衆議院 予算委員会第一分科会 会議録? 壁?分抜粋/赤澤委員、神山委員)
平成24年3月5日(月)
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○今井主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。
内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。
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○赤澤分科員 ありがとうございます。
きょうは、被災地の復興と全国防災についてお話を伺いたいと思います。
それで、予算委員会でも、中川大臣が防災担当大臣に御就任をされてから質問する機会がなかなかなかったものですから、きょうはそういう意味で私は大変楽しみにして指名をさせていただいて、分科会は大臣は一人しか指名できないというルールでありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
分科会ですので、地元のことを比較的多く聞いても許されるということですし、かなり地域の個別事情、国全体にかかわることでなくても積極的にいろいろ聞かせていただけるということで、まず伺っていきたいのは、実は当委員会で、先月の二十四日、いわゆる地方公聴会で千葉県に委員の代表が足を運びました。そのときにいろいろな意見を意見陳述人から聴取したわけですが、きょうは基本的に、その陳述人の中で浦安市長と香取市長が切々と訴えられた、具体的には千葉県の松崎秀樹浦安市長そして宇井成一香取市長の発言をちょっと引用させていただきながら、お話を進めていきたいというふうに思います。
それで、冒頭、末松復興担当副大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、松崎市長それから宇井市長、それぞれ浦安市長、香取市長ですけれども、異口同音で、東日本大震災復興交付金の対象となる基幹事業の五省四十事業の中には、彼の言葉なんですけれども、液状化対策を正面から受けているものが極めて少ないという受けとめだ、大変残念だと。その際に、あわせて、どうも、いわゆる被災三県、岩手、宮城、福島については大変熱心に国も関係者もマスコミも、大変だ大変だということで手を差し伸べてくれるけれども、ちょっと千葉県に対して冷たいのではないかというような感じもあわせておっしゃっていたところでありまして、その辺も含めて、副大臣として、この液状化対策を正面から受けとめているものが極めて少ないという発言について、どのようにお考えになりますか。
○末松副大臣 お答え申し上げます。
千葉県の液状化対策につきましては、政府として、まず、道路とか下水道、学校などの公共施設の液状化被害につきましては、災害復旧事業ということで、地方の負担なしにしっかりとした対応をしております。
とともに、二番目ですけれども、市街地における液状化被害への対応の重要性に鑑みて、新たに市街地液状化対策事業というものをこの四十事業の中にしっかり含めまして、創設いたしまして、それで、復興交付金の基幹事業としてしっかりやっているところでございます。
○赤澤分科員 ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおりで、私も事前勉強していったところ、市街地の液状化の対策事業が含まれていながら、二つの事業でそれをやっていながら、そういう発言があったので大変驚いたといいますか、これはよく話を聞いて帰らなきゃいけないなというふうに思ったところで、次第に、盛り込まれている二つの事業の使い勝手が悪いというような話が明らかになってくるわけで、きょうはその話を少しずつさせていただきたいんです。
二番目にお伺いをしたいのは、液状化、今副大臣がおっしゃった事業について事業採択を申請したところ、液状化対策は、これは予防的な措置であるので再検討してくれというようなことを言われて、引っ込めろ、端的に言うとそういうことのようでありますけれども、そういうことを言われたという発言が松崎市長からありました。
液状化対策については予防的な措置なので事業採択の優先度が低いというのが国の考え方なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○末松副大臣 液状化対策については、今四十事業の中に含めて、新たに創設した市街地の事業を含めてやっているわけなんですけれども、実は、優先順位といいますか、これ、いろいろと私ども、今一兆八千億円ほど、第三次補正と来年度の予算を含めてやっているわけですけれども、その中の優先順位ということで考えますと、例えば、自分の住まいを確保するために、この三県の中で、高台への防災集団移転事業とか、それに係る道路の費用とか、あるいは、漁港が全く破壊されて、そういった生活の糧を何とかやるために一生懸命に復旧等を、復興をやらなきゃいけない、そういった事業がどうしても優先されております。
一方、液状化の対策の予防は、実は、今までやっているのに加えて、新たに予防という意味で、例えば浦安市さんなんかは学校の校庭に、サンドパイルというんですか、砂のくいをどんどん打ち込んで、そこで地層を固めて安全策をとるとか、あるいは道路につきましては、やはり道路の下に地盤をさらにかたくするような、そういった補強の工事をやって、それを対策として抜本的に考えておられる。私もこれは非常に重要だと思うところなんです。
ですが、そういった液状化に必要な事業が要るところは今全国で二百三十六市町村ございまして、被災地の中でも、多分、数十市町村はそういったところが必要になってまいります。
そういったところのバランスを考えていきますと、やはり生活の糧あるいは衣食住、これの方がどうしても優先度が高くなるということは否めないところかなと思っております。
○赤澤分科員 丁寧な言い方でありましたけれども、おっしゃりたいことはよくわかるという感じだったかと思います。
端的に言って、住むところがなくなっている方たちを優先にせざるを得ない。予算の制約がある中で、事実上、液状化対策については、言い方はともかく、住む家はあるけれども対策がということであるので、若干優先度が低いところもやむを得ないかなというような感じをお持ちなんだろうと思いました。
私も理解しないでもないんですが、やはり大変切実な問題であるので、後ほど中川大臣に伺うところもあるんですけれども、例の対策規模ですね、集中復興期間の五年間に十九兆円の対策規模を決めた、十年で二十三兆円。その五年分をほぼ使い切っちゃっているという中で、どうやって実際、今後、予算を確保し、本当にこの切実な液状化についても予算を行き渡るようにしていくかというのは切実な問題ですので、今おっしゃったことは私も理解しないではないんですけれども、ぜひ一歩も二歩も踏み出して、しっかりと予算を確保して対策を打っていくということを副大臣にお願いしておきたい。
特に切実な声があったのは、液状化対策は浦安市にとっては災害復旧事業そのものなんだ、それをやってもらえないと浦安は復旧しないと言われているのと同じなんだ、こういうことだったので、再度、議事録に残る形でといいますか、末松副大臣、端的に、液状化対策事業を今後は力を入れますということについて、力強い御決意の表明をいただければ大変ありがたいと思います。
○末松副大臣 委員も今御理解を賜ったところでございますけれども、とにかく、これについては優先順位の話で、もし余裕があれば当然交付金にも入れたいところでございます。
また、それができないということであれば、例えば、防災事業費とか社会資本整備総合交付金ですか、こういったところも活用が検討できると思うんです。そういった意味で、我々としても、検討の課題ということで重く考えております。
○赤澤分科員 あわせて、副大臣、もう一つ。
これは宇井香取市長の御発言だったんです。効果促進事業は、採択された基幹事業とリンクしていないと認められないため、使い勝手が悪い、こういう言い方をされていました。この点、御認識はお持ちですか。
○末松副大臣 ここは我々もかなり柔軟に考えております。ですから、基幹事業との関連性を合理的に御説明いただければ、それは幅広い活用をしていきたいと思っておりますので、そこは、香取市さんの方でも、水道事業で、他市町村との連絡水道管という話が何か例示に出ていましたけれども、そういったところを個別に御相談いただいて、そこで我々きちんと調整ができるものと思っております。柔軟に考えております。
〔今井主査代理退席、主査着席〕
○赤澤分科員 ありがとうございます。まさに今、先取りしてといいますか、ちょっと時間の関係で、きょう時間があれば聞こうかと思っていて聞かないことにしていた水道事業の話ですね、これを聞くとなると、厚労大臣も厚労省も来ていただかなきゃいけなくなっちゃうので。
ということなのでありますが、今本当に先取りして言っていただいたとおり、非常に要望が強かったのはそこなんですね。これを見ると、東日本大震災復興交付金の対象になる例の五省四十事業の中に、下水道事業は入っているけれども水道事業は実は入っていない、こういうことなんです。そこについては、そもそも基幹事業として取り上げてもらっていないというところがあって、復旧しているものが道路の上を走っていたり非常に苦しい状態なのでということがあったので、その辺も個別の相談についてはぜひ前向きに受けてあげてほしいと思うんですね。その辺、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
そして、きょう、森ゆうこ文部科学副大臣にもお運びをいただいておりまして、私も日ごろから参議院の予算委員会で御雄姿を拝見させていただいておりまして、きょう質問させていただくことを大変楽しみにしてまいったわけであります。
市長たちからの要望というのは尽きることが本当にありませんで、しかも、どれも極めてごもっともであります。
これは本当に、問いにしてみると一つだけなのでありますけれども、非常に深刻だなと思ったのは、基幹事業の学校施設環境改善事業、これは公立学校の耐震化等ということでありますけれども、液状化対策が含まれていない。被災者の避難場所となっている学校の校庭などが液状化で非常に大きな被害を受けている。液状化でぼこぼこと砂も水も噴き上げて、非常にいびつで、そこに集まれといったって、足場が悪いようなところに避難場所ということは本当に勘弁してほしい、こういう御発言でありまして、ここはしっかりと液状化対策を含める方向で考えていただけないか、こういう問題なんですが、副大臣のお考えはいかがでしょうか。
○森副大臣 お答えいたします。
大変申しわけなく思うんですけれども、まず原則として、学校施設における校地の環境につきましては、その整備指針において、建物等を安全に設定できる地質及び地盤であることが重要であるというふうにされておりまして、適切な校地を確保すること、これは地方公共団体が確保する、これが原則でございます。
また、校舎につきましては、建築時に安全対策として深くくいを打ち込むなど、今回の大震災におきましても、液状化によって校舎が傾くなどの被害は報告を受けていないところでございます。
しかし、先生御指摘がございましたように、グラウンドについては、液状化によって校庭等に亀裂が生じるなどの被害が生じておりますけれども、その復旧につきましては国庫補助の対象としておりまして、地方公共団体から事業計画書が提出され次第、事務手続を始めておりまして、一部では査定前着工ということで既に事業が進んでいるところでございます。
問題の、今後、基幹事業として液状化対策を位置づけるということにつきましては、これまでの国と地方との役割分担などを踏まえまして、適切な費用や効果など、さまざまな検討課題があるというふうに考えておるところでございます。
今のところまだ検討しておらないところでございますけれども、また今後適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
○赤澤分科員 やはり財政的な制約があるものなので、先ほどの末松副大臣の御答弁も森副大臣の御答弁も似てくるところがあって、要は、住まい自体がなくなっている方の方がやはり先だろうということで、なかなか、住まいはあるけれども、少々傷んだ、傾いたということはちょっと後回しになっちゃうんだよという話がありましたし、森副大臣からも、校舎自体は安全なんだ、建物が崩れたり壁が崩落したり、そういうことが決して起きていない中で、校庭についてどういうふうにするかといったようなことだというので、私も一通りの御説明は理解はいたします。
ただ、大変切実な御要望でありましたので、実際、国庫補助の対象にはして査定等も進めている、災害復旧の対象にはなっているということのようでありますので、門戸を閉ざすことなく、しっかりと受けとめて、極力前向きに。
これも中川大臣に後ほど伺うことと同じなんですが、先ほどの集中復興期間の予算をもう使い切っているということをしっかり、対策規模を新たに確保する必要がどうしてもあると思うので、その中で、実際、予算の手当てができた場合には前向きに対応していっていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
それでは、吉田副大臣にもお運びをいただいておりますので、まず市街地液状化対策事業。これは私自身が必ずしも違いがよくわからなかったので、国交省出身なんですがぴんとこないところがあったんですけれども、非常に基本的なところから。議事録を残して読ませてあげたい関係者もいるものですから。
都市再生区画整理事業と都市防災推進事業、これの違いです。両方とも市街地液状化対策事業ということで極めて似ておるわけでありますけれども、これの違いは何かということを簡潔にお話しいただきたいと思います。
○吉田副大臣 赤澤先生の真摯なお話を聞かせていただきまして、私自身も、実は発災のときには衆議院の災害対策特別委員長をしておりまして、今お話ございましたこの現場、浦安、それから私は我孫子の方も寄らせていただきまして、それぞれ市長さんからお話を聞かせていただきました。そのとき、市長さんの方から、いやいや、被災者個人への支援策もこれはだめなんですよ、冒頭そういう話がございまして、その後、被災者生活再建支援制度ですとか住宅金融支援機構による災害復興住宅融資というのも、後づけですけれども、させていただくようになったということ、これはやはり、それぞれ超党派での活動の結果ではないかなと思っております。
そして今、先生の御質問でございますけれども、地盤の液状化により被災した市街地、一度液状化されたところの地盤改良工事による液状化対策を実施するための、制度としてこの二種類があるということをまず御理解いただきまして、一つ目は、都市防災推進事業という形で、これは液状化対策を単独で行う方法でございます。そして、もう一つのやり方は、特に液状化の被害が大きい、また敷地の境界、基準点等が著しく混乱している場合においては、都市再生区画整理事業として、土地の区画形質の整備とあわせて液状化対策を一体的に行う。これが二つの種類の液状化対策であるということで御理解をお願いしたいと思います。
○赤澤分科員 ということで、実は、私がちょっとまだ勉強が足りていなかったので必ずしも通告をしておらないんですが、副大臣が御案内であれば教えていただきたかったのは、別途、地籍整備型土地区画整理事業。
地震の結果、従来、この人の所有地はこういう境界でというような話になっていたものが、事実上かなりずれちゃっている、数十センチとかそういうくらいにずれちゃっている場合に、それを少し動かし直して、公図上の敷地境界と実際が合うようにしてというようなことをある視点では事業として考えておられるようにも、それと今の話というのはリンクはしているんでしょうか。よろしくお願いします。
○吉田副大臣 これは平成二十年度から施行がされておりまして、今先生御指摘の部分というのは、既存の制度の中で対応方ができるような土地区画整理事業を実施いたしております。
○赤澤分科員 ということで、この際、所有者にとっては大変大きな問題である敷地の境界をきちっと画定した上で、土地区画整理で大規模に市街地液状化対策を進めていくというのが都市再生区画整理事業であって、比較的個別の事業として小規模にやるのが都市防災推進事業であるが、事業の中身自体は市街地液状化対策事業ということでどれも基本的に同じである、そういう理解で正しいということで、副大臣もうなずいておられますので、そのとおり理解をさせていただきました。
その上で、冒頭御紹介をした松崎市長の発言、端的に言うと、液状化対策を正面から受けとめているものは極めて少ないと。二つ事業が入っているだけでも私は立派なものだと思いましたし、なぜそういうことをおっしゃるんだということを詳しく聞いたわけであります。
やはり出てきたことは、一つはお金の問題ですね。どうも、負担を大分、民間家屋の所有者の負担を減らすといいながら一世帯百万円を超える負担は到底現実的ではないというのが市長の発言だったんですが、これについて副大臣はどのように受けとめておられますか。
○吉田副大臣 私も、松崎市長から、当時そういうふうなお話がございました。あの地域の形態を見ると、市長さんの方からある地域を指さされまして、いや、この地域も、ここは明治時代でと、ここはそういうことがなくてと、事細かくおっしゃられていまして、地盤というもの、液状化というもの、これについては本当になかなか厳しい部分、難しい部分があるなと思っております。
今申し上げましたように、現在、こういう被災地においての液状化対策の具体的な工法等については、申しわけございませんが、まだ検討が進められているというところでございまして、一戸当たりの負担額の妥当性につきましては、現時点ではお答えすることは困難だと存じております。これはもちろん、住まわれている方々の地域の土地の値段であったり、また、その方々の世代であったり、将来というふうなことも含まれてくるかと思います。
今申し上げましたように、いずれにいたしましても、被災者の個人負担につきましては、官民一体工事による宅地部分の対策工事の簡素化や共同発注によるスケールメリット等により、可能な限り負担が軽減されるような努力をしていかなければならない、してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○赤澤分科員 そのとおりなのでありますが、私がいろいろと聞いてみる範囲では、新築する場合に、敷地の液状化対策を施すには市長御希望の百万ぐらいで何とかなるんだけれども、既に建っちゃった家について手を加えようとすると、場合によってはその十倍ぐらい金がかかりかねぬというような話があったわけですが、その辺の認識は副大臣のお持ちのものと大きく違っていますか。
○吉田副大臣 私の認識としましては、先ほど申し上げましたように、浦安の皆さんはこれからまだ住もうと。ほかの地域におかれると、それだけお金を出すんだったらもう引っ越しちゃうと。それは、周りの土地の値段もあるでしょうし、家族構成のこともあると思います。
ただ、今おっしゃられましたように、それぞれ個々人の状況も違う部分がありますので、一括してという形ではなく、今申し上げておりますように、被災者の個人負担につきましては、もちろん地盤の状況、工法、安全性の要求水準等によって、これは本当に相当変わってくると存じております。
ですから、一戸当たりの具体的な費用についてお答えするというのは現時点では困難と考えておりますが、国土交通省の方で試算した一例では、個人の宅地で単独で液状化対策を施した場合と比較して、街区単位で、先ほども言いました大きな形で、公共施設、例えば道路等と一体的に対策を施した場合、個人負担は半額程度に軽減されるケースも想定されるところでございますので、具体的な金額についてはこれからということで御理解をいただければと思います。
○赤澤分科員 かなり慎重な御発言をされるので、きっと大事なポイントなんだろうなと思うんですが、私の聞くところでは、半分ぐらいに軽減されるが、五百万、こういうことなんですね。だから、ただ単に単独で、公共施設とあわせてやらない場合、一千万ぐらい。更地で、これから建てる前にやるときは百万。百万なら何とかなるんだけれども一千万かかるとかなわぬと言ったら、いや、負担を軽減しますからといって今回の二事業をやっても、やはり五百万ぐらいにしかならない。個人に五百万出せというのはきついよねということなんだと思うんです。そういうことで、問題点はお互いわかっているところだと思いますので、その辺、具体的な数字はなかなかおっしゃれないようでありますけれども、技術開発も含めて大変切実な問題だ。
というのは、今から中川大臣にもお話を伺いますが、共通の認識は、国交省の専門家にも聞きました、首都直下地震が起きたら浦安は再液状化のおそれがあると。これは全然否定できないばかりか、より強い揺れに長くやられたらまたやるということなんですよ。そうすると、例えば、今回、一回決断して五百万出すことに決めて、大事なマイホームだからとやられた方がまた同じ金を使わなきゃいけなくなるということも十分あり得ることなので、そこは本当に真剣に、ここ数年で国を挙げて取り組んでいただく価値は大いにあると私は思っておりますので、その点、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。
ということで、いよいよ中川大臣にトリをお願いするわけでありますけれども、先ほどの話に結局戻るんですね。
予算委員会で、当時防災を担当しておられた、だから、被災地の復旧復興と全国防災をあわせて持っていた平野大臣に私は質問するたびにずっと、あなた、もう手が回らないでしょう、一生懸命やっているのはわかるけれどもと。彼は否定していましたけれども、正直、回っていなかったんだと思いますよ。
ただ、乱にあって乱を忘れずということで、これから来る首都直下地震と東海、東南海、南海の地震を合わせると、これは大臣も当然基礎知識としてお持ちだと思いますが、物的被害は間違いなく東日本大震災の十倍近くですね。人的被害も軽く倍ぐらいはいくだろうということが言われている中なんです。
なのに、十九兆円のうち、全国防災は大体一・三兆という割り振りだったかと思います、阪神・淡路大震災のときの例に倣ったということのようですが。それが結局、もう尽きちゃっているんです。十九兆は、あと残り一兆、全然ない。どうするの。五年の集中復興期間のうち、前の二年で使っちゃったよ、残り三年何もしないのということについては、必ず答えを出していかなきゃいけない。
平野大臣も、対策規模はわかっています、やらなきゃいけないのはわかっていますから、ちゃんと取り組んで答えを出しますからということはおっしゃったんだけれども、いつですかということを私がしつこく聞くと、いつかはまだ申し上げられないと。
ようやく専任の中川大臣が来られた。辣腕で、予算をしっかり確保されると私は期待していますし、必ずそうしていただかないとこれは困るわけでありますけれども、その対策規模、十九兆円も使い切ったときに、残り三年間。大体いつごろまでにその辺の対策規模というものをお示しになるつもりか、お伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 非常に大事なポイントを質問していただいて、ありがとうございます。
私も、過去にさかのぼってといいますか、これまでの対応というのを見てきたんですけれども、大体、首都直下型にしても、あるいは南海トラフにしても、どういう予算規模になっていくのかということについては、従来から具体的な投資規模を出していないんですね。私も就任しまして、そこはやはり出すべきだろうと。その上で、しっかりとした財政を前提にしながらの議論というのが必要なんだろう。これは、もちろん、税で賄っていく部分と、都市開発や何かに伴った形で民間が賄っていく部分と、それぞれまた場合分けもした上での話だというふうに思うんですが、そういう問題意識を持ちました。
ということで、これから、首都直下型あるいは南海トラフについて、三月中にも、いろいろな形での中間報告とか、それから具体的な震源の域の問題、あるいはその強さ、津波の高さ等々、発表していくことになっていきます。その中で、それぞれが、地方自治体も含めて、具体的な計画を整合性を持たせてつくっていくという段階に入っていきますので、先ほど御指摘をいただいたようなことも頭に置きながら対応していきたいというふうに思います。
○赤澤分科員 それで、せっかくの機会なので、認識をそろえておきたいので御紹介したいのは、予算委員会でもお話をしました。当時、大臣でおられなくて、座っておられなかったと思うので。
要は、過去二千年間に、三陸沖でマグニチュード八クラスの地震というのは四回しか起きていないんですね。例外なく、十年以内、前後十年以内です、関東大震災が前のこともありましたけれども、関東大震災を伴っています。
ということは、最悪に備えよというのを危機管理の要諦と考えると、今後十年以内に来るという前提で行動しておかないと、完全に備えたことにならないんですね。これは想定外と言えぬ、完全に想定されているということだと思います。
三連動もあり得る、富士山の噴火もあり得るぐらいのことをきちっと本当に考えないといけないということをぜひやはり共通認識で持たせていただいて、その上で一つ御紹介をしておくと、例えば京都大学の藤井教授なんかは、当初おっしゃっていたのは事前復興という考え方。これは、自民党が今唱え始めておりますけれども。先ほどの首都直下と東海、東南海、南海を合わせると二百兆円ぐらいになるんですが、それに対して、起きるのを漫然と待っていれば二百兆円の財源をどうせ用意することになる。それだけの被害が出て、復旧しなきゃいかぬ。だけれども、例えば二十兆円、三十兆円、四十兆円、それぐらいの規模の公共事業をきちっと施して耐震化とかを全力でやっておけば、被害が半分になる。トータルとしては用意する財源が大分少なくて済むじゃないか。だから、事が起きてから巨額の財源を捻出して復旧復興する事後復興の考えじゃなくて、ぜひ事前復興でいきましょうよと。
加えて、大臣にぜひお願いをしたいのは、この十年ですよ、地震が起きてから耐震化しても意味がないので。この十年に頻発するであろう巨大地震なので、ここはふだん国が出さないようなところまで踏み込んで、場合によっては、民間企業の社屋や工場の耐震化に真水を入れていくぐらいのことも考える。それぐらいの、ふだんやらないことを一歩も二歩も踏み込んで考え抜くというのが大臣に本当に天から与えられた使命だと私は思っておりますので、そこは議論させていただきながら結果を出していかなきゃいけない。
その意味で、最後に一つだけお伺いしますが、事前復興の考え方で、今やっている復旧復興と同じような基本法をつくる、庁を決める、担当の組織、大臣も置く。それも、できれば、全国防災と一緒というより、専任の大臣ぐらい。そして、国土強靱化計画。そういった、今起きてしまったことの復旧復興をやっているのと同じぐらいの考え方で、しっかり取り組んでいかなきゃいけない。その取り組み体制、やり方について御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○中川国務大臣 大震災で、一つ、改めて防災計画をつくっていく基本的な考え方として、減災ということがあったんだと思うんですね。これまで、津波が来て、それが越えてこないようにと高い堤防をつくり続けたということだけじゃなくて、それが越えてきたときに、都市計画の中で、あるいはソフト事業の中で、どういうふうにそれに対応していくか、そういうことも含めた形の見直しだと思うんです。その上で、どれだけ誰がコストをかけるか、どこにかけるかということがこれからの議論になってくるというふうに思います。
御指摘のように、そうした投資が無駄にならない形で、そして未来に生きるという形で、トータルで議論をしていくということが大切だと思います。頑張っていきたいと思います。
○赤澤分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
終わります。
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○武正主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。
次に、神山洋介君。
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○神山分科員 神山洋介でございます。
中川大臣、大変公務がお忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。心より感謝を申し上げます。
昨今、国会というところがちまたからどう見られているかというと、やはり非常に生産性の低い場所であるというふうに見られていると私は思っております。ただ、本来やはりそうであってはいけないという思いのもとに、きょうは三十分の時間をいただきましたので、できるだけ生産性の高い議論を大上段からさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、大臣にお伺いをさせていただきたいのは、災害対策ということを考えたときに、立法府と行政府と、どういう役割分担、責任の分担になっているか、そこの議論であります。
震災が昨年の三月十一日にありました。あと間もなく、一週間弱すると一年ということになります。一万五千人を超える方々が亡くなり、いまだに三千人を超える方々が行方不明でいらっしゃる。この多くの犠牲に対して報いるために、私自身は、この立法府の一員としてどんな責任を果たすべきなのかということを実は考えてまいりました。
そもそも私は、八年ぐらい前からになりますが、災害という分野に対して、もともと、私が生まれ育った神奈川県西部というところは非常に地震災害のリスクが高い場所でもありますので、ずっと関心を持ち続けて、研究もしてきました。その中で、やはりここの部分は、非常に突き詰めて考えていかなければいけない部分なんじゃないかなというふうに思っております。
震災があって、特にこの一年間、いろいろなことを考えると、私がこの二年半でやってきた、例えば災害対策特別委員会の中でいろいろな議論をしてきた。よくよく思い出してみますと、大きな災害、小さな災害、いろいろありますが、震災があった後に、例えば災害対策特別委員会、予算委員会、いろいろな場で、この災害についてということで議論が非常に高まる。しかし、災害からしばらく落ちついてしまうと、議論がまた下火になるということが私は気になってきました。むしろ逆じゃないかなというふうに思うわけです。
本来は、災害が起こった後に、その災害から得られた教訓をきちっと固めて、その課題を解決するために立法府がさまざまな制度なり法律を整える、その上で、いざ次に災害があったときに、行政府がそこで、整備をされた法制をもとにオペレーションを円滑に行う、これが本来あるべき道なんじゃないかなというふうに思うわけです。
その点で考えたときに、大臣、立法府と行政府の責任のあり方、特に、先輩議員でもいらっしゃいます中川大臣に、政治が災害対策に対して果たさなければいけない責任というところについてどうお考えか、まずはお聞かせをいただければと思います。
○中川国務大臣 今回の大震災があったときも、私自身は立法府のサイドにおりまして、行政府の対応を見てきた、あるいはまた、行政府に対してさまざまな意見具申をして対応してきたんですけれども、振り返ってみると、本来なら、阪神・淡路の大震災のときの教訓というのがもっと生かされてよかったんだろうというふうに改めて今思います。
やはり大事なのは、そういう意味からいけば、今回の大震災について徹底的に検証するということだと思うんです。危機対応といいますか、そのときそのときの危機対応というのは、行政府が、それこそ総理大臣を中心に、ある程度の権限というのを任されて、それで俊敏にやらなきゃいけないことに対応していくということだと思うんですが、その後のいわゆる復旧から復興フェーズまでの対応という中には、やはり立法府が、現地の状況それから具体的な現実を踏まえた対応等々含めて、しっかり行政府に対して話を持っていって、その中で具体的な対応を求めていくというプロセスというのは、非常に大きな役割があるんだというふうに私は思います。
現在、そういう形で実は国会の議論も進んでおりますし、それから、法律を新たにつくり上げていくときも、そうした現場の話あるいは現実の対応を踏まえた議論というのがやはり立法府からしっかり出てくるということ、これは、私が行政府の中にいて改めて感じるところでありまして、そこのところは一つ大事な点かなというふうに思います。
それから、もう一つあるとすれば、さっきまさに御指摘のとおり、災害があったからそれで慌てるということじゃなくて、ふだんからそうしたネットワークと、それからお互いの役割分担、そして、その中で事が起こったときに絶えずそれがしっかりと動く、働くというシステムをつくっていくということ、これが大事だと思うんですね。
その議論というのは、やはり立法府を中心にしてそれぞれの、今持っておっていただいているワーキングチームであるとか研究会であるとか、そんな中からネットワークをつくっていただいて、それぞれの団体なりあるいは地方自治体なりということの中で組み合わせたシステムというか、そういうものを立案していただくということ、これは、ふだんの立法府の活動の中で、私はしっかり期待をしていきたいところだというふうに思っております。
○神山分科員 ありがとうございます。
実は、ちょうど一年前になるんですが、私は昨年の二月二十五日にもこの予算委員会の第一分科会の質問に立たせていただいて、災害対策についての議論をさせていただきました。当時は、いろいろ議論をさせていただきたいお話はあったんですが、地元でその前年にあった大きな台風の水害に関連をして、県境をまたいだ場合にはどうだとか、そういった議論をさせていただいたわけです。実は、その議論をこの場でした二週間後に震災がありました。
それから一年間、時々思うのは、昨年この場で議論をしたときに、確かに、津波の話はしたかといえば、私はここでは申し上げなくて、ここで議論をしたからといって、犠牲者の方の数が少なくなり得たかといえば、もしかしたらそうじゃないのかもしれないということは思いつつも、では、立法府として事前に果たし得る責任を本当に果たすことができていたのかというと、自責の念とまでは申し上げませんが、やはり、後悔の念だったり、ああしておけばよかったという思いがあったわけです。
今、大臣からもお話がありましたが、まさに今回の震災の教訓を、前回の阪神・淡路大震災もそうですが、どれだけ生かすことができるかということは、極めて大事な立法府としての責任だと思っております。
恐らく今、政府内でも災害対策法制のあり方に関する研究会という形で、今後の災害対策関連の法制のあり方について、どういう形で見直しをしていくかという議論が既に始まっていると伺っておりますし、幾つか論点も提示をされているというふうに伺っております。私も途中段階の資料を見せていただきました。よく練られたものになりつつあるなとは思っています。
そこの中にも一つ出てくるキーワードであり、また、今回の震災でありこれまでの震災を念頭に置いたときに、私は、これからの我が国の災害対策の法制度に対して、大きな思想的な転換を加えなきゃいけない部分というのはいろいろあるんじゃないかなというふうに思っています。そのうちの一つが、行政の機能ということに関してなんです。
我が国の災害対策の法制は、災害対策基本法という大きなものがぼんとあって、最終的には地域防災計画というのがそれぞれの自治体ごとにあってという仕立てになっているわけです。私が見ているのは、地元の自治体の地域防災計画だったり全体の災害対策の災害対策基本法だったりという骨格的な部分だけですが、そのどれを見ても、いざ災害があったときにも基本的には行政は存続をする、これが前提で貫かれているというふうに私は思っています。
もちろん、存続をしなければいけませんし、存続できるように事前に準備をしておかなきゃいけない、これは言うまでもないと思います。
ただし、今回の大震災及び原発の災害まで含めると、いろいろ想定を超えた事実があった。そのことを考えたときに、行政の機能が存続しないということもきちんと想定をするということが、私は必要なんじゃないかなというふうに考えております。
個別の災害対策基本法だったり地域地域の地域防災計画の中に具体的に何と入れるかというのは、これはいろいろな検討があってしかるべきだと思います。政治の意思として、その大きなコンセプトを改めるんだ、場合によってはそこに上乗せをしていくんだという意思は、今回の震災を踏まえた教訓としてきちっと中に入れ込む必要があるんじゃないかと私は考えているわけですが、この点、大臣、いかがお考えか、御見解をいただければと思います。
○中川国務大臣 今、さまざまなレベルで、大震災の検証をベースに検討を行ってきています。その中心にあるのが、先ほどお話があったように防災対策推進検討会議なんです。
この中にもまさに、先ほど御指摘をいただいたような前提で対策をつくっていかなければならない、言いかえれば、それぞれ地方自治体の行政機能が完全に麻痺してしまう、あるいは直接被害に遭って消えてしまうというふうなことが今回もあった、そこに対しての広域的な体制というのをどうつくっていくか、それぞれ国が何をしなきゃいけないか、あるいは、県レベルあるいはまた広域レベルでどういう仕組みをつくっておかなきゃいけないかというふうなこと、こんなこともしっかり問題意識として提起をされておりまして、検討していきたいというふうに思っております。
近々に中間報告を出すという予定でありますが、大体夏ごろには最終的に、そうしたことも含めて、国、地方公共団体、あるいはコミュニティーであるとか事業者であるとか、それぞれが何をしてどういう連携の中に対応していくかということ、しっかり最終報告として出していきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
行政機能の存続、もしくは喪失をするということ、これはやはり非常に明確にするべきじゃないかなと思っておりまして、これはよく言われる話ですが、発災から特に三日とかそのぐらいのところというのは、いわゆる自助努力で何とか生き抜いていかなきゃいけないというふうに言われるわけです。裏を返すと、行政機能が一瞬、もしくは三日間かもしれませんが、そこはやはり麻痺をするということが既に明らかになっていて、あらゆる災害で共通をしていることであると。
だとすると、文言上ではありますけれども、そこをきちっとやはり、このタイミング、このタームについてはとまるんだ、とまるリスクがあるんだ、少なくとも、今までどおりのフルパワーで動けるわけじゃないんだということを明確にしておくということは、私は非常に大事なことではないかなというふうに思っております。
ぜひ、その中間報告を目がけて、そういった部分での指導力をいただけたらありがたいというふうに思っております。
同じく、今回の震災を受けて、今後にどう生かしていくのかということを考えたときに、もう一つ大事なポイントは、これは必ずしも地震だけの話ではない、原発の話も含めてかもしれませんが、今回の東日本大震災が複合災害であった点だと思います。
あれだけの大きな地震とあれだけの津波があったということだけでも、この国始まって以来という対応が必要であるにもかかわらず、そこに加えてさらに原発の事故まで発生をしてしまった。この二つの事故に同時並行的に対応するということに関して、さまざまな御批判もあり、これからの多くの課題があったということは、これは改めて議論をするまでもないのかなと思っております。
では、この複合災害に対してどう対応していくのかということを、これから非常に急ピッチで考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。
災害対策法制のあり方に関する研究会というところで、こういう論点で今議論をしていますというペーパーを読ませていただきました。一つ残念だったのは、その中に、複合災害に対してどういう形でアプローチしていくのかということが、まあ行間から読み取るぐらいはできるわけですが、明確に書かれてはいなかった。
何で書いていないのかなということを考えると、それは、そこを考えていないということでは恐らくなくて、それを所管している、具体的に言えば、原発の事故に関して言えば経産省が所管をしていて、原子力災害対策特別措置法の方でいろいろ書いてある。中央防災会議の方から検討されている、今回の震災の教訓を受けての今後の検討というところは、どちらかというと、自然災害についての検討というアプローチから入ってきている。これはいわゆる縦割りに近い話であって、本来は、そこをもう少しミックスして考える必要があるんじゃないのかなというふうに私は思うわけです。
確かに、もとの原因は、これは法律的に言えば、片や原発、片や自然災害たる地震というものが違うわけですが、では、それぞれの現場現場で何をしなきゃいけないか。避難をする、そこで生活をする、その後復旧をするというところも含めて、これはいろいろな共通点もあると思いますし、現実の、官邸含めオペレーションという意味でいえば、複合災害である限りは、複数の事態に対して同時に対処をしていくということがこれからもいろいろ想像されるわけです。
今回は地震と原発ではありましたが、考えようによっては、それはパンデミックとの絡みもあるかもしれませんし、あってはなりませんが、戦争という形での何らかの絡みもあるかもしれませんし、いろいろな複合性というものはこれからも想像し得るということを考えると、この複合性に対して、これからどういう形で一体的に対処するのかということは、実は、今までの災害対策法制のそれぞれの分野ごとにきれいに分かれていた中の、若干落ちている部分じゃないかというふうに私は考えているわけです。
もちろん、中川大臣の所管は重々承知の上でお聞きをしているわけですが、ぜひそういった横断的な取り組みを強めていくということも含めて、この分野での震災からの教訓を生かしていくんだというところで、お力添え、または力をぜひ中川大臣に発揮していただきたいというふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。
○中川国務大臣 これも大変重要な点を御指摘いただいたというふうに思っております。ありがとうございます。
御指摘のとおり、これまでそうした観点がなかった、必ずしも対応が十分でないということ、これは事実だったというふうに思います。
その上で、三点ぐらいのことになるんだと思うんですが、改めて視点を入れていきたいというふうに思います。
いわゆる災害の対応、全体として複合的なものをどうマネージしていくかということ、これについても議論が必要だと思います。それから次に、主体間の連携、これも先ほどのお話のように、縦割りということじゃなくて、この連携をどうしていくかということ、これがもう一つ。それから三番目には、これは一つの災害でも、限られた人的、物的資源ということになるわけですから、それが複合的に来たときに、それをどのように配分、配置をしていくか、こんなことを想定して、提起して議論をするということだと思っております。
特に、防災対策推進検討会議、ここでしっかりとした項目として入れ込んで、そしてしっかり対応をしていく、いわゆる基本計画の中にも記載する方向で検討していきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
この点、非常に大事なポイントでありながら、今までの我が国の法律制度、災害対策全体を考えたときには非常に弱かった部分であり、であるがゆえに、今回のもろもろのオペレーションの中にもいろいろなそごが出てしまったのではないかなと思います。
一朝一夕にこの部分が強くなるというふうにはならないかもしれませんが、少なくとも、今回の教訓を最大限生かしていくということを考えたときには、ここだけはやはりどうしてもスピーディーにやっていかなきゃいけないところだと思っておりますので、大臣、ぜひそこはよろしくお願いを申し上げます。
災害対策に関連をして、いろいろな形で、コンセプトを改めたりレベルアップをさせなきゃいけないというふうに私は考えていて、その点に関連をしてこれまで幾つか議論をさせていただきました。
もう一点、今既に大臣からも主体というお話をいただきましたが、この主体というところも極めて大事な分野だと私は思っています。災害があって、誰が主体となって対応するのかということ。これは先ほども例に出しましたが、それぞれの自治体ごとにある地域防災計画というものを頭から後ろまで全部、これはこんな分厚いものですが、読むとよくわかるわけですが、その中に書いてある主語はほぼ、一〇〇%とまでは言いませんが、九割以上、行政だと思います。
もちろん、これは行政が、いざというときにどうやって、災害に対してコントロールをしてマネジメントするのかということを規定した文書ですから、主語が行政になる率が高くなるのは当然だとは思うわけですが、一方で、現実に今回の震災が発生をして、数日間の緊急対処の状況があって、その後の応急対処、復旧というフェーズがあってという一連の流れを思い浮かべたときに、震災対応で動いていた主体は、では本当に行政ばかりだったかというと、実は全然違っていた部分があったわけです。
特に当初、水が届かないとか薬がないとかお医者さんがいないという個別のものに対しては、かなりの部分で、プライベートセクターの方々が実際に大きな機能を果たしてくれたことは間違いないと思うんですね。
そう考えたときに、必ずしも、計画に乗っけた、行政の上意下達の構造の中にプライベートセクターを全部組み込むべきかといえば、それは違う部分があると思うんですが、こういうもろもろの対処をするときには、行政主体だけではなくて、非常に主体が多様化をしているんだ、この多様化している主体をきちっと連携を深めていくんだということ、これは先ほど大臣もおっしゃっていただきましたけれども、これからの災害対策にとってはすごく大事なポイントだと思うんです。
きょうは防災担当大臣ということで御答弁をお願いしますというふうに申し上げたわけですが、もう一つ、新しい公共の御担当でも大臣はいらっしゃるわけです。
御存じのとおり、阪神・淡路大震災及びあの前後のさまざまな災害のときに、多くの方々が災害ボランティアで現地に入って、それが実は、公を担う私という、新しいこれからの社会のあり方の出発点であったんじゃないかという議論が今でもなされているということを考えると、今回の震災を踏まえて、地域からそれぞれの社会を支える、私でありながら公を支えるというこの社会のあり方の出発点として、こういったプライベートセクターの方々も含めてきちっと位置づけて連携を強化していくという取り組み、これは災害対策という側面でも、一方で新しい公共という側面においても、どちらの意味においても改めて大きな意味を持つと私は思っておりますので、この点について、大臣の御決意をぜひお伺いさせていただければと思います。
○中川国務大臣 実は、きのう静岡に入りまして、ちょうど、静岡市を中心にしまして全国からボランティアの団体が集まってきて、図上訓練というのをやっておられました。
そこでも申し上げたんですが、ネットワークというのがしっかり機能して、そして、いざというときに、いわゆる全国ベースでそうした活動が進むという環境をつくっていく、あるいはまた、そのために新たに仕組みをつくらなきゃいけないとすればどういうものが必要かということ、こんなことをもっともっと掘り下げて、それこそこうした団体と連携をしながらつくり上げていかなきゃいけないということ、このことを一つ感じております。
さらに、きょう、実はここに来る直前に経団連に行っておりまして、防災計画について説明をして、御意見をいただいておりました。
特に、例えばBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、各企業で、それこそ被災したときにどういう行動をとるかというのを事前にプランとしてつくり上げていく、それによって行動計画をやっていくということ、これをみずから徹底していきたい、さらに進めていきたいというお話であるとか、あるいは、いわゆるインフルエンザ、パンデミックなんかのときに、それぞれの指定企業というのが分野分野でできてくるわけですけれども、こういうところで民間企業がどういう形で貢献をしてもらうか、そしてまた、規制緩和ということから考えていくと、今、通常ではだめだけれども、そうした危機対応の中では、ひとつここは弾力的に取っ払わなきゃいけない規制というのがあるじゃないかというような議論、こんなことをしっかりと積み重ねていくということ、具体論でしっかりとやっていくということが大事だというふうに思っております。
理念としては全く言われるとおりで、ここがなければ、それこそ次の災害を乗り越えていけないということでありますので、そこのところも具体論でもってつくり上げていきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
私も実は、大臣が静岡に行ってという報道を読ませていただきました。そこで図上訓練を見られたということで、最後に私、その点を申し上げようと思っていたので、そこの議論をさせていただきたいと思います。
いわゆる防災訓練と言われるものがあります。私は、これをレベルアップさせるべきときが来ているんじゃないかと考えています。恐らく、大臣がきのう目にされた図上訓練というのは、静岡の、恐らく防災センターあたりですか、DIGというふうに言われるものだったと思うんですね。地図があって状況付与があって、そういうスタイルではなかったかなと。そういう形ですよね。いろいろなやり方があるんですが、私は、あの形に全国の防災訓練を変えていくべきだと思っています。
もちろん、事前にシナリオがあって、ここでヘルメットをかぶって、外に行って点呼をして、そこで炊き出しをしてということも、基礎的な動きをみんなで確認し合うという意味では大事だと思うんですが、今、やはりこれだけ訓練が繰り返されてきた中で、例えば、ぐらっと揺れたら火を消しましょうとか机の下に潜りましょうとか、そういった基礎的なところというのは、かなりの率で普及をしてきているんじゃないかなと思うわけです。
一方で、今回の津波からの避難というのはまさに典型ですが、さまざまな状況がある中で、いざというときには、個々人もしくはそこの数人の判断というのが、実は生死を分ける極めて重要なポイントになるということが言われています。とすると、訓練、トレーニングをすべきポイントは、基礎的な動作も大事だけれども、その次に大事な判断の部分、ここじゃないかなというふうに思うんですね。
では、この判断のための訓練、トレーニングをどうやってやろうかと考えたときに編み出された方法が、恐らく大臣がきのうごらんになられたDIGという方法だったり、いわゆる状況付与型のシミュレーション訓練と言われるものだと思うんです。
私自身も実は、きょうこうした議論をさせていただきましたけれども、地元で、もうかれこれ十年近くになりますが、そういった災害時にいざどうしようという仲間を募って、ボランティアの仲間たちでやっているということをずっと続けてきて、地元の方々と、例えば、そういう状況付与型のトレーニングがあるからちょっと一緒にやってみないですかといって、いろいろなところから先生を連れてきていただいて、プロジェクターで動画を流して、こういう状況が今生まれました、さあ、どうしますかというようなことをやってきました。
その際、参加をされた方々がおっしゃるのは、事前に何が起こるかわからないから非常に緊張感があって、場合によっては、そこで誤った判断をすることもあるわけですが、非常にそれが訓練になって、いざ同じことがあったときには、次はもっといい判断ができるようになるだろうということをおっしゃるわけです。
これを全国に広めようとしたときに、実は、機材であるとか、あとはマンパワーであるとかノウハウというものが、私は、まだ全国に広げられるほどにはなっていないんじゃないかなと思っています。大学であるとか、静岡の防災センター等々も含めて、いろいろなところにはあるんですが、なかなか、多くの方がアクセスできる状態にはまだ至っていないのかなと。お金をめちゃくちゃかける話ではないんですが、そういったところをうまくつなぎ合わせる、そういったサポートができたら、防災訓練をレベルアップさせるということも含めて、非常に大きな進歩が望めるんじゃないかなというふうに私は考えております。
最後に、この点、どういう形で、いろいろな方法論があるかと思うんですが、実務的なところでいえば非常に大事な部分ではないかと思っておりますので、きのうごらんになっていただいた感想のところも含めて、大臣のこれからの御決意をいただければと思います。
○中川国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、いわゆる状況付与型の訓練というのを見せていただきまして、緊張感がありますし、それぞれの、いわゆるデシジョンメーキングというのか、意思決定過程というのを非常に大事にしていくようなプロセスというのを感じ取りました。
中央レベルでは、最近こういう型の訓練が入ってきておりまして、あとは、我々、いわゆる政治レベル、三役レベルも含めた訓練にそれを入れなきゃいけないんですが、まだそこが成り立っていないというふうな報告を聞いておりまして、そこのところも工夫をしていかなきゃいけないというところだと思います。
さらに言えば、やはり地方公共団体に対して、さっき御指摘のように、いわゆる訓練で使用する被害想定や時間経過に沿ったシナリオ、あるいは訓練の進行方法、あるいはまた図上訓練実施上の参考となる事項、こういうものを現在取りまとめておりまして、そういうものを地方公共団体に示しながら、こうした付与型の訓練ができていけるようなシナリオをつくっていくということ、こんなことを私たちとしてはやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう対応を今準備しているところでございます。
○神山分科員 ありがとうございました。
まさに、大臣おっしゃっていただいたように、これは結局、ファシリテーターと呼ばれたり、そこの場面でどういう形でその場をコーディネートするかという、その方の資質だったりとか、あとはそこにある資機材、これは極めて重要になると思います。緻密なものであればあるほど、やはり訓練そのものにリアリティーと緊張感が出てきます。それに基づいて練度も高まるというのが実態だと思います。
これを全て国がやるかというと、実はいろいろなシステムとかシナリオというのは既にもう存在をしていると思いますので、それをいかにそれぞれの地域地域にきちんと根づいてもらうように国がサポートできるか、ここが極めて重要なポイントだと思っています。お金をかける話ではありませんが、極めて重要性が高い部分ということで、ぜひ大臣にこの部分、お力添え、御尽力をいただきたいというふうに思います。
最後に、改めまして、あと一週間で震災から約一年がたつということになりました。これから、今御検討中の内容も含めて、我々、特に立法府の側が、さまざまな案件についてどれだけスピーディーに対応することができるかというところが肝だと思っておりますので、その点、ぜひ大臣にも御指導いただきながら、全体をできるだけ早くレベルアップさせていくということに力を尽くしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
きょうはどうもありがとうございました。
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○武正主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。
次に、長島忠美君。
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→予算委員会第一分科会会議録?∋仮?
○今井主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。
内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。
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○赤澤分科員 ありがとうございます。
きょうは、被災地の復興と全国防災についてお話を伺いたいと思います。
それで、予算委員会でも、中川大臣が防災担当大臣に御就任をされてから質問する機会がなかなかなかったものですから、きょうはそういう意味で私は大変楽しみにして指名をさせていただいて、分科会は大臣は一人しか指名できないというルールでありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
分科会ですので、地元のことを比較的多く聞いても許されるということですし、かなり地域の個別事情、国全体にかかわることでなくても積極的にいろいろ聞かせていただけるということで、まず伺っていきたいのは、実は当委員会で、先月の二十四日、いわゆる地方公聴会で千葉県に委員の代表が足を運びました。そのときにいろいろな意見を意見陳述人から聴取したわけですが、きょうは基本的に、その陳述人の中で浦安市長と香取市長が切々と訴えられた、具体的には千葉県の松崎秀樹浦安市長そして宇井成一香取市長の発言をちょっと引用させていただきながら、お話を進めていきたいというふうに思います。
それで、冒頭、末松復興担当副大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、松崎市長それから宇井市長、それぞれ浦安市長、香取市長ですけれども、異口同音で、東日本大震災復興交付金の対象となる基幹事業の五省四十事業の中には、彼の言葉なんですけれども、液状化対策を正面から受けているものが極めて少ないという受けとめだ、大変残念だと。その際に、あわせて、どうも、いわゆる被災三県、岩手、宮城、福島については大変熱心に国も関係者もマスコミも、大変だ大変だということで手を差し伸べてくれるけれども、ちょっと千葉県に対して冷たいのではないかというような感じもあわせておっしゃっていたところでありまして、その辺も含めて、副大臣として、この液状化対策を正面から受けとめているものが極めて少ないという発言について、どのようにお考えになりますか。
○末松副大臣 お答え申し上げます。
千葉県の液状化対策につきましては、政府として、まず、道路とか下水道、学校などの公共施設の液状化被害につきましては、災害復旧事業ということで、地方の負担なしにしっかりとした対応をしております。
とともに、二番目ですけれども、市街地における液状化被害への対応の重要性に鑑みて、新たに市街地液状化対策事業というものをこの四十事業の中にしっかり含めまして、創設いたしまして、それで、復興交付金の基幹事業としてしっかりやっているところでございます。
○赤澤分科員 ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおりで、私も事前勉強していったところ、市街地の液状化の対策事業が含まれていながら、二つの事業でそれをやっていながら、そういう発言があったので大変驚いたといいますか、これはよく話を聞いて帰らなきゃいけないなというふうに思ったところで、次第に、盛り込まれている二つの事業の使い勝手が悪いというような話が明らかになってくるわけで、きょうはその話を少しずつさせていただきたいんです。
二番目にお伺いをしたいのは、液状化、今副大臣がおっしゃった事業について事業採択を申請したところ、液状化対策は、これは予防的な措置であるので再検討してくれというようなことを言われて、引っ込めろ、端的に言うとそういうことのようでありますけれども、そういうことを言われたという発言が松崎市長からありました。
液状化対策については予防的な措置なので事業採択の優先度が低いというのが国の考え方なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○末松副大臣 液状化対策については、今四十事業の中に含めて、新たに創設した市街地の事業を含めてやっているわけなんですけれども、実は、優先順位といいますか、これ、いろいろと私ども、今一兆八千億円ほど、第三次補正と来年度の予算を含めてやっているわけですけれども、その中の優先順位ということで考えますと、例えば、自分の住まいを確保するために、この三県の中で、高台への防災集団移転事業とか、それに係る道路の費用とか、あるいは、漁港が全く破壊されて、そういった生活の糧を何とかやるために一生懸命に復旧等を、復興をやらなきゃいけない、そういった事業がどうしても優先されております。
一方、液状化の対策の予防は、実は、今までやっているのに加えて、新たに予防という意味で、例えば浦安市さんなんかは学校の校庭に、サンドパイルというんですか、砂のくいをどんどん打ち込んで、そこで地層を固めて安全策をとるとか、あるいは道路につきましては、やはり道路の下に地盤をさらにかたくするような、そういった補強の工事をやって、それを対策として抜本的に考えておられる。私もこれは非常に重要だと思うところなんです。
ですが、そういった液状化に必要な事業が要るところは今全国で二百三十六市町村ございまして、被災地の中でも、多分、数十市町村はそういったところが必要になってまいります。
そういったところのバランスを考えていきますと、やはり生活の糧あるいは衣食住、これの方がどうしても優先度が高くなるということは否めないところかなと思っております。
○赤澤分科員 丁寧な言い方でありましたけれども、おっしゃりたいことはよくわかるという感じだったかと思います。
端的に言って、住むところがなくなっている方たちを優先にせざるを得ない。予算の制約がある中で、事実上、液状化対策については、言い方はともかく、住む家はあるけれども対策がということであるので、若干優先度が低いところもやむを得ないかなというような感じをお持ちなんだろうと思いました。
私も理解しないでもないんですが、やはり大変切実な問題であるので、後ほど中川大臣に伺うところもあるんですけれども、例の対策規模ですね、集中復興期間の五年間に十九兆円の対策規模を決めた、十年で二十三兆円。その五年分をほぼ使い切っちゃっているという中で、どうやって実際、今後、予算を確保し、本当にこの切実な液状化についても予算を行き渡るようにしていくかというのは切実な問題ですので、今おっしゃったことは私も理解しないではないんですけれども、ぜひ一歩も二歩も踏み出して、しっかりと予算を確保して対策を打っていくということを副大臣にお願いしておきたい。
特に切実な声があったのは、液状化対策は浦安市にとっては災害復旧事業そのものなんだ、それをやってもらえないと浦安は復旧しないと言われているのと同じなんだ、こういうことだったので、再度、議事録に残る形でといいますか、末松副大臣、端的に、液状化対策事業を今後は力を入れますということについて、力強い御決意の表明をいただければ大変ありがたいと思います。
○末松副大臣 委員も今御理解を賜ったところでございますけれども、とにかく、これについては優先順位の話で、もし余裕があれば当然交付金にも入れたいところでございます。
また、それができないということであれば、例えば、防災事業費とか社会資本整備総合交付金ですか、こういったところも活用が検討できると思うんです。そういった意味で、我々としても、検討の課題ということで重く考えております。
○赤澤分科員 あわせて、副大臣、もう一つ。
これは宇井香取市長の御発言だったんです。効果促進事業は、採択された基幹事業とリンクしていないと認められないため、使い勝手が悪い、こういう言い方をされていました。この点、御認識はお持ちですか。
○末松副大臣 ここは我々もかなり柔軟に考えております。ですから、基幹事業との関連性を合理的に御説明いただければ、それは幅広い活用をしていきたいと思っておりますので、そこは、香取市さんの方でも、水道事業で、他市町村との連絡水道管という話が何か例示に出ていましたけれども、そういったところを個別に御相談いただいて、そこで我々きちんと調整ができるものと思っております。柔軟に考えております。
〔今井主査代理退席、主査着席〕
○赤澤分科員 ありがとうございます。まさに今、先取りしてといいますか、ちょっと時間の関係で、きょう時間があれば聞こうかと思っていて聞かないことにしていた水道事業の話ですね、これを聞くとなると、厚労大臣も厚労省も来ていただかなきゃいけなくなっちゃうので。
ということなのでありますが、今本当に先取りして言っていただいたとおり、非常に要望が強かったのはそこなんですね。これを見ると、東日本大震災復興交付金の対象になる例の五省四十事業の中に、下水道事業は入っているけれども水道事業は実は入っていない、こういうことなんです。そこについては、そもそも基幹事業として取り上げてもらっていないというところがあって、復旧しているものが道路の上を走っていたり非常に苦しい状態なのでということがあったので、その辺も個別の相談についてはぜひ前向きに受けてあげてほしいと思うんですね。その辺、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
そして、きょう、森ゆうこ文部科学副大臣にもお運びをいただいておりまして、私も日ごろから参議院の予算委員会で御雄姿を拝見させていただいておりまして、きょう質問させていただくことを大変楽しみにしてまいったわけであります。
市長たちからの要望というのは尽きることが本当にありませんで、しかも、どれも極めてごもっともであります。
これは本当に、問いにしてみると一つだけなのでありますけれども、非常に深刻だなと思ったのは、基幹事業の学校施設環境改善事業、これは公立学校の耐震化等ということでありますけれども、液状化対策が含まれていない。被災者の避難場所となっている学校の校庭などが液状化で非常に大きな被害を受けている。液状化でぼこぼこと砂も水も噴き上げて、非常にいびつで、そこに集まれといったって、足場が悪いようなところに避難場所ということは本当に勘弁してほしい、こういう御発言でありまして、ここはしっかりと液状化対策を含める方向で考えていただけないか、こういう問題なんですが、副大臣のお考えはいかがでしょうか。
○森副大臣 お答えいたします。
大変申しわけなく思うんですけれども、まず原則として、学校施設における校地の環境につきましては、その整備指針において、建物等を安全に設定できる地質及び地盤であることが重要であるというふうにされておりまして、適切な校地を確保すること、これは地方公共団体が確保する、これが原則でございます。
また、校舎につきましては、建築時に安全対策として深くくいを打ち込むなど、今回の大震災におきましても、液状化によって校舎が傾くなどの被害は報告を受けていないところでございます。
しかし、先生御指摘がございましたように、グラウンドについては、液状化によって校庭等に亀裂が生じるなどの被害が生じておりますけれども、その復旧につきましては国庫補助の対象としておりまして、地方公共団体から事業計画書が提出され次第、事務手続を始めておりまして、一部では査定前着工ということで既に事業が進んでいるところでございます。
問題の、今後、基幹事業として液状化対策を位置づけるということにつきましては、これまでの国と地方との役割分担などを踏まえまして、適切な費用や効果など、さまざまな検討課題があるというふうに考えておるところでございます。
今のところまだ検討しておらないところでございますけれども、また今後適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
○赤澤分科員 やはり財政的な制約があるものなので、先ほどの末松副大臣の御答弁も森副大臣の御答弁も似てくるところがあって、要は、住まい自体がなくなっている方の方がやはり先だろうということで、なかなか、住まいはあるけれども、少々傷んだ、傾いたということはちょっと後回しになっちゃうんだよという話がありましたし、森副大臣からも、校舎自体は安全なんだ、建物が崩れたり壁が崩落したり、そういうことが決して起きていない中で、校庭についてどういうふうにするかといったようなことだというので、私も一通りの御説明は理解はいたします。
ただ、大変切実な御要望でありましたので、実際、国庫補助の対象にはして査定等も進めている、災害復旧の対象にはなっているということのようでありますので、門戸を閉ざすことなく、しっかりと受けとめて、極力前向きに。
これも中川大臣に後ほど伺うことと同じなんですが、先ほどの集中復興期間の予算をもう使い切っているということをしっかり、対策規模を新たに確保する必要がどうしてもあると思うので、その中で、実際、予算の手当てができた場合には前向きに対応していっていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
それでは、吉田副大臣にもお運びをいただいておりますので、まず市街地液状化対策事業。これは私自身が必ずしも違いがよくわからなかったので、国交省出身なんですがぴんとこないところがあったんですけれども、非常に基本的なところから。議事録を残して読ませてあげたい関係者もいるものですから。
都市再生区画整理事業と都市防災推進事業、これの違いです。両方とも市街地液状化対策事業ということで極めて似ておるわけでありますけれども、これの違いは何かということを簡潔にお話しいただきたいと思います。
○吉田副大臣 赤澤先生の真摯なお話を聞かせていただきまして、私自身も、実は発災のときには衆議院の災害対策特別委員長をしておりまして、今お話ございましたこの現場、浦安、それから私は我孫子の方も寄らせていただきまして、それぞれ市長さんからお話を聞かせていただきました。そのとき、市長さんの方から、いやいや、被災者個人への支援策もこれはだめなんですよ、冒頭そういう話がございまして、その後、被災者生活再建支援制度ですとか住宅金融支援機構による災害復興住宅融資というのも、後づけですけれども、させていただくようになったということ、これはやはり、それぞれ超党派での活動の結果ではないかなと思っております。
そして今、先生の御質問でございますけれども、地盤の液状化により被災した市街地、一度液状化されたところの地盤改良工事による液状化対策を実施するための、制度としてこの二種類があるということをまず御理解いただきまして、一つ目は、都市防災推進事業という形で、これは液状化対策を単独で行う方法でございます。そして、もう一つのやり方は、特に液状化の被害が大きい、また敷地の境界、基準点等が著しく混乱している場合においては、都市再生区画整理事業として、土地の区画形質の整備とあわせて液状化対策を一体的に行う。これが二つの種類の液状化対策であるということで御理解をお願いしたいと思います。
○赤澤分科員 ということで、実は、私がちょっとまだ勉強が足りていなかったので必ずしも通告をしておらないんですが、副大臣が御案内であれば教えていただきたかったのは、別途、地籍整備型土地区画整理事業。
地震の結果、従来、この人の所有地はこういう境界でというような話になっていたものが、事実上かなりずれちゃっている、数十センチとかそういうくらいにずれちゃっている場合に、それを少し動かし直して、公図上の敷地境界と実際が合うようにしてというようなことをある視点では事業として考えておられるようにも、それと今の話というのはリンクはしているんでしょうか。よろしくお願いします。
○吉田副大臣 これは平成二十年度から施行がされておりまして、今先生御指摘の部分というのは、既存の制度の中で対応方ができるような土地区画整理事業を実施いたしております。
○赤澤分科員 ということで、この際、所有者にとっては大変大きな問題である敷地の境界をきちっと画定した上で、土地区画整理で大規模に市街地液状化対策を進めていくというのが都市再生区画整理事業であって、比較的個別の事業として小規模にやるのが都市防災推進事業であるが、事業の中身自体は市街地液状化対策事業ということでどれも基本的に同じである、そういう理解で正しいということで、副大臣もうなずいておられますので、そのとおり理解をさせていただきました。
その上で、冒頭御紹介をした松崎市長の発言、端的に言うと、液状化対策を正面から受けとめているものは極めて少ないと。二つ事業が入っているだけでも私は立派なものだと思いましたし、なぜそういうことをおっしゃるんだということを詳しく聞いたわけであります。
やはり出てきたことは、一つはお金の問題ですね。どうも、負担を大分、民間家屋の所有者の負担を減らすといいながら一世帯百万円を超える負担は到底現実的ではないというのが市長の発言だったんですが、これについて副大臣はどのように受けとめておられますか。
○吉田副大臣 私も、松崎市長から、当時そういうふうなお話がございました。あの地域の形態を見ると、市長さんの方からある地域を指さされまして、いや、この地域も、ここは明治時代でと、ここはそういうことがなくてと、事細かくおっしゃられていまして、地盤というもの、液状化というもの、これについては本当になかなか厳しい部分、難しい部分があるなと思っております。
今申し上げましたように、現在、こういう被災地においての液状化対策の具体的な工法等については、申しわけございませんが、まだ検討が進められているというところでございまして、一戸当たりの負担額の妥当性につきましては、現時点ではお答えすることは困難だと存じております。これはもちろん、住まわれている方々の地域の土地の値段であったり、また、その方々の世代であったり、将来というふうなことも含まれてくるかと思います。
今申し上げましたように、いずれにいたしましても、被災者の個人負担につきましては、官民一体工事による宅地部分の対策工事の簡素化や共同発注によるスケールメリット等により、可能な限り負担が軽減されるような努力をしていかなければならない、してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○赤澤分科員 そのとおりなのでありますが、私がいろいろと聞いてみる範囲では、新築する場合に、敷地の液状化対策を施すには市長御希望の百万ぐらいで何とかなるんだけれども、既に建っちゃった家について手を加えようとすると、場合によってはその十倍ぐらい金がかかりかねぬというような話があったわけですが、その辺の認識は副大臣のお持ちのものと大きく違っていますか。
○吉田副大臣 私の認識としましては、先ほど申し上げましたように、浦安の皆さんはこれからまだ住もうと。ほかの地域におかれると、それだけお金を出すんだったらもう引っ越しちゃうと。それは、周りの土地の値段もあるでしょうし、家族構成のこともあると思います。
ただ、今おっしゃられましたように、それぞれ個々人の状況も違う部分がありますので、一括してという形ではなく、今申し上げておりますように、被災者の個人負担につきましては、もちろん地盤の状況、工法、安全性の要求水準等によって、これは本当に相当変わってくると存じております。
ですから、一戸当たりの具体的な費用についてお答えするというのは現時点では困難と考えておりますが、国土交通省の方で試算した一例では、個人の宅地で単独で液状化対策を施した場合と比較して、街区単位で、先ほども言いました大きな形で、公共施設、例えば道路等と一体的に対策を施した場合、個人負担は半額程度に軽減されるケースも想定されるところでございますので、具体的な金額についてはこれからということで御理解をいただければと思います。
○赤澤分科員 かなり慎重な御発言をされるので、きっと大事なポイントなんだろうなと思うんですが、私の聞くところでは、半分ぐらいに軽減されるが、五百万、こういうことなんですね。だから、ただ単に単独で、公共施設とあわせてやらない場合、一千万ぐらい。更地で、これから建てる前にやるときは百万。百万なら何とかなるんだけれども一千万かかるとかなわぬと言ったら、いや、負担を軽減しますからといって今回の二事業をやっても、やはり五百万ぐらいにしかならない。個人に五百万出せというのはきついよねということなんだと思うんです。そういうことで、問題点はお互いわかっているところだと思いますので、その辺、具体的な数字はなかなかおっしゃれないようでありますけれども、技術開発も含めて大変切実な問題だ。
というのは、今から中川大臣にもお話を伺いますが、共通の認識は、国交省の専門家にも聞きました、首都直下地震が起きたら浦安は再液状化のおそれがあると。これは全然否定できないばかりか、より強い揺れに長くやられたらまたやるということなんですよ。そうすると、例えば、今回、一回決断して五百万出すことに決めて、大事なマイホームだからとやられた方がまた同じ金を使わなきゃいけなくなるということも十分あり得ることなので、そこは本当に真剣に、ここ数年で国を挙げて取り組んでいただく価値は大いにあると私は思っておりますので、その点、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。
ということで、いよいよ中川大臣にトリをお願いするわけでありますけれども、先ほどの話に結局戻るんですね。
予算委員会で、当時防災を担当しておられた、だから、被災地の復旧復興と全国防災をあわせて持っていた平野大臣に私は質問するたびにずっと、あなた、もう手が回らないでしょう、一生懸命やっているのはわかるけれどもと。彼は否定していましたけれども、正直、回っていなかったんだと思いますよ。
ただ、乱にあって乱を忘れずということで、これから来る首都直下地震と東海、東南海、南海の地震を合わせると、これは大臣も当然基礎知識としてお持ちだと思いますが、物的被害は間違いなく東日本大震災の十倍近くですね。人的被害も軽く倍ぐらいはいくだろうということが言われている中なんです。
なのに、十九兆円のうち、全国防災は大体一・三兆という割り振りだったかと思います、阪神・淡路大震災のときの例に倣ったということのようですが。それが結局、もう尽きちゃっているんです。十九兆は、あと残り一兆、全然ない。どうするの。五年の集中復興期間のうち、前の二年で使っちゃったよ、残り三年何もしないのということについては、必ず答えを出していかなきゃいけない。
平野大臣も、対策規模はわかっています、やらなきゃいけないのはわかっていますから、ちゃんと取り組んで答えを出しますからということはおっしゃったんだけれども、いつですかということを私がしつこく聞くと、いつかはまだ申し上げられないと。
ようやく専任の中川大臣が来られた。辣腕で、予算をしっかり確保されると私は期待していますし、必ずそうしていただかないとこれは困るわけでありますけれども、その対策規模、十九兆円も使い切ったときに、残り三年間。大体いつごろまでにその辺の対策規模というものをお示しになるつもりか、お伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 非常に大事なポイントを質問していただいて、ありがとうございます。
私も、過去にさかのぼってといいますか、これまでの対応というのを見てきたんですけれども、大体、首都直下型にしても、あるいは南海トラフにしても、どういう予算規模になっていくのかということについては、従来から具体的な投資規模を出していないんですね。私も就任しまして、そこはやはり出すべきだろうと。その上で、しっかりとした財政を前提にしながらの議論というのが必要なんだろう。これは、もちろん、税で賄っていく部分と、都市開発や何かに伴った形で民間が賄っていく部分と、それぞれまた場合分けもした上での話だというふうに思うんですが、そういう問題意識を持ちました。
ということで、これから、首都直下型あるいは南海トラフについて、三月中にも、いろいろな形での中間報告とか、それから具体的な震源の域の問題、あるいはその強さ、津波の高さ等々、発表していくことになっていきます。その中で、それぞれが、地方自治体も含めて、具体的な計画を整合性を持たせてつくっていくという段階に入っていきますので、先ほど御指摘をいただいたようなことも頭に置きながら対応していきたいというふうに思います。
○赤澤分科員 それで、せっかくの機会なので、認識をそろえておきたいので御紹介したいのは、予算委員会でもお話をしました。当時、大臣でおられなくて、座っておられなかったと思うので。
要は、過去二千年間に、三陸沖でマグニチュード八クラスの地震というのは四回しか起きていないんですね。例外なく、十年以内、前後十年以内です、関東大震災が前のこともありましたけれども、関東大震災を伴っています。
ということは、最悪に備えよというのを危機管理の要諦と考えると、今後十年以内に来るという前提で行動しておかないと、完全に備えたことにならないんですね。これは想定外と言えぬ、完全に想定されているということだと思います。
三連動もあり得る、富士山の噴火もあり得るぐらいのことをきちっと本当に考えないといけないということをぜひやはり共通認識で持たせていただいて、その上で一つ御紹介をしておくと、例えば京都大学の藤井教授なんかは、当初おっしゃっていたのは事前復興という考え方。これは、自民党が今唱え始めておりますけれども。先ほどの首都直下と東海、東南海、南海を合わせると二百兆円ぐらいになるんですが、それに対して、起きるのを漫然と待っていれば二百兆円の財源をどうせ用意することになる。それだけの被害が出て、復旧しなきゃいかぬ。だけれども、例えば二十兆円、三十兆円、四十兆円、それぐらいの規模の公共事業をきちっと施して耐震化とかを全力でやっておけば、被害が半分になる。トータルとしては用意する財源が大分少なくて済むじゃないか。だから、事が起きてから巨額の財源を捻出して復旧復興する事後復興の考えじゃなくて、ぜひ事前復興でいきましょうよと。
加えて、大臣にぜひお願いをしたいのは、この十年ですよ、地震が起きてから耐震化しても意味がないので。この十年に頻発するであろう巨大地震なので、ここはふだん国が出さないようなところまで踏み込んで、場合によっては、民間企業の社屋や工場の耐震化に真水を入れていくぐらいのことも考える。それぐらいの、ふだんやらないことを一歩も二歩も踏み込んで考え抜くというのが大臣に本当に天から与えられた使命だと私は思っておりますので、そこは議論させていただきながら結果を出していかなきゃいけない。
その意味で、最後に一つだけお伺いしますが、事前復興の考え方で、今やっている復旧復興と同じような基本法をつくる、庁を決める、担当の組織、大臣も置く。それも、できれば、全国防災と一緒というより、専任の大臣ぐらい。そして、国土強靱化計画。そういった、今起きてしまったことの復旧復興をやっているのと同じぐらいの考え方で、しっかり取り組んでいかなきゃいけない。その取り組み体制、やり方について御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○中川国務大臣 大震災で、一つ、改めて防災計画をつくっていく基本的な考え方として、減災ということがあったんだと思うんですね。これまで、津波が来て、それが越えてこないようにと高い堤防をつくり続けたということだけじゃなくて、それが越えてきたときに、都市計画の中で、あるいはソフト事業の中で、どういうふうにそれに対応していくか、そういうことも含めた形の見直しだと思うんです。その上で、どれだけ誰がコストをかけるか、どこにかけるかということがこれからの議論になってくるというふうに思います。
御指摘のように、そうした投資が無駄にならない形で、そして未来に生きるという形で、トータルで議論をしていくということが大切だと思います。頑張っていきたいと思います。
○赤澤分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
終わります。
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○武正主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。
次に、神山洋介君。
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○神山分科員 神山洋介でございます。
中川大臣、大変公務がお忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。心より感謝を申し上げます。
昨今、国会というところがちまたからどう見られているかというと、やはり非常に生産性の低い場所であるというふうに見られていると私は思っております。ただ、本来やはりそうであってはいけないという思いのもとに、きょうは三十分の時間をいただきましたので、できるだけ生産性の高い議論を大上段からさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、大臣にお伺いをさせていただきたいのは、災害対策ということを考えたときに、立法府と行政府と、どういう役割分担、責任の分担になっているか、そこの議論であります。
震災が昨年の三月十一日にありました。あと間もなく、一週間弱すると一年ということになります。一万五千人を超える方々が亡くなり、いまだに三千人を超える方々が行方不明でいらっしゃる。この多くの犠牲に対して報いるために、私自身は、この立法府の一員としてどんな責任を果たすべきなのかということを実は考えてまいりました。
そもそも私は、八年ぐらい前からになりますが、災害という分野に対して、もともと、私が生まれ育った神奈川県西部というところは非常に地震災害のリスクが高い場所でもありますので、ずっと関心を持ち続けて、研究もしてきました。その中で、やはりここの部分は、非常に突き詰めて考えていかなければいけない部分なんじゃないかなというふうに思っております。
震災があって、特にこの一年間、いろいろなことを考えると、私がこの二年半でやってきた、例えば災害対策特別委員会の中でいろいろな議論をしてきた。よくよく思い出してみますと、大きな災害、小さな災害、いろいろありますが、震災があった後に、例えば災害対策特別委員会、予算委員会、いろいろな場で、この災害についてということで議論が非常に高まる。しかし、災害からしばらく落ちついてしまうと、議論がまた下火になるということが私は気になってきました。むしろ逆じゃないかなというふうに思うわけです。
本来は、災害が起こった後に、その災害から得られた教訓をきちっと固めて、その課題を解決するために立法府がさまざまな制度なり法律を整える、その上で、いざ次に災害があったときに、行政府がそこで、整備をされた法制をもとにオペレーションを円滑に行う、これが本来あるべき道なんじゃないかなというふうに思うわけです。
その点で考えたときに、大臣、立法府と行政府の責任のあり方、特に、先輩議員でもいらっしゃいます中川大臣に、政治が災害対策に対して果たさなければいけない責任というところについてどうお考えか、まずはお聞かせをいただければと思います。
○中川国務大臣 今回の大震災があったときも、私自身は立法府のサイドにおりまして、行政府の対応を見てきた、あるいはまた、行政府に対してさまざまな意見具申をして対応してきたんですけれども、振り返ってみると、本来なら、阪神・淡路の大震災のときの教訓というのがもっと生かされてよかったんだろうというふうに改めて今思います。
やはり大事なのは、そういう意味からいけば、今回の大震災について徹底的に検証するということだと思うんです。危機対応といいますか、そのときそのときの危機対応というのは、行政府が、それこそ総理大臣を中心に、ある程度の権限というのを任されて、それで俊敏にやらなきゃいけないことに対応していくということだと思うんですが、その後のいわゆる復旧から復興フェーズまでの対応という中には、やはり立法府が、現地の状況それから具体的な現実を踏まえた対応等々含めて、しっかり行政府に対して話を持っていって、その中で具体的な対応を求めていくというプロセスというのは、非常に大きな役割があるんだというふうに私は思います。
現在、そういう形で実は国会の議論も進んでおりますし、それから、法律を新たにつくり上げていくときも、そうした現場の話あるいは現実の対応を踏まえた議論というのがやはり立法府からしっかり出てくるということ、これは、私が行政府の中にいて改めて感じるところでありまして、そこのところは一つ大事な点かなというふうに思います。
それから、もう一つあるとすれば、さっきまさに御指摘のとおり、災害があったからそれで慌てるということじゃなくて、ふだんからそうしたネットワークと、それからお互いの役割分担、そして、その中で事が起こったときに絶えずそれがしっかりと動く、働くというシステムをつくっていくということ、これが大事だと思うんですね。
その議論というのは、やはり立法府を中心にしてそれぞれの、今持っておっていただいているワーキングチームであるとか研究会であるとか、そんな中からネットワークをつくっていただいて、それぞれの団体なりあるいは地方自治体なりということの中で組み合わせたシステムというか、そういうものを立案していただくということ、これは、ふだんの立法府の活動の中で、私はしっかり期待をしていきたいところだというふうに思っております。
○神山分科員 ありがとうございます。
実は、ちょうど一年前になるんですが、私は昨年の二月二十五日にもこの予算委員会の第一分科会の質問に立たせていただいて、災害対策についての議論をさせていただきました。当時は、いろいろ議論をさせていただきたいお話はあったんですが、地元でその前年にあった大きな台風の水害に関連をして、県境をまたいだ場合にはどうだとか、そういった議論をさせていただいたわけです。実は、その議論をこの場でした二週間後に震災がありました。
それから一年間、時々思うのは、昨年この場で議論をしたときに、確かに、津波の話はしたかといえば、私はここでは申し上げなくて、ここで議論をしたからといって、犠牲者の方の数が少なくなり得たかといえば、もしかしたらそうじゃないのかもしれないということは思いつつも、では、立法府として事前に果たし得る責任を本当に果たすことができていたのかというと、自責の念とまでは申し上げませんが、やはり、後悔の念だったり、ああしておけばよかったという思いがあったわけです。
今、大臣からもお話がありましたが、まさに今回の震災の教訓を、前回の阪神・淡路大震災もそうですが、どれだけ生かすことができるかということは、極めて大事な立法府としての責任だと思っております。
恐らく今、政府内でも災害対策法制のあり方に関する研究会という形で、今後の災害対策関連の法制のあり方について、どういう形で見直しをしていくかという議論が既に始まっていると伺っておりますし、幾つか論点も提示をされているというふうに伺っております。私も途中段階の資料を見せていただきました。よく練られたものになりつつあるなとは思っています。
そこの中にも一つ出てくるキーワードであり、また、今回の震災でありこれまでの震災を念頭に置いたときに、私は、これからの我が国の災害対策の法制度に対して、大きな思想的な転換を加えなきゃいけない部分というのはいろいろあるんじゃないかなというふうに思っています。そのうちの一つが、行政の機能ということに関してなんです。
我が国の災害対策の法制は、災害対策基本法という大きなものがぼんとあって、最終的には地域防災計画というのがそれぞれの自治体ごとにあってという仕立てになっているわけです。私が見ているのは、地元の自治体の地域防災計画だったり全体の災害対策の災害対策基本法だったりという骨格的な部分だけですが、そのどれを見ても、いざ災害があったときにも基本的には行政は存続をする、これが前提で貫かれているというふうに私は思っています。
もちろん、存続をしなければいけませんし、存続できるように事前に準備をしておかなきゃいけない、これは言うまでもないと思います。
ただし、今回の大震災及び原発の災害まで含めると、いろいろ想定を超えた事実があった。そのことを考えたときに、行政の機能が存続しないということもきちんと想定をするということが、私は必要なんじゃないかなというふうに考えております。
個別の災害対策基本法だったり地域地域の地域防災計画の中に具体的に何と入れるかというのは、これはいろいろな検討があってしかるべきだと思います。政治の意思として、その大きなコンセプトを改めるんだ、場合によってはそこに上乗せをしていくんだという意思は、今回の震災を踏まえた教訓としてきちっと中に入れ込む必要があるんじゃないかと私は考えているわけですが、この点、大臣、いかがお考えか、御見解をいただければと思います。
○中川国務大臣 今、さまざまなレベルで、大震災の検証をベースに検討を行ってきています。その中心にあるのが、先ほどお話があったように防災対策推進検討会議なんです。
この中にもまさに、先ほど御指摘をいただいたような前提で対策をつくっていかなければならない、言いかえれば、それぞれ地方自治体の行政機能が完全に麻痺してしまう、あるいは直接被害に遭って消えてしまうというふうなことが今回もあった、そこに対しての広域的な体制というのをどうつくっていくか、それぞれ国が何をしなきゃいけないか、あるいは、県レベルあるいはまた広域レベルでどういう仕組みをつくっておかなきゃいけないかというふうなこと、こんなこともしっかり問題意識として提起をされておりまして、検討していきたいというふうに思っております。
近々に中間報告を出すという予定でありますが、大体夏ごろには最終的に、そうしたことも含めて、国、地方公共団体、あるいはコミュニティーであるとか事業者であるとか、それぞれが何をしてどういう連携の中に対応していくかということ、しっかり最終報告として出していきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
行政機能の存続、もしくは喪失をするということ、これはやはり非常に明確にするべきじゃないかなと思っておりまして、これはよく言われる話ですが、発災から特に三日とかそのぐらいのところというのは、いわゆる自助努力で何とか生き抜いていかなきゃいけないというふうに言われるわけです。裏を返すと、行政機能が一瞬、もしくは三日間かもしれませんが、そこはやはり麻痺をするということが既に明らかになっていて、あらゆる災害で共通をしていることであると。
だとすると、文言上ではありますけれども、そこをきちっとやはり、このタイミング、このタームについてはとまるんだ、とまるリスクがあるんだ、少なくとも、今までどおりのフルパワーで動けるわけじゃないんだということを明確にしておくということは、私は非常に大事なことではないかなというふうに思っております。
ぜひ、その中間報告を目がけて、そういった部分での指導力をいただけたらありがたいというふうに思っております。
同じく、今回の震災を受けて、今後にどう生かしていくのかということを考えたときに、もう一つ大事なポイントは、これは必ずしも地震だけの話ではない、原発の話も含めてかもしれませんが、今回の東日本大震災が複合災害であった点だと思います。
あれだけの大きな地震とあれだけの津波があったということだけでも、この国始まって以来という対応が必要であるにもかかわらず、そこに加えてさらに原発の事故まで発生をしてしまった。この二つの事故に同時並行的に対応するということに関して、さまざまな御批判もあり、これからの多くの課題があったということは、これは改めて議論をするまでもないのかなと思っております。
では、この複合災害に対してどう対応していくのかということを、これから非常に急ピッチで考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。
災害対策法制のあり方に関する研究会というところで、こういう論点で今議論をしていますというペーパーを読ませていただきました。一つ残念だったのは、その中に、複合災害に対してどういう形でアプローチしていくのかということが、まあ行間から読み取るぐらいはできるわけですが、明確に書かれてはいなかった。
何で書いていないのかなということを考えると、それは、そこを考えていないということでは恐らくなくて、それを所管している、具体的に言えば、原発の事故に関して言えば経産省が所管をしていて、原子力災害対策特別措置法の方でいろいろ書いてある。中央防災会議の方から検討されている、今回の震災の教訓を受けての今後の検討というところは、どちらかというと、自然災害についての検討というアプローチから入ってきている。これはいわゆる縦割りに近い話であって、本来は、そこをもう少しミックスして考える必要があるんじゃないのかなというふうに私は思うわけです。
確かに、もとの原因は、これは法律的に言えば、片や原発、片や自然災害たる地震というものが違うわけですが、では、それぞれの現場現場で何をしなきゃいけないか。避難をする、そこで生活をする、その後復旧をするというところも含めて、これはいろいろな共通点もあると思いますし、現実の、官邸含めオペレーションという意味でいえば、複合災害である限りは、複数の事態に対して同時に対処をしていくということがこれからもいろいろ想像されるわけです。
今回は地震と原発ではありましたが、考えようによっては、それはパンデミックとの絡みもあるかもしれませんし、あってはなりませんが、戦争という形での何らかの絡みもあるかもしれませんし、いろいろな複合性というものはこれからも想像し得るということを考えると、この複合性に対して、これからどういう形で一体的に対処するのかということは、実は、今までの災害対策法制のそれぞれの分野ごとにきれいに分かれていた中の、若干落ちている部分じゃないかというふうに私は考えているわけです。
もちろん、中川大臣の所管は重々承知の上でお聞きをしているわけですが、ぜひそういった横断的な取り組みを強めていくということも含めて、この分野での震災からの教訓を生かしていくんだというところで、お力添え、または力をぜひ中川大臣に発揮していただきたいというふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。
○中川国務大臣 これも大変重要な点を御指摘いただいたというふうに思っております。ありがとうございます。
御指摘のとおり、これまでそうした観点がなかった、必ずしも対応が十分でないということ、これは事実だったというふうに思います。
その上で、三点ぐらいのことになるんだと思うんですが、改めて視点を入れていきたいというふうに思います。
いわゆる災害の対応、全体として複合的なものをどうマネージしていくかということ、これについても議論が必要だと思います。それから次に、主体間の連携、これも先ほどのお話のように、縦割りということじゃなくて、この連携をどうしていくかということ、これがもう一つ。それから三番目には、これは一つの災害でも、限られた人的、物的資源ということになるわけですから、それが複合的に来たときに、それをどのように配分、配置をしていくか、こんなことを想定して、提起して議論をするということだと思っております。
特に、防災対策推進検討会議、ここでしっかりとした項目として入れ込んで、そしてしっかり対応をしていく、いわゆる基本計画の中にも記載する方向で検討していきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
この点、非常に大事なポイントでありながら、今までの我が国の法律制度、災害対策全体を考えたときには非常に弱かった部分であり、であるがゆえに、今回のもろもろのオペレーションの中にもいろいろなそごが出てしまったのではないかなと思います。
一朝一夕にこの部分が強くなるというふうにはならないかもしれませんが、少なくとも、今回の教訓を最大限生かしていくということを考えたときには、ここだけはやはりどうしてもスピーディーにやっていかなきゃいけないところだと思っておりますので、大臣、ぜひそこはよろしくお願いを申し上げます。
災害対策に関連をして、いろいろな形で、コンセプトを改めたりレベルアップをさせなきゃいけないというふうに私は考えていて、その点に関連をしてこれまで幾つか議論をさせていただきました。
もう一点、今既に大臣からも主体というお話をいただきましたが、この主体というところも極めて大事な分野だと私は思っています。災害があって、誰が主体となって対応するのかということ。これは先ほども例に出しましたが、それぞれの自治体ごとにある地域防災計画というものを頭から後ろまで全部、これはこんな分厚いものですが、読むとよくわかるわけですが、その中に書いてある主語はほぼ、一〇〇%とまでは言いませんが、九割以上、行政だと思います。
もちろん、これは行政が、いざというときにどうやって、災害に対してコントロールをしてマネジメントするのかということを規定した文書ですから、主語が行政になる率が高くなるのは当然だとは思うわけですが、一方で、現実に今回の震災が発生をして、数日間の緊急対処の状況があって、その後の応急対処、復旧というフェーズがあってという一連の流れを思い浮かべたときに、震災対応で動いていた主体は、では本当に行政ばかりだったかというと、実は全然違っていた部分があったわけです。
特に当初、水が届かないとか薬がないとかお医者さんがいないという個別のものに対しては、かなりの部分で、プライベートセクターの方々が実際に大きな機能を果たしてくれたことは間違いないと思うんですね。
そう考えたときに、必ずしも、計画に乗っけた、行政の上意下達の構造の中にプライベートセクターを全部組み込むべきかといえば、それは違う部分があると思うんですが、こういうもろもろの対処をするときには、行政主体だけではなくて、非常に主体が多様化をしているんだ、この多様化している主体をきちっと連携を深めていくんだということ、これは先ほど大臣もおっしゃっていただきましたけれども、これからの災害対策にとってはすごく大事なポイントだと思うんです。
きょうは防災担当大臣ということで御答弁をお願いしますというふうに申し上げたわけですが、もう一つ、新しい公共の御担当でも大臣はいらっしゃるわけです。
御存じのとおり、阪神・淡路大震災及びあの前後のさまざまな災害のときに、多くの方々が災害ボランティアで現地に入って、それが実は、公を担う私という、新しいこれからの社会のあり方の出発点であったんじゃないかという議論が今でもなされているということを考えると、今回の震災を踏まえて、地域からそれぞれの社会を支える、私でありながら公を支えるというこの社会のあり方の出発点として、こういったプライベートセクターの方々も含めてきちっと位置づけて連携を強化していくという取り組み、これは災害対策という側面でも、一方で新しい公共という側面においても、どちらの意味においても改めて大きな意味を持つと私は思っておりますので、この点について、大臣の御決意をぜひお伺いさせていただければと思います。
○中川国務大臣 実は、きのう静岡に入りまして、ちょうど、静岡市を中心にしまして全国からボランティアの団体が集まってきて、図上訓練というのをやっておられました。
そこでも申し上げたんですが、ネットワークというのがしっかり機能して、そして、いざというときに、いわゆる全国ベースでそうした活動が進むという環境をつくっていく、あるいはまた、そのために新たに仕組みをつくらなきゃいけないとすればどういうものが必要かということ、こんなことをもっともっと掘り下げて、それこそこうした団体と連携をしながらつくり上げていかなきゃいけないということ、このことを一つ感じております。
さらに、きょう、実はここに来る直前に経団連に行っておりまして、防災計画について説明をして、御意見をいただいておりました。
特に、例えばBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、各企業で、それこそ被災したときにどういう行動をとるかというのを事前にプランとしてつくり上げていく、それによって行動計画をやっていくということ、これをみずから徹底していきたい、さらに進めていきたいというお話であるとか、あるいは、いわゆるインフルエンザ、パンデミックなんかのときに、それぞれの指定企業というのが分野分野でできてくるわけですけれども、こういうところで民間企業がどういう形で貢献をしてもらうか、そしてまた、規制緩和ということから考えていくと、今、通常ではだめだけれども、そうした危機対応の中では、ひとつここは弾力的に取っ払わなきゃいけない規制というのがあるじゃないかというような議論、こんなことをしっかりと積み重ねていくということ、具体論でしっかりとやっていくということが大事だというふうに思っております。
理念としては全く言われるとおりで、ここがなければ、それこそ次の災害を乗り越えていけないということでありますので、そこのところも具体論でもってつくり上げていきたいというふうに思います。
○神山分科員 ありがとうございます。
私も実は、大臣が静岡に行ってという報道を読ませていただきました。そこで図上訓練を見られたということで、最後に私、その点を申し上げようと思っていたので、そこの議論をさせていただきたいと思います。
いわゆる防災訓練と言われるものがあります。私は、これをレベルアップさせるべきときが来ているんじゃないかと考えています。恐らく、大臣がきのう目にされた図上訓練というのは、静岡の、恐らく防災センターあたりですか、DIGというふうに言われるものだったと思うんですね。地図があって状況付与があって、そういうスタイルではなかったかなと。そういう形ですよね。いろいろなやり方があるんですが、私は、あの形に全国の防災訓練を変えていくべきだと思っています。
もちろん、事前にシナリオがあって、ここでヘルメットをかぶって、外に行って点呼をして、そこで炊き出しをしてということも、基礎的な動きをみんなで確認し合うという意味では大事だと思うんですが、今、やはりこれだけ訓練が繰り返されてきた中で、例えば、ぐらっと揺れたら火を消しましょうとか机の下に潜りましょうとか、そういった基礎的なところというのは、かなりの率で普及をしてきているんじゃないかなと思うわけです。
一方で、今回の津波からの避難というのはまさに典型ですが、さまざまな状況がある中で、いざというときには、個々人もしくはそこの数人の判断というのが、実は生死を分ける極めて重要なポイントになるということが言われています。とすると、訓練、トレーニングをすべきポイントは、基礎的な動作も大事だけれども、その次に大事な判断の部分、ここじゃないかなというふうに思うんですね。
では、この判断のための訓練、トレーニングをどうやってやろうかと考えたときに編み出された方法が、恐らく大臣がきのうごらんになられたDIGという方法だったり、いわゆる状況付与型のシミュレーション訓練と言われるものだと思うんです。
私自身も実は、きょうこうした議論をさせていただきましたけれども、地元で、もうかれこれ十年近くになりますが、そういった災害時にいざどうしようという仲間を募って、ボランティアの仲間たちでやっているということをずっと続けてきて、地元の方々と、例えば、そういう状況付与型のトレーニングがあるからちょっと一緒にやってみないですかといって、いろいろなところから先生を連れてきていただいて、プロジェクターで動画を流して、こういう状況が今生まれました、さあ、どうしますかというようなことをやってきました。
その際、参加をされた方々がおっしゃるのは、事前に何が起こるかわからないから非常に緊張感があって、場合によっては、そこで誤った判断をすることもあるわけですが、非常にそれが訓練になって、いざ同じことがあったときには、次はもっといい判断ができるようになるだろうということをおっしゃるわけです。
これを全国に広めようとしたときに、実は、機材であるとか、あとはマンパワーであるとかノウハウというものが、私は、まだ全国に広げられるほどにはなっていないんじゃないかなと思っています。大学であるとか、静岡の防災センター等々も含めて、いろいろなところにはあるんですが、なかなか、多くの方がアクセスできる状態にはまだ至っていないのかなと。お金をめちゃくちゃかける話ではないんですが、そういったところをうまくつなぎ合わせる、そういったサポートができたら、防災訓練をレベルアップさせるということも含めて、非常に大きな進歩が望めるんじゃないかなというふうに私は考えております。
最後に、この点、どういう形で、いろいろな方法論があるかと思うんですが、実務的なところでいえば非常に大事な部分ではないかと思っておりますので、きのうごらんになっていただいた感想のところも含めて、大臣のこれからの御決意をいただければと思います。
○中川国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、いわゆる状況付与型の訓練というのを見せていただきまして、緊張感がありますし、それぞれの、いわゆるデシジョンメーキングというのか、意思決定過程というのを非常に大事にしていくようなプロセスというのを感じ取りました。
中央レベルでは、最近こういう型の訓練が入ってきておりまして、あとは、我々、いわゆる政治レベル、三役レベルも含めた訓練にそれを入れなきゃいけないんですが、まだそこが成り立っていないというふうな報告を聞いておりまして、そこのところも工夫をしていかなきゃいけないというところだと思います。
さらに言えば、やはり地方公共団体に対して、さっき御指摘のように、いわゆる訓練で使用する被害想定や時間経過に沿ったシナリオ、あるいは訓練の進行方法、あるいはまた図上訓練実施上の参考となる事項、こういうものを現在取りまとめておりまして、そういうものを地方公共団体に示しながら、こうした付与型の訓練ができていけるようなシナリオをつくっていくということ、こんなことを私たちとしてはやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう対応を今準備しているところでございます。
○神山分科員 ありがとうございました。
まさに、大臣おっしゃっていただいたように、これは結局、ファシリテーターと呼ばれたり、そこの場面でどういう形でその場をコーディネートするかという、その方の資質だったりとか、あとはそこにある資機材、これは極めて重要になると思います。緻密なものであればあるほど、やはり訓練そのものにリアリティーと緊張感が出てきます。それに基づいて練度も高まるというのが実態だと思います。
これを全て国がやるかというと、実はいろいろなシステムとかシナリオというのは既にもう存在をしていると思いますので、それをいかにそれぞれの地域地域にきちんと根づいてもらうように国がサポートできるか、ここが極めて重要なポイントだと思っています。お金をかける話ではありませんが、極めて重要性が高い部分ということで、ぜひ大臣にこの部分、お力添え、御尽力をいただきたいというふうに思います。
最後に、改めまして、あと一週間で震災から約一年がたつということになりました。これから、今御検討中の内容も含めて、我々、特に立法府の側が、さまざまな案件についてどれだけスピーディーに対応することができるかというところが肝だと思っておりますので、その点、ぜひ大臣にも御指導いただきながら、全体をできるだけ早くレベルアップさせていくということに力を尽くしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
きょうはどうもありがとうございました。
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○武正主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。
次に、長島忠美君。
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→予算委員会第一分科会会議録?∋仮?