三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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内閣府特命担当大臣

衆議院 予算委員会(福井委員)

平成24年7月9日(月)

○福井委員 自由民主党の福井照でございます。おはようございます。

 本日は、国土強靱化について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、前後左右、チェックをさせていただく意味で、外務大臣、仙台で世界に向けて、世界防災閣僚会議in東北、防災の主流化、強靱な社会の構築、これを訴えられました。

 防災の主流化、ちょっと聞きなれない、私自身も初めて聞いた言葉です。防災に主流と傍流があるのか、あるいは強靱な社会とは一体何なんだということでちょっと疑問に思いましたので、これを世界に発信された、そして議長総括ステートメントで、アドレス、スピーチをされた外務大臣の方から、ちょっと解説をお願い申し上げたいと思います。

○玄葉国務大臣 強靱な社会とは何か、そして防災の主流化というのは聞きなれないのではないか、こういうお話でございますけれども、強靱な社会、これは災害の被害を最小化しつつ、迅速な回復を可能とする社会を構築する。そして、主流化というのは、あらゆるレベルの政策決定において防災というものを意識する、そういう必要がある。特に、これは国、自治体、コミュニティー、それぞれなんですけれども、やはり国際協力の中で防災というものを本格的に取り上げていく必要がある。それは、三・一一東日本大震災を経験した私たちの責務でもあるだろうということなんです。

 ちなみに、一ドルの防災に対する投資が七ドルの被害を防ぐ、そういう数字も紹介されているということもあり、先般仙台で開きました世界防災閣僚会議、おっしゃるように議長を務めさせていただきましたが、そのときは各国から理解を得て、この防災というものを、これから、例えばポストMDGsもそうですし、国際協力の主眼にしていこうということで一致をしたところでございます。

○福井委員 ありがとうございました。一ドルと七ドルの物差しは、後ほどまたこちらの方で使わせていただきたいと思います。

 総理も仙台に行かれて、最初のスピーチをされました。今外務大臣から解説がございましたように、防災の主流化、そして強靱な社会の構築というのは、日本から発信をして、世界の共通認識、防災の主流化、全ての、例えば小学校、中学校をつくるに際しても体育館をつくるに際しても、やはり防災というのを施設をつくる主要な目的、あるいは施策でも何でも、防災というのを目的の根幹に置かなければならないというのが防災の主流化と今解説がございました。

 そして、強靱な社会、レジリエントなソサエティーをつくる。打たれ強い、まさに打たれ強いプライムミニスターとして東北に行って世界に発信されたわけですから、その強靱な社会をつくるということについては、これは日本も適用するということでよろしいですね。その確認をまずさせていただきたいと思います。

○野田内閣総理大臣 今般の世界防災閣僚会議の冒頭で、今、福井委員が御指摘のあった、強靱な社会、人間の安全保障を基本として強靱な社会をどうやってつくっていくのかということと、それから防災の主流化について、私からもメッセージをお訴えさせていただきましたし、この会議を通じて、日本発のメッセージの発出になったと思います。

 世界にメッセージを発出している以上、大きな大震災を経験した国として、我が国においても、今申し上げたような防災の主流化であるとか強靱な社会づくりについて一生懸命に取り組んでいくということは当然のことだというふうに思っております。

○福井委員 ありがとうございました。

 防災の主流化、強靱な社会の構築、これを日本にも適用する、日本でも行政の根幹としてこれから実施をしていくんだということをおっしゃっていただきました。

 そこで、私どもの方は国土強靱化基本法案というのを衆議院の方に提出をさせていただいておりますが、ちょっと頭の整理をまずさせていただきたいと思います。これを聞きながら、国土強靱化基本法案についての総理の所感をお伺いしたいと思います。

 このパネルにございますように、まずイメージを共通にしないといけませんので、災害の強度、強さと社会に与える影響というのはy=x、直線じゃないんですね。これはy=x3のイメージでないと対処ができないということをまず言いたいところでございます。

 もともと、一年に一回とか、あるいは百年に一回程度のものしか私どもは考えていませんでしたので、防波堤だったら防波堤、道路だったら道路、避難路だったら避難路、避難地だったら避難地という個々の防災対策で今までよかったし、やってきたわけですけれども、今回、千年に一回の大エネルギーが東北を襲った、そのときに私たちは経験をしました。やはり、個々のじゃなくて、点から線、線から面、そして、今、市民生活は多層、多重、多段階になっておりますから、立体のイメージでなきゃだめです。単なる横串だけじゃなくて、それぞれが有機的に連携をするということでなきゃミティゲーションできないですね。

 影響がy=x3で大きくなっていく、それを軽減する、ミティゲートするには、役所のBCPも企業のBCPも、エネルギーのバックアップも、情報通信も、そして防災隣組という日本のコミュニティーの根幹も、これをがしっと固めて、そして共同でやらなきゃだめだということを私たちは経験をした、そして学習をしたわけですね。

 だから、政府の大方針として事前の防災、減災を掲げて、国土を強靱化する。国土の強靱化とは、すなわち事前の防災、減災、そしてガバナビリティーの強靱化であるということを掲げたわけでございます。これをもって、国土強靱化基本法というのを提出させていただきました。

 もっと言えば、今までは二項対立の中で戦後の政治も行政も行われてきました。集中がいいのか分散がいいのか、あるいは、自由がいいのか平等がいいのか、国土の均衡ある発展に賛成なのか反対なのか。そういうレベルの二項対立はもうやめようということを基本理念にしております、国土強靱化基本法案は。民主か自民もそうです。

 そういう二項対立じゃなくて、全て矛盾を包摂してアウフヘーベンしてこそ、この国土の強靱化、次の次元の日本によいしょと進めていくということが初めてできる。そのためには、矛盾を解決するためには、高速で運動しなきゃだめなんです。とにかく運動する、世の中を動かしていく。その動かし方の運動論というのが防災、減災活動。防災、減災を通じて国民全体を動かしていって初めて国土全体が強靱化していくということが必要。だから、国家の基本として国土強靱化という目標を掲げようという法律を出させていただきました。

 もう何回か、先月、総理の方から御答弁をいただきましたけれども、改めまして、国土強靱化基本法案につきまして、早期の成立をお願いしたいと思いますけれども、コメントをよろしくお願い申し上げます。

○野田内閣総理大臣 東日本大震災の教訓を踏まえまして、強靱な社会を構築していくべきという認識は、先ほども申し上げたとおり、これは共通認識でございますし、特に、これまで学校や病院の耐震化等については政府も全力で取り組んでまいりました。これからも、インフラ整備においても、特に命にかかわる真に必要なインフラ整備については、これは重点的に進めていかなければいけないと考えております。

 こうした問題意識を持っているところは共有でありますが、御党から提出された国土強靱化基本法については、これはしっかりと吟味をさせていただきたいと考えておりますし、国会において十分御議論をいただきたいと考えております。

○福井委員 ありがとうございました。

 では、次のパネルをちょっとごらんいただきたいと思います。

 ちょっとパネルの説明を三枚させていただきますが、ぜひ財務大臣に御見解をお願いしたいと思います。

 このパネルは、先ほど外務大臣の方から、一ドルの事前の防災投資で七ドルの被害額を軽減できるということを御紹介いただきましたが、これを世界に共通認識として発信していただきました。これは大体、防災にかかわる人たちのいわば常識ということでございます。

 それは、ここに書いてありますように、想定被害額の一から二割程度、一〇%から二〇%程度を事前に投入すれば被害を大幅に軽減することができるということで、中央値をとって、七分の一ですから一四・数%ということで、中央値ということで東北でおっしゃっていただいたんですね。一割から二割、これをまず覚えていただいて、しかし、劇的な事例があったんですね。

 劇的な事例は、ハリケーン・カトリーナ。これが来る前に、カテゴリーファイブのハリケーンが来るということがわかっていたんだけれども、あともう少しだけ堤防をつくれば、このカテゴリーファイブのハリケーン・カトリーナをいわばタックルすることができた。大雨でも洪水を起こすことがなかったということで、あとたった二十億ドルで千二百五十億ドル相当の被害を軽減できたということは、これは事実としてあるんですね。ですから、この場合は一・六%ですね。六十倍の効果があった、六十分の一の投資で六十倍の被害を軽減できた。普通は一割から二割。先ほど外務大臣は七分の一というふうにおっしゃっていただいた。

 それから、近いところでは東海豪雨がございました。東海豪雨で五千五百億の被害がありましたけれども、実はそれは、七百億の堤防さえつくっておけば被害が軽減できたということも、割と近い経験を私たちはしているんですね。これは八倍です。

 ですから、七分の一とか八分の一とか、ハリケーン・カトリーナの場合は一・六%ですけれども、一〇%から二〇%程度の事前の防災投資によって私たちは被害を軽減することができるということなんですよ、財務大臣。なので、税法の附則十八条第二項の事前の防災、減災に資金を重点的に配分する、「資金を重点的に配分する」とまで附則十八条第二項で書いていただいたんです。それは、七分の一とか八分の一、あるいはもっと劇的な事例では六十分の一の投資で済むんだというのが事前防災、減災のいわば量ですね。

 一方、このパネルは、内閣府の三月十一日までに計算した結果なんですね。その後、今見直しが行われておりまして、もうすぐ南海トラフとか、もうすぐ首都直下で、そんなものじゃないだろうと。今ここで、首都直下では百十二兆円と書いてありますけれども、そんなものじゃないだろうとアプリオリには言われておりますし、それから、東海地震、東南海・南海を足して、これですと九十四兆円、約百兆円、そんなものじゃないだろうというふうに言われております。その随分前の予測でも、三百十三兆円もの被害額が予測をされている。

 そして、三日ぐらい前に新聞にありました。関西大学の河田先生が、中央防災会議の先生でもいらっしゃいますが、東海、東南海、南海の地震が起これば、今までは二万五千人のカジュアルティー、亡くなる方が出るだろうと言われていたのが、四十万人です。二万五千人が四十万人、十六倍。十六倍の人的な被害を予測しなければならないであろうということが、中央防災会議の正式な発表の前に、いわば個人的な見解という形で発表されておりました。十六倍、そこまでは被害額を見込まなくても、二、三倍にはもう絶対になるわけですね。二、三倍には必ずなるというふうに思わなければならないわけです。

 三月三十一日に内閣府の方から発表された南海トラフの津波の高さだって、高知県の黒潮町は三十四・四メートルです。十三階ぐらいまで行かないと津波から助かることはできない。そんなビル、黒潮町にはありません。

 そうやって被害を予測しておいて、そして被害額の計算はしていますけれども、ノーケアというのが今の状態なんです。なので、附則十八条第二項、事前の防災、減災には重点的に資金を配分すると書いていただいた、その宣言はしていただいたわけですけれども、その中身を今解説させていただいておるわけです。

 ですので、三百十三兆円、二倍にはなるとして六百二十六兆円、その七分の一、先ほど外務大臣がおっしゃった七分の一だと九十兆円。だから、九十兆円、事前に防災、減災に投下すれば、今でも三百十三兆円、普通だったら六百二十六兆円以上の大きな大きな被害が予測されるところを、ゼロにはできないかもしれないけれども、ほとんどを軽減できるということがわかっていてこのまま不作為でいるというのは、これはちょっと看過できないということです。

 もっと言えば、東北で今被害額が十六兆円。今、安住大臣のところで用意していただいている予算が二十三兆円。だけれども、それは三十兆円ぐらいになるだろうともう既におっしゃっていただいております。ということは、この被害額というものの倍は復興復旧のために要るわけですね。

 ということは、今、この古い内閣府の三百十三兆円という被害額の予測の倍は見込むとして六百二十六兆円、その倍が復興復旧にかかるということですね。だから、千二百兆円ですよ。何か似たような数字がありましたね、個人の金融資産千五百兆円。ちょうど一七五五年にリスボンの大地震というのがあって、ポルトガルが、いわば国全体が崩壊したんです。同じことです。国富全体が失われるというぐらいのちょうど同じ規模の被害、復興復旧のために必要だというふうに見込まれているのにもかかわらず、では一体、今年度の予算、どうしておくれたんでしょうか。今年度、補正予算はもう準備しているんでしょうか。これをきょうぜひ御紹介いただきたいと思います。

 ちょっと長くなりましたので、まず財務大臣から、今から岡田副総理とかいろいろな方が、秋に補正予算がどうしても要るんだと。それはデフレ・円高対策かもしれませんけれども、国土強靱化について、国富全体が失われるかもしれないというぐらいの被害想定を考えられているんだという事実、経験を踏まえて、先立つものは財源でございます。今財務大臣の方で財源をどういうふうに考えていらっしゃるか、ちょっと御紹介いただければありがたいと思います。

○安住国務大臣 事前防災の考えとか、それから老朽化した公共施設等についての更新のプライオリティーの高さというのは認識はしております。ですから、附則のところに新たにつけ加えをさせていただいて、それを明記したということも事実でございますので、今後そうしたものに沿って、しかし、財政再建の枠をはみ出てやれることではないことも現実にあります。

 先生、私は被害に遭った者としてもあえて申し上げますと、やはり厳密に、命を守るにはどうしたらいいのかということは、例えば黒潮町の、先生の御地元の高知の話で今御指摘がありましたが、三十メーターを超える、では四十メーターの堤防をつくるのかという話じゃなくて、いかに逃げるのかということの避難路をつくったり、防災のニューディールや強靱化というのは非常に必要なんですが、精査をきっちりして、命を守っていくというために必要でコンパクトで、そういう事業というのは何なのかということをまず考えるべきだと思うんですね。そういう中で、知恵をいただいて、この資金ということを入れました。

 ですから、さまざまな資金、民間資金もあると思います。こういうことも活用しながら、一緒に知恵を出していただいて、しかし、これは貴重な国民のお金を使うことになりますから、ゆめゆめ無駄な公共事業と言われないように、お互いいいものをつくりながら、四十メーター近い津波のときに、多分、宮城でも岩手でも、今、被害に遭った人ほど大きな堤防をつくるという発想を持っている方はいらっしゃいません。むしろ、逃げてどうするか、またそういうところに遭わないための地域づくりをどうするか、みんなそういう知恵を持っていますので、そういう中で事業というものをしっかりとつくって、必要なものには予算措置をしていきたいと思っております。

○福井委員 おっしゃるとおりですね。ですから、千分の一の災害にはまず逃げる、百分の一は完全にタックルする、抑え込むということだと思います。

 もう少し成長戦略とも関連して申し上げますと、今回の税と社会保障の一体改革、究極の目的は世代間の公平だと思うんですね。ずっと公債残高がふえていくという状態をこのまま後世につないでいくのか、あるいはことしの社会保障のサービス料はことしの消費税で賄うのかという世代間の公平、究極の目的はそこだ。

 ということは、同じことが言えるんですよ。千分の一の、千年に一回の大災害を受けて、いかにも国土が脆弱だということがわかっている今生きている私たち日本人の世代が、先ほど申し上げた千二百兆円の復旧復興のための費用をこのまま先送りするのかということなんです。大地震、大津波は必ず起こるんですから、今、事前に防災、減災をしておいて、将来の負担を軽減しておくこと、これは世代間公平以外の何物でもないわけですね。なので、税と社会保障の一体改革を考えて、そして消費税を上げようとしているときに、大災害についての財政出動をひるむということは、後世に対して愛情がなかったというふうに後世からそしりを受ける。同じことだというふうに思っているんです。

 事実関係として、それでは、建設国債発行残高、残高の量は二百二、三十兆円でずっと一定なんですよ、赤字国債の残高がずっとふえているだけで。先ほど民主党の方からの指摘もございましたが、しかし、残高の表はないんですね。残高のグラフはないんですよ。残高はずっと一定なんです。そして、これから、来年、再来年、その次の年ということで、微減になっていくんです。

 今、五兆、十兆の建設国債の発行をひるんで、将来の千二百兆円の復興復旧の負担を先送りするのか、二百二、三十兆円プラス五兆、十兆というのをひるむかどうか。ひるまずに財政出動をして、国土強靱化の事前の防災、減災に励むというのと、どちらを選択するのか。政府全体というよりは、財務大臣としての見解をぜひ教えていただきたいと思います。

○安住国務大臣 四条の公債残高は、いわゆる建設国債については御指摘のとおりでございます。ですから、膨大にふえているというよりも、一定のアベレージで公共事業にこれは使わせていただいているということでございますけれども、今先生から御指摘のように、では、そのお金を惜しんで、後で大きな被害を出して何百倍ものお金を払うのは決して割に合うものではないよということについては、一つの考えだとは思います。

 私が申し上げているのは、それはそうなんですが、どういう津波が来たときに、先ほども一例、黒潮町で申し上げましたけれども、ただやみくもに堤防をつくればいい、河川を越えてくるような波を防げばいいということではなくて、それぞれの地域に応じた逃げ方、日本の沿岸、海岸部分というのは、非常に後ろに、山を背にしていますね。こうしたところに例えば避難の道路をつくったり、それから、復旧可能な町をつくるのにどうするか、避難をしたときにどうするか。私や、ここで言うと小野寺さんや岩手県の黄川田さんの経験でいうと、例えば公共の施設を、少し高台のところに野球場とか公民館なんかをつくっていれば、かなりの時間そこに滞在できて救えた命もあるんです。

 そういう点では、お金をかける、かけ方の議論というものをしっかりした上でコンセンサスを得てやっていったらどうかということを、私、提案申し上げております。

○福井委員 いいことをおっしゃっていただきました。

 次のパネルをごらんいただきますと、まさにそれを国土強靱化基本法案の中に書き込ませていただいておりまして、国土強靱化基本計画なるものを国がつくりますね。これは、事前の防災、減災、エネルギーのバックアップ能力、情報通信の多様性確保、成長戦略、必要な項目は全てやらなければなりませんが、まさに今大臣がおっしゃったのは事業箇所ごとの意味ですね。

 防波堤をつくるのか防潮堤をつくるのか、あるいは避難地をつくるのか避難路をつくるのか、その組み合わせをどうするのかということについては、今までは確かに、道路局は道路局、河川局は河川局で、割と身勝手なBバイCしかしていなかったかもしれません。まあそうだと思いますので、今回は、プログラム評価といいまして、もうとにかくこの施設をつくりたいというんじゃなくて、ハードもソフトも加えておおよそありとあらゆる選択肢をここで比べて、そのプログラムの中で、目的と事業効果、必要性についてベストルートを見出す、そういう評価手法にしましょうというふうに書いておりまして、まさに、だからばらまきじゃないよと。

 しかも、ここに書いておりますのは、ばらまきというのは、金額の枠だけ示す、そして目的がない、この二つなんですね。ばらまきと言われる筋合いは二つしかなくて、金額の枠ありき、そして事業箇所ごとの目的が曖昧あるいはないということなんですね。

 ですから、今申し上げました事業箇所ごとの目的というのは、千分の一なのか百分の一なのかということについてベストルートを見出していく。その箇所ごとに、その地域ごとに、一人の命もないがしろにしないということについてのベストルートを見出していく。そして、枠ありきじゃないということは、十年で二百兆とはどこにも書いてないんですね。新聞に書いてあるだけで、十年で二百兆とは誰も言っていないんです。

 確かに、四百三十兆というのはアメリカから枠で示されました。そして、一番多いとき、補正も合わせて、一九九八年の公共事業費の事業量がそのまま十年いったとしたら三百兆ですね。今の政権がそのまま十年続いたら百兆円。

 ですから、今の背の高さが十年続いて、そして東北で三十兆必要、そして今、円高・デフレ対策で、自民党で申し上げている、リーマン前後で三十兆円のGDPギャップがある。半分は成長戦略、半分はこの国土強靱化。その国土強靱化でも、IGベースで十五兆円ということは、公共事業費で七・五兆円。ということは、国費がいわば四兆円。ですから、ひるまずに財政出動というその桁が、そんな十兆、二十兆ということじゃなくて、毎年毎年ベースでいくと四兆、五兆というベースになりますよということでございます。

 しかも、事業箇所ごとにプログラム評価をする、そして枠ありきじゃないということで、メディアで、自民党が先祖返りしているとか、ばらまきをまた始めるとかいうふうに言われておりますけれども、何でそんなことを言われているのか全然わからないということを御紹介させていただきました。

 そこで、国土交通大臣、かわられまして初めて御質問させていただきますので、この国土強靱化について、そして今ございました事業評価、そしてこの防災、減災について、基本的な、やはり人からコンクリートというようなことを自民党が考えているというふうにお考えなのか、あるいは、コンクリートから人へという表題は掲げながらいろいろな施策を今進められているというふうに伺っていますので、その表題と、強靱化しなければならない日本の課題についてどういうふうにお考えか、ちょっと御紹介いただければと思います。

○羽田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 人の命が第一、そして災害に上限がないとの東日本大震災の教訓を生かして、強靱な国土基盤を構築することは大変重要な課題と認識をさせていただいております。その実現のためには、厳しい財政状況を踏まえて、選択と集中の考え方のもとに、コストの抑制を図りながらも、事業内容を精査しつつ、真に必要な社会資本整備は着実に実施していく必要がある、こういうふうに考えております。

 御党が提出されております国土強靱化基本法案については、この重要な課題に関する御提案がある、こういう認識を持たせていただいておりまして、国会において十分議論をしていただきたいというふうに思っているところでございます。

○福井委員 今大臣がおっしゃいました、真に必要だというところなんですね。私も国会答弁書を書きましたから、よくわかっているんですよ。困ると、真にと書くんですね。すごく曖昧なんですね。真に必要というのは一体何なんだ。それで、今申し上げたんですね。このプログラム評価、ここで、その真にという曖昧な言葉でしか表現できなかった今までの行政行為、そして行政の判断、これをもっと明確にしよう、論理的にしようということなんでございますので、ちょっとまたあした以降、役所で御相談をしていただければありがたいというふうに思います。

 そこで、防災大臣、事前防災、減災という言葉が附則十八条第二項にございました。これは本邦初公開ですね。法律用語として、事前防災。だって、防災というのは事前にするに決まっているわけですからね。事後にするのは復興復旧で、防災は事前にするわけです。しかし、事前防災、わざわざそういう単語をつくって、しかも法律用語として打ち出したわけですから、この事前防災の定義というのは一体何なんだということについて、御解説をお願いいたしたいと思います。

○中川国務大臣 既にこれまでの議論の中でこの定義というのは出ていると思うんですけれども、災害が発生した後に生じる巨額の復旧復興費用に比べてはるかに少ない額で事前に計画的かつ必要な投資を進めることが必要だということ、そういう意味を込めて、民自公、国会の中で、これを事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するという形で合意をしていただいたということだと思っていまして、私の方はそれを推測して先ほどのような定義でこれを理解していきたいというふうに思っております。

 それから、先ほどの議論で、確かに具体的にどういう計画を積み上げていくかということになると、やはり地方によってそれぞれ前提となる条件、地方のすみ分け方というのがあると思います。そのすみ分け方によって防災の計画を具体化していく。

 それを全体の計画に結びつけていくということのために、実は、南海トラフにしても、あるいは首都の直下型にしても、地方と国、それからまた民間、それから制服組、これを全部あわせた協議会というのをつくっていきまして、その中で訓練も含めたことを繰り返していく。訓練の中で出てきた矛盾点とか、それから具体的な政策ということに対して提言をしていただきながら、そのサイクルをもって事前の防災計画につくり上げていきたいということで、この七月を中心に各ブロック会議を開催する予定でおります。

 そんなことの中で、それこそ与野党あわせて知恵を出していきながら、これからの計画をつくり上げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○福井委員 ありがとうございました。

 このパネルにございますように、事前防災、わざわざ事前とつけた今回の意味は、回復力なんです。回復力、ぼきっと折れない。だって、もう災害が多いということを世界じゅうにPRしたわけですからね。四つのプレートの上に乗っていて、地震は起こる、火山もそのうち爆発するかもしれない。それだったら、企業もマネーもどこかよそへ行こうというふうに思わないでちょうだいねというのは、もうこの回復力以外ないんですね。

 しかも、それが二年、三年かかってはいけません。数カ月のうちに直ちに回復する。物流チェーンも、全ての企業も、そして国会も霞が関も直ちに回復する。だから、企業も相変わらず日本で、投資も相変わらず日本でというふうにアピールできるわけでございます。

 ですので、附則十八条第二項に、事前防災、減災の前に成長戦略とありましたが、成長戦略、人の育成と研究開発というのが普通でしょうけれども、それ以外にも、そんな中長期じゃなくて直ちにできる成長戦略というのがあるはずでございますので、経済産業大臣から、この成長戦略について、今役所でどんな準備作業をされているか、ちょっと御紹介いただければと思います。

○枝野国務大臣 経済社会の行き詰まりを打開し、豊かさを実感できる成長を実現するために、経済産業省としては、産業構造の転換を進めるとともに就業構造の転換を進めなければならないと考えております。

 まず、成熟を力にした価値創造経済を実現するため、ヘルスケアや子育て、そして新たなエネルギー産業など課題解決型産業の創出を通じた内需の掘り起こし、主要貿易国との高いレベルの経済連携の推進やインフラ輸出、クール・ジャパンの推進等による海外市場開拓に取り組んでいるところであります。

 また、女性や高齢者など多様な主体が価値創造に参画し多くの成長の果実を分配する、人を生かす社会を実現するため、ダイバーシティー経営の推進や、社会人、あるいは主婦、一旦仕事を離れられて家庭に入られたという方が今の日本社会で残念ながら多うございますので、そうした皆さんの学び直しの支援を通じた労働移動の円滑化に取り組んでいるところでございます。

○福井委員 この図面、首都高をちょっと見ていただきたいと思いますが、大井埠頭から入った国際海上コンテナ積載車両というのがありまして、これは高さ四・一メーターあるんですよ。首都高に乗っていただくと、三・八メーター以上のものはこっち行きとあるんですけれども、何と、都心環状はそのコンテナ車は通れないんですよ。なので、大井埠頭から上がって銀座四丁目の普通の道路をぴゃっと走っているという状況、六割ぐらいのコンテナ車がそうなんですね。こんな首都高は要らぬですよ。早く首都高は全面的に改修をしなければなりません。

 そこで、国交大臣、首都直下型、先ほど百十二兆円とありました。もっと大きな被害があるでしょう。そして、南海トラフ。首都直下も参議院に、南海トラフの特措法も衆議院に私どもの方で提出をさせていただいておりますけれども、国交省として、首都直下と南海トラフの巨大地震、津波に対してどういう準備作業をしているか、ちょっと御紹介いただければと思います。

○羽田国務大臣 具体的に述べさせていただきますと、住宅や建築物また公共施設の耐震性の向上、そして津波防災地域づくり法等に基づく津波対策の強化、またミッシングリンクの解消です。また、水害・土砂災害対策、津波警報、これの改善もしなければならないというふうに思っております。

 また、実践的な防災訓練の実施など大規模災害に対する初動体制の強化、また自治体における津波ハザードマップの作成支援等の対策を関係機関と連携して強力に今進めているところであります。

○福井委員 ありがとうございました。

 そこで、国土強靱化のために国が主導して、そして国家機関が主導して防災、減災活動に当たらなければならないという基本理念は、そんなに反対されないんじゃないかと思いますけれども、賛成していただけるんじゃないかと思いますが、これはもう何回もこの国会でやりましたね、釜石の防波堤。ここで見ていただきたいのは、六分間津波が来るのをおくらせたんですよ。

 それで今までの国交省からの説明は終わっていると思いますけれども、この六分の間に何人の方が逃げおおせて死なずに済んだか、この六分の間にどこからどこへ皆さんが逃げられたかということについては、実はアンケート調査で持っているんですね。でも、一言でも言いましたか。

 私たちは、もうどんな非難中傷を浴びても、一土木屋として今しゃべっているんですけれども、一土木屋として、こんな何百億、一千億近くこの防波堤にかかったんですけれども、こんなの無駄やとかと言われて、一言でも何千人の命を救ったということを言いましたか。そんなこと言えませんよ。だって、亡くなった方がいらっしゃるんですから。データは持っているんだけれども、言いません。

 そして、東北で最初にやったことは、東北地方整備局、大臣が指揮して、内水の排除です。それはどうしてかというと、津波が海に帰らない。もう一面海のように、池のようになってしまって、御遺体の捜索活動ができないんです。だから、まずやらなければならないのが内水排除ですね。ポンプ車をいっぱい持っていって、とにかく水を吐き出して、やっと御遺体の捜索活動ができるんです。そんなことをやったと一言でも国会で誰か言いましたか。いいんですよ、そんなこと誰にも褒められなくたっていいんです。必要なことは必死でやります。

 中越で皆川優太ちゃんが助け出されました。助け出したのはハイパーレスキュー隊。だけれども、そのハイパーレスキュー隊を指揮していたのは、羽田大臣の部下ですよ。地方整備局の技官が二名、ハイパーレスキュー隊を指揮していた。全国の道路斜面防災を勉強したから、現場を全部見たから、それでやっとお一人のお子さんの命を助けることができたんです。そんなこと誰か言いましたか。

 ですので、全国の現場を見ているということ、そして国家公務員の矜持、プライド、これを毀損することがあっては、人の命を大事にするという今の政権のポリシーに反すると思うんですけれども、もし仮に、この政権で地方整備局を廃止する、全国の現場が見られないような体制にするということになれば、人の命軽視として、十年後、二十年後、これはもう何を言われるかわからないというふうに思うんですが、担当じゃないのであれですけれども、しかし、抗弁しなければならない国土交通大臣として、地方整備局、地方支分部局の今後のあり方について、一言、短くて結構ですから、決意をお述べいただきたいと思います。

○羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今御紹介があったように、地方整備局、震災発災以来、寝ずに、また寝袋で過ごしながら、本当に、被災地の復旧復興、そして、避難をされた方、また救助を待っている方のために全力を尽くして働いてきた、こういうふうに思っております。

 そういう中でありますけれども、国土交通省としては、地方整備局が東日本大震災への対応において発揮した機能、そして根幹的なインフラ整備、管理などで果たしている役割を維持することが重要である、こういうふうに考えており、このような観点から、引き続き検討には積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

○福井委員 ぜひ守っていただきたいと思います。

 最後に、あと三分ありますので、財務大臣と経産大臣からそれぞれ、一言ずつで結構です。

 今最も危険な状態にあるのは、円高、デフレもそうですけれども、もっと危険なのは貿易赤字ですね。三十一年ぶりに貿易赤字になりました。四国電力でも毎日四億円の重油を買っているんですよ、伊方がとまっていますからね。毎日四億円の重油を買っている、四国電力ですら。もちろん、エネルギーが全てじゃないんです。しかし、三十一年ぶりの貿易赤字になって、では来年プラマイゼロになるのか。そんな見通しは全くありません。

 一方、経産大臣の方は、では、太平洋側にLPGと石油、ガス精製、何%の施設があるでしょうか。もう施設ごとに紹介しませんけれども、六割から八割。それが南海トラフ、首都直下で動かなくなったらどうなるんですか。それこそ、先ほどの千二百兆円では済まない復旧復興の金額が必要になります。全ての国富を失うがごとくの被害になるわけです。日本海側にエネルギーの基地を設けて、そしてパイプラインでつなげていくという、国内でもそういうエネルギーの入り口から消費までのシステムをつくり上げていく。

 これも、民間で全部やれというのは酷な話です。国が出ないといけません。それも成長戦略と国土強靱化と全く合致する施策だと思います。それが、貿易赤字を解消する、ちょっと迂遠ですけれども、しかし短期的な施策だと思いますが、それぞれ、財務大臣から貿易赤字に対する危機感を短くて結構ですから御紹介いただいて、そして経産大臣から対策、対処策について御紹介いただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○安住国務大臣 昨年は三十一年ぶりに、そういう意味では貿易赤字がありました。これは、大震災に伴って、これが要因だと思います。そういう中で、原子力が稼働できない状況の中で原油高が影響をしたということは、もう先生御指摘のとおりでございます。

 今後、こうした円高やさまざまなエネルギーの問題が日本経済にどういうふうな影響を与えるか。単年度のものだったのか、構造的にこれが続くということであれば、日本経済のありようの根本を考えなければならないような状況だと思いますので、私どもとしては、昨年だけの傾向なのか、そうでないのかということを今注視しておりますので、重大な関心を持って見守っております。

○枝野国務大臣 貿易赤字の要因の大きなものにエネルギーの部分があるということは御指摘のとおりでございます。

 まずは、できるだけ安くエネルギーを外国から買うということで、それでも時間がかかることですけれども、一番可能性があるのが、天然ガスについて、これはシェールガス革命によって供給量が大幅に世界的にはふえておりますので、これを何とか原油との連動価格をやめられるように、各国とのかなり強い調子での交渉、協議を努力しているところでございます。

 その上で、特に災害、防災との観点から申し上げれば、御指摘のとおり、エネルギーの関連施設が一気に大きく破壊をされた場合、その回復には相当な時間がかかりますので、日本の社会経済の復旧復興に大変大きな影響を与えることになります。

 したがって、原油のコンビナートなどについてもできるだけ分散化をする努力を進めておりますが、特に天然ガスについては、パイプラインが国内でしっかりと整備されていると大変復旧に役に立つというのは、今回、たまたま東日本大震災の折に、仙台と新潟がガスのパイプラインがつながっていたということが大変大きな効果を上げたということで、これをどうやって早期に整備をしていくのか。これは、経産省の審議会の中でも具体的な検討が煮詰まっているところでございまして、できるだけ前に進めてまいりたいと思っております。

○福井委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
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