衆議院 内閣委員会 会議録(発言部分抜粋)
平成24年3月7日(水)
平成24年3月7日(水曜日)
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代さん。
○高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。
まず、本日、質疑に立たせていただくに当たりましては、与野党の皆様の御配慮をいただきましたこと、まず心から御礼を申し上げます。
まず、官房長官にお伺いいたしますが、政府・民主党は昨日、特例公債法案を予算案と切り離して、衆院の採決を先送りするという方針を決めたとの報道があります。これが事実といたしますと、二年連続異常事態になります。本来、予算案と根拠法は一緒に参議院に送るべきであるのに、どのようにお考えなんでしょうか。
○藤村国務大臣 おはようございます。
今のお問い合わせの件は、これは私ども政府の立場でいいますと、予算を出し、関連法案を出し、そして、特に予算に係る法律については一緒に審議をし、結論を得ていただきたいという基本的な立場でございます。
その上で、これは与野党の国会の運びの問題でございますので、さまざまな御議論をされた上でのそういう判断があったのかなと思います。まだ正式にそういうふうになったというふうには聞いておりませんが、報道の範囲で、今おっしゃったとおりだとは思います。
政府といたしましては、いずれにせよ、予算あるいは関連法案、これは早期に年度内に成立をさせていただきたい、こういう姿勢、立場でございます。
○高木(美)委員 こういう大事な話を官房長官がまだ正式に聞いていないということに私は違和感を覚えます。
本来であれば、政府・与党でございますので、その間で決定されるべき話で、報道によっては、総理が最終的な決断を下したという報道も流れておりますけれども、これはきちんと、大事なことは、官房長官は総理を補佐する大事な立場であられますから、本来であれば速やかに聞かれるべきではないかと思いますが、そのスピードが、私は、こういう重要法案に対して余りに遅いのではないかと今懸念を持ちましたが、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 正式にというのは、これは多分、財務金融委員会における公債特例法の関係はいつその審議をし、最終的にはいつ採決するかというのは、正式に国会の財務金融委員会の中で決めていただくことで、そのことが決まったというふうにまだ正式に聞いていない、こういうことでございます。
内容的なことは、昨日の政府・民主三役会議というところで議論され、そのような方向は決まったというのは、私もメンバーの一人でございますので、聞いております。
○高木(美)委員 例えば交付国債を発行する法案についても、粉飾決算という野党からの反発が強いということは、もう既に御承知かと思います。この交付国債を発行しないで特例公債の枠をふやすというような選択肢は、政府としてはお考えにあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○藤村国務大臣 昨年暮れ、予算案を政府案として決定する際に、歳入予算、歳出予算それぞれに各府省とのさまざまな議論があり、今おっしゃっている交付国債につきましては、厚生労働省、財務省と最終的に相当な詰めを、私もその間に入ったこともありましたが、行った結果としての判断であった、こういうことでございますので、それが政府の最終的な判断になった、こういうことではございます。
○高木(美)委員 交付国債を発行しないで特例国債の枠をふやすというような、今後の国会の運びも、これは与党の話であるかとは思いますけれども、そういう選択肢は政府の中にはあるのでしょうか、ないのでしょうか。また、官房長官の胸の中にはおありなんでしょうか。
○藤村国務大臣 今申しましたように、厚生労働省と財務省、それぞれの立場で、それぞれの考え方を持って、相当、最終ぎりぎりまで議論をされまして、そのときにもちろん、片や、交付国債でなしに、いわば収入の、歳入の中にきちんと入り込む形での考え方もあると。一方、四十四・四兆円以内におさめるための一つのこれはやり方であるという主張もあり、それぞれ、双方さまざまな主張をぶつけ合った結果としての判断でございますので、これが政府の判断と考えていただくしかございません。
○高木(美)委員 恐らく、国会の運びとして、柔軟にしていかざるを得なくなるのではないかというふうに私は思っております。
さて、間もなく、三・一一東日本大震災から一年を迎えます。今、防災につきまして、国民の間にはかつてない意識の高まりがございます。やはり、コンクリートから人へという、それはコンクリートも人もとか今までいろいろな議論もありましたけれども、結局は、今回の震災を経験してみて、命の道路と言われるあの三陸自動車道の例もありましたけれども、道路、堤防、やはりこれがなければ国民の命と財産は守れない、このことも一つ明確になったかと私は思っております。
そこで、まず首都直下地震の発生確率の想定につきまして、政府の見解を伺いたいと思います。
今、東大地震研とか京都大学防災研究所とか、さまざまなところが、今回の東日本大震災を踏まえ、発生する頻度というのはかなり高まっているのではないかという、こうしたいわゆる確率の想定について計算し直したという例もあります。政府はどのように取り組まれているのでしょうか。
○藤村国務大臣 今おっしゃっていただいた各研究所等でのさまざまな推計、推定というものがあります。
そこで、政府の立場で申しますと、政府は、地震調査研究推進本部、ここが、今後三十年以内の南関東におけるマグニチュード七程度の地震発生確率を七〇%ということで、これも相当高い確率を示しております。
特に、切迫性の高いとされる首都直下型地震につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、従前の想定をはるかに超える巨大地震にも耐え得る防災対策が必要との考えのもとで、首都直下地震についても、被害想定の見直し、あるいは首都中枢機能の継続性の確保、あるいは帰宅困難者、この前もございました、などの対策を強化することとしているところでございます。
○高木(美)委員 そうしますと、まずこの発生確率の想定ですが、これは見直しはされるということでよろしいんでしょうか。いつごろぐらいまでにおまとめになるということは、官房長官、今御答弁お願いできますか。
○藤村国務大臣 今、私を座長に、防災担当大臣あるいは防衛大臣らも加わり、関係閣僚、そして学識経験者も加わっていただいて構成される防災対策推進会議を設置いたしまして、順次議論を積み上げてきているところでございます。
ただ、ここでも、確率の問題については、先ほど申しました地震調査研究推進本部での確率を想定して、その中での首都直下型地震対策についての対策を今進めておりまして、きょうも、たしか夕方、中間報告取りまとめの段階に至っておりますので、会議が開催される予定でございます。
○高木(美)委員 その会議の検討を見守るということでよろしいんでしょうか。わかりました。
私、やはり、当然あるということを想定した上で、老朽化したインフラの整備、また国民の皆様の命と財産を守るためのさまざまな措置というものは必要かと思いますが、ここが余りにばらばらなので、もう少し政府としてきちんと収束した形で想定を出されるべきではないかということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
と申しますのが、貞観地震、これはかなり東日本大震災のときに、東日本の各地域で、ここまで津波が来たというモニュメントが残されている等のお話もありました。この貞観地震のとき、これは東日本大震災に震源とかまた地震規模が類似をしていると言われておりますが、八六九年でした。それから九年後の八七八年に、首都直下型である相模・武蔵地震、さらに九年後の八八七年には、東海、東南海、南海の三連動地震と見られる仁和地震が連動し、富士山噴火まで発生した。こういう歴史もあることから、私はやはり、こうした想定というのは政府としてある程度収束をして行われるべきだと考えます。
さて、中川大臣にお伺いしてまいりたいと思います。
我が党の女性防災会議、松議長を中心に立ち上げまして、提言を申し入れさせていただき、女性の視点を生かした防災対策についての第一次提言、これも一定の進展が見られているところでございます。また一方で、昨年十月二十五日、私、それから参議院の木庭、我が党の災害対策本部長、障害者につきまして、災害時における障害者児支援と今後の防災対策に対する提言、これを官房長官のもとに伺わせていただきました。その提言を踏まえまして、何点かお伺いをいたします。
まず、国連障害者権利条約の当事者参加の趣旨からいいますと、中央防災会議、また官房長官が中心であられる防災対策推進検討会議等の委員の中に障害者を加えるべきと私は考えます。昨年六月、障害者基本法を改正いたしまして、その二十六条に、「防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。」、こうした「防災」ということも明記をさせていただきました。どのようにお考えでしょうか。
○中川国務大臣 おはようございます。よろしくお願いをします。
まず最初に、先ほどの地震の想定なんですが、これをもう少し整理してお答えをさせていただきたいと思います。
御指摘のように、大震災によって想定が変わってくる、全てを見直すということ、この作業をしておりまして、専門家によって検討会議をやっているんですけれども、一つは、直下型の地震について、秋ごろまでに震度分布と津波高を出していくということであります。それで、冬ごろまでに被害想定を行いまして、それから首都直下で想定される最大クラスの地震、津波に備えたトータルな災害対策を検討していくということになります。
それから、南海トラフについては、今月中に地震の強さと津波の高さの想定を専門家の皆さんによって出していただくということになっておりまして、それを基本にして全ての体制を見直していく、こういうことで始めていきたいというふうに思っております。
先ほどお尋ねの、いわゆる障害者基本法も踏まえた議論ということでありますが、障害者の視点の配慮が十分でなかった事例があるということ、これを東日本大震災後の避難所の運営等々を含めて反省しなければならないということ、これは基本的な認識を私も持っております。防災全般に障害者の視点を取り入れることというのは、非常に重要な課題だということであります。
障害者、高齢者などの災害時要援護者に関しては、これまでも、平成十七年三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定しまして、避難に関する情報伝達体制の整備、それから、市町村の避難支援対策計画の策定や避難所における支援等の取り組みを推進してまいりました。
また、昨年八月に改正をされました障害者基本法において、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。」こういう規定が盛り込まれたということを承知しております。
お尋ねの中央防災会議の委員は、実は国務大臣、指定公共機関の代表者など、その多くはいわゆる充て職と言われるところで任命をしておりますので、障害者の委員の登用は必ずしも容易でないというところがございます。しかし、一方で、例えば中央防災会議の専門調査会であります災害時の避難に関する専門調査会におきましては、障害者団体の代表の方に委員として参画をしていただきまして、一緒に議論をさせていただいております。
いずれにしましても、障害者基本法の趣旨も十分踏まえつつ、障害者の御意見もしっかりとお聞きをしていく、その前提としてさまざまな会議に参加をしていただくということ、これを心得ていきたいというふうに思っております。
○高木(美)委員 中央防災会議はまだ女性の参加率も大変低いと聞いております。ぜひともこの改善もあわせて求めるものです。
官房長官が主宰していらっしゃる防災対策推進検討会議、そこは女性の参加はもう既に三割、配慮をされたところでございます。ぜひ障害者の、当事者の参加がありませんと、障害特性に応じた検討であるとか、要援護者をどのように支援していくのか、いつまでもそれが災害のたびに課題になる、またそれが積み残される、一向に改善されない。この事態を打ち破っていかなければいけないのではないかと考えます。
官房長官、この会議に障害者の参加、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 高木委員からは、特に女性参加の件は昨年来さまざま御意見をいただく中で、相当大きく考え方が変わってきたことは事実でございますので、本当に貴重な御提言をいただきましたことを感謝申し上げます。
そして今、新たにまた障害者の参加ということであります。障害を持つ方々が、視覚障害、聴覚障害、非常にさまざまであるということなどは考えながら、御提言を今後慎重に検討したいと思います。
○高木(美)委員 ぜひとも御検討をお願いいたします。
次に、今回の障害者児の被害の実態調査を実施すべきではないかと考えます。いかがでしょうか。
○中川国務大臣 この大震災においての障害者の死傷者について、実は、正確な数字は現在に至るまで把握がされていないということがございます。しかし、岩手、宮城、福島三県の障害福祉施設については、全壊の被害を受けた施設が二十、それから一部損壊の施設が二百四十八あったということを承知しております。
無事に避難された方についても、障害者に配慮した情報伝達が十分に行われていなかったということ、そして、障害者用トイレの整備などバリアフリー対策が不十分であったということ、それから、他の避難者との関係から避難所で避難生活を送ることができずに、在宅で困難な生活を余儀なくされたというふうな問題、こういうところが指摘をされております。
こうしたことから、平成二十四年度の当初予算、今回の予算において、避難における総合的対策の推進経費として約四千五百万円を計上しておりまして、この中に、障害者など一万人を対象にした実態調査を行うということにしております。それを基本に、新たに対策を進めていきたいというふうに思います。
○高木(美)委員 大臣、三県の方たちを初め、障害者と一度ぜひ懇談をお願いしたいと思います。もしよろしければ、私、セットさせていただきますので。
例えば、聴覚障害がある、しかし、避難しろという声が聞こえないために座ったまま亡くなってしまったとか、いろいろな現場の話もあります。そうしたことをぜひ大臣がじかに、先ほども大臣は、現場主義が大事だという話、お会いしたときにおっしゃっていらっしゃいましたが、足を運ばれるのはまたお時間が大変でしょうけれども、もしあれでしたら東京でそのようなことも可能だと思います。
もう一年ですので、ぜひ今回の実態調査、数字ももちろんそうなんですが、どういうところに皆様が障害による困難を感じていらしたか、それを克服するにはどうしたらいいか、その実態調査を私は重ねてお願い申し上げます。
済みません。時間がだんだん押してまいりましたので、ここからは簡潔な御答弁をいただければありがたいのですが、資料をきょう用意させていただきました。
ここで、先ほどもお話ありましたが、災害時要援護者制度の有効性の検証及び見直しが必要であると私は思っております。災害時要援護者の避難支援ガイドラインをぜひとも見直していただきたいと思います。
この1の資料ですが、ここに「いわゆる「災害時要援護者」とは、」という、これがガイドラインの中の一つの例示という形で書かれております。ここに書いてあります「例」という、下の1から3ですね。例えば、介護保険の要介護、要介護三とか、これはかなり重度です。そしてまた障害程度の、身体の一、二級、知的障害の療育手帳A、これは相当重度です。こういう重度の方しか、今、自治体のホームページには資格として載っていない自治体が圧倒的に多いんです。
ですから、本来であれば発達障害、避難所に行けば奇声を発するので、御両親は心配して軽度の障害であっても車の中で生活せざるを得ない、半壊状態の家の中で。先ほど大臣がおっしゃっていたそのとおりです。そうしたところにどのように支援をしていくか、こうした大きな課題というのが今回また明白になったかと思っております。
ぜひとも、例えば災害時要援護者、この規定も含めまして、どうあるべきか、こうした見直しに着手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中川国務大臣 御指摘のとおり、なかなか市町村レベルで支援計画の策定等が行われていないという現実があるんだと思います。
それを受けまして、この二十四年度に障害者団体等で構成される検討会を開催いたしまして、実態調査の結果も踏まえて、こうした課題の解決のために検討をしていこうとしております。ガイドラインの見直しも含めてやっていきたいというふうに思います。
○高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
あわせまして、これは防災基本計画の見直しにも影響してくるかと思うんですが、例えば放送事業者という項目に、私は二百八十ページ全部読みまして、例えばその中に、ほとんど記述というのが余りないわけですが、障害者や高齢者等への情報伝達の配慮とか、もう少し具体的に書くべきではないかと思います。
これは官房長官に要請をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 前向きに検討させていただきます。
○高木(美)委員 それから、少し質問を省かせていただきまして、福祉避難所の指定につきまして、障害の方たちからは、特に障害児をお持ちの御家庭から、特別支援学校を福祉避難所として活用する取り組みを促し、防災拠点としての機能強化を推進すべきではないかという強い御要請をいただいております。
今、全体の中で二三・八%、たしかその数字だったかと思いますが、指定をされていると聞いております。これを、やはり通いなれた学校ですので一番過ごしやすいということもあり、推進をお願いしたいと思いますが、これは厚生労働省でしょうか、答弁を求めます。
○西藤政府参考人 お答えいたします。
福祉避難所の重要性は、委員御指摘のとおりであります。
福祉避難所の指定状況でございますが、平成二十三年三月三十一日現在でありますが、全市町村の約四割の自治体で一カ所以上の指定を行っており、その施設数は全国で七千五百四十六施設になっておりますが、御指摘のとおり、特別支援学校についてはまだ指定が余り進んでいない状況でございます。
私ども厚生労働省といたしましては、これまでも、全国担当者会議などを通じまして、福祉避難所について、事前指定の促進とともに、生活必需品でありますさまざまな装備などの備蓄促進、あるいは介助員や心のケアの専門家などの派遣などにつきまして、関係団体との事前協定の締結などを自治体に要請しているところでございます。
今回の東日本大震災での課題もよく検証し、要援護者の方々の支援強化に向けまして、文部科学省初め関係省庁、地方団体とも連携をしながら、福祉避難所の指定やその活用についてさらに取り組んでまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
それでは、公明党は政府にかつて、総合経済対策に関する緊急提言ということで、二月八日、防災・減災ニューディールということで提言を行いました。これは、老朽化したインフラを整備する、そしてまた、それはとりもなおさず国民の命と健康を守ることにつながる、あわせて公共事業による需要拡大でデフレ脱却を目指すという、この二本柱を考えております。
その中に何点か盛り込ませていただいたことを伺います。学校の耐震化、また防災拠点としての機能強化等、これは長い間公明党が取り組んできた政策でもありますが、現状と今後の取り組みにつきまして簡潔に御答弁をいただければと思います。
○城井大臣政務官 おはようございます。お答えを申し上げます。
御党の御提言はしっかり拝見をいたしております。東日本大震災でも明らかになりましたけれども、やはり学校が地域コミュニティーの中心でありますし、避難所、防災拠点の役割も果たしているということから、御提言いただいております耐震化、防災機能の強化は極めて重要だというふうに考えております。
耐震化については、文部科学省の把握によりますと、平成二十三年四月一日現在の公立小中学校施設では八〇・三%ですけれども、できる限り、自治体等の協力をいただきながら前倒しを平成二十四年度までに行っていきたいということで、まずは平成二十四年度の予算案の早期成立によりまして耐震化率を約九〇%まで持っていきたい、向上させたいというふうに考えております。
また、公立学校の九割が避難所となっていることがありますけれども、防災機能がまだ十分ではないという認識であります。その意味では、平成二十四年度予算案におきましても、防災機能強化事業を創設して、備蓄倉庫やあるいは自家発電装置の導入等の整備を補助対象とすることといたしております。
今後も引き続き、耐震化、防災機能強化の推進を図ってまいりたいと存じます。
○高木(美)委員 それでは次に、総務省に伺います。
今お手元に、2の資料の下の方の内容ですが、3のところに「庁舎」というのがあります。自治体の庁舎の耐震化が最もおくれていると考えております。全棟数八千四百十六のうち五千四百九十七が終了、六五・三%。二十二年度末の数字でございますが、約三千が未実施。
私は、やはり司令塔の一番拠点になる庁舎の耐震化は急務であると思っておりますが、その理由は何かとお考えでしょうか。また、今後の対応をどのようにされるおつもりでしょうか。
○黄川田副大臣 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、庁舎の耐震化、これは極めて重要でございます。
それから、耐震化率でありますけれども、これまた御指摘のとおり、庁舎は六五・三%でありまして、校舎や体育館などの文教施設が七九・一%、それから社会福祉施設が七二・一%でありますので、低いものとなっております。
その原因でございますけれども、これは、耐震化には多額の費用を要することから、避難所など住民の安全に深く関係する施設から順次、自治体が優先的に耐震化に取り組んでいることも一因と考えられております。
それで、これまでの取り組みと今後の取り組みでございますけれども、総務省として、地方公共団体の庁舎等の耐震化につきましては、地方債と地方交付税、これでもって財政措置ということであります。起債充当率が九〇%、交付税で措置が二分の一ということでございますが、特に地震による倒壊の危険性が高い庁舎及び避難所につきましては、平成二十一年度より支援措置を拡充いたしまして、交付税の措置を二分の一から三分の二に上げております。
そしてまた、皆さんのお力によりまして、東日本大震災を踏まえまして昨年十二月に創設されました緊急防災・減災事業、これにおきまして、臨時的な地方税制上の措置ではございますが、これが確保される財源の範囲内で、災害時に災害対策の拠点となる公共施設等の耐震化についても対象といたしまして、さらなる支援措置、強化した支援措置でございます。起債の充当率が一〇〇%になります。そしてまた、交付税の措置も七〇%ということで拡充しております。
今後とも、しっかりと地方自治体を支えていきたいと思います。
○高木(美)委員 ぜひ、黄川田副大臣がもう個人的に自治体に呼びかけながら進めていただきたいと思います。
最後に、国交省の政務官にお伺いいたします。
社会インフラ等の老朽化対策を含む災害に強い町づくりのための工程表を策定すべきではないかと考えます。計画的かつ大胆な集中投資が必要であり、自治体への支援など、国交省の取り組みにつきまして簡潔にお願いいたします。
○津川大臣政務官 お答えをいたします。
御党から御提案をいただきましたとおり、私どもも、社会インフラの集中的な更新というものは非常に重要であって、また、緊急的に取り組んでいかなければならないという危機感を持っております。
そのために、私どもとしては、まず施設の定期的な点検、それから長寿命化ということを現在進めているところでございます。また、この政策につきましては、地方自治体の取り組みについても支援をさせていただいているところでございますし、今後も、財政的、技術的な支援を行ってまいりたいと思っております。
集中的ということを御指摘いただきました。インフラの整備あるいは維持更新というものが内需拡大に貢献をするというのは、まさにおっしゃるとおりでございます。ただし、整備につきましても、維持管理につきましても、現場の担い手というものが必要でございまして、担い手の現状というところから考えますと、一時的に仕事量が集中をするというのはなかなか問題があるのも事実でございまして、一つの考え方として、平準化をするということもあわせて進めてまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
それでは、時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
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○荒井委員長 次に、野田聖子さん。
○野田(聖)委員 野田聖子でございます。
私は、去る二月二十二日、予算委員会で、少子化対策について、中川大臣のいろいろなお考えを伺いたいということで御質問させていただきました。ただ、そのときは、同席された小宮山厚生労働大臣が大変ハッスルされまして、少子化担当大臣に御質問したいんだけれども、厚生労働大臣が真っ先に手を挙げられると、なかなか落ちついてさしの話し合いができなかったので、きょうは改めて、あえて、少子化担当の特命でございますから、厚生労働大臣としての少子化対策ではなく、やはり全日本の少子化対策担当の責任者というそのお立場から、いろいろと議論させていただきたいと思います。
まず初めに、大臣にとって少子化対策とは何でしょうか。
○中川国務大臣 この国の形というのを将来に向けて考えていくときに、やはり、国が活力を持って、そして新しい時代に生き抜いていくという中で、少子化問題というのは、その活力の源泉をつくり出していくためのあらゆる政策誘導といいますか政策的な手段というのを結集しながら、そして、その政策手段を、ただ政策として言っているだけじゃなくて、具体的に効果のあらしめるような形で実現させていきながら、この国の活力をつくり上げていくことだというふうに思っております。
○野田(聖)委員 そういう大きな使命を抱いているわけですね。きょう、国家戦略の大臣がお見えですけれども、まさに国家戦略そのもので、むしろ、国家戦略を立てるに当たっての大前提になるのがこの少子化対策であるわけです。
ちなみに、その大きな仕事をお抱えになる少子化担当大臣を支える国家公務員、役人の皆さんは、総勢何人のチームでいらっしゃいますか。
○中川国務大臣 しっかり数えたわけじゃないので申しわけないのですけれども、後ろの事務方で聞きますと、大体、直接的には九人程度、こういうことなんです。
ただ、例えば、私の担当している範疇でいきますと、男女共同参画であるとか、あるいは共生社会へ向けて、いわゆる社会包摂等々含めた領域であるとか、非常に総合的に今担当させていただいていまして、それは全て少子化対策につながっていく、あるいは、総合的な政策としてあって初めて少子化対策が生きるんだというふうに考えていくと、もっと大勢の職員がそれに携わっているということも言えるんじゃないかと思います。
○野田(聖)委員 また、中川大臣は兼務でいらっしゃいます。
実は、数日前の新聞に、前の閣僚であった片山総務大臣から御注文がございまして、防災大臣はやはり専任、兼務せずにそれを集中的にやってほしい、それだけの大きな仕事なんだというふうなことをおっしゃっていて、確かに、去る三月十一日の大震災以降、防災というのはこの国にとって極めて重要なお仕事であるということがよく国民にも理解されているわけであります。と同時に、それと同等の重要性を持っている少子化対策担当なわけですね。
正直申し上げて、私自身は、それだけの仕事を担うだけの人もない、そして予算もない、ないない尽くしの中で、むしろ国民を欺くのではないかと。少子化担当大臣というのがいるからこれからの少子化はちゃんとやりますというふうに聞こえるけれども、実態はなかなか難しい。
本当に少子化担当大臣が必要だと今思われますか。
○中川国務大臣 思っております。
同時に、新しい、子育てそして子供を対象にした、いわゆる法制化ということ、これがもう具体的な課題になっておりまして、ここのところをぜひ野党の皆さんとも、あるいはまた国民のそれぞれの関係者の皆さんの理解を得ながら法律として成り立たせていって、その中から新しい子育ての体系というのをつくり上げていく、これがもう具体的にプロジェクトとして今ありますので、そういう意味では、私も全力を挙げてこの仕事に向かっていきたいというふうに思っております。
○野田(聖)委員 予算委員会のときに確認させていただいた折には、その極めて重要な仕事である少子化対策の担当大臣が約三カ月に一遍交代していると。
かつて、野党でおられた民主党は、自民党の総理大臣が一年ごとでかわるということを大変厳しく攻撃されておられましたし、実際、政権をとられてからは民主党の方でも一年ごとに総理はかわっておられるんですが、総理は一年ごとにかわってもいいから、できれば、少子化対策担当というのは、非常に中長期の仕事ですから、やはりこれだけはずっと誰かがやり続けていかないと、とても今大臣がおっしゃったようなアンビション、志を果たすことは不可能だと私は思ってしまうんですね。
そこで、では何ができるかというと、先ほども竹本議員の方からの質問で、岡田副総理に対して歳入庁の話がありました。つまり、先ほどの中川大臣の話を受けると、要するに、縦割りの中で達し得ない事業をやっていくとか、そういうことを実現していくということになるわけで、まさに縦割り行政を排除していくための一つの道具として、今私たちが省庁再編の武器として使っているのは、庁というものの設立なんですね。
復興庁もそうだったはずです。つまり、国土交通省だけでもできない、総務省だけでもできない、だからそこを横串的につくって、政策としての復興を新しいエージェンシーでやろう、そういう発想。同じように歳入庁もそうなんだと思います。
そして、今話題になっているのは、例えば宇宙庁とかスポーツ庁とか、一つの役所だけではもう間に合わないような、仕事がなされないような複合的な政策に対してエージェンシーという形で今新しい省庁再編が起きていると思うんですね。
そういった意味で、少子化対策というのは、今まさに大臣がおっしゃったように、もう厚生労働省の枠内だけではとてもポジティブな答えが出せないというところに来ているからこそ、実は、民主党のマニフェストでは、子供、家族を対象にした子ども家庭省もしくは庁をつくるということで選挙を戦われた。
ですから、特命大臣のお仕事というのは、なし遂げる、なし遂げるじゃなくて、なし遂げるための新しい一歩、例えば少子化対策のための新しい省庁再編であるエージェンシー、庁をつくるということが大きな仕事の一つではないかと思うんですが、これについては、予算委員会でも、いや、そういうふうにやっていくから、やっていくからと。やっていくからというのは言葉では流れていくけれども、実際、ないと、そこにやはり集中できないというのは事実なんですね。
これに対して、もう一度、しつこいかもしれませんが、総合的な少子化対策のための新たな機動的なエージェンシー、庁、省をつくる、大臣としてお声を上げることはままならないんでしょうか。
○中川国務大臣 方向性としては、同じ問題意識を持って私も進めていきたいというふうに思っています。
実は、今回の子ども・子育て関連法案の中で、一つは、内閣府でそれを担当していくことが前提になっていくということ。それから、財源についても、子ども・子育て特別勘定のような形で、それぞれこれまで縦割りであった財源というのを一元化していくという流れ。それと同時に、子ども家庭庁のこれは芽出しなんですが、本部的な機能を組織として恒常的に持って、それをマネジメントしていくということからまず始めていく、それが発展しながら子ども家庭庁に結実をしていくということで、一つ、今、法案のシナリオがなっております。
そういうことを前提にして、ぜひ、これから具体的に国会での議論を一緒にやっていただければありがたいというふうに思います。
○野田(聖)委員 私は、先日、予算委員会で厚生労働大臣があんなに張り切った理由はそこにあると思うんですね。少子化対策というのは子育て支援じゃないんですよ。今、大臣がいみじくもおっしゃった子ども・子育て新システムというのは、いる子供対象だけの政策なんです。これは、厚生労働省がずっと従前からやってきた、自民党が与党のときからずっとやり続けてきたことなんですね。つまり、少子化対策は子育て支援じゃないんです。これがうまくいっていれば、当然、合計特殊出生率は上がっているはずなんです。
実は、政府では、自民党の政権のときからですけれども、一九九〇年に一・五七ショックというのがありました。そこでようやく少子化対策をしなくちゃならないねということでスタートを切って、たくさんの制度やら政策をつくってきたんですよ。これに関しては与野党に反対者はなかったんですね。やるべきだ、やるべきだということで、当時の野党である皆さんも反対せずに、いろいろなことができてきた。一九九四年にはエンゼルプランというのができまして、五年後には新エンゼルプランとなり、どんどんできてくるんです。
実は、与野党で合意して、少子化対策のために合計特殊出生率を上げましょう、一・五七からできれば二・〇七まで戻さなきゃいけないねという目安の中でいろいろな制度がつくられてきたけれども、基本的には全部不成功に終わっているんですね、合計特殊出生率を上げるという点では。
それはなぜかというと、少子化対策を子育て支援と読み切ってしまった間違いがあるわけです。
ところが、自民党政権、政権交代前の最後の大臣である小渕さんはそれに気がついた。子育て支援が少子化対策じゃないんだ、もっと結婚前、要するにゼロを一に変えることが少子化対策だとするならば、実際にある子供たちだけを支援してもこの国の少子化対策は改善されないということで、そういうチームをつくられて答えを出されたわけですね。
これに対して、残念ながら、せっかく政権交代して、それを進めてもらえるかと思ったら、後戻りして、逆に、自民党政権のときに皆さんの御理解もいただいて進めてきたけれども、少子化対策イコール子育て支援という小さな枠の中で進めてきて功を奏しなかったところに、また戻ってしまった。私は、それが残念でならないんです。
ところで、その新システムの中で自慢の一つであるこども園。これは、実は認定こども園というのがあるんですね。五年前につくられているんですね。五年たっているんです。去年、実は見直しの時期だったんですけれども、民主党政権になってからこれは見直しに着手をされましたか。
○中川国務大臣 先ほどの御指摘はしっかり受けとめさせていただきたいと思います。
子ども・子育て新システムというのを私たちは今回打ち出したわけですけれども、これが全てではない。小渕前大臣のころの政策も改めて読ませていただきました。結婚から始まって、それこそ委員も御主張されている、妊娠、出産、子育てから、もう一つはワーク・ライフ・バランス等々含めて、社会のシステムをつくっていくということがあって初めて効果が出てくるということ。改めてそうした思いを持ってやっていきたいというふうに思っております。
認定こども園の話については、今回、総合こども園ということで、基本的には、いわゆる教育ということと保育ということが両立できるような形と同時に、それぞれの財政的な支給というのも、個人に対して財政の基盤をつくっていく、いわゆる社会全体で子供たちを育てていくというような基盤に立ったシステムに統一をしていこうということで、トータルな形で法案化をしておりますので、認定こども園の改めての検証というのはその中でやってきたということであります。
○野田(聖)委員 事務方に確認していただければいいんですけれども、それでは、過去八人の少子化対策担当大臣が民主党政権で誕生したわけですが、過去、どなたか、認定こども園に視察に行かれた大臣はおられますか。
○中川国務大臣 確認をしましたら、岡崎大臣ほか、何人かは行かれておるということであります。
○野田(聖)委員 その大臣から申し送りがなかったのかもしれませんが、実は、この認定こども園というのは、親からは評判がいいんですね。私が聞きました話は、横浜市で大変優秀な認定こども園があって、そこに入りたいということで横浜市に引っ越しをされているという話もあるやに聞きました。
ただ、認定こども園の弱点はむしろ経営者側の面倒くささにあって、会計が二つに分かれているとか、そういうところで設置するのにやりづらいんだけれども、実は、利用者である、ユーザーである国民からしてみると、認定こども園というのは使い勝手がいいという評判があるわけですね。
そんなに評判がいいにもかかわらず、改めて新しくつくりかえなきゃいけないというのは、何となくお金の無駄遣いというか、政権交代したからやむを得ないと言ってしまえばそれまでですけれども、教育の連続性を考えたときには、余り国民の方に目を向けていないんじゃないかなという疑いがどうしても持たれてしまうんですけれども、それについて、もう一度だけお考えを教えてください。
○中川国務大臣 見直すといっても、総合こども園というのは、認定こども園が使い勝手がいいところ、それこそ保育ということと、それから教育、幼稚園の機能というのを両方あわせた形で使っていただけるということ、これが一つです。
もう一方で、これまで会計が別だったというところを一元化していって、これも一つのシステムにしていくような方向で誘導をしていくということがこの法律の核になっておりまして、そういう意味では相当使い勝手がいい形のシステムになっていくんだろうというふうに思います。
○野田(聖)委員 非常に残念なのは、確かに、違う政権がやったことだから無視しようというのも一つですけれども、五年かけてでき上がった認定こども園というのを、きちっと俎上に上げて、それのメリット、デメリットをきちっと国会の中で議論もせず、似て非なるものかもしれませんけれども、うやむやのままに移行していくというのは、ある意味すごく行政の無駄遣いかなという懸念があります。
今後、政権交代というのがこの国で明らかに起こり得る状態とするならば、その都度その都度振り回されるのが親の方になってしまってはかなわないわけでありまして、この辺はやはり慎重に取り組んでいただきたかったなという思いがあります。
それで、実は、予算委員会の次の日、中川大臣のインタビューで、にわかに、これだけの少子化、高齢化に対応するために移民政策をしっかり議論しなくてはならないというので、私は大変驚いてしまったんですね。予算委員会で少子化を質問させていただいた次の日ですから、にわかにそういうふうに持ってきちゃうのかという思いが強くしたんですけれども、この真意についてちょっとお聞かせください。
○中川国務大臣 記者会見では、もちろん少子化がまず第一だ、この対策を実現していくということでなければならぬという意味合いはしっかり言ったんです。
その上で、実は、私が担当しているのは、さっき申し上げたとおり、この少子化問題だけではなくて、具体的には、外国人の労働者に対応する問題、難民の問題、それから定住外国人の問題、こういうものも同時に担当しています。それが一つ。
その中で、それぞれ別個に議論しているんですけれども、こういう形でトータルな社会の構造と、それから、担当ということもあって、それを総合的に考えていくということ、これがぜひやっていきたいという前提。
それからもう一つは、現状でも、例えば日系という名目で日系三親等までは日本に入ってきて、ブラジルやペルーのいわゆる出稼ぎで日本で働くというような皆さんが、もう既に三十万人近く日本に入ってきている。あるいは、研修という、それこそ国際貢献という名のもとに、三年間の期限を区切って、中国の皆さんが中心ですけれども、これも三十万人近く日本に入ってきている。そういうことがなし崩し的にもう既に日本の社会の現状の中にあるということを考えていくと、ここについてしっかりとしたいわゆる多文化共生社会の政策と枠組みをつくっておかないと、社会的に非常に混乱してくるという可能性があるということ。
さらに、私も文部科学省にいたものですから、また別な意味で、例えば科学技術の日本の将来を考えていったら、日本の研究所だとか大学だとか、あるいは、そうした非常に付加価値の高い分野で、日本に行けば自分の能力が発揮できる、あるいは、日本で研究するということがすばらしいことなんだというような、そういう魅力のある国をつくっていくということに対する戦略も必要じゃないかということをずっと議論していたものですから、そういう意味で、なし崩し的な政策ではなくて、それを一つの秩序立てた考え方で、国民のコンセンサスもその中に入れ込みながら対応していくということが必要なんじゃないか。
そういうことをトータルで言うと移民政策になるわけですけれども、そういう議論もそろそろ始める必要があるというその問題意識の中で申し上げたということであります。
○野田(聖)委員 移民政策に対して排除するつもりはありませんけれども、少子化対策かというと、私は違うと思うんですね。経済的な労働力の充当とかそういうことで議論されることがあっても、少子化、つまり日本に住む子供たちの数が減っているから移民対策も考えなきゃいけないねというのは、ちょっとこれは話の順序が全く違うんじゃないか。
むしろ、今までの日本は、一九九〇年以来、少子化対策の名のもとに、子育て支援しかしていなかった。他国、フランスや少子化を克服した国を見ると、何もかも変えるわけですね。文化を変えるぐらい取り組んだ結果、例えばフランスなんかも合計特殊出生率が一・六幾つぐらいを適正値の二・〇七まで引き上げるんですけれども、改善するためにありとあらゆる努力をしているわけですよ。だから、まずそれをして初めて移民政策の話をしていただきたいな。
労働とかそういう分野でお話しするのは結構だけれども、少子化に対しては、まず初めに日本人ありきという発想で大臣が捉えていただかないと。
移民政策をとってしまえば、極めて楽な場合もあります。例えば、アメリカというのは少子化対策の優等生なんですね。合計特殊出生率は二を超えていると思うんですよ。フランスと同じぐらい。でも、アメリカには、少子化対策はないんです、そういう政策が。つまり、常時移民をどんどん国に入れ込むことで、その人たちが全員アメリカ人になるわけですから。
日本はそのような国土ではないし、そのような文化でもない。だから、やはり少子化を語られるときに軽々に移民の話を持ってくると、自助努力が全く発生しなくなるという危険性があるので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
そこで、では、どれだけ自助努力をしていないかということなんですけれども、自民党も、そして今の政権も反省しなきゃいけないのは、先ほど申し上げたように、少子化対策イコール子育て支援で思考がとまっちゃっているんですね。そうじゃなく、やはりゼロのところを一にしていく努力というのをしていかなきゃいけない。
実は、フランスというのはそれをやったんですけれども、これは大変なことだと思うんです。つまり、婚姻制度をいじったんですね。日本のようにがちがちの厳格な婚姻制度にあった国が、やはり子供がふえないとこの国が滅びるということで、子供ができる条件を非常に緩和した。つまり、基本的に誰でも子供を産んで育てられる国家にしたわけです。
これに対してどういうふうに思われますか。
○中川国務大臣 そういう質問が出るだろうということを予想させていただいて、ちょっと勉強させていただいたんですが、PACSというシステムだと思うんですね。法定婚といいますか、法律でがちがちに結びつけた結婚ということの前に、前提として、事実婚的な部分を、一番大事な部分だけ、ということは、社会全体でそれを包み込みながら子育ても社会でやっていける、そういう弾力的なシステムをつくったことによって、子供をつくるということに対しての荷物の軽さといいますか、つくって前向きに子育てを楽しむということに対する思いというのが、結果として、恐らく相当醸成できるんだというふうに思います、見ていると。
そういうことはいろいろな形で、日本のシステムを考える場合にも、これから議論をしていくということが大事だなというふうに思うんですが、もう一方で、社会のコンセンサスをそういう中でつくっていかなきゃいけないということがあると思います。
先進的にそうした主張をしていただく野田委員には敬意を持って、私たちも、一緒にさらに進めていくような環境をつくっていくということ、いわゆる議論の場をつくっていくということ、これに尽くしていきたいというふうに思っています。
○野田(聖)委員 実は、これは本当に日本特有の問題で、少子化対策は与野党を超えて問題を解決しなきゃいけない、子供を一人でも多く産んでもらえる社会にしなきゃいけないと言いながら、その阻害要因というのが、意外と結婚にあったりするわけですね。
つまり、結婚をするに壁が、ハードルが高いというのかな、そういうことで、一つは、やはり婚外子についての理解がない。フランスとか、少子化対策の優等生という国々の子供のうちの半分は婚外子なんですね。つまり、正式な結婚をしていなくても、生まれた子供は国で差別しないよ、だから一生懸命産んで育ててくださいという国からの応援があるわけですね。でも、日本の場合は、やはり結婚制度が非常に厳格で、日本の男女も結婚制度に極めて忠実で、ですから、婚外子というのは、日本では一、二%しか生まれていないわけですね。
そこら辺を、少子化対策を乗り越えるというのはきれいごとでは済まない。つまり、エンゼルプランから始まって、今回のシステムも、誰もが反対しません。どうぞどうぞ、これはいいことで、やりましょうと言ったけれども結果が出ないことばかりなんです。
つまり、少子化対策で結果を出すためには、ある意味、今までの生き方と違うことを認めて、そしてブレークスルーしていかなきゃ、けんかをしなきゃ少子化対策はなし遂げられないということを他国はもう既に実証しているわけですね。
そういうことをぜひ、何となく、すぐイデオロギーみたいに勘違いする人がいるんだけれども、そうではなく、本当にどうやってこの国を維持していくかということを考えたときに、やはり旧来型の文化で閉塞感がある中を変えていくのが政治の役割とするならば、中川大臣がそういうことに対して少し柔軟にお考えを持っていただくことは極めて重要だと思います。
もう一つは、少子化対策というのは、働く女性がちゃんと子育てできればいいんでしょうみたいなところがあるんですけれども、実は、小渕ペーパーによりますと全然違うことが出てくるわけですね。
子供が生まれなくなった理由というのは、実は、結婚して子供を産む人の数というのはそんなに変わっていないんですね、急激に。そこそこ産む努力はしてくれている。ところが、二つ問題があって、子供が少なくなった理由。一つは、やはり不妊の人がふえている。これはちょっと後で話します。もう一つは、晩婚化、そして晩婚化による晩産化なんです。
だから、なかなか結婚しなくなったので、結婚しないと子供は産まないか産めない国なので、結婚をしなければ子供は出現しないんですね。なおかつ、遅くに結婚すると、たくさん産めていたはずが、やはり体力の限界があって産めないということもあり、そういうことについて実は余りきちっと触れていないんです。
もっと申し上げるならば、その原動力になっているのが非婚化の進展、結婚しない、晩婚どころか結婚しないという現象がすごくふえてきている、とりわけ男性に。男性が結婚しなくなっているんですね。一九九〇年に、先ほど申し上げたようにエンゼルプラン、一・五七ショックで大変だということで始まったけれども、実は、その時点で男性五十歳時の非婚率は五・五%だったんです。女性の四・三%より多いんですね、そもそも。ところが、ここ十数年、二十年の間で、女性の晩婚率というのは二、三%しか上がっていないにもかかわらず、男性の非婚率というのが何と一五・六%。要するに、男性が結婚しなくなったというのがこの国の、ある意味新しい顔なんだと思います。
これについて、先日予算委員会で、自民党政権になったら小泉さんをぜひ少子化担当大臣と言ったのは、一つにはやはり、少子化というのを子育ての枠組みとか女性の枠組みに閉じ込めてしまって、男性はそこから目をそらしているんじゃないか。でも、実際にデータを調べてみると、男性が、足を引っ張っているという言い方は悪いけれども、少子化をつくっている原因にもなっているということを、やはりもっと科学的に精査していただいて、これについての対策をとってもらいたいと思うんですが、それについて、男性の代表としていかがでしょうか。
○中川国務大臣 草食系男子というか、日本の男性が草食系になってきた、よくこう言われますけれども、そうやってレッテルを張るんじゃなくて、さっきのお話でいくと、もう少し分析をしてみる必要があるんじゃないかということだと思うんですね。
同じペーパーで見ていますと、一方で、女性が男性に期待をするところで特に所得というのがあるんですよね。これを見ていると、それこそ、四百万、六百万ぐらいの所得がないと私は結婚しないわよというような期待感があるんですが、実際、男性の方で所得分布を見ていると、やはり三百万を切ってしまう人たちがたくさんいる。同時に、いわゆる就労のあり方というのも、派遣だとかあるいはパートタイマーだとかというので、非常に不安定になってきているということ。
これは言いかえれば、本当は日本の男性も結婚したいんだけれども、結婚できないんだ、女性をそこまで引きつける体力とそれから資力、それが鍛えられていないんだということ、これはもう一方でいえばシステムでもあるんだと思うんです。これは一例ですが、そういう分析をしっかりした上で、全体の社会システムをつくっていくということだと思います。
その上でもう一つ言えば、さっきの子育てについても、そういう時代だからこそ我々は社会でシステムをつくって子供を育てていくというベース、安心感をやはり醸し出さないとだめなんじゃないかということだと思うんです。子ども手当ということを始めたわけでありまして、これも与野党の話し合いの中で今決着をしつつあるんですが、そんなベースはお互いしっかり認識しながら、新しい時代に向けた新しい社会構造、社会システムというのをつくっていくということ、これが本当に大事だというふうに思います。
○野田(聖)委員 私がここで申し上げたいのは、くどいようですけれども、少子化対策は子育て支援だけではないということ、そして女性のライフスタイルの問題だけではないということ。本当にそういった意味では、今まで、男性がこの問題にキャッチアップできていないんですね、追いついていない。ここをやはり全力で取り戻すことがこれからの日本の国家戦略の一つであるということを強く申し入れたいと思います。
そこで、ちょっと具体的な話になりますが、不妊治療という話をしたいと思います。つまり、少子化対策は、可視化できる、生まれた子供に対する政策だけでは子供がふえないから、当然、子供を産もうと努力している人たちに対しても、それと同じ、もしくはそれ以上の手厚い支援が必要だと思っています。
実は、去る衆議院のマニフェストで民主党は、このことに関して、子ども手当をするに当たって、子ども手当だけでは、いる子供にお金を上げても子供はふえないから、今まさに不妊治療で頑張っている人たちに対してのもっと十分な手当てをしてほしいということで、恐らく当時の担当者がわかったと言って、インデックスに入れてあるんですね、不妊治療の拡充。
ところが、私自身は、多少はあっても、子ども手当とてんびんにかけられるぐらいの不妊治療に対しての手厚い支援はなかったと断言させていただきます。
先ほど申し上げたフランスにしてもそう、そしてノルウェー、こういう国々は、いわゆる体外受精に対しても、最初の四回とか最初の三回は全額国が支援します。そういうことをして初めて不妊治療の患者さんへのエールを送っているわけですけれども、ここでもちょっと男性の話に触れたいと思います。
不妊というと、どうしても昔の人たちのイメージは女性に問題があるというふうに片づけてしまって、昔、嫁して三年子なきは去れという言葉がありましたね。結婚して三年子供が生まれなかったら実家へ帰れというのが、昔、ちょっと前までの日本の不妊に対するイメージですよ。ところが、医療の進歩のおかげで、実はもう最近は、不妊の原因の半分が男性にあるということが明らかになりました。
そして、厄介なのは、男性不妊の場合は普通の人工授精ではなく、体外受精という、大変女性の体に負担がかかり、かつ費用が約五十万円ぐらいかかる、こういうことをしなければ男性に問題があった場合には子供が授からないということが起きているわけですね。
私たちは、これに対して、ぜひ子ども手当で、幻でありましたけれども五兆ほどお金を積むという予定をされていたけれども、やはりこれから、努力をしている人、これは保険適用にならないんですね。不妊症というのは病気なのに、そういう治療に対して本当に保険の壁は厚く、対応にならない。何で、禁煙とかメタボに保険がどんどん使われるのに、こういう若い人たちが努力していることをこの国は認めてあげてエールを送れないのかなという非常に腹立たしいところがあるんですけれども、これに対して、ほぼゼロ回答に近い今日ですけれども、今後どういうふうなお考えを持っておられるか、教えてください。
○中川国務大臣 これまで熱心な主張をしていただいて、一歩一歩といいますか、特定治療支援事業という事業を導入して、その額あるいはその条件というのは一歩一歩現実に、必要な資金に近づけてきていただいているということ、そのことを感謝申し上げたいというふうに思います。
さっきの御指摘のように、これが法的に特定されないということから保険の対象になっていないという現実があるわけでして、ここのところを厚生労働省でずっと議論してきたということを私も認識しております。
議論をしてきた結果、やはり、いわゆる病気ではない、一言で言えばそういう定義なんでしょうね、これは。そういう意味での治療ではないという認識の中で、医療に入れるということをしないで、特定治療支援事業という形で、補助金みたいな形で資金援助をするという体系に今なっているというふうに理解しています。そこのところを、これからどういう議論を重ねて克服していくかということだと思います。
厚生労働省の議論を待ちながら、私もそれに参画をしていきたいというふうに思います。
○野田(聖)委員 不妊が病気でないとするならば、助成金というやり方もあります。一回五十万の負担金を、三回、四回でいいから負担してあげることで、若い人たちに子供を授かるチャンスがこの国にはあるということを知っていただいて、御尽力いただきたいと思います。
そこで、最後五分になってしまったんですけれども、国家戦略大臣、科学技術の特命担当大臣ということで、ぜひ質問させていただきたいんです。
私も福田、麻生政権のときに科学技術担当大臣を仰せつかりまして、私は理工系の人間でありませんから、科学のカの字もわからない日本人だったんですけれども、その大臣をやって、ああ、この国はまだまだいけるぞと。いろいろ世間では厳しい評価があるけれども、本当に科学技術の分野ですばらしい人たちが大変な活躍をされている。でも、どうして国民との距離感がこんなにあるのかなということを思案していたんです。
今回、私がここで質問したいと言ったら、役所がだめだと言うんですね。というのは、今度国会で科学技術・イノベーション特別委員会というのができたから、科学技術に関してはそこの委員会で質問しろ、そういう水臭いことを言われたんですけれども、やはり国家戦略としての科学技術としてあるからこそ、委員会をわざわざ立ち上げたわけですよね。
そこで、担当大臣として少しお尋ねをしたいんですけれども、大臣にとって、世界に誇れる日本の科学技術というのはどういうものを具体的に思っておられますか、技術として。こういうのはすごいなと思っているという。
○古川国務大臣 私も野田委員と同じく、そういう科学系でないものですから、今もう一回十八歳に戻れるんだったら、今度はやはり理工系に行って、そういう技術を勉強したいなと。法学部なんか出ても、これからは余り役に立たぬじゃないかと自分で思ったりもいたしておりますけれども。
私は、例えばiPS細胞などは、まさにこれからの医療のあり方を劇的に変えていくものではないかなというふうに思っています。
私は、科学技術というのは、やはり国家戦略という意味で極めて大事だと思うんですね。例えば、歴史を振り返ってみますと、暗黒時代と言われた中世ヨーロッパが、その後、世界をまさに支配するような勢力になっていったのは、やはり産業革命という劇的な科学技術のイノベーションがあった、そのことによって長きにわたった低迷から、停滞から抜け出していった。やはり、科学技術の進歩とか科学技術が与える影響というのは、極めて社会に大きなインパクトを与えるんだと思います。
そういった意味では、まさに野田委員おっしゃったように、これは国家戦略としてやっていかなきゃいけない課題だと思いますし、日本の場合は、私はいろいろな方々にもこれまでもお話を聞きました。例えばトロンを発明した坂村先生なんかにもお話を聞きました。すごくいい技術はあるんですが、その技術をうまく本当に生かせていないんですね。
ですから、今回、今、私ども科学技術とイノベーションを一体的に捉えて、やはり技術をイノベーションにつなげて、それが社会を変えていく。そして、今お話にあったように、国民の皆様方に、この科学技術が私たちの生活にこういう形で貢献しているんだ、こういうふうに変わったんだと実感してもらえるような、そういう科学技術とイノベーションを一体的に捉える体制をつくっていこうというふうに検討いたしております。
そういった意味では、問題意識は委員と同じであります。さまざまな、先ほど申し上げたiPSであるとか、それこそトロンなんかも、今、ユビキタス社会というので、これもこれから多分世界にも広がっていくと思います。
これからの日本社会だけではなくて世界を変えていく、そうしたさまざまな技術、私は日本のいろいろなところにまだ隠れていると思いますので、そういったものを見つけ出して、それをイノベーションにつなげ、そして社会に貢献させていく。ぜひ、そうしたことに積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○野田(聖)委員 残念ながら時間がないので、もっといろいろなやりとりをしたいんですけれども、たまたま今大臣が山中先生の話をされたので、苦言とともに申し上げるならば、今度、iPS細胞で世界的に活躍されている山中教授が、三月十一日に京都マラソンに出られるそうなんです。
その理由はなぜか。今、国からお金をもらっているけれども、実は今の政権下において、二〇一四年以降の資金確保のめどが立っていない。だから、その寄附を募るためにマラソンに出るという話がありました。マラソンに出ることはとてもいいことだと思います。ただ、その目的が、国費が二〇一四年からなくなるかもしれないということで寄附を募るというのは大変残念なことだと思います。
こういうことをしっかり直していただいて、本当に科学技術が国家戦略だと位置づけているなら、こういうことがなきようにしていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
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○岡島委員長代理 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
幾つか、違う話題につきまして質問させていただきます。
まず最初に、中川大臣にお伺いをいたしたいと思います。第三国定住難民の受け入れ事業についてです。
私、今、公明党の難民プロジェクトチームの座長をしておりまして、十一年前に参議院議員として初当選してからずっと、ライフワークの一つとして難民支援の仕事をしてまいりました。海外の難民キャンプも二十ぐらい回ってまいりましたし、当時、私も与党でございましたけれども、難民問題についてはかなり野党的な立場で、政府、法務省、外務省に、難民支援について強化するように努力をしてきた経緯がございます。
その上で、この第三国定住難民の受け入れ、約九十人の難民をタイのメーラ・キャンプから、ミャンマーの特にカレン族の方々を受け入れるという事業でございまして、海外では、ニュージーランドやオーストラリア、アメリカ合衆国、欧米諸国の多くがやってきた事業ですが、これが初めて始まった。
今、ちょうど第二陣の家族の方々が来ておりまして、新宿区内の支援センターで、いろいろ、日本語の教育を受けたり、あるいは社会適応の訓練をされている。私自身、二週間ほど前に支援センターに参りまして、視察をさせていただいて、難民の家族の皆様とも直接意見交換をさせていただきました。
今の事業のあり方についても、個別にはさまざまな問題点があるという立場で、先般、予算委員会の分科会で玄葉外務大臣と議論させていただきましたが、本日、中川大臣にお聞きをしたいのは、これは一応三年間のパイロット事業ということになっておりまして、そうしますと、来年度に受け入れる方々が第三陣ということになるんだと思います。
今、さまざまな問題があると申し上げたのは、実は第三陣で来られる家族の方が少なく、定員が三十に対して十名を割るとか割らないとか、そういうことも巷間言われておりまして、支援のあり方についての改善は改善でしなきゃいけないんですが、私は、三年目で終わってしまってはいけない、こういうふうに思っております。
ぜひ、これはもう個人的に強い要望として申し上げると、この事業は、やはり日本が人道支援という観点から難民を受け入れるということを国際社会に示すということも含めて、強くコミットして続けていただきたいと思っているんですが、政府として、この事業の継続の可否をいつごろ決めるのか、また、どういう評価をしてから決めるのか。大臣、所管にみずから申し出てなられたと伺いましたものですから、お伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 御質問していただいて、ありがとうございます。しっかり元気づけていただくんだということで、一緒にこの事業をぜひ成功させていきたい。
御指摘のように、今はパイロット事業ですから、本格的な受け入れ事業へ向いて展開ができるということ、これが社会全体も変わっていくということの一つの端緒になっていくと思っていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
先ほど御指摘のように、二十五年以降の方針といいますのは、今、関係行政機関と検討、協議を行っていくということになっておりまして、本年度中に開催予定の難民対策連絡調整会議、ここで正式に決定をするということになっております。
個人的にはというよりも、これまで私自身もこの事業に携わってきました。実は私の地元で一陣の半分の家族が生活をしておりまして、そんな中で、さっき御指摘あったようにいろいろな問題もあります。しかし、それを克服していくことによって、システムが整ってきて、多文化共生の社会がそこからまたでき上がってくるという、日本にとってのメリットというのもあるわけでして、そこのところを押さえていくと、ぜひ、その三年以降も続けていきたいという思いを持って対応していきたいというふうに思っております。
○遠山委員 大臣、大変ありがとうございます。
大臣の地元に第一陣の家族の半数がいらっしゃるというのは存じ上げておりませんでした。大変失礼いたしました。
大臣、これで大臣との質疑は終わりますが、一点だけ。
今トラブルに若干なっている最大の原因は、やはり、タイから日本に来て六カ月間だけの日本語研修を受けて日本の社会の職場で適応するというのは、これは普通に考えて難しいということなんですよ。よって、六カ月の集中的な日本語研修、社会適応訓練はいいんですが、終わった後にどういうケアをするかという観点で政府にいろいろ考えていただきたいんですね。
私が先般外務大臣に提案をさせていただいたのは、RHQという団体がこの支援の中心になっておりますが、それ以外にもさまざまなNPO、NGO、市民団体が日本に来られた難民を支援しようという、まあ、ボランティアベース、あるいは若干財政支援が必要な、いろいろなケースがありますけれども、そういうところがありますので、そういうところを幅広く巻き込んでやっていくということが大事だと思います。
また、ビルマ、ミャンマーから日本に来られた人の累計数というのは意外と多くなってございまして、地域にエスニックコミュニティーがある場所があります。東京でいえば新宿の高田馬場周辺というのは、ビルマ料理の店とか、そういうコミュニティーが実際あるわけですね。そういうコミュニティーの協力を仰ぐということも大事ですし、それから、大臣済みません、ついでに、ニュージーランドが非常にそのアフターケアの部分で参考になると思います。
私も、大分前ですけれども、九年ぐらい前にニュージーランドに視察に参りまして、驚きました。ニュージーランドの民間の、難民としてニュージーランドに住みついた家族をボランティアで二人一組で毎週ホームビジットをして支援するということをやっているNGOがあって、政府がどういう支援をしているかというと、そのボランティア活動を半年やった人に、日本で言うところの放送大学の単位を与える。つまり、お金じゃなくて、国が経営している通信制の大学の単位をその難民の家族を支援しているボランティアの方に与えるというインセンティブを出すことで、政府の認知もしているわけですね。
だから、そういう工夫をいろいろすれば、何でもお金というわけではありませんので、ぜひ大臣のリーダーシップのもとでこの事業を初め難民支援を強化していただきたいと申し上げて、次の質問に参ります。
次は、末松副大臣、来られていると思いますが、私は先週末、もう定期的に行っておりますけれども、釜石、陸前高田、大船渡の三つの被災地を回ってまいりました。今、公明党で復興支援チームの座長をしております。今回、六回目の現地入りだったわけです。
それで、陸前高田市役所に行って市長とそのスタッフと意見交換をさせていただいたんですが、きょうお聞きしたいのは、副大臣御承知のとおり、陸前高田市は、津波で左から右まで中心市街地は一ミリも残らず全部破壊をされたということで、これから全部復旧復興していかなきゃいけないんですが、その中で、社会教育施設。具体的には、図書館、公民館、博物館、運動場、水泳プール、あるいは学校附属ではなくて市民が使う体育館、そういった社会教育施設の整備については、復興交付金の事業の対象になっていないという指摘を現地で私は受けました。
では、どうやって。もうないわけですね。図書館も水泳プールも何もないわけですから、陸前高田市は。それはいつか復旧しなきゃいけない、復興しなきゃいけないという中で、政府から言われているのは、私、今手元に紙を持っていますが、文科省の補助制度で公立社会教育施設災害復旧費補助金制度というのがあるんですね、こちらを使って復旧してくれと言われているんです。
ところが、副大臣、ここから本題なんですが、この文科省の既存の補助金制度は、原形復旧が大前提なんです。原形復旧ということは、つまり、もともと建っていた場所に同じような規模でつくるときに補助金を出しますよ、こういう制度なわけです。
そうしますと、もう私が説明しなくても副大臣おわかりのとおり、今、陸前高田市なんかも新たな町づくりの計画を策定中でございます。当然、海沿いにはもう人は住めません。一定程度内陸側に人を寄せなければいけないわけですし、それから、町によっては自然エネルギーの基地を誘致したいとか、いろいろな新たな要素を入れて町づくりをしているわけですから、原形復旧が前提だと、この補助金制度、原理主義的に言うと使えないわけです。
ただ、文科省に私が確認をしたら、いや、被災地については柔軟に対応しますと言っているんです。言っているんですが、副大臣、もう一つ問題がありまして、ペーパーワークが、これは霞が関の官僚も認めているんです、こんな量のペーパーを出さないと補助金とれないんですよ。
それを被災地の自治体にやらせるというのは、これは済みません、我々公明党、見落としていました。きちんと与党の皆さんから事前に、復興交付金対象事業の四十事業はこうですとリストをもらっていたんですが、その中にこういう施設が入っていないということを私たちも気づかなかったんですね。
だから、私どもの反省も込めて、これはぜひ追加で復興交付金の対象事業にこの社会教育施設も入れて、そうすれば、被災自治体とすれば他の事業と一緒に同列で復興庁に申請もできますし、ペーパーワークは少ない。なぜ少ないかといえば、いろいろな省庁間の調整作業は復興庁がやるわけですから、自治体が文科省とやる必要はないんですね。
そういう意味で、ぜひ社会教育施設については復興交付金の対象事業に今から追加してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
○末松副大臣 遠山先生におかれましては、数々貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。
御指摘の社会教育施設につきまして、先生御指摘のように、高台等に移転して再建する場合を含めて、文科省の災害復旧費補助金によって対応しております。復興交付金はそれ以上のものでございます。
そこで、陸前高田市の方からもいろいろと要望が来ていますけれども、そこを、その復旧以上にどういったものがあるか、ここを精査していくという話になろうかと思います。ですので、先生の御指摘もございましたので、早速、職員を早急に派遣いたしまして、現地の事情を、一対一というかバイでしっかりと御要望を承って、復興交付金という枠が使えるということであれば、あわせてそこをやっていくようなことができるかできないか、そこを至急検討させていただきたいと思っております。
あと、事務の資料について、これは補助金ですので、ある程度のところは必要かもしれませんけれども、できるだけ柔軟なことができないか、そこもまた検討させていただきます。
○遠山委員 末松副大臣、ありがとうございます。もう副大臣御自身がよく被災地のことを御存じでございますので、また、迅速に人を派遣していただくということで、大変ありがたいと思っております。
一点だけ、ちょっとしつこいようで恐縮ですけれども、この補助金制度を使ってやるにしても、今高台のお話をされましたけれども、用地造成とともに上物の建設の費用も、被災地の地元は、復興交付金の対象事業にしてくれないかなという意見があるんです。
それから、私が今回この質問を通告した際に役所の方から教えていただいたんですが、実は、私が今挙げた施設のうち、水泳プールとか運動場の一部は、交付金対象事業になっている学校の付随施設の改善のところで読み込んで、復興交付金の対象になっていますというんですね。
ただ、それは被災地から見ると非常にわかりにくくて、こちらの社会教育施設の補助金制度、これは文科省ですね、既存の補助金制度にもそういう施設が対象ですよと書いてあるわけです。それで、復興庁に聞くと、いやいや、全部じゃないけれども、一部はこっちでもできますよという説明なんです。それ自体が混乱のもとだと私は思っているんです。だから、それは副大臣のもとでちょっと整理をしていただいて。
どういうことかというと、そうすると、水泳プールなんかはこっちを使ってもいいし、復興交付金を使ってもいいですよと言っているわけです。そのこと自体が、役所によって混乱のもとになりますし、もしかしたら、被災市町村の間で対応が違っちゃって、後で知って、何だということにもなりかねませんので、ちょっと整理をしていただいて、どういうやり方が一番いいのかというのをもう一回お示しいただければと思いますが、これは要望ですので答弁は要りません。
それから、続けて末松副大臣にお伺いしたいんですが、これも副大臣よく御承知のとおりですけれども、今、やはり被災地で雇用の問題が大きくなってきていますね、雇用保険も切れてきておりますし。それで、企業をもっと被災地に誘致したいと。陸前高田の戸羽市長も言っておりましたけれども、企業の中には、復興支援という意味も込めて、ぜひ進出をしたいとオファーしてくれている企業もあるというんですね。
ところが、話がそこから先に進まない最大の原因は、では、海沿いに人は余り住まないから企業用地でどうぞと仮に被災自治体が言っても、防潮堤が完成しないとやはり不安だ、もう一回津波が来ないと誰も言えませんので。ところが、防潮堤が完成するまで五年間は最低かかるという話が大体地元では通説になっているわけですね。そうしますと、地元は企業を呼びたい、行ってもいいよという企業はいる、しかし、防潮堤ができるまで五年間かかるから五年間来れませんねと。
そうすると、本来企業が来れば生まれる雇用が五年間生まれないということになりますので、ここはちょっと工夫が必要だと思うんですが、副大臣、私にも提案があるんですけれども、言う前に、副大臣のお知恵を聞きたいと思います。
○末松副大臣 先生御指摘のように、確かに今、海岸線につきまして防潮堤、応急対策ということで、重要な海岸線についてはまず応急対策をやって、本復旧についても今一生懸命にやっているところでございます。ただ、御指摘のように、いろいろな、全部が完成するのに五年ぐらいかかってしまう。それと、企業がそれまで待てるんですかというのが、確かに一番大きな問題になっております。
ただ、私ども、市町村が今さまざまな多重防御という考えのもとで町づくりをやっておりますので、道路をかさ上げするとか、二線、三線を引くとか、そういったことの中で、企業の御不安というものを下げていくということ、町づくり全体としてそれを考えていくというのも一つあろうと思います。
また、いろいろなメニュー、税制の優遇とか立地補助金とか、あるいは漁港のエリアのかさ上げとか、企業によって使いやすいような形のいろいろなメニューを今私どもはつくっているんですけれども、そういった中で、できるだけ企業の誘致にとってマイナスにならないように今やってきております。そこを何とか工夫していくということが今重要なことかなと思っております。
○遠山委員 それぐらいの厳しい実情だとは思いますが、私の提案は、これは当然、土地の所有権の問題があるので簡単じゃないということをあえて承知した上で申し上げれば、復興庁とかあるいは政府を挙げて、特に三陸沿岸の津波で破壊され尽くしたエリアについては、特段に政府が主導権を発揮して、進出したい企業が、津波が絶対浸水しない地域に政府の方でどこか土地を決めて、そこに集中的に早期に企業を誘致できるような工業団地、復興記念工業団地とか、名前は何でもいいんですが、そういう、企業が安心して来られて、しかも復興特区制度を使っていろいろな優遇措置を受けながら、東北の方々、特に三陸沿岸の方々への雇用を生み出すことができる、こういうような事業を少し考えられてもいいんじゃないかなと私自身は思いました。
海沿いに来ていただきたいんですけれどもと地元の方に言われても、企業もなかなかそこは難しいわけですから、それを折り合わせるために、少しそういった特別プロジェクトも企業誘致のために考えていただきたい、これも要望でございます。
それで、済みません、ほかの閣僚の皆さんに質問があるので足早に参りますが、藤村官房長官にお伺いをいたします。
昨年の三・一一の後を受けまして、大規模災害時における首都機能、国家機能の確保、維持ということを、私はそろそろ真剣に考える時期に来ているのではないかと思っております。そこで、一部の専門家も主張を既にしておりますが、私も自分の著作でも書いたんですけれども、仮称副首都指定制度というものを導入すべきではないかというふうに思っております。
この制度というのは、平時からあらかじめ、大規模災害が首都圏を襲ったときに、その国家機能の一部を担い得る地方都市を副首都として指定しておいて、実際に大規模災害が例えば東京都あるいは首都圏を襲ったときに、そこの指定された副首都に国家機能の一部を移転する。
もっとイメージが浮かびやすく申し上げれば、例えば、災害時に、外務省は福岡、財務省は大阪、国土交通省は名古屋、あるいは環境省は仙台とか、そういうふうに首都以外の地方都市、大きな主要都市にならざるを得ないと思いますが、そこを指定しておいて、実際に国家機能が移転したときにスムーズに業務が執行できるインフラ整備を国主導でやるべきではないか。あるいは、大規模災害が首都圏で起こったときを想定して、その地元の自治体の職員とシミュレーション、訓練も行うべきではないかというふうに思っております。
私も以前、外務省の大臣政務官をやりましたので、例えば外務省が、首都圏が大地震に襲われても国家は続きますから、外交機能というのは必要なわけですね。しかし、では、外務省が名古屋でも大阪でも福岡でも一時的に移転して仕事がすぐできるかというと、これはできません。
要するに、秘密通信のためのインフラがどこの地方都市にも存在しないわけですから、電話一つにしても、盗聴できないセキュアラインを用意しなきゃいけませんし、電信、通信の機器も特別なものを外務省なんかは使っているわけですね。そういったものが地方に全く整っておりませんし、いきなり外務省の役人が例えば福岡市役所とか福岡県庁を間借りしていって、外交活動が十分できるかというと、できない。
ですから、これは平時から副首都指定を地方都市にして、有事の際にそこにどういう国家機能を動かすかというところぐらいまで想定して準備をしておかないと、いきなり東京に直下型の大地震が来て大慌てになっても、国家機能の損失がそのまま経済の損失にもつながりますので、長官、そういったことは今の政府内で御検討されているでしょうか。
○藤村国務大臣 首都直下型地震などの緊急事態が首都東京で発生した場合、政府あるいは金融機関、情報通信など、首都中枢機能が途絶されることなくこれを確保する、この姿勢が絶対必要だと思います。
御指摘のあった、仮称ですが、副首都構想というのは、ずっと昨年の三・一一より前からも、それぞれに検討していることは事実でございました。この三・一一を契機にといいますか、今、国交省では、例えば東京圏の中枢機能のバックアップ検討会、これは昨年の十二月からもう五回ほどやる予定になっておりますが、非常にスピードアップして、この件を今検討に入っているところでございます。
ただ、首都そのものの副首都というと、これは相当大がかりなことになろうかと思うので、コストや実現可能性など、さまざまな点からも検討していく必要があると思います。例えば、日銀は今、大阪支店というのが一つかわりになるという発想をお持ちだし、NHKはやはり大阪放送局が次のキーになるという、つまり、必要な最小限の部分は、私は大阪なものですから、やはり大阪というのは一つの大きな構想の一つではあろうかと思います。
政府におきましては、第三次補正予算の中では首都機能のバックアップに係る調査ということで、先ほどの国交省もありますが、もう一つ内閣の方でも今検討に入っておりまして、御指摘の副首都制度の創設、あるいはそのためのインフラ整備、訓練の実施なども含めて検討させていただきたいと思います。
○遠山委員 ぜひ、官房長官、検討していただきたいと思います。
この話題に関連をして川端大臣にお伺いしたいと思いますが、まさに大阪都構想は橋下現大阪市長が主唱して社会の耳目を集めているわけでございますが、同時に、橋下市長も道州制ということについても最近おっしゃっているわけでございます。
私も、公明党の一員としてというか、公明党自体が二〇〇九年の総選挙からマニフェストで地域主権型の道州制を公約で掲げておりますので、推進をしている一人でございますけれども、今の政府として、あるいは与党民主党として、道州制の導入についてはどのような基本姿勢なのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○川端国務大臣 地域主権の方向の中で道州制を超党派でも熱心に御議論いただいている遠山委員、公明党さんも含めて、きょう、たまたま松原大臣おられますが、前の会長ということで、熱心にやっておられることは十分に承知しておりますし、私たちとしても、住民に身近な行政はその周辺で責任を持ってやれる仕組みということを求めてまいりました。
そういう中で、私たちは、基本的には、一番のもとは基礎自治体がやる、これは共通していると思うんですが、その次の広域自治体に関しては、現段階においては、都道府県を今のそのままで念頭に置きまして、さらに広域の部分は、現行で行われております、一部で始まりました広域連合という形を考えて、今いろいろアクション・プランを含めて進めております。
道州制に関しては、それも視野に入れながら、ただ、今すぐに全国一律に道州制というのはなかなか山あり谷ありなので、当面は、当事者からの発意に基づく自治体間連携による広域連合の方が円滑に進むと思って取り組んでいるところでございます。
○遠山委員 川端大臣、大体今おっしゃったようなことを野田総理も御答弁でおっしゃっているんですが、ちょっと積極性が足りないなというふうに思っているんです。
私は、道州制というのは、単に中央集権体制を見直して地域にいろいろな財源や権限を付与するだけではなくて、まさに今、国会議員の定数問題もそうですけれども、いろいろな行革、あるいはこれから人口減少していく日本の国家、社会の中で、行政機関もスリムにしていかなければいけないという意味で、この道州制というのは非常にそういう面でも意義があると思うんですね。行政の効率化という意味ですね。
例えば、私は地元九州全域と沖縄を全部回っているわけですけれども、九州でいえば、道州制が実現すれば、単純に言えば、一般的にわかりやすく言えば、七人の県知事を六人リストラして一人の州知事でいいわけです。県議会も、七つの県に何十人といますけれども、それも全部州議会ということで統合して、大幅に、ナチュラルな形で議員も減らせる。
また、地方の権限が強まるわけですから、国会議員も七百二十二人いなくて全然いいわけですね。霞が関の非現業の国家官僚三十万人のうち、二十万人が今地方の出先機関にいる。これも変えていいわけですね、十万人でいいわけです。二十万人の方々がみんな仕事にあぶれるわけではなくて、州政府に入っていただいて能力を発揮するということができるわけです。
そこで、川端大臣、簡単に。アクション・プランに基づいて民主党政府も国の出先機関の原則廃止と掲げておりますが、これは相当官僚機構の抵抗が強いと思いますけれども、本当にどこまでできるのか。簡潔に、決意でも結構ですけれども、お答えいただきたい。
○川端国務大臣 道州制も含めて、地域主権を進めるということはまさに国の大きな形を変えるということでありますので、そういう意味で、我々、いわゆる出先機関を中心に、意思のあるところから順次という手順を踏むつもりをしておりますが、長年にわたって国の中心として、出先機関として誇りを持ち、責任を持ち、能力を持ってやっておられた方々は、移すのであれば、本当にちゃんと担保できるかという心配を持たれることは事実だと思います。
個々に、すっと渡せるものと、相当工夫しないと渡せないものと、そうはいっても最後まで国が見なければいけないというのが、仕分けがいろいろあります。そういう議論を踏まえる中で、昨年末には、各府省の合意も得て、一定の方向性の取りまとめをすることができました。
そういう意味では、着実に進むことはできていると思うんですけれども、これからいよいよ各論に入ってまいりますので、いろいろありますけれども、先生言われたものも含めて、大きな国の行政のスリム化、あるいは身近な行政の実現のためにはどうしてもやらなければいけないことだと思って、最大の努力をしてやってまいりたいと思っております。
○遠山委員 ほぼ質疑時間が終わりましたので、最後に松原大臣、お待たせいたしました。
私、公明党でいろいろな役職をやっていまして、党でサイバー攻撃対処検討委員会の委員長もやっていまして、中小企業なものですから、ちょっとやり過ぎなんですね、済みません。
それで、サイバー攻撃、昨年大変話題になりまして、私ども、十二月十五日に官邸に伺って、宛先は野田総理ですけれども、齋藤勁官房副長官に要望いたしました。不正アクセス禁止法を出していただいたりとか、もう既に政府の方でいろいろ御対応いただいているんですが、私がきょうお聞きしたいのは、簡潔に申し上げます。
一つは、サイバー攻撃をするツール、ソフトを無料でダウンロードできるサイトが、中国語、スペイン語、ロシア語で堂々とインターネットにございます。これを使えば、ダウンロードした人は誰でもDDoS攻撃をサイトにかけられるという事態。これが一つですね。
もう一つは、私たちに百ドルくれたら、あなたの嫌いなサイトを攻撃しますと、サイバー攻撃請負業者というのまでまた公然といるわけでございまして、そろそろ、他国言語で書かれているサイトだからいいよということにならないんじゃないかというふうに私は思っております。
もう時間がありませんから、この点だけ、警察を所管する大臣としてどう対応されるのか、お聞きしたいと思います。
○松原国務大臣 時間が来ておりますから簡潔にお答えいたしますが、そうしたさまざまなサイトがあるということで、サイバー攻撃を請け負う旨の書き込みが主として海外のウエブサイト上でなされていることは承知をしております。これらはサイバー攻撃を助長するものであり、非常に問題であると認識をしております。
ただ、サイバー攻撃ツールを公開することや攻撃請負を書き込むことは直ちに違法行為には該当しないわけでありますが、今後、サイバーパトロール等を通じ、この種情報の把握に努めるとともに、インターネット上で違法行為を請け負うような書き込みについては削除要請なども行ってまいります。
さらに、実際に攻撃が行われた場合には、国内において所要の捜査を行うとともに、ICPOを通じ、海外の捜査機関に対し、攻撃元に関する捜査協力要請を実施しております。
これらとあわせ、再発防止措置を講じ、あるいは海外の捜査機関に対し依頼などをしてまいります。
以上です。
○遠山委員 以上で終わります。ありがとうございました。
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代さん。
○高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。
まず、本日、質疑に立たせていただくに当たりましては、与野党の皆様の御配慮をいただきましたこと、まず心から御礼を申し上げます。
まず、官房長官にお伺いいたしますが、政府・民主党は昨日、特例公債法案を予算案と切り離して、衆院の採決を先送りするという方針を決めたとの報道があります。これが事実といたしますと、二年連続異常事態になります。本来、予算案と根拠法は一緒に参議院に送るべきであるのに、どのようにお考えなんでしょうか。
○藤村国務大臣 おはようございます。
今のお問い合わせの件は、これは私ども政府の立場でいいますと、予算を出し、関連法案を出し、そして、特に予算に係る法律については一緒に審議をし、結論を得ていただきたいという基本的な立場でございます。
その上で、これは与野党の国会の運びの問題でございますので、さまざまな御議論をされた上でのそういう判断があったのかなと思います。まだ正式にそういうふうになったというふうには聞いておりませんが、報道の範囲で、今おっしゃったとおりだとは思います。
政府といたしましては、いずれにせよ、予算あるいは関連法案、これは早期に年度内に成立をさせていただきたい、こういう姿勢、立場でございます。
○高木(美)委員 こういう大事な話を官房長官がまだ正式に聞いていないということに私は違和感を覚えます。
本来であれば、政府・与党でございますので、その間で決定されるべき話で、報道によっては、総理が最終的な決断を下したという報道も流れておりますけれども、これはきちんと、大事なことは、官房長官は総理を補佐する大事な立場であられますから、本来であれば速やかに聞かれるべきではないかと思いますが、そのスピードが、私は、こういう重要法案に対して余りに遅いのではないかと今懸念を持ちましたが、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 正式にというのは、これは多分、財務金融委員会における公債特例法の関係はいつその審議をし、最終的にはいつ採決するかというのは、正式に国会の財務金融委員会の中で決めていただくことで、そのことが決まったというふうにまだ正式に聞いていない、こういうことでございます。
内容的なことは、昨日の政府・民主三役会議というところで議論され、そのような方向は決まったというのは、私もメンバーの一人でございますので、聞いております。
○高木(美)委員 例えば交付国債を発行する法案についても、粉飾決算という野党からの反発が強いということは、もう既に御承知かと思います。この交付国債を発行しないで特例公債の枠をふやすというような選択肢は、政府としてはお考えにあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○藤村国務大臣 昨年暮れ、予算案を政府案として決定する際に、歳入予算、歳出予算それぞれに各府省とのさまざまな議論があり、今おっしゃっている交付国債につきましては、厚生労働省、財務省と最終的に相当な詰めを、私もその間に入ったこともありましたが、行った結果としての判断であった、こういうことでございますので、それが政府の最終的な判断になった、こういうことではございます。
○高木(美)委員 交付国債を発行しないで特例国債の枠をふやすというような、今後の国会の運びも、これは与党の話であるかとは思いますけれども、そういう選択肢は政府の中にはあるのでしょうか、ないのでしょうか。また、官房長官の胸の中にはおありなんでしょうか。
○藤村国務大臣 今申しましたように、厚生労働省と財務省、それぞれの立場で、それぞれの考え方を持って、相当、最終ぎりぎりまで議論をされまして、そのときにもちろん、片や、交付国債でなしに、いわば収入の、歳入の中にきちんと入り込む形での考え方もあると。一方、四十四・四兆円以内におさめるための一つのこれはやり方であるという主張もあり、それぞれ、双方さまざまな主張をぶつけ合った結果としての判断でございますので、これが政府の判断と考えていただくしかございません。
○高木(美)委員 恐らく、国会の運びとして、柔軟にしていかざるを得なくなるのではないかというふうに私は思っております。
さて、間もなく、三・一一東日本大震災から一年を迎えます。今、防災につきまして、国民の間にはかつてない意識の高まりがございます。やはり、コンクリートから人へという、それはコンクリートも人もとか今までいろいろな議論もありましたけれども、結局は、今回の震災を経験してみて、命の道路と言われるあの三陸自動車道の例もありましたけれども、道路、堤防、やはりこれがなければ国民の命と財産は守れない、このことも一つ明確になったかと私は思っております。
そこで、まず首都直下地震の発生確率の想定につきまして、政府の見解を伺いたいと思います。
今、東大地震研とか京都大学防災研究所とか、さまざまなところが、今回の東日本大震災を踏まえ、発生する頻度というのはかなり高まっているのではないかという、こうしたいわゆる確率の想定について計算し直したという例もあります。政府はどのように取り組まれているのでしょうか。
○藤村国務大臣 今おっしゃっていただいた各研究所等でのさまざまな推計、推定というものがあります。
そこで、政府の立場で申しますと、政府は、地震調査研究推進本部、ここが、今後三十年以内の南関東におけるマグニチュード七程度の地震発生確率を七〇%ということで、これも相当高い確率を示しております。
特に、切迫性の高いとされる首都直下型地震につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、従前の想定をはるかに超える巨大地震にも耐え得る防災対策が必要との考えのもとで、首都直下地震についても、被害想定の見直し、あるいは首都中枢機能の継続性の確保、あるいは帰宅困難者、この前もございました、などの対策を強化することとしているところでございます。
○高木(美)委員 そうしますと、まずこの発生確率の想定ですが、これは見直しはされるということでよろしいんでしょうか。いつごろぐらいまでにおまとめになるということは、官房長官、今御答弁お願いできますか。
○藤村国務大臣 今、私を座長に、防災担当大臣あるいは防衛大臣らも加わり、関係閣僚、そして学識経験者も加わっていただいて構成される防災対策推進会議を設置いたしまして、順次議論を積み上げてきているところでございます。
ただ、ここでも、確率の問題については、先ほど申しました地震調査研究推進本部での確率を想定して、その中での首都直下型地震対策についての対策を今進めておりまして、きょうも、たしか夕方、中間報告取りまとめの段階に至っておりますので、会議が開催される予定でございます。
○高木(美)委員 その会議の検討を見守るということでよろしいんでしょうか。わかりました。
私、やはり、当然あるということを想定した上で、老朽化したインフラの整備、また国民の皆様の命と財産を守るためのさまざまな措置というものは必要かと思いますが、ここが余りにばらばらなので、もう少し政府としてきちんと収束した形で想定を出されるべきではないかということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
と申しますのが、貞観地震、これはかなり東日本大震災のときに、東日本の各地域で、ここまで津波が来たというモニュメントが残されている等のお話もありました。この貞観地震のとき、これは東日本大震災に震源とかまた地震規模が類似をしていると言われておりますが、八六九年でした。それから九年後の八七八年に、首都直下型である相模・武蔵地震、さらに九年後の八八七年には、東海、東南海、南海の三連動地震と見られる仁和地震が連動し、富士山噴火まで発生した。こういう歴史もあることから、私はやはり、こうした想定というのは政府としてある程度収束をして行われるべきだと考えます。
さて、中川大臣にお伺いしてまいりたいと思います。
我が党の女性防災会議、松議長を中心に立ち上げまして、提言を申し入れさせていただき、女性の視点を生かした防災対策についての第一次提言、これも一定の進展が見られているところでございます。また一方で、昨年十月二十五日、私、それから参議院の木庭、我が党の災害対策本部長、障害者につきまして、災害時における障害者児支援と今後の防災対策に対する提言、これを官房長官のもとに伺わせていただきました。その提言を踏まえまして、何点かお伺いをいたします。
まず、国連障害者権利条約の当事者参加の趣旨からいいますと、中央防災会議、また官房長官が中心であられる防災対策推進検討会議等の委員の中に障害者を加えるべきと私は考えます。昨年六月、障害者基本法を改正いたしまして、その二十六条に、「防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。」、こうした「防災」ということも明記をさせていただきました。どのようにお考えでしょうか。
○中川国務大臣 おはようございます。よろしくお願いをします。
まず最初に、先ほどの地震の想定なんですが、これをもう少し整理してお答えをさせていただきたいと思います。
御指摘のように、大震災によって想定が変わってくる、全てを見直すということ、この作業をしておりまして、専門家によって検討会議をやっているんですけれども、一つは、直下型の地震について、秋ごろまでに震度分布と津波高を出していくということであります。それで、冬ごろまでに被害想定を行いまして、それから首都直下で想定される最大クラスの地震、津波に備えたトータルな災害対策を検討していくということになります。
それから、南海トラフについては、今月中に地震の強さと津波の高さの想定を専門家の皆さんによって出していただくということになっておりまして、それを基本にして全ての体制を見直していく、こういうことで始めていきたいというふうに思っております。
先ほどお尋ねの、いわゆる障害者基本法も踏まえた議論ということでありますが、障害者の視点の配慮が十分でなかった事例があるということ、これを東日本大震災後の避難所の運営等々を含めて反省しなければならないということ、これは基本的な認識を私も持っております。防災全般に障害者の視点を取り入れることというのは、非常に重要な課題だということであります。
障害者、高齢者などの災害時要援護者に関しては、これまでも、平成十七年三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定しまして、避難に関する情報伝達体制の整備、それから、市町村の避難支援対策計画の策定や避難所における支援等の取り組みを推進してまいりました。
また、昨年八月に改正をされました障害者基本法において、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。」こういう規定が盛り込まれたということを承知しております。
お尋ねの中央防災会議の委員は、実は国務大臣、指定公共機関の代表者など、その多くはいわゆる充て職と言われるところで任命をしておりますので、障害者の委員の登用は必ずしも容易でないというところがございます。しかし、一方で、例えば中央防災会議の専門調査会であります災害時の避難に関する専門調査会におきましては、障害者団体の代表の方に委員として参画をしていただきまして、一緒に議論をさせていただいております。
いずれにしましても、障害者基本法の趣旨も十分踏まえつつ、障害者の御意見もしっかりとお聞きをしていく、その前提としてさまざまな会議に参加をしていただくということ、これを心得ていきたいというふうに思っております。
○高木(美)委員 中央防災会議はまだ女性の参加率も大変低いと聞いております。ぜひともこの改善もあわせて求めるものです。
官房長官が主宰していらっしゃる防災対策推進検討会議、そこは女性の参加はもう既に三割、配慮をされたところでございます。ぜひ障害者の、当事者の参加がありませんと、障害特性に応じた検討であるとか、要援護者をどのように支援していくのか、いつまでもそれが災害のたびに課題になる、またそれが積み残される、一向に改善されない。この事態を打ち破っていかなければいけないのではないかと考えます。
官房長官、この会議に障害者の参加、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 高木委員からは、特に女性参加の件は昨年来さまざま御意見をいただく中で、相当大きく考え方が変わってきたことは事実でございますので、本当に貴重な御提言をいただきましたことを感謝申し上げます。
そして今、新たにまた障害者の参加ということであります。障害を持つ方々が、視覚障害、聴覚障害、非常にさまざまであるということなどは考えながら、御提言を今後慎重に検討したいと思います。
○高木(美)委員 ぜひとも御検討をお願いいたします。
次に、今回の障害者児の被害の実態調査を実施すべきではないかと考えます。いかがでしょうか。
○中川国務大臣 この大震災においての障害者の死傷者について、実は、正確な数字は現在に至るまで把握がされていないということがございます。しかし、岩手、宮城、福島三県の障害福祉施設については、全壊の被害を受けた施設が二十、それから一部損壊の施設が二百四十八あったということを承知しております。
無事に避難された方についても、障害者に配慮した情報伝達が十分に行われていなかったということ、そして、障害者用トイレの整備などバリアフリー対策が不十分であったということ、それから、他の避難者との関係から避難所で避難生活を送ることができずに、在宅で困難な生活を余儀なくされたというふうな問題、こういうところが指摘をされております。
こうしたことから、平成二十四年度の当初予算、今回の予算において、避難における総合的対策の推進経費として約四千五百万円を計上しておりまして、この中に、障害者など一万人を対象にした実態調査を行うということにしております。それを基本に、新たに対策を進めていきたいというふうに思います。
○高木(美)委員 大臣、三県の方たちを初め、障害者と一度ぜひ懇談をお願いしたいと思います。もしよろしければ、私、セットさせていただきますので。
例えば、聴覚障害がある、しかし、避難しろという声が聞こえないために座ったまま亡くなってしまったとか、いろいろな現場の話もあります。そうしたことをぜひ大臣がじかに、先ほども大臣は、現場主義が大事だという話、お会いしたときにおっしゃっていらっしゃいましたが、足を運ばれるのはまたお時間が大変でしょうけれども、もしあれでしたら東京でそのようなことも可能だと思います。
もう一年ですので、ぜひ今回の実態調査、数字ももちろんそうなんですが、どういうところに皆様が障害による困難を感じていらしたか、それを克服するにはどうしたらいいか、その実態調査を私は重ねてお願い申し上げます。
済みません。時間がだんだん押してまいりましたので、ここからは簡潔な御答弁をいただければありがたいのですが、資料をきょう用意させていただきました。
ここで、先ほどもお話ありましたが、災害時要援護者制度の有効性の検証及び見直しが必要であると私は思っております。災害時要援護者の避難支援ガイドラインをぜひとも見直していただきたいと思います。
この1の資料ですが、ここに「いわゆる「災害時要援護者」とは、」という、これがガイドラインの中の一つの例示という形で書かれております。ここに書いてあります「例」という、下の1から3ですね。例えば、介護保険の要介護、要介護三とか、これはかなり重度です。そしてまた障害程度の、身体の一、二級、知的障害の療育手帳A、これは相当重度です。こういう重度の方しか、今、自治体のホームページには資格として載っていない自治体が圧倒的に多いんです。
ですから、本来であれば発達障害、避難所に行けば奇声を発するので、御両親は心配して軽度の障害であっても車の中で生活せざるを得ない、半壊状態の家の中で。先ほど大臣がおっしゃっていたそのとおりです。そうしたところにどのように支援をしていくか、こうした大きな課題というのが今回また明白になったかと思っております。
ぜひとも、例えば災害時要援護者、この規定も含めまして、どうあるべきか、こうした見直しに着手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中川国務大臣 御指摘のとおり、なかなか市町村レベルで支援計画の策定等が行われていないという現実があるんだと思います。
それを受けまして、この二十四年度に障害者団体等で構成される検討会を開催いたしまして、実態調査の結果も踏まえて、こうした課題の解決のために検討をしていこうとしております。ガイドラインの見直しも含めてやっていきたいというふうに思います。
○高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
あわせまして、これは防災基本計画の見直しにも影響してくるかと思うんですが、例えば放送事業者という項目に、私は二百八十ページ全部読みまして、例えばその中に、ほとんど記述というのが余りないわけですが、障害者や高齢者等への情報伝達の配慮とか、もう少し具体的に書くべきではないかと思います。
これは官房長官に要請をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤村国務大臣 前向きに検討させていただきます。
○高木(美)委員 それから、少し質問を省かせていただきまして、福祉避難所の指定につきまして、障害の方たちからは、特に障害児をお持ちの御家庭から、特別支援学校を福祉避難所として活用する取り組みを促し、防災拠点としての機能強化を推進すべきではないかという強い御要請をいただいております。
今、全体の中で二三・八%、たしかその数字だったかと思いますが、指定をされていると聞いております。これを、やはり通いなれた学校ですので一番過ごしやすいということもあり、推進をお願いしたいと思いますが、これは厚生労働省でしょうか、答弁を求めます。
○西藤政府参考人 お答えいたします。
福祉避難所の重要性は、委員御指摘のとおりであります。
福祉避難所の指定状況でございますが、平成二十三年三月三十一日現在でありますが、全市町村の約四割の自治体で一カ所以上の指定を行っており、その施設数は全国で七千五百四十六施設になっておりますが、御指摘のとおり、特別支援学校についてはまだ指定が余り進んでいない状況でございます。
私ども厚生労働省といたしましては、これまでも、全国担当者会議などを通じまして、福祉避難所について、事前指定の促進とともに、生活必需品でありますさまざまな装備などの備蓄促進、あるいは介助員や心のケアの専門家などの派遣などにつきまして、関係団体との事前協定の締結などを自治体に要請しているところでございます。
今回の東日本大震災での課題もよく検証し、要援護者の方々の支援強化に向けまして、文部科学省初め関係省庁、地方団体とも連携をしながら、福祉避難所の指定やその活用についてさらに取り組んでまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
それでは、公明党は政府にかつて、総合経済対策に関する緊急提言ということで、二月八日、防災・減災ニューディールということで提言を行いました。これは、老朽化したインフラを整備する、そしてまた、それはとりもなおさず国民の命と健康を守ることにつながる、あわせて公共事業による需要拡大でデフレ脱却を目指すという、この二本柱を考えております。
その中に何点か盛り込ませていただいたことを伺います。学校の耐震化、また防災拠点としての機能強化等、これは長い間公明党が取り組んできた政策でもありますが、現状と今後の取り組みにつきまして簡潔に御答弁をいただければと思います。
○城井大臣政務官 おはようございます。お答えを申し上げます。
御党の御提言はしっかり拝見をいたしております。東日本大震災でも明らかになりましたけれども、やはり学校が地域コミュニティーの中心でありますし、避難所、防災拠点の役割も果たしているということから、御提言いただいております耐震化、防災機能の強化は極めて重要だというふうに考えております。
耐震化については、文部科学省の把握によりますと、平成二十三年四月一日現在の公立小中学校施設では八〇・三%ですけれども、できる限り、自治体等の協力をいただきながら前倒しを平成二十四年度までに行っていきたいということで、まずは平成二十四年度の予算案の早期成立によりまして耐震化率を約九〇%まで持っていきたい、向上させたいというふうに考えております。
また、公立学校の九割が避難所となっていることがありますけれども、防災機能がまだ十分ではないという認識であります。その意味では、平成二十四年度予算案におきましても、防災機能強化事業を創設して、備蓄倉庫やあるいは自家発電装置の導入等の整備を補助対象とすることといたしております。
今後も引き続き、耐震化、防災機能強化の推進を図ってまいりたいと存じます。
○高木(美)委員 それでは次に、総務省に伺います。
今お手元に、2の資料の下の方の内容ですが、3のところに「庁舎」というのがあります。自治体の庁舎の耐震化が最もおくれていると考えております。全棟数八千四百十六のうち五千四百九十七が終了、六五・三%。二十二年度末の数字でございますが、約三千が未実施。
私は、やはり司令塔の一番拠点になる庁舎の耐震化は急務であると思っておりますが、その理由は何かとお考えでしょうか。また、今後の対応をどのようにされるおつもりでしょうか。
○黄川田副大臣 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、庁舎の耐震化、これは極めて重要でございます。
それから、耐震化率でありますけれども、これまた御指摘のとおり、庁舎は六五・三%でありまして、校舎や体育館などの文教施設が七九・一%、それから社会福祉施設が七二・一%でありますので、低いものとなっております。
その原因でございますけれども、これは、耐震化には多額の費用を要することから、避難所など住民の安全に深く関係する施設から順次、自治体が優先的に耐震化に取り組んでいることも一因と考えられております。
それで、これまでの取り組みと今後の取り組みでございますけれども、総務省として、地方公共団体の庁舎等の耐震化につきましては、地方債と地方交付税、これでもって財政措置ということであります。起債充当率が九〇%、交付税で措置が二分の一ということでございますが、特に地震による倒壊の危険性が高い庁舎及び避難所につきましては、平成二十一年度より支援措置を拡充いたしまして、交付税の措置を二分の一から三分の二に上げております。
そしてまた、皆さんのお力によりまして、東日本大震災を踏まえまして昨年十二月に創設されました緊急防災・減災事業、これにおきまして、臨時的な地方税制上の措置ではございますが、これが確保される財源の範囲内で、災害時に災害対策の拠点となる公共施設等の耐震化についても対象といたしまして、さらなる支援措置、強化した支援措置でございます。起債の充当率が一〇〇%になります。そしてまた、交付税の措置も七〇%ということで拡充しております。
今後とも、しっかりと地方自治体を支えていきたいと思います。
○高木(美)委員 ぜひ、黄川田副大臣がもう個人的に自治体に呼びかけながら進めていただきたいと思います。
最後に、国交省の政務官にお伺いいたします。
社会インフラ等の老朽化対策を含む災害に強い町づくりのための工程表を策定すべきではないかと考えます。計画的かつ大胆な集中投資が必要であり、自治体への支援など、国交省の取り組みにつきまして簡潔にお願いいたします。
○津川大臣政務官 お答えをいたします。
御党から御提案をいただきましたとおり、私どもも、社会インフラの集中的な更新というものは非常に重要であって、また、緊急的に取り組んでいかなければならないという危機感を持っております。
そのために、私どもとしては、まず施設の定期的な点検、それから長寿命化ということを現在進めているところでございます。また、この政策につきましては、地方自治体の取り組みについても支援をさせていただいているところでございますし、今後も、財政的、技術的な支援を行ってまいりたいと思っております。
集中的ということを御指摘いただきました。インフラの整備あるいは維持更新というものが内需拡大に貢献をするというのは、まさにおっしゃるとおりでございます。ただし、整備につきましても、維持管理につきましても、現場の担い手というものが必要でございまして、担い手の現状というところから考えますと、一時的に仕事量が集中をするというのはなかなか問題があるのも事実でございまして、一つの考え方として、平準化をするということもあわせて進めてまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
それでは、時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
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○荒井委員長 次に、野田聖子さん。
○野田(聖)委員 野田聖子でございます。
私は、去る二月二十二日、予算委員会で、少子化対策について、中川大臣のいろいろなお考えを伺いたいということで御質問させていただきました。ただ、そのときは、同席された小宮山厚生労働大臣が大変ハッスルされまして、少子化担当大臣に御質問したいんだけれども、厚生労働大臣が真っ先に手を挙げられると、なかなか落ちついてさしの話し合いができなかったので、きょうは改めて、あえて、少子化担当の特命でございますから、厚生労働大臣としての少子化対策ではなく、やはり全日本の少子化対策担当の責任者というそのお立場から、いろいろと議論させていただきたいと思います。
まず初めに、大臣にとって少子化対策とは何でしょうか。
○中川国務大臣 この国の形というのを将来に向けて考えていくときに、やはり、国が活力を持って、そして新しい時代に生き抜いていくという中で、少子化問題というのは、その活力の源泉をつくり出していくためのあらゆる政策誘導といいますか政策的な手段というのを結集しながら、そして、その政策手段を、ただ政策として言っているだけじゃなくて、具体的に効果のあらしめるような形で実現させていきながら、この国の活力をつくり上げていくことだというふうに思っております。
○野田(聖)委員 そういう大きな使命を抱いているわけですね。きょう、国家戦略の大臣がお見えですけれども、まさに国家戦略そのもので、むしろ、国家戦略を立てるに当たっての大前提になるのがこの少子化対策であるわけです。
ちなみに、その大きな仕事をお抱えになる少子化担当大臣を支える国家公務員、役人の皆さんは、総勢何人のチームでいらっしゃいますか。
○中川国務大臣 しっかり数えたわけじゃないので申しわけないのですけれども、後ろの事務方で聞きますと、大体、直接的には九人程度、こういうことなんです。
ただ、例えば、私の担当している範疇でいきますと、男女共同参画であるとか、あるいは共生社会へ向けて、いわゆる社会包摂等々含めた領域であるとか、非常に総合的に今担当させていただいていまして、それは全て少子化対策につながっていく、あるいは、総合的な政策としてあって初めて少子化対策が生きるんだというふうに考えていくと、もっと大勢の職員がそれに携わっているということも言えるんじゃないかと思います。
○野田(聖)委員 また、中川大臣は兼務でいらっしゃいます。
実は、数日前の新聞に、前の閣僚であった片山総務大臣から御注文がございまして、防災大臣はやはり専任、兼務せずにそれを集中的にやってほしい、それだけの大きな仕事なんだというふうなことをおっしゃっていて、確かに、去る三月十一日の大震災以降、防災というのはこの国にとって極めて重要なお仕事であるということがよく国民にも理解されているわけであります。と同時に、それと同等の重要性を持っている少子化対策担当なわけですね。
正直申し上げて、私自身は、それだけの仕事を担うだけの人もない、そして予算もない、ないない尽くしの中で、むしろ国民を欺くのではないかと。少子化担当大臣というのがいるからこれからの少子化はちゃんとやりますというふうに聞こえるけれども、実態はなかなか難しい。
本当に少子化担当大臣が必要だと今思われますか。
○中川国務大臣 思っております。
同時に、新しい、子育てそして子供を対象にした、いわゆる法制化ということ、これがもう具体的な課題になっておりまして、ここのところをぜひ野党の皆さんとも、あるいはまた国民のそれぞれの関係者の皆さんの理解を得ながら法律として成り立たせていって、その中から新しい子育ての体系というのをつくり上げていく、これがもう具体的にプロジェクトとして今ありますので、そういう意味では、私も全力を挙げてこの仕事に向かっていきたいというふうに思っております。
○野田(聖)委員 予算委員会のときに確認させていただいた折には、その極めて重要な仕事である少子化対策の担当大臣が約三カ月に一遍交代していると。
かつて、野党でおられた民主党は、自民党の総理大臣が一年ごとでかわるということを大変厳しく攻撃されておられましたし、実際、政権をとられてからは民主党の方でも一年ごとに総理はかわっておられるんですが、総理は一年ごとにかわってもいいから、できれば、少子化対策担当というのは、非常に中長期の仕事ですから、やはりこれだけはずっと誰かがやり続けていかないと、とても今大臣がおっしゃったようなアンビション、志を果たすことは不可能だと私は思ってしまうんですね。
そこで、では何ができるかというと、先ほども竹本議員の方からの質問で、岡田副総理に対して歳入庁の話がありました。つまり、先ほどの中川大臣の話を受けると、要するに、縦割りの中で達し得ない事業をやっていくとか、そういうことを実現していくということになるわけで、まさに縦割り行政を排除していくための一つの道具として、今私たちが省庁再編の武器として使っているのは、庁というものの設立なんですね。
復興庁もそうだったはずです。つまり、国土交通省だけでもできない、総務省だけでもできない、だからそこを横串的につくって、政策としての復興を新しいエージェンシーでやろう、そういう発想。同じように歳入庁もそうなんだと思います。
そして、今話題になっているのは、例えば宇宙庁とかスポーツ庁とか、一つの役所だけではもう間に合わないような、仕事がなされないような複合的な政策に対してエージェンシーという形で今新しい省庁再編が起きていると思うんですね。
そういった意味で、少子化対策というのは、今まさに大臣がおっしゃったように、もう厚生労働省の枠内だけではとてもポジティブな答えが出せないというところに来ているからこそ、実は、民主党のマニフェストでは、子供、家族を対象にした子ども家庭省もしくは庁をつくるということで選挙を戦われた。
ですから、特命大臣のお仕事というのは、なし遂げる、なし遂げるじゃなくて、なし遂げるための新しい一歩、例えば少子化対策のための新しい省庁再編であるエージェンシー、庁をつくるということが大きな仕事の一つではないかと思うんですが、これについては、予算委員会でも、いや、そういうふうにやっていくから、やっていくからと。やっていくからというのは言葉では流れていくけれども、実際、ないと、そこにやはり集中できないというのは事実なんですね。
これに対して、もう一度、しつこいかもしれませんが、総合的な少子化対策のための新たな機動的なエージェンシー、庁、省をつくる、大臣としてお声を上げることはままならないんでしょうか。
○中川国務大臣 方向性としては、同じ問題意識を持って私も進めていきたいというふうに思っています。
実は、今回の子ども・子育て関連法案の中で、一つは、内閣府でそれを担当していくことが前提になっていくということ。それから、財源についても、子ども・子育て特別勘定のような形で、それぞれこれまで縦割りであった財源というのを一元化していくという流れ。それと同時に、子ども家庭庁のこれは芽出しなんですが、本部的な機能を組織として恒常的に持って、それをマネジメントしていくということからまず始めていく、それが発展しながら子ども家庭庁に結実をしていくということで、一つ、今、法案のシナリオがなっております。
そういうことを前提にして、ぜひ、これから具体的に国会での議論を一緒にやっていただければありがたいというふうに思います。
○野田(聖)委員 私は、先日、予算委員会で厚生労働大臣があんなに張り切った理由はそこにあると思うんですね。少子化対策というのは子育て支援じゃないんですよ。今、大臣がいみじくもおっしゃった子ども・子育て新システムというのは、いる子供対象だけの政策なんです。これは、厚生労働省がずっと従前からやってきた、自民党が与党のときからずっとやり続けてきたことなんですね。つまり、少子化対策は子育て支援じゃないんです。これがうまくいっていれば、当然、合計特殊出生率は上がっているはずなんです。
実は、政府では、自民党の政権のときからですけれども、一九九〇年に一・五七ショックというのがありました。そこでようやく少子化対策をしなくちゃならないねということでスタートを切って、たくさんの制度やら政策をつくってきたんですよ。これに関しては与野党に反対者はなかったんですね。やるべきだ、やるべきだということで、当時の野党である皆さんも反対せずに、いろいろなことができてきた。一九九四年にはエンゼルプランというのができまして、五年後には新エンゼルプランとなり、どんどんできてくるんです。
実は、与野党で合意して、少子化対策のために合計特殊出生率を上げましょう、一・五七からできれば二・〇七まで戻さなきゃいけないねという目安の中でいろいろな制度がつくられてきたけれども、基本的には全部不成功に終わっているんですね、合計特殊出生率を上げるという点では。
それはなぜかというと、少子化対策を子育て支援と読み切ってしまった間違いがあるわけです。
ところが、自民党政権、政権交代前の最後の大臣である小渕さんはそれに気がついた。子育て支援が少子化対策じゃないんだ、もっと結婚前、要するにゼロを一に変えることが少子化対策だとするならば、実際にある子供たちだけを支援してもこの国の少子化対策は改善されないということで、そういうチームをつくられて答えを出されたわけですね。
これに対して、残念ながら、せっかく政権交代して、それを進めてもらえるかと思ったら、後戻りして、逆に、自民党政権のときに皆さんの御理解もいただいて進めてきたけれども、少子化対策イコール子育て支援という小さな枠の中で進めてきて功を奏しなかったところに、また戻ってしまった。私は、それが残念でならないんです。
ところで、その新システムの中で自慢の一つであるこども園。これは、実は認定こども園というのがあるんですね。五年前につくられているんですね。五年たっているんです。去年、実は見直しの時期だったんですけれども、民主党政権になってからこれは見直しに着手をされましたか。
○中川国務大臣 先ほどの御指摘はしっかり受けとめさせていただきたいと思います。
子ども・子育て新システムというのを私たちは今回打ち出したわけですけれども、これが全てではない。小渕前大臣のころの政策も改めて読ませていただきました。結婚から始まって、それこそ委員も御主張されている、妊娠、出産、子育てから、もう一つはワーク・ライフ・バランス等々含めて、社会のシステムをつくっていくということがあって初めて効果が出てくるということ。改めてそうした思いを持ってやっていきたいというふうに思っております。
認定こども園の話については、今回、総合こども園ということで、基本的には、いわゆる教育ということと保育ということが両立できるような形と同時に、それぞれの財政的な支給というのも、個人に対して財政の基盤をつくっていく、いわゆる社会全体で子供たちを育てていくというような基盤に立ったシステムに統一をしていこうということで、トータルな形で法案化をしておりますので、認定こども園の改めての検証というのはその中でやってきたということであります。
○野田(聖)委員 事務方に確認していただければいいんですけれども、それでは、過去八人の少子化対策担当大臣が民主党政権で誕生したわけですが、過去、どなたか、認定こども園に視察に行かれた大臣はおられますか。
○中川国務大臣 確認をしましたら、岡崎大臣ほか、何人かは行かれておるということであります。
○野田(聖)委員 その大臣から申し送りがなかったのかもしれませんが、実は、この認定こども園というのは、親からは評判がいいんですね。私が聞きました話は、横浜市で大変優秀な認定こども園があって、そこに入りたいということで横浜市に引っ越しをされているという話もあるやに聞きました。
ただ、認定こども園の弱点はむしろ経営者側の面倒くささにあって、会計が二つに分かれているとか、そういうところで設置するのにやりづらいんだけれども、実は、利用者である、ユーザーである国民からしてみると、認定こども園というのは使い勝手がいいという評判があるわけですね。
そんなに評判がいいにもかかわらず、改めて新しくつくりかえなきゃいけないというのは、何となくお金の無駄遣いというか、政権交代したからやむを得ないと言ってしまえばそれまでですけれども、教育の連続性を考えたときには、余り国民の方に目を向けていないんじゃないかなという疑いがどうしても持たれてしまうんですけれども、それについて、もう一度だけお考えを教えてください。
○中川国務大臣 見直すといっても、総合こども園というのは、認定こども園が使い勝手がいいところ、それこそ保育ということと、それから教育、幼稚園の機能というのを両方あわせた形で使っていただけるということ、これが一つです。
もう一方で、これまで会計が別だったというところを一元化していって、これも一つのシステムにしていくような方向で誘導をしていくということがこの法律の核になっておりまして、そういう意味では相当使い勝手がいい形のシステムになっていくんだろうというふうに思います。
○野田(聖)委員 非常に残念なのは、確かに、違う政権がやったことだから無視しようというのも一つですけれども、五年かけてでき上がった認定こども園というのを、きちっと俎上に上げて、それのメリット、デメリットをきちっと国会の中で議論もせず、似て非なるものかもしれませんけれども、うやむやのままに移行していくというのは、ある意味すごく行政の無駄遣いかなという懸念があります。
今後、政権交代というのがこの国で明らかに起こり得る状態とするならば、その都度その都度振り回されるのが親の方になってしまってはかなわないわけでありまして、この辺はやはり慎重に取り組んでいただきたかったなという思いがあります。
それで、実は、予算委員会の次の日、中川大臣のインタビューで、にわかに、これだけの少子化、高齢化に対応するために移民政策をしっかり議論しなくてはならないというので、私は大変驚いてしまったんですね。予算委員会で少子化を質問させていただいた次の日ですから、にわかにそういうふうに持ってきちゃうのかという思いが強くしたんですけれども、この真意についてちょっとお聞かせください。
○中川国務大臣 記者会見では、もちろん少子化がまず第一だ、この対策を実現していくということでなければならぬという意味合いはしっかり言ったんです。
その上で、実は、私が担当しているのは、さっき申し上げたとおり、この少子化問題だけではなくて、具体的には、外国人の労働者に対応する問題、難民の問題、それから定住外国人の問題、こういうものも同時に担当しています。それが一つ。
その中で、それぞれ別個に議論しているんですけれども、こういう形でトータルな社会の構造と、それから、担当ということもあって、それを総合的に考えていくということ、これがぜひやっていきたいという前提。
それからもう一つは、現状でも、例えば日系という名目で日系三親等までは日本に入ってきて、ブラジルやペルーのいわゆる出稼ぎで日本で働くというような皆さんが、もう既に三十万人近く日本に入ってきている。あるいは、研修という、それこそ国際貢献という名のもとに、三年間の期限を区切って、中国の皆さんが中心ですけれども、これも三十万人近く日本に入ってきている。そういうことがなし崩し的にもう既に日本の社会の現状の中にあるということを考えていくと、ここについてしっかりとしたいわゆる多文化共生社会の政策と枠組みをつくっておかないと、社会的に非常に混乱してくるという可能性があるということ。
さらに、私も文部科学省にいたものですから、また別な意味で、例えば科学技術の日本の将来を考えていったら、日本の研究所だとか大学だとか、あるいは、そうした非常に付加価値の高い分野で、日本に行けば自分の能力が発揮できる、あるいは、日本で研究するということがすばらしいことなんだというような、そういう魅力のある国をつくっていくということに対する戦略も必要じゃないかということをずっと議論していたものですから、そういう意味で、なし崩し的な政策ではなくて、それを一つの秩序立てた考え方で、国民のコンセンサスもその中に入れ込みながら対応していくということが必要なんじゃないか。
そういうことをトータルで言うと移民政策になるわけですけれども、そういう議論もそろそろ始める必要があるというその問題意識の中で申し上げたということであります。
○野田(聖)委員 移民政策に対して排除するつもりはありませんけれども、少子化対策かというと、私は違うと思うんですね。経済的な労働力の充当とかそういうことで議論されることがあっても、少子化、つまり日本に住む子供たちの数が減っているから移民対策も考えなきゃいけないねというのは、ちょっとこれは話の順序が全く違うんじゃないか。
むしろ、今までの日本は、一九九〇年以来、少子化対策の名のもとに、子育て支援しかしていなかった。他国、フランスや少子化を克服した国を見ると、何もかも変えるわけですね。文化を変えるぐらい取り組んだ結果、例えばフランスなんかも合計特殊出生率が一・六幾つぐらいを適正値の二・〇七まで引き上げるんですけれども、改善するためにありとあらゆる努力をしているわけですよ。だから、まずそれをして初めて移民政策の話をしていただきたいな。
労働とかそういう分野でお話しするのは結構だけれども、少子化に対しては、まず初めに日本人ありきという発想で大臣が捉えていただかないと。
移民政策をとってしまえば、極めて楽な場合もあります。例えば、アメリカというのは少子化対策の優等生なんですね。合計特殊出生率は二を超えていると思うんですよ。フランスと同じぐらい。でも、アメリカには、少子化対策はないんです、そういう政策が。つまり、常時移民をどんどん国に入れ込むことで、その人たちが全員アメリカ人になるわけですから。
日本はそのような国土ではないし、そのような文化でもない。だから、やはり少子化を語られるときに軽々に移民の話を持ってくると、自助努力が全く発生しなくなるという危険性があるので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
そこで、では、どれだけ自助努力をしていないかということなんですけれども、自民党も、そして今の政権も反省しなきゃいけないのは、先ほど申し上げたように、少子化対策イコール子育て支援で思考がとまっちゃっているんですね。そうじゃなく、やはりゼロのところを一にしていく努力というのをしていかなきゃいけない。
実は、フランスというのはそれをやったんですけれども、これは大変なことだと思うんです。つまり、婚姻制度をいじったんですね。日本のようにがちがちの厳格な婚姻制度にあった国が、やはり子供がふえないとこの国が滅びるということで、子供ができる条件を非常に緩和した。つまり、基本的に誰でも子供を産んで育てられる国家にしたわけです。
これに対してどういうふうに思われますか。
○中川国務大臣 そういう質問が出るだろうということを予想させていただいて、ちょっと勉強させていただいたんですが、PACSというシステムだと思うんですね。法定婚といいますか、法律でがちがちに結びつけた結婚ということの前に、前提として、事実婚的な部分を、一番大事な部分だけ、ということは、社会全体でそれを包み込みながら子育ても社会でやっていける、そういう弾力的なシステムをつくったことによって、子供をつくるということに対しての荷物の軽さといいますか、つくって前向きに子育てを楽しむということに対する思いというのが、結果として、恐らく相当醸成できるんだというふうに思います、見ていると。
そういうことはいろいろな形で、日本のシステムを考える場合にも、これから議論をしていくということが大事だなというふうに思うんですが、もう一方で、社会のコンセンサスをそういう中でつくっていかなきゃいけないということがあると思います。
先進的にそうした主張をしていただく野田委員には敬意を持って、私たちも、一緒にさらに進めていくような環境をつくっていくということ、いわゆる議論の場をつくっていくということ、これに尽くしていきたいというふうに思っています。
○野田(聖)委員 実は、これは本当に日本特有の問題で、少子化対策は与野党を超えて問題を解決しなきゃいけない、子供を一人でも多く産んでもらえる社会にしなきゃいけないと言いながら、その阻害要因というのが、意外と結婚にあったりするわけですね。
つまり、結婚をするに壁が、ハードルが高いというのかな、そういうことで、一つは、やはり婚外子についての理解がない。フランスとか、少子化対策の優等生という国々の子供のうちの半分は婚外子なんですね。つまり、正式な結婚をしていなくても、生まれた子供は国で差別しないよ、だから一生懸命産んで育ててくださいという国からの応援があるわけですね。でも、日本の場合は、やはり結婚制度が非常に厳格で、日本の男女も結婚制度に極めて忠実で、ですから、婚外子というのは、日本では一、二%しか生まれていないわけですね。
そこら辺を、少子化対策を乗り越えるというのはきれいごとでは済まない。つまり、エンゼルプランから始まって、今回のシステムも、誰もが反対しません。どうぞどうぞ、これはいいことで、やりましょうと言ったけれども結果が出ないことばかりなんです。
つまり、少子化対策で結果を出すためには、ある意味、今までの生き方と違うことを認めて、そしてブレークスルーしていかなきゃ、けんかをしなきゃ少子化対策はなし遂げられないということを他国はもう既に実証しているわけですね。
そういうことをぜひ、何となく、すぐイデオロギーみたいに勘違いする人がいるんだけれども、そうではなく、本当にどうやってこの国を維持していくかということを考えたときに、やはり旧来型の文化で閉塞感がある中を変えていくのが政治の役割とするならば、中川大臣がそういうことに対して少し柔軟にお考えを持っていただくことは極めて重要だと思います。
もう一つは、少子化対策というのは、働く女性がちゃんと子育てできればいいんでしょうみたいなところがあるんですけれども、実は、小渕ペーパーによりますと全然違うことが出てくるわけですね。
子供が生まれなくなった理由というのは、実は、結婚して子供を産む人の数というのはそんなに変わっていないんですね、急激に。そこそこ産む努力はしてくれている。ところが、二つ問題があって、子供が少なくなった理由。一つは、やはり不妊の人がふえている。これはちょっと後で話します。もう一つは、晩婚化、そして晩婚化による晩産化なんです。
だから、なかなか結婚しなくなったので、結婚しないと子供は産まないか産めない国なので、結婚をしなければ子供は出現しないんですね。なおかつ、遅くに結婚すると、たくさん産めていたはずが、やはり体力の限界があって産めないということもあり、そういうことについて実は余りきちっと触れていないんです。
もっと申し上げるならば、その原動力になっているのが非婚化の進展、結婚しない、晩婚どころか結婚しないという現象がすごくふえてきている、とりわけ男性に。男性が結婚しなくなっているんですね。一九九〇年に、先ほど申し上げたようにエンゼルプラン、一・五七ショックで大変だということで始まったけれども、実は、その時点で男性五十歳時の非婚率は五・五%だったんです。女性の四・三%より多いんですね、そもそも。ところが、ここ十数年、二十年の間で、女性の晩婚率というのは二、三%しか上がっていないにもかかわらず、男性の非婚率というのが何と一五・六%。要するに、男性が結婚しなくなったというのがこの国の、ある意味新しい顔なんだと思います。
これについて、先日予算委員会で、自民党政権になったら小泉さんをぜひ少子化担当大臣と言ったのは、一つにはやはり、少子化というのを子育ての枠組みとか女性の枠組みに閉じ込めてしまって、男性はそこから目をそらしているんじゃないか。でも、実際にデータを調べてみると、男性が、足を引っ張っているという言い方は悪いけれども、少子化をつくっている原因にもなっているということを、やはりもっと科学的に精査していただいて、これについての対策をとってもらいたいと思うんですが、それについて、男性の代表としていかがでしょうか。
○中川国務大臣 草食系男子というか、日本の男性が草食系になってきた、よくこう言われますけれども、そうやってレッテルを張るんじゃなくて、さっきのお話でいくと、もう少し分析をしてみる必要があるんじゃないかということだと思うんですね。
同じペーパーで見ていますと、一方で、女性が男性に期待をするところで特に所得というのがあるんですよね。これを見ていると、それこそ、四百万、六百万ぐらいの所得がないと私は結婚しないわよというような期待感があるんですが、実際、男性の方で所得分布を見ていると、やはり三百万を切ってしまう人たちがたくさんいる。同時に、いわゆる就労のあり方というのも、派遣だとかあるいはパートタイマーだとかというので、非常に不安定になってきているということ。
これは言いかえれば、本当は日本の男性も結婚したいんだけれども、結婚できないんだ、女性をそこまで引きつける体力とそれから資力、それが鍛えられていないんだということ、これはもう一方でいえばシステムでもあるんだと思うんです。これは一例ですが、そういう分析をしっかりした上で、全体の社会システムをつくっていくということだと思います。
その上でもう一つ言えば、さっきの子育てについても、そういう時代だからこそ我々は社会でシステムをつくって子供を育てていくというベース、安心感をやはり醸し出さないとだめなんじゃないかということだと思うんです。子ども手当ということを始めたわけでありまして、これも与野党の話し合いの中で今決着をしつつあるんですが、そんなベースはお互いしっかり認識しながら、新しい時代に向けた新しい社会構造、社会システムというのをつくっていくということ、これが本当に大事だというふうに思います。
○野田(聖)委員 私がここで申し上げたいのは、くどいようですけれども、少子化対策は子育て支援だけではないということ、そして女性のライフスタイルの問題だけではないということ。本当にそういった意味では、今まで、男性がこの問題にキャッチアップできていないんですね、追いついていない。ここをやはり全力で取り戻すことがこれからの日本の国家戦略の一つであるということを強く申し入れたいと思います。
そこで、ちょっと具体的な話になりますが、不妊治療という話をしたいと思います。つまり、少子化対策は、可視化できる、生まれた子供に対する政策だけでは子供がふえないから、当然、子供を産もうと努力している人たちに対しても、それと同じ、もしくはそれ以上の手厚い支援が必要だと思っています。
実は、去る衆議院のマニフェストで民主党は、このことに関して、子ども手当をするに当たって、子ども手当だけでは、いる子供にお金を上げても子供はふえないから、今まさに不妊治療で頑張っている人たちに対してのもっと十分な手当てをしてほしいということで、恐らく当時の担当者がわかったと言って、インデックスに入れてあるんですね、不妊治療の拡充。
ところが、私自身は、多少はあっても、子ども手当とてんびんにかけられるぐらいの不妊治療に対しての手厚い支援はなかったと断言させていただきます。
先ほど申し上げたフランスにしてもそう、そしてノルウェー、こういう国々は、いわゆる体外受精に対しても、最初の四回とか最初の三回は全額国が支援します。そういうことをして初めて不妊治療の患者さんへのエールを送っているわけですけれども、ここでもちょっと男性の話に触れたいと思います。
不妊というと、どうしても昔の人たちのイメージは女性に問題があるというふうに片づけてしまって、昔、嫁して三年子なきは去れという言葉がありましたね。結婚して三年子供が生まれなかったら実家へ帰れというのが、昔、ちょっと前までの日本の不妊に対するイメージですよ。ところが、医療の進歩のおかげで、実はもう最近は、不妊の原因の半分が男性にあるということが明らかになりました。
そして、厄介なのは、男性不妊の場合は普通の人工授精ではなく、体外受精という、大変女性の体に負担がかかり、かつ費用が約五十万円ぐらいかかる、こういうことをしなければ男性に問題があった場合には子供が授からないということが起きているわけですね。
私たちは、これに対して、ぜひ子ども手当で、幻でありましたけれども五兆ほどお金を積むという予定をされていたけれども、やはりこれから、努力をしている人、これは保険適用にならないんですね。不妊症というのは病気なのに、そういう治療に対して本当に保険の壁は厚く、対応にならない。何で、禁煙とかメタボに保険がどんどん使われるのに、こういう若い人たちが努力していることをこの国は認めてあげてエールを送れないのかなという非常に腹立たしいところがあるんですけれども、これに対して、ほぼゼロ回答に近い今日ですけれども、今後どういうふうなお考えを持っておられるか、教えてください。
○中川国務大臣 これまで熱心な主張をしていただいて、一歩一歩といいますか、特定治療支援事業という事業を導入して、その額あるいはその条件というのは一歩一歩現実に、必要な資金に近づけてきていただいているということ、そのことを感謝申し上げたいというふうに思います。
さっきの御指摘のように、これが法的に特定されないということから保険の対象になっていないという現実があるわけでして、ここのところを厚生労働省でずっと議論してきたということを私も認識しております。
議論をしてきた結果、やはり、いわゆる病気ではない、一言で言えばそういう定義なんでしょうね、これは。そういう意味での治療ではないという認識の中で、医療に入れるということをしないで、特定治療支援事業という形で、補助金みたいな形で資金援助をするという体系に今なっているというふうに理解しています。そこのところを、これからどういう議論を重ねて克服していくかということだと思います。
厚生労働省の議論を待ちながら、私もそれに参画をしていきたいというふうに思います。
○野田(聖)委員 不妊が病気でないとするならば、助成金というやり方もあります。一回五十万の負担金を、三回、四回でいいから負担してあげることで、若い人たちに子供を授かるチャンスがこの国にはあるということを知っていただいて、御尽力いただきたいと思います。
そこで、最後五分になってしまったんですけれども、国家戦略大臣、科学技術の特命担当大臣ということで、ぜひ質問させていただきたいんです。
私も福田、麻生政権のときに科学技術担当大臣を仰せつかりまして、私は理工系の人間でありませんから、科学のカの字もわからない日本人だったんですけれども、その大臣をやって、ああ、この国はまだまだいけるぞと。いろいろ世間では厳しい評価があるけれども、本当に科学技術の分野ですばらしい人たちが大変な活躍をされている。でも、どうして国民との距離感がこんなにあるのかなということを思案していたんです。
今回、私がここで質問したいと言ったら、役所がだめだと言うんですね。というのは、今度国会で科学技術・イノベーション特別委員会というのができたから、科学技術に関してはそこの委員会で質問しろ、そういう水臭いことを言われたんですけれども、やはり国家戦略としての科学技術としてあるからこそ、委員会をわざわざ立ち上げたわけですよね。
そこで、担当大臣として少しお尋ねをしたいんですけれども、大臣にとって、世界に誇れる日本の科学技術というのはどういうものを具体的に思っておられますか、技術として。こういうのはすごいなと思っているという。
○古川国務大臣 私も野田委員と同じく、そういう科学系でないものですから、今もう一回十八歳に戻れるんだったら、今度はやはり理工系に行って、そういう技術を勉強したいなと。法学部なんか出ても、これからは余り役に立たぬじゃないかと自分で思ったりもいたしておりますけれども。
私は、例えばiPS細胞などは、まさにこれからの医療のあり方を劇的に変えていくものではないかなというふうに思っています。
私は、科学技術というのは、やはり国家戦略という意味で極めて大事だと思うんですね。例えば、歴史を振り返ってみますと、暗黒時代と言われた中世ヨーロッパが、その後、世界をまさに支配するような勢力になっていったのは、やはり産業革命という劇的な科学技術のイノベーションがあった、そのことによって長きにわたった低迷から、停滞から抜け出していった。やはり、科学技術の進歩とか科学技術が与える影響というのは、極めて社会に大きなインパクトを与えるんだと思います。
そういった意味では、まさに野田委員おっしゃったように、これは国家戦略としてやっていかなきゃいけない課題だと思いますし、日本の場合は、私はいろいろな方々にもこれまでもお話を聞きました。例えばトロンを発明した坂村先生なんかにもお話を聞きました。すごくいい技術はあるんですが、その技術をうまく本当に生かせていないんですね。
ですから、今回、今、私ども科学技術とイノベーションを一体的に捉えて、やはり技術をイノベーションにつなげて、それが社会を変えていく。そして、今お話にあったように、国民の皆様方に、この科学技術が私たちの生活にこういう形で貢献しているんだ、こういうふうに変わったんだと実感してもらえるような、そういう科学技術とイノベーションを一体的に捉える体制をつくっていこうというふうに検討いたしております。
そういった意味では、問題意識は委員と同じであります。さまざまな、先ほど申し上げたiPSであるとか、それこそトロンなんかも、今、ユビキタス社会というので、これもこれから多分世界にも広がっていくと思います。
これからの日本社会だけではなくて世界を変えていく、そうしたさまざまな技術、私は日本のいろいろなところにまだ隠れていると思いますので、そういったものを見つけ出して、それをイノベーションにつなげ、そして社会に貢献させていく。ぜひ、そうしたことに積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○野田(聖)委員 残念ながら時間がないので、もっといろいろなやりとりをしたいんですけれども、たまたま今大臣が山中先生の話をされたので、苦言とともに申し上げるならば、今度、iPS細胞で世界的に活躍されている山中教授が、三月十一日に京都マラソンに出られるそうなんです。
その理由はなぜか。今、国からお金をもらっているけれども、実は今の政権下において、二〇一四年以降の資金確保のめどが立っていない。だから、その寄附を募るためにマラソンに出るという話がありました。マラソンに出ることはとてもいいことだと思います。ただ、その目的が、国費が二〇一四年からなくなるかもしれないということで寄附を募るというのは大変残念なことだと思います。
こういうことをしっかり直していただいて、本当に科学技術が国家戦略だと位置づけているなら、こういうことがなきようにしていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
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○岡島委員長代理 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
幾つか、違う話題につきまして質問させていただきます。
まず最初に、中川大臣にお伺いをいたしたいと思います。第三国定住難民の受け入れ事業についてです。
私、今、公明党の難民プロジェクトチームの座長をしておりまして、十一年前に参議院議員として初当選してからずっと、ライフワークの一つとして難民支援の仕事をしてまいりました。海外の難民キャンプも二十ぐらい回ってまいりましたし、当時、私も与党でございましたけれども、難民問題についてはかなり野党的な立場で、政府、法務省、外務省に、難民支援について強化するように努力をしてきた経緯がございます。
その上で、この第三国定住難民の受け入れ、約九十人の難民をタイのメーラ・キャンプから、ミャンマーの特にカレン族の方々を受け入れるという事業でございまして、海外では、ニュージーランドやオーストラリア、アメリカ合衆国、欧米諸国の多くがやってきた事業ですが、これが初めて始まった。
今、ちょうど第二陣の家族の方々が来ておりまして、新宿区内の支援センターで、いろいろ、日本語の教育を受けたり、あるいは社会適応の訓練をされている。私自身、二週間ほど前に支援センターに参りまして、視察をさせていただいて、難民の家族の皆様とも直接意見交換をさせていただきました。
今の事業のあり方についても、個別にはさまざまな問題点があるという立場で、先般、予算委員会の分科会で玄葉外務大臣と議論させていただきましたが、本日、中川大臣にお聞きをしたいのは、これは一応三年間のパイロット事業ということになっておりまして、そうしますと、来年度に受け入れる方々が第三陣ということになるんだと思います。
今、さまざまな問題があると申し上げたのは、実は第三陣で来られる家族の方が少なく、定員が三十に対して十名を割るとか割らないとか、そういうことも巷間言われておりまして、支援のあり方についての改善は改善でしなきゃいけないんですが、私は、三年目で終わってしまってはいけない、こういうふうに思っております。
ぜひ、これはもう個人的に強い要望として申し上げると、この事業は、やはり日本が人道支援という観点から難民を受け入れるということを国際社会に示すということも含めて、強くコミットして続けていただきたいと思っているんですが、政府として、この事業の継続の可否をいつごろ決めるのか、また、どういう評価をしてから決めるのか。大臣、所管にみずから申し出てなられたと伺いましたものですから、お伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 御質問していただいて、ありがとうございます。しっかり元気づけていただくんだということで、一緒にこの事業をぜひ成功させていきたい。
御指摘のように、今はパイロット事業ですから、本格的な受け入れ事業へ向いて展開ができるということ、これが社会全体も変わっていくということの一つの端緒になっていくと思っていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
先ほど御指摘のように、二十五年以降の方針といいますのは、今、関係行政機関と検討、協議を行っていくということになっておりまして、本年度中に開催予定の難民対策連絡調整会議、ここで正式に決定をするということになっております。
個人的にはというよりも、これまで私自身もこの事業に携わってきました。実は私の地元で一陣の半分の家族が生活をしておりまして、そんな中で、さっき御指摘あったようにいろいろな問題もあります。しかし、それを克服していくことによって、システムが整ってきて、多文化共生の社会がそこからまたでき上がってくるという、日本にとってのメリットというのもあるわけでして、そこのところを押さえていくと、ぜひ、その三年以降も続けていきたいという思いを持って対応していきたいというふうに思っております。
○遠山委員 大臣、大変ありがとうございます。
大臣の地元に第一陣の家族の半数がいらっしゃるというのは存じ上げておりませんでした。大変失礼いたしました。
大臣、これで大臣との質疑は終わりますが、一点だけ。
今トラブルに若干なっている最大の原因は、やはり、タイから日本に来て六カ月間だけの日本語研修を受けて日本の社会の職場で適応するというのは、これは普通に考えて難しいということなんですよ。よって、六カ月の集中的な日本語研修、社会適応訓練はいいんですが、終わった後にどういうケアをするかという観点で政府にいろいろ考えていただきたいんですね。
私が先般外務大臣に提案をさせていただいたのは、RHQという団体がこの支援の中心になっておりますが、それ以外にもさまざまなNPO、NGO、市民団体が日本に来られた難民を支援しようという、まあ、ボランティアベース、あるいは若干財政支援が必要な、いろいろなケースがありますけれども、そういうところがありますので、そういうところを幅広く巻き込んでやっていくということが大事だと思います。
また、ビルマ、ミャンマーから日本に来られた人の累計数というのは意外と多くなってございまして、地域にエスニックコミュニティーがある場所があります。東京でいえば新宿の高田馬場周辺というのは、ビルマ料理の店とか、そういうコミュニティーが実際あるわけですね。そういうコミュニティーの協力を仰ぐということも大事ですし、それから、大臣済みません、ついでに、ニュージーランドが非常にそのアフターケアの部分で参考になると思います。
私も、大分前ですけれども、九年ぐらい前にニュージーランドに視察に参りまして、驚きました。ニュージーランドの民間の、難民としてニュージーランドに住みついた家族をボランティアで二人一組で毎週ホームビジットをして支援するということをやっているNGOがあって、政府がどういう支援をしているかというと、そのボランティア活動を半年やった人に、日本で言うところの放送大学の単位を与える。つまり、お金じゃなくて、国が経営している通信制の大学の単位をその難民の家族を支援しているボランティアの方に与えるというインセンティブを出すことで、政府の認知もしているわけですね。
だから、そういう工夫をいろいろすれば、何でもお金というわけではありませんので、ぜひ大臣のリーダーシップのもとでこの事業を初め難民支援を強化していただきたいと申し上げて、次の質問に参ります。
次は、末松副大臣、来られていると思いますが、私は先週末、もう定期的に行っておりますけれども、釜石、陸前高田、大船渡の三つの被災地を回ってまいりました。今、公明党で復興支援チームの座長をしております。今回、六回目の現地入りだったわけです。
それで、陸前高田市役所に行って市長とそのスタッフと意見交換をさせていただいたんですが、きょうお聞きしたいのは、副大臣御承知のとおり、陸前高田市は、津波で左から右まで中心市街地は一ミリも残らず全部破壊をされたということで、これから全部復旧復興していかなきゃいけないんですが、その中で、社会教育施設。具体的には、図書館、公民館、博物館、運動場、水泳プール、あるいは学校附属ではなくて市民が使う体育館、そういった社会教育施設の整備については、復興交付金の事業の対象になっていないという指摘を現地で私は受けました。
では、どうやって。もうないわけですね。図書館も水泳プールも何もないわけですから、陸前高田市は。それはいつか復旧しなきゃいけない、復興しなきゃいけないという中で、政府から言われているのは、私、今手元に紙を持っていますが、文科省の補助制度で公立社会教育施設災害復旧費補助金制度というのがあるんですね、こちらを使って復旧してくれと言われているんです。
ところが、副大臣、ここから本題なんですが、この文科省の既存の補助金制度は、原形復旧が大前提なんです。原形復旧ということは、つまり、もともと建っていた場所に同じような規模でつくるときに補助金を出しますよ、こういう制度なわけです。
そうしますと、もう私が説明しなくても副大臣おわかりのとおり、今、陸前高田市なんかも新たな町づくりの計画を策定中でございます。当然、海沿いにはもう人は住めません。一定程度内陸側に人を寄せなければいけないわけですし、それから、町によっては自然エネルギーの基地を誘致したいとか、いろいろな新たな要素を入れて町づくりをしているわけですから、原形復旧が前提だと、この補助金制度、原理主義的に言うと使えないわけです。
ただ、文科省に私が確認をしたら、いや、被災地については柔軟に対応しますと言っているんです。言っているんですが、副大臣、もう一つ問題がありまして、ペーパーワークが、これは霞が関の官僚も認めているんです、こんな量のペーパーを出さないと補助金とれないんですよ。
それを被災地の自治体にやらせるというのは、これは済みません、我々公明党、見落としていました。きちんと与党の皆さんから事前に、復興交付金対象事業の四十事業はこうですとリストをもらっていたんですが、その中にこういう施設が入っていないということを私たちも気づかなかったんですね。
だから、私どもの反省も込めて、これはぜひ追加で復興交付金の対象事業にこの社会教育施設も入れて、そうすれば、被災自治体とすれば他の事業と一緒に同列で復興庁に申請もできますし、ペーパーワークは少ない。なぜ少ないかといえば、いろいろな省庁間の調整作業は復興庁がやるわけですから、自治体が文科省とやる必要はないんですね。
そういう意味で、ぜひ社会教育施設については復興交付金の対象事業に今から追加してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
○末松副大臣 遠山先生におかれましては、数々貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。
御指摘の社会教育施設につきまして、先生御指摘のように、高台等に移転して再建する場合を含めて、文科省の災害復旧費補助金によって対応しております。復興交付金はそれ以上のものでございます。
そこで、陸前高田市の方からもいろいろと要望が来ていますけれども、そこを、その復旧以上にどういったものがあるか、ここを精査していくという話になろうかと思います。ですので、先生の御指摘もございましたので、早速、職員を早急に派遣いたしまして、現地の事情を、一対一というかバイでしっかりと御要望を承って、復興交付金という枠が使えるということであれば、あわせてそこをやっていくようなことができるかできないか、そこを至急検討させていただきたいと思っております。
あと、事務の資料について、これは補助金ですので、ある程度のところは必要かもしれませんけれども、できるだけ柔軟なことができないか、そこもまた検討させていただきます。
○遠山委員 末松副大臣、ありがとうございます。もう副大臣御自身がよく被災地のことを御存じでございますので、また、迅速に人を派遣していただくということで、大変ありがたいと思っております。
一点だけ、ちょっとしつこいようで恐縮ですけれども、この補助金制度を使ってやるにしても、今高台のお話をされましたけれども、用地造成とともに上物の建設の費用も、被災地の地元は、復興交付金の対象事業にしてくれないかなという意見があるんです。
それから、私が今回この質問を通告した際に役所の方から教えていただいたんですが、実は、私が今挙げた施設のうち、水泳プールとか運動場の一部は、交付金対象事業になっている学校の付随施設の改善のところで読み込んで、復興交付金の対象になっていますというんですね。
ただ、それは被災地から見ると非常にわかりにくくて、こちらの社会教育施設の補助金制度、これは文科省ですね、既存の補助金制度にもそういう施設が対象ですよと書いてあるわけです。それで、復興庁に聞くと、いやいや、全部じゃないけれども、一部はこっちでもできますよという説明なんです。それ自体が混乱のもとだと私は思っているんです。だから、それは副大臣のもとでちょっと整理をしていただいて。
どういうことかというと、そうすると、水泳プールなんかはこっちを使ってもいいし、復興交付金を使ってもいいですよと言っているわけです。そのこと自体が、役所によって混乱のもとになりますし、もしかしたら、被災市町村の間で対応が違っちゃって、後で知って、何だということにもなりかねませんので、ちょっと整理をしていただいて、どういうやり方が一番いいのかというのをもう一回お示しいただければと思いますが、これは要望ですので答弁は要りません。
それから、続けて末松副大臣にお伺いしたいんですが、これも副大臣よく御承知のとおりですけれども、今、やはり被災地で雇用の問題が大きくなってきていますね、雇用保険も切れてきておりますし。それで、企業をもっと被災地に誘致したいと。陸前高田の戸羽市長も言っておりましたけれども、企業の中には、復興支援という意味も込めて、ぜひ進出をしたいとオファーしてくれている企業もあるというんですね。
ところが、話がそこから先に進まない最大の原因は、では、海沿いに人は余り住まないから企業用地でどうぞと仮に被災自治体が言っても、防潮堤が完成しないとやはり不安だ、もう一回津波が来ないと誰も言えませんので。ところが、防潮堤が完成するまで五年間は最低かかるという話が大体地元では通説になっているわけですね。そうしますと、地元は企業を呼びたい、行ってもいいよという企業はいる、しかし、防潮堤ができるまで五年間かかるから五年間来れませんねと。
そうすると、本来企業が来れば生まれる雇用が五年間生まれないということになりますので、ここはちょっと工夫が必要だと思うんですが、副大臣、私にも提案があるんですけれども、言う前に、副大臣のお知恵を聞きたいと思います。
○末松副大臣 先生御指摘のように、確かに今、海岸線につきまして防潮堤、応急対策ということで、重要な海岸線についてはまず応急対策をやって、本復旧についても今一生懸命にやっているところでございます。ただ、御指摘のように、いろいろな、全部が完成するのに五年ぐらいかかってしまう。それと、企業がそれまで待てるんですかというのが、確かに一番大きな問題になっております。
ただ、私ども、市町村が今さまざまな多重防御という考えのもとで町づくりをやっておりますので、道路をかさ上げするとか、二線、三線を引くとか、そういったことの中で、企業の御不安というものを下げていくということ、町づくり全体としてそれを考えていくというのも一つあろうと思います。
また、いろいろなメニュー、税制の優遇とか立地補助金とか、あるいは漁港のエリアのかさ上げとか、企業によって使いやすいような形のいろいろなメニューを今私どもはつくっているんですけれども、そういった中で、できるだけ企業の誘致にとってマイナスにならないように今やってきております。そこを何とか工夫していくということが今重要なことかなと思っております。
○遠山委員 それぐらいの厳しい実情だとは思いますが、私の提案は、これは当然、土地の所有権の問題があるので簡単じゃないということをあえて承知した上で申し上げれば、復興庁とかあるいは政府を挙げて、特に三陸沿岸の津波で破壊され尽くしたエリアについては、特段に政府が主導権を発揮して、進出したい企業が、津波が絶対浸水しない地域に政府の方でどこか土地を決めて、そこに集中的に早期に企業を誘致できるような工業団地、復興記念工業団地とか、名前は何でもいいんですが、そういう、企業が安心して来られて、しかも復興特区制度を使っていろいろな優遇措置を受けながら、東北の方々、特に三陸沿岸の方々への雇用を生み出すことができる、こういうような事業を少し考えられてもいいんじゃないかなと私自身は思いました。
海沿いに来ていただきたいんですけれどもと地元の方に言われても、企業もなかなかそこは難しいわけですから、それを折り合わせるために、少しそういった特別プロジェクトも企業誘致のために考えていただきたい、これも要望でございます。
それで、済みません、ほかの閣僚の皆さんに質問があるので足早に参りますが、藤村官房長官にお伺いをいたします。
昨年の三・一一の後を受けまして、大規模災害時における首都機能、国家機能の確保、維持ということを、私はそろそろ真剣に考える時期に来ているのではないかと思っております。そこで、一部の専門家も主張を既にしておりますが、私も自分の著作でも書いたんですけれども、仮称副首都指定制度というものを導入すべきではないかというふうに思っております。
この制度というのは、平時からあらかじめ、大規模災害が首都圏を襲ったときに、その国家機能の一部を担い得る地方都市を副首都として指定しておいて、実際に大規模災害が例えば東京都あるいは首都圏を襲ったときに、そこの指定された副首都に国家機能の一部を移転する。
もっとイメージが浮かびやすく申し上げれば、例えば、災害時に、外務省は福岡、財務省は大阪、国土交通省は名古屋、あるいは環境省は仙台とか、そういうふうに首都以外の地方都市、大きな主要都市にならざるを得ないと思いますが、そこを指定しておいて、実際に国家機能が移転したときにスムーズに業務が執行できるインフラ整備を国主導でやるべきではないか。あるいは、大規模災害が首都圏で起こったときを想定して、その地元の自治体の職員とシミュレーション、訓練も行うべきではないかというふうに思っております。
私も以前、外務省の大臣政務官をやりましたので、例えば外務省が、首都圏が大地震に襲われても国家は続きますから、外交機能というのは必要なわけですね。しかし、では、外務省が名古屋でも大阪でも福岡でも一時的に移転して仕事がすぐできるかというと、これはできません。
要するに、秘密通信のためのインフラがどこの地方都市にも存在しないわけですから、電話一つにしても、盗聴できないセキュアラインを用意しなきゃいけませんし、電信、通信の機器も特別なものを外務省なんかは使っているわけですね。そういったものが地方に全く整っておりませんし、いきなり外務省の役人が例えば福岡市役所とか福岡県庁を間借りしていって、外交活動が十分できるかというと、できない。
ですから、これは平時から副首都指定を地方都市にして、有事の際にそこにどういう国家機能を動かすかというところぐらいまで想定して準備をしておかないと、いきなり東京に直下型の大地震が来て大慌てになっても、国家機能の損失がそのまま経済の損失にもつながりますので、長官、そういったことは今の政府内で御検討されているでしょうか。
○藤村国務大臣 首都直下型地震などの緊急事態が首都東京で発生した場合、政府あるいは金融機関、情報通信など、首都中枢機能が途絶されることなくこれを確保する、この姿勢が絶対必要だと思います。
御指摘のあった、仮称ですが、副首都構想というのは、ずっと昨年の三・一一より前からも、それぞれに検討していることは事実でございました。この三・一一を契機にといいますか、今、国交省では、例えば東京圏の中枢機能のバックアップ検討会、これは昨年の十二月からもう五回ほどやる予定になっておりますが、非常にスピードアップして、この件を今検討に入っているところでございます。
ただ、首都そのものの副首都というと、これは相当大がかりなことになろうかと思うので、コストや実現可能性など、さまざまな点からも検討していく必要があると思います。例えば、日銀は今、大阪支店というのが一つかわりになるという発想をお持ちだし、NHKはやはり大阪放送局が次のキーになるという、つまり、必要な最小限の部分は、私は大阪なものですから、やはり大阪というのは一つの大きな構想の一つではあろうかと思います。
政府におきましては、第三次補正予算の中では首都機能のバックアップに係る調査ということで、先ほどの国交省もありますが、もう一つ内閣の方でも今検討に入っておりまして、御指摘の副首都制度の創設、あるいはそのためのインフラ整備、訓練の実施なども含めて検討させていただきたいと思います。
○遠山委員 ぜひ、官房長官、検討していただきたいと思います。
この話題に関連をして川端大臣にお伺いしたいと思いますが、まさに大阪都構想は橋下現大阪市長が主唱して社会の耳目を集めているわけでございますが、同時に、橋下市長も道州制ということについても最近おっしゃっているわけでございます。
私も、公明党の一員としてというか、公明党自体が二〇〇九年の総選挙からマニフェストで地域主権型の道州制を公約で掲げておりますので、推進をしている一人でございますけれども、今の政府として、あるいは与党民主党として、道州制の導入についてはどのような基本姿勢なのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○川端国務大臣 地域主権の方向の中で道州制を超党派でも熱心に御議論いただいている遠山委員、公明党さんも含めて、きょう、たまたま松原大臣おられますが、前の会長ということで、熱心にやっておられることは十分に承知しておりますし、私たちとしても、住民に身近な行政はその周辺で責任を持ってやれる仕組みということを求めてまいりました。
そういう中で、私たちは、基本的には、一番のもとは基礎自治体がやる、これは共通していると思うんですが、その次の広域自治体に関しては、現段階においては、都道府県を今のそのままで念頭に置きまして、さらに広域の部分は、現行で行われております、一部で始まりました広域連合という形を考えて、今いろいろアクション・プランを含めて進めております。
道州制に関しては、それも視野に入れながら、ただ、今すぐに全国一律に道州制というのはなかなか山あり谷ありなので、当面は、当事者からの発意に基づく自治体間連携による広域連合の方が円滑に進むと思って取り組んでいるところでございます。
○遠山委員 川端大臣、大体今おっしゃったようなことを野田総理も御答弁でおっしゃっているんですが、ちょっと積極性が足りないなというふうに思っているんです。
私は、道州制というのは、単に中央集権体制を見直して地域にいろいろな財源や権限を付与するだけではなくて、まさに今、国会議員の定数問題もそうですけれども、いろいろな行革、あるいはこれから人口減少していく日本の国家、社会の中で、行政機関もスリムにしていかなければいけないという意味で、この道州制というのは非常にそういう面でも意義があると思うんですね。行政の効率化という意味ですね。
例えば、私は地元九州全域と沖縄を全部回っているわけですけれども、九州でいえば、道州制が実現すれば、単純に言えば、一般的にわかりやすく言えば、七人の県知事を六人リストラして一人の州知事でいいわけです。県議会も、七つの県に何十人といますけれども、それも全部州議会ということで統合して、大幅に、ナチュラルな形で議員も減らせる。
また、地方の権限が強まるわけですから、国会議員も七百二十二人いなくて全然いいわけですね。霞が関の非現業の国家官僚三十万人のうち、二十万人が今地方の出先機関にいる。これも変えていいわけですね、十万人でいいわけです。二十万人の方々がみんな仕事にあぶれるわけではなくて、州政府に入っていただいて能力を発揮するということができるわけです。
そこで、川端大臣、簡単に。アクション・プランに基づいて民主党政府も国の出先機関の原則廃止と掲げておりますが、これは相当官僚機構の抵抗が強いと思いますけれども、本当にどこまでできるのか。簡潔に、決意でも結構ですけれども、お答えいただきたい。
○川端国務大臣 道州制も含めて、地域主権を進めるということはまさに国の大きな形を変えるということでありますので、そういう意味で、我々、いわゆる出先機関を中心に、意思のあるところから順次という手順を踏むつもりをしておりますが、長年にわたって国の中心として、出先機関として誇りを持ち、責任を持ち、能力を持ってやっておられた方々は、移すのであれば、本当にちゃんと担保できるかという心配を持たれることは事実だと思います。
個々に、すっと渡せるものと、相当工夫しないと渡せないものと、そうはいっても最後まで国が見なければいけないというのが、仕分けがいろいろあります。そういう議論を踏まえる中で、昨年末には、各府省の合意も得て、一定の方向性の取りまとめをすることができました。
そういう意味では、着実に進むことはできていると思うんですけれども、これからいよいよ各論に入ってまいりますので、いろいろありますけれども、先生言われたものも含めて、大きな国の行政のスリム化、あるいは身近な行政の実現のためにはどうしてもやらなければいけないことだと思って、最大の努力をしてやってまいりたいと思っております。
○遠山委員 ほぼ質疑時間が終わりましたので、最後に松原大臣、お待たせいたしました。
私、公明党でいろいろな役職をやっていまして、党でサイバー攻撃対処検討委員会の委員長もやっていまして、中小企業なものですから、ちょっとやり過ぎなんですね、済みません。
それで、サイバー攻撃、昨年大変話題になりまして、私ども、十二月十五日に官邸に伺って、宛先は野田総理ですけれども、齋藤勁官房副長官に要望いたしました。不正アクセス禁止法を出していただいたりとか、もう既に政府の方でいろいろ御対応いただいているんですが、私がきょうお聞きしたいのは、簡潔に申し上げます。
一つは、サイバー攻撃をするツール、ソフトを無料でダウンロードできるサイトが、中国語、スペイン語、ロシア語で堂々とインターネットにございます。これを使えば、ダウンロードした人は誰でもDDoS攻撃をサイトにかけられるという事態。これが一つですね。
もう一つは、私たちに百ドルくれたら、あなたの嫌いなサイトを攻撃しますと、サイバー攻撃請負業者というのまでまた公然といるわけでございまして、そろそろ、他国言語で書かれているサイトだからいいよということにならないんじゃないかというふうに私は思っております。
もう時間がありませんから、この点だけ、警察を所管する大臣としてどう対応されるのか、お聞きしたいと思います。
○松原国務大臣 時間が来ておりますから簡潔にお答えいたしますが、そうしたさまざまなサイトがあるということで、サイバー攻撃を請け負う旨の書き込みが主として海外のウエブサイト上でなされていることは承知をしております。これらはサイバー攻撃を助長するものであり、非常に問題であると認識をしております。
ただ、サイバー攻撃ツールを公開することや攻撃請負を書き込むことは直ちに違法行為には該当しないわけでありますが、今後、サイバーパトロール等を通じ、この種情報の把握に努めるとともに、インターネット上で違法行為を請け負うような書き込みについては削除要請なども行ってまいります。
さらに、実際に攻撃が行われた場合には、国内において所要の捜査を行うとともに、ICPOを通じ、海外の捜査機関に対し、攻撃元に関する捜査協力要請を実施しております。
これらとあわせ、再発防止措置を講じ、あるいは海外の捜査機関に対し依頼などをしてまいります。
以上です。
○遠山委員 以上で終わります。ありがとうございました。