三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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第171回国会 衆議院 財務金融委員会 第16号 2009年04月15日

平成21年4月15日(水)

○木村(隆)委員長代理 次に、中川正春君。

○中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 引き続き質疑をしていきたいと思うんですが、先般、自民党の方から、あるいは政府の方から、十五兆円に及ぶ経済対策、三段ロケットと合わせると、それこそ財政的にもたないんじゃないか、あるいは、国債発行の額が全体の予算の半分以上、こういう形で増加をしてくることに対して市場がどう反応するかというようなことも含めて、対策が発表されました。

 私、この状況を見ていて、十一年前の小渕内閣のとき、ちょうど大臣は宮沢大臣だったんですが、そのときの状況を思い出すんですね。平成十年の十月だったと思うんですが、ムーディーズが日本の国債を格下げしたんですね、そのときに。それまでは、日本国債の格というのはトリプルAだったわけですが、それがダブルA1。これは、政府の経済対策がその当時財政出動を前提にして発表をされて、その後にムーディーズが日本の国債を格下げしたということでありました。

 そのときの理由というのが幾つかムーディーズの方から指摘をされていまして、一つは財政悪化。これは、成長率が低迷する中で、政府の景気刺激策が効果を上げずに国内債務を増大させているという評価。それから二番目は、金融の弱体化。このときは、不良債権の処理を完全にしていくということを目標にしていたんですけれども、過去の先進国の例をはるかに上回る巨額の公的資金が必要であるということもこのときわかってきたということ。それから三番目は、膨らむ年金の債務、これが解決をされていないということ。それから最後に、政府対応に不安があるということ。

 それが当時の政権に対して、今も政権はかわっていないんですが、いわゆる持続的な経済成長と財政負担の軽減とそれから金融の活力回復、こういう相反する目標の達成は困難であるということ、こういうことを評価の基本にして、トリプルAからダブルA1に格下げをしたということがありました。

 私は、今回もそうしたリスクというのは当然あるんだと思いますし、既にマーケットは、長期金利、いわゆる国債金利が上がってきているということ、これはもうしきりに新聞紙上で報道をされております。そのことを受けて、格付がさらに十年前と同じような形で格下げされるという可能性なんかを考慮に入れていくと、非常にそのリスクが高まってきているし、そういう意味で、きょうのこの後の議論の格付への影響というのは大きいわけであります。

 大臣、こうした格付ですね、国が格付されると、それがカントリーシーリングで、その格付を超えて日本の企業はそれ以上の格付には位置されない、そういう不文律もあるわけですけれども、そういうことも含めて、格付のあり方、これをどのように評価されているか。これから先、この格付が、四十兆円を超える国債発行になってくるわけですけれども、カントリーリスク、日本のリスクにどのように影響を及ぼしてくるかということ。

 これは、過去に間違った格付の使い方、あるいは格付会社自身が無責任な格付をしていた、そういう反省のもとに今回の法案の一つの改正というのがあるわけですけれども、これから将来を見て、この国の状況を見た場合に、この格付をどのように使っていくのか、これまでのような使い方でいいのかどうか、あるいは、これから影響を及ぼしてくるとすればどんなことを覚悟していかなければならないか、そのことをまずお聞きしたいと思います。

○与謝野国務大臣 正直言いますと、格付会社に言われたからということではなく、やはり根本的な国の責任として、財政の規律というものを維持するということが、国民に対する責任でもありますし、また、世界の中における日本という国に対する信認でもあると私は思っております。

 小渕内閣のときも、先生御指摘のように、相当大きな財政出動をいたしました。今回は、小渕内閣のときの最大と言われたものの倍の財政出動をやっているわけで、結局は国債発行に依存せざるを得ないという状況の中で、やはり将来の財政の姿というものをきちんとお示しするということが、国内外に対する我々の大きな責任であると思っております。

 そういう意味では、やむを得ない世界経済、金融危機の状況ですから、仮に財政出動が許されるにしても、その前提というのは、やはり将来の財政に対してきちんとした姿勢を政府、国会が示すことであるというふうに思っております。

 そういう意味では、昨年十二月に作成いたしました中期プログラム、これも相当党内外でいろいろな御意見がありましたけれども、我々としては、政府経済見通しの改定、中期プログラムの改訂、また六月には、いわゆる骨太方針というものも作成をしなければなりませんので、そこの中で日本の将来の姿をどうかくか、これが政府としては問われているところではないかと思っております。

 格付会社も、デリバティブに関しましては余り世間の期待にこたえられるような格付をしてきたとは思えませんけれども、やはり一般の会社、国、こういうものに対してはかなり厳しくやってまいりましたから、そういうところの評価もきちんと得られるだけのことはやらなければならないと思っております。

○中川(正)委員 その格付の問題に入る前に、もう一つだけ確認をしておきたいと思うんです。

 財政に対して責任を持っている大臣としては、当然のコメントだと思うんです。将来の財政規律というものに対してしっかりとした明示をしていく、いわゆる国の意思としてしっかりしたものをつくり上げていくということだと思うんです。

 その中で、この中期プログラムに対して必要な改訂を早急に行う。大臣の発言として、これは新聞に載っている話なんですが、今回は財政出動するが、使ったお金は税制抜本改革の中で、財源の問題として手当てしなければならない、こういう発言をされたということ。その上に立っての、必要な改訂を早急に行うということだと思うんです。

 具体的には、財源として消費税を言っておられるんだろうと思うんですが、今の大臣の、はっきりとした国民に対するメッセージとしては、いつどういう形で見直しをされると、この中身はどういう意図で発言をされたんですか。

○与謝野国務大臣 税制の抜本改革の方向というのは、先生方に御審議をいただいた税法の附則に書いてある方向で、税制全体を変えていかなければならないと思っております。

 これは、財政の持続可能性、それから年金、医療、福祉、少子化対策、こういうものにも財源が必要であるので、一応、中期プログラムでは、こういう社会保障関係プラス少子化対策と将来の税制改革をリンクさせて考えているわけでございますが、今回、中期プログラムを改訂するとすれば、どういうことを考慮しなければならないのかという問題があります。

 一つは、昨年十二月に考えたときの中期プログラムと何が違っているのかといいますと、一つは、歳出が多くなった、それから、経済成長が思ったほど高くなるということは考えられない、それから、今回の経済対策で思わぬ支出があった、金利の将来の姿というのはそんなにははっきりわからない、こういうもろもろの要素を入れ、また、法人税を中心に大幅な税収減というのが、今年度だけでなく来年度、再来年度と続く可能性もあるわけですので、そういう税収減も含めて全体を見直し、これからどういう方向に進むのかということはきちんとお示ししなければならないというのが、改訂が早急に必要だという根拠でございます。

 ただ、残念ながら、経済対策の方を急いでおりましたので、具体的な改訂の中身はこれからきちんと作業をするところでございます。

○中川(正)委員 先ほど挙げられた新しい要因、それぞれ一つ一つ手繰っていっても、どこかで財源をその分確保しないと、日本の財政というのは発散をしていく、そういう危機感なんだろうと思うんですね。そのときに、私は、今の与党のいわゆる経済政策それから財源を求めていく方向性と、私たちが主張をしている経済政策そして財源、方向性について根本的な違いがあるということを感じています。

 一つは、経済対策は麻薬であってはならないんだろうと思うんです。

 小渕政権のときにやった政策が、さっき、ムーディーズの中でも評価としては効き目がなかったと。財政出動をやるんだけれども、あのころは公共事業を中心にやったけれども、経済の中の構造がこれだけ変わってきている中で従来型の財政出動をやったって、これは効き目がないよという警告だろうというふうに思います。多くのエコノミストがそのように指摘をしてきたということだと思うんですね。

 それだけに、今回の財政出動というのは、一過性の麻薬効果ということではなくて、一つの経済の構造を、内需型に変えていくとよく言いますが、内需型といっても、我々は特にディマンドの方、生活者の観点から可処分所得をふやしていく、あるいは安心感というのを生活の中にもたらしていく、そんなことを構造的に恒久的なものとしてつくり上げていく、目鼻が立つようないわゆる金の使い方、税金の効果のある使い方という方向性をはっきりと目指していくべきだということ、これが一つです。

 もう一つ、財源のことについて。

 恐らく、今の政府の立場からいくと、現在ある予算措置あるいは予算設定の仕組みの延長線上に考えていくわけですから、そこから考えていく限りは、新しい財源、消費税を上げていくということも含めた、増税のできるところから取っていくという結論しか出てこないんだろうと思います、この延長線上では。

 しかし、私たちはそうじゃないんだと。今使っている税金が有効にそれだけ活用されていたらいいけれども、いろいろな無駄も含めて、活用実態としては、金は出しているけれども効き目はないんだというものがこれだけいっぱいあるじゃないかと。

 この委員会でも租税特別措置法で個々に指摘をしたように、あれも補助金と同じような形ですから、ああいう問題が構造的に政府の中にあるというふうに見ていまして、それをいわゆる機能転換するといいますか、税の機能を転換して、本当に今、そうした構造的に改革をしていく部分へ向いて集中投資をしていく、集中的に振りかえていくということが必要なときに来ているんじゃないかということ、このことを中心にして私たちの提言というのが成り立っています。

 そのことを今ここで議論するよりも、具体的には予算委員会の中で、恐らく与党から出てきた補正予算をまたいで、それの修正なり、あるいは私たちの意味合いの中で与党の方がしっかりとそれを組み込んでくれる、それで修正をした上でこれからの時代をつくり上げていくという決断をしていくということなら、そういうことでも話はまとまっていくんでしょうし、そうじゃなくて、両方が言いっ放しでそれぞれ平行線で、ガチンコやりますよということであるとすれば、それはそれで、解散という形の中で決着をつけていくんでしょうし、これから予算委員会での議論が始まってくるんだろうというふうに思うんです。

 大臣としては、二十七日に出されようとしている今回の補正についてはどちらの姿勢で運営をすべきだと、大臣個人ではどのように考えられていますか。

○与謝野国務大臣 補正予算、今回の経済対策というのは別に与党のものではないと思っておりまして、これは国民の生活や国民の経済のために出しているわけですから、望ましくは、国会の中で穏やかな政策議論が行われ、与野党がある一定の方向性で合意することが理想的な状況だと私は考えております。

○中川(正)委員 それは具体的にどういう形で、さっきの話が大臣の個人的な見解なのか、それとも党としての話なのか、それをもう一つ確認しておきたいんですけれども、どっちにしたって、どういう具体的な形でその話し合いというのがなされていくべきだというふうに思われますか。

○与謝野国務大臣 細かいというか具体的な、委員会レベルで処理できる問題もあるでしょうし、国対委員長同士の話し合いもあるでしょうし、また執行部同士の話、あるいは党首同士の話と、いろいろなレベルでの話し合いというものは可能だし、そういうことがやはり円満な国会運営の上からいっても望ましい、私はいつもそういう立場でございます。

 これは、与党だけ努力してできるものではなく、やはり民主党を初めとした各党もそのような姿勢で臨んでいただければという強い期待を持っております。

○中川(正)委員 そのことを、担当大臣として積極的に前に出ていただいて、具体的な協議、例えばこの委員会であるとすれば関連法案が四つ出てきますけれども、それについての与野党の話し合いの中で修正とか、あるいは新たな、私たちの出す対案についてのいわゆる丸のみとか、そういう流れをつくっていくということ、これはどうですか。具体的に、大臣、できますか。

○与謝野国務大臣 部分修正とか丸のみとかそういう話ではなくて、やはり審議時間とか効率とかそういうことを考えますと、あらゆる問題について与野党がきちんと協議をするということは、いつの時代であっても大事だと私は思っております。

 特に、私は委員会の筆頭理事だけでも八回やらされましたので、そういう意味では、与野党協議の重要性というのは自分の経験からしても大事なことだし、どの党の御主張もやはり根拠のある御主張なので、そういうものがなるべく多く取り入れられるということが民主主義の根本かなというのが、私の率直な気持ちでございます。

○中川(正)委員 いや、そんな抽象論を言っているんじゃないんですよ。具体的には竹本筆頭と私たちが話し合いをしますから、そのできたものを党へ持っていってちゃんと説得してくれますか、こういう話なんです。

○与謝野国務大臣 説得するのは竹本さんですけれども、与野党で、この場で合意されたことは、我々、何の条件もなくお受け入れするというのが通常のことでございます。

○中川(正)委員 何となく理解のあるようなお話をいつも大臣はされるんですが、中身をずっと拝聴していると、いや、全然これまでと一歩も出ていないんだというふうなことに終わってしまう話が多いんですけれども、さっきもそのような感じですね。これは、これ以上進めたって進展しないんでしょうから、切りかえていきたいというふうに思います。

 まず格付について、この法案の中に品質管理規定というのがあるんですね。六十六条の三十三なんですけれども、この中身ですね。これは、「信用格付業者は、信用格付業を公正かつ的確に遂行するため、内閣府令で定めるところにより、業務管理体制を整備しなければならない。」こうなっているんですが、ここが肝だと思うんですよね。いかに管理体制を、届け出であるとしても、情報開示をさせて、ここまでのことはやっているよというのを確認していく、そういう意味でこの六十六条というのはついているんだろうと思うんですが、内閣府令で定める中身というのはどういうものになっていますか。

○内藤政府参考人 お答えいたします。

 特に、今委員御指摘されましたのは、業務管理体制の中でも格付の品質管理というところでございますので、それについてお答えいたします。

 内閣府令におきまして、これはもちろん今後の検討でございますけれども、例えば業務体制の整備ということで、アナリスト個人ではなく信用格付機関による信用格付の付与でありますとか、方法やモデル等の定期的なレビュー機能の設置等、それから、専門的知識及び技能を有する者の配置を行うことということで、具体的には、例えば適切な知識及び経験を有する者を用いること、高品質な信用格付を行うための十分な資源の確保、格付モニタリング、格付更新に対する適切な人員あるいは予算配分の確保などなどといったようなもの、それから、特に問題となりますストラクチャードファイナンス商品、証券化商品と言われておりますが、これの初回の格付とモニタリングの分析チームが異なる場合の専門性、資源の確保、こういったことがIOSCOの基本行動規範に述べられておりますので、これを十分踏まえながら内閣府令を考えていきたいというふうに考えております。

○中川(正)委員 さっき読んでいただいたのはIOSCOの行動規範なんですよね。内閣府令というのは、さっきの話ではまだできていないんですね。だから、具体的な話というのがあって初めて私たちも、そのイメージ、どれぐらいの管理監督をやっていくのか、どういうところを具体的に踏まえてこの法律が運用されていくのかというのは、わからないんですよね。

 これは例示的に、私、ここのところのポイントを挙げさせていただきましたが、ほとんどの、いわゆるあんこになる部分、法律は枠組みですけれども、その一番大事なあんこになる部分、ここが、どの程度の規制をかけていくのかという一番大事なところなんですが、恐らく業界としてもあるいは関係者としても、そこのところを知りたい。そこのところを前提にして、我々も、この法案に対して賛成か反対かということのいわゆる判断基準にしていくわけなんです。

 今答えが出ているのは、IOSCOにそういう基準がありますから、それを参考にしてつくりますという話だけなんですね。それでは逆さまなんじゃないか。

 法案を出してくるときに、政省令や府令というのをまず出して、中身はこうですよという話を私たちにしないと、これはどの法案でも共通して言えることなんですが、議論が進められない。参考にしますというだけで、こうつくりましたという話じゃない。政治抜きで、あるいは国会抜きでこれから先は全部進んでいくわけですよ。

 私が聞かなかったら、IOSCOということを対象にしていくという、どの程度、どこの部分を、どの条項を持っていくのかというのも全くわからない。それでそのままずっと通ってしまう。しかし、そこがあんこなんだということなんですね。

 そういうことからいくと、やはり説明責任、どういうことが府令で対象になっているかというのはもらっているんだけれども、中身は、こういう項目を考えていくだけですということで、この項目をどういう基準でこういう設定をしていきますという話じゃなくて、こういう項目について考えていきますというだけなんですよ。こういうような状況の中では、なかなか議論が進めていきにくいということがわかりました。

 担当者を呼び込んで大分根掘り葉掘り聞いたんですけれども、やはり、まだできていないわけですからはっきりしたことも言えないし、国際的な話し合いの中でこれも決めていくんだという要素もある。しかし、そこで日本が何を主張するのかというのも聞いたんですが、何を主張するかということもわからない、様子を見ながらという話なんです。

 それを整理して一度出してきてもらいたい、どこまで中身を規制していくのかというのを。これでは中身がわからないんですよ、項目がわかっているだけで。調べているうちにそのことがだんだんと私もわかってきまして、これはだめだなという感じがしているんですが、大臣、作業を急がせていただいて、中身を出してきてもらえませんか。

○与謝野国務大臣 これは、法律と政省令との関係でいつも議論になるところでございますが、私どもとしては、基本的に法律事項となるものは、国民の権利を制限し、あるいは義務を課すという重要な部分は、やはり法律事項であるというのは永久に変わらない。ただ、登録の手続とかあるいは技術的な問題とか細目の部分は、やはり内閣府令でやるべきだというふうに私どもは考えております。

 しかしながら、委員御指摘のように、法律の委任の趣旨を明確にする観点から、法案を御審議いただく中においても、検討条項や方向性についてきちんと説明していくことが重要であると思っておりまして、現在までわかっていることは、先生が今ごらんになっている表のように、誠実に作成したつもりでございます。

 ただし、格付会社に対する規制は、各国それぞれ違った事情あるいは違った考え方を持っておりまして、そういう中で、他の国々との考え方の整理、あるいはそういう国々との整合的な考え方を確保する意味からも、確定的な政省令案というのはお出しできないという事情はぜひ御理解をいただければと思っております。

○中川(正)委員 例えば、私の手元に届いているのはこういう一覧表なんです。その中の、さっき言った六十六条の三十三第一項、これは業務管理体制なんですが、「内閣府令で定めるところにより、」こうなっているんですね。

 現在検討中の内容として私のところへ来ているのは、その中身が、公正性の保持、法令等の遵守、品質管理、利益相反の防止、報酬管理、情報管理、苦情対応、格付方針等遵守等を規定する、これだけなんです。

 こういう項目について規定をしますということはわかるんだけれども、では、具体的にどれぐらいの基準をつくっていくのか、あるいは何をもって、これでいいよ、あるいはもう少しここはしっかりと充実しなければだめだよという話になるのか。例えば公正性の保持なんというのは、具体的に何を意味するのかというのは、この公正性の保持だけではわからない。

 だから、我々が知りたいのはそこのところの中身なんですよ、この法律は特に。そんな役人の行動規範みたいなものじゃないんですよ。この法律のいわゆるあんこになる部分そのものなんですよ。この法律は特に、そこのところを私たちは注目しているわけで、そのところがこういう項目だけであらわされていることになると、つかみようがないということなんですね。

 だから、今考えているその中身、まだできていないんだから、しかし議論はしているんだろうと思うし、いろいろな諮問委員会から出してきている話もあるんだろう、IOSCOの基準もあるんだろう。IOSCOの基準をここへ持ってくるということであれば、それを持ってきて、この方向でまとめていきたいんだというふうな話をやはり我々にしなきゃいけないと思うんですよ。それができていないので、至急にやっていただきたいということなんです。

○内藤政府参考人 先ほど大臣から御説明されましたけれども、この法律に係ります政省令でございますけれども、細目につきましては、私ども検討はしておりますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、国際的な制度の整合性という観点から考えまして、IOSCOの行動規範というものが基本的ベースになると考えておりまして、これは既に国際的にも合意されている、これをベースにつくっていくんだということも合意されているところでございます。

 それから、例えば公正性等の保持ということについては、行動規範におきまして、事業上の関係の存在等により格付が影響を受けることの禁止というようなことにつきましても、こういう趣旨は盛り込んでいこうということでございます。

 先ほども申し上げましたように、公正性等の保持、法令等の遵守、品質管理、利益相反防止等々の業務管理体制につきましては、基本的には、こうしたもろもろの行動規範に書かれております趣旨をできるだけ明確に政省令に書きまして、それで、この法案の基本的な趣旨が最も生かされるような形で対応していきたいというふうに考えております。

○中川(正)委員 大臣、具体的に何をするか、さっきの話でわかりますか。

 ここで述べられていることは当たり前のことですよ、公正性を保持する、あるいは法令遵守。どういう形で公正性を遵守させるのかというところが項目になってあらわれないと、そのときの担当者によって、上がってきた事項で、これはいいよ、悪いよという基準がつくれないわけですよ、担当者によって随分違ってくるという。それぐらいの網目なんですよね、これは。だから、そこのところについて、何回も言いますけれども、この法案の特に大事なところなので、ぜひ示してもらわないと結論が出ないということ。

 それからもう一つは、きのうも、この問題だけじゃなくてモニタリングについての指摘が出ていました。これについても、きのうの話では、政省令に落としていきたいというような話も出ていましたけれども、落とすんだったら、モニタリングについてどういう規範をつくっていくのか、これも具体的に示してもらいたい。そんな中で、日本が格付機関に対してどの程度の拘束あるいは監督をしようとしているのかということが見えてくるということなんですね。

 このまま今の法律だと、枠組みだけでさっぱり見えないということを、見えないというより、恐らく政府の中では、これぐらいのところだろうな、アメリカとヨーロッパの真ん中に入ってこれぐらいのところだろうなと見当をつけているんだろうと思うんだが、こっちは、そこのところを政治で決めなきゃいけないと言っているんですよ。

 ヨーロッパと一緒にやるのか、アメリカと一緒にやるのか。あるいは、規範として格付機関を監督していく、あるいは中立性を守らせていく、そういう形でいくのか。それとも、格付はできるだけ自由にして、そこから出てくるものの使い方についてもっと工夫をしていくのかということ、これの方向性によって随分違うんだと思うんですよ。

 そういうところの判断というのは政治でしょう。これは政省令でやる話じゃないと思うんですよ。それが見えてこないから我々は判断できないということなんですね。

○与謝野国務大臣 委員会の御審議の過程で、各国の動向、あるいは日本として、そういう各国の動向の中で考え得るものは何かということはお示しすることはできますけれども、各国の動向も変わってしまう可能性があるわけでございますから、ある程度の、相当の裕度を持った物事の言い方をさせていただかないとなかなかお示しできませんので、その部分はお許しをいただかないといけないと思っております。

○中川(正)委員 それで結構なんですよ。

 だから、国際会議に臨むときに、日本としてはこういうことを主張していきたい、こんなふうにまとめていきたいということをここでちゃんと説明してくれたらいいわけですよ。交渉した結果こんなふうになりましたというのは、また帰ってきて報告をしてもらって我々の中で議論をする、そういう話にしないと、これはいつまでたっても役人任せという話になっちゃう。そうすると結局は、あっちの顔見てこっちの顔見て、まとまるところしかまとまっていかない、日本の主張は何なんだと言われるわけですよ。

 これは一番大事なところなので、そこのところを改めて出していただくということ、これは理解しましたので、それをお待ちします。

 それからもう一つ、さっきちょっと触れましたけれども、この法案というのは、格付機関自体を登録させていくということなんですが、もう一方の、格付機関から出てきたレーティング、これをどう利用していくかということ。

 これは公的機関の中で、あらゆる局面で、トリプルAとかBBとか、この間も日銀がCPや社債を買うときの一つの基準として、トリプルAあるいはAA、A以上とか、それを下げていきますよ、BBまで行きますよとか、そんな形で、公的な中でもこれは活用されているわけですよね。それで本当にいいのかどうかということですね。

 別基準がそこから始まってきて、金融機関の中のティア1、ティア2、これも全部影響しているわけですね。こうした使い方が行政のサイドから、いわゆる役所のサイドから民間に向けて、この基準を満たしなさいよという話で今おりている。そういう体系になっている。だから、格付というのは影響力が強いんですよね。

 そこの部分について議論が全く抜けているんじゃないですかということを指摘したいんですけれども、ここについては、これから先どのように改革をしていく予定ですか。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

○与謝野国務大臣 日本においても、開示制度上、機動的な証券発行を供するための要件としてこれまで用いてきた、指定格付機関の格付の要件を撤廃する予定でありまして、見直しに向けた作業を開始したところでございます。

○中川(正)委員 これは非常に重要なことだと思うんです。行政的にその格付のレートを使うということ、これをやめる、撤廃すると大臣は言われたわけですが、勝手にできるんですか。

 というのは、法律事項の中で、政治がこれも判断しなきゃいけないことなんじゃないかということが一つと、それからもう一つは、格付を使わないという形になったときに、かわりに何を使っていくのかということですね。ここも確認をしておきたいと思います。

○内藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、指定の格付機関制度というものでございますが、これは内閣府令で規定をされている、開示関係について格付を使う場合に指定格付機関の格付を使うということで、それは指定をするだけの制度でございます。

 したがいまして、今回の法案の御審議のさまざまな議論を踏まえまして、今後、公的利用の見直しの結果という形で、内閣府令を改正するという形で対応してまいりたいと考えております。

○中川(正)委員 大臣、これも内閣府令なんですよ。こんなこと勝手にやられちゃたまらないなというのが我々の気持ちですね。やはりこれは法律事項で、あるいは議会の賛否を問う形で議論すべき話だと思いますよ。ある日突然もうやめようというので、これはやめるつもりでいるわけですよね。それでいいんですか、大臣。大臣、それでいいんですか。

○与謝野国務大臣 現在は、国会で御承認をいただいた法律の範囲内の政令で物事をやっている。決して、間違ったことをやろうとしているわけではないと思っております。

○中川(正)委員 それでは、この中身を我々にちゃんと説明してください。具体的にどの部分を廃止しようとしているのか。

 そのこととあわせた形で、トータルでこの問題をやる、格付を見ていくということ、これは金融界にとっても非常に大きな問題になります。その格付にかわる評価というのは何でやろうとしているのか、ここも含めてしっかり報告してください。

○内藤政府参考人 それについて概要を申し上げます。

 発行登録制度といいますのは、非常に周知性が高い上場会社等におきまして、証券を発行するというときに迅速に証券を発行できるという形で、非常に周知性の高い上場企業についてはそれが可能とする制度でございます。

 そこで、周知性の要件といたしまして、例えば発行済み株券の時価総額でございますとか売買金額でございますとか、それからその要素の一つに、格付について、社債券について二つの指定格付機関によるA格相当以上の格付を取得していることであるとか、そういった内容がございます。

 したがいまして、私どもの金融審議会でも検討いたしまして、それで、一つの格付制度の利用というものを見直していくという観点で、A格相当以上の格付の取得というような部分について、これを撤廃することが適当ではないかというふうな結論をいただいているところでございます。

○中川(正)委員 項目はそれだけですか。ほか、いろいろな要件、さっき言ったように、日銀も使っているし、政府も、さっき国債の議論をしましたが、地方債等々含めて、このレートを中心にしていろいろな基準をつくっているんですけれども、そういうのはどうするんですか。

○内藤政府参考人 私ども金融庁が所管しております制度でまいりますと、指定格付機関制度、これは開示制度に係るものでございます。もう一つは、適格格付機関制度というものがございまして、これはバーゼル合意の中で格付制度を用いるということでございます。

 前者につきましては、先ほど申し上げたような形で、私どもの制度でございますので、責任を持って、この中で、見直しをするべきものについては見直しを図っていく。後者につきましては、これは国際的な合意でございますので、国際的な場で検討しつつ、今回の法案の御審議における趣旨でありますとか、それから、現在、国際的にも議論されております格付制度そのものの見直しといったような観点から、見直し議論が出てくるのではないかというふうに考えております。

○中川(正)委員 いや、それは重要な観点だと思うんだけれども、では国際的に、バーゼル合意の中の議論としては、日本はこれを使うのをやめようという主張をするんですか。

 さっきのように、他人事みたいな話じゃないんですよ。日本の主張をどうするのかと言っているんですよ。

○内藤政府参考人 適格格付機関制度につきましては、国際的に、バーゼル合意の中で、自己資本比率の規制の中で格付を使っていくというのが合意をされております。

 これをどうするかについては国際的な場で議論されていくことだろうと思っておりますが、私どもとしては、現時点においては、これをどうするかについては目下、検討はこれからされると思いますけれども、現在明確なスタンスが決まっているというわけではございません。

○中川(正)委員 では、指摘をしておきます。

 その方向も決めないままに何で日本だけがやめようという話になってきたのか、これもわかりませんし、それから、それにかわるもの、どういう仕組みをつくろうとしているのかということもわかりません。

 これはトータルで、格付機関そのもののいわゆる公正性というものをつくり上げていかなきゃいけないという方向と同時に、その使い方についても、全廃をするという形じゃなくて、法的拘束力を持たない形で、何らかの工夫をしながら参考程度に使う、あるいは相対的な価値観として使うという方向は、私は正しいんだろうと思うんです。やみくもにもうやめてしまえという話じゃないんだろうと思うんですね。

 そんなことも議論しないままに、一方的に、府令だからもう我々でできるよという話は断じて許せません。ちゃんとここへ出して、その上で、トータルで議論をする場をつくってください。

 そのことを申し上げて、時間が来たようでありますので、質疑を一たん打ち切ります。
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