衆議院 災害対策特別委員会?£(江田(康)委員、赤嶺委員、重野委員、柿澤委員)
平成24年7月25日(水)
○江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。
本日は、今般発生しました九州北部豪雨災害について質問をさせていただきます。
平成二十四年七月の十一日から、これまでに経験したことのないような大雨により、私の地元の熊本県や福岡県、大分県を中心として、一時間当たりの降水量が場所によっては百ミリ以上、また降り始めた雨量が八百ミリメーターに達するなど、記録的な豪雨となりました。私も翌十二日から地元に戻り、被災者の救出、救援に全力で取り組んできたところでございます。
各地では河川の氾濫や土砂災害が発生し、一時三十五万人以上を対象に避難指示並びに勧告が発令されました。避難勧告は現在も一部継続しているところでもございます。今なお、不自由な避難生活をされている方が多くいらっしゃいます。
土石流や土砂崩れなどによる死者三十二名、行方不明者数は四名にも上り、特に私の地元の熊本県の阿蘇市や南阿蘇村では二十三名が亡くなられ、二名が行方不明になっておられます。
全壊、半壊、床上浸水などの多数の住宅被害を初め、道路、河川など公共土木施設、鉄道、農地、農林水産施設等の損壊や、また山地の崩壊、さらには農林水産業や観光業等に極めて甚大な被害が発生しております。
公明党は、十二日に九州北部豪雨災害対策本部を設置して、関係各県本部と緊密に連携をとりまして、現地調査をもとに万全を期しているところでございます。速やかな災害復旧と防災対策を講ずる、また被災者救済を講ずるよう、七月の二十日には中川防災担当大臣に対して、二十二項目にわたる緊急の申し入れを提出いたしました。
本日は、これらの事項について、政府としてどのように対処をされているのか、関係省庁も含めてお答えをいただきたいと思っております。
現地の最大の願いは、一日も早い激甚災害の指定でございます。この激甚災害の指定へ早急に取り組むように公明党は申し入れたところでございますが、総理が、二十日に被災四県を視察して、激甚災害の早期指定に向けて手続を速やかに進めるよう指示したとされますけれども、この指定はいつごろをめどにしておられるのか、また、指定は農地等に限らず公共土木も見込めるのか、中川大臣にお伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 正式な手続ということになりますと、梅雨明けを待ってということになります。これは、どの範囲を激甚に累積していくかということとの関連がありまして、短くすればするほど範囲が狭くなるということでありますので、事務的な手続の上ではできるだけ長くという、この一連の梅雨の状況が晴れるまでということで、六月八日から合わせて指定をしていくということで整理をしたいというふうに思います。
しかし、現地としては、それを待っていてはなかなか思い切った形になっていかないという、そのこともわかりますので、政治的にも、あるいは我々のできる範囲でということで、野田総理には、見通しとして、農業関連については大体の水準を超えてきているということを踏まえて、激甚でいけるであろう、そのつもりでやってほしいということを申し上げたということであります。
土木についても、今、順次積み上げて、見通しも立てていこうとしているんですけれども、これがなかなかそうした数字に達するところまでいっていないということでありますので、政治的にも、それを見越して、発表することができないという状況でございます。これが現実なんです。
あと、局部的な部分について、できるところからということもありまして、中小企業の救済については、阿蘇市で大丈夫だろうというので発表させていただきました。
現状はこういう形なんですが、事務手続以上に、恐らく地元の皆さんにとっては、やれるのかやれないのか早くはっきりしてくれ、こういうことだと思いますので、この見通しをしっかり積み上げていきたいというふうに思います。
○江田(康)委員 中川大臣、よくおわかりだと思っておりますが、被災地においてはこれは大変な、これからの復旧へ向けて、迅速な復旧を進めていく必要がございまして、この激甚災害の指定は必須のものでございます。迅速に指定をしていただきますように、万全を期してもらいたいと強く要望するものでございます。
公共土木について、これからもその検討が続けられると思うわけでございますが、やはり公共インフラの整備が、これはもうまさに欠かせないわけでありまして、万全を期していただくようによろしくお願いを申し上げます。
そしてまた、必要な全ての被災自治体に対して、特別交付税等を中心としてしっかりと交付をしていっていただきたい。そのことでございますけれども、川端総務大臣が表明した特別交付税措置についての検討はどこまで進んでおりますでしょうか。迅速な応急対策、復旧事業支援のために、予備費の活用、また補正予算により十分な予算を確保していく必要が大いにあると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○稲見大臣政務官 お答えいたします。
普通交付税につきましては、御案内のように四月、六月、九月、十一月、特別交付税については、十二月と三月というふうに算定をしてまいります。
それで、午前中にも御質問にお答えしたかったわけでありますが、既に、七月七日までの大雨につきましては十八日に、被害を受けました三団体に九月分の三割を前倒しで交付いたしております。それから、十一日以降の大雨につきましても、昨日交付を決定いたしまして、きょう現金交付ということで、既に、福岡県内八団体、熊本県内五団体、それから大分県内一団体につきまして、八十一億二千五百万円を繰り上げで交付したところであります。当面のさまざまな対応に係る資金繰りということでは、こういう形であります。
それから、今御質問のありました特別交付税の件でありますが、前倒しをできるかどうかというふうなこともありましょうが、こういう形でやりましたのは、立法措置をしました東日本大震災一件でございました。実は、昨年の紀伊半島の大雨についても特例交付というのはいたしておりません。
したがいまして、今後、被災地方公共団体の実情を十分にお伺いしながら、総務省としても、関係省庁と連携を図りつつ、先ほど申し上げました十二月分の特別交付税措置を初め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないように、できる限りの対処をしてまいりたいと思います。
以上であります。
○江田(康)委員 今おっしゃっていただきましたが、普通交付税の繰り上げは大変評価をいたします。特別交付税措置が大変待たれるところでございますので、しっかりとこれは進めていただきたい。強く申し上げておきます。
ライフラインの早期復旧、また被災者支援というのが非常に大事でございますけれども、被災者支援においては、住宅に流れてきた土砂、また瓦れきの撤去のために、多くのボランティアの皆さん、また自治体の職員が派遣されておられます。しかし、圧倒的に人手が不足しておるような状況であります。また、人力で、人の力で撤去ができないほどの大量の土砂で埋まっている、こういうような状況であります。
この中で、特に高齢者だけの世帯、またはひとり暮らしの高齢者の皆さんにとっては、これはまさに、自宅での生活を再建するのは不可能にも近いというような状況でございますので、人手と機材の両方がこういう世帯には必要であるわけでございますけれども、これに対して、国はどういうふうな対応を自治体と協力してやっているのか、やろうとしているのか、ここについてもお伺いをさせていただきます。
○津田大臣政務官 厚生労働省でございます。お答えを申し上げます。
家屋等に土砂、流木等が流入し、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合、高齢者の方等でございますが、災害救助法に基づいてその除去が行われることになるわけでございます。
今回の水害では、特に山間部で高齢者世帯がお住まいの住宅に多くの被害があり、そこでは、みずから障害物の除去を行うことが困難な状況にあるというふうに伺っておるわけでございます。
こうした高齢者世帯の住宅では、ボランティア活動による障害物の除去も行われているというふうに聞いておりますが、災害救助法に基づく支援もしっかり行われるよう、これは特に国と県で費用を負担する制度でございますけれども、実施主体は県でございますけれども、しっかり助言をし、取り組んでまいりたいと考えております。
○江田(康)委員 さらに、農林水産業の復旧支援が大変に重要でございます。
今回の九州北部豪雨により、農林水産業が甚大な被害を受けました。七月の二十日の熊本県の発表でございますけれども、阿蘇地域だけでも五百ヘクタール以上の水田が冠水し、農業用ハウスの損壊も相次いでおります。山腹崩壊、渓流被害、林道や立ち木の被害などの林業被害が被害額の八二%を占めているほか、農作物、畜産物、農地や農業用施設にも多くの被害が生じております。
農業用の施設として、一級河川の、例えば白川ではございますけれども、その農業用水路の取水口が全て破壊されているような状況で、これから夏場に向けて水が要るような農業に対しては、これはもう致命的でございます。こういうことに関しても迅速な対応がなされなければなりませんけれども、こういう対応についてもいかがか、お尋ねをいたします。
被災地における農林水産業の再生のために、これらの災害復旧、これは早急に事業採択をしていかれるべきでございますが、新たな機械の導入も含めて支援すべきでないかと強く申し上げたいが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今回の九州北部を中心とした農地、農業用施設の被害、農水省として七月十八日現在で取りまとめをさせていただいてございますが、これはあくまでも農地と農業用施設に限ってございまして、今御指摘があった山林等については、被害の箇所数はわかっておりますが、まだ被害額は集計しておりません。農地、施設だけで一万二千カ所、約百三十億円の被害というふうに掌握をしているところであります。
農水省として、岩本副大臣それから森本政務官が直ちに、福岡、熊本、大分で現地視察、調査をさせていただき、九州農政局職員も一緒に調査をさせていただきました。
今御指摘がありました白川周辺を含む九州各地の川の氾濫、あるいは山腹の崩壊、農地への土砂の流入、堆積、川岸がえぐられる等々の損壊が多く見られておりまして、ポンプ場等の用水施設にも多数被害が出てございます。
まずは、地元農家から要請を受けております、今御指摘のありました農業用水の確保が急務でありますから、農政局から三県に二十台余りの揚水ポンプをまず貸し出してございます。
それとともに、査定前着工をさせていただいておりまして、被害を受けた市町村、三県で約八十件の応急対策工事、これは事業としてですが、着手させていただいたところであります。
さらにまた、緊急対策として、流入土砂の排除、それから農地のさらなる崩壊防止等々を進めてございますが、いずれにしても、迅速な復旧が大切でありますので、そのほかに、技術者の支援とかあるいは査定事務の簡素化などできる限りの支援に努めてまいりたいと思ってございます。
以上です。
○江田(康)委員 熊本の白川また緑川、一級河川でございますが、さらには福岡の筑後川等々が流れ込む有明海についても、ヘドロの流入等が大変な状況にこれからも至るのではないかということでございますが、大量のヘドロにより、名産のノリ、アサリガイの養殖への被害も心配されているところでございます。
熊本県の白川から流れていく泥というのは、やはり火山灰で、黒ぼくと呼ばれるようなものですが、非常にきめ細かい泥なんですね。これが家屋にも多く侵入し、悩ませているわけでございますけれども、有明海においてもこういう被害が心配されるわけでございます。赤潮、また海水が薄まって種苗に悪影響を与えたりする可能性がございます。
早急に、この除去方法も検討するとともに、支援措置を政府は講じる必要がございますけれども、どのような対策を講じようとしているのか、教えていただきたいと思います。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
有明海、今御指摘のように、ヘドロの流入が生じております。このまま放置した場合に、これから養殖期に入りますノリ等に大変な影響が出るおそれもございますので、まずは、水環境保全のために、市町村が、あるいは都道府県、市町村が行います堆積物の除去費用について、水産環境整備事業により助成するということが可能でございます。
さらにまた、漁場の大量の土砂でございますが、激災法に基づいて、市町村の費用の全部または一部を負担する土砂排除事業等についても、堆積土砂排除事業といいますが、国から交付する事業も存在をしてございますので、これらを組み合わせて、ぜひ早期に対応してまいりたいというふうに思ってございます。
さらにまた、影響が最小限になるように、関係機関とよく連携、調整をしながら、今御指摘をいただいた方法等についても、よく打ち合わせをさせていただきたいと思ってございます。
○江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。
さらに、農林水産業の復旧支援について、財政的な支援についてお聞かせをいただきます。
これから経営再建とか施設復旧を目指す被災農林漁業者のために、資材費や労務費などの運転資金を貸し付ける農林漁業セーフティーネット資金、また、機械、施設の復旧とか漁船、漁具の修復の資金を貸し付ける農林漁業施設資金がございますけれども、これは、日本政策金融公庫を通じて、政府として十分な融資枠を確保すべきだと思います。
また、甚大な被害を受けている被災農林漁業者の状況に鑑みて、貸付限度額の引き上げ、また金利負担の軽減、利子補給、さらに償還期限の延長、据え置きなど、これらの融資制度を柔軟に運用すべきと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。
と同時に、農業共済金についても、早期支払いを進めていくべきだということを強く申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今御指摘をいただきましたセーフティーネット資金と施設資金でございます。これは、当初予算で三百八十八億円、五十億円と、それぞれ予算計上をあらかじめさせていただいている資金でございますが、限度額、金利、償還期限等々相当に、こういうことに対応する資金でありますので、十分に配慮した条件を設定してございます。
今御指摘いただきました償還条件の緩和等でございますが、担保の弾力化、あるいは返済猶予などについて、日本政策金融公庫など関係機関に、過日、七月十三日に文書で要請をさせていただいたところでございます。
さらに、農業共済金でございますが、これについても同じように、農業共済団体に指導を徹底させて、同じ日に要請をさせていただいてございますが、まずは、被災された方々に遺漏なく申告を出してもらうこと、そして、共済組合が迅速に損害評価をすることなどについて、そして、保険金の請求手続などを迅速に手続をして、早期支払いという体制を確立することなどについて、共済団体に要請をさせていただいたところでございます。
なお、国としても、一層の指導助言をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○江田(康)委員 今回の災害は、規模も大変大きいものがございます。そういう意味で、共済金の早期支払いも決して滞りのないようによろしくお願いします。共済金で足りないところも多々ございますので、やはりこの融資において柔軟な運用をしっかりとしていくように特に申し上げておきたいと思います。
中小企業等の復旧支援も非常に重要でございますが、まずはセーフティーネット保証に係る突発的災害の指定、これを申し入れで強く要望したところでございます。
今回の豪雨では、観光業から商業、製造業、さまざまな中小企業者が被災しておられます。浸水、土砂による直接の被害だけでなくて、道路の通行どめにより物流や客足が途絶えて生産や販売がストップして売り上げが落ち込む、こういうような多大な被害も生じております。
中小企業庁のセーフティーネット保証制度は、信用保証協会を通じて、突発的災害、自然災害等の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するものでございますけれども、九州北部豪雨の被災地域に対して、このセーフティーネット保証が発動される見通しについて伺いたいと思います。
○中根大臣政務官 経済産業省でございます。先生御指摘のセーフティーネット保証四号につきまして答弁を申し上げます。
御指摘のように、セーフティーネット保証四号は、自治体において中小企業者の被害状況の調査を行った上で、自然災害の発生に起因して生じている売上高の減少により、相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じている場合に発動しているものでございます。
今般の豪雨災害につきましても、自治体の調査状況を踏まえ、豪雨災害に起因して相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じていないかを見きわめつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○江田(康)委員 中小企業にとっては、災害復旧のための設備資金、長期運転資金を貸し付ける災害復旧貸し付けもございますが、日本政策金融公庫を通じて、先ほどの農業関係と同じように、貸付限度額の引き上げや金利負担の軽減を図るとともに、既往貸し付けがある場合にはその償還を猶予するなど、柔軟な対応が望まれるわけでございます。これについても、政府の万全な対応をよろしくお願いをしておきます。
計画停電についても配慮をすべきということを申し上げさせていただきましたが、西日本では、万が一のときでありますが、電力不足時には計画停電を実施するとしておるところであります。しかし、被災地では、いまだ住民の皆さんが避難を余儀なくされている地域もございまして、計画停電に対応することは困難であります。
この点、九州電力が、被災地などへ配慮するとの政府の方針を受けて、被害を受けた市町村について、避難所となる施設とか防災関連の施設を計画停電の対象外とする方向で自治体と協議するということでございますけれども、これも自治体の要望に最大限沿えるように、国として強く支援をしていっていただきたいと思います。これは申し上げさせていただくだけにしておきます。
この要望の中では最後のところでございますけれども、被災住宅の復旧支援など、被災者への十分な生活再建支援というのが大変重要になってまいります。
まず、厚生労働省にお伺いします。
災害救助法の弾力的な運用について、これまで経験したことのない大雨によって甚大な被害が今回出ているわけでありますけれども、避難所の設置や食品、生活用品の給与や医療等の被災者の救援救助について定めている災害救助法救助基準についても、これは弾力的に運用をすべきであると要望しているわけでございます。特に応急仮設住宅の建設、これは阿蘇市を中心としてこれもまた進行中でございますけれども、この応急仮設住宅の建設については、被災県に超過負担が生じないように限度額を引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○津田大臣政務官 お答えを申し上げます。
災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。しかしながら、委員御指摘のように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合、こういうのがあるわけでございまして、その場合には、国と協議の上、救助の実施期間の延長あるいは基準額の引き上げ、こういう特別基準の設定をすることが可能になるようになっているわけでございまして、その旨、通知にて周知を図るとともに、適用市町村に担当者を派遣して直接説明を行ったところでございます。
今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、委員御指摘の応急仮設住宅の建設に係る費用も含めて、可能な限り弾力的な運用を図ってまいりたい、そのように考えております。
○江田(康)委員 津田政務官からは大変迫力のある回答をいただきまして、万全を期していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
被災者生活再建支援制度の見直しについて、中川大臣にお聞かせをさせていただきます。
この九州北部豪雨による被災者の迅速な生活再建のために、被災者生活再建支援金の申請に必要な住家の被害認定等を迅速に行う必要があると思います。
また、現行法では支援金の支給対象とならない半壊世帯、一部損壊世帯、さらに、住家には被害はなくても、その財産の大半や雇用を失うなどの生活基盤に著しい被害を受けた者も同制度の対象とするよう法改正を行うべきではないか、公明党はそのように申し上げてきておりますが、この点について、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○中川国務大臣 これは午前中からもたびたび質疑の中で取り上げられております。
当初から申し上げているとおり、これは互助会的にスタートした、いわゆる、県の持ち分が半分で国が半分で基金を入れて、広域被害でそれぞれの自治体でなかなか財政的にカバーができないということを前提にした分をこの制度で救済していこうと。これは恐らく、阪神・淡路大震災の後の、御党の主張も含めて、さまざまな主張を折り合う形でこういう今の制度になっているということだと思います。
こういう互助会制度を基本的に見直して、最低限のところは国が突っ込んでいくんだ、そういう形にするのか、あるいは、互助会制度をそのままにしながら、その基準で、細かなところは地方自治体が、特に県が条例化をして、それでカバーをしていくのか、そういうところが判断の大事なところじゃないかなと私は思っております。
いずれにしても、地方自治体とも相談しながら、そしてさまざま野党の皆さんとも協議をしながら、さらに納得のいくような、そして安心ができるような制度に検討を加えていくということ、これは大事なことだと思いますので、議論に参加をいただきますようによろしくお願いをしたいと思います。
○江田(康)委員 大臣が今申されましたように、私も現場を回って、これはいかなる災害もそうかもしれませんけれども、今回は特に、土砂災害等、人家に大量の土砂が、またそれによって人家が損壊されている、そういうようなところがいっぱいございます。
しかし、全壊や大規模半壊、これには相当するかどうかわからないところもいっぱいございまして、そうなると、被災者生活再建支援法はその人たちを救うことはできないわけで、ここの基準等について、確かに柔軟な運用をしていくべきことであって、やはり法の趣旨にのっとって、より多くの方々を生活再建していく制度へと、いろいろと検討することが本当にあると思います、法改正も含めて。これについては、我々も全面的に審議を進めていきたいと思っております。しかしまず、当面、この災害を受けた人たちをぜひとも幅広く生活再建へ向けて救っていけるように、これは自治体とも協力して、国も柔軟に対応をしていただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。
最後に、災害廃棄物でございますけれども、大量の瓦れき、流木、泥を含む災害廃棄物の処理が滞っているところも多々ございます。これらの迅速な処理を進めていくべきでございまして、これに対しての国の取り組み、そしてまた、先ほど申しました有明海に流出したごみ、流木等々についても、これは漁業者とか市町村、県だけでは限界がございます。
そういうような意味で、迅速な回収、広域処理のために、環境省を中心に特段の支援をやっていくべきと思いますけれども、決して縦割りで遅くならないように要望したいと思いますが、どうでしょうか。
○高山大臣政務官 江田委員にお答えいたします。
環境省といたしましては、今般の豪雨による災害廃棄物の発生、処理の状況、また廃棄物処理施設の被災状況の把握に努めまして、予算執行に支障のないように、被災自治体の支援に今万全を期しているところでございます。
なお、災害廃棄物の処理事業や廃棄物処理施設の復旧事業については、被災自治体において、写真など、処理の復旧前の状況がわかる資料をとっておいていただければ、環境省によります現地調査を待たずに実施することが可能でありますので、速やかに実施していただけますよう、今、被災自治体と連携をとっているところでございます。
また、加えまして、先ほどの有明海の件でございますけれども、基本的に、漂流、漂着物の件なんですけれども、河川や海岸、港湾に滞留、漂着している流木等の処理につきましては、船舶の航行や漁業従事上の支障の除去の必要性等を考慮いたしまして、河川や海岸保全区域等の区域ごとのそれぞれの管理者によって実際には処理をされております。
環境省といたしましては、市町村が生活環境保全上必要として行う災害廃棄物の撤去処分につきましては、災害等廃棄物処理事業費補助金により支援することといたしておりますので、いずれにいたしても、今回の災害におきまして、被災自治体が過大な負担にならないように連携を図ってまいりたいと思っております。
○江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。
あと、残りの時間でございますけれども、防災・減災対策ということでお話をさせていただきたいと思います。
まず、今回も大きな被害を受けたわけでございますけれども、森林の保全等についてひとつお伺いをさせていただきます。
森林には、水源涵養機能のほかに、土砂の流出、崩壊の防止機能がありますけれども、間伐が行き届いていないために、日光が森林のもとに届かず、下草が生えないので、雨が降っても林床を洗い流して森林の保水力を低下させるという、これは全国的にも大きな問題がございます。
今回の阿蘇地方において、戦後、外輪山の山腹に植林が行われたわけであります。人工林、杉が多いわけでございますけれども、今回の豪雨では、山から土砂とともに立木が流出しました。大きな被害となったのが、間伐が行われていなかったことがその大きな要因ではないかとも言われております。
私も現場を、これは阿蘇市の一の宮の手野や、また大きな被害があった坂梨地区等々、当日から入ってまいりましたけれども、大きな杉が土砂、土石流とともに崩壊していった現場でございました。その杉の根を見るとわかりますけれども、非常に浅い。抱えている土が五十センチから一メーターの範囲である。
また、特にこの阿蘇地方というのは、これはもう世界の阿蘇の火山灰、黒ぼくが歴史的に積もった山々でありますから、その上に杉が植林されている。そうなると、非常に土をしっかりと抱え込んでいない、こういうような山々もございます。
しかし、それは間伐がきちんとなされていれば、それだけのしっかりした植林になっているわけでございますけれども、それが滞っている。このことは非常に大きな問題であるかと私は思います。
淀川の治水工事を任された河村瑞賢という人が治水は治山にあることを説いたのは有名な話であります。治水は治山にあるわけであります。間伐の促進などによって森林を整備すれば、それだけ保水力が上がって森林の治水効果も高まるわけであります。
今、林業、国産材の衰退、これがまた山林の荒廃を引き起こしているわけでございますけれども、今後は、土石流など土砂災害による被害の軽減など、防災、減災を目的として、森林整備などの治山対策を進めるべきと考えますが、防災担当大臣、また農林水産省の見解をお伺いいたします。
○中川国務大臣 私も御指摘のとおりだというふうに、現地で流木の形を見て思いました。さらに、恐らく間伐をしてある地域は、捨て切りといいますか、間伐をしたまま放置するということもあって、さらに被害を大きくしているのではないかというふうな印象も持った次第であります。
これから防災計画を立てていく中で、防災計画の主流化ということ、これを一つの基本的な理念にしていきたいなというふうに思っているんです。
それはどういうことかというと、さまざまな事業、山を保全していくということの中にも防災という観点を入れ込んで、そして重点的に、例えば、防災という観点から見たらここの山合いは危ないというところについては、優先的に山の施業の施策を入れていく、投資をしていくということであるとか、あるいは、都市計画の中にも防災という観点をしっかり入れ込んで、その都市計画全体の中で防災という局面がちゃんと生きるような流れをつくっていく。
ちょっと言葉がなかなかなじまないんですが、防災の主流化ということなんですけれども、そういう観点を持ちながらトータルな国づくりにつないでいくということだと思っております。
○佐々木副大臣 先生から、治水は治山にあり、大変含蓄のあるお言葉をいただきました。我々も、農水としても、公器を一部預かっている者としてしっかりと受けとめなければならないと思ったところでございます。
いい山をつくるためにはいろいろなことが考えられなければならないし、今、先生からも若干御指摘がありましたが、例えば、人工林で一色の山にすることが表層雪崩の原因になるのではないかというような説やら、あるいはまた、混交林の場合にはどうなんだとか、いろいろな説があるが、まだ定説になっているものはありません。
ただ、今御指摘があったように、阿蘇地方のように、下が岩盤でその上に黒ぼくが乗っているというような地域的なことを考えると、やはりあの地域においては、こうしたことが想定される地域だというふうに考えなければならないと思うんですね。
そういった中では、山をどうつくっていくかという意味でいうと、二つ考えなければならない。一つは治山による防災と、もう一つは、やはり森林整備をどうしていくのかという、両面で考えていく必要があるというふうに思ってございます。
今回の災害、山地災害でありますが、まずは、災害復旧事業で緊急対策が必要かというふうに思っておりますし、その後、森林整備等による強い森林づくりというものを目指していかなければならない。具体的には、山腹斜面を安定させる治山堰堤、それから森林整備の方では、間伐や植栽、下草刈り、こうしたことをすることによって下層植生が発生して保水能力が高まる、この両面をしっかりあわせてやっていかなければならないというふうに思ってございます。
○江田(康)委員 これは今後の課題ですので農水省に言っておきますけれども、林野庁の事業に間伐の支援がございます。
新システム支援事業から流れてくる延長の、今やられている林業施策支援事業でございますけれども、間伐の支援についても問題がありまして、それは、木材搬出を目的とする間伐であれば支援措置がつくけれども、間伐だけを目的とするものは支援がなされない。私も現場は幾つも回っておりますけれども、どうせやるならば、本当に間伐だけを目的とする事業についても支援措置の対象とすべきだと思います。
ここは、質問通告はしておりませんけれども、いかがですか。
○佐々木副大臣 いわゆる切り捨て間伐でありますが、そのためにも路網をまず整備しなければ手入れができませんから、路網をやはりきちっと手入れをするということが何よりも大切だというふうに思います。
そういった中で、今度はいわゆる再生可能エネルギーなどでも、こうしたものを燃料としてでも使えるような仕組みもつくってございますので、間伐がまずしっかり行われるというのは御指摘のとおりでありますので、いろいろなものを組み合わせる形で検討していきたいというふうに思っております。
○江田(康)委員 これからも引き続きこの件については私も最大に支援してまいりますので、また検討を続けていきたいと思います。
もう一つ、総合的な治水対策について、中川大臣また国交省にお伺いをしたいと思います。
今回のような水害から市民の、国民の命を守るために、洪水を安全に上流から下流まで流下させるための河道の拡幅、堤防の強化、ダムの建設等治水対策がこれまでも実施されているわけでございますけれども、今回も、その未完成な部分から氾濫が起こった、また、市街地を浸水させたというところもございます。
その完成には長い時間と多くの費用がかかることは現実だと思うわけでございますけれども、今回のような豪雨の頻度も、地球温暖化の影響やさまざま言われておりますけれども、これは着実に増加している。そういうような中で、今回、熊本の白川の氾濫に見られるような洪水による被害が増大することが懸念されます。
厳しい財政状況の中、また時間の中で、市街地を含めた流域全体で総合的な治水対策をどのように進めていくのか、これが今後の豪雨災害の対策として重要であり、その検証もしていかなくてはならないと思うんです。
私、今回、現地を回っている中で、特に熊本や福岡の現場を見せていただきました。熊本県の白川の氾濫は、やはり堤防が完成していないところから決壊しているというのも一つ。また、上流からの水の量が、六十年ぶり、過去最多だと思いますけれども、瞬間的な豪雨によって大変な水の量が上から流れてきておりまして、その濁流が川の、例えばこの白川というのは市内に入ってくると蛇行してブレーキがかかってくるわけなんですけれども、その蛇行に従って水が流れない。すなわち、テレビで皆さんが見られるように、越流で市街地が全て浸水したわけであります。
こういうような状況であれば、当然、上流から貯水機能を向上させるということが必要でありますので、上流に立野ダムというのが、これは建設予定というか、いまだ検討予定で結果が出ていないわけでありますけれども、これはもう明らかであります。
また、大分の方でも、きょうも御質問等で確認されたところであるかと思いますけれども、ダムがあるやなしやというところで、今回のような想定以上の、過去最大の水量をうまく治水していくことができるかということが決まっているかのようにも思えました。
こういうようなことが非常に大事で、ですから、検討中で決まっていないようなところにおいて、早速に結論を出していかなければならないのが立野ダムだと思います。そういうものがほかの河川にもあるわけでございます。
また、熊本市の白川に流れる支流とか用水路が氾濫をしておるわけで、それは非常に基本的なこと。すなわち、排水機場がございます。そこで、水位よりも低いところにこれが設置されておりますので、ポンプが水につかって起動しないというのが白川でもございました。
また、福岡県の久留米市の城島町でも山ノ井川というのが、一級河川でありますけれども、それが、排水機場が水につかって、また、ポンプの能力がそれに伍していなくて、結局あふれてしまった。さまざまございます。
また、古い橋でも、橋桁の間隔が狭い古い橋がいっぱいございますね。こういうような橋に大量の流木がひっかかって、その地域を氾濫させた。さまざまございます。
いろいろ言いましたけれども、具体的に、国として、総合的な治水対策についてどのように進めていこうとされているのか、特に、熊本の白川水系や矢部川水系において考えているのか、お伺いをしたいと思います。
○津川大臣政務官 国土交通省でございます。
今、委員御指摘いただきましたとおり、河川の治水安全度の向上というものは、総合的に対策をとる必要が不可欠でございます。また同時に、河川ごとにそれぞれの特徴があるものでもございますから、河川ごと、河川整備基本方針あるいは河川整備計画に従いまして、しっかりとした対策を順次進めていくこと、これが大変重要であろうというふうに考えております。
また、今回の白川、矢部川等における災害についてでございますが、今般の水量あるいは水位データ等の解析、あるいは洪水の痕跡調査等、一般被害調査を今鋭意進めているところでございますが、本格復旧につきましては、これらの調査結果等も踏まえまして、再度災害を防止する、こういった観点から必要な堤防整備、堤防の強化、あるいは、先生から御指摘ありました内水等につきましても含めて早急に検討を進め、自治体と協力をしながら対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。(発言する者あり)
○江田(康)委員 今、的確な御意見が会場からございましたけれども、やはり具体的でなければ意味がないわけでありまして、それを私は言っているわけで、そういうことについて、自治体と協力して、迅速に、早急に、この災害を踏まえて対応をしていくということを政府に強く要望するわけでございます。
財源がない、また、長い時間がかかる、こういうようなことがこれまでの総合的な治水対策をおくらせてきた原因でもあることは事実であるわけでございます。
我が党公明党は、今まさに必要とされる防災・減災ニューディールというのを今提案させていただいております。これは、東日本大震災に続いて起こる南海トラフの巨大地震や首都直下型地震、大規模な災害、今の頻発してくるこういう豪雨災害等々が予測される中で、防災・減災対策の強化は、国家的な、与野党を超えた緊急の課題であるわけでありまして、我が党では、この対策を加速するために防災・減災ニューディール推進基本法案の検討を進めてまいりまして、このたびこの骨子を発表いたしました。
この法案では、災害時における学校や病院や福祉施設や公共関係の施設、あらゆるところ、また、河川や砂防や港湾、そして道路や橋梁等々の防災上必要とする施設、これらが今まさに老朽化してきている。コンクリートの寿命は五十年から六十年と言われている中で、もう五十年がたつ公共施設が過半になってきている。こういう中で、集中的に社会資本の整備を行うことによって、防災、減災、国民の命を守り、と同時に、一方で大変経済は厳しい状況でございますけれども、デフレや景気を回復してくる決定打としていくべきだということで、これを強く今提案しているところでございますが、具体的に、法案の提出に向けてその骨子を発表させていただいたところでございます。
これについては、国が全てを上から決めるのではなくて、自治体が集中投資の優先順位を決める、下からの積み上げ、上から言うんじゃない、こういうようなことや、また、予防的な改修で、これを早目にすることで、全部変えなきゃいけないところを補修で済む、コスト削減につながる、また、効率的な資産管理であるアセットマネジメント方式の採用で費用の軽減をしていく、これらを法律に明記していこうとしているところでございます。
また、財源。これはさまざまございますが、決して赤字国債に頼るのではない。六十年を償還期限とする建設国債、これは将来世代に残す資産であるということをもって国民には理解ができるところかもしれない。また、復興債と同じようにある一定の年限を決めて現役世代がこれを担う、防災・減災ニューディール債というような財源、また民間の資金を積極的に活用していく、こういうような防災・減災ニューディールを進めていく財源も確保していくことができる、これを我が党は今提案させていただいているところでございます。
今必要な防災、減災を進めて、そして景気、経済も活性化していく、こういう積極的な政策をぜひとも政府・与党一丸となって、また一緒に実現していっていただきたいということを申し上げて、きょうは時間がございませんので、これからの防災・減災対策を、本当に今まで必要な防災・減災対策ができなかったところを大きく前に進めていく、そういうことをしっかりとやっていくことを決意させていただきまして、きょうの質問にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
○馬淵委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
まず、今回の災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
そこで、これだけの大きな災害が起こりまして、たくさんの被災者を出しているわけですが、まず取り組むべきは、被災者の生活とそれから住宅の再建だ、このように考えております。
そこで、最初に、災害救助法の積極的な活用について質問をいたします。
大分県や熊本県、それから福岡県の十二市二町三村、計十七自治体に災害救助法が適用されておりますが、災害救助法が適用されることで、避難所を設置し、そして炊き出しなどにより食事を提供するなど、当面の生活を確保する、それから、洪水や土石流で使えなくなった学用品を支給するなどのほか、仮設住宅の建設など、被災者の生活に必要な支援を国の責任で行うことになるわけであります。したがって、その全面的な活用、それから積極的に行うことが大切であります。
そこで聞きますが、災害救助法のメニューであります、災害にかかった住宅の応急修理それから障害物の除去の活用についてでありますが、被災直後、大変慌ただしい中で、せっかく使える制度であっても、いつの間にか期限が過ぎてしまう、そういうケースが多い、このように聞いております。
まず、厚生労働省に聞きますが、応急修理と障害物の除去、特に、今回の洪水や土砂災害の場合、どのような救助を行うことができるのか、お答えください。
○津田大臣政務官 赤嶺委員にお答えを申し上げます。
災害救助法による住宅の応急修理、これにつきましては、災害のために住居が半壊以上の被害を受け、その破損箇所を修理すれば日常生活を営むことができる場合に、必要最小限度の修理、屋根、床、あるいは、トイレ、風呂、壁、窓等でございますけれども、こういうことを行うものでありまして、みずからの資力ではその修理ができない人に対して、救助の一環として実施するものでございます。
また、障害物の除去につきましては、家屋等に土砂あるいは流木等が流入をし、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合に救助の一環として実施をする、そういうことでございます。
今回の水害でも、多くの住宅に被害が生じていることから、これらの救助が早急かつ円滑に実施されるよう、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 今お答えになったとおりでありますが、災害救助法で、例えば食品の提供は、一人一日千十円以内で、災害発生の日から七日以内、障害物の除去は、一世帯当たり十三万四千二百円以内で、災害発生から十日以内など、災害救助法は、先ほどの御答弁に加えて、救助の種類ごとに一般基準を示しているわけですね。
そこで、被災地の実態は、そんな短時間では住民に制度を周知することさえできないのではないかと考えるわけであります。被災者は、そもそも支援制度の存在さえ知らされないまま放置されることになりかねません。
特別基準を設定して救助が行えることとされております。期限内に受けなければいけないのか、特別基準というのはどういう趣旨で、その内容はどういうものか、この点についても説明をしていただけますか。
○津田大臣政務官 お答えを申し上げます。
この災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。
しかしながら、今赤嶺委員から御指摘がありましたように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合がございます。この場合は、国と協議の上、救助の実施期間の延長等、特別基準の設定をすることが可能になっているわけでございます。災害救助法施行令の第二項におきまして、「厚生労働大臣が定める基準によつては救助の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事は、厚生労働大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができる。」というふうになっているわけでございます。
今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、期間についても可能な限り弾力的な運用を図っていきたい、そのように考えております。
○赤嶺委員 最後の弾力的な運用というのは大変大事だと思うんですね。自治体の役所の皆さんは、今、災害救助法で動き回るというよりは、やはり泥出しや避難で一生懸命、しかも、山間部というのは合併により職員も減って、膨大な仕事量を抱えているわけですね。
国と協議の上基準を、延長することができるという、この国と協議の上という言葉に大変な困難さと難しさを持っているわけです。やはり、災害の現場で御苦労をなさっている、そういう自治体の職員のためにも、今の御答弁、弾力的に運用を図っていくんだ、今回の豪雨災害については特別基準できちんとやっていけるようにしたい、そういうことを、済みませんが、もう一度お答えしていただけませんでしょうか。
○津田大臣政務官 先ほど江田委員にもお答えを申し上げましたけれども、災害の程度は大変甚大なものであるということは十分承知をしておりますので、赤嶺委員御指摘のような、本当に特別な対応がしっかりできるように努力をしてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 やはり、災害救助法、被災地の状況に応じて適用期間を延長し、そして費用の限度額も引き上げることが想定されているという、先ほどお答えになりました、そういう制度の趣旨、これを、災害が発生した今の瞬間に本当に生かしていく、生かせるよう、自治体の担当者だけでなく住民を含めて理解してもらう工夫と努力を行う、被災地と被災者の実態に応じた弾力的運用を行う必要があるということを重ねて強調しておきたいと思います。
そこで、次に、被災者生活再建支援制度の積極活用についてであります。
これは先ほどから大臣も答弁していらっしゃいますが、今までのさまざまな議論の経過もありました。ちょっと整理をしながら、今回の豪雨災害では何に注目してこの支援制度の運用を進めるべきかということについて質問をしていきたいと思います。
被災地の地域社会を再建する上で、全壊世帯や大規模半壊世帯の住宅再建はもちろん、浸水被害で住み続けることが困難となった被災者、半壊や一部損壊でも自力では再建できない被災者などに対する支援が求められております。
被災者の生活と住宅再建を支援する制度として被災者生活再建支援法がありますが、今回の豪雨災害では、熊本県の全域、大分県の三市、福岡県の三市に加え、鹿児島県の一町に被災者生活再建支援法が適用されております。
被災者生活再建支援制度は、災害で住宅が全壊、大規模半壊した世帯のほか、住宅が半壊などして、その住宅をやむを得ず解体した世帯などを対象に、住宅の被害程度に応じて最大百万円の基礎支援金を、そして、住宅の再建方法に応じて最大二百万円の加算支援金を支給するものであります。
今回のような災害の場合、半壊の認定を受けた世帯が、浸水などで家の中が土砂や泥に埋め尽くされ、その後の悪臭のため住宅を建て直すなどは、やむを得ず解体した場合に当たる、このようにされてきました。一部損壊などの認定では、悪臭がひどいからといって解体しても支援金の支給対象に当てはまらない、こういう議論が行われてまいりました。
この点について、我が党の井上哲士参議院議員が二〇〇八年の九月十二日の参議院の災害対策特別委員会で質問をした際、当時の林幹雄大臣は、この悪臭などは、住宅被害の取り扱いにつきまして、被害認定の調査、判定方法に関する検討会の中で見直しを検討する、このように答弁しておられます。見直した結果について、具体的にどういうことになったんでしょうか。
○中川国務大臣 済みません、具体的なさっきの見直しの点について、ちょっと私の方に事前の通告がなかったものですから、答弁は準備はしていないんですが。
それぞれの現場で、実際、査定といいますか、被害状況を確実に確定させるのは地方自治体レベルでありますので、本来はそこのところで、いろいろな形の、弾力的なといいますか、運用ができることが前提になっているはずなんです。しかし、それが自治体によっていろいろ見方が変わってくるということ、ぎちぎちで運用しようとするのか、それともある程度弾力的にやろうとするのか、その担当者によって見方も変わる可能性がある、あるいはそういうケースもあるというふうなことを聞いております。
そんなことも含めて、私の問題意識としては、少しこれは全体として考えていく必要がある、検討していく必要があるというふうに思っております。
○赤嶺委員 私は、きのうの晩、内閣府に通告をやっているはずです。
つまり、大臣の今の御答弁は御答弁として承りますが、認定上一定の見直しを、いわゆる半壊に当たらなければ、一部損壊でも、においが残って住み続けられなくても、解体しても何の支援も得られない問題について改善をすべきだ、このように迫ったわけですが、その結果、私たちの主張のとおりに改善されたかどうかはおいておいて、一定の見直しが行われたというぐあいに説明を受けております。
答弁、いかがですか。
○中川国務大臣 もしこの見直しがそれに該当するのであれば、こういうことでありまして、平成二十一年の六月に運用指針の改定をしております。
これは具体的には、例えば、床下へ堆積した汚泥の除去のために床板の取り外しが必要であること、あるいは、浸水した壁の内部の断熱材を取り外すために壁板の取り外しが必要であること、これらの点についてもきめ細かく損害として考えるということ、いわゆる点数化するということですね。あるいは、二階建て住宅の中で一階が果たしている役割の重要性を考慮しまして、一階の損害を割り増しして算定をしていくということ。
こういうふうなことで、水害に対応した見直しをしているということであります。
○赤嶺委員 そういう答弁を求めておりました。
つまり、今度見直したことについて、一部損壊であって、そして泥などのにおいが残って、それでも判定として半壊にならないために何の支援も受けられない、こういう問題提起がこれまでの委員会で繰り返しされて、今度は、被害実態に即した被害認定ができるよう判定方法を追加すると。さっき大臣がおっしゃったことですね。次の被害を損害として算定できるようにする。
床下への汚泥堆積と汚泥除去のための床の板の取り外し。壊れていなくても、床下の泥の除去のために床板を取り外した場合、点数が加算される。それから、浸水した壁内部の部材取り外しに伴う他の部材の取り外し、これも見直しの対象とする。それと、これまで、一階はかなりの被害を受けているけれども二階が残っているからこれはいいじゃないかというような議論に対しても、二階建て住宅の中で一階が果たしている機能の重要性を考慮し、一階の損害を割り増して算定できることとする。
こういうことだろうと思うんですが、大臣、確認の上で、もう一度お願いします。
○中川国務大臣 まさにそういうことでございます。
○赤嶺委員 見直しがされて、床下に積もった汚泥を取り除くために床板を剥がすとか、あるいは、浸水した壁内部の部材を取り外すため他の部材を剥がすなど、水害による住宅の被害として認定するというものであるわけです。住家としての機能を重視し、そして、外観だけによるのではなく、被災者の納得が得られるようにすることを要求し、さらなる改善を求めていきたいと思います。実際にいろいろな認定の作業はこれからだと思うんですね。そういう見直された制度も含めて、やはり現場に徹底をしていく必要があるだろうと思います。
次は、政治家としての大臣の意見も少し聞いてみたいなと思いまして質問をするわけですが、二重ローンの問題です。
私も、白川の水害が非常にひどかった熊本市内の龍田地区を訪ねたんですが、訪ねている中で、避難のやり方がどうであったとか、それから、住宅の中に泥が流れ込んできている状態がどうであったかとか、一軒一軒、地元の我が党の県会議員や市会議員の皆さんと一緒に訪ねていきました。
その中で、一カ月前に住宅を新築したばかりの我が家が二メートルを超える浸水被害を受けて、家財を含め壊滅的な被害に遭ったという事例もありました。こういう家族には住宅ローンだけが残されているわけですね。それから、今までの住宅ローンがありますから、これから再建していこうにも、その負担が重くのしかかっていって、大きな障害になっているわけです。
これは建物だけでなく、事業用の設備や機械、資材などが浸水で使えなくなった中小事業者なども、既存のローンの負担や新たな借金による二重ローンの負担がこれから重くのしかかることになります。
一日も早く被災した地域社会を立て直すためにも、こうした負担を軽減するための手だて、やはり、そういう二重ローン解消、被災者が本当に再び立ち上がっていけるような、そういう制度をつくるべきじゃないかと思いますが、大臣の決意はいかがでしょうか。
○中川国務大臣 これは支援法のときの議論と同じで、こうした個人の負債、あるいは個人に対する支援のあり方というものにさかのぼっての議論になっていくんだろうというふうに思います。
現状では、直接資金を供給する、あるいは二重ローンを解消するということではなくて、災害援護資金の貸し付けであるとか、あるいは生活福祉資金制度による貸し付け、あるいはまた災害復興住宅融資制度による貸し付け、こういう貸し付けという形で支援制度をつくって、被災者の生活再建がなされるような形態になっております。
その上で、実は東日本の大震災でもこの二重ローンというのは大きな問題になりました。企業に対しては、恐らく半分は破綻法制的な制度を入れて、いわゆる借入金というものをジャンプさせたり、返済を延ばしたり、あるいはその債権を買い取ったりというような形でいろいろなスキームが入れられたわけでありますが、個人に対しても、それと同じような形で一部対応がなされております。
そこのところを考えていくと、これは将来の課題になると思うんです。東日本でコミットしたものを全国的にこれからの防災の前提としてやっていくのかどうか。ここのところを踏まえて、これから検討をしていきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 東日本のときには、二重ローン解消のためのさまざまな議論が起こり、ある程度の枠組み、仕組みがつくられているわけです。やはり、被災者がぶつかっている局面は同じだと思います。今、大臣はこれからの課題だとおっしゃいましたが、ぜひ積極的に取り組んでいってほしいということを要望しておきたいと思います。
でも、まだ抜本的に、被災者生活再建支援法を改めるべきこと、午前中から議論になっている問題、これはどうしても聞いておかなければなりません。
先ほどの、半壊以上として認定されるかどうかというのは一つの関門でありますが、その見直しにより今後どのような判定が行われていくか注目していきたいんですが、たとえ半壊と認定をされても、解体、撤去し、新たな住宅を建設しないと住むことはできないわけです。支援金を最大の三百万円支給されても、これはもう解体費用でなくなってしまって、新たな住宅を再建するなどできない相談だということになります。
住宅再建を支援するというのが制度の趣旨でありますから、支援金の支給額は少なくとも五百万円に引き上げることや、あるいは、支給の対象を半壊世帯以下にも拡大するなど、これも検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○中川国務大臣 最近、特に東日本の大震災を経て、先ほどのような議論というのはあちこちでやっておっていただくということ、これを私も認識しております。
もともと議員立法で組み立てられたこの支援法なんですが、どこかで線引きをしなきゃいけないんだろうと思うんですが、結局、見舞金的な性格ということで、トータルで住宅を再建できるようなベースになっていくところまでなかなか持っていけなかったということがあったんだというふうに理解しております。それをどこまで充実したものにしていくか、それぞれ野党の皆さんの議論も踏まえて、私たちもしっかりここは見直していく過程で考えていかなければならないというふうに思っております。
○赤嶺委員 やはり、大臣としても、この制度を住宅再建という趣旨に合わせて見直していかなければいけない、そういうお考えであるということですね。
○中川国務大臣 そのことも含めて、これは議員立法ですから、国会の中でもしっかり議論していただかなきゃいけないということなんですけれども、これまでの見舞金という形でいくのか、それとも、もっとしっかりとしたベースをつくっていくのかというのは、皆さんと一緒に、それも含めて議論をしていく必要があるというふうに思っております。
○赤嶺委員 次に、農業について伺っていきます。
被災地は、いずれも米どころであり、そして特産品をたくさん担ってきた農業地帯であります。水田が泥で埋まっているとか、濁流に流された畑だとか、農家が、もうことしは全滅だ、これからどうなるかと言っておられる。本当に胸が締めつけられる思いであります。
この地域の農業、そして漁業も含めてですが、まず農業をどのように再建していくのか。具体的に伺いますが、田植えが終わったばかりの水田には瓦れきや泥が堆積し、用水路も壊れております。被害をこうむらなかった水田でも、水路が破壊されているために、全滅する危機に直面しております。これらの被害に対して今政府が持っている支援策、どのようにするつもりでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
梅雨前線による福岡、大分、熊本を中心とする農地あるいは農業施設、あるいは林地などなどについて、大変大きな被害を受けてございます。
二十三日現在でありますが、土砂流入で、今お話がありました用排水施設の損壊が約一万二千カ所、それから、林野関係の被害が約二千三百カ所ということの報告を受けてございます。この一週間ぐらいで約倍にふえてきてございまして、今、順次被害について集めさせていただいております。
農林水産省としては、対策本部を設置させていただいて、七月十三日、七月十七日、それぞれ会合を持たせていただいておりまして、その中で、岩本副大臣、森本政務官も現地視察をさせていただきました。
もちろん、いろいろな制度は、査定前着工も含めて、いろいろ早急に取り組んでいかなきゃいけないと思っているんですが、先ほど来お話があるように、人的な支援もお願いしたいということも現地から言われてございまして、例えば、それは、調査そのものの人が欲しいのか、あるいは設計をするための人が欲しいのかというようなことも今現地と具体的に相談をさせていただいておりますが、そうした人的な支援ということもぜひ応援をしていきたい。あらゆる制度について、迅速に対応できるものは迅速に対応していきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 人的な支援というのは、合併によって本当に職員数が激減をした被災地にとっては深刻であります。そのための政府の努力は必要だと思います。
同時に、今出た農地・農業用施設災害復旧事業というのがあるわけですが、査定前着工ということもおっしゃいましたけれども、やはり自治体の方から聞こえてくる声というのは、国が審査し、農地復旧の国庫負担割合を決める、この作業が終わるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しや流木撤去はできない、こういう声が上がっているんですね。
今も、被害の状況の調査もままならない陣容であるわけですね。査定前着工と言われても、どこから手をつけていいかわからない。結局、国がそういう事業の負担割合を決めるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しも流木撤去もできないんだという声が上がっておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○實重政府参考人 査定前着工の制度につきましては、緊急に応急的な措置ができるようにということでございますので、大いにこれを活用していただきたいと思っております。その中で、今御指摘のような泥出しとか、応急的な土のうを積むといったような対応ができるように措置をしているところでございます。
御指摘のように、人的な側面での不十分なところがあるという件につきましても、当面、現在は九州北部で大きな災害を受けておりますので、九州農政局の職員がいろいろな市町村を回りまして、どのような対応をしたらよいのか、それから、被害額の調査をどうしたらいいのか、応急的にはどういう対応をしたらいいのかというようなことを相談を受けております。
また、災害査定の関係の査定設計書をつくる段階になりますと、より複雑な技術的な作業になりますので、これにつきましては、職員を数週間派遣いたしまして、それで御支援することも可能でございます。これは県からの要望を受けまして対応することにしております。
そのように、できるだけ早期に対応できるような形を、いろいろな弾力的な運用をとりまして行っていきたいというように考えております。
○赤嶺委員 とにかく、目の前の田んぼが泥で埋まっているような、瓦れきが散乱しているような、畑が流されている状態ですね。見るだけで農家の再建の意欲がうせていくと思うんですね。手続が遅くなってその事態がもっと先に延びるということが絶対にないように、これは人的な支援も、いろいろな面からの支援も受けて、目の前の泥が除去されるような、そういう体制をとっていただきたいと思います。
あと、有明海への瓦れきの流出が出てきておりました。ノリは柳川の方も大きな被害を受けたんですが、ノリの加工機械、これが水につかって、設備投資で五千万円ということですが、諫早干拓事業でノリの色落ち被害に対してこれまで大問題になってきて、ノリそのものが大変な苦境に立たされているときの今度の被害であります。ノリの加工施設の設備、そういうものも支援をしていかなければいけないと思いますし、瓦れきの撤去もやっていかなければいけないと思います。
ノリの産地を守るために、どんな施策をお考えでしょうか。
○佐藤政府参考人 御説明いたします。
今回の大雨によりまして、有明海の周辺の水産業につきましても大変大きな被害が生じているところでございます。
今、委員からの御指摘のノリ業者の方の乾燥施設、これは大変高価な機械でございますけれども、今の状態としては個人がお持ちの場合が多いんですけれども、これを協業化して再建を図ろうというような新しい取り組みをされる場合には、強い水産業づくり交付金ということで、大型の機械の共同利用施設の整備というようなことで支援が可能でございます。
それから、個人のものを個人の形で復旧するというような場合には、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金あるいは漁業近代化資金等の金融上の支援ができることになっております。
また、経営上の問題として、経営再建に必要な長期運転資金ということでは、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の活用が可能となっているところでございます。
よく現地の状況を聞きまして、先ほど流木等もございましたけれども、まだいろいろな被害が集計途中でございます。さまざまな状況が起こってきておりますので、現地からよくお話を聞きまして、十分な対応をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○赤嶺委員 終わりますが、きょうの質疑を通じて新たに感じたのが、やはり被災地の自治体の人的な体制の不足が復旧をおくらせている。国は県の報告を待ち、県は自治体の報告を待つ、こんなやり方、多分とってはおられないだろうと思いますが、そういうことではなくて、積極的に被災地に足を運んで実態をつかんで、本当に被災者が元気を出して復興に取り組めるようにしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
以上です。
○馬淵委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正でございます。
質問に入ります前に、今回の水害、私の選挙区でございまして、水害が発生すると同時に、中川大臣は二回、後藤副大臣も、そして総理も入っていただいて、この被害の実態をしっかり目に焼きつけて、これが復興に向けて大変な努力をいただいている、そのことについて心から感謝申し上げたいと思います。
また、国会議員の皆さんにおかれましては、各政党会派の議員団、調査団を派遣していただいて、これまた復旧に向けての力強い支援の輪を広げていただいているということ、これも被災地の一人として厚く感謝申し上げたいと思います。
我が党も、もちろんでありますが、現地に入り、今回の被災の甚大さというものをしっかり踏まえ、これが回復によって復興に向けて、ぜひ皆さんの御支援と御協力を引き続きお願いしたい、そのことを申し上げて、質問に入らせていただきます。
質問に入ります前に、今回の九州北部で発生した豪雨災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
今申し上げましたように、各界各層の皆さん方、思いを持って現地に入っていただいた、本当にありがたい気持ちでいっぱいであります。
気象庁の、これまでに経験したことのない大雨というこの表現どおり、今回の豪雨はすさまじいものがあった。古老に聞いても、こんな雨見たことない、住民が異口同音にそのように申しておりますことに象徴されるように、本当に甚大な被害をもたらしたのであります。
もうきょうも多くの方々が質問しましたから、私が今から質問することも重複する部分がたくさんありますけれども、それはお許しをいただきたいと思うんですが、まず最初に、激甚災害指定の問題。これは、関係自治体の皆さんもこぞってそのことを申しておりますし、被災住民も異口同音にそのことを私に投げかけてまいります。
今回の豪雨は、大分県的にいうと、七月三日、そして七月十一日、こういうふうになるのでありますが、これを中心にして被害が拡大をするわけであります。問題は、先ほども大臣が答弁されていましたけれども、どの範囲を今回の水害の被害と位置づけるか、これが非常に関心が高いわけでありますね。ですから、その点をまず聞いておきたい。激甚災害指定の見通しと、そしてどの範囲を位置づけてくれるのかという点について答弁を求めます。
○後藤副大臣 私も、先ほども御答弁しましたように、七月の六日と七月の二十日に二度にわたって先生の御地元にも視察をさせてもらいました。
先ほども御答弁をしましたように、今回は梅雨期を通じた一連のものということで、まだ東北地方も含めて梅雨明けをしていない地域がございますけれども、全国の梅雨明けを確認した上で、時期的には、激甚災害の指定というのは、先ほど御答弁を差し上げているように、農地等の復旧事業を中心に七月の下旬から八月の上旬になるというふうなことであります。
そして、期間でありますけれども、今もお話をしましたように、今回の激甚災害の指定というのは、梅雨期を通じた一連のものという形で指定をすることを考えております。具体的には、六月の八日をスタートの日として、繰り返しですが、全国の梅雨明けを確認した上で、災害の終期を定めていきたいというふうに考えております。
○重野委員 現地の被災者の思いというのは、より早くという本当に切実な期待、また、それを束ねて、行政の側もそのことを期待しておりますので、可能な限り応えられるように頑張っていただきたいな、このように思います。
次に、ダムによる治水という点について。もうきょうは我が県の、同じ岩屋議員からも質問をされておりましたから、重複いたしますけれども。
結論から言うと、二つのダム、稲葉ダムと玉来ダムというのが、二本計画はあるんですね。実は、これは二本とも同時に要請を国にしたんですね。稲葉川はダムはもうでき上がりました。ところが、玉来については、なぜか一時期休眠状態に入ったわけですよね。二年間ぐらい眠ったわけです。
今、地元においては、言わぬこっちゃない、あれがやはりもとだ、こういうふうにやはり言うんですね。私はその気持ちもわかるんです。見事に今回のこの集中豪雨で、被害の発生状況というのは、治水ダムというものの効果というのは歴然たるものがあって、稲葉川の方は何にも事故が起こらないで、玉来の方がざあっと起こったわけですね。だから、まして今地元においては、玉来川について、そもそもダムをつくる計画になったわけだから、休眠状態が二年あったけれども、今それは回復をして進行中だから、ピッチを上げて可能な限り早く、こういう事故が起こらないように、玉来川のダム、玉来についてもつくってもらいたいというのは、これは当然の地元の住民の意向ですよね。
それについてどういうふうに受けとめていただけるのか、答弁を求めます。
○津川大臣政務官 玉来川における治水計画について御質問いただきました。
今委員からは、ダムによる治水の効果ということについて言及をいただいたところでございますが、ただ、河川整備の考え方は、ダムももちろん一つ大きな政策でありますが、総合的に堤防の整備等々含めて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
玉来川では、平成二年の七月に発生をいたしましたいわゆる豊肥大水害を受けて、大分県が事業主として平成三年に玉来ダムの建設事業を着手したところでございます。今委員から御指摘をいただきましたとおり、平成二十二年の九月に検証対象ダムとしてダム検証を行い、昨年の十月に補助金交付を継続するという国の方針を出させていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、治水安全度を一刻も早く高める、そのためのさまざまな河川整備計画を進行していく中で、財政制約ですとか、あるいは用地の問題ですとか、あるいは技術的な開発、こういったものを総合的に解決しながら、この当該ダムにつきましても、現在、大分県でダム本体工事のための設計等、鋭意、実施をしていただいているところでございますので、国交省としても積極的に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 今、経過を含めて説明がありました。そういう方向で、ひとつ省としても頑張って、一日も早い実現に向けて御支援のほどをお願い申し上げておきたいと思います。
通告をしていなくて、きょう、先ほど委員部の方に申したんですけれども、国交省の関係でありますから。実は、この水害で、大分県には日豊線、豊肥線、久大線、それから日田彦山線という四つの線路があるんです。今回、日豊線は何もなかったんですけれども、豊肥線と久大線は、もう今ずたずたですね。途中でバスで中継ぎ運転したりしながら辛うじて運転されているという状態があるんです。
これは、特に豊肥線は、この間、たびたびこういう事故に遭っているんですね。まず確かに地形の関係もある。線路の引き方、それはもう古い古い線路ですから、さかのぼって議論することはいかがなものかと思うんですけれども、いずれにしても、集中豪雨が出ればどこかが破壊されるという運命みたいなものがあるんですね。
確かに、大分の地方の線路というのは、経営的には決して容易ではないんですね。極端に言うと通学列車かなというぐらいに、朝と夕方は結構多いんですが、その間はがらがらというか、お年寄りが三々五々乗っているというような、そういう形の路線ですから、やはり法的な応援体制というものができないと、JRだけでどうこうというふうなことを申すことはなかなか厳しいなという僕らの常識があります。
今回のこの水害によってまたダメージを受けた、それが即その地域の皆さんの、特に通学する子供たちの足を奪うことになるわけで、そこら辺をどう受けとめて、この問題についてどう対処していくのか、それについてひとつ積極的な発言を期待しています。
○津川大臣政務官 鉄道事業者におきまして、鉄道運行についての安全確保に努めていただくというのは、まさに事業者としての責任でございますから、まずは事業者として、そこはしっかり確保していただきたいと思っております。
一方で、地方の民鉄のように、なかなか経営体力に限界があるというようなところにつきましては、地域公共交通確保維持改善事業、こういったものを活用していただきながら、その防災力を高めていただく、こういったものを随時進めていただいているところでございます。
今御指摘をいただきました豊肥線等を含みますJR九州についての災害復旧についての援助の考え方だと思いますが、先生も御案内と思いますが、鉄道災害復旧事業費補助という事業がございます。これは、その対象となります災害の程度、それから、その対象となります事業者の経営状況、こういったものを勘案して判断をするところでございまして、国交省としては、まさに今御指摘をいただきましたように、豊肥線は大変大きな被害を受けているところでございますが、この被害の状況を踏まえつつ、JR九州の経営状況を勘案し、どのような支援が可能かということについて積極的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 ぜひ、これについて、住民の期待が裏切られたということにならないように、ひとつしっかりサポートしていただきたいな、このように思います。
次に、災害復旧工事のありようについて。
例えば日田市でありますが、あそこの堤防は切れて、浸水したわけですね。ここはたびたび水害に遭っているわけですよ。
いわゆる災害復旧は、原状復旧みたいな形が常識だというふうに言われているんですね。それにプラスアルファして対策を講じるというようなところまではなかなかいっていない、現場はそう言うんですね。ですから、同じことを繰り返すわけです。
もしあれが一メートル堤高を高くしていれば、浸水することはなかった。まあ、壊れるか壊れないかということはわかりませんけれども、そんなことが言えるのではないかというような素人考えがあるんです。
私は、やはり災害復旧というのは、よりその効果を高らしめるということはもちろんですから、その被害を受ける前の形に戻すというところにとどまるのではなくて、もっと積極的、建設的に災害復旧工事というのはやるべきじゃないのか、そういうふうに思想を変えていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○津川大臣政務官 御指摘をいただきましたとおり、災害復旧事業というのは原形復旧というのが原則でございます。
ただし、昨年の三・一一東日本大震災でもそうでありましたが、単にもとに戻すだけであるということが合理的ではないというケースもございます。河川の場合であれば、例えば、上流、下流の形状に合わせて、単にもとの形に戻すだけではなくて、堤防をかさ上げするなどの復旧のあり方というものも当然この災害復旧の中に含まれてございます。
また、今先生のお話のように、さらなる改良をするというような事業をあわせて行うということも可能というふうになっているところでございますが、被災自治体から具体的な御意見を伺いながら対策をとってまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 私の提案は、やはりしっかり受けとめて、今後の災害復旧の思想の問題にかかわってくる問題があると思うんですね。だから、そこのところはひとつ積極的に、改革的に考えて、方針につなげていただければありがたい、このように思っております。
それから、ちょっと災害復旧に関連をして、農水省の政務官が来ていますので。今度、いわゆる水田も本当に壊滅的な打撃を受けました。あの砂を、本当に、砂は肥沃した砂ですから、これは将来田んぼにとってプラスになると思うんですよ。しかし、今作、ことしの作はもうだめですよね。だから、それは相当な面積がありますから、これの対策をどうするかということをひとつ出していただきたいことと、農業用水路、これがもうずたずたですよ。だから、間もなく、今立っている水田もだんだん色が悪くなるんです。そして枯れるんですよね。もう水が来ないわけですから。
水路の修復というのは、これは僕は、農業の基盤ですから、今度の水害の中でもやはり農業用水路の修復というのを忘れることのないように、これをやはり速やかに修復していく、そういう決意を述べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 大変な被害を受けられたということで、私ども農水省からも、副大臣、政務官、それぞれ現地を視察させていただいて、随時報告も受けて、被害も今まとめさせていただいております。
何よりも大切なのは、やはりいかに早く迅速に対応していくかということだというふうに思っておりますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる査定前着工なども含めて、できるだけ早く対応できるものは対応していきたいというふうに思っております。それから、今あった、特に排水の修復でございますが、いろいろな事業を今農水省も持っておりますので、災害復旧の事業だけではなくて、いろいろな事業を組み合わせる中でできるだけ早く対応できるような道と、それから、先ほども触れましたけれども、人的にも足りないというお話も聞いておりますので、そういったお手伝いも含めてしっかり対応していきたいというふうに思っております。
○重野委員 最後に、流木対策、これがやはり大きいんですね。これは、今この国は山を粗末に扱っているというツケをこのような水害のときに流木という問題で受けているんだと思うんですね。この流木に至る経過等々は、私が言うまでもなく、本当に山が疲弊をしているというふうなものが根本的にあるわけですよね。だから、流木対策を、起こっている現象に対してどうするかということと同時に、それを、流木というふうな形で山から木がころころと流れ出てくるということを防ぐために、長期的にどうしたらいいか。これは、僕は、百年、二百年単位の仕事だと思いますよ、日本の山を健康にするというのは。そういう点について答弁を求めます。
○馬淵委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○佐々木副大臣 先ほどもお話をいただきましたが、今、長期的なという視点も委員から御指摘をいただきました。
二つ、やはりあると思います。治山というものをしっかりやるということと、もう一つは森林整備、とりわけ間伐だとかそれから植栽というものをしっかりやっていく。やはり両面やらなきゃいけない。そして、植栽、間伐というものをやることによって水をしっかり含んでいく状況をつくっていく、この両面をやはりしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思って、積極的に取り組ませていただきたいと思っております。
○重野委員 終わります。
○馬淵委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
今月十八日の災害特の委員派遣では、私は熊本の方に行かせていただきました。被害の甚大さ、また犠牲の大きさに改めて本当に胸を痛める思いをいたしました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今も被災して生活を送っておられる皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
阿蘇市や南阿蘇村では、阿蘇山のカルデラの外輪山の山裾の斜面が崩れて土石流として住宅に押し寄せた光景を幾つも見ました。これは、遠くから見ても杉の植林をしたという外輪山の緑の斜面が爪でひっかいたように崩れている箇所を無数に見つけることともなりました。
きょうは資料として、今お配りをさせていただいていますが、航空写真を二枚、資料としてお出しをいたしております。熊本県阿蘇市一の宮町手野、百メーターにわたって外輪山の山肌が崩壊をしている、そういう写真であります。写真を見ると、斜面の下に住家があって、そこに土石流が押し寄せている、こういうことがわかります。ここ手野では、五人が土砂に埋まって亡くなっているということであります。一方、その下の平らな土地、県道二百十三号から先は、これは住家ではなくて田んぼになっている、これも写真でわかりますね。
このような光景を見るのは今回が初めてではない。むしろ、災害の現場を見ると、私はかねてから気になっているんですけれども、こういう土石流が起きそうな斜面の直下に人が住んでいる、こういうケースが多いように思うんです。こうしたことがなぜ起きるのかというか、こうした形の住まい方がなぜ広範に見られるのか。このことについて、もし御見解があったら、お尋ねをしてみたいというふうに思います。
○津川大臣政務官 委員御指摘のように、土砂災害が発生をした現場に行くと、まさに崖の下、土砂災害が起こりそうなところに住宅が建っている。なぜこういったところに住宅が建ってしまったんだろうかという疑問は、確かに私どもも感じるところであります。ただ、それがなぜそうなっているのかということについて、今、一般論として申し上げるほどの知見を持っておりませんが、それぞれの地域の歴史的な背景、経済的な構成によって生まれてきたものかと思います。
ただ、災害のリスクとの関係で述べさせていただくならば、ある一定の災害が発生をした直後には、そのリスクの認識が非常に高まって、安全なところに住宅を建てられるという傾向がございますが、しばらく時間がたつなどいたしまして、リスクに対する認識の度合いが低下をしてきたときに、やはりそういったところに住宅が建ってしまう、そういったケースが見受けられているところかと思います。
今委員の御指摘のように、こういった土砂災害が発生しやすいところに、なぜこのように住宅が多く建ってしまっているのかということについて、かなり、全国それぞれの事情があろうかと思いますが、我々としても、しっかりと問題意識を持ってこれから調べてまいりたいというふうに考えております。
○柿澤委員 この質問については、実は、質問通告した後に、誰が答えるんだということになって、こういう形で政務官にお答えをいただく、国土交通省さんにお答えいただくということで引き取っていただいた経過があるんですが、何となく感覚的に、私と同じようなことを感じている方はいらっしゃると思うんです。津川政務官もそういう感じ方をされておられる。それについて、ぜひ調べていただきたいというか、調べようがあるのかないのかという問題もあるんですけれども、この構造的な要因にちょっと目を向けていただきたいなと思います。
この観点に立って、もう少し質問を続けてまいりたいと思います。
こうした土砂災害の危険箇所については、平成十三年の土砂災害防止法施行に基づいて、土砂災害警戒区域そして特別警戒区域の指定が順次行われてきております。ところが、今回被害が集中した阿蘇の外輪山内で、計二十一人の死者が出た十五カ所の土砂災害現場のうち、実に九カ所が警戒区域にも指定をされていなかったというんですね。中には、警戒区域指定に向けて調査中だった、こういう場所もあるようですけれども、この土砂災害防止法に基づく警戒区域、特別警戒区域の指定が防災上もたらす効果、そして課題というものをどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
○津川大臣政務官 土砂災害防止法は、市街地の拡大に伴いまして、土砂災害のおそれのある斜面地等に住民が居住をする、被災を未然に防いでまいりたい、そういった思いで制定をされたものでございます。土砂災害警戒区域の指定により、警戒避難体制の整備ですとか、ハザードマップの整備などが市町村に義務づけられているところでございます。
今委員から御指摘がありましたとおり、国としては、現在約五十二万カ所の災害危険箇所というものをカウントしておりますが、現在、土砂災害警戒区域に指定をされているのがまだ二十六万カ所ということで、その指定がおくれているというのが現実でございます。
平成十三年にこの法が施行され、最初の指定が十四年からで、ちょうど十年がたったところでございまして、これをいかにして加速していくのか、あるいは、実際にこれが指定をされた後、その期待をされた効果が発揮されているのかどうか、しっかりとフォローアップをしてまいりたいと考えております。
○柿澤委員 指定が進んでいない、こういう状況があるようですが、しかし一方で、土砂災害警戒区域は、今おっしゃられたように、全国で二十六万五千二百七十六カ所、熊本県だけで実に三千七百六十二カ所も既に指定をされているんですね。こういう状況が日本全国に広がっているわけです。
先ほど、市街地が拡大をしていって、そして土砂災害が危険な箇所にも住宅が建つようになった、こういうことがやはり土砂災害による人的被害をもたらして、そして平成十三年の土砂災害防止法の制定に至った。こういうことなんですけれども、これは確かに、一昨年も広島県を初めとした豪雨災害があって、現地に国土交通委で見に行きましたけれども、このときも同じように、やはり広島というのは平地が少ないので、どんどん住宅開発をして、人口増加に伴って、山の斜面の、本当に土石流が直撃しそうなところまで住宅が建ってしまった。こういうところを見させていただいた。このような状況があるんだということを感じさせられました。
これは、人口がふえて、都市化が進んで、平らな土地がないんだからしようがないよね、こういうことなのかどうか。むしろ、日本における土地利用の現状が、このような豪雨による土砂災害で毎年のように犠牲者が生まれてしまう、こういう要因になってはいないか。このような疑いというか、懸念を持っています。
先ほどの写真をもう一度見ていただきたいんですけれども、斜面直下には住家があって、斜面から離れた平らなところには、これは田んぼとして利用されているわけです。こうした平らな土地は、土地利用区分としてはどうなっているかというと、これは農地になっていることがもちろん多いわけですね。
農地は、所有にも利用にも厳しい規制があって、農業者による農業用途の土地所有と利用だけが認められる、これが原則だと思います。転用許可がなければ、住宅等の建築物の建設は不可になっている。農地法、農振法、そして都市計画法の市街化調整区域として、いわば三重に守られている。だから、農地には原則として住宅が建たないわけですね。
一方で、都市計画区域外の山林には、建築物に関する規制は基本的にはない。ここには住宅も建設できるわけです。だから、山林地目の土地を、急峻な崖を切り開いて住宅地として造成するような開発が行われてきたという面があるのではないかと思います。この土地利用に対する規制の違いが、農地を避けて、山林等における住宅開発を誘発する要因になってきたのではないか。平らな土地ではなく斜面直下に住家が立地する、こうした要因にもなってきたのではないか。そこが土砂災害の被害箇所となる、こういう構造的な要因があるのではないか。こういうふうに思うんです。
どう思いますかと御答弁を求めようとしたら、このことについてはどの省庁も答えられないと言うんですね。どこが責任を持って回答すべき問題かわからない。ある意味では、こうした観点から光を当てたことが、今までこの問題はなかったんだと思います。
今お尋ねをしながら、中川大臣がしきりにうなずいてお聞きをされているので、もし、感想でもいいですので、お伺いできれば、御答弁いただければと思います。
○中川国務大臣 非常に含みのあるというか、示唆に富んだ御指摘だというふうに思っております。
そういうところも含めて、全省庁が管轄しているその脇といいますか、その基準を超えて、我々も総合的な防災計画というのをやっていきたいというふうに思っております。
以上です。
○佐々木副大臣 農地の話が質問に出ましたものですから、私の方からお答えをさせていただきたいと思うんです。
私は、農水省というか、私自身も農民でありますから、山を守ってきたのは、林家、林業専業家というのはほとんどいなくて、農家が林業を一緒にやっておられて、山を守ってこられた。そして、それは、この日本の長い歴史をつくってきたというふうに私は思っています。よって、その地域の農振地域というか優良農地をどう守るかという法律もそれと同じようにできてきたわけであります。これは二十一年に改正をいたしましたが、そのときも、一部緩めて、賃貸、リースの場合は一定程度規制を緩めてきたわけであります。
私は、国土として農地は守られなければならないというふうに思っておりますが、しかし、行政としっかり話をして、そして転用というものをやっていかなければならない。ただ、転用については、行政と一緒になって、慎重に、ある程度の時間をかけてやるべきものだというふうに思っておりまして、丸々転用を否定しているわけではありませんが、余り簡易に転用できるということには私は慎重であります。
○柿澤委員 しかし、今や、農地における耕作放棄地がどんどんふえる時代状況であるわけです。
耕作放棄地、四十万ヘクタール、埼玉県の面積に相当するわけです。それが、場合によっては市街化区域の真隣にあって、戸建て住宅がびっしり並んでいるところに、住宅地から道一本を挟んだだけで草ぼうぼうの耕作放棄地がある、こういうところも見られるわけです。こうした市街化調整区域の農地の一部は、やはり、宅地として利用できるように線引きを見直し、また対応を柔軟に行っていく必要があると思います。
今農水省からは事実上御答弁をいただいてしまいましたので、国交省、都市計画法を所管する立場から御答弁をお願いしたいと思います。
○津川大臣政務官 線引き制度につきましては、都市計画地域を市街化区域と市街化調整区域に区別をするものでありますし、どこの土地を市街化区域とするかということについては、都道府県、政令市で、実情に応じて判断をするという形になっております。
実際には、委員も御案内かと思いますが、線引きをしていないという地域も多々あるものでありまして、今お話がありましたとおり、農地転用制度等々、農業振興等の考え方の中から、土地利用については、農林水産省はもちろん、各自治体としっかりと連携をしながら国交省としても対応してまいりたいと考えています。
○柿澤委員 中川防災大臣に横串を通したような形の御答弁をいただいたと思ったんですけれども、残念ながら、だんだん縦割りの世界に戻ってきてしまっているような感じもしております。
もう一枚、資料として、全国における土地利用区分の面積割合を表にしてお出ししております。ごらんのとおり、宅地というのは五%しかないわけです。宅地の中でも、純然たる住宅地は三%しかない。都市計画法上の市街化区域は、面積割合三・八%。そこに、人口の六七・一%、八千五百万人が三%の中にひしめき合って住んでいるわけです。
一方、市街化調整区域を初めとする農地は、仮に好条件の立地であったとしても、これは、どこでもやっていいというわけではないですよ、好条件の立地で、なおかつ耕作放棄地であったとしても、住宅建設や非農業者による所有は厳しく制限をされているわけです。だから、山林開発した崖上や斜面直下に住家が建つことになっているのではないかと思うんです。
農地法、農振法、都市計画法、それぞれ役割もあるというふうに思いますけれども、しかし、あらゆる可住地の土地利用ににらみをきかせている三つの法律が出そろったのは、昭和四十四年のことであります。この土地利用に関する法体系を全般として見直していくことが私は課題であると感じております。しかし、省庁縦割りの中でこれに答えられる担当者は、閣僚を含めていない、こういう現状です。
もちろん、崖崩れしそうなところを、工事をして土どめをしていくことも大事でしょう。そして、雨が降ったときに避難をする、こうしたことを迅速に行うための仕組みをつくることも大事だと思いますけれども、一方で、相当長期にわたる視点かもしれませんけれども、国土全体、土地利用のあり方として今の現状をどう捉えていくか、こうした考え方を持つべきではないかと思います。
この問題について横串を通すに防災大臣はふさわしいお立場なのではないかと思いますので、重ねて、そう答弁はできないと思いますけれども、御感想をお願いしたいと思います。
○中川国務大臣 もう一回横串を刺していきたいというふうに思うんですが、今、ちょうど防災計画の中でも、津波の、特に南海トラフでの見直しとか、あるいは首都直下等々やっております。そんな中でつくづく思うのは、やはり地域によって状況が相当違うということだと思うんです。
さっきの過疎地域の中で、山合いの中に点在する家屋、なぜそうなんだ、それがもっと安全な地域へ向いて、いわゆる土地利用という形で誘導する方法はないのかというふうなことも一つの問題意識でもあろうかと思いますし、一般の平地、平野に行きますと、例えば今回、高知の黒潮町なんかでは、海に沿って住宅が並んで、それが、津波が来たときになかなか時間的に間に合わないということになると、本来は山合いの高台へ向いて都市計画で家を誘導していくという形が逆にいいんだろうというふうな議論が出てきます。あるいは、平地の中で山合いも何もないというふうなところについては、また違った形の都市計画の中で、避難場所といいますかビルなんかを工夫しながらつくっていく、あるいは、改めて高台もつくっていくというようなことなんだろうと思うんです。
そういうふうに考えていくと、土地利用というのも、それぞれの地域でさまざま、全国一律で基準をつくるんじゃなくて、主体的にそれぞれの地域が自分たちにふさわしい土地利用というのを考えていく、そういう形にしていくということが私は望ましいんだろうというふうに思います。
その上で、さっき防災の主流化ということを言いましたけれども、防災ということから考えていくと、必ずその横串として、防災を考えたときに安全性というのはどこにあるのかというのを一つ一つの政策の中に組み込んでいく、その中で国土をつくっていくというふうな、そういうあるべき姿というのを求めていきたいというふうに思っております。
○柿澤委員 気象庁に来ていただいているので、一問だけやって終わります。
今回、これまでに経験したことのないような大雨が降る、こういう気象情報を出されました。しかし、現地に行ってみると、実は雨量が最も多かったのは午前二時から五時までぐらいの三時間で、この三時間は百ミリ程度の雨が継続的に降っていたんですね。一番多かったのは四時から五時までぐらいで、ここは本当に百ミリ降っていた。異常な大雨だったんですよ。大体五時半ぐらいに土石流が起きて、どこに行っても、どこの現場に聞いても、土石流の発生時刻は五時半前後だったということです。雨が降った、物すごい雨が続いている、土石流が起きた、住家が埋まるような状態になった。そして、これまでに経験したことがないような大雨が降っていますと気象庁が発表したのは、実はその日の六時四十五分なんですね。
一体、この時系列はどういうことなのか。初めてのことなので、私は別に責任追及しようというわけではありませんが、今後の教訓に生かすために、こういう時系列になってしまったのはなぜなのかということをお伺いしたいと思います。
○馬淵委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○西出政府参考人 御案内のように、これまでに経験したことのないような大雨という、この短い表現で伝える気象情報は、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報で警戒を呼びかけている中で、雨の降り方から、尋常でない状況であるという気象台の持つ危機感を伝えて、さらに一層の警戒を呼びかけるための情報でございます。これは、昨年の台風十二号による災害を教訓に、ことしの六月から新たに開始したものでございます。
今回の大雨災害について、熊本地方気象台が十一日から十二日にかけて段階的に発表した情報を、時間を追って御紹介いたします。
○馬淵委員長 簡潔にお願いします。
○西出政府参考人 はい、済みません。
前日の夕方から、気象情報等で注意、警戒を呼びかけ、日がかわった零時過ぎから、警報、土砂災害警戒情報を発表しました。午前三時から六時過ぎにかけて、御案内のように、非常に強い雨が降ったものですから、記録的短時間大雨情報を相次いで発表しまして、数年に一度しか発生しないような状況である、そういうことをお伝えしました。
その後、さらに観測された雨の降り方から、尋常でない状況にある、そういうふうに考えられたことから、この、これまでに経験したことのないような大雨という情報を発表した。さらに、それで一層の警戒を呼びかけました。
以上です。
○柿澤委員 終わります。ありがとうございました。
○馬淵委員長 以上で申し出の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
本日は、今般発生しました九州北部豪雨災害について質問をさせていただきます。
平成二十四年七月の十一日から、これまでに経験したことのないような大雨により、私の地元の熊本県や福岡県、大分県を中心として、一時間当たりの降水量が場所によっては百ミリ以上、また降り始めた雨量が八百ミリメーターに達するなど、記録的な豪雨となりました。私も翌十二日から地元に戻り、被災者の救出、救援に全力で取り組んできたところでございます。
各地では河川の氾濫や土砂災害が発生し、一時三十五万人以上を対象に避難指示並びに勧告が発令されました。避難勧告は現在も一部継続しているところでもございます。今なお、不自由な避難生活をされている方が多くいらっしゃいます。
土石流や土砂崩れなどによる死者三十二名、行方不明者数は四名にも上り、特に私の地元の熊本県の阿蘇市や南阿蘇村では二十三名が亡くなられ、二名が行方不明になっておられます。
全壊、半壊、床上浸水などの多数の住宅被害を初め、道路、河川など公共土木施設、鉄道、農地、農林水産施設等の損壊や、また山地の崩壊、さらには農林水産業や観光業等に極めて甚大な被害が発生しております。
公明党は、十二日に九州北部豪雨災害対策本部を設置して、関係各県本部と緊密に連携をとりまして、現地調査をもとに万全を期しているところでございます。速やかな災害復旧と防災対策を講ずる、また被災者救済を講ずるよう、七月の二十日には中川防災担当大臣に対して、二十二項目にわたる緊急の申し入れを提出いたしました。
本日は、これらの事項について、政府としてどのように対処をされているのか、関係省庁も含めてお答えをいただきたいと思っております。
現地の最大の願いは、一日も早い激甚災害の指定でございます。この激甚災害の指定へ早急に取り組むように公明党は申し入れたところでございますが、総理が、二十日に被災四県を視察して、激甚災害の早期指定に向けて手続を速やかに進めるよう指示したとされますけれども、この指定はいつごろをめどにしておられるのか、また、指定は農地等に限らず公共土木も見込めるのか、中川大臣にお伺いをしたいと思います。
○中川国務大臣 正式な手続ということになりますと、梅雨明けを待ってということになります。これは、どの範囲を激甚に累積していくかということとの関連がありまして、短くすればするほど範囲が狭くなるということでありますので、事務的な手続の上ではできるだけ長くという、この一連の梅雨の状況が晴れるまでということで、六月八日から合わせて指定をしていくということで整理をしたいというふうに思います。
しかし、現地としては、それを待っていてはなかなか思い切った形になっていかないという、そのこともわかりますので、政治的にも、あるいは我々のできる範囲でということで、野田総理には、見通しとして、農業関連については大体の水準を超えてきているということを踏まえて、激甚でいけるであろう、そのつもりでやってほしいということを申し上げたということであります。
土木についても、今、順次積み上げて、見通しも立てていこうとしているんですけれども、これがなかなかそうした数字に達するところまでいっていないということでありますので、政治的にも、それを見越して、発表することができないという状況でございます。これが現実なんです。
あと、局部的な部分について、できるところからということもありまして、中小企業の救済については、阿蘇市で大丈夫だろうというので発表させていただきました。
現状はこういう形なんですが、事務手続以上に、恐らく地元の皆さんにとっては、やれるのかやれないのか早くはっきりしてくれ、こういうことだと思いますので、この見通しをしっかり積み上げていきたいというふうに思います。
○江田(康)委員 中川大臣、よくおわかりだと思っておりますが、被災地においてはこれは大変な、これからの復旧へ向けて、迅速な復旧を進めていく必要がございまして、この激甚災害の指定は必須のものでございます。迅速に指定をしていただきますように、万全を期してもらいたいと強く要望するものでございます。
公共土木について、これからもその検討が続けられると思うわけでございますが、やはり公共インフラの整備が、これはもうまさに欠かせないわけでありまして、万全を期していただくようによろしくお願いを申し上げます。
そしてまた、必要な全ての被災自治体に対して、特別交付税等を中心としてしっかりと交付をしていっていただきたい。そのことでございますけれども、川端総務大臣が表明した特別交付税措置についての検討はどこまで進んでおりますでしょうか。迅速な応急対策、復旧事業支援のために、予備費の活用、また補正予算により十分な予算を確保していく必要が大いにあると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○稲見大臣政務官 お答えいたします。
普通交付税につきましては、御案内のように四月、六月、九月、十一月、特別交付税については、十二月と三月というふうに算定をしてまいります。
それで、午前中にも御質問にお答えしたかったわけでありますが、既に、七月七日までの大雨につきましては十八日に、被害を受けました三団体に九月分の三割を前倒しで交付いたしております。それから、十一日以降の大雨につきましても、昨日交付を決定いたしまして、きょう現金交付ということで、既に、福岡県内八団体、熊本県内五団体、それから大分県内一団体につきまして、八十一億二千五百万円を繰り上げで交付したところであります。当面のさまざまな対応に係る資金繰りということでは、こういう形であります。
それから、今御質問のありました特別交付税の件でありますが、前倒しをできるかどうかというふうなこともありましょうが、こういう形でやりましたのは、立法措置をしました東日本大震災一件でございました。実は、昨年の紀伊半島の大雨についても特例交付というのはいたしておりません。
したがいまして、今後、被災地方公共団体の実情を十分にお伺いしながら、総務省としても、関係省庁と連携を図りつつ、先ほど申し上げました十二月分の特別交付税措置を初め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないように、できる限りの対処をしてまいりたいと思います。
以上であります。
○江田(康)委員 今おっしゃっていただきましたが、普通交付税の繰り上げは大変評価をいたします。特別交付税措置が大変待たれるところでございますので、しっかりとこれは進めていただきたい。強く申し上げておきます。
ライフラインの早期復旧、また被災者支援というのが非常に大事でございますけれども、被災者支援においては、住宅に流れてきた土砂、また瓦れきの撤去のために、多くのボランティアの皆さん、また自治体の職員が派遣されておられます。しかし、圧倒的に人手が不足しておるような状況であります。また、人力で、人の力で撤去ができないほどの大量の土砂で埋まっている、こういうような状況であります。
この中で、特に高齢者だけの世帯、またはひとり暮らしの高齢者の皆さんにとっては、これはまさに、自宅での生活を再建するのは不可能にも近いというような状況でございますので、人手と機材の両方がこういう世帯には必要であるわけでございますけれども、これに対して、国はどういうふうな対応を自治体と協力してやっているのか、やろうとしているのか、ここについてもお伺いをさせていただきます。
○津田大臣政務官 厚生労働省でございます。お答えを申し上げます。
家屋等に土砂、流木等が流入し、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合、高齢者の方等でございますが、災害救助法に基づいてその除去が行われることになるわけでございます。
今回の水害では、特に山間部で高齢者世帯がお住まいの住宅に多くの被害があり、そこでは、みずから障害物の除去を行うことが困難な状況にあるというふうに伺っておるわけでございます。
こうした高齢者世帯の住宅では、ボランティア活動による障害物の除去も行われているというふうに聞いておりますが、災害救助法に基づく支援もしっかり行われるよう、これは特に国と県で費用を負担する制度でございますけれども、実施主体は県でございますけれども、しっかり助言をし、取り組んでまいりたいと考えております。
○江田(康)委員 さらに、農林水産業の復旧支援が大変に重要でございます。
今回の九州北部豪雨により、農林水産業が甚大な被害を受けました。七月の二十日の熊本県の発表でございますけれども、阿蘇地域だけでも五百ヘクタール以上の水田が冠水し、農業用ハウスの損壊も相次いでおります。山腹崩壊、渓流被害、林道や立ち木の被害などの林業被害が被害額の八二%を占めているほか、農作物、畜産物、農地や農業用施設にも多くの被害が生じております。
農業用の施設として、一級河川の、例えば白川ではございますけれども、その農業用水路の取水口が全て破壊されているような状況で、これから夏場に向けて水が要るような農業に対しては、これはもう致命的でございます。こういうことに関しても迅速な対応がなされなければなりませんけれども、こういう対応についてもいかがか、お尋ねをいたします。
被災地における農林水産業の再生のために、これらの災害復旧、これは早急に事業採択をしていかれるべきでございますが、新たな機械の導入も含めて支援すべきでないかと強く申し上げたいが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今回の九州北部を中心とした農地、農業用施設の被害、農水省として七月十八日現在で取りまとめをさせていただいてございますが、これはあくまでも農地と農業用施設に限ってございまして、今御指摘があった山林等については、被害の箇所数はわかっておりますが、まだ被害額は集計しておりません。農地、施設だけで一万二千カ所、約百三十億円の被害というふうに掌握をしているところであります。
農水省として、岩本副大臣それから森本政務官が直ちに、福岡、熊本、大分で現地視察、調査をさせていただき、九州農政局職員も一緒に調査をさせていただきました。
今御指摘がありました白川周辺を含む九州各地の川の氾濫、あるいは山腹の崩壊、農地への土砂の流入、堆積、川岸がえぐられる等々の損壊が多く見られておりまして、ポンプ場等の用水施設にも多数被害が出てございます。
まずは、地元農家から要請を受けております、今御指摘のありました農業用水の確保が急務でありますから、農政局から三県に二十台余りの揚水ポンプをまず貸し出してございます。
それとともに、査定前着工をさせていただいておりまして、被害を受けた市町村、三県で約八十件の応急対策工事、これは事業としてですが、着手させていただいたところであります。
さらにまた、緊急対策として、流入土砂の排除、それから農地のさらなる崩壊防止等々を進めてございますが、いずれにしても、迅速な復旧が大切でありますので、そのほかに、技術者の支援とかあるいは査定事務の簡素化などできる限りの支援に努めてまいりたいと思ってございます。
以上です。
○江田(康)委員 熊本の白川また緑川、一級河川でございますが、さらには福岡の筑後川等々が流れ込む有明海についても、ヘドロの流入等が大変な状況にこれからも至るのではないかということでございますが、大量のヘドロにより、名産のノリ、アサリガイの養殖への被害も心配されているところでございます。
熊本県の白川から流れていく泥というのは、やはり火山灰で、黒ぼくと呼ばれるようなものですが、非常にきめ細かい泥なんですね。これが家屋にも多く侵入し、悩ませているわけでございますけれども、有明海においてもこういう被害が心配されるわけでございます。赤潮、また海水が薄まって種苗に悪影響を与えたりする可能性がございます。
早急に、この除去方法も検討するとともに、支援措置を政府は講じる必要がございますけれども、どのような対策を講じようとしているのか、教えていただきたいと思います。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
有明海、今御指摘のように、ヘドロの流入が生じております。このまま放置した場合に、これから養殖期に入りますノリ等に大変な影響が出るおそれもございますので、まずは、水環境保全のために、市町村が、あるいは都道府県、市町村が行います堆積物の除去費用について、水産環境整備事業により助成するということが可能でございます。
さらにまた、漁場の大量の土砂でございますが、激災法に基づいて、市町村の費用の全部または一部を負担する土砂排除事業等についても、堆積土砂排除事業といいますが、国から交付する事業も存在をしてございますので、これらを組み合わせて、ぜひ早期に対応してまいりたいというふうに思ってございます。
さらにまた、影響が最小限になるように、関係機関とよく連携、調整をしながら、今御指摘をいただいた方法等についても、よく打ち合わせをさせていただきたいと思ってございます。
○江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。
さらに、農林水産業の復旧支援について、財政的な支援についてお聞かせをいただきます。
これから経営再建とか施設復旧を目指す被災農林漁業者のために、資材費や労務費などの運転資金を貸し付ける農林漁業セーフティーネット資金、また、機械、施設の復旧とか漁船、漁具の修復の資金を貸し付ける農林漁業施設資金がございますけれども、これは、日本政策金融公庫を通じて、政府として十分な融資枠を確保すべきだと思います。
また、甚大な被害を受けている被災農林漁業者の状況に鑑みて、貸付限度額の引き上げ、また金利負担の軽減、利子補給、さらに償還期限の延長、据え置きなど、これらの融資制度を柔軟に運用すべきと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。
と同時に、農業共済金についても、早期支払いを進めていくべきだということを強く申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今御指摘をいただきましたセーフティーネット資金と施設資金でございます。これは、当初予算で三百八十八億円、五十億円と、それぞれ予算計上をあらかじめさせていただいている資金でございますが、限度額、金利、償還期限等々相当に、こういうことに対応する資金でありますので、十分に配慮した条件を設定してございます。
今御指摘いただきました償還条件の緩和等でございますが、担保の弾力化、あるいは返済猶予などについて、日本政策金融公庫など関係機関に、過日、七月十三日に文書で要請をさせていただいたところでございます。
さらに、農業共済金でございますが、これについても同じように、農業共済団体に指導を徹底させて、同じ日に要請をさせていただいてございますが、まずは、被災された方々に遺漏なく申告を出してもらうこと、そして、共済組合が迅速に損害評価をすることなどについて、そして、保険金の請求手続などを迅速に手続をして、早期支払いという体制を確立することなどについて、共済団体に要請をさせていただいたところでございます。
なお、国としても、一層の指導助言をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○江田(康)委員 今回の災害は、規模も大変大きいものがございます。そういう意味で、共済金の早期支払いも決して滞りのないようによろしくお願いします。共済金で足りないところも多々ございますので、やはりこの融資において柔軟な運用をしっかりとしていくように特に申し上げておきたいと思います。
中小企業等の復旧支援も非常に重要でございますが、まずはセーフティーネット保証に係る突発的災害の指定、これを申し入れで強く要望したところでございます。
今回の豪雨では、観光業から商業、製造業、さまざまな中小企業者が被災しておられます。浸水、土砂による直接の被害だけでなくて、道路の通行どめにより物流や客足が途絶えて生産や販売がストップして売り上げが落ち込む、こういうような多大な被害も生じております。
中小企業庁のセーフティーネット保証制度は、信用保証協会を通じて、突発的災害、自然災害等の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するものでございますけれども、九州北部豪雨の被災地域に対して、このセーフティーネット保証が発動される見通しについて伺いたいと思います。
○中根大臣政務官 経済産業省でございます。先生御指摘のセーフティーネット保証四号につきまして答弁を申し上げます。
御指摘のように、セーフティーネット保証四号は、自治体において中小企業者の被害状況の調査を行った上で、自然災害の発生に起因して生じている売上高の減少により、相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じている場合に発動しているものでございます。
今般の豪雨災害につきましても、自治体の調査状況を踏まえ、豪雨災害に起因して相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じていないかを見きわめつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○江田(康)委員 中小企業にとっては、災害復旧のための設備資金、長期運転資金を貸し付ける災害復旧貸し付けもございますが、日本政策金融公庫を通じて、先ほどの農業関係と同じように、貸付限度額の引き上げや金利負担の軽減を図るとともに、既往貸し付けがある場合にはその償還を猶予するなど、柔軟な対応が望まれるわけでございます。これについても、政府の万全な対応をよろしくお願いをしておきます。
計画停電についても配慮をすべきということを申し上げさせていただきましたが、西日本では、万が一のときでありますが、電力不足時には計画停電を実施するとしておるところであります。しかし、被災地では、いまだ住民の皆さんが避難を余儀なくされている地域もございまして、計画停電に対応することは困難であります。
この点、九州電力が、被災地などへ配慮するとの政府の方針を受けて、被害を受けた市町村について、避難所となる施設とか防災関連の施設を計画停電の対象外とする方向で自治体と協議するということでございますけれども、これも自治体の要望に最大限沿えるように、国として強く支援をしていっていただきたいと思います。これは申し上げさせていただくだけにしておきます。
この要望の中では最後のところでございますけれども、被災住宅の復旧支援など、被災者への十分な生活再建支援というのが大変重要になってまいります。
まず、厚生労働省にお伺いします。
災害救助法の弾力的な運用について、これまで経験したことのない大雨によって甚大な被害が今回出ているわけでありますけれども、避難所の設置や食品、生活用品の給与や医療等の被災者の救援救助について定めている災害救助法救助基準についても、これは弾力的に運用をすべきであると要望しているわけでございます。特に応急仮設住宅の建設、これは阿蘇市を中心としてこれもまた進行中でございますけれども、この応急仮設住宅の建設については、被災県に超過負担が生じないように限度額を引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○津田大臣政務官 お答えを申し上げます。
災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。しかしながら、委員御指摘のように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合、こういうのがあるわけでございまして、その場合には、国と協議の上、救助の実施期間の延長あるいは基準額の引き上げ、こういう特別基準の設定をすることが可能になるようになっているわけでございまして、その旨、通知にて周知を図るとともに、適用市町村に担当者を派遣して直接説明を行ったところでございます。
今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、委員御指摘の応急仮設住宅の建設に係る費用も含めて、可能な限り弾力的な運用を図ってまいりたい、そのように考えております。
○江田(康)委員 津田政務官からは大変迫力のある回答をいただきまして、万全を期していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
被災者生活再建支援制度の見直しについて、中川大臣にお聞かせをさせていただきます。
この九州北部豪雨による被災者の迅速な生活再建のために、被災者生活再建支援金の申請に必要な住家の被害認定等を迅速に行う必要があると思います。
また、現行法では支援金の支給対象とならない半壊世帯、一部損壊世帯、さらに、住家には被害はなくても、その財産の大半や雇用を失うなどの生活基盤に著しい被害を受けた者も同制度の対象とするよう法改正を行うべきではないか、公明党はそのように申し上げてきておりますが、この点について、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○中川国務大臣 これは午前中からもたびたび質疑の中で取り上げられております。
当初から申し上げているとおり、これは互助会的にスタートした、いわゆる、県の持ち分が半分で国が半分で基金を入れて、広域被害でそれぞれの自治体でなかなか財政的にカバーができないということを前提にした分をこの制度で救済していこうと。これは恐らく、阪神・淡路大震災の後の、御党の主張も含めて、さまざまな主張を折り合う形でこういう今の制度になっているということだと思います。
こういう互助会制度を基本的に見直して、最低限のところは国が突っ込んでいくんだ、そういう形にするのか、あるいは、互助会制度をそのままにしながら、その基準で、細かなところは地方自治体が、特に県が条例化をして、それでカバーをしていくのか、そういうところが判断の大事なところじゃないかなと私は思っております。
いずれにしても、地方自治体とも相談しながら、そしてさまざま野党の皆さんとも協議をしながら、さらに納得のいくような、そして安心ができるような制度に検討を加えていくということ、これは大事なことだと思いますので、議論に参加をいただきますようによろしくお願いをしたいと思います。
○江田(康)委員 大臣が今申されましたように、私も現場を回って、これはいかなる災害もそうかもしれませんけれども、今回は特に、土砂災害等、人家に大量の土砂が、またそれによって人家が損壊されている、そういうようなところがいっぱいございます。
しかし、全壊や大規模半壊、これには相当するかどうかわからないところもいっぱいございまして、そうなると、被災者生活再建支援法はその人たちを救うことはできないわけで、ここの基準等について、確かに柔軟な運用をしていくべきことであって、やはり法の趣旨にのっとって、より多くの方々を生活再建していく制度へと、いろいろと検討することが本当にあると思います、法改正も含めて。これについては、我々も全面的に審議を進めていきたいと思っております。しかしまず、当面、この災害を受けた人たちをぜひとも幅広く生活再建へ向けて救っていけるように、これは自治体とも協力して、国も柔軟に対応をしていただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。
最後に、災害廃棄物でございますけれども、大量の瓦れき、流木、泥を含む災害廃棄物の処理が滞っているところも多々ございます。これらの迅速な処理を進めていくべきでございまして、これに対しての国の取り組み、そしてまた、先ほど申しました有明海に流出したごみ、流木等々についても、これは漁業者とか市町村、県だけでは限界がございます。
そういうような意味で、迅速な回収、広域処理のために、環境省を中心に特段の支援をやっていくべきと思いますけれども、決して縦割りで遅くならないように要望したいと思いますが、どうでしょうか。
○高山大臣政務官 江田委員にお答えいたします。
環境省といたしましては、今般の豪雨による災害廃棄物の発生、処理の状況、また廃棄物処理施設の被災状況の把握に努めまして、予算執行に支障のないように、被災自治体の支援に今万全を期しているところでございます。
なお、災害廃棄物の処理事業や廃棄物処理施設の復旧事業については、被災自治体において、写真など、処理の復旧前の状況がわかる資料をとっておいていただければ、環境省によります現地調査を待たずに実施することが可能でありますので、速やかに実施していただけますよう、今、被災自治体と連携をとっているところでございます。
また、加えまして、先ほどの有明海の件でございますけれども、基本的に、漂流、漂着物の件なんですけれども、河川や海岸、港湾に滞留、漂着している流木等の処理につきましては、船舶の航行や漁業従事上の支障の除去の必要性等を考慮いたしまして、河川や海岸保全区域等の区域ごとのそれぞれの管理者によって実際には処理をされております。
環境省といたしましては、市町村が生活環境保全上必要として行う災害廃棄物の撤去処分につきましては、災害等廃棄物処理事業費補助金により支援することといたしておりますので、いずれにいたしても、今回の災害におきまして、被災自治体が過大な負担にならないように連携を図ってまいりたいと思っております。
○江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。
あと、残りの時間でございますけれども、防災・減災対策ということでお話をさせていただきたいと思います。
まず、今回も大きな被害を受けたわけでございますけれども、森林の保全等についてひとつお伺いをさせていただきます。
森林には、水源涵養機能のほかに、土砂の流出、崩壊の防止機能がありますけれども、間伐が行き届いていないために、日光が森林のもとに届かず、下草が生えないので、雨が降っても林床を洗い流して森林の保水力を低下させるという、これは全国的にも大きな問題がございます。
今回の阿蘇地方において、戦後、外輪山の山腹に植林が行われたわけであります。人工林、杉が多いわけでございますけれども、今回の豪雨では、山から土砂とともに立木が流出しました。大きな被害となったのが、間伐が行われていなかったことがその大きな要因ではないかとも言われております。
私も現場を、これは阿蘇市の一の宮の手野や、また大きな被害があった坂梨地区等々、当日から入ってまいりましたけれども、大きな杉が土砂、土石流とともに崩壊していった現場でございました。その杉の根を見るとわかりますけれども、非常に浅い。抱えている土が五十センチから一メーターの範囲である。
また、特にこの阿蘇地方というのは、これはもう世界の阿蘇の火山灰、黒ぼくが歴史的に積もった山々でありますから、その上に杉が植林されている。そうなると、非常に土をしっかりと抱え込んでいない、こういうような山々もございます。
しかし、それは間伐がきちんとなされていれば、それだけのしっかりした植林になっているわけでございますけれども、それが滞っている。このことは非常に大きな問題であるかと私は思います。
淀川の治水工事を任された河村瑞賢という人が治水は治山にあることを説いたのは有名な話であります。治水は治山にあるわけであります。間伐の促進などによって森林を整備すれば、それだけ保水力が上がって森林の治水効果も高まるわけであります。
今、林業、国産材の衰退、これがまた山林の荒廃を引き起こしているわけでございますけれども、今後は、土石流など土砂災害による被害の軽減など、防災、減災を目的として、森林整備などの治山対策を進めるべきと考えますが、防災担当大臣、また農林水産省の見解をお伺いいたします。
○中川国務大臣 私も御指摘のとおりだというふうに、現地で流木の形を見て思いました。さらに、恐らく間伐をしてある地域は、捨て切りといいますか、間伐をしたまま放置するということもあって、さらに被害を大きくしているのではないかというふうな印象も持った次第であります。
これから防災計画を立てていく中で、防災計画の主流化ということ、これを一つの基本的な理念にしていきたいなというふうに思っているんです。
それはどういうことかというと、さまざまな事業、山を保全していくということの中にも防災という観点を入れ込んで、そして重点的に、例えば、防災という観点から見たらここの山合いは危ないというところについては、優先的に山の施業の施策を入れていく、投資をしていくということであるとか、あるいは、都市計画の中にも防災という観点をしっかり入れ込んで、その都市計画全体の中で防災という局面がちゃんと生きるような流れをつくっていく。
ちょっと言葉がなかなかなじまないんですが、防災の主流化ということなんですけれども、そういう観点を持ちながらトータルな国づくりにつないでいくということだと思っております。
○佐々木副大臣 先生から、治水は治山にあり、大変含蓄のあるお言葉をいただきました。我々も、農水としても、公器を一部預かっている者としてしっかりと受けとめなければならないと思ったところでございます。
いい山をつくるためにはいろいろなことが考えられなければならないし、今、先生からも若干御指摘がありましたが、例えば、人工林で一色の山にすることが表層雪崩の原因になるのではないかというような説やら、あるいはまた、混交林の場合にはどうなんだとか、いろいろな説があるが、まだ定説になっているものはありません。
ただ、今御指摘があったように、阿蘇地方のように、下が岩盤でその上に黒ぼくが乗っているというような地域的なことを考えると、やはりあの地域においては、こうしたことが想定される地域だというふうに考えなければならないと思うんですね。
そういった中では、山をどうつくっていくかという意味でいうと、二つ考えなければならない。一つは治山による防災と、もう一つは、やはり森林整備をどうしていくのかという、両面で考えていく必要があるというふうに思ってございます。
今回の災害、山地災害でありますが、まずは、災害復旧事業で緊急対策が必要かというふうに思っておりますし、その後、森林整備等による強い森林づくりというものを目指していかなければならない。具体的には、山腹斜面を安定させる治山堰堤、それから森林整備の方では、間伐や植栽、下草刈り、こうしたことをすることによって下層植生が発生して保水能力が高まる、この両面をしっかりあわせてやっていかなければならないというふうに思ってございます。
○江田(康)委員 これは今後の課題ですので農水省に言っておきますけれども、林野庁の事業に間伐の支援がございます。
新システム支援事業から流れてくる延長の、今やられている林業施策支援事業でございますけれども、間伐の支援についても問題がありまして、それは、木材搬出を目的とする間伐であれば支援措置がつくけれども、間伐だけを目的とするものは支援がなされない。私も現場は幾つも回っておりますけれども、どうせやるならば、本当に間伐だけを目的とする事業についても支援措置の対象とすべきだと思います。
ここは、質問通告はしておりませんけれども、いかがですか。
○佐々木副大臣 いわゆる切り捨て間伐でありますが、そのためにも路網をまず整備しなければ手入れができませんから、路網をやはりきちっと手入れをするということが何よりも大切だというふうに思います。
そういった中で、今度はいわゆる再生可能エネルギーなどでも、こうしたものを燃料としてでも使えるような仕組みもつくってございますので、間伐がまずしっかり行われるというのは御指摘のとおりでありますので、いろいろなものを組み合わせる形で検討していきたいというふうに思っております。
○江田(康)委員 これからも引き続きこの件については私も最大に支援してまいりますので、また検討を続けていきたいと思います。
もう一つ、総合的な治水対策について、中川大臣また国交省にお伺いをしたいと思います。
今回のような水害から市民の、国民の命を守るために、洪水を安全に上流から下流まで流下させるための河道の拡幅、堤防の強化、ダムの建設等治水対策がこれまでも実施されているわけでございますけれども、今回も、その未完成な部分から氾濫が起こった、また、市街地を浸水させたというところもございます。
その完成には長い時間と多くの費用がかかることは現実だと思うわけでございますけれども、今回のような豪雨の頻度も、地球温暖化の影響やさまざま言われておりますけれども、これは着実に増加している。そういうような中で、今回、熊本の白川の氾濫に見られるような洪水による被害が増大することが懸念されます。
厳しい財政状況の中、また時間の中で、市街地を含めた流域全体で総合的な治水対策をどのように進めていくのか、これが今後の豪雨災害の対策として重要であり、その検証もしていかなくてはならないと思うんです。
私、今回、現地を回っている中で、特に熊本や福岡の現場を見せていただきました。熊本県の白川の氾濫は、やはり堤防が完成していないところから決壊しているというのも一つ。また、上流からの水の量が、六十年ぶり、過去最多だと思いますけれども、瞬間的な豪雨によって大変な水の量が上から流れてきておりまして、その濁流が川の、例えばこの白川というのは市内に入ってくると蛇行してブレーキがかかってくるわけなんですけれども、その蛇行に従って水が流れない。すなわち、テレビで皆さんが見られるように、越流で市街地が全て浸水したわけであります。
こういうような状況であれば、当然、上流から貯水機能を向上させるということが必要でありますので、上流に立野ダムというのが、これは建設予定というか、いまだ検討予定で結果が出ていないわけでありますけれども、これはもう明らかであります。
また、大分の方でも、きょうも御質問等で確認されたところであるかと思いますけれども、ダムがあるやなしやというところで、今回のような想定以上の、過去最大の水量をうまく治水していくことができるかということが決まっているかのようにも思えました。
こういうようなことが非常に大事で、ですから、検討中で決まっていないようなところにおいて、早速に結論を出していかなければならないのが立野ダムだと思います。そういうものがほかの河川にもあるわけでございます。
また、熊本市の白川に流れる支流とか用水路が氾濫をしておるわけで、それは非常に基本的なこと。すなわち、排水機場がございます。そこで、水位よりも低いところにこれが設置されておりますので、ポンプが水につかって起動しないというのが白川でもございました。
また、福岡県の久留米市の城島町でも山ノ井川というのが、一級河川でありますけれども、それが、排水機場が水につかって、また、ポンプの能力がそれに伍していなくて、結局あふれてしまった。さまざまございます。
また、古い橋でも、橋桁の間隔が狭い古い橋がいっぱいございますね。こういうような橋に大量の流木がひっかかって、その地域を氾濫させた。さまざまございます。
いろいろ言いましたけれども、具体的に、国として、総合的な治水対策についてどのように進めていこうとされているのか、特に、熊本の白川水系や矢部川水系において考えているのか、お伺いをしたいと思います。
○津川大臣政務官 国土交通省でございます。
今、委員御指摘いただきましたとおり、河川の治水安全度の向上というものは、総合的に対策をとる必要が不可欠でございます。また同時に、河川ごとにそれぞれの特徴があるものでもございますから、河川ごと、河川整備基本方針あるいは河川整備計画に従いまして、しっかりとした対策を順次進めていくこと、これが大変重要であろうというふうに考えております。
また、今回の白川、矢部川等における災害についてでございますが、今般の水量あるいは水位データ等の解析、あるいは洪水の痕跡調査等、一般被害調査を今鋭意進めているところでございますが、本格復旧につきましては、これらの調査結果等も踏まえまして、再度災害を防止する、こういった観点から必要な堤防整備、堤防の強化、あるいは、先生から御指摘ありました内水等につきましても含めて早急に検討を進め、自治体と協力をしながら対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。(発言する者あり)
○江田(康)委員 今、的確な御意見が会場からございましたけれども、やはり具体的でなければ意味がないわけでありまして、それを私は言っているわけで、そういうことについて、自治体と協力して、迅速に、早急に、この災害を踏まえて対応をしていくということを政府に強く要望するわけでございます。
財源がない、また、長い時間がかかる、こういうようなことがこれまでの総合的な治水対策をおくらせてきた原因でもあることは事実であるわけでございます。
我が党公明党は、今まさに必要とされる防災・減災ニューディールというのを今提案させていただいております。これは、東日本大震災に続いて起こる南海トラフの巨大地震や首都直下型地震、大規模な災害、今の頻発してくるこういう豪雨災害等々が予測される中で、防災・減災対策の強化は、国家的な、与野党を超えた緊急の課題であるわけでありまして、我が党では、この対策を加速するために防災・減災ニューディール推進基本法案の検討を進めてまいりまして、このたびこの骨子を発表いたしました。
この法案では、災害時における学校や病院や福祉施設や公共関係の施設、あらゆるところ、また、河川や砂防や港湾、そして道路や橋梁等々の防災上必要とする施設、これらが今まさに老朽化してきている。コンクリートの寿命は五十年から六十年と言われている中で、もう五十年がたつ公共施設が過半になってきている。こういう中で、集中的に社会資本の整備を行うことによって、防災、減災、国民の命を守り、と同時に、一方で大変経済は厳しい状況でございますけれども、デフレや景気を回復してくる決定打としていくべきだということで、これを強く今提案しているところでございますが、具体的に、法案の提出に向けてその骨子を発表させていただいたところでございます。
これについては、国が全てを上から決めるのではなくて、自治体が集中投資の優先順位を決める、下からの積み上げ、上から言うんじゃない、こういうようなことや、また、予防的な改修で、これを早目にすることで、全部変えなきゃいけないところを補修で済む、コスト削減につながる、また、効率的な資産管理であるアセットマネジメント方式の採用で費用の軽減をしていく、これらを法律に明記していこうとしているところでございます。
また、財源。これはさまざまございますが、決して赤字国債に頼るのではない。六十年を償還期限とする建設国債、これは将来世代に残す資産であるということをもって国民には理解ができるところかもしれない。また、復興債と同じようにある一定の年限を決めて現役世代がこれを担う、防災・減災ニューディール債というような財源、また民間の資金を積極的に活用していく、こういうような防災・減災ニューディールを進めていく財源も確保していくことができる、これを我が党は今提案させていただいているところでございます。
今必要な防災、減災を進めて、そして景気、経済も活性化していく、こういう積極的な政策をぜひとも政府・与党一丸となって、また一緒に実現していっていただきたいということを申し上げて、きょうは時間がございませんので、これからの防災・減災対策を、本当に今まで必要な防災・減災対策ができなかったところを大きく前に進めていく、そういうことをしっかりとやっていくことを決意させていただきまして、きょうの質問にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
○馬淵委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
まず、今回の災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
そこで、これだけの大きな災害が起こりまして、たくさんの被災者を出しているわけですが、まず取り組むべきは、被災者の生活とそれから住宅の再建だ、このように考えております。
そこで、最初に、災害救助法の積極的な活用について質問をいたします。
大分県や熊本県、それから福岡県の十二市二町三村、計十七自治体に災害救助法が適用されておりますが、災害救助法が適用されることで、避難所を設置し、そして炊き出しなどにより食事を提供するなど、当面の生活を確保する、それから、洪水や土石流で使えなくなった学用品を支給するなどのほか、仮設住宅の建設など、被災者の生活に必要な支援を国の責任で行うことになるわけであります。したがって、その全面的な活用、それから積極的に行うことが大切であります。
そこで聞きますが、災害救助法のメニューであります、災害にかかった住宅の応急修理それから障害物の除去の活用についてでありますが、被災直後、大変慌ただしい中で、せっかく使える制度であっても、いつの間にか期限が過ぎてしまう、そういうケースが多い、このように聞いております。
まず、厚生労働省に聞きますが、応急修理と障害物の除去、特に、今回の洪水や土砂災害の場合、どのような救助を行うことができるのか、お答えください。
○津田大臣政務官 赤嶺委員にお答えを申し上げます。
災害救助法による住宅の応急修理、これにつきましては、災害のために住居が半壊以上の被害を受け、その破損箇所を修理すれば日常生活を営むことができる場合に、必要最小限度の修理、屋根、床、あるいは、トイレ、風呂、壁、窓等でございますけれども、こういうことを行うものでありまして、みずからの資力ではその修理ができない人に対して、救助の一環として実施するものでございます。
また、障害物の除去につきましては、家屋等に土砂あるいは流木等が流入をし、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合に救助の一環として実施をする、そういうことでございます。
今回の水害でも、多くの住宅に被害が生じていることから、これらの救助が早急かつ円滑に実施されるよう、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 今お答えになったとおりでありますが、災害救助法で、例えば食品の提供は、一人一日千十円以内で、災害発生の日から七日以内、障害物の除去は、一世帯当たり十三万四千二百円以内で、災害発生から十日以内など、災害救助法は、先ほどの御答弁に加えて、救助の種類ごとに一般基準を示しているわけですね。
そこで、被災地の実態は、そんな短時間では住民に制度を周知することさえできないのではないかと考えるわけであります。被災者は、そもそも支援制度の存在さえ知らされないまま放置されることになりかねません。
特別基準を設定して救助が行えることとされております。期限内に受けなければいけないのか、特別基準というのはどういう趣旨で、その内容はどういうものか、この点についても説明をしていただけますか。
○津田大臣政務官 お答えを申し上げます。
この災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。
しかしながら、今赤嶺委員から御指摘がありましたように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合がございます。この場合は、国と協議の上、救助の実施期間の延長等、特別基準の設定をすることが可能になっているわけでございます。災害救助法施行令の第二項におきまして、「厚生労働大臣が定める基準によつては救助の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事は、厚生労働大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができる。」というふうになっているわけでございます。
今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、期間についても可能な限り弾力的な運用を図っていきたい、そのように考えております。
○赤嶺委員 最後の弾力的な運用というのは大変大事だと思うんですね。自治体の役所の皆さんは、今、災害救助法で動き回るというよりは、やはり泥出しや避難で一生懸命、しかも、山間部というのは合併により職員も減って、膨大な仕事量を抱えているわけですね。
国と協議の上基準を、延長することができるという、この国と協議の上という言葉に大変な困難さと難しさを持っているわけです。やはり、災害の現場で御苦労をなさっている、そういう自治体の職員のためにも、今の御答弁、弾力的に運用を図っていくんだ、今回の豪雨災害については特別基準できちんとやっていけるようにしたい、そういうことを、済みませんが、もう一度お答えしていただけませんでしょうか。
○津田大臣政務官 先ほど江田委員にもお答えを申し上げましたけれども、災害の程度は大変甚大なものであるということは十分承知をしておりますので、赤嶺委員御指摘のような、本当に特別な対応がしっかりできるように努力をしてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 やはり、災害救助法、被災地の状況に応じて適用期間を延長し、そして費用の限度額も引き上げることが想定されているという、先ほどお答えになりました、そういう制度の趣旨、これを、災害が発生した今の瞬間に本当に生かしていく、生かせるよう、自治体の担当者だけでなく住民を含めて理解してもらう工夫と努力を行う、被災地と被災者の実態に応じた弾力的運用を行う必要があるということを重ねて強調しておきたいと思います。
そこで、次に、被災者生活再建支援制度の積極活用についてであります。
これは先ほどから大臣も答弁していらっしゃいますが、今までのさまざまな議論の経過もありました。ちょっと整理をしながら、今回の豪雨災害では何に注目してこの支援制度の運用を進めるべきかということについて質問をしていきたいと思います。
被災地の地域社会を再建する上で、全壊世帯や大規模半壊世帯の住宅再建はもちろん、浸水被害で住み続けることが困難となった被災者、半壊や一部損壊でも自力では再建できない被災者などに対する支援が求められております。
被災者の生活と住宅再建を支援する制度として被災者生活再建支援法がありますが、今回の豪雨災害では、熊本県の全域、大分県の三市、福岡県の三市に加え、鹿児島県の一町に被災者生活再建支援法が適用されております。
被災者生活再建支援制度は、災害で住宅が全壊、大規模半壊した世帯のほか、住宅が半壊などして、その住宅をやむを得ず解体した世帯などを対象に、住宅の被害程度に応じて最大百万円の基礎支援金を、そして、住宅の再建方法に応じて最大二百万円の加算支援金を支給するものであります。
今回のような災害の場合、半壊の認定を受けた世帯が、浸水などで家の中が土砂や泥に埋め尽くされ、その後の悪臭のため住宅を建て直すなどは、やむを得ず解体した場合に当たる、このようにされてきました。一部損壊などの認定では、悪臭がひどいからといって解体しても支援金の支給対象に当てはまらない、こういう議論が行われてまいりました。
この点について、我が党の井上哲士参議院議員が二〇〇八年の九月十二日の参議院の災害対策特別委員会で質問をした際、当時の林幹雄大臣は、この悪臭などは、住宅被害の取り扱いにつきまして、被害認定の調査、判定方法に関する検討会の中で見直しを検討する、このように答弁しておられます。見直した結果について、具体的にどういうことになったんでしょうか。
○中川国務大臣 済みません、具体的なさっきの見直しの点について、ちょっと私の方に事前の通告がなかったものですから、答弁は準備はしていないんですが。
それぞれの現場で、実際、査定といいますか、被害状況を確実に確定させるのは地方自治体レベルでありますので、本来はそこのところで、いろいろな形の、弾力的なといいますか、運用ができることが前提になっているはずなんです。しかし、それが自治体によっていろいろ見方が変わってくるということ、ぎちぎちで運用しようとするのか、それともある程度弾力的にやろうとするのか、その担当者によって見方も変わる可能性がある、あるいはそういうケースもあるというふうなことを聞いております。
そんなことも含めて、私の問題意識としては、少しこれは全体として考えていく必要がある、検討していく必要があるというふうに思っております。
○赤嶺委員 私は、きのうの晩、内閣府に通告をやっているはずです。
つまり、大臣の今の御答弁は御答弁として承りますが、認定上一定の見直しを、いわゆる半壊に当たらなければ、一部損壊でも、においが残って住み続けられなくても、解体しても何の支援も得られない問題について改善をすべきだ、このように迫ったわけですが、その結果、私たちの主張のとおりに改善されたかどうかはおいておいて、一定の見直しが行われたというぐあいに説明を受けております。
答弁、いかがですか。
○中川国務大臣 もしこの見直しがそれに該当するのであれば、こういうことでありまして、平成二十一年の六月に運用指針の改定をしております。
これは具体的には、例えば、床下へ堆積した汚泥の除去のために床板の取り外しが必要であること、あるいは、浸水した壁の内部の断熱材を取り外すために壁板の取り外しが必要であること、これらの点についてもきめ細かく損害として考えるということ、いわゆる点数化するということですね。あるいは、二階建て住宅の中で一階が果たしている役割の重要性を考慮しまして、一階の損害を割り増しして算定をしていくということ。
こういうふうなことで、水害に対応した見直しをしているということであります。
○赤嶺委員 そういう答弁を求めておりました。
つまり、今度見直したことについて、一部損壊であって、そして泥などのにおいが残って、それでも判定として半壊にならないために何の支援も受けられない、こういう問題提起がこれまでの委員会で繰り返しされて、今度は、被害実態に即した被害認定ができるよう判定方法を追加すると。さっき大臣がおっしゃったことですね。次の被害を損害として算定できるようにする。
床下への汚泥堆積と汚泥除去のための床の板の取り外し。壊れていなくても、床下の泥の除去のために床板を取り外した場合、点数が加算される。それから、浸水した壁内部の部材取り外しに伴う他の部材の取り外し、これも見直しの対象とする。それと、これまで、一階はかなりの被害を受けているけれども二階が残っているからこれはいいじゃないかというような議論に対しても、二階建て住宅の中で一階が果たしている機能の重要性を考慮し、一階の損害を割り増して算定できることとする。
こういうことだろうと思うんですが、大臣、確認の上で、もう一度お願いします。
○中川国務大臣 まさにそういうことでございます。
○赤嶺委員 見直しがされて、床下に積もった汚泥を取り除くために床板を剥がすとか、あるいは、浸水した壁内部の部材を取り外すため他の部材を剥がすなど、水害による住宅の被害として認定するというものであるわけです。住家としての機能を重視し、そして、外観だけによるのではなく、被災者の納得が得られるようにすることを要求し、さらなる改善を求めていきたいと思います。実際にいろいろな認定の作業はこれからだと思うんですね。そういう見直された制度も含めて、やはり現場に徹底をしていく必要があるだろうと思います。
次は、政治家としての大臣の意見も少し聞いてみたいなと思いまして質問をするわけですが、二重ローンの問題です。
私も、白川の水害が非常にひどかった熊本市内の龍田地区を訪ねたんですが、訪ねている中で、避難のやり方がどうであったとか、それから、住宅の中に泥が流れ込んできている状態がどうであったかとか、一軒一軒、地元の我が党の県会議員や市会議員の皆さんと一緒に訪ねていきました。
その中で、一カ月前に住宅を新築したばかりの我が家が二メートルを超える浸水被害を受けて、家財を含め壊滅的な被害に遭ったという事例もありました。こういう家族には住宅ローンだけが残されているわけですね。それから、今までの住宅ローンがありますから、これから再建していこうにも、その負担が重くのしかかっていって、大きな障害になっているわけです。
これは建物だけでなく、事業用の設備や機械、資材などが浸水で使えなくなった中小事業者なども、既存のローンの負担や新たな借金による二重ローンの負担がこれから重くのしかかることになります。
一日も早く被災した地域社会を立て直すためにも、こうした負担を軽減するための手だて、やはり、そういう二重ローン解消、被災者が本当に再び立ち上がっていけるような、そういう制度をつくるべきじゃないかと思いますが、大臣の決意はいかがでしょうか。
○中川国務大臣 これは支援法のときの議論と同じで、こうした個人の負債、あるいは個人に対する支援のあり方というものにさかのぼっての議論になっていくんだろうというふうに思います。
現状では、直接資金を供給する、あるいは二重ローンを解消するということではなくて、災害援護資金の貸し付けであるとか、あるいは生活福祉資金制度による貸し付け、あるいはまた災害復興住宅融資制度による貸し付け、こういう貸し付けという形で支援制度をつくって、被災者の生活再建がなされるような形態になっております。
その上で、実は東日本の大震災でもこの二重ローンというのは大きな問題になりました。企業に対しては、恐らく半分は破綻法制的な制度を入れて、いわゆる借入金というものをジャンプさせたり、返済を延ばしたり、あるいはその債権を買い取ったりというような形でいろいろなスキームが入れられたわけでありますが、個人に対しても、それと同じような形で一部対応がなされております。
そこのところを考えていくと、これは将来の課題になると思うんです。東日本でコミットしたものを全国的にこれからの防災の前提としてやっていくのかどうか。ここのところを踏まえて、これから検討をしていきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 東日本のときには、二重ローン解消のためのさまざまな議論が起こり、ある程度の枠組み、仕組みがつくられているわけです。やはり、被災者がぶつかっている局面は同じだと思います。今、大臣はこれからの課題だとおっしゃいましたが、ぜひ積極的に取り組んでいってほしいということを要望しておきたいと思います。
でも、まだ抜本的に、被災者生活再建支援法を改めるべきこと、午前中から議論になっている問題、これはどうしても聞いておかなければなりません。
先ほどの、半壊以上として認定されるかどうかというのは一つの関門でありますが、その見直しにより今後どのような判定が行われていくか注目していきたいんですが、たとえ半壊と認定をされても、解体、撤去し、新たな住宅を建設しないと住むことはできないわけです。支援金を最大の三百万円支給されても、これはもう解体費用でなくなってしまって、新たな住宅を再建するなどできない相談だということになります。
住宅再建を支援するというのが制度の趣旨でありますから、支援金の支給額は少なくとも五百万円に引き上げることや、あるいは、支給の対象を半壊世帯以下にも拡大するなど、これも検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○中川国務大臣 最近、特に東日本の大震災を経て、先ほどのような議論というのはあちこちでやっておっていただくということ、これを私も認識しております。
もともと議員立法で組み立てられたこの支援法なんですが、どこかで線引きをしなきゃいけないんだろうと思うんですが、結局、見舞金的な性格ということで、トータルで住宅を再建できるようなベースになっていくところまでなかなか持っていけなかったということがあったんだというふうに理解しております。それをどこまで充実したものにしていくか、それぞれ野党の皆さんの議論も踏まえて、私たちもしっかりここは見直していく過程で考えていかなければならないというふうに思っております。
○赤嶺委員 やはり、大臣としても、この制度を住宅再建という趣旨に合わせて見直していかなければいけない、そういうお考えであるということですね。
○中川国務大臣 そのことも含めて、これは議員立法ですから、国会の中でもしっかり議論していただかなきゃいけないということなんですけれども、これまでの見舞金という形でいくのか、それとも、もっとしっかりとしたベースをつくっていくのかというのは、皆さんと一緒に、それも含めて議論をしていく必要があるというふうに思っております。
○赤嶺委員 次に、農業について伺っていきます。
被災地は、いずれも米どころであり、そして特産品をたくさん担ってきた農業地帯であります。水田が泥で埋まっているとか、濁流に流された畑だとか、農家が、もうことしは全滅だ、これからどうなるかと言っておられる。本当に胸が締めつけられる思いであります。
この地域の農業、そして漁業も含めてですが、まず農業をどのように再建していくのか。具体的に伺いますが、田植えが終わったばかりの水田には瓦れきや泥が堆積し、用水路も壊れております。被害をこうむらなかった水田でも、水路が破壊されているために、全滅する危機に直面しております。これらの被害に対して今政府が持っている支援策、どのようにするつもりでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
梅雨前線による福岡、大分、熊本を中心とする農地あるいは農業施設、あるいは林地などなどについて、大変大きな被害を受けてございます。
二十三日現在でありますが、土砂流入で、今お話がありました用排水施設の損壊が約一万二千カ所、それから、林野関係の被害が約二千三百カ所ということの報告を受けてございます。この一週間ぐらいで約倍にふえてきてございまして、今、順次被害について集めさせていただいております。
農林水産省としては、対策本部を設置させていただいて、七月十三日、七月十七日、それぞれ会合を持たせていただいておりまして、その中で、岩本副大臣、森本政務官も現地視察をさせていただきました。
もちろん、いろいろな制度は、査定前着工も含めて、いろいろ早急に取り組んでいかなきゃいけないと思っているんですが、先ほど来お話があるように、人的な支援もお願いしたいということも現地から言われてございまして、例えば、それは、調査そのものの人が欲しいのか、あるいは設計をするための人が欲しいのかというようなことも今現地と具体的に相談をさせていただいておりますが、そうした人的な支援ということもぜひ応援をしていきたい。あらゆる制度について、迅速に対応できるものは迅速に対応していきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 人的な支援というのは、合併によって本当に職員数が激減をした被災地にとっては深刻であります。そのための政府の努力は必要だと思います。
同時に、今出た農地・農業用施設災害復旧事業というのがあるわけですが、査定前着工ということもおっしゃいましたけれども、やはり自治体の方から聞こえてくる声というのは、国が審査し、農地復旧の国庫負担割合を決める、この作業が終わるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しや流木撤去はできない、こういう声が上がっているんですね。
今も、被害の状況の調査もままならない陣容であるわけですね。査定前着工と言われても、どこから手をつけていいかわからない。結局、国がそういう事業の負担割合を決めるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しも流木撤去もできないんだという声が上がっておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○實重政府参考人 査定前着工の制度につきましては、緊急に応急的な措置ができるようにということでございますので、大いにこれを活用していただきたいと思っております。その中で、今御指摘のような泥出しとか、応急的な土のうを積むといったような対応ができるように措置をしているところでございます。
御指摘のように、人的な側面での不十分なところがあるという件につきましても、当面、現在は九州北部で大きな災害を受けておりますので、九州農政局の職員がいろいろな市町村を回りまして、どのような対応をしたらよいのか、それから、被害額の調査をどうしたらいいのか、応急的にはどういう対応をしたらいいのかというようなことを相談を受けております。
また、災害査定の関係の査定設計書をつくる段階になりますと、より複雑な技術的な作業になりますので、これにつきましては、職員を数週間派遣いたしまして、それで御支援することも可能でございます。これは県からの要望を受けまして対応することにしております。
そのように、できるだけ早期に対応できるような形を、いろいろな弾力的な運用をとりまして行っていきたいというように考えております。
○赤嶺委員 とにかく、目の前の田んぼが泥で埋まっているような、瓦れきが散乱しているような、畑が流されている状態ですね。見るだけで農家の再建の意欲がうせていくと思うんですね。手続が遅くなってその事態がもっと先に延びるということが絶対にないように、これは人的な支援も、いろいろな面からの支援も受けて、目の前の泥が除去されるような、そういう体制をとっていただきたいと思います。
あと、有明海への瓦れきの流出が出てきておりました。ノリは柳川の方も大きな被害を受けたんですが、ノリの加工機械、これが水につかって、設備投資で五千万円ということですが、諫早干拓事業でノリの色落ち被害に対してこれまで大問題になってきて、ノリそのものが大変な苦境に立たされているときの今度の被害であります。ノリの加工施設の設備、そういうものも支援をしていかなければいけないと思いますし、瓦れきの撤去もやっていかなければいけないと思います。
ノリの産地を守るために、どんな施策をお考えでしょうか。
○佐藤政府参考人 御説明いたします。
今回の大雨によりまして、有明海の周辺の水産業につきましても大変大きな被害が生じているところでございます。
今、委員からの御指摘のノリ業者の方の乾燥施設、これは大変高価な機械でございますけれども、今の状態としては個人がお持ちの場合が多いんですけれども、これを協業化して再建を図ろうというような新しい取り組みをされる場合には、強い水産業づくり交付金ということで、大型の機械の共同利用施設の整備というようなことで支援が可能でございます。
それから、個人のものを個人の形で復旧するというような場合には、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金あるいは漁業近代化資金等の金融上の支援ができることになっております。
また、経営上の問題として、経営再建に必要な長期運転資金ということでは、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の活用が可能となっているところでございます。
よく現地の状況を聞きまして、先ほど流木等もございましたけれども、まだいろいろな被害が集計途中でございます。さまざまな状況が起こってきておりますので、現地からよくお話を聞きまして、十分な対応をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○赤嶺委員 終わりますが、きょうの質疑を通じて新たに感じたのが、やはり被災地の自治体の人的な体制の不足が復旧をおくらせている。国は県の報告を待ち、県は自治体の報告を待つ、こんなやり方、多分とってはおられないだろうと思いますが、そういうことではなくて、積極的に被災地に足を運んで実態をつかんで、本当に被災者が元気を出して復興に取り組めるようにしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
以上です。
○馬淵委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正でございます。
質問に入ります前に、今回の水害、私の選挙区でございまして、水害が発生すると同時に、中川大臣は二回、後藤副大臣も、そして総理も入っていただいて、この被害の実態をしっかり目に焼きつけて、これが復興に向けて大変な努力をいただいている、そのことについて心から感謝申し上げたいと思います。
また、国会議員の皆さんにおかれましては、各政党会派の議員団、調査団を派遣していただいて、これまた復旧に向けての力強い支援の輪を広げていただいているということ、これも被災地の一人として厚く感謝申し上げたいと思います。
我が党も、もちろんでありますが、現地に入り、今回の被災の甚大さというものをしっかり踏まえ、これが回復によって復興に向けて、ぜひ皆さんの御支援と御協力を引き続きお願いしたい、そのことを申し上げて、質問に入らせていただきます。
質問に入ります前に、今回の九州北部で発生した豪雨災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
今申し上げましたように、各界各層の皆さん方、思いを持って現地に入っていただいた、本当にありがたい気持ちでいっぱいであります。
気象庁の、これまでに経験したことのない大雨というこの表現どおり、今回の豪雨はすさまじいものがあった。古老に聞いても、こんな雨見たことない、住民が異口同音にそのように申しておりますことに象徴されるように、本当に甚大な被害をもたらしたのであります。
もうきょうも多くの方々が質問しましたから、私が今から質問することも重複する部分がたくさんありますけれども、それはお許しをいただきたいと思うんですが、まず最初に、激甚災害指定の問題。これは、関係自治体の皆さんもこぞってそのことを申しておりますし、被災住民も異口同音にそのことを私に投げかけてまいります。
今回の豪雨は、大分県的にいうと、七月三日、そして七月十一日、こういうふうになるのでありますが、これを中心にして被害が拡大をするわけであります。問題は、先ほども大臣が答弁されていましたけれども、どの範囲を今回の水害の被害と位置づけるか、これが非常に関心が高いわけでありますね。ですから、その点をまず聞いておきたい。激甚災害指定の見通しと、そしてどの範囲を位置づけてくれるのかという点について答弁を求めます。
○後藤副大臣 私も、先ほども御答弁しましたように、七月の六日と七月の二十日に二度にわたって先生の御地元にも視察をさせてもらいました。
先ほども御答弁をしましたように、今回は梅雨期を通じた一連のものということで、まだ東北地方も含めて梅雨明けをしていない地域がございますけれども、全国の梅雨明けを確認した上で、時期的には、激甚災害の指定というのは、先ほど御答弁を差し上げているように、農地等の復旧事業を中心に七月の下旬から八月の上旬になるというふうなことであります。
そして、期間でありますけれども、今もお話をしましたように、今回の激甚災害の指定というのは、梅雨期を通じた一連のものという形で指定をすることを考えております。具体的には、六月の八日をスタートの日として、繰り返しですが、全国の梅雨明けを確認した上で、災害の終期を定めていきたいというふうに考えております。
○重野委員 現地の被災者の思いというのは、より早くという本当に切実な期待、また、それを束ねて、行政の側もそのことを期待しておりますので、可能な限り応えられるように頑張っていただきたいな、このように思います。
次に、ダムによる治水という点について。もうきょうは我が県の、同じ岩屋議員からも質問をされておりましたから、重複いたしますけれども。
結論から言うと、二つのダム、稲葉ダムと玉来ダムというのが、二本計画はあるんですね。実は、これは二本とも同時に要請を国にしたんですね。稲葉川はダムはもうでき上がりました。ところが、玉来については、なぜか一時期休眠状態に入ったわけですよね。二年間ぐらい眠ったわけです。
今、地元においては、言わぬこっちゃない、あれがやはりもとだ、こういうふうにやはり言うんですね。私はその気持ちもわかるんです。見事に今回のこの集中豪雨で、被害の発生状況というのは、治水ダムというものの効果というのは歴然たるものがあって、稲葉川の方は何にも事故が起こらないで、玉来の方がざあっと起こったわけですね。だから、まして今地元においては、玉来川について、そもそもダムをつくる計画になったわけだから、休眠状態が二年あったけれども、今それは回復をして進行中だから、ピッチを上げて可能な限り早く、こういう事故が起こらないように、玉来川のダム、玉来についてもつくってもらいたいというのは、これは当然の地元の住民の意向ですよね。
それについてどういうふうに受けとめていただけるのか、答弁を求めます。
○津川大臣政務官 玉来川における治水計画について御質問いただきました。
今委員からは、ダムによる治水の効果ということについて言及をいただいたところでございますが、ただ、河川整備の考え方は、ダムももちろん一つ大きな政策でありますが、総合的に堤防の整備等々含めて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
玉来川では、平成二年の七月に発生をいたしましたいわゆる豊肥大水害を受けて、大分県が事業主として平成三年に玉来ダムの建設事業を着手したところでございます。今委員から御指摘をいただきましたとおり、平成二十二年の九月に検証対象ダムとしてダム検証を行い、昨年の十月に補助金交付を継続するという国の方針を出させていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、治水安全度を一刻も早く高める、そのためのさまざまな河川整備計画を進行していく中で、財政制約ですとか、あるいは用地の問題ですとか、あるいは技術的な開発、こういったものを総合的に解決しながら、この当該ダムにつきましても、現在、大分県でダム本体工事のための設計等、鋭意、実施をしていただいているところでございますので、国交省としても積極的に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 今、経過を含めて説明がありました。そういう方向で、ひとつ省としても頑張って、一日も早い実現に向けて御支援のほどをお願い申し上げておきたいと思います。
通告をしていなくて、きょう、先ほど委員部の方に申したんですけれども、国交省の関係でありますから。実は、この水害で、大分県には日豊線、豊肥線、久大線、それから日田彦山線という四つの線路があるんです。今回、日豊線は何もなかったんですけれども、豊肥線と久大線は、もう今ずたずたですね。途中でバスで中継ぎ運転したりしながら辛うじて運転されているという状態があるんです。
これは、特に豊肥線は、この間、たびたびこういう事故に遭っているんですね。まず確かに地形の関係もある。線路の引き方、それはもう古い古い線路ですから、さかのぼって議論することはいかがなものかと思うんですけれども、いずれにしても、集中豪雨が出ればどこかが破壊されるという運命みたいなものがあるんですね。
確かに、大分の地方の線路というのは、経営的には決して容易ではないんですね。極端に言うと通学列車かなというぐらいに、朝と夕方は結構多いんですが、その間はがらがらというか、お年寄りが三々五々乗っているというような、そういう形の路線ですから、やはり法的な応援体制というものができないと、JRだけでどうこうというふうなことを申すことはなかなか厳しいなという僕らの常識があります。
今回のこの水害によってまたダメージを受けた、それが即その地域の皆さんの、特に通学する子供たちの足を奪うことになるわけで、そこら辺をどう受けとめて、この問題についてどう対処していくのか、それについてひとつ積極的な発言を期待しています。
○津川大臣政務官 鉄道事業者におきまして、鉄道運行についての安全確保に努めていただくというのは、まさに事業者としての責任でございますから、まずは事業者として、そこはしっかり確保していただきたいと思っております。
一方で、地方の民鉄のように、なかなか経営体力に限界があるというようなところにつきましては、地域公共交通確保維持改善事業、こういったものを活用していただきながら、その防災力を高めていただく、こういったものを随時進めていただいているところでございます。
今御指摘をいただきました豊肥線等を含みますJR九州についての災害復旧についての援助の考え方だと思いますが、先生も御案内と思いますが、鉄道災害復旧事業費補助という事業がございます。これは、その対象となります災害の程度、それから、その対象となります事業者の経営状況、こういったものを勘案して判断をするところでございまして、国交省としては、まさに今御指摘をいただきましたように、豊肥線は大変大きな被害を受けているところでございますが、この被害の状況を踏まえつつ、JR九州の経営状況を勘案し、どのような支援が可能かということについて積極的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 ぜひ、これについて、住民の期待が裏切られたということにならないように、ひとつしっかりサポートしていただきたいな、このように思います。
次に、災害復旧工事のありようについて。
例えば日田市でありますが、あそこの堤防は切れて、浸水したわけですね。ここはたびたび水害に遭っているわけですよ。
いわゆる災害復旧は、原状復旧みたいな形が常識だというふうに言われているんですね。それにプラスアルファして対策を講じるというようなところまではなかなかいっていない、現場はそう言うんですね。ですから、同じことを繰り返すわけです。
もしあれが一メートル堤高を高くしていれば、浸水することはなかった。まあ、壊れるか壊れないかということはわかりませんけれども、そんなことが言えるのではないかというような素人考えがあるんです。
私は、やはり災害復旧というのは、よりその効果を高らしめるということはもちろんですから、その被害を受ける前の形に戻すというところにとどまるのではなくて、もっと積極的、建設的に災害復旧工事というのはやるべきじゃないのか、そういうふうに思想を変えていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○津川大臣政務官 御指摘をいただきましたとおり、災害復旧事業というのは原形復旧というのが原則でございます。
ただし、昨年の三・一一東日本大震災でもそうでありましたが、単にもとに戻すだけであるということが合理的ではないというケースもございます。河川の場合であれば、例えば、上流、下流の形状に合わせて、単にもとの形に戻すだけではなくて、堤防をかさ上げするなどの復旧のあり方というものも当然この災害復旧の中に含まれてございます。
また、今先生のお話のように、さらなる改良をするというような事業をあわせて行うということも可能というふうになっているところでございますが、被災自治体から具体的な御意見を伺いながら対策をとってまいりたいと考えているところでございます。
○重野委員 私の提案は、やはりしっかり受けとめて、今後の災害復旧の思想の問題にかかわってくる問題があると思うんですね。だから、そこのところはひとつ積極的に、改革的に考えて、方針につなげていただければありがたい、このように思っております。
それから、ちょっと災害復旧に関連をして、農水省の政務官が来ていますので。今度、いわゆる水田も本当に壊滅的な打撃を受けました。あの砂を、本当に、砂は肥沃した砂ですから、これは将来田んぼにとってプラスになると思うんですよ。しかし、今作、ことしの作はもうだめですよね。だから、それは相当な面積がありますから、これの対策をどうするかということをひとつ出していただきたいことと、農業用水路、これがもうずたずたですよ。だから、間もなく、今立っている水田もだんだん色が悪くなるんです。そして枯れるんですよね。もう水が来ないわけですから。
水路の修復というのは、これは僕は、農業の基盤ですから、今度の水害の中でもやはり農業用水路の修復というのを忘れることのないように、これをやはり速やかに修復していく、そういう決意を述べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 大変な被害を受けられたということで、私ども農水省からも、副大臣、政務官、それぞれ現地を視察させていただいて、随時報告も受けて、被害も今まとめさせていただいております。
何よりも大切なのは、やはりいかに早く迅速に対応していくかということだというふうに思っておりますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる査定前着工なども含めて、できるだけ早く対応できるものは対応していきたいというふうに思っております。それから、今あった、特に排水の修復でございますが、いろいろな事業を今農水省も持っておりますので、災害復旧の事業だけではなくて、いろいろな事業を組み合わせる中でできるだけ早く対応できるような道と、それから、先ほども触れましたけれども、人的にも足りないというお話も聞いておりますので、そういったお手伝いも含めてしっかり対応していきたいというふうに思っております。
○重野委員 最後に、流木対策、これがやはり大きいんですね。これは、今この国は山を粗末に扱っているというツケをこのような水害のときに流木という問題で受けているんだと思うんですね。この流木に至る経過等々は、私が言うまでもなく、本当に山が疲弊をしているというふうなものが根本的にあるわけですよね。だから、流木対策を、起こっている現象に対してどうするかということと同時に、それを、流木というふうな形で山から木がころころと流れ出てくるということを防ぐために、長期的にどうしたらいいか。これは、僕は、百年、二百年単位の仕事だと思いますよ、日本の山を健康にするというのは。そういう点について答弁を求めます。
○馬淵委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○佐々木副大臣 先ほどもお話をいただきましたが、今、長期的なという視点も委員から御指摘をいただきました。
二つ、やはりあると思います。治山というものをしっかりやるということと、もう一つは森林整備、とりわけ間伐だとかそれから植栽というものをしっかりやっていく。やはり両面やらなきゃいけない。そして、植栽、間伐というものをやることによって水をしっかり含んでいく状況をつくっていく、この両面をやはりしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思って、積極的に取り組ませていただきたいと思っております。
○重野委員 終わります。
○馬淵委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
今月十八日の災害特の委員派遣では、私は熊本の方に行かせていただきました。被害の甚大さ、また犠牲の大きさに改めて本当に胸を痛める思いをいたしました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今も被災して生活を送っておられる皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
阿蘇市や南阿蘇村では、阿蘇山のカルデラの外輪山の山裾の斜面が崩れて土石流として住宅に押し寄せた光景を幾つも見ました。これは、遠くから見ても杉の植林をしたという外輪山の緑の斜面が爪でひっかいたように崩れている箇所を無数に見つけることともなりました。
きょうは資料として、今お配りをさせていただいていますが、航空写真を二枚、資料としてお出しをいたしております。熊本県阿蘇市一の宮町手野、百メーターにわたって外輪山の山肌が崩壊をしている、そういう写真であります。写真を見ると、斜面の下に住家があって、そこに土石流が押し寄せている、こういうことがわかります。ここ手野では、五人が土砂に埋まって亡くなっているということであります。一方、その下の平らな土地、県道二百十三号から先は、これは住家ではなくて田んぼになっている、これも写真でわかりますね。
このような光景を見るのは今回が初めてではない。むしろ、災害の現場を見ると、私はかねてから気になっているんですけれども、こういう土石流が起きそうな斜面の直下に人が住んでいる、こういうケースが多いように思うんです。こうしたことがなぜ起きるのかというか、こうした形の住まい方がなぜ広範に見られるのか。このことについて、もし御見解があったら、お尋ねをしてみたいというふうに思います。
○津川大臣政務官 委員御指摘のように、土砂災害が発生をした現場に行くと、まさに崖の下、土砂災害が起こりそうなところに住宅が建っている。なぜこういったところに住宅が建ってしまったんだろうかという疑問は、確かに私どもも感じるところであります。ただ、それがなぜそうなっているのかということについて、今、一般論として申し上げるほどの知見を持っておりませんが、それぞれの地域の歴史的な背景、経済的な構成によって生まれてきたものかと思います。
ただ、災害のリスクとの関係で述べさせていただくならば、ある一定の災害が発生をした直後には、そのリスクの認識が非常に高まって、安全なところに住宅を建てられるという傾向がございますが、しばらく時間がたつなどいたしまして、リスクに対する認識の度合いが低下をしてきたときに、やはりそういったところに住宅が建ってしまう、そういったケースが見受けられているところかと思います。
今委員の御指摘のように、こういった土砂災害が発生しやすいところに、なぜこのように住宅が多く建ってしまっているのかということについて、かなり、全国それぞれの事情があろうかと思いますが、我々としても、しっかりと問題意識を持ってこれから調べてまいりたいというふうに考えております。
○柿澤委員 この質問については、実は、質問通告した後に、誰が答えるんだということになって、こういう形で政務官にお答えをいただく、国土交通省さんにお答えいただくということで引き取っていただいた経過があるんですが、何となく感覚的に、私と同じようなことを感じている方はいらっしゃると思うんです。津川政務官もそういう感じ方をされておられる。それについて、ぜひ調べていただきたいというか、調べようがあるのかないのかという問題もあるんですけれども、この構造的な要因にちょっと目を向けていただきたいなと思います。
この観点に立って、もう少し質問を続けてまいりたいと思います。
こうした土砂災害の危険箇所については、平成十三年の土砂災害防止法施行に基づいて、土砂災害警戒区域そして特別警戒区域の指定が順次行われてきております。ところが、今回被害が集中した阿蘇の外輪山内で、計二十一人の死者が出た十五カ所の土砂災害現場のうち、実に九カ所が警戒区域にも指定をされていなかったというんですね。中には、警戒区域指定に向けて調査中だった、こういう場所もあるようですけれども、この土砂災害防止法に基づく警戒区域、特別警戒区域の指定が防災上もたらす効果、そして課題というものをどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
○津川大臣政務官 土砂災害防止法は、市街地の拡大に伴いまして、土砂災害のおそれのある斜面地等に住民が居住をする、被災を未然に防いでまいりたい、そういった思いで制定をされたものでございます。土砂災害警戒区域の指定により、警戒避難体制の整備ですとか、ハザードマップの整備などが市町村に義務づけられているところでございます。
今委員から御指摘がありましたとおり、国としては、現在約五十二万カ所の災害危険箇所というものをカウントしておりますが、現在、土砂災害警戒区域に指定をされているのがまだ二十六万カ所ということで、その指定がおくれているというのが現実でございます。
平成十三年にこの法が施行され、最初の指定が十四年からで、ちょうど十年がたったところでございまして、これをいかにして加速していくのか、あるいは、実際にこれが指定をされた後、その期待をされた効果が発揮されているのかどうか、しっかりとフォローアップをしてまいりたいと考えております。
○柿澤委員 指定が進んでいない、こういう状況があるようですが、しかし一方で、土砂災害警戒区域は、今おっしゃられたように、全国で二十六万五千二百七十六カ所、熊本県だけで実に三千七百六十二カ所も既に指定をされているんですね。こういう状況が日本全国に広がっているわけです。
先ほど、市街地が拡大をしていって、そして土砂災害が危険な箇所にも住宅が建つようになった、こういうことがやはり土砂災害による人的被害をもたらして、そして平成十三年の土砂災害防止法の制定に至った。こういうことなんですけれども、これは確かに、一昨年も広島県を初めとした豪雨災害があって、現地に国土交通委で見に行きましたけれども、このときも同じように、やはり広島というのは平地が少ないので、どんどん住宅開発をして、人口増加に伴って、山の斜面の、本当に土石流が直撃しそうなところまで住宅が建ってしまった。こういうところを見させていただいた。このような状況があるんだということを感じさせられました。
これは、人口がふえて、都市化が進んで、平らな土地がないんだからしようがないよね、こういうことなのかどうか。むしろ、日本における土地利用の現状が、このような豪雨による土砂災害で毎年のように犠牲者が生まれてしまう、こういう要因になってはいないか。このような疑いというか、懸念を持っています。
先ほどの写真をもう一度見ていただきたいんですけれども、斜面直下には住家があって、斜面から離れた平らなところには、これは田んぼとして利用されているわけです。こうした平らな土地は、土地利用区分としてはどうなっているかというと、これは農地になっていることがもちろん多いわけですね。
農地は、所有にも利用にも厳しい規制があって、農業者による農業用途の土地所有と利用だけが認められる、これが原則だと思います。転用許可がなければ、住宅等の建築物の建設は不可になっている。農地法、農振法、そして都市計画法の市街化調整区域として、いわば三重に守られている。だから、農地には原則として住宅が建たないわけですね。
一方で、都市計画区域外の山林には、建築物に関する規制は基本的にはない。ここには住宅も建設できるわけです。だから、山林地目の土地を、急峻な崖を切り開いて住宅地として造成するような開発が行われてきたという面があるのではないかと思います。この土地利用に対する規制の違いが、農地を避けて、山林等における住宅開発を誘発する要因になってきたのではないか。平らな土地ではなく斜面直下に住家が立地する、こうした要因にもなってきたのではないか。そこが土砂災害の被害箇所となる、こういう構造的な要因があるのではないか。こういうふうに思うんです。
どう思いますかと御答弁を求めようとしたら、このことについてはどの省庁も答えられないと言うんですね。どこが責任を持って回答すべき問題かわからない。ある意味では、こうした観点から光を当てたことが、今までこの問題はなかったんだと思います。
今お尋ねをしながら、中川大臣がしきりにうなずいてお聞きをされているので、もし、感想でもいいですので、お伺いできれば、御答弁いただければと思います。
○中川国務大臣 非常に含みのあるというか、示唆に富んだ御指摘だというふうに思っております。
そういうところも含めて、全省庁が管轄しているその脇といいますか、その基準を超えて、我々も総合的な防災計画というのをやっていきたいというふうに思っております。
以上です。
○佐々木副大臣 農地の話が質問に出ましたものですから、私の方からお答えをさせていただきたいと思うんです。
私は、農水省というか、私自身も農民でありますから、山を守ってきたのは、林家、林業専業家というのはほとんどいなくて、農家が林業を一緒にやっておられて、山を守ってこられた。そして、それは、この日本の長い歴史をつくってきたというふうに私は思っています。よって、その地域の農振地域というか優良農地をどう守るかという法律もそれと同じようにできてきたわけであります。これは二十一年に改正をいたしましたが、そのときも、一部緩めて、賃貸、リースの場合は一定程度規制を緩めてきたわけであります。
私は、国土として農地は守られなければならないというふうに思っておりますが、しかし、行政としっかり話をして、そして転用というものをやっていかなければならない。ただ、転用については、行政と一緒になって、慎重に、ある程度の時間をかけてやるべきものだというふうに思っておりまして、丸々転用を否定しているわけではありませんが、余り簡易に転用できるということには私は慎重であります。
○柿澤委員 しかし、今や、農地における耕作放棄地がどんどんふえる時代状況であるわけです。
耕作放棄地、四十万ヘクタール、埼玉県の面積に相当するわけです。それが、場合によっては市街化区域の真隣にあって、戸建て住宅がびっしり並んでいるところに、住宅地から道一本を挟んだだけで草ぼうぼうの耕作放棄地がある、こういうところも見られるわけです。こうした市街化調整区域の農地の一部は、やはり、宅地として利用できるように線引きを見直し、また対応を柔軟に行っていく必要があると思います。
今農水省からは事実上御答弁をいただいてしまいましたので、国交省、都市計画法を所管する立場から御答弁をお願いしたいと思います。
○津川大臣政務官 線引き制度につきましては、都市計画地域を市街化区域と市街化調整区域に区別をするものでありますし、どこの土地を市街化区域とするかということについては、都道府県、政令市で、実情に応じて判断をするという形になっております。
実際には、委員も御案内かと思いますが、線引きをしていないという地域も多々あるものでありまして、今お話がありましたとおり、農地転用制度等々、農業振興等の考え方の中から、土地利用については、農林水産省はもちろん、各自治体としっかりと連携をしながら国交省としても対応してまいりたいと考えています。
○柿澤委員 中川防災大臣に横串を通したような形の御答弁をいただいたと思ったんですけれども、残念ながら、だんだん縦割りの世界に戻ってきてしまっているような感じもしております。
もう一枚、資料として、全国における土地利用区分の面積割合を表にしてお出ししております。ごらんのとおり、宅地というのは五%しかないわけです。宅地の中でも、純然たる住宅地は三%しかない。都市計画法上の市街化区域は、面積割合三・八%。そこに、人口の六七・一%、八千五百万人が三%の中にひしめき合って住んでいるわけです。
一方、市街化調整区域を初めとする農地は、仮に好条件の立地であったとしても、これは、どこでもやっていいというわけではないですよ、好条件の立地で、なおかつ耕作放棄地であったとしても、住宅建設や非農業者による所有は厳しく制限をされているわけです。だから、山林開発した崖上や斜面直下に住家が建つことになっているのではないかと思うんです。
農地法、農振法、都市計画法、それぞれ役割もあるというふうに思いますけれども、しかし、あらゆる可住地の土地利用ににらみをきかせている三つの法律が出そろったのは、昭和四十四年のことであります。この土地利用に関する法体系を全般として見直していくことが私は課題であると感じております。しかし、省庁縦割りの中でこれに答えられる担当者は、閣僚を含めていない、こういう現状です。
もちろん、崖崩れしそうなところを、工事をして土どめをしていくことも大事でしょう。そして、雨が降ったときに避難をする、こうしたことを迅速に行うための仕組みをつくることも大事だと思いますけれども、一方で、相当長期にわたる視点かもしれませんけれども、国土全体、土地利用のあり方として今の現状をどう捉えていくか、こうした考え方を持つべきではないかと思います。
この問題について横串を通すに防災大臣はふさわしいお立場なのではないかと思いますので、重ねて、そう答弁はできないと思いますけれども、御感想をお願いしたいと思います。
○中川国務大臣 もう一回横串を刺していきたいというふうに思うんですが、今、ちょうど防災計画の中でも、津波の、特に南海トラフでの見直しとか、あるいは首都直下等々やっております。そんな中でつくづく思うのは、やはり地域によって状況が相当違うということだと思うんです。
さっきの過疎地域の中で、山合いの中に点在する家屋、なぜそうなんだ、それがもっと安全な地域へ向いて、いわゆる土地利用という形で誘導する方法はないのかというふうなことも一つの問題意識でもあろうかと思いますし、一般の平地、平野に行きますと、例えば今回、高知の黒潮町なんかでは、海に沿って住宅が並んで、それが、津波が来たときになかなか時間的に間に合わないということになると、本来は山合いの高台へ向いて都市計画で家を誘導していくという形が逆にいいんだろうというふうな議論が出てきます。あるいは、平地の中で山合いも何もないというふうなところについては、また違った形の都市計画の中で、避難場所といいますかビルなんかを工夫しながらつくっていく、あるいは、改めて高台もつくっていくというようなことなんだろうと思うんです。
そういうふうに考えていくと、土地利用というのも、それぞれの地域でさまざま、全国一律で基準をつくるんじゃなくて、主体的にそれぞれの地域が自分たちにふさわしい土地利用というのを考えていく、そういう形にしていくということが私は望ましいんだろうというふうに思います。
その上で、さっき防災の主流化ということを言いましたけれども、防災ということから考えていくと、必ずその横串として、防災を考えたときに安全性というのはどこにあるのかというのを一つ一つの政策の中に組み込んでいく、その中で国土をつくっていくというふうな、そういうあるべき姿というのを求めていきたいというふうに思っております。
○柿澤委員 気象庁に来ていただいているので、一問だけやって終わります。
今回、これまでに経験したことのないような大雨が降る、こういう気象情報を出されました。しかし、現地に行ってみると、実は雨量が最も多かったのは午前二時から五時までぐらいの三時間で、この三時間は百ミリ程度の雨が継続的に降っていたんですね。一番多かったのは四時から五時までぐらいで、ここは本当に百ミリ降っていた。異常な大雨だったんですよ。大体五時半ぐらいに土石流が起きて、どこに行っても、どこの現場に聞いても、土石流の発生時刻は五時半前後だったということです。雨が降った、物すごい雨が続いている、土石流が起きた、住家が埋まるような状態になった。そして、これまでに経験したことがないような大雨が降っていますと気象庁が発表したのは、実はその日の六時四十五分なんですね。
一体、この時系列はどういうことなのか。初めてのことなので、私は別に責任追及しようというわけではありませんが、今後の教訓に生かすために、こういう時系列になってしまったのはなぜなのかということをお伺いしたいと思います。
○馬淵委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○西出政府参考人 御案内のように、これまでに経験したことのないような大雨という、この短い表現で伝える気象情報は、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報で警戒を呼びかけている中で、雨の降り方から、尋常でない状況であるという気象台の持つ危機感を伝えて、さらに一層の警戒を呼びかけるための情報でございます。これは、昨年の台風十二号による災害を教訓に、ことしの六月から新たに開始したものでございます。
今回の大雨災害について、熊本地方気象台が十一日から十二日にかけて段階的に発表した情報を、時間を追って御紹介いたします。
○馬淵委員長 簡潔にお願いします。
○西出政府参考人 はい、済みません。
前日の夕方から、気象情報等で注意、警戒を呼びかけ、日がかわった零時過ぎから、警報、土砂災害警戒情報を発表しました。午前三時から六時過ぎにかけて、御案内のように、非常に強い雨が降ったものですから、記録的短時間大雨情報を相次いで発表しまして、数年に一度しか発生しないような状況である、そういうことをお伝えしました。
その後、さらに観測された雨の降り方から、尋常でない状況にある、そういうふうに考えられたことから、この、これまでに経験したことのないような大雨という情報を発表した。さらに、それで一層の警戒を呼びかけました。
以上です。
○柿澤委員 終わります。ありがとうございました。
○馬淵委員長 以上で申し出の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。