本部は、新型インフルエンザ等対策の実施に関する重要事項等を明示する基本的対処方針を決定させていただきます。同時に、政府の対策本部長は、関係省庁、各府省庁やあるいは指定の行政機関に関する総合調整をここできちっと行うことになっておりますので、まず一元化をし、そして、御指摘のように、政府のリーダーシップをしっかりと発揮して、初動体制に万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
危機管理法制全体を一本にできないのかなというような思いもするところではあるんですけれども、今の法律のたてつけ上、さまざまな法律がある中で、政府としての対応を一元化するというところで当面の運用をきちんとしていただきたいと思いますし、事態を、原因を把握する、そこまでの間に被害が拡大するということがないように、ここはもうぜひ気をつけていただきたいと思います。
さて、前回、三年前の新型インフルエンザの発生時には、子供など、かかりやすい人のようなところにまずワクチンを持っていこう、こんな話があったかと思います。
今回の法律では、二十八条に、特定接種ということで、緊急事態発生後には、医療の提供の業務または国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者、また、新型インフルエンザ等対策の実施に携わる地方公務員に対して、臨時の予防接種を定めているということになりますけれども、この特定接種というのは、何人分を想定されているのか、また、順位はどのように決めるのかというようなことは、お考えがありますでしょうか。
○園田大臣政務官 これは、平成二十年九月十八日の関係省庁対策会議において、第一次素案が取りまとめをされております。これは、先行接種の対象者とそれから順位についての案を、ここの会議、案で示したところでございます。
それに基づきまして、今般の法案においては、まず政府の行動計画、そして、この行動計画において、登録の基準に関する事項を定めることとしております。具体的な内容については、今後、やはり幅広い関係者の皆さん方の御意見を頂戴しながら決めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
まず、この二十年当時の考え方が今般の検討の前提になっているというふうに考えておるところでございまして、今回の法律においては、他の危機管理法制をやはり参考にさせていただきたい。そして、それに基づいて、指定の公共機関制度を設けたという形になっています。
それから次に、登録事業者に対しましては、医療の提供であるとか、あるいは国民の生活や経済の安定に寄与する業務を継続的に実施する努力義務がここで課せられているところでございます。したがいまして、それに際しての登録事業者は、接種を実施する厚生労働大臣が必要と認める場合には、その社内の診療所の活用など、接種の円滑な実施の協力をしなければならないという枠組みがまずこの中で決められているところでございます。
今後、国民的な議論、幅広く専門家の皆さん方の御意見を頂戴しながら、その順位であるとか、あるいは、人数はそれによっておのずと決まってくるわけでございます、対象者が決まっていけば人数も決まっていくわけでございますけれども、そういったところも含めて検討をしていきたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 人数のところなんですが、何千何人というのは要らないんですけれども、例えば十万の単位なのか、百万の単位なのか、一千万ぐらいになるのか、こういう桁でいうと、どのぐらいのイメージを持っておられますか。
○田河政府参考人 現在、東南アジア等で発生しているウイルスをもとに、プレパンデミックワクチンの備蓄を進めております。年によっていろいろ株の種類を選定して、これはどういうウイルスがはやるかわからないということで、株の種類を違えて備蓄を進めておりますが、基本的には、最近、毎年一千万人分の備蓄をしている、そういう状況でございます。
○森山(浩)委員 一千万人分というようなことになると、かなり大きな数になります。例えば、お医者さんが特定接種をする。では、お医者さんの配偶者はどうなのか。濃厚に接触をしますから、家族はどうなのか、子供はどうなのか、こういうこともやはり検討していかなければならなくなるのではないかと思いますので、これは平成二十年の「進め方について」というのを下敷きにするということでございます。これを下敷きにしながら、一体どこまでが一千万に入るのかというようなことを前提に議論をしていただきたいと思います。これは、百万ですというのとは全然質が変わってくると思いますので、ぜひそこのところを踏まえながら検討いただきたいと思います。
さて、私は、超党派の水の議員連盟で、九府省をまたぐ水の問題、何人かいらっしゃるんですけれども、御一緒にさせていただいています。議員立法を目指して、一本化、一元化を目指しているわけなんですけれども、この中で、三年前、当時の新型インフルエンザがはやったときの新聞記事に気になるものがございます。二〇〇九年八月十五日読売新聞、下水処理水からタミフル成分、鳥飲み耐性化のおそれ、京大分析という記事なんです。
これは何かといいますと、先ほど、ワクチンが一千万人分とおっしゃいました。ワクチンの場合はまだいいんですが、薬を飲む、当時はタミフルをみんな飲みましょうということで、大量にみんな飲んだと思います。薬というのは、体の中に入って、そのまま一〇〇%、当然消化されるわけではない。そのままトイレから下水に流れていく、あるいは浄化槽に行くという話になっていくわけなんですが、では、このタミフルが自然界にあふれていくのではないか、こういうことを思い、調査をしたチームが京都大学にあるわけですね。
放流水、その中に、一リットル当たり数ナノグラム、ピーク時には三百ナノグラムというようなタミフルが検出をされた。そして、この処理水、処理場できちんとやっているところ、オゾン処理まですると九〇%以上が除去されるが、標準的な処理であれば四〇%ぐらいであるというようなことも書いてあります。
それに対しまして、日本が世界最大のタミフルの使用国であり、人の服用したタミフルの八〇%はそのまま体外に排出されると考えられる。この検出量は比較的高濃度であるということで、下水処理場から出た排水、この水を鳥インフルエンザに感染している鳥が飲んだときにタミフル耐性のウイルスができるのではないか、そのおそれがあるのではないか、こういう分析をされています。
この分析についてどのようにお考えでしょうか。
○外山政府参考人 季節性インフルエンザ流行期に、下水処理水のタミフル濃度が一リットル中に約三百ナノグラム、一ナノグラムは十億分の一グラムでございますけれども、約三百ナノグラムまで上昇したという研究報告については承知しております。
この濃度は極めて低く、動物がその水を飲んだとしても、体内での薬効作用は限定的であり、動物の体内でタミフルに耐性のあるウイルスが発生する可能性は低いと推測されると専門家も指摘しております。
なお、厚生労働省におきましては、季節性インフルエンザウイルスにつきまして、人に対してのタミフル耐性の調査を継続的に行っておりまして、耐性ウイルスが出現した場合には、医療機関に情報提供する等により適切に対応してまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
すぐにどうこうということはないということですが、しかし、一千万人分の人に対して薬を投与するというようなこともあるわけですから、これは、政府が発動するわけなので発動するときはわかるわけですね。発動するときに、同時に、例えば下水処理場あるいは管渠、浄化槽、こういう管理をしている人たちに対して、ここの部分の濃度については気をつけてくださいよというような形で言うこともできるのではないかと思います。
これは、今回の法律の中では、六条二の二のイというところで情報収集をするんだというふうに書いておりますので、ぜひ、薬を大量に使うんだというときには、その出口のところまでしっかりと見ていただきたいというふうに思います。やっていただけますか。
○外山政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、現段階では、動物界で耐性ができるほどの薬効作用を心配するほどでないということでございますけれども、可能性の話としてそういうことも念頭に置きながら、失敗しないようにちゃんとしていきたいと思っております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
本当に大きな感染ということになってきますと、それが与える自然への影響というようなところから、また人間にも影響が返ってくるということも考えられます。今回の法律、まずは権利の制限のところ、あるいは政府の行動の仕方というようなところをきっちり注意していただくこと、また、薬を大量に使った後の部分をしっかりと調査していただくことを要望して、今回の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。