衆議院 災害対策特別委員会 会議録(大臣所信)
平成24年3月13日(火)
平成二十四年三月十三日(火曜日)
午後零時十二分開議
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
災害対策に関する件(平成二十四年度における災害対策の施策等)
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
○村井委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
去る十一日、東日本大震災から一年となりました。一万五千名を超えるとうとい命が失われ、いまだに三千二百名以上の方々が行方不明となっております。ここに、お亡くなりになられました方々を悼み、改めて深く哀悼の意を表します。
また、今もなお行方のわからない方々の御家族を初め被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧復興を御祈念申し上げます。
また、今冬期の大雪による被害により、多くの方々がお亡くなりになっておられます。ここに、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
これより、東日本大震災並びに今冬期の大雪による被害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○村井委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
――――◇―――――
○村井委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村井委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に打越あかし君を指名いたします。
――――◇―――――
○村井委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。
平成二十四年度における災害対策の施策について、防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川防災担当大臣。
○中川国務大臣 防災担当大臣を拝命いたしました中川正春でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
第百八十回国会における御審議に当たりまして、災害対策に関する私の所信の一端を申し上げます。
まず、防災担当大臣としての基本認識を述べさせていただきます。
我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすい特性を有していると認識しております。こうした我が国の特性を踏まえ、防災は、国家の基本的かつ極めて重要な任務であるとの認識に立ち、災害に強い国づくりを進めてまいる所存でございます。
昨年からことしにかけて、東日本大震災を初め新潟・福島豪雨、台風第十二号や第十五号による風水害、大雪など、多くの災害が発生をいたしました。これらの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。
特に、今冬期の大雪については、三月十二日時点で、百二十一名の方が亡くなられ、千八百名以上の方が負傷されるなど、大きな被害をもたらしており、私も、二月十八日に山形県に現地調査に赴き、農業施設等の被害状況を調査したところです。二月二十一日の第二回大雪対策に関する関係閣僚会議において取りまとめられました平成二十四年大雪対策に基づき、被災地方公共団体と緊密に連携しながら、政府一丸となって引き続き対応をしてまいります。
続きまして、防災対策の主な課題と取り組み方針について御説明をいたします。
現在の防災行政の最大の課題は、東日本大震災の対応等を徹底的に検証し、そこから得られた教訓を、今後発生が懸念される大規模災害への備えの充実につなげていくことであると考えております。とりわけ、昨年の大地震によって、日本列島周辺の応力状態が大きく変化をし、首都直下地震や南海トラフの巨大地震の発生の懸念や、火山噴火も活発化する可能性があることから、切迫感を持って取り組んでまいります。
まず、地震、津波対策については、昨年十二月に防災基本計画を修正し、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を想定するとともに、一定規模以上の津波に対しては、ハードとソフトを組み合わせて対応する減災の考え方を明らかにしたところです。本計画に基づき、市町村での具体的かつ実践的な津波避難計画の策定、津波ハザードマップの作成等を推進してまいります。
さらに、南海トラフで発生する巨大地震については、現在、南海トラフの巨大地震モデル検討会において、科学的知見に基づく最大クラスの地震、津波について検討を進めており、今月中には、震度分布、津波高について公表する予定です。今後、これらを踏まえて、南海トラフの巨大地震対策を取りまとめていくこととしておりますが、全体の取りまとめに先立ち、本年夏ごろに、当面実施すべき南海トラフの巨大地震への対策を取りまとめる予定でございます。
また、首都直下地震については、東日本大震災を踏まえ、これまでのマグニチュード七クラスの地震に加えて、相模トラフ沿いで発生するマグニチュード八クラスの地震も対象として、被害想定の見直しを進めていくこととしております。これを踏まえて、首都直下で想定される最大クラスの地震、津波に備えた対策を検討していくこととなりますが、現在、並行して、首都中枢機能の継続性確保や官民連携による帰宅困難者対策について検討を進めているところであり、これらの成果も踏まえて、本年夏ごろには、当面実施すべき首都直下地震への対策を取りまとめる予定です。
こうした具体の取り組みとあわせて、防災対策全般の充実強化を図るため、中央防災会議の専門調査会として設置をしました防災対策推進検討会議において、東日本大震災における対応の検証及び教訓の総括を行い、関係する法制や体制、想定される大規模災害への対応のあり方などについて検討を進めているところです。
本検討会議では、三月七日に中間報告をまとめ、今後、大規模な災害に見舞われても、揺るぎない日本の再構築を目指して、被災地を支える体制づくり、スピード感、安心感がある被災者支援、大災害を生き抜くための日ごろからの備えなど、各段階における防災対策の全体的な見直しの方向性について提言をしました。今後、この提言を受けて、具体的な内容を詰められるものから順次実行に移すとともに、本年夏ごろに予定している最終報告に向けてさらに検討を深めることとしております。引き続き、この会議を中心として、政府全体の防災対策の充実強化をさらに進めてまいります。
次に、火山対策でありますが、霧島山・新燃岳は、昨年一月の噴火以降、降灰や空振等による被害をもたらし、現在も火山活動を続けており、あわせて、降雨時の土石流の懸念も払拭できないことから、引き続き、厳重に観測監視体制を維持するとともに、関係府省庁がしっかりと連携して地元自治体を支援してまいります。また、桜島では、昨年一年間の爆発回数が九百九十六回と年間最多を更新し、活発な噴火活動を続けているなど、常に警戒が必要となっております。
私も、二月十九日に桜島及び新燃岳の現地調査を行い、火山の活動状況を把握するとともに、自治体関係者との意見交換を行ってまいりました。今後とも、全国の活火山に対して、火山ハザードマップや避難計画の作成に対する支援を行うなど、火山防災対策の充実強化に取り組んでまいります。
また、風水害対策につきましては、昨年の新潟・福島豪雨や、台風第十二号、第十五号などにおいて、避難勧告、避難指示の発令時期及び伝達方法、土砂災害警戒区域設定のあり方、災害時に発生する孤立集落への支援などの課題が明らかになりました。これらの課題や、特に人口減少や高齢化が進む中山間地域における防災力の向上も視野に入れつつ、風水害への対策の強化に引き続き取り組んでまいります。
さらに、これらのさまざまな災害対策の推進に当たっては、自助、共助、公助のいずれもが重要であると考えております。こうした認識のもとに、引き続き、災害の記録及びその教訓の継承、国民の防災意識の啓発や防災ボランティア活動の環境整備、企業の事業継続計画の普及等の取り組みを進めてまいります。
最後に、国際防災協力についてでありますが、東日本大震災の経験や教訓を国際公共財として世界と共有することに関する我が国の貢献への期待が高まってきているところであります。こうした状況を踏まえ、野田総理大臣が昨年秋の国連総会で表明しましたとおり、二〇一五年の第三回国連防災世界会議を我が国に招致するとともに、アジア防災閣僚級会議等への参画を通じて、世界全体の防災力向上に積極的に貢献してまいる所存です。
以上に申し上げましたとおり、東日本大震災や一連の災害からの迅速かつ円滑な復旧復興と、これらの災害を教訓とした災害対策の一層の充実を実現するため、大きな使命感と責任感を持って全力を尽くしてまいる所存でございます。村井委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)
○村井委員長 次に、平成二十四年度における防災関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。後藤内閣府副大臣。
○後藤副大臣 防災担当副大臣の後藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年三月十一日の東日本大震災以来、豪雨、台風による風水害、大雪等の一連の災害によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対しましては、深く哀悼の意をあらわすとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
災害から国民の生命、身体、財産を守ることは、国政の最重要課題の一つです。防災担当副大臣として、中川大臣を補佐し、一連の災害からの復旧復興、今後の災害対策に全力で取り組んでまいります。村井委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
では、平成二十四年度の防災関係予算案の概要につきまして、お手元の資料により御説明申し上げます。
まず、一ページの総括表について御説明申し上げます。この表は、関係省庁の施策のうち防災関係のものとして予算額を特定できるものについて取りまとめをしたものです。
科学技術の研究関係が約二百九十四億円、災害予防関係が約五千三百四億円、国土保全関係が約七千九百四億円、災害復旧等関係が約二兆三千七百十三億円となっており、これらを合計いたしますと約三兆八千六百七十八億円となります。
次に、主要なものを御説明申し上げます。
二ページからの科学技術の研究につきましては、文部科学省において、海溝型地震、津波の早期検知及びメカニズムの解明に資するため、日本海溝海底地震の想定震源域や南海トラフにおいて、海底地震津波観測網を整備するほか、国土交通省、気象庁などでも、地震や津波、火山、気象に関する調査研究に要する経費を計上しております。
五ページからの災害予防につきましては、内閣府において、津波対策推進事業補助金として円滑な避難に資するハザードマップの作成支援等を、消防庁において、緊急消防援助隊の活動に必要な出動経費や救助消防ヘリコプターの整備のための経費を計上しております。また、学校施設などの建築物の耐震化を関係各省庁において促進していくほか、厚生労働省における災害医療関係、国土交通省における災害に強い町づくり、地域づくりなどのための経費をそれぞれ計上しております。
十五ページの国土保全につきましては、農林水産省及び国土交通省において、治山事業、治水事業や海岸事業などに要する経費を計上しております。
最後に、十六ページの災害復旧等につきましては、内閣府において被災者生活再建支援金の支給、復興庁において東日本大震災復興交付金等を計上しているほか、関係各省庁において所管施設の災害復旧事業費、厚生労働省において災害救助に要する経費を計上しております。
以上の予算案に基づき、東日本大震災からの教訓をも十分に踏まえつつ、政府一体となって総合的な災害対策を推進し、国民の皆さん方の安全、安心の確保に努めてまいる所存です。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上で御説明を終わります。
○村井委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○村井委員長 この際、去る二月十三日、大雪による被害状況等調査のため、新潟県及び長野県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。
派遣委員は、民主党・無所属クラブの市村浩一郎君、大西孝典君、阪口直人君、中林美恵子君、矢崎公二君、自由民主党・無所属の会の長島忠美君、谷公一君、公明党の石田祝稔君、日本共産党の高橋千鶴子君、新党きづなの石田三示君、社会民主党・市民連合の重野安正君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、村井宗明の十三名であります。
まず、今冬の大雪の状況と被害の概要についてでありますが、昨年十二月後半から本年二月にかけて、冬型の気圧配置が強まり、北日本から西日本にかけては低温となり、日本海側を中心に記録的な積雪となったところがあります。この大雪によって、雪崩、除雪作業の事故等により、三月八日現在、全国で百十八名の方が亡くなられ、七百六十五名の方が重傷を負われています。また、住家の損壊、道路の通行どめなど、多大な被害が発生いたしました。
この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
それでは、調査の概要について御報告申し上げます。
新潟県内の被害状況は、二月十二日には、人的被害が、死者十九名、重軽傷者二百五十二名、住家被害が、全壊二棟、半壊一棟、一部損壊等三十一棟、床下浸水十七棟でありました。
まず、新潟県十日町市役所中里支所において、泉田新潟県知事、関口十日町市長、上村津南町長から、被害状況の説明等を聴取するとともに、道路除雪費に関する財政支援、豪雪に伴う特別交付税の増額配分、持続的な雪処理の担い手の確保及び効果的な除排雪活動に対する支援、空き家の除雪に対する支援制度の創設等について要望を受けました。
次に、市内の越後田沢駅周辺の家屋密集地域において、雪の状況を視察いたしました。
視察時には、道路は除雪されていましたが、歩道脇には、背丈を超える雪の壁ができておりました。また、住民の方が雪おろしをされておりましたが、今冬、十回以上の雪おろしをしたとのことであり、大変な作業であることが容易に見てとれました。
市の担当者から、異常低温のため自然落下式の屋根でも雪が凍りついて落ちない、屋根から雪がひさし状にせり出している雪庇が電話線を圧迫している、歩道が雪で塞がり、車道を歩かざるを得ない等の説明がありました。
次に、津南町三箇地内において、雪崩危険箇所を視察いたしました。
町の担当者から、生徒の登下校路に設置されている雪崩防止柵から雪がせり出し危険なことから、今冬は二回にわたって雪を落としたとの説明がありました。
長野県内の被害状況は、二月十二日には、人的被害が、死者八名、重軽傷者四十六名、住家被害が、一部破損四棟でありました。
まず、長野県栄村役場において、阿部長野県知事、島田栄村長から、被害状況等について説明を聴取するとともに、除排雪経費に係る特別交付税の確保、普通交付税の算定に係る寒冷補正の級地の見直し、雪寒指定路線の除雪費に対する財政支援等について要望を受け、また、応急仮設住宅の仕様に関する提言を受けた後、除排雪体制の現状と課題、除雪に係る災害救助法の運用面の課題、要援護者世帯等の屋根の雪おろしを行う雪害対策救助員の確保、支援策、応急仮設住宅の仕様等について、質疑応答を行いました。
次に、村内の中条橋の崩落現場を視察いたしましたところ、村道にかかる橋は、川の中央付近で二つに折れ、橋桁が川底に落下しておりました。
県の担当者から、昨年三月十二日に発生し、栄村が震度六強の揺れに見舞われた長野県北部地震で橋が損壊した上に、今冬三メートルを超える積雪があり、雪の重みが原因で橋が崩落した可能性があるとの説明がありました。
次に、横倉地区の栄村農村広場の応急仮設住宅を視察いたしました。
応急仮設住宅には、地震で被災された方が居住されており、玄関側に雪よけ屋根のついた外廊下、スロープ、二重サッシ、熱交換型換気扇など、豪雪、寒冷地仕様の対策が講じられていたほか、敷地内に、高齢者の方などが安心して生活できるよう、交流や介護の拠点施設として、食料品等を扱う店舗も併設した集会所が設置されておりました。
村の担当者から、大型の除雪機により除雪を行うことを想定して道路を舗装し道幅を六メートルにしている、住民が助け合いながら生活が送れるよう単身者用の住居の隣に家族用の住居を配置するなど工夫しているとの説明がありました。
以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、豪雪地帯においては、過疎化、高齢化が進行しており、雪処理の担い手の不足や地域で支え合う力の減少といった問題を解決するために、どのように雪おろしの担い手の確保や迅速な除雪の実施など雪処理の体制を確立するか、また、そのための財源をどう確保するかなど、当委員会としても、取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。
最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆さんに心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
この際、お諮りいたします。
派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○村井委員長 次回は、来る十五日木曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十六分散会
午後零時十二分開議
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
災害対策に関する件(平成二十四年度における災害対策の施策等)
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
○村井委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
去る十一日、東日本大震災から一年となりました。一万五千名を超えるとうとい命が失われ、いまだに三千二百名以上の方々が行方不明となっております。ここに、お亡くなりになられました方々を悼み、改めて深く哀悼の意を表します。
また、今もなお行方のわからない方々の御家族を初め被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧復興を御祈念申し上げます。
また、今冬期の大雪による被害により、多くの方々がお亡くなりになっておられます。ここに、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
これより、東日本大震災並びに今冬期の大雪による被害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○村井委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
――――◇―――――
○村井委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村井委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に打越あかし君を指名いたします。
――――◇―――――
○村井委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。
平成二十四年度における災害対策の施策について、防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川防災担当大臣。
○中川国務大臣 防災担当大臣を拝命いたしました中川正春でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
第百八十回国会における御審議に当たりまして、災害対策に関する私の所信の一端を申し上げます。
まず、防災担当大臣としての基本認識を述べさせていただきます。
我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすい特性を有していると認識しております。こうした我が国の特性を踏まえ、防災は、国家の基本的かつ極めて重要な任務であるとの認識に立ち、災害に強い国づくりを進めてまいる所存でございます。
昨年からことしにかけて、東日本大震災を初め新潟・福島豪雨、台風第十二号や第十五号による風水害、大雪など、多くの災害が発生をいたしました。これらの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。
特に、今冬期の大雪については、三月十二日時点で、百二十一名の方が亡くなられ、千八百名以上の方が負傷されるなど、大きな被害をもたらしており、私も、二月十八日に山形県に現地調査に赴き、農業施設等の被害状況を調査したところです。二月二十一日の第二回大雪対策に関する関係閣僚会議において取りまとめられました平成二十四年大雪対策に基づき、被災地方公共団体と緊密に連携しながら、政府一丸となって引き続き対応をしてまいります。
続きまして、防災対策の主な課題と取り組み方針について御説明をいたします。
現在の防災行政の最大の課題は、東日本大震災の対応等を徹底的に検証し、そこから得られた教訓を、今後発生が懸念される大規模災害への備えの充実につなげていくことであると考えております。とりわけ、昨年の大地震によって、日本列島周辺の応力状態が大きく変化をし、首都直下地震や南海トラフの巨大地震の発生の懸念や、火山噴火も活発化する可能性があることから、切迫感を持って取り組んでまいります。
まず、地震、津波対策については、昨年十二月に防災基本計画を修正し、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を想定するとともに、一定規模以上の津波に対しては、ハードとソフトを組み合わせて対応する減災の考え方を明らかにしたところです。本計画に基づき、市町村での具体的かつ実践的な津波避難計画の策定、津波ハザードマップの作成等を推進してまいります。
さらに、南海トラフで発生する巨大地震については、現在、南海トラフの巨大地震モデル検討会において、科学的知見に基づく最大クラスの地震、津波について検討を進めており、今月中には、震度分布、津波高について公表する予定です。今後、これらを踏まえて、南海トラフの巨大地震対策を取りまとめていくこととしておりますが、全体の取りまとめに先立ち、本年夏ごろに、当面実施すべき南海トラフの巨大地震への対策を取りまとめる予定でございます。
また、首都直下地震については、東日本大震災を踏まえ、これまでのマグニチュード七クラスの地震に加えて、相模トラフ沿いで発生するマグニチュード八クラスの地震も対象として、被害想定の見直しを進めていくこととしております。これを踏まえて、首都直下で想定される最大クラスの地震、津波に備えた対策を検討していくこととなりますが、現在、並行して、首都中枢機能の継続性確保や官民連携による帰宅困難者対策について検討を進めているところであり、これらの成果も踏まえて、本年夏ごろには、当面実施すべき首都直下地震への対策を取りまとめる予定です。
こうした具体の取り組みとあわせて、防災対策全般の充実強化を図るため、中央防災会議の専門調査会として設置をしました防災対策推進検討会議において、東日本大震災における対応の検証及び教訓の総括を行い、関係する法制や体制、想定される大規模災害への対応のあり方などについて検討を進めているところです。
本検討会議では、三月七日に中間報告をまとめ、今後、大規模な災害に見舞われても、揺るぎない日本の再構築を目指して、被災地を支える体制づくり、スピード感、安心感がある被災者支援、大災害を生き抜くための日ごろからの備えなど、各段階における防災対策の全体的な見直しの方向性について提言をしました。今後、この提言を受けて、具体的な内容を詰められるものから順次実行に移すとともに、本年夏ごろに予定している最終報告に向けてさらに検討を深めることとしております。引き続き、この会議を中心として、政府全体の防災対策の充実強化をさらに進めてまいります。
次に、火山対策でありますが、霧島山・新燃岳は、昨年一月の噴火以降、降灰や空振等による被害をもたらし、現在も火山活動を続けており、あわせて、降雨時の土石流の懸念も払拭できないことから、引き続き、厳重に観測監視体制を維持するとともに、関係府省庁がしっかりと連携して地元自治体を支援してまいります。また、桜島では、昨年一年間の爆発回数が九百九十六回と年間最多を更新し、活発な噴火活動を続けているなど、常に警戒が必要となっております。
私も、二月十九日に桜島及び新燃岳の現地調査を行い、火山の活動状況を把握するとともに、自治体関係者との意見交換を行ってまいりました。今後とも、全国の活火山に対して、火山ハザードマップや避難計画の作成に対する支援を行うなど、火山防災対策の充実強化に取り組んでまいります。
また、風水害対策につきましては、昨年の新潟・福島豪雨や、台風第十二号、第十五号などにおいて、避難勧告、避難指示の発令時期及び伝達方法、土砂災害警戒区域設定のあり方、災害時に発生する孤立集落への支援などの課題が明らかになりました。これらの課題や、特に人口減少や高齢化が進む中山間地域における防災力の向上も視野に入れつつ、風水害への対策の強化に引き続き取り組んでまいります。
さらに、これらのさまざまな災害対策の推進に当たっては、自助、共助、公助のいずれもが重要であると考えております。こうした認識のもとに、引き続き、災害の記録及びその教訓の継承、国民の防災意識の啓発や防災ボランティア活動の環境整備、企業の事業継続計画の普及等の取り組みを進めてまいります。
最後に、国際防災協力についてでありますが、東日本大震災の経験や教訓を国際公共財として世界と共有することに関する我が国の貢献への期待が高まってきているところであります。こうした状況を踏まえ、野田総理大臣が昨年秋の国連総会で表明しましたとおり、二〇一五年の第三回国連防災世界会議を我が国に招致するとともに、アジア防災閣僚級会議等への参画を通じて、世界全体の防災力向上に積極的に貢献してまいる所存です。
以上に申し上げましたとおり、東日本大震災や一連の災害からの迅速かつ円滑な復旧復興と、これらの災害を教訓とした災害対策の一層の充実を実現するため、大きな使命感と責任感を持って全力を尽くしてまいる所存でございます。村井委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)
○村井委員長 次に、平成二十四年度における防災関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。後藤内閣府副大臣。
○後藤副大臣 防災担当副大臣の後藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年三月十一日の東日本大震災以来、豪雨、台風による風水害、大雪等の一連の災害によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対しましては、深く哀悼の意をあらわすとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
災害から国民の生命、身体、財産を守ることは、国政の最重要課題の一つです。防災担当副大臣として、中川大臣を補佐し、一連の災害からの復旧復興、今後の災害対策に全力で取り組んでまいります。村井委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
では、平成二十四年度の防災関係予算案の概要につきまして、お手元の資料により御説明申し上げます。
まず、一ページの総括表について御説明申し上げます。この表は、関係省庁の施策のうち防災関係のものとして予算額を特定できるものについて取りまとめをしたものです。
科学技術の研究関係が約二百九十四億円、災害予防関係が約五千三百四億円、国土保全関係が約七千九百四億円、災害復旧等関係が約二兆三千七百十三億円となっており、これらを合計いたしますと約三兆八千六百七十八億円となります。
次に、主要なものを御説明申し上げます。
二ページからの科学技術の研究につきましては、文部科学省において、海溝型地震、津波の早期検知及びメカニズムの解明に資するため、日本海溝海底地震の想定震源域や南海トラフにおいて、海底地震津波観測網を整備するほか、国土交通省、気象庁などでも、地震や津波、火山、気象に関する調査研究に要する経費を計上しております。
五ページからの災害予防につきましては、内閣府において、津波対策推進事業補助金として円滑な避難に資するハザードマップの作成支援等を、消防庁において、緊急消防援助隊の活動に必要な出動経費や救助消防ヘリコプターの整備のための経費を計上しております。また、学校施設などの建築物の耐震化を関係各省庁において促進していくほか、厚生労働省における災害医療関係、国土交通省における災害に強い町づくり、地域づくりなどのための経費をそれぞれ計上しております。
十五ページの国土保全につきましては、農林水産省及び国土交通省において、治山事業、治水事業や海岸事業などに要する経費を計上しております。
最後に、十六ページの災害復旧等につきましては、内閣府において被災者生活再建支援金の支給、復興庁において東日本大震災復興交付金等を計上しているほか、関係各省庁において所管施設の災害復旧事業費、厚生労働省において災害救助に要する経費を計上しております。
以上の予算案に基づき、東日本大震災からの教訓をも十分に踏まえつつ、政府一体となって総合的な災害対策を推進し、国民の皆さん方の安全、安心の確保に努めてまいる所存です。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上で御説明を終わります。
○村井委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○村井委員長 この際、去る二月十三日、大雪による被害状況等調査のため、新潟県及び長野県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。
派遣委員は、民主党・無所属クラブの市村浩一郎君、大西孝典君、阪口直人君、中林美恵子君、矢崎公二君、自由民主党・無所属の会の長島忠美君、谷公一君、公明党の石田祝稔君、日本共産党の高橋千鶴子君、新党きづなの石田三示君、社会民主党・市民連合の重野安正君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、村井宗明の十三名であります。
まず、今冬の大雪の状況と被害の概要についてでありますが、昨年十二月後半から本年二月にかけて、冬型の気圧配置が強まり、北日本から西日本にかけては低温となり、日本海側を中心に記録的な積雪となったところがあります。この大雪によって、雪崩、除雪作業の事故等により、三月八日現在、全国で百十八名の方が亡くなられ、七百六十五名の方が重傷を負われています。また、住家の損壊、道路の通行どめなど、多大な被害が発生いたしました。
この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
それでは、調査の概要について御報告申し上げます。
新潟県内の被害状況は、二月十二日には、人的被害が、死者十九名、重軽傷者二百五十二名、住家被害が、全壊二棟、半壊一棟、一部損壊等三十一棟、床下浸水十七棟でありました。
まず、新潟県十日町市役所中里支所において、泉田新潟県知事、関口十日町市長、上村津南町長から、被害状況の説明等を聴取するとともに、道路除雪費に関する財政支援、豪雪に伴う特別交付税の増額配分、持続的な雪処理の担い手の確保及び効果的な除排雪活動に対する支援、空き家の除雪に対する支援制度の創設等について要望を受けました。
次に、市内の越後田沢駅周辺の家屋密集地域において、雪の状況を視察いたしました。
視察時には、道路は除雪されていましたが、歩道脇には、背丈を超える雪の壁ができておりました。また、住民の方が雪おろしをされておりましたが、今冬、十回以上の雪おろしをしたとのことであり、大変な作業であることが容易に見てとれました。
市の担当者から、異常低温のため自然落下式の屋根でも雪が凍りついて落ちない、屋根から雪がひさし状にせり出している雪庇が電話線を圧迫している、歩道が雪で塞がり、車道を歩かざるを得ない等の説明がありました。
次に、津南町三箇地内において、雪崩危険箇所を視察いたしました。
町の担当者から、生徒の登下校路に設置されている雪崩防止柵から雪がせり出し危険なことから、今冬は二回にわたって雪を落としたとの説明がありました。
長野県内の被害状況は、二月十二日には、人的被害が、死者八名、重軽傷者四十六名、住家被害が、一部破損四棟でありました。
まず、長野県栄村役場において、阿部長野県知事、島田栄村長から、被害状況等について説明を聴取するとともに、除排雪経費に係る特別交付税の確保、普通交付税の算定に係る寒冷補正の級地の見直し、雪寒指定路線の除雪費に対する財政支援等について要望を受け、また、応急仮設住宅の仕様に関する提言を受けた後、除排雪体制の現状と課題、除雪に係る災害救助法の運用面の課題、要援護者世帯等の屋根の雪おろしを行う雪害対策救助員の確保、支援策、応急仮設住宅の仕様等について、質疑応答を行いました。
次に、村内の中条橋の崩落現場を視察いたしましたところ、村道にかかる橋は、川の中央付近で二つに折れ、橋桁が川底に落下しておりました。
県の担当者から、昨年三月十二日に発生し、栄村が震度六強の揺れに見舞われた長野県北部地震で橋が損壊した上に、今冬三メートルを超える積雪があり、雪の重みが原因で橋が崩落した可能性があるとの説明がありました。
次に、横倉地区の栄村農村広場の応急仮設住宅を視察いたしました。
応急仮設住宅には、地震で被災された方が居住されており、玄関側に雪よけ屋根のついた外廊下、スロープ、二重サッシ、熱交換型換気扇など、豪雪、寒冷地仕様の対策が講じられていたほか、敷地内に、高齢者の方などが安心して生活できるよう、交流や介護の拠点施設として、食料品等を扱う店舗も併設した集会所が設置されておりました。
村の担当者から、大型の除雪機により除雪を行うことを想定して道路を舗装し道幅を六メートルにしている、住民が助け合いながら生活が送れるよう単身者用の住居の隣に家族用の住居を配置するなど工夫しているとの説明がありました。
以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、豪雪地帯においては、過疎化、高齢化が進行しており、雪処理の担い手の不足や地域で支え合う力の減少といった問題を解決するために、どのように雪おろしの担い手の確保や迅速な除雪の実施など雪処理の体制を確立するか、また、そのための財源をどう確保するかなど、当委員会としても、取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。
最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆さんに心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
この際、お諮りいたします。
派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○村井委員長 次回は、来る十五日木曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十六分散会